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図書館に予約していた『地図と拳』という本を、待つこと9ヵ月ほどでゲットしたのです。ゲッ! 分厚い本ではないか、読破できるかな? というのが第一印象でおました。【地図と拳】小川哲著、集英社、2022年刊<「BOOK」データベース>より「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野…。奉天の東にある“李家鎮”へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。<読む前の大使寸評>ゲッ! 分厚い本ではないか、読破できるかな? というのが第一印象でおました。<図書館予約:(2/01予約、副本6、予約175)>rakuten地図と拳1909年冬から見てみましょう。p165~169<第5章 1909年、冬> オケアノス。 須野は南満州鉄道株式会社(通称「満鉄」)に提出する資料の冒頭を、そう書き直した。「オケアノスとは、ギリシャ神話に登場する海神である。古代ギリシャの詩人ホメロスは、『オケアノスは神々の親であり、万物の始まりである』と歌っている。世界の果てはオケアノスという大海である。この世界の海も川も泉もすべてオケアノスから生まれたのであり、ゆえにオケアノスは万物の父である。ホメロスはそう考えていた。 古代ギリシャのアレクサンドロス大王は、世界の果て、つまりオケアノスを目指して東征を続けた。アレクサンドロス大王の挑戦はインダス川の向こう、ヒュダスペス川で行き止まりとなるが、その野心は二千年以上の時が経った今も語り継がれている。 さて、私たちにとって満州はオケアノスなのだろうか。激しい日露戦争を戦った結果得られた果実は、『万物の始まり』たりえるのだろうか。 ホメロスはまだ見ぬ世界の果てに『万物の始まり』を見た。その後プラトンは大西洋にアトランティスという失われた帝国があると考えられた。人類は古来、まだ見ぬ世界に何かがあると空想し、それを地図に記してきた。この報告書は、いわば人類の空想の歴史であり、人類が世界をどのようにして捉えていたのかを遡るものである・・・」 須野は序文をそこまで書いてから原稿用紙を丸めて捨てたが、屑籠はすでに破り捨てた原稿用紙でいっぱいになっていた。 紙の山からこぼれた塊が、ころころと寝床まで転がった。本郷にある六畳二間の窮屈な家は、台所まで古地図や中世の史料、プラトンやサルマナザールなどの本が山積みにされていた。それまで部屋の大半を占めていた気象学の研究書はほとんどすべて売り払っていた。 須野は隣人に譲ってもらった清酒を、酔わない程度に呷った。苦しくて苦いだけだった。 すでに夜は更けていて、あたりは静寂に包まれていた。大学の研究室から持ちだした石油ランプの明かりが、広い宇宙に浮かんでいるようだった。寒さに身を震わせながら毛布をかぶり、新たな序文を考える。そもそも、これほどまでに序文に悩む意味はあるのだろうか。どれだけ知恵を絞ったところで、この文書を読むのは調査部の新井だけだろう。彼を納得させるためだけに、自分はあまりにも多くのものを犠牲にしてしまったのではないか。 だが、それでも書かなければならない、と須野は思い直した。 この報告書は、須野にとって単なる報告書ではなかった。須野自身の、あるいは人類の何か大きなものが記された神託書のようなものだった。 須野は何かが降りてくることを祈りながら、再び「オケアノス・・・」と書いた。 転機は二年前だった。東京帝国大学で気象学を研究していた須野のもとに見知らぬ男が現れた。 男は満鉄の歴史地理調査部に所属している新井だと名乗った。何やら須野に依頼があるらしい。満鉄のことはもちろん知っていた。新聞や雑誌で何かと話題となっていた。数々の英霊を犠牲にし、やっとのことで日露戦争に勝利し、日本はロシア帝国から東清鉄道の南満州支線を手に入れていた。満鉄とは、その鉄道路線と付属地の経営を目的に作られた半官半民の特殊会社だった。まだ設立されたばかりだったが、日本政府は多額の資金を出資しており、また日露戦争の戦果が満鉄の経営にかかっていたこともあり、国内でも非常に注目が集まっていた。「黄海にあるとされる青龍島という小さな島が実在するかどうか調査してほしい」 新井は須野に向かってそう言った。 今でも、どういう経緯で自分のところに依頼が来たのかはわかっていない。須野の専門は気象学であり、地理も船も専門外だった。粗いが言うには、須野の同僚だった元木教授から推薦があったという話だったが、元木教授も気象学が専門としており、そもそも彼のところに依頼が向かった経緯もわからなかった。ただ、当時の自分には二十代特有の無根拠な自信に満ちており、たとえ専門外であろうとも、無能な専門家よりは良質な仕事ができると信じていた。それに、もし島が見つかった場合に自分の名声になるのではないかという色気もあった。須野は即座に引き受けた。 すでに調査航海の日程は決まっていた。 段取りは新井が行った。旅順港から海軍の軍人、満鉄の社員らと漁船に乗り込み、ロシアが作ったとされる地図の該当する海域を調査した。調査は一週間に及んだ。その間、須野は買ったばかりのドイツ製双眼鏡で周囲を観察し続けた。一週間くまなく調査したが、青龍島は発見されなかった。もちろん地図上の緯度や経度が誤っていたという可能性は残されていたが、学者としての答えは「青龍島は存在しない」というものだった。
2023.10.31
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好きな漫画作家といえば、谷岡ヤスジや諸星大二郎、西原理恵子となるわけで、以下のとおり復刻してみます。(なんか、大使の故郷に偏重しているが、まあいいか♪)*********************************************************図書館で借りた「秘密の本棚」という本を読んでいるのだが・・・・いしかわじゅんさんがマンガ作家であるだけに、同業者を見る目は鋭いのである。谷岡ヤスジや諸星大二郎を正しく評価しているのが、個人的には、なんともええ感じである♪<天然のヤスジ>よりp278~280 76年から77年あたりにかけて、ぼくはエロ本の売れっ子になった。そのころ、ヤスジもエロ本でたくさん仕事をしていた。大手でもやってはいたのだが、評価はあまり芳しくなかったように記憶している。かつてメジャーを張ったが、その後急激に面白くなくなってしまった人というような印象があった。 しかし、ヤスジはそれでは終わらなかった。 いつの間にか、作品世界が変わってきていた。『ガキ道講座』のころのような破壊的世界観は消え、画面には地平線が広がり、畑が現れ、牛のタロが寝そべり、タゴが鍬を振るうようになった。 透明な服を着た不思議なキャラクターが現れ、道を横切っていった。女の股間を針で刺すだけの先生がいた。バターを背負って女の股間にそれを塗る犬がいた。 おそらく、また誰かが囁いたのだ。ここになにかがある。 最近のヤスジって、なんか変だよな、とみんな噂するようになった。みんなというのは、業界のみんなだ。業界で受ければ、1年か2年後には一般読者も気づくようになる。そうしてヤスジは、80年代に二度目のブームを迎えたのだ。 もっともブームといっても最初のそれとは違って、もっと静かなものだった。そして、長いものだった。 ヤスジはそれから晩年まで、同じ世界観を維持した。村(ソン)という絵に描いたような牧歌的世界で、禅問答のような会話を繰り返した。 どこの連載も同じ舞台で同じキャラクターだったが、特に問題はない。読者はヤスジの新しいギャグや変わった展開を見たかったわけではないのだ。同じ舞台で繰り返しおこなわれる、いつものものを見たかったのだ。先週見たものと同じだが、どこか少し違う。 ヤスジに計算があったのかどうか、ぼくにはわからない。『ガキ道講座』にはある程度あったかもしれないが、<村>にはなかったような気がする。谷岡ヤスジがそのまま現れていただけではないかと思うのだ。 (中略) ヤスジと親しくつきあったことはなかったが、出版社のパーティ等で多少立ち話くらいはしたことがある。ヤスジは、自分の面白さを理解していないように見えた。作品を褒めたぼくに、ヤスジはかなり見当違いの反応を示した。やはり、ヤスジの漫画は、素のヤスジの面白さだったのではないかと、ぼくは思う。ヤスジの漫画の面白さは、ストレートにヤスジの才能の面白さなのだ。<天才>という言葉を安易に使うのは好きではないが、ヤスジにはその匂いがした。<心に残るあの漫画>よりp332~334 同じ『COM』に諸星大二郎が現れた時には、ぼくはよくわからなかった。『COM』の売り物のひとつであった新人賞で、『ジュン子・恐喝』という作品でなにかの賞を受賞して登場したのだ。『COM』は、泥臭い『ガロ』と比べて、都会的な前衛的な作品がよしとされる傾向があった。ぼくももちろん影響を受けてそういう意識があったので、諸星の受賞作のあまりにも泥臭い絵柄と地べたを這うような物語には、かなり抵抗があった。後の不思議な世界を描く作風とは違って、この作品は、現実の人間の心の底を探るような地道な物語だった。 この作品のよさがぼくには当時まだ理解できなかった。どうしてこんなヘタで泥臭い作品に賞を与えるのかと不満だった記憶がある。ずいぶん後になってそれを読み返し、また集英社の「手塚賞」に入選した作品『生物都市』その他を読んで、ぼくはやっと絵柄の新しさとは違う諸星の革新性に気づいたのだ。 新しさとは、誰も知らなかった線を引くことだけではない。誰も見たことのなかった背景を描き、驚くような構成を見せることも、もちろん新しさのひとつの形ではある。しかし、誰もまだ足を入れたことのない場所を発見することもまた、間違いなく新しさなのだ。 諸星は、間違いなく新しい描き手だったのだ。 大友克洋は、衝撃ではなかった。 彼が登場したころは、ぼくはもういっぱしの漫画マニアだったので、大友の登場は、必然だったのだ。誰か、なにか、ここに現れるはずだというような、ぼんやりした期待のようなものが、おそらくあったのだ。 近代漫画は手塚治虫の登場からこちら、ほぼすべての実験はやり尽くされ、地ならしは済んでいた。あとは、なにかが起こるのを待つだけだったのだ。 なにも具体的な前触れはなかったし、予兆らしきものもなかったのだが、もうなにか起きても不思議はないと、なんとなくみんな思っていたのだ。 だから大友が『漫画アクション』増刊でひっそりと登場したのは見逃さなかったし、すぐになにかが始まっているということもわかったが、驚きはしなかったのだ。ポンちゃんこと山田詠美にもふれているが・・・エイミーは漫画作家でもあったわけですね。知らなかった。いしかわさんが小説を書き始めたことに、エイミーも影響を与えたんでしょうね。<漫画と小説>よりp338~339 山田詠美は、山田双葉だった。 ぼくの大学の後輩というか、正確には、大学漫研の後輩だった。 卒業してずいぶん経ってから、漫研に顔を出したら、態度の悪い新入生がいた。それが山田双葉だった。 明らかにクラブの中で、ひとりだけ異質だった。ひとりで孤立して胸を張っていたので仲良くなり、漫画を描きたいというので、どんなものを描いているのか描きたいのかをチェックし、合いそうな編集者と編集部を紹介した。 とりあえずは、当時ブームの渦中にあった<三流エロ劇画誌>の御三家のひとつ、現在は劇作家になっている高取英が編集していた『劇画エロジェニカ』を紹介したのだが、しばらく描いているうちに、もう少し格下の本からも依頼がくるようになり、またしばらくすると、主婦の友社から出ていた『ギャルズコミック』という新興の少女漫画誌でも連載を持つようになる。 しかし、ぼくは山田双葉は、漫画家としては続かないだろうと思っていた。根気がなさすぎたのだ。 漫画は、作品を完成させるためには何度も同じ工程を繰り返さなくてはいけない。シナリオを書き、下描きをし、ペン入れをして仕上げをする。何度も何度も繰り返し同じものを、頭から最後までなぞらなくてはいけないのだ。山田双葉は、シナリオを考えて下描きをしたあたりで、もう飽きてしまって集中力を持続できなくなる。それでは、漫画は描けない。横についていて手を抜くなというと、だって面倒なんだもんと口を尖らせる。気持ちを維持するのも、漫画の才能の一部なのだ。 後に山田双葉が小説家になったのは、彼女にとって良かったと思う。小説は、漫画よりも工程が少ない。創作に要する物理的時間が短い。飽きる前に終わらせることができる。それに、小説は、考えながら書きながら、どんどん変えていける。しかし、漫画は、一度シナリオを決めてしまったら、変更はきかない。ページ数も厳密に決まっている。体力と気力の要るジャンルなのだ。 そのほかにも、漫画家と小説家の両方のキャリアを持つ人は多いが、ぼくも、実は小説はずいぶん書いている。賞はなにももらっていないが、ギャグからシリアスまで、中間小説誌から純文学誌まで、かなりの量を書き、単行本も何冊か出している。 ぼくが小説を書き始めた理由は簡単だ。編集者に依頼されたからだ。山田詠美が漫画家として挫折する様が面白いですね(笑)それにしても、早目に針路変更する変わり身の早さは評価できるのではないだろうか♪【秘密の本棚】いしかわじゅん著、小学館、2009年刊<【目次】「BOOK」データベース>より1の秘密 彼らの事情(彼女のストレート/ぼのぼのとSinkの間/森下裕美の冒険 ほか)/2の秘密 やってきた道(謎の人/西風少し復活/ギャグの星を探せ ほか)/3の秘密 描く人々(天然のヤスジ/少年画報の黄金時代/中川いさみの立った場所 ほか)<大使寸評>いしかわじゅんさんがマンガ作家であるだけに、同業者を見る目は鋭いのである。谷岡ヤスジや諸星大二郎を正しく評価しているのが、個人的には、なんともええ感じである♪rakuten秘密の本棚蔵書録1から、漫画の蔵書を紹介しますが・・・大使の一押しは、谷岡ヤスジ、西原理恵子あたりになります。
2023.10.31
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今回借りた4冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・旅猫リポート・図説 マザーグース・こんな雨の日に・デザインの歴史<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【旅猫リポート】有川浩著、 講談社、2015年刊<「BOOK」データベース>より大人気作家・有川浩の作品が、青い鳥文庫に初登場!ぼくはオス猫のナナ。なにかの事情でぼくを手放さなくてはならなくなったというサトルは、引き取り手をさがすため、銀色のワゴンに乗って旅に出る。サトルとぼく、ひとりと一匹が出会う、素敵な風景、なつかしい人々。そしてついにぼくらの最後の旅が始まるー。小学上級から。総ルビ。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/27予約、副本5、予約0)>rakuten旅猫リポート【図説 マザーグース】藤野紀男著、河出書房新社、2007年刊<「BOOK」データベース>より聖書、シェイクスピアと並ぶ三大知識が、貴重なイラストレーションと楽しい唄の数々で身近になる。マザーグース入門の決定版。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten図説 マザーグース【こんな雨の日に】是枝裕和著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より映画コンテ、自身が撮影した写真、撮影の記録とともに、是枝監督自身が映画について、現在の想いを綴るー【目次】『こんな雨の日に』から『真実のカトリーヌ』へ/伴走ープロデューサー 福間美由紀/グラビア/『真実のカトリーヌ』から『真実』へ<読む前の大使寸評>追って記入rakutenこんな雨の日に【デザインの歴史】 暮沢剛巳、他著、学芸出版社、2022年刊<「BOOK」データベース>よりアーツ・アンド・クラフツ運動やアール・ヌーヴォーから、モダニズム、現代のデジタルデザインまで産業革命以降の欧米デザインの変遷を見開きカラー図版450点以上でビジュアルにまとめた決定版。<読む前の大使寸評>追って記入rakutenデザインの歴史図書館大好き615
2023.10.30
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・ジンセイハ、オンガクデアル(2/10予約、副本1、予約15)現在1位・村上龍『ユーチューバー』(5/20予約、入荷待ち)現在6位・『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』(5/23予約、副本1、予約26)現在4位・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、副本1、予約55)現在28位・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在380位・多和田葉子『白鶴亮翅』(8/2予約、副本?、予約57)現在11位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在283位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在132位・ブレイディみかこ『リスペクト』(9/05予約、副本?、予約46)現在14位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在109位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在365位・南海トラフ地震の真実(10/20予約、副本?、予約44)現在43位・有川ひろ『旅猫リポート』(10/27予約、副本5、予約0)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・養老孟司『形を読む』・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・菊間晴子「犠牲の森で」・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・斎藤環『社会的ひきこもり』・ひさうちみちお『パースペクティブキッド』・松里公孝『ウクライナ動乱』・吉岡桂子『鉄道と愛国』:図書館未収蔵・村上春樹×柴田元幸『翻訳夜話』・村山由佳『命とられるわけじゃない』<予約分受取:7/26以降> ・阿川佐和子『 老人初心者の覚悟』(7/18予約、7/26受取)・スヴェン・ベッカート『綿の帝国』(6/14予約、8/16受取)・カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(8/31予約、9/06受取)・小松左京『大震災'95』(9/02予約、9/06受取)・西加奈子『くもをさがす』(5/10予約、9/06受取)・村上春樹『うずまき猫のみつけかた』(9/26予約、10/04受取)・タルディ『塹壕の戦争1914-1918』(10/08予約、10/14受取)・小川哲『地図と拳』(2/01予約、10/21受取)・有川ひろ『旅猫リポート』(10/27予約、10/28受取)**********************************************************************【ジンセイハ、オンガクデアル】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2022年刊<「BOOK」データベース>より貧困層の子どもたちが集まるいわゆる「底辺託児所」保育士時代の珠玉のエッセイ。ゴシック文学的言葉を唱え人形を壊すレオ。「人生は一片のクソ」とつぶやくルーク。一言でわたしの心を蹴破ったアリス。貧窮、移民差別、DV。社会の歪みの中で育つ、破天荒で忘れがたい子どもたち。パンクスピリット溢れる初期作品。『アナキズム・イン・ザ・UK』の一部に大幅増補。映画・アルバム評、書評を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/10予約、副本1、予約15)>rakutenジンセイハ、オンガクデアル【ユーチューバー】村上龍著、幻冬舎、2023年刊<出版社>より20代半ばにしてデビューをした作家・矢崎健介、70歳になった。「世界一もてない男」を自称するユーチューバーが、矢崎をユーチューブに誘う。承諾した矢崎が語り出したのは、自由である人間について。自由な人間は滅多にいないのだと言った。自由であるということは、唯一の希望を生む。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/20予約、入荷待ち)>rakutenユーチューバー【千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話】済東鉄腸著、左右社、2023年刊<「BOOK」データベース>より日本どころか千葉の実家の子供部屋からもほとんど出ない引きこもりの映画オタクの下に差し込んだ一筋の光、それはルーマニア語ールーマニア人3000人に友達リクエストをしてルーマニアメタバースを作り猛勉強、現地の文芸誌に短編小説を送りつけ、『BLEACH』の詩へのリスペクトと辞書への愛憎を抱きながらルーマニア語詩に挑戦する。受験コンプレックス、鬱、クローン病。八方塞がりの苦しみから、ルーマニア語が救ってくれた。暑苦しくって切実で、好奇心みなぎるノンフィクションエッセイ。千葉の片隅から、魂の故郷・ルーマニアへの愛を叫ぶー。本、映画、音楽…ルーマニアックのための巻末資料も収録!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/23予約、副本1、予約26)>rakuten千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話【台湾漫遊鉄道のふたり】楊双子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より昭和十三年、五月の台湾。作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴と台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。ただ、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子の焦燥感は募り…国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差。あらゆる壁に阻まれ、近づいては離れるふたりの旅の終点はー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/23予約、副本1、予約55)>rakuten台湾漫遊鉄道のふたり【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【白鶴亮翅】多和田葉子著、朝日新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>よりベルリンで一人暮らしをする美砂は、隣人Mさんに誘われて太極拳学校へ。さまざまな文化的背景の人びととの出会い、第二次大戦前後のドイツと日本の歴史に引き込まれ、名作を女性の視点で読み直す。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/2予約、副本?、予約57)>rakuten白鶴亮翅【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【リスペクト】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2023年刊<「BOOK」データベース>より2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとした小説。ホームレス・シェルターに住んでいたシングルマザーたちが、地方自治体の予算削減のために退去を迫られる。人種や世代を超えて女性たちが連帯して立ち上がり、公営住宅を占拠。一方、日本の新聞社ロンドン支局記者の史奈子がふと占拠地を訪れ、元恋人でアナキストの幸太もロンドンに来て現地の人々とどんどん交流し…。「自分たちでやってやれ」という精神(DIY)と、相互扶助(助け合い)と、シスターフッドの物語。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/05予約、副本?、予約46)>rakutenリスペクト【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2023.10.30
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是枝監督が映画作りについて語っているので、以下のとおり復刻してみてみようと思い立ったのです。*********************************************************帰省先の図書館で『クリエイティブな仕事はどこにある?』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、なにやら、かなりクリエイティブである。是枝監督と対談している樋口景一という人は電通コミュニケーション・プランニング・センター長という物々しい肩書である・・・・最近、電通のイメージは良くないが、やはりクリエイティブではあるなあ♪【クリエイティブな仕事はどこにある?】是枝裕和×樋口景一著、廣済堂出版、2016年刊<「BOOK」データベース>より春には仕事人としての始まりを、夏にはその成功と失敗を、秋にはその閉塞と突破を、冬にはこれからどんな未来を選ぶかを、二人の仕事人が1年を通じて語っていく。仕事人として歩くさまざまな道のりにおいて、僕らは何を考え、何を見つめていくのか。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、なにやら、かなりクリエイティブである。是枝監督と対談している樋口景一という人は電通コミュニケーション・プランニング・センター長という物々しい肩書である・・・・最近、電通のイメージは良くないが、やはりクリエイティブではあるなあ♪rakutenクリエイティブな仕事はどこにある?スマホの功罪、本屋のありがたみに触れたあたりを、見てみましょう。p72~76 <仕事の八割は情報収集で決まる>樋口:是枝さんの映画を撮るのは、日常的にさまざまな文献を読んだり、ニュースを見たりするところからスタートするんですか?是枝:ええ、なにかに出会って動くことが多いですね。創作されたものではなくて、実際の事件に触発されることが多いですね。樋口:僕らは広告をつくるときには、たいていクライアントさんのやりたいことが先にあるのですが、それをそのままやっても一方的になっていいものにはならないということがあります。ですから、それをどう翻訳し、そこに何を盛り込むと聞く側見る側にとって気づきがあって、意味のあるものになるかを探していきます。 むしろ一般的な捉え方と距離があるほうが一般論でないぶん気づきを与えるものになりやすいので、違うタイプの情報を入れるようにしています。人に会って話をすることがヒントになる場合が多いですね。仕事の接点のない人のほうが刺激になります。是枝:そうなんですよね。同じ業界じゃない人ね。樋口:仕事関係とはまったく異なる日常の接点が大事なのかなと思います。是枝:僕がテレビをやってよかったのは、限定的とはいえ、一般の人たちに接する機会があったから。それを経験せずにいきなりフィクションの現場に入って、役者と業界の関係者だけと何十年も仕事をしていたら、つくるものが違ってただろうなという気がします。樋口:違うでしょうね。是枝:それはそれで、馴染んでしまうと楽しい日々かもしれませんけど。その外側に普通の生活者がいることに目が届くか届かないかは大きいと思うんです。僕はあまり業界に友人がいないので、役者と朝まで飲み歩くなどということがなくて、昔の友達や高校時代の友人たちと話しているときに着想が生まれることが多いですね。樋口:僕も違う業種に就いている昔の友人と話すのがすごく好きで。是枝:大事ですよね。樋口:「銀行はこうだ」とか「本屋はこうなんだ」とか、そういう会話が大事だなと思っています。まったく違う風景を見ている人の一言から新しい見方ができるようになることがあります。 アイデアの話をすると、「どこからかアイデアが降ってきて、それをもとに業界内部の人とつくっていく」ととらえているふしがありまして。情報の収集やインプットを丹念に丁寧にやるとか、情報の量を増やすことがないがしろにされているように思うときがあります。 一足飛びにものづくりにガッと入っていくといいものができると思い込んでいる人がいますね。実際には世の中の流れや伝わる構造を読むことを含めると、企画の初期段階は八割がた情報収集で決まるんじゃないでしょうか。 以前、是枝さんと引っ越しの話をしたとき、蔵書がたくさんおありだと聞きましたが、それはインプットのための材料ですか?是枝:本は好きなんですが、いま読めないんです。資料以外の本がなかなか読めない。それで、最近は読めなくても、買うだけでもいいと思うようになっています。 本屋が好きなんです。本屋という空間が。僕は本には本屋が必要だと思っていて、アマゾンで買うのは便利だけど定期的に本屋に行って並んでいる本に触れている時間が非常にクリエイティブです。最近は、その空間を維持するためには自分がここで本を買わなければいけないと思っています。そうしないと、この本屋は潰れていくんだと。樋口:本屋は守らないと、どんどんなくなっていきますよね。是枝:うん。だからなるべくチェーン店ではなくて、小さな本屋で買う。そうして支えないと、本屋という空間がなくなると思うから、空間代だと思って本を買います。それくらい本屋は必要だと思っているんです。映画に映画館が必要なくらい、本には本屋がいる。世の中にはそういう空間が必要だと思うんです。樋口:よくわかります。是枝:読む時間がなくても、買うだけでも活性化される。だから、読めないけど買い続けています。樋口:僕も自分では読まないタイプの本を、本屋で眺めるのがすごく好きなんです。それで、ジャケ買いする。読めるかどうかわからない本も、最終的に興味がもてるかわからないけどちょっと気になるという本も買ってみます。本屋に並んでいる本の背表紙を見るだけでもすごく刺激されますね。是枝:わかります。樋口:タイトルをバーッと眺めるだけでも、ものすごい情報量ですね。いま僕は、だんだん本を読む時間がなくなっていくことを恐怖に思っているんです。移動の時間は携帯をいじる時間に変わりつつある。するとネットの文章を多く見るようになる。ネットの文章が全部悪いとは思っていませんが、やはり書籍になった文章、あるいはある時間を越えて生きている文章と比べると、文章のクオリティが高くないものがものすごい数あるわけですね。そういうのを目にする機会がだんだん増えていって相対的にその割合が高くなると、自分の中にある文章のストックが、だんだんよくないものに変わっていく。是枝:劣化する。新しい企業哲学やアメリカ流の強引な商法あたりを、見てみましょう。p176~179 <古い会社から新しいものが生まれている>是枝:僕は自分が下積みをしていないから、あまり偉そうなこと言えないんだけど、僕が所属していた制作会社の上の人たちからすると、僕なんかが一番そういう共同体意識の薄い新しい人間だと思われてきたはずだし、僕自身それでいいと思ってきた。こんなレベルの低い人たちの下に10年もいたら腐ってしまうと思ってきた。 そう思ってきた人間が今間逆のことを言っているかもしれないけど、番組と作品にとっては、共同体意識の薄いスタッフが入れかわり立ちかわり参加をしていることはよくない。難しいところですね。樋口:ある種古い企業として見られていた企業から、新しいタイプの自動車とかがどんどん生まれていて、新興の企業からむしろ新しいものが生まれにくい状況もある。それはおっしゃるようにノウハウやDNAが継承されないために、どこも同じようなものを出してしまうという状況があるんでしょうね。バックグラウンドとなるフィロソフィがなくて、どこが出しても同じようなものになっていき、それは結果的にその企業の競争力にはならない。 最近、「運動会をやりたいと思っているんですよ」と言われる企業の方がいます。きちんと共同体をつくっていかないと、フィロソフィが育たないということのようです。是枝:それって日本独自の考え方? アメリカだともっと自由なの?樋口:その傾向はありますけれど、グーグルやアップルは日本企業に近くて、共同体意識が非常に強いですね。是枝:そうですか。僕は、今の自分が、若い頃に考えてきた自分よりも保守的な気がしているんです。今年のお正月も、十数人で新年会をやって書初めをした。そういうのが意外と嫌いじゃない。お年玉配って、みんなでボーリングして、焼き肉食べて、今年も頑張りましょうと言って。こういうのは昔は大嫌いだったのにと思っているんです。テレビマンユニオン時代は、新年会や忘年会には一度も出ていないのに。わからないもんだな。樋口:さっき話した、自己プレゼンテーションや自己アピールを重視していると、無駄に見えることを全部切り捨てるようになりますね。しかし、無駄だと思って切り捨ててきたことのなかにこそ、じつは大事にすべきことがある。ITのトップの人が「人類史的に大丈夫かなと思っている」と言ったという話をしましたが、その方は「最適化」ということに疑問をもっている。 最適化によって、自動的にその所作を選ぶようになるとか、自動的にそのレストランを選ぶようになるというようなことがどんどん増えていくと、結果的には無駄と思えることや、余白をつくる行為が極端に少なくなっていきます。是枝:最適化からは無駄が生まれないということですね。僕は、アマゾンでおすすめされるとすごく買いたくなくなるんだよね。「お客様のショッピング傾向に基づくおすすめ商品」とか言われるのがすごく嫌で、「オレ、それ好きじゃねーよ」とか、「いやいや、これとこれは違うものでしょ」と思うけど、あれは誰がおすすめしているの?樋口:プログラムが組まれている。是枝:傾向がカテゴライズされているってこと?樋口:購入した商品が、次に有効に機能するためのデータになって、さらに選択肢を狭めていくんですよね。で、判断を委ねていく状況になっていく。是枝:うん、自分で選んだり失敗したりする喜びがなくなるよね。 山下和美さんという漫画家と対談したら、高校の同級生が本屋で働いていて、本はそこで買うと言ってました。そこに行くと、「こないだの本どうだった?」「あ、面白かったよ」「今度新しいのが入ったよ」と言われて、一緒に店内を回って何冊か買う。それならわかるんだよね。樋口:それはすごくいいですね。是枝:アマゾンのおすすめはそれとは違うよね。「前に買ったものはどうでしたか?」って聞かれていないもんね。樋口:そうですね。その商品のレビュー書いても、おすすめには反映されないですね。是枝:コミュニケーションになっていない感じがすごく嫌なんだよね。なのに、なんですすめるんだよって思う。樋口:そういう書店員がいるといいですね。是枝:いいですよね。それが基本な気がする。ウン 本屋が好きで、アマゾン嫌いなところが、反米の大使に強く響くわけでおます♪
2023.10.29
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<三浦しをんの世界R10>先日、DVDで『まほろ駅前多田便利軒』を見たのだが、この際・・・就活作家とも言われる三浦しをんについて集めてみます。・墨のゆらめき(2023年刊)・のっけから失礼します(2019年刊)・愛なき世界(2018年刊)・ぐるぐる博物館(2017年刊)・みんな彗星を見ていた(2015年刊)・矢口史靖監督のWOOD JOB!(ウッジョブ)(2014年制作)・原作が先か、映画が先か:舟を編む(2013年制作)・お友だちからお願いします(2012年刊)・本屋さんで待ち合わせ(2012年刊)・舟を編む(2011年刊)・まほろ駅前多田便利軒(2011年制作)・天国旅行(2010年刊)・三四郎はそれから門を出た(2010年刊)・神去なあなあ日常(2009年刊)・むかしのはなし(2008年刊)・妄想炸裂(2001年刊)・三浦しをんが選ぶ本・wikipedia三浦しをん来歴よりR10:『墨のゆらめき』を追加【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【のっけから失礼します】三浦しをん著、集英社、2019年刊<「BOOK」データベース>より『BAILA』好評連載に5本の書き下ろしを加えた、自称「構想5年!」の超大作。ありふれているのに奇想天外な日常が綴られる三浦しをんワールド炸裂の抱腹絶倒エッセイ集。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると気安いテーマのエッセイが並んでいて・・・どこを読んでも頭のコリがほぐれるような気がするのです。rakutenのっけから失礼します【愛なき世界】三浦しをん著 、中央公論新社、2018年刊<「BOOK」データベース>より恋のライバルは草でした(マジ)。洋食屋の見習い・藤丸陽太は、植物学研究者をめざす本村紗英に恋をした。しかし本村は、三度の飯よりシロイヌナズナ(葉っぱ)の研究が好き。見た目が殺し屋のような教授、イモに惚れ込む老教授、サボテンを巨大化させる後輩男子など、愛おしい変わり者たちに支えられ、地道な研究に情熱を燃やす日々…人生のすべてを植物に捧げる本村に、藤丸は恋の光合成を起こせるのか!?道端の草も人間も、必死に生きている。世界の隅っこが輝きだす傑作長篇。<読む前の大使寸評>三浦しをんと言えば、オッサンのようなエッセイを書く人との印象が強かったけど・・・長篇小説もいけてるでぇ♪・・・ということで、その語り口をちょっとだけ見てみましょう。<図書館予約:(11/25予約、7/13受取)>rakuten愛なき世界【ぐるぐる博物館】三浦しをん著、実業之日本社、2017年刊<「BOOK」データベース>より人類史の最前線から、秘宝館まで、個性あふれる博物館を探検!書き下ろし「ぐるぐる寄り道編」も収録!好奇心とユーモア全開、胸躍るルポエッセイ。<読む前の大使寸評>巻末を見ると、「月刊ジェイ・ノベル掲載分」を主に編集した本のようだが…編集者の企画が良かったのかも♪rakutenぐるぐる博物館『ぐるぐる博物館』3:各地で発見された経典『ぐるぐる博物館』2:茅野市尖石縄文考古館『ぐるぐる博物館』1:風俗資料館図書館の予約カートに入れていたのだが、図書館の書架で見つけて借りたのでおま♪【みんな彗星を見ていた】星野博美著、文芸春秋、2015年刊<商品説明>より東と西が出会ったとき、一体何が起きたのか多くの謎が潜む、キリシタンの世紀。長崎からスペインまで、時代を生き抜いた宣教師や信徒の足跡を辿り、新たな視点で伝える。 <読む前の大使寸評>三浦しをんが泣きながら読んだとのこと・・・どんな本なのか?♪<図書館予約:カートで待機>rakutenみんな彗星を見ていた<矢口史靖監督のWOOD JOB!(ウッジョブ)>まだ先の話だが、矢口史靖監督の「WOOD JOB!(ウッジョブ)」という映画が来年5月に公開予定だそうです。三浦しをん、林業、矢口史靖監督という取り合わせが、大使の興味をひくわけで・・・「ウォーターボーイズ」の矢口史靖監督だから、面白い作品に仕上がるのではないか♪ちょっと気が早いが、この映画の個人的予告を作ってみました。【WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常】矢口史靖監督、2014年制作<movie.walker解説>より矢口史靖監督が、林業を描いた三浦しをんの小説を染谷将太×長澤まさみ×伊藤英明で映画化<観る前の大使寸評>movie.walker解説もまだ1行の段階なので、やや情報不足ではあるが、おもしろそうである♪movie.walkerWOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常『WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常』公式サイトなんか昨今では、映画は半年以上前から、公式サイトを作って宣伝しないと、ペイできないのかもしれないなぁ。<原作が先か、映画が先か>三浦しをん原作の場合、原作が先か、映画が先か悩ましいのである。【舟を編む】石井裕也監督、2013年制作、H26.12.01鑑賞<Movie Walker作品情報>より2012年度の本屋大賞で第1位に輝いた、三浦しをんの同名ベストセラーを松田龍平&宮崎あおいの主演で映画化したヒューマンドラマ。15年の歳月をかけて、24万語収録の一冊の辞書を作り上げていく主人公と、老若男女揃った個性豊かな辞書編集部の仲間たちの姿を丁寧に描き出す。監督は『ハラがコレなんで』の石井裕也。<大使寸評>三浦しをん原作の場合、原作が先か、映画が先か悩ましいのである。『まほろ駅前多田便利軒』は、映画を先に観たが・・・これは良かった♪『神去なあなあ日常』は、原作を先に読んだが、なんか映画が色褪せたように感じたわけです。この映画『舟を編む』には、もうひとつ没入できなかったわけだが・・・でも、原作を読んで挽回する楽しみが残っているわけです。(苦し紛れの評価になったけど)movie.walker舟を編む <お友だちからお願いします>図書館で三浦しをん著『お友だちからお願いします』という本を手にしたのです。「こんな私でよかったら」と三浦さんは謙遜しているが、かなり期待できそうやでぇ♪【お友だちからお願いします】三浦しをん著、大和書房、2012年刊<「BOOK」データベース>よりどこを切ってもミウラシヲン(よそゆき仕様・自社比)が迸る。2012年度本屋大賞『舟を編む』に続く、待望の最新エッセイ集。【目次】1章 ひととして恥ずかしくないぐらいには(餌を与えないでください/短くなった父 ほか)/2章 そこにはたぶん愛がある(老婆は行脚する/愛の地下鉄劇場 ほか)/3章 心はいつも旅をしている(キリストの墓とピラミッド/田園風景のカーチェイス ほか)/4章 だれかとつながりあえそうな(包んで贈る十二月/ヒノキのテーブル ほか)<読む前の大使寸評>「こんな私でよかったら」と三浦さんは謙遜しているが、かなり期待できそうやでぇ♪rakutenお友だちからお願いします三浦さんは、猫好きのようだが・・・ブチャイクを見てみましょう。p265~266<ブチャイクよ永遠に>より 猫を飼ったことがない。友人の飼い猫をニボシと引き換えに無理やり撫でさせてもらったり、門柱のうえで昼寝中の野良猫をそっと突ついては「シャーッ」と言われたり、腰の引けたつきあいしか築けない。 すごく好きな相手なのに、洗練とは程遠い愛情表現しかできないとは、中学校男子みたいだ。「ふんっ、おまえとかかずらっている暇はないわい」と言わんばかりに立ち去っていく猫を見るたび、「また友好条約の締結には至らなかった・・・・」と切なくなる。でも、猫のつれなさ、媚びない気高さが、またいいのだ。 私がはじめて間近に見た猫は、父が学生時代にお世話になった下宿屋さんで飼われていた。 父は社会人になってからも、年末か年始には下宿屋さんに挨拶に行った。私も父に連れられて、何度か一緒に下宿屋さんに行った。 そこにはお婆さんと、お婆さんと同じくらい年を取った猫がいた。三毛猫だった気がするが、定かではない。模様なんて記憶からブッ飛ぶぐらい、太っていた。畳に腹がこすれるほどで、足がほとんど見えないのだ。 とてもかしこい猫で、私たちの訪れを知ると、のっしのっしとやってきて「ナア」と挨拶する。あとはおとなしく、お婆さんと一緒に炬燵に当たっている。大人たちの会話に飽き、私がもぞもぞしはじめるや否や、その猫は必ずにじり寄ってきて、あやすように私の脚を短い尻尾で軽く叩いてくれる。 どうして私の気持ちがわかるんだろうと、本当に不思議だった。それでいて、気軽に撫でさせてはくれないのだ。あまりに神々しく、なおかつ太っていたので、「この炬燵があったかいのは、もしかして猫が神秘の力で発熱しているのではないか」と思い、炬燵布団を上げて猫の様子を何回も確認したほどだ。 猫とお婆さんは、ほぼ同時期に亡くなったそうだ。 それ以来、太った猫につい目が行く。 実家の庭に出没する野良猫に、ブチャイクというのがいる。不細工な茶色い猫なので、ブチャイクと勝手に命名した。こいつが体格も素行も大変ふてぶてしい。 庭に並んだ植木鉢を、すべて蹴倒して歩く。「王の行く道を邪魔するものは、すべて排除する」と堅く決心しているらしい。アロエが折れ、パンジーの花がつぶれた。私はもちろん、「ブチャイクー!」と怒声を上げて庭にまろび出るのだが、ブチャイクはちょっと振り返ってみせるだけで、悠然と歩み去っていく。 あんたなんで、「俺に惚れるな、火傷するぜ」って態度なんだよ。地団駄を踏みつつ、鉢をもとに戻す。悔しいけれど、王様ぶりを見せつけるブチャイクに、なんだかキュンとしてしまうのも事実だ。<本屋さんで待ち合わせ>この『本屋さんで待ち合わせ』という本は図書館に予約していたのだが、予約5日後にゲットしたものです。ラッキー♪読み始めてまず、わりと男性的な文体に驚くのです。文体もさることながら、三浦しをんの本に対する関心が我ら団塊の世代とかぶるわけで・・・まるで、オッサンやんけ♪(親近感がわくのです)【本屋さんで待ち合わせ】三浦しをん著、大和書房、2012年刊<「BOOK」データベース>より口を開けば、本と漫画の話ばかり。2012年度本屋大賞に輝く著者が本と本を愛するすべてのひとに捧げる、三浦しをんの書評とそのほか。<大使寸評>読み始めてまず、わりと男性的な文体に驚くのです。文体もさることながら、三浦しをんの本に対する関心が我ら団塊の世代とかぶるわけで・・・まるで、オッサンやんけ♪(親近感がわくのです)<図書館予約:(2/17予約、2/22受取)>Amazon本屋さんで待ち合わせオッサン好みのあたりを見てみましょう。<読むと猛然と腹が減る>よりp20~21 1人で食事をするときは、たいていなにかを読みながら食べる。そして私はたいてい、家でも外でも1人で飯を済ます。必然的にほとんどいつも、食事は読書とセットである。 このごろでは、片手でページをめくりやすいことを基準に、外食時のメニューを選ぶようになった。フォークとナイフを使うような洋食は駄目だ。和食も、茶碗やらお椀を頻繁に、箸を持たぬほうの手で持ち替えねばならないから避ける。結局、酒のつまみと酒ばかり口に入れることになる。「本を読みやすい」ことを第一に食事のメニューを決めるのと同じく、「食事時にふさわしい内容の本」を吟味するのも、またなかなか難しい。 登場人物がつらすぎる目に遭ってたりすると、「呑気に食べててすみません」という気分になっていけない。また、性描写が濃厚すぎると、食事そっちのけで読みふけってしまう。悲しすぎず、生々しすぎぬものが、食事時には向くようだ。 今日は昭和の喜劇役者・古川録波の『ロッパの悲食記』(ちくま文庫)を読んだ。これは食事時の本として最適であった。とにかくロッパ氏が食べる食べる。 戦時時の日記を読むと、おおかたのひとが満たされぬ食欲を嘆いているものだが、こんなにも食欲を訴え、さらにその食欲を満たすためになりふりかまわず邁進してるひとははじめてだ。情熱という言葉ではなまぬるいほどの食欲。おいしいご飯をブラックホールのごとく無尽蔵に吸いつくす強靭な胃袋。 「またすごい質量を食べてるー!」と読んでいておかしいのだが、同時に少しの哀しみもある。「悲食記」とは言いえて妙で、食事のことばっかり考えてる(ように見受けられる)ロッパ氏は、いくら食べても腹が減ってしまう生き物の哀しみと不毛に、無謀にして悲愴な戦いを挑んでいるかのようだ。 崇高さと威厳を感じさせるロッパ氏の食への飽くなき要求に触発され、私も食事時でもないのに猛然と腹が減り、困ってしまった。深夜についに耐えきれなくなり、コンビニのたらこスパゲティーを食べる。499キロカロリー也。嗚呼。 <『舟を編む』2>図書館で三浦しをん著『舟を編む』という本を手にしたのです。この本は映画化された作品でもあるが、まだ読んでなかったのです。で、遅ればせではあるが、読んでみようと思ったのです。【舟を編む】三浦しをん著、光文社、2011年刊<「BOOK」データベース>より玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていくー。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのかー。<読む前の大使寸評>映画化された作品でもあるが、まだ読んでなかったのです。遅ればせではあるが、読んでみようと思ったのです。rakuten舟を編む『舟を編む』2:大手出版社に入社『舟を編む』1:冒頭の語り口<まほろ駅前多田便利軒>東京近郊のまほろ駅前で「何でも屋」を営むバツいち2人組のお話です。この映画の原作は、まだ読んでいないが・・・そのうち読んでみます。【まほろ駅前多田便利軒】大森立嗣監督、2011年制作、H26.11.22鑑賞<Movie Walker作品情報>より第135回直木賞に輝いた三浦しをんの同名小説を、個性派俳優の瑛太&松田龍平の共演で映画化した人間ドラマ。東京郊外の“まほろ市”で便利屋を営む男と、そこに転がり込んできた同級生のコンビが、さまざまな事件やワケありな依頼人たちの家庭事情に巻き込まれていく。監督は『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』の大森立嗣。<大使寸評>三浦しをんの原作はまだ、読んでいないのですが・・・映画と原作はかなり別物ではないかと思うのです。(誰か回答を教えてほしい)それだけ、映画の持つリアリティがすごいわけです。出だしのどうしようもなくだるい人物像が、だんだんと凄みを帯びてくる展開が・・・ええでぇ♪movie.walkerまほろ駅前多田便利軒『まほろ駅前多田便利軒』公式サイト【天国旅行】 三浦しをん著、新潮社、2010年刊<「BOOK」データベース>よりそこへ行けば、救われるのか。富士の樹海に現れた男の導き、死んだ彼女と暮らす若者の迷い、命懸けで結ばれた相手への遺言、前世を信じる女の黒い夢、一家心中で生き残った男の記憶…光と望みを探る七つの傑作短篇。<読む前の大使寸評>葬式とか死別が増えてくる年代となったのだが・・・・この短編集のように明るく対処することも有りなのかも♪amazon天国旅行 <三四郎はそれから門を出た>本屋で三浦しをん著『三四郎はそれから門を出た』という文庫本を手にしたが…書評集にしたらけったいなタイトルやで。でも、朝日新聞の書評欄で、つねづね三浦しをんをフォローしているわけで・・・こんな軽いタッチの書評集もいいかも♪手元不如意の大使が、本屋で本を買い求めるのは久々であった。それだけ厳選しているということも言えるのだが。【三四郎はそれから門を出た】三浦しをん著、ポプラ社、2010年刊<「BOOK」データベースより>人気作家にして筋金入りの活字中毒者・三浦しをんによるブックガイド&カルチャーエッセイ集。【目次】1章 犬のお散歩新刊情報/2章 三四郎はそれから門を出た/3章 本のできごころ/4章 役に立たない風見鶏/5章 本を読むだけが人生じゃない/6章 愛の唄<大使寸評>朝日新聞の書評欄で、つねづね三浦しをんをフォローしているのだが、この本のように気軽な書評もいいかも♪rakuten三四郎はそれから門を出た<神去なあなあ日常>三浦しをんの作品をまだ読んでいないのだが、就活作家と呼ばれるように、時流に乗るセンスはあるんだろうが・・・・林業に就職というのは、言うは易しであり、無責任に誘うわけにいかない現実があるはずです。【神去なあなあ日常】三浦しをん著、徳間書店 、2009年刊<「BOOK」データベースより>美人の産地・神去村でチェーンソー片手に山仕事。先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来。しかも村には秘密があって…!?林業っておもしれ~!高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う。<読む前の大使寸評>就活作家:三浦しをんは林業をどう描くか?大いに興味がわくが・・・林業に就職というのは、言うは易しであり、無責任に誘うわけにいかない現実があるはずです。古くから林業をフォローしている大使の目はごまかせないのだ(笑)rakuten神去なあなあ日常この映画の本気度を矢口史靖監督×農林水産大臣対談を見て、調べてみます。また、木材利用ポイントにも言及しているので、過去の日記も覗いてみます。木材利用ポイントって何?<『むかしのはなし』>図書館で『むかしのはなし』という本を手にしたのです。三浦しをんの短篇小説集ってか・・・・いけるかも♪【むかしのはなし】三浦しをん著、幻冬舎、2008年刊<「BOOK」データベース>より三カ月後に隕石がぶつかって地球が滅亡し、抽選で選ばれた人だけが脱出ロケットに乗れると決まったとき、人はヤケになって暴行や殺人に走るだろうか。それともモモちゃんのように「死ぬことは、生まれたときから決まってたじゃないか」と諦観できるだろうか。今「昔話」が生まれるとしたら、をテーマに直木賞作家が描く衝撃の本格小説集。<読む前の大使寸評>三浦しをんの短篇小説集ってか・・・・いけるかも♪データは文庫本のものだが、借りたのは2005年刊のハードカバーです。amazonむかしのはなし<『妄想炸裂』>図書館で三浦しをん著『妄想炸裂』という本を手にしたのです。就活作家になるまえの新鋭作家と呼ばれている頃の本である。さて、無頼作家の片鱗は見えるかな?【妄想炸裂】三浦しをん著、新書館、2001年刊<「BOOK」データベース>よりてらいなく「オタク」であることを語りながら、「オタク」のイメージを打破する溢れるユーモアと才気。毒があっても、なぜか新鮮なさわやかさ!本とマンガを何より愛し、そして三味線と盆栽(サイボン!?)をシュミとする、新鋭作家の爆笑エッセイ。<読む前の大使寸評>就活作家になるまえの新鋭作家と呼ばれている頃の本である。さて、無頼作家の片鱗は見えるかな?rakuten妄想炸裂『妄想炸裂』byドングリ<三浦しをんが選ぶ本>三浦しをんの選ぶ本が三浦しをん(作家)の書評に載っているが・・・興味深い本が見られます。これらの中で大使好みの本を図書館に借出し予約しているわけで、わりと重宝してフォローしています。ちなみに、最近予約したのが『ハトはなぜ首を振って歩くのか』という本です。【ハトはなぜ首を振って歩くのか】藤田祐樹著、岩波書店、2015年刊<「BOOK」データベース>より気がつけばハトはいつでもどこでも、首を振って歩いている。あの動きは何なのか。なぜ、1歩に1回なのか。なぜ、ハトは振るのにカモは振らないのか…?冗談のようで奥が深い首振りの謎に徹底的に迫る、世界初の首振り本。おなじみの鳥たちのほか、同じ二足歩行の恐竜やヒトまで登場。生きものたちの動きの妙を、心ゆくまで味わう。【目次】1 動くことは生きること(動くとは、どういうことか/死なないために動く ほか)/2 ヒトが歩く、鳥が歩く(鳥とヒトの二足歩行/歩くことと走ること ほか)/3 ハトはなぜ首を振るのか?(首振りに心奪われた人々/頭を静止させる鳥たち ほか)/4 カモはなぜ首を振らないのか?(体のつくりがちがう?/まわりが見えてないカモ? ほか)/5 首を振らずにどこを振る(ホッピング時に首は振るの?/首を振らないチドリの採食 ほか)<読む前の大使寸評>三浦しをんの選ぶ本は、だいたい外れがないので・・・・この本が気になるのです。<図書館予約:(8/13予約済み)>rakutenハトはなぜ首を振って歩くのかハトはなぜ首を振って歩くのかby三浦しをん<wikipedia三浦しをん来歴より>wikipedia三浦しをんより、来歴の一部を紹介します。直木賞を授賞した『まほろ駅前多田便利軒』刊行時には、まだ就活作家と呼ばれていなかったかもしれないが・・・彼女の来歴そのものが、就活の苦闘を物語っていますね。wikipedia三浦しをん来歴より 早川書房の入社試験で、三浦の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗は、三浦に執筆の才があることを見出した。村上の勧めを受けて三浦は、同年11月から、Boiled Eggs Onlineのサイトにおいて、ウィークリー読書エッセイ『しをんのしおり』の連載を始めた。同年末に村上は早川書房を退社し、著作権エージェント「ボイルドエッグズ」を設立し、三浦にも作家に転進するよう勧めた。出版社、編集プロダクションの面接を約20社受けたが、就職氷河期ということもあり全滅する。そのまま1999年に大学を卒業。友人の紹介で外資系出版社の事務のアルバイトをするが、本国から英語で頻繁にかかってくる電話に対応できず約3か月で辞める。 (中略) 2006年(平成18年)8月に『まほろ駅前多田便利軒』で同年上半期の直木賞を受賞した。誕生日前の29歳での受賞であり、20代での直木賞受賞は、堤千代、平岩弓枝、山田詠美に続く4人目である。
2023.10.29
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見覚えのある『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』という本を、また借りたので、新しく読んだ箇所を追加して(その3)として復刻してみます。*********************************************************【筒美京平 大ヒットメーカーの秘密】近田春夫著、文藝春秋、2021年刊<「BOOK」データベース>より筒美京平のシングル総売上げは7560万枚で、2位の小室哲哉をはるかに凌ぐ。作った曲は3000曲近く、名実ともに日本一のヒットメーカーだ。筆者はこの作曲家を一貫して評価してきた。実弟・作詞家・歌い手と共に、その創作の秘密に迫り、知られざる素顔を探り出す。<読む前の大使寸評>日本歌謡でもっとも売れたヒットメーカーは筒美さんではなかろうかということで、チョイスしたのです。rakuten筒美京平 大ヒットメーカーの秘密第2章「王者への工程(1971~1975)」で郷ひろみやユーミンが語られているので、見てみましょう。p25~30<郷ひろみ「男の子女の子」の衝撃>聞き手:アイドル歌手の王者としての筒美京平像を決定づけたのは、昭和46年にデビューした南沙織と、その翌年にデビューした郷ひろみ、この二人でしょうね。近田:南沙織のデビュー曲「17才」は、リン・アンダーソンの「ローズ・ガーデン」(1970年)が元ネタだよね。従来の歌謡曲とは違った、乾いた感覚が新鮮だった。末期のGSが歌謡曲化するなど、音楽界がどんどんドメスティックな方に向かっていった一方、一般世間では、「anan」が創刊されたりして、ちょっと洒落た外国風のものを求める風潮が高まっていた。その時代のアイコンとして、南沙織が機能したということは言えると思う。聞き手:ちなみに、南沙織も郷ひろみも、所属レコード会社は昭和43年に設立された新興のCBS・ソニー。アメリカのCBSと日本のソニーが折半出資を行って生まれた会社です。 近田:やっぱり、コロムビアやテイチク、キングといった老舗と比べると、圧倒的に新しいイメージがあった。ほどよく和風なんだけどどこか外国の匂いがする筒美作品の音楽構造と、CBS・ソニーの社風との間には、親和性があったんだろうね。聞き手:郷ひろみのデビューには、近田さんは相当な衝撃を受けたそうですね。 近田:「男の子女の子」を歌う彼を見た時、あのルックスにあの声、という意外性にびっくりしてさ(笑)。あの曲、歌詞もシュールじゃん。僕たちと君たちの関係性がよく分からない。そこがいいんだけど、どういう風景を想像しながら歌っているのかなあって。聞き手:作詞は、越路吹雪のマネージャーとしても知られる岩谷時子さん。 近田:郷ひろみの初期の楽曲に関しては、京平さんと作詞家との相性がみんな抜群によかったのよ。しかも、女性作詞家が多かった。「男の子女の子」の岩谷時子、「よろしく哀愁」の安井かずみ、「わるい誘惑」の有馬三恵子、「逢えるかもしれない」の山口洋子、「洪水の前」の岡田富子・・・。 京平さんのメロディーには柔らかさがあるから、構造的ではなく感覚的、男性性ではなく女性性の勝った歌詞が似合うんだよ。(中略)聞き手:柳腰という言葉が頭に浮かびます。 近田:そうね。一歩引いた感じの女性性、今のJポップからは失われてしまった類の女性性とも言い替えることができる。それが、京平さんの時代と現代を隔てている大きな特徴のひとつなのかもしれない。歌謡曲なりJポップなりにおける女性像を塗り替えたのは、恐らくユーミン(松任谷由美)だよね。「守ってあげたい」という曲名に象徴されるように、勝気で能動的なヒロインが活躍する時代が到来した。聞き手:「ルージュの伝言」の歌詞にもそれを感じます(笑)。 近田:そういう意味で、郷ひろみの作品で特筆すべきは、昭和50年にリリースされた『HIROMIC WORLD』というアルバム。全編、作詞は荒井由実、作編曲は筒美京平なんだ。聞き手:ユーミンが松任谷正隆と結婚する1年前、まだ荒井姓の頃に発表されています。タイミングとしては、彼女の「あの日にかえりたい」がオリコン1位を獲得した直後。 近田:京平さんが1枚丸ごと作編曲を手がけたアルバムの中でも、これを超えるクオリティの作品は存在しないと思う。職業作詞家ではなく、自ら詞も曲も書いて歌うことができるシンガーソングライターとコラボレートしたという点でも他に類を見ない。そのコンセプトによって、京平さんは違う角度から音楽を楽しむことができたんじゃないかな。<さまざまな意味での「含羞」>聞き手:女性作詞家たちとは反対に、構築的で男性性の強い作風の作詞家というと? 近田:阿久悠さんだね。論理的に、「これこれこうだからこう」と詰めていく。だから、「また逢う日まで」にしても、京平さんの曲というよりは阿久さんの曲という印象が色濃く残ることになるんだよ。聞き手:確かに、あの尾崎紀世彦の堂々たる歌いっぷりとも相まって、バンカラなロマンティシズムが前面に押し出されていますね。ちょっとしたマチズモを感じるというか。 近田:そういう意味で、阿久さんと一番マッチするのは、戸倉俊一さんなんだよ。聞き手:阿久さんと戸倉さんは、ピンク・レディー、フィンガー5、山本リンダ、それからペドロ&カプリシャスなどで大ヒットを飛ばした名コンビです。 近田:戸倉さんの書く旋律は、どれも定規で引いたように直線的。アタックが強い。一方、京平さんの書くメロディーは、すべて丸みを帯びている。戸倉さんの楽曲には、阿久さんの言葉が上手くハマるんだよ。『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』2 :平山三紀の声は「楽器だ」『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』1:「真夏の出来事」
2023.10.28
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「満州」は個人的なツボでもあるので5年前の日記から以下のとおり復刻して読んでみようと思い立ったのです。*********************************************************図書館に予約していた『馬賊で見る「満州」』という本を、ゲットしたのです。ちょうど『張学良の昭和史最後の証言』という本を読んだところで、このところ「満州」が個人的なミニブ-ムとなっている感があるのです。【馬賊で見る「満州」】澁谷由里著、講談社、2004年刊<「BOOK」データベース>より馬賊が誕生した清末期。あるものは官憲の銃弾に倒れ、あるものは混乱を潜りぬけ略奪者から脱却し、軍閥の長として中原の覇権をうかがう。覇権に最も近づいた男=「東北王」張作霖とその舞台の激動の歴史をたどり、併せて日本にとって「満洲」とは何だったのかを考える。<読む前の大使寸評>ちょうど『張学良の昭和史最後の証言』という本を読んだところで、このところ「満州」が個人的なミニブ-ムとなっている感があるのです。<図書館予約:(10/01予約、10/06受取)>rakuten馬賊で見る「満州」終章で「満州の馬賊」のおさらいを、見てみましょう。p212~214<過酷な「満州」の申し子> 「馬賊」は、社会からドロップアウトしかねない(あるいはしてしまった)人々と、「満州」地域社会が共存していくうえで考案された、自衛のための政治的装置であった。ゆえにそこに参加し、あるいはそれを組織・後見することには社会的ステイタスがあった。軍隊に似た編成だったうえ、名望家層の推薦があったので、帰順への道も用意されていた。「馬賊」は「満州」地域社会の日常生活の一部であり、正式名称「保険隊」は堂々と名のれる職名だった。 だが自衛武装集団が割拠する清末期が終わり、いわゆる奉天軍および張作霖政権が「満州」屈指の軍事力を獲得するに従い、「馬賊」は名目上、「満州」では次第に必用のない存在になっていった。張作霖と同様の道をたどって底辺層から這い上がろうとする人々の野心は、張作霖自身によって抑圧された。張作霖政権期に、かつての張作霖のような高名な「馬賊」が生まれないのはそのためである。 つまり「馬賊」は、近代「満州」における地方行政と治安維持機構の麻痺という特殊な社会的条件下で生れた時代の申し子だった。大きな動乱があれば、匪賊や退役兵が組織されて類似したものが生まれる可能性があった。 満州事変から「満州国」建国期にかけての混乱の中、抗日勢力の工作で結集された匪賊の軍隊は、スポンサーと活動領域、政治的な意義ははなはだ異なるが、地方行政と治安維持機構の麻痺から「満州」社会の底辺層を救うという意味においては「馬賊」の再生ではなかったか。 張作霖は「馬賊」出身だった、と紹介されるとき、従来そこにはいささか侮蔑的なニュアンスがあった。しかし「馬賊」は単純な匪賊とは違う。張作霖は最初、自身が社会で台頭する手段としてこの職業を選択し、希望どおり軍隊への帰順を果たすと今度はその枠組みにのっとって身を処し、辛亥革命の混乱でも自分を見失わずに生き残った。革命家の暗殺に荷担するなど、従来の革命史観からすればそれは反動的な生き方であろうが、あの時代、総ての人が革命に身を投じたわけではないし、歴史学に道徳的判断を持ち込んでもどうにもなるまい。 それに民国期の自分の地位に鑑みて、早い段階で「馬賊」体質を断ち切ろうとした点からも、彼が状況判断力を持つ優れた政治家であったことがわかる。つまり社会の最上層に上り詰めた彼には、もはや「馬賊」であることはなかったのだ。換言すれば、勢力範囲外での自由と放埓を部下に認めていた寛容なリーダーから、中国全土に号令を下せる政治的指導者へと変貌するため、張作霖は「馬賊」を卒業したといえるだろう。 「馬賊」が輝きを放っていた時代は短かった。大陸浪人と謀略「馬賊」の活躍を通してしか「馬賊」を知らなかった日本人はその姿に憧れたが、中国近代史と「満州」社会の文脈においてこれを考えてみると、単純な匪賊でもなくさりとて軍人でもない、やや中途半端な存在であり、ずっとこの職業を続けるのがいかに厳しいかがおわかりいただけたと思う。張作霖の気持ちを代弁してみれば、匪賊より当然いいが、軍人以上の存在になれたら早く脱ぎ捨てたい、さなぎにとっての殻のようなものだったということではないだろうか。ウン 単純な匪賊でなかったことが、よくわかりました。この本も満州あれこれR1に収めておきます。『馬賊で見る「満州」』6:「満州の馬賊」のおさらい『馬賊で見る「満州」』5:間島地域『馬賊で見る「満州」』4:日清戦争の衝撃『馬賊で見る「満州」』3:清朝滅亡時の国家組織『馬賊で見る「満州」』2:中国最後の王朝・清朝『馬賊で見る「満州」』1:馬賊誕生の背景
2023.10.28
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10月27日のNHK番組「あさいち」に増田セバスチャンさんが出ていたが、興味深いひとときでした。・・・で、ネットを巡ってみたら、朝日新聞の「好書好日」がヒットしたので以下のとおり紹介します。*********************************************************増田セバスチャンさんインタビュー 衝撃的な「カワイイ」より■キャリアのスタートは19歳――増田さんといえば、きゃりーぱみゅぱみゅさんのMVがきっかけで名前を知った人も多いですよね。 きゃりーちゃんの「PONPONPON」が注目されるきっかけではあるけど、演劇や現代美術の世界で19歳くらいから活動を始めたので、アーティストとしてのキャリアのスタートはそれよりも20年ほど前なんです。寺山修司さんの考え方に影響を受けて、最初は寺山さんに影響を受けたという劇団に入りました。演出家になりたかったんですが、そこで制作や大道具、演者も経験しました。その後、現代美術家のお手伝いに誘われて参加しながら、自分でパフォーマンスグループを主宰して、そのメンバーと「6%DOKIDOKI」を立ち上げるんです。 6%DOKIDOKIも最初は食えなかったので、合間にテレビ局や歌舞伎座の大道具として舞台を作ってましたね。当時は演劇の活動に役立てばとは思っていたけど、それがまさかアーティスト活動の肥やしになるとは思っていませんでした。無駄なことはないんだ、何でもやっておくべきだなって。――増田さんは原宿文化との関わりが強いイメージがありますが、出身は千葉県松戸市ということで、どういう経緯で原宿文化とつながったんですか? 絵が描けて、それ以外にもいろんなものを生み出して……小学生の頃は天才でしたね(笑)。でも中学生になると、僕たちの時代はヤンキー文化の全盛期で、周囲の人たちとなじめなかった。一方で、当時はホコ天やバンドブームの時代でもあり、特に原宿は独特の文化を形成していました。原宿は自分と似た感性の人が集まっているように思えて、よく遊びに行くようになったんです。――当時の原宿はどんな街だったんでしょう? 以前は原宿駅前にテント村と呼ばれる屋台の並びがあって、手作りのアクセサリーや革ジャンなんかが売られていました。でも僕は、当時はお金がないから婦人服店でスカーフを買って巻いたり、代々木で拾ったジャージを着たり。今考えるとダサいですね(笑)。そうやって、みんなよく分からないファッションをしていました。竹下通りを抜けて明治通りを越えた裏原エリアは中学生からすると実はカツアゲされやすいスポットだったんです。だから怖い街というイメージ(笑)。歩行者天国の竹の子族やバンドを見るために、竹下通りにあった半地下で野宿したのも思い出です。――当時からユニークなエリアだったんですね。ただ、そうした文化の根本みたいなものは、今と変わらないようにも思えます。 そうですね。学歴や年齢も関係なく自由でいられる雰囲気は当時からありました。■原宿なら自分を理解してくれる――今では原宿に対して、増田さんの作品に近いイメージを持つ人は多いと思います。そのイメージを増田さんが作っていったという感覚はありますか? 19歳からそれこそいろんな場所で活動をしていたけど、思うように評価を得られなかった。そんな中で1995年、25歳で原宿に「6%DOKIDOKI」という雑貨とアパレルのお店をオープンして、お店は次第に知られる存在になっていきました。90年代に起きた裏原ブームの中心は、「UNDERCOVER」や「A BATHING APE」のようなメンズカルチャー。当時の裏原は、乾物屋さんや定食屋さんなどが集まる裏通りの商店街で、家賃が安かった。そこにお金がない若い人たちが集まってお店を出していったんです。それでメンズカルチャーに火がつき、やがて雑誌の「Zipper」や「CUTiE」などでガールズカルチャーも盛り上がっていくタイミングで、「6%DOKIDOKI」の表現がマッチしたんでしょうね。 90年代当時、通ってくれていたのは芸能人だと篠原ともえちゃんや千秋ちゃんとか。時代のアイコンとなる女の子が僕のテイストに触れて、それがメディアを通して広がり、原宿のイメージがついてきたように思えます。だから実際は、ストリートの子たちが、原宿で生まれたそれまでにないものを取り入れることで、時代を作っていったんだと思います。 一方でその頃の僕は「6%DOKIDOKI」が支持されるようになったものの、やっぱり作品を作りたい衝動に駆られて、じゃあどこで発表しようかと。それで、原宿の人たちだったら自分のことを理解してくれるんじゃないかという希望を抱いて、原宿をメインにアーティスト活動するようになりました。――当初はなかなか評価されなかったということですが、どんなことをしていたんですか? 90年代、20代前半の頃にやったのは、1トンの生クリームで巨大なケーキを作って、その上に女の子を立たせておもちゃの車で突っ込むとか。場所はライブハウスやクラブ。パフォーマンスアートと呼ばれる作品が中心ですね。――いや、おもしろそうじゃないですか。 たくさんの人が集まってくれたし、実際に楽しんでくれていたと思います。ただ、評論家ウケがすごく悪かったんです……。パフォーマンス後に美術評論家に呼ばれて「こんなのがアートなら日本はおしまいだ!」って1時間ぐらい説教されたり。雑誌で2ページに跨いで酷評されることもあったし、非難の手紙が届くこともありました。まだどこかに残っているから、僕がもっと大御所になったら公開しようかな(笑)。とにかく、最高で新しいことをやっているはずなのに、アートの文脈の人からはちっとも受け入れられない。僕としては、作品を通してみんなを驚かせるという、子供の頃から変わらず楽しいことをやっていたかっただけなんです。でも「幼稚」だとか「アートじゃない」とか言われて、自分は才能がないんだと悩みましたね。 90年代は、モノクロで機械を使うようなかっこいいテーマが流行っていたのも関係しているかもしれないですね。それでも僕は子供の無邪気さや好奇心ゆえの残虐性みたいなのが好きだった。小さい子って無邪気にアリやカエルを潰すじゃないですか? 残虐だけど衝動があって、そこにクリエイティブの源があるような気がする。当時から、それを大人の目線でやりたいと思っていたんです。ウン、とにかくクリエイティブではあるなあ♪
2023.10.27
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「内田樹の研究室」の内田先生が日々つづる言葉のなかで、自分にヒットするお言葉をホームページに残しておきます。最近は池田香代子さんや、関さんや、雨宮さんなどの言葉も取り入れています。(池田香代子さんは☆で、関さんは△で、雨宮さんは○で、池田信夫さんは▲、高野さんは■で、金子先生は★、田原さんは#、湯浅さんは〇、印鑰さんは@、櫻井さんは*、西加奈子さんは♪で区別します)・高校生に言いたかったこと・宮﨑駿『君たちはどう生きるか』を観て・平川克美『「答えは出さない」という見識』(夜間飛行)書評・「怪物」公式パンフレット解説・白井さんと話したこと・3.11から学ぶこと・韓国の地方移住者たちに話したこと・生産性の高い社会のゆくすえ・ウクライナ危機と反抗・「生きづらさについて考える」単行本あとがき・「街場の米中論」まえがき・図書館の戦い・村上文学の意義について・統一教会、安倍国葬について他・安倍政治を総括する・選挙と公約・無作法と批評性・徒然草 訳者あとがき・勇気について・病と癒しの物語『鬼滅の刃』の構造分析・「アウトサイダー」についての個人的な思い出とささやかな感想・コロナ後の世界 ・格差について・『コロナ後の世界』まえがき・紀伊田辺聖地巡礼の旅・成長と統治コスト・『日本習合論』中国語版序文・日本のイデオクラシー・後手に回る政治・倉吉の汽水空港でこんな話をした。(目次全文はここ)(その60):「高校生に言いたかったこと」を追記2023-10-14 高校生に言いたかったことより 結婚式のスピーチで、用意してきた台詞を忘れて、頭が真っ白になって立ち尽くしている来賓がいたりすると、式場は「しん」と静まり返る。全員が注視する。 講演も理屈はそれと同じである。何か言いたいことがあるらしいが、うまい言葉が見つからないで絶句している人が壇上でマイクを握っていれば、高校生だって目を覚ましてくれるだろう。 私が高校生たちに言いたいことはたくさんある。孤立を恐れるな。多数派に従うな。自分の直感に従え。愛と共感の上に人間関係を築くな。ものごとを根源的に思考しろなどなど。でも、私がした話の中で高校生たちが一番はっきりとした反応を示したのは、「助けて」というシグナルを聴き落とすなという話だった。「助けて」という救難信号を発信している人がいる。君はそれを聴き取った。周りを見渡すと誰も気づかずないらしく、そ知らぬ顔で通り過ぎてゆく。でも、君には「助けて」が聴こえた。だとしたら、それは君が「選ばれた」ということである。だったらためらうことはない。近づいて、手を差し伸べなさい。「助けて」にはいろいろな変奏がある。最もカジュアルなのは「ちょっと手を貸してくれない?」という文型をとる。この「ちょっと手を貸してくれない」という声も多くの人の耳には聞こえない。でも、君はそれを聴き取ってしまった。それは「悪いけど、そこのドア開けてれくれる?」とか「その紙の端っこをちょっと押さえててくれる?」くらいのごく簡単な仕事だったりする。でも、「あ、いいですよ」の後の「どうもありがとう」から「何か」が始まることがある。他の人には聴こえない「助けて」が君には聴き取れたのだからそれは君ひとりのために用意された機会だったのだ。「天職」に人が出会うのはたいていこの「ちょっと手を貸してくれる?」に応じたことによってである。私はそうだった。 君たちはこれからの人生で無数の「助けて」を聴き取ることになると思う。聴き取れる「助けて」は一人ずつ違う。それは君だけに向けられた救難信号なのだ。だから、決して聴き逃さないようにね。 そう言って講演を終えた。高校生たちは目を丸くして私を見つめていた。生徒代表の女子が私に花束を差し出しながらにっこり笑って「『助けて』を聴き逃さないようにします」と言ってくれた。2023-08-22宮﨑駿『君たちはどう生きるか』を観てより物語のあらすじを大雑把に言うと、「少年が母を探しに黄泉の国に行って、さまざまな〈母の代理表象〉たちと出会い、彼女らと共に黄泉の国を冒険した後、母を断念して、現実世界に帰還する」ということになる。 少年が母を探して「黄泉の国」を旅するという物語はたぶん世界中の神話にある。それは世界中のすべての集団に少年のための「通過儀礼」があるからである。 子どもたちはそれまで心穏やかに暮らしていた「母親との一体化した楽園状態」からある日暴力的に引き剥がされて、タフでワイルドな「リアル・ワールド」に送り出される。その経験は子どもたちに深い痛みと悲しみをもたらす。その傷は癒されなければならない。その癒しのための装置が「母との決別/幼児期との決別」の物語である。 この苦痛はあなた一人のものではない。世界中の子どもたちもまたあなたと同じようにこの苦痛を味わったのだ。苦しんでいるのはあなた一人ではない。その「共苦」の思いが毒性の強い苦痛を少しだけ緩和させてくれる。 多くの物語では、決別すべき自分の幼児期は「アルターエゴ」として表象される。純粋で、脆弱で、繊細で、道徳心が欠如し、利己的で、魅力的な「友人」がそれである。その「友人」と「僕」は胸ときめくような一夏の冒険を共にする。けれども、夏が終わると、「友人」は何も言わずに「僕」から立ち去り、「僕」は深い欠落感を抱えたまま一人で生きることを決意する。イノセントで甘えん坊のアルターエゴとの別離を通じて少年はタフでクールな「大人」になる。 アラン・フルニエの『ル・グラン・モーヌ』も、スコット・フィッツジェラルドの『ザ・グレート・ギャツビイ』も、レイモンド・チャンドラーの『ザ・ロング・グッドバイ』も村上春樹の『羊をめぐる冒険』もどれも「そういう話」である。少年時代との決別はふつうはそういう説話的定型をとる。 ふつうはそういう定型をとる。だが、『君たちはどう生きるか』はそれとは違っていた。たしかに、これも少年が母との離別を受け入れて大人になる物語ではある。けれども、それは幼児的アルターエゴとの別れの物語ではなく、母親との別れの物語という直接的なかたちをとる。 少年は「死んだ母親を探しに冥界へ下る」。少年のアルターエゴはどこにも登場しない。出てくるのは「母親の代理表象」たちである(継母ナツコ、母の少年時代であるヒミ、少年の守護者であるキリコさん)。彼女たちはそれぞれに少年が探し求める母の「断片」である。断片であるから、どれも少年が探している「母」そのものではない。 その三人の「断片的な母」を足したら、「母」の手触りはもう少し確かなものになるのかも知れない。いや、たぶん、それでも少年の手元には何も残らなかったと思う。映画の最後の眞人の非情緒的なたたずまいは「母との再会」がついに果たせなかったことを暗示している。以降の全文は内田先生かく語りき38による。
2023.10.27
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見覚えのある『「お笑い」日本語革命』という本を、また借りたので、新しく読んだ箇所を追加して(その2)として復刻してみます。*********************************************************【「お笑い」日本語革命】松本修著、新潮社、2010年刊<「BOOK」データベース>より新国民語「マジ」の発信者は誰?「キレる」を広めた張本人は?新語発生の瞬間を本邦初公開。名著『全国アホ・バカ分布考』の著者にして、「探偵!ナイトスクープ」プロデューサー。「TV界の柳田國男」が放つ驚愕の日本語論。【目次】千と千尋の「どんくさい」/第1話 「マジ」の拡散とルーツ(「マジ」の世間への流出/「マジ」の最初の波 ほか)/第2話 笑いの装置「みたいな。」の誕生(楽しい会話のツール/ある放送作家の「みたいな。」 ほか)/第3話 「キレる」宰相と若者たち(「キレる」の本当の意味/「キレる」の母体 ほか)/第4話 「おかん」の陽はまた昇る(トレンド語としての「おかん」/大阪の歴史の中の「おかん」 ほか)<読む前の大使寸評>「TV界の柳田國男」なのか・・・なるほどね♪構成作家時代の百田尚樹氏を鍛えたディレクターとして、『全国アホ・バカ分布考』の著者として知られていますね。rakuten「お笑い」日本語革命「マジ」のルーツが語られているので、見てみましょう。p40~41<「マジ」のルーツ> さて、「マジ」のルーツは、大阪なのか、東京なのか? 新しい謎が生じてしまった。 噺家さんに聞いてみることにした。 大阪の噺家・桂ざこばさんは、人間国宝・桂米朝師匠の一番弟子である。そのざこばさんに、私が1988年の番組開始以来、プロデユーサーを務めているテレビ番組「探偵!ナイトスクープ」にゲストとして来ていただいたときに、「マジ」についてうかがってみた。「『マジ』は、昔から大阪の楽屋にあった言葉なのでしょうか?」 という質問に、ざこばさんは次のように即答された。「私がこの世界に入ったときには、すでに『マジ』はありましたね」 ざこばさんが弟子入りしたのは、1963年のことである。そのときすでに大阪の楽屋に「マジ」はあったという。 ざこばさんの師匠・桂米朝さんにも、特番にご出演いただいたときにうかがってみた。桂米朝師匠は1925年のお生まれ、桂米團治に弟子入りしたのは戦後の1947年のことである。ざこばさんと同じ質問に、米朝師匠はこう答えられた。「大阪には、『マジ』という言葉はありませんでした。戦後、東京の噺家が『マジ』を使って話しているのを聞いているうちに、これが『まじめ』という意味で使われている、ちゅうのがわかりました」 なるほど、「マジ」はもともと東京の楽屋ことばだったらしい。 米朝師匠の記憶を信じるならば、「マジ」は戦後になって、東京の噺家から大阪の噺家へと広められた言葉であるということになる。 では、東京の噺家たちは「マジ」という言葉を自分たちでオリジナルに生み出したのだろうか。この点について調べてみよう。 各種の辞書を読むと、表4に見るように、天明元(1781)年以降に江戸で出た洒落本や、歌舞伎などに「マジ」が登場しているのがわかる。「マジ」は戦後生まれの新しい言葉ではなく、なんと徳川時代後半の江戸語だったのである。松本修さんの著書を以下のとおり紹介します。新語発生のメカニズム:「キレる」を広めた人>p155~156『言葉の周圏分布考』2 :古語は辺境に残る
2023.10.27
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見覚えのある『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』という本を、また借りたので、新しく読んだ箇所を追加して(その4)として復刻してみます。*********************************************************図書館に予約していた『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』という本を、待つこと4ヶ月ほどでゲットしたのです。内容をざっと眺めてみると、出版社の編集者との虚々実々の闘いの日々が綴られているわけで・・・と言うか詐欺まがいのパワハラに耐える日々だったようで、涙ぐましいかぎりでおます。【出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記】宮崎伸治著、フォレスト出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。-なぜか?私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント。<読む前の大使寸評>内容をざっと眺めてみると、出版社の編集者との虚々実々の闘いの日々が綴られているわけで・・・と言うか詐欺まがいのパワハラに耐える日々だったようで、涙ぐましいかぎりでおます。<図書館予約:(1/06予約、副本5、予約58)>rakuten出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記「第3章 これぞ出版翻訳家の歓喜」で翻訳本の平積みが語られているので、見てみましょう。p112~114<平積み:在庫が1冊もないのです>『7つの習慣』の第2弾は当初の予定より1年遅れでやっとこさ出版されることになった。本当にやっとこさだった。じつはそれまでも何度も「来月出す予定です」とか「再来月出す予定です」と出版予定がひっくり返され、そのたびにやり切れなくなっていたのだが、どうやら今度という今度は本当らしい。出版予定日まで教えてくれたのだから、もう間違いない。 そう信じた私はそれからというもの、見本書籍が届くのを今か今かと狭苦しいワンルームの自室に籠って待ちわびた。 通常、見本書籍は発行日の1週間程度前に届くものである。ところがどっこい、待てど暮らせど届かない。おいおい、また何かあったのか、また遅らせるのか、いったいどういうことなんだ。 発売予定日の前々日、しびれを切らした私は居ても立ってもいられなくなって編集長に電話をかけてみた。「宮崎ですが、見本はそろそろお送りいただけるころでしょうか」「ごめんなさい。今、初版はすべて書店に回っていて在庫が1冊もない状況なのです。なので2刷ができあがったら送ろうと思っているんですけど、それでいいですか」 (えっ? 2刷ができあがったら送るって? それでいいですかだって?) それでいいですか、と聞かれても私に「嫌です」と言う選択肢があろうはずがない。私は一刻でも早く見本書籍を手にしたかったのだが、こう聞かれてしまっては、もはや逆転の発想をするしかない。逆に考えれば、在庫がなくなるくらい出回っているということだからむしろ喜ぶべきことではないか・・・と自分に言い聞かせながらこう返した。「はい、じゃあ、2刷が刷りあがったら送ってください」 編集長は続けて在庫を切らしている理由を説明し始めた。「じつは新宿の紀伊國屋と日本橋の丸善で10冊ずつテスト販売したら両店とも即日完売して、それで大量に注文が来たのです。100冊、200冊単位で注文が来ています。特に浜松町のブックストア談は平積みでたくさん並べてくれるそおですよ」 発売開始日の前に「テスト販売」なるものがあるというのはそのとき初めて知ったのだが、2店とも10冊中10冊が即日完売だったという。さすがはミリオンセラーの第2弾だ。そこそこ売れる本でも10冊並べてその10冊が即日完売なんてことはあまりないように思う。なのに宣伝も告知もしていない段階で、たまたま本屋に立ち寄った客相手に10冊中10冊が即日完売なんて、すごい、すごすぎる。「親の七光り」という言葉があるが、「第1弾の七光り」もすごいのだ。 思い返せば、私がそれまでに出した本の中でも10冊の平積みが最高だった。おそらくその書店は10冊仕入れたということだろう。 出版社が「ドル箱」と称し、印税契約ではなく買取契約で依頼されたマーフィー本ですら10冊の平積みであった。ほかにも10冊平積みにしてくれていた本もひとつかふたつあったが、それ以外は5冊平積みになっていれば御の字で、1冊か2冊の棚差しで済まされるのが常だった。それだけ書店にたくさん仕入れてもらうことは難しい話なのである。 それが今回は200冊仕入れてくれた書店があるという。200冊である。ごくふつうの本とはケタが2つも違うのだ。どのように並べられるか想像するだけで興奮するというものだ。『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』3:二足目のわらじ『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』2:あとがき『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』1:夢の夢の、そのまた夢の仕事p12~15『メーター検針員テゲテゲ日記』2なんてのもあります。
2023.10.26
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見覚えのある『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』という本を、また借りたので、新しく読んだ箇所を追加して(その3)として復刻してみます。*********************************************************図書館に予約していた『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』という本を、待つこと4ヶ月ほどでゲットしたのです。内容をざっと眺めてみると、出版社の編集者との虚々実々の闘いの日々が綴られているわけで・・・と言うか詐欺まがいのパワハラに耐える日々だったようで、涙ぐましいかぎりでおます。【出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記】宮崎伸治著、フォレスト出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。-なぜか?私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント。<読む前の大使寸評>内容をざっと眺めてみると、出版社の編集者との虚々実々の闘いの日々が綴られているわけで・・・と言うか詐欺まがいのパワハラに耐える日々だったようで、涙ぐましいかぎりでおます。<図書館予約:(1/06予約、副本5、予約58)>rakuten出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記「第2章 ミッション:インポッシブル」で出版翻訳家お仕事が語られているので、見てみましょう。p68~<二足目のわらじ:出版翻訳家志望者への秘策> 出版翻訳家としての収入だけで生活が成り立つだろうか。たいていの人は成り立たないだろう。莫大な遺産を受け継いだとか、投資で大儲けしたとか、玉の輿に乗ったとか、逆玉の輿に乗ったとか、宝くじに当たったとか、他人の10倍のスピードで翻訳できるとかとかいった特別な人は別として、ふつうの人は成り立たないと思う。 平均的な翻訳家の2倍のスピードで翻訳できると自負している私でも出版翻訳だけで食べていくのはたいへんだ。いやいや、たいへんどころか、無理といったほうがより正確だろう。特に出版不況の今、幻想は見ないほうが身のためである。 それでも出版翻訳家になりたいという出版翻訳家志望者に、ここで私が採ってきたとっておきの秘策をお教えしたいと思う。 それは端的にいえば「二足目のわらじ」を履くことである。それで一定額の定収入を確保するのである。そうすれば出版翻訳家として生き延びられる可能性は高くなる。(nannda,kekkyoku、アルバイトをしろというの? それなら別にとっておきの秘策なんかではなく、誰でも思いつくことではないの?) そう思うかもしれない。しかし私がとっておきの秘策というのは、アルバイトといっても勤務時間中に翻訳作業ができるアルバイトをすることである。(勤務時間中にそんなことができるアルバイトがあるの?) といぶかしがる人もいると思うが、ある。探せばある。しかも正々堂々とやっていいのだ。たとえば、私が昔やっていた電話番のアルバイトは電話対応をしていない間は何をしてもいいと言われていた。私はその時間をフル活用して翻訳作業に打ち込んでいたのだが、周りの人たちから注意されないどころか、逆に称賛されていた。 34歳のときに求人誌で見つけた電話番のアルバイトは国際電話もかかってくる可能性のある電話番だったので英語が話せることが条件であった。そのため時給も高めに設定されていて、夜9時から翌朝10時までの13時間拘束で2万5000円もらえた。これで週に1回、月にして4~5回だったから月給は10万のときもあれば12万5000円のときもあった。家賃が5万8000円だったからそれだけでは生活費としては不十分だが、不定期ながらも原稿料収入や印税収入もあったから生活はなんとかなった。 しかし欠点がないわけではなかった。仮眠時間が一切ないため昼夜が逆転してしまうのだ。毎日昼夜逆転するのならまだしも、週1回の勤務でも昼夜が逆転する場合、次の勤務まで1週間あく。その間に徐々に体内時計が元に戻ってしまい、出勤前日にはふつうの体内時計に戻る。それを勤務日にまた無理矢理昼夜逆転する。そんなことをやっていれば体内時計は狂いまくりだ。やがて私は昼夜関係なく頻繁にあくびが出るようになった。(別の夜勤応募については中略) さっそく応募すると即採用となった。働いてみると、私にとってはまさに天国だった。翻訳作業はしまくりだし、仮眠も8~9時間たっぷりとれた。まさに出版翻訳家にとっては最高の「二足目のわらじ」が見つかったのである。これこそ私がいう「とっておきの秘策」だったのだ。 出版翻訳家になりたいという人は、このような秘策を使えば、生活もある程度安定するので、なれないこともないと思う。電話番に限らず、「手待ち時間」のあるアルバイトであれば、その時間にある程度翻訳作業ができる可能性がある。出版翻訳家になりたい人には、そういうアルバイトをお勧めしたい。『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』2:あとがき『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』1:夢の夢の、そのまた夢の仕事p12~15
2023.10.26
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今回借りた4冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「見覚えがある本」でしょうか♪(なんと4冊中3冊がむかし借りた本でした)<市立図書館>・地図と拳・「お笑い」日本語革命・出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記・筒美京平 大ヒットメーカーの秘密<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【地図と拳】小川哲著、集英社、2022年刊<「BOOK」データベース>より「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野…。奉天の東にある“李家鎮”へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/01予約、副本6、予約175)>rakuten地図と拳【「お笑い」日本語革命】松本修著、新潮社、2010年刊<「BOOK」データベース>より新国民語「マジ」の発信者は誰?「キレる」を広めた張本人は?新語発生の瞬間を本邦初公開。名著『全国アホ・バカ分布考』の著者にして、「探偵!ナイトスクープ」プロデューサー。「TV界の柳田國男」が放つ驚愕の日本語論。【目次】千と千尋の「どんくさい」/第1話 「マジ」の拡散とルーツ(「マジ」の世間への流出/「マジ」の最初の波 ほか)/第2話 笑いの装置「みたいな。」の誕生(楽しい会話のツール/ある放送作家の「みたいな。」 ほか)/第3話 「キレる」宰相と若者たち(「キレる」の本当の意味/「キレる」の母体 ほか)/第4話 「おかん」の陽はまた昇る(トレンド語としての「おかん」/大阪の歴史の中の「おかん」 ほか)<読む前の大使寸評>「TV界の柳田國男」なのか・・・なるほどね♪構成作家時代の百田尚樹氏を鍛えたディレクターとして、『全国アホ・バカ分布考』の著者として知られていますね。rakuten「お笑い」日本語革命新語発生のメカニズムbyドングリ【出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記】宮崎伸治著、フォレスト出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。-なぜか?私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント。<読む前の大使寸評>内容をざっと眺めてみると、出版社の編集者との虚々実々の闘いの日々が綴られているわけで・・・と言うか詐欺まがいのパワハラに耐える日々だったようで、涙ぐましいかぎりでおます。rakuten出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』2:あとがき『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』1:夢の夢の、そのまた夢の仕事p12~15【筒美京平 大ヒットメーカーの秘密】近田春夫著、文藝春秋、2021年刊<「BOOK」データベース>より筒美京平のシングル総売上げは7560万枚で、2位の小室哲哉をはるかに凌ぐ。作った曲は3000曲近く、名実ともに日本一のヒットメーカーだ。筆者はこの作曲家を一貫して評価してきた。実弟・作詞家・歌い手と共に、その創作の秘密に迫り、知られざる素顔を探り出す。<読む前の大使寸評>日本歌謡でもっとも売れたヒットメーカーは筒美さんではなかろうかということで、チョイスしたのです。rakuten筒美京平 大ヒットメーカーの秘密『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』1:「真夏の出来事」図書館大好き614
2023.10.25
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・ジンセイハ、オンガクデアル(2/10予約、副本1、予約15)現在2位・村上龍『ユーチューバー』(5/20予約、入荷待ち)現在7位・『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』(5/23予約、副本1、予約26)現在4位・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、副本1、予約55)現在29位・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在384位・多和田葉子『白鶴亮翅』(8/2予約、副本?、予約57)現在14位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在288位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在136位・ブレイディみかこ『リスペクト』(9/05予約、副本?、予約46)現在18位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在110位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在368位・南海トラフ地震の真実(10/20予約、副本?、予約44)現在43位<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・養老孟司『形を読む』・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・菊間晴子「犠牲の森で」・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・斎藤環『社会的ひきこもり』・ひさうちみちお『パースペクティブキッド』・松里公孝『ウクライナ動乱』・吉岡桂子『鉄道と愛国』:図書館未収蔵・村上春樹, 柴田元幸著『翻訳夜話』・有川ひろ『旅猫リポート』<予約分受取:6/22以降> ・山本佳典『羊と日本人』(6/17予約、6/22受取) ・宮脇淳子『 満洲国から見た近現代史の真実』(7/01予約、7/09受取)・阿川佐和子『 老人初心者の覚悟』(7/18予約、7/26受取)・スヴェン・ベッカート『綿の帝国』(6/14予約、8/16受取)・カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(8/31予約、9/06受取)・小松左京『大震災'95』(9/02予約、9/06受取)・西加奈子『くもをさがす』(5/10予約、9/06受取)・村上春樹『うずまき猫のみつけかた』(9/26予約、10/04受取)・タルディ『塹壕の戦争1914-1918』(10/08予約、10/14受取)・小川哲『地図と拳』(2/01予約、10/21受取)**********************************************************************【ジンセイハ、オンガクデアル】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2022年刊<「BOOK」データベース>より貧困層の子どもたちが集まるいわゆる「底辺託児所」保育士時代の珠玉のエッセイ。ゴシック文学的言葉を唱え人形を壊すレオ。「人生は一片のクソ」とつぶやくルーク。一言でわたしの心を蹴破ったアリス。貧窮、移民差別、DV。社会の歪みの中で育つ、破天荒で忘れがたい子どもたち。パンクスピリット溢れる初期作品。『アナキズム・イン・ザ・UK』の一部に大幅増補。映画・アルバム評、書評を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/10予約、副本1、予約15)>rakutenジンセイハ、オンガクデアル【ユーチューバー】村上龍著、幻冬舎、2023年刊<出版社>より20代半ばにしてデビューをした作家・矢崎健介、70歳になった。「世界一もてない男」を自称するユーチューバーが、矢崎をユーチューブに誘う。承諾した矢崎が語り出したのは、自由である人間について。自由な人間は滅多にいないのだと言った。自由であるということは、唯一の希望を生む。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/20予約、入荷待ち)>rakutenユーチューバー【千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話】済東鉄腸著、左右社、2023年刊<「BOOK」データベース>より日本どころか千葉の実家の子供部屋からもほとんど出ない引きこもりの映画オタクの下に差し込んだ一筋の光、それはルーマニア語ールーマニア人3000人に友達リクエストをしてルーマニアメタバースを作り猛勉強、現地の文芸誌に短編小説を送りつけ、『BLEACH』の詩へのリスペクトと辞書への愛憎を抱きながらルーマニア語詩に挑戦する。受験コンプレックス、鬱、クローン病。八方塞がりの苦しみから、ルーマニア語が救ってくれた。暑苦しくって切実で、好奇心みなぎるノンフィクションエッセイ。千葉の片隅から、魂の故郷・ルーマニアへの愛を叫ぶー。本、映画、音楽…ルーマニアックのための巻末資料も収録!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/23予約、副本1、予約26)>rakuten千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話【台湾漫遊鉄道のふたり】楊双子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より昭和十三年、五月の台湾。作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴と台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。ただ、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子の焦燥感は募り…国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差。あらゆる壁に阻まれ、近づいては離れるふたりの旅の終点はー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/23予約、副本1、予約55)>rakuten台湾漫遊鉄道のふたり【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【白鶴亮翅】多和田葉子著、朝日新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>よりベルリンで一人暮らしをする美砂は、隣人Mさんに誘われて太極拳学校へ。さまざまな文化的背景の人びととの出会い、第二次大戦前後のドイツと日本の歴史に引き込まれ、名作を女性の視点で読み直す。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/2予約、副本?、予約57)>rakuten白鶴亮翅【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【リスペクト】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2023年刊<「BOOK」データベース>より2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとした小説。ホームレス・シェルターに住んでいたシングルマザーたちが、地方自治体の予算削減のために退去を迫られる。人種や世代を超えて女性たちが連帯して立ち上がり、公営住宅を占拠。一方、日本の新聞社ロンドン支局記者の史奈子がふと占拠地を訪れ、元恋人でアナキストの幸太もロンドンに来て現地の人々とどんどん交流し…。「自分たちでやってやれ」という精神(DIY)と、相互扶助(助け合い)と、シスターフッドの物語。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/05予約、副本?、予約46)>rakutenリスペクト【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2023.10.25
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図書館で『ゆく川の流れは、動的平衡』という本を、手にしたのです。この本は2015年12月~20年3月に朝日新聞で連載された「福岡伸一の動的平衡」を書籍化したものとのことで、各エッセイはどれも短くて興味深いテーマになっています。【ゆく川の流れは、動的平衡】 福岡伸一著、朝日新聞出版、2022年刊<「BOOK」データベース>より自然、芸術、暮らし…日常に生起する感慨をスケッチし、生命の動的平衡と利他性のつながりを表す。著者の魅力がたっぷり詰まった珠玉のエッセイ集。朝日新聞連載『福岡伸一の動的平衡』待望の書籍化!<読む前の大使寸評>この本は2015年12月~20年3月に朝日新聞で連載された「福岡伸一の動的平衡」を書籍化したものとのことで、各エッセイはどれも短くて興味深いテーマになっています。rakutenゆく川の流れは、動的平衡p98<自然への安易な介入で> 琵琶湖畔ニアトリエを持つ写真家の今森光彦さんを訪ね、彼の案内で里山を散策した。ほとんどの斜面はスギの造成林に覆われ、寒々しく閉ざされていた。マスクが手放せない花粉症の私も暗い気分になる。 元昆虫少年つながりで、話は自然と虫の話となる。「このあたりにもギフチョウの発生地が点々とあったのですが、それが消えつつあるんです」そう今森さんは言った。ギフチョウは春の女神とも呼ばれる可憐なチョウ。いまや日本では希少種になりつつある。その理由はなんとシカにあるという。ギフチョウの幼虫の食草カンアオイをシカが食べ尽くしてしまうのだ。 シカが増えすぎた理由。それはオオカミの絶滅や温暖化の影響など複数の要因によるものだが、主因もやはり人間の営みにある。スギだ。私たちは高度成長期に天然林を大規模に伐採し、スギに代表される針葉樹林に変えてしまった。幼木が成長する期間は日当たりがよく、下草や低木が豊富に育つ。これがシカの生育に最高の環境を与え、個体数が爆発的に増えた。 しかしひとたびスギ林が完成すると樹冠が閉ざされ、暗い林床に下草は育たなくなる。エサ場を追われたシカは人里へ下りてこざるを得ない。つまりシカによる食害は、人間が自然に安易に介入した結果、動的平衡が乱れ、そのリベンジ効果がもたらしたものなのだ。『ゆく川の流れは、動的平衡』1
2023.10.24
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図書館で『ゆく川の流れは、動的平衡』という本を、手にしたのです。この本は2015年12月~20年3月に朝日新聞で連載された「福岡伸一の動的平衡」を書籍化したものとのことで、各エッセイはどれも短くて興味深いテーマになっています。【ゆく川の流れは、動的平衡】 福岡伸一著、朝日新聞出版、2022年刊<「BOOK」データベース>より自然、芸術、暮らし…日常に生起する感慨をスケッチし、生命の動的平衡と利他性のつながりを表す。著者の魅力がたっぷり詰まった珠玉のエッセイ集。朝日新聞連載『福岡伸一の動的平衡』待望の書籍化!<読む前の大使寸評>この本は2015年12月~20年3月に朝日新聞で連載された「福岡伸一の動的平衡」を書籍化したものとのことで、各エッセイはどれも短くて興味深いテーマになっています。rakutenゆく川の流れは、動的平衡p29<旨いも辛いも、かみ分ける> 気温が高いのもホット、コーヒーが熱いのもホット、タバスコが辛いのもホット。英語はなんて雑な言葉なんだろう。さて、基本五味というものがある。甘味、塩味、酸味、苦味、旨味。ここに辛味はない。その理由を明かすまえに、味覚をめぐるある蒙昧について触れておきたい。 西洋世界は長い間、旨味という存在に気づかなかった。あまいか、しょっぱいか。すっぱいか、にがいか。それしか感じなかった。トマトがなぜソースになり、鶏ガラからどうして出汁がとれるのか認識できなかった。 トマトの果肉部、あるいは鶏ガラには大量のグルタミン酸が含まれている。タンパク質の主要な構成部分である。生命の存続にとって必須の栄養素のありかを探り当てるため、これを「旨い」と感じる生物が生き残った。 舌の上に、甘、塩、酸、苦と対等に、グルタミン酸に対しても特異的な受容体(レセプター)が存在していることが明らかになってはじめて、旨味は基本五味の仲間入りを果たした。和食の国、日本人にとってはあまりにも自明なことであったのに。 一方、辛味成分カプサイシンの受容体も発見された。なんとそれは温度を感知するのと同じものだった。辛さは味ではなく熱感。辛いと熱いが同じホットなのはそれなりに一理あったのだ。雑だなんて言ってゴメンね。
2023.10.24
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図書館に予約していた『塹壕の戦争1914-1918』という大型本を、待つこと6日ほどでゲットしたのです。ぱらぱらとめくると、モノクロの漫画で・・・戦場の過酷さと汚さと無慈悲さが延々と続いています。吹き出しの台詞は滑稽なほどシニックではあるが戦争を呪っていることはわかります。【塹壕の戦争1914-1918】タルディ著、共和国、2016年刊<「BOOK」データベース>より戦記コミックの金字塔。第一次世界大戦の“リアル”を徹底的に描き出して、「コミックのアカデミー賞」と呼ばれるアイズナー賞を受賞したフランスの巨匠タルディの代表作、ついに日本初上陸。この戦場の“リアル”を直視することから、いま、私たちの現代史は幕を開ける。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると、モノクロの漫画で・・・戦場の過酷さと汚さと無慈悲さが延々と続いています。吹き出しの台詞は滑稽なほどシニックではあるが戦争を呪っていることはわかります。<図書館予約:(10/08予約、副本1、予約0)>rakuten塹壕の戦争1914-1918この本では文章の部分としては「まえがき」「エッセイ」「2014年版あとがき」などがあるが、「まえがき」を見てみましょう。p6~7<まえがき> 『塹壕の戦争』は「歴史書」ではない。第一次世界大戦の歴史を語った漫画なのではなく、戦争にもてあそばれ、泥沼に陥った人間の営みを語った物語である。私はその物語を、時系列をも無視して切々と描いた。 兵士たちは自ら望んで戦場にとどまったわけではなく、一時間でも長く生き続けようと必死になり、いずれは家に帰りたい・・・つまりは戦争が終わってほしい、と願っていた。 戦争という名の痛ましい集団的「冒険」には「英雄」も「主人公」もいない。名もなき人たちの言葉にしょうもない苦悩の叫びがあるだけだ。私は自覚的にフランス側からの視線で描いたが、それには理由がある。イギリス人の本心はいかなるものだったのか、イタリア人は内心どう思っていたのか、想像することが難しかったのだ。 そもそも1914年の若者の内面を想像することすら困難ではないか・・・。それでも私は、参戦したほとんどの国には触れているし、全編にわたり「ボッシュ」、すなわちドイツ人の存在を匂わせている。 物語のなかで、私は自分の立場を明確にする必要を感じた。復讐心やナショナリズムについて語りたいわけではなかった。さらに、戦争という「祭典」に招かれた「植民地」の哀れな人々にも触れたかった。 私の興味はなによりも人間そのものにあり、肌の色や国の違いはどうでもよいことだった。意のままに利用された人間、上官や上司の手で人生を蔑ろにされた人間に関心があった。月並みな確認事項だが、これこそが今日もなお重要なことだと思っている。 私は、友人のジャン=ピエール・ヴェルネが蒐集した写真を見て、感動を覚えずにはおれなかった。この稀有な蒐集家の写真コレクションには、ドイツ人であれ、フランス人であれ、虚ろな目をした哀れな人々の姿が収められていた。 気取ったポーズを取っていても、苦悩と恐怖がそこには滲み出ていた。そして写真を見ながら、私は自問を繰り返した。これらの人びとは、いかにして戦果を潜り抜けたのか。どうやって眠ったのか、目覚めはよかっただろうか。なぜ勇気をふりしぼり、わずかな希望を見つけ出すことができたのか。雨、泥、ゴキブリ、寒さ、砲弾・・・あらゆる要素を想像した私は、兵士たちが犯行や脱走をしたのも至極もっともだと感じるようになったのだった。 むろん、私は「すべて」を語ったわけではない。このような主題を、一人の人間が語り切れるわけがない。 私は祖父から戦争の体験談を聞き、それ以来、この20世紀初頭という時代を理解したいという思いにさいなまれてきた。何冊もの関連書を読み漁り、ときに刺激を受け、自分なりの「小説のような」物語をつくる出発点として利用した。 しかし、私の目的は、兵器や軍服のカタログを作ることではなかったし、M2迫撃砲の数やヴェルダンやソンムの戦闘に動員された兵士の数を調べて正確な記録を作ることでもなかった。あえて「歴史的事実」に言及することは避けようとしたのだ。「事実」はすでに十分に歴史家によって語られ、分析されてきたし、当時を知る貴重な証言者によって語られてもいるからである。これらの成果を手許に置きつつ、私はもっと積極的に特定の情報を深く掘り下げようとしたのである。 また、指摘しておくべきは、歴史的事実という「公式の数字」も、歴史書によってさまざまであり、異なっているということだろう。だから、とくに私は数字にはこだわらなかった。結果として疑問の余地ある話や矛盾する物語を含め、多様な話を物語に盛り込むことになったかもしれない。この点についても、「専門家」には異論があることだろう・・・。 しかし、繰り返すように、私の関心は、人間とその苦悶の軌跡であった。だからこそ、私は大きな憤りを覚えたのだ。これが我われの歴史、ヨーロッパの歴史にほかならないというのだから、憤慨せずにはおれないというものだ。(中略) ただし、大量殺戮の方法だけは確実に高度になった。この点についてだけは1914-1918年の戦争に脱帽せねばなるまい! そして1917年のヨーロッパ・・・。ロシア革命とアメリカ合衆国の参戦。・・・この「成果」のもとに戦後の我われは生きながらえてきた。その後、状況は変化した。「発展」したと言うべきだろうか・・・。 11月11日(休戦記念日)には、今でも「老兵」に勲章が授与される。彼らは1915年に20歳だった。青春を奪われ、未来を失った。だから、馬鹿にしたり、愚弄してはならないのだ・・・。 1993年 タルディ『塹壕の戦争1914-1918』1
2023.10.23
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図書館に予約していた『塹壕の戦争1914-1918』という大型本を、待つこと6日ほどでゲットしたのです。ぱらぱらとめくると、モノクロの漫画で・・・戦場の過酷さと汚さと無慈悲さが延々と続いています。吹き出しの台詞は滑稽なほどシニックではあるが戦争を呪っていることはわかります。【塹壕の戦争1914-1918】タルディ著、共和国、2016年刊<「BOOK」データベース>より戦記コミックの金字塔。第一次世界大戦の“リアル”を徹底的に描き出して、「コミックのアカデミー賞」と呼ばれるアイズナー賞を受賞したフランスの巨匠タルディの代表作、ついに日本初上陸。この戦場の“リアル”を直視することから、いま、私たちの現代史は幕を開ける。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると、モノクロの漫画で・・・戦場の過酷さと汚さと無慈悲さが延々と続いています。吹き出しの台詞は滑稽なほどシニックではあるが戦争を呪っていることはわかります。<図書館予約:(10/08予約、副本1、予約0)>rakuten塹壕の戦争1914-1918この漫画の画像をネットで捜したが見つからないのです。しかたがないので、吹き出しだけ並べて見てみましょう。p9~11<1917年10月> 3発の爆音が芝居の開幕を告げるように炸裂した・・・。最初の爆音は7㎏の砲弾。2発目は口径105㎜砲が放つ16㎏の砲弾。3発目は口径400㎜の大砲だった。結局、総重量900㎏に及ぶ砲弾が炸裂したわけだ!一日のはじまりを告げるように、大砲は爆薬を何トンも大量に放出する。砲菅は徐々に加熱し、砲撃班の兵士はしだいに聴覚を失っていく。砲弾を放つ兵器は、ドイツ陣営はルール地方のクルップ社が製造したおそろしく巨大な大砲・・・。・・・対抗するフランスはシュナイダー製の兵器だ。ル=クルーゾ、サン=テティエンヌ、サン=シャモンの工場など、グループ企業の手になる大砲だった。細心の技術が投入され、砲口は巨大化、砲弾は強力になった。鉄道で移動する巨大な大砲の殺傷能力は16㎞先にまで達する!うむことなき創造というほかない。双方が互いにエスカレートする。破壊力の向上を目指して、戦時に開花した重工業の勝利を謳歌するのだ。大砲の標的は人間だ・・・。当然だろう、これは塹壕戦なのだから。開戦からすでに3年が経つ。塹壕の奥深くに、まだ人間の営みの痕跡があるのは驚きだ。大量の砲弾が放たれるとはいえ、ここは広い戦場のほんの一部にすぎないのである。兵士たちは塹壕を掘って、ひとまず土の中に退避壕を整えると、ドブネズミのごとく泥中で生活する術を覚える。これはフランスの塹壕の場合。目と鼻の先でも同じ光景が繰り返されるが、塹壕はもっと整理整頓されている。さすがはドイツの塹壕だ。フランス人は宿敵ドイツ人を「ボッシュ」と呼んで軽蔑し、憎悪し、そしておそらく馬鹿にした。戦争なのだから、それが当然なのだ。ドイツ人にもフランス人にも、殺し合いを続ける大した理由はなかった。開戦時にはどちらも戦意を高揚させ、戦場に向かったが、今ではどちらも早く家に帰りたいと思っているのだ。軍曹たちの命令に従ったことを後悔して・・・。しかし、軍曹といえども、ただ大量殺戮を続けたいと思っていたわけではなく・・・。ものの道理として、犠牲を最小に抑え、何百万もの命が無駄遣いされないよう願った。主人の数が奴隷より多くてはいけないからだ。そういうわけだから、事態はなんら変わらない。人間は子羊にすぎず、留まれと命令された場所が、そのまま屠殺場となった。
2023.10.23
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早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?残暑厳しき折りなんて言っていたが・・・このところ秋を通り越して初冬の気配さえ感じる太子でおます。『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は二十四節季でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたり小春日和この本で、霜降(そうこう)のあたりを見てみましょう。和暦p26<霜降>冬隣りの節気。木枯らし一番も吹き始める 「霜降」は、現行の暦では10月23日ころ第1日目を迎え、「立冬(11月6日ころ)」に入る前日までの期間を言う。 「霜降」に入るころは、朝晩の冷え込みが厳しくなり、暮れる時間が早まってくる。さらに早朝の散歩を楽しませてくれた露は、寒気により霜となって降り始める。この情景を『暦便覧』では、「露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆえ也」と説明している。 「霜降」から立冬過ぎまでは、恒例の年中行事が目白押しだ。「酉の市」、「七五三」、「十三夜」、「紅葉狩り」など。 これに加えて、節気末から立冬にかけては、冬の到来を告げる「木枯らし一番」が吹き始める。 一方、陰暦10月の異称のひとつに「小春」というのがある。冬の季語にもなっている言葉だ。これは、冷気が一段と強まり、「冬隣り」の感じの気候が続くなか、晴れた日に春のように暖かい日になることがあり、ここから、「小さな春」の意味を持たせ付けられた名である。「小春日和」ともいう。同じ意味合いで「小六月」も陰暦10月の異称だ。「霜降」の期間の七十二候には、「霜始降(しも、はじめて、ふる)」霜が降り始める「霎時施(こさめ、ときどき、ふる)」小雨がしとしと降る「楓蔦黄(もみじ、つた、きばむ)」もみじや蔦が黄葉する、がある。 また西洋占星術では、「霜降」の第1日目が天蠍宮(さそり座)の始まりとなっている。ウーム 「小春日和」というのは、10月よりは、2月、3月の方がよりぴったりするんやけどなあ。二十四節季の寒露に注目(復刻)二十四節季の寒露に注目
2023.10.22
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『辺境メシ』という本にクジラ食に触れている箇所があるので復刻して読んでみましょう♪*********************************************************図書館で『辺境メシ』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、恐ろしげな写真が並んでいて・・・これはヤバそうである。いや、突撃的フィールドワークと讃えるべきか。【辺境メシ】高野秀行著、文藝春秋、2018年刊<「BOOK」データベース>より人類最後の秘境は食卓だった!食のワンダーランドへようこそー辺境探検家がありとあらゆる奇食珍食に挑んだ、驚嘆のノンフィクション・エッセイ!【目次】1 アフリカ ゴリラを食った男の食浪漫/2 南アジア 怪魚、水牛、密造酒…爆発だ!/3 東南アジア 思わずトリップするワンダーフード/4 日本 猛毒フグの卵巣から古来のワニ料理まで/5 東アジア 絶倫食材に悶絶した日々/6 中東・ヨーロッパ 臭すぎてごめんなさい/7 南米 魔境へようこそー<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、恐ろしげな写真が並んでいて・・・これはヤバそうである。いや、突撃的フィールドワークと讃えるべきか。rakuten辺境メシ日本のクジラ食を、見てみましょう。p145~147<まるで未知の肉、小泉先生の鯨> 小泉武夫先生に食事に誘われたときのこと。指定された居酒屋の個室に通されてビックリ。先生とそのお仲間六名。そして巨大な鯨肉の塊が私を待ち構えていたのだ。このお店は先生の行きつけらしく、個室は貸し切りの「小泉劇場」と化していた。 「私はクジラ食文化を守る会の理事長をやっていてね、お金は一銭ももらってないけど、いい鯨肉は手に入るんです」とのこと。肉は中トロのようなきれいなピンク色で、ものすごく鮮度が高そうである。 呆気にとられていると、先生は俎板と包丁を取り出し、使い捨てのビニール手袋をはめると、手際よく肉塊を切りはじめた。お仲間の一人がこれまた持参の生姜をゴリゴリすり下ろし、生姜醤油をこしらえる。 たちまち刺身の山ができ、先生は「さあ、食え! どんどん食え!」と放るように手渡しし、みんながわあわあ言いながらもらい受ける。まるで、何かの祭りで、祭司がお供えを信者に分け与えているようだ。店のご主人もお裾分けしてもらっている。 刺身を口にして、さらにびっくり。鯨と言えば、「固い」「臭みがある」というイメージしかなかったが、これは臭みが一切なく、マグロのように柔らかい。でも動物らしい深みのある味。これが鯨? まるで未知の肉を食べている気がする。 さんざん刺身を食べ、他にそのお店のイノシシ鍋も御馳走になり、もうこれ以上食べられないとなっても先生は止まらない。余った肉をフリーザーバッグに生姜醤油と一緒にぶち込んで私にくれた。「これ、持って帰って。熱々のご飯にかけると美味しいよ」 翌日、先生に言われたとりにしたら、最高。翌日まで続いた小泉劇場であったが、さらに都築がある。先生はお土産として、茨城県土浦で捕れたツチクジラの冷凍肉を五キロもくれたのだ。(中略) 前日から風呂場のバケツに鯨肉の塊を入れて解凍の準備。そして、翌朝、バケツを見た私と妻は仰天した。肉は真っ赤な血の海に沈んでいたからだ。どうして切り身の冷凍肉からこんなに血が出るのだろう。さらに不思議なのはその血は匂いが全くしない。血ではない、何か他の、赤いタンパク質かもしれないが、実に奇妙である。 その日、妻と二人でその鯨肉を料理にしまくった。朝から晩まで、12時間ぐらい鯨肉と格闘していた。 刺身、納豆とアボカドとの和え物、ステーキ、竜田揚げ・・・。集まった人たちはみな、「こんな美味しい鯨肉は食べたことがない」と驚いていた。彼らも私同様、鯨と言えば、なんだか固かったり風味に乏しかったりして、要は「美味くない肉」という印象だったのだろう。日本の鯨肉の大半は、冷凍と解凍を繰り返したり、あまりに長く冷凍しすぎたりで、肉が劣化してしまっているらしい。だから鯨肉が美味しいというのが驚きにつながってしまう。ここで、2018年12月のナショナル ジオグラフィックの論調を見てみましょう。2018.12.28IWC脱退 商業捕鯨を再開する日本の今後より クジラに関する法律の専門家であるマイアミ大学の法学教授ナタリー・ベアフット氏は、日本が商業捕鯨を続けたいという意思を明確にしたことで、「話が単純になったと言えるかもしれない」と指摘する。「私たちはこれまで、日本が科学研究のために調査捕鯨を行っているという建前の下で、話し合いをもっていたのです」と彼女は言う。「日本が立場を変え、『さあどうですか。私たちは商業捕鯨をやっていますよ』と言うなら、前提が変わります。彼らが海で行っていることについて、腹を割って話し合えるようになるからです」 日本のIWCからの脱退は、今後の日本にどのような影響を及ぼすのだろうか? 正式な取り決めは特にないが、ほかの加盟国が、自国の海での日本漁船の操業を禁止するなどの制裁を独自に科す可能性もある。日本は捕鯨をめぐる国際的な話し合いに参加することもできなくなる。「グローバル化が進む今日、取り決めに反対であっても全員がテーブルにつき、交渉を続けることが望ましいのです」とベアフット氏は言う。「私たち全員が直面する地球規模の問題は、全員で取り組む必要があります」ザトウクジラ『辺境メシ』1
2023.10.22
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図書館で『ネコノミクス宣言』という本を、手にしたのです。元経済ヤクザの猫組長が、サイバラとコラボして儲け話を語るってか・・・面白そうである。【ネコノミクス宣言】 猫組長×西原理恵子著、扶桑社、2019年刊<「BOOK」データベース>より元経済ヤクザ×サイバラ!連載時のカラー原稿100ページ分を収録した『完全版』として再登場!全100話収録!猫組長(ネコクミチョウ)神戸生まれ。元山口組系二次団体幹部。若くして反社会組織に身を投じ、仕手戦やインサイダー取引を経験。グレーゾーンのファイナンスや国際金融を得意とする経済ヤクザとして活躍。タックスヘイブンにも複数企業を保有している<読む前の大使寸評>元経済ヤクザの猫組長が、サイバラとコラボして儲け話を語るってか・・・面白そうであるrakutenネコノミクス宣言儲け話の一つを、見てみましょう。p89~91<ドバイ、香港、中国を股にかけた原油輸出ビジネスの顛末> 「うちの会社の株は上がるから、買っといたほうがいいよ」 ITバブルと呼ばれ、新興市場では若手経営者が隆盛を極めていた。‛00年頃の話である。 当時、私は赤坂にあるアメリカ大使館近くに住んでいた。新株発行などの規制緩和もあり、まさに泡(バブル)銭が溢れ、毎夜六本木で金をばら撒いていたものだ。その頃、付き合っていた彼女は六本木のクラブで働きながらタレント活動をしていた。 その店には、上場企業の経営者や芸能関係者も足繫く通っていた。客には暴力団関係者も多く、上場企業の経営者と同席するなど、今では考えられないほどコンプライアンスの意識は低かった。 冒頭の言葉は、この店に通う上場企業のK社長が彼女に言ったものだった。どうやら、株価上昇に影響する材料が出るのだろう。私は確認するために、証券会社のA君に事情の説明をした。彼は東大を出てメガバンクに勤めていたのだが、私が証券会社へ情報収集要因として転職させていた。 当時、私たち暴力団関係者は、金融機関はもちろん、財務省や金融庁にまで人を送り込み、重要情報にアクセスしていた。サラリーマンや役人は接待で訪れる高級クラブに網をかけておけば、いくらでも引っかかる。 彼らは金と女の誘惑に弱い。一度手を汚せば、倫理観より欲望が勝つようになる。こうして夜の街を舞台に、黒い人脈は表の世界へ浸透していく。 彼女は結局、この情報を基に同社の株を買って利益を得た。これは紛れもないインサイダー取引である。私はK社長から直接情報を得ておらず、彼女からのまた聞きなのでインサイダー取引には当たらない。企業秘密も、有名人のゴシップも、時に国家機密も、このようにホステスの寝物語で漏れることが多いのだ。<300億円の銀行保証をつけた“ヤクザ式”スキームを構築> 私が‛03年頃、原油先物を始めた時もA君の情報が役に立った。「燃料のスワップ取引が異常に増えています。中国の原油需要に関係しているようです」 この数日後、中国政府が戦略的石油備蓄の目標を大幅に増やすと発表した。こうして、原油の先物取引から現物取引を目指したのだが、日本の商習慣や企業構造に阻まれ、国内への原油輸入は困難を極めた。 一度だけ、ワンマン色の強い中堅商社が承諾してくれたのだが、最終段階で断念することになった。原因は、この商社の取引銀行が決済を承認しなかったからだった。 日本への石油輸入を諦めた私は、中国をはじめとするアジア諸国へ石油を売ろうと考えた。やはり、一番魅力的なのは中国の巨大市場だった。知り合いの暴力団関係者は、中国政府の幹部と組んで大量の買い注文を持っていたが、決済の問題がクリアできずに困っていた。香港やシンガポールなど、第三国の商社を挟めば売買は可能だが、中国の支払いに信用がない。 そこで、私は香港のペーパーカンパニーが支払いを保証するスキームを用意した。そのためには、300億円ほどの銀行保証が必要だった。ここで登場するのが以前書いたBC屋(国際ポン手業者)である。
2023.10.22
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図書館で『横尾忠則さんへの手紙』という本を、手にしたのです。横尾忠則さんは絵画やエッセイなど多作のアーティストであるが、この本の著者は横尾さんの創造への情熱をどう捉えたのか?帰って調べてみると、この本は以前にも借りていたことが分かったのでこの記事を(その5)としました。【横尾忠則さんへの手紙】 酒井忠康著、光村図書出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より冒険王・横尾忠則氏へ捧げる、美術評論家・酒井忠康氏からの11篇のエール。【目次】第1章 夢の水脈=N氏への手紙/第2章 横尾さん、がんばれよ!/第3章 視覚の鏡ーY氏への手紙/第4章 「未完の横尾忠則ー君のものは僕のもの、僕のものは僕のもの」展記念対談/第5章 ラッピング電車に思う/第6章 横尾忠則氏が描く「文士の風貌」/第7章 滑らかな空気の層/第8章 横尾忠則ー猛暑の夕べに(U君への手紙)/第9章 横尾忠則の挑戦/第10章 公開制作って、何?(Hさんへの手紙)/第11章 相聞往来ー横尾忠則と柴田錬三郎<読む前の大使寸評>横尾忠則さんは絵画やエッセイなど多作のアーティストであるが、この本の著者は横尾さんの創造への情熱をどう捉えたのか?rakuten横尾忠則さんへの手紙横尾忠則さんはよく公開制作を行っているようだが、そういうパッションはどこから湧いてくるのでしょうね♪p127~129<第10章 公開制作って、何?> これまでに横尾忠則氏が、公開制作で描いた作品を集めたら、きっと面白い展覧会になるかもしれない・・・と、わたしは、いつ、どこであったか忘れましたが、確かに、ご当人とちょっとばかし話をしたことがありました。 そんなことがあったからでしょうね、横尾さんは記憶の抽斗(ひきだし)からひょいと取り出して、その旨をあなたに告げたのでしょう。 原稿依頼の電話をもらったとき、正直、どのくらいあるのか、わたしはまったく知りませんでした。それを察して、あなたは早速にも資料をまとめて送ってくれましたが、封を開けて、びっくり。よくまあ、これだけ頻繁に公開制作をしたものだ、やはり、“わがマエストロ・ヨコオ”は、とんでもない画家だ・・・と呆れてしまいました。 予感が的中したので、わたしはホッとしましたが、さて、どんな原稿にすべきか考え(散々、迷い)あなたにお便りをする形を借りることにしました。 ともあれ、作成された公開制作のリストによると、その最初は1984年のことで、ラフォーレミュージアム原宿の「New Wave Of Àmerican Woman」展の関連イベントで、5点の作品を描いたことになっています。それから2017年に、十和田市現代美術館の「横尾忠則 十和田ロマン展 POP IT ALL」の関連イベントまで、約20ヵ所の美術館で制作。(中略) ところで、2012年に横尾忠則現代美術館が開館して以来、年に何回か企画展をひらいているようですが、いつも意欲的で興味深いけれども、こんどもそれに負けず劣らずの企画展になることは請け合いです。 何といってもタイトルが凄い!「横尾忠則 大公開制作劇場~本日、美術館で事件を起こす」展ですからね。とりわけサブタイトルに「大公開制作劇場」とあって、しかも「~本日、美術館で事件を起こす」となっているのですから、これにはわたしも驚きました。 あなたのアイデアらしいけれども、横尾さんはきっと、このサブタイトルには、やられたなあ、というおもいと、しめしめ、このところの「ぼく」を曝け出すいい機会をつくってくれた・・・と、密かによろこんでいるかもしれませんね。 横尾さんという人は、元来が「劇場」とか「事件」とかつくと、妙に黙っていられない性分のようで、とにかく、好奇心の旺盛さにかけては人後に落ちない人だといっていいでしょう。 ウンと若いときから一線級のグラフィック・デザイナーにまじって、舞踏をはじめ前衛的な演劇、音楽、美術など、さまざまな表現領域のナマの活動に直に触れて、その中身を鷲掴みにしたような、派手々々なポスターを描いて、いつも注目されてきた・・・という経緯を振り返ってみれば、これはもう言うまでもないことですよね。『横尾忠則さんへの手紙』4:横尾さんの版画『横尾忠則さんへの手紙』3:「文士の風貌」『横尾忠則さんへの手紙』2:パリでの横尾忠則展覧会『横尾忠則さんへの手紙』1:まえがき
2023.10.21
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<音楽が人生を変える・・・2本立て館>久々にくだんの2本立て館に繰り出したが・・・・今回の出し物は「テノール!」と「TAR」であり、館主の設けたテーマは「音楽が人生を変える」となっています。毎度のことながら、2作品を選ぶ館主のセンスには感心しているのですが、「テノール!」には希望が見えるけど「TAR」には希望が見えないのです。【テノール!】クロード・ジデイ・Jr.監督、2022年、仏制作、2023.10.18観賞<Movie Walker作品情報>よりオペラの才能を秘めたラッパーの青年とその才能に惚れ込んだオペラ教師の出会いを描くヒューマンドラマ。クロード・ジディ・Jr.がメガホンをとり、主人公のアントワーヌをオーディション番組「THE VOICE」で準優勝した経験を持つビートボクサーのMB14、アントワーヌと出会うオペラ教師のマリーを『100歳の少年と12通の手紙』のミシェル・ラロックが演じる。【ストーリー】オペラ座・ガルニエ宮にスシの出前でやってきたラップが趣味の青年アントワーヌは、エリートレッスン生に見下された仕返しにオペラの歌真似を披露。その美声に才能を見いだした教師のマリーは、彼のバイト先に押しかけ猛スカウトする。しだいにオペラに惹かれていくアントワーヌは、自身とオペラ座では住む世界が違うと思いながらも内緒でマリーとオペラのレッスンを始める。<大使寸評>この映画の全編にわたってラップとオペラの楽曲が流れるわけで・・・その双方に才能を発揮するアントワーヌがええでぇ♪この映画には、スシの宅配とかオペラの蝶々夫人とかやたらに日本がでてくるのです。Movie Walkerテノール!この映画館では毎回、幕間にお昼の弁当を食べるのだが・・・・今回もキオスクで買ったおにぎりとパンでした♪【TAR】トッド・フィールド監督、2023年、米制作、2023.10.18観賞<Movie Walker作品情報>よりベルリンフィル初の女性マエストロに任命された女性の苦悩を描くスリラー。『ナイトメア・アリー』のケイト・ブランシェットが主演を務め、「キングスマン」シリーズのマーク・ストロングをはじめ、『燃ゆる女の肖像』のノエミ・メルラン、『あの⽇のように抱きしめて』のニーナ・ホス、「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズのジュリアン・グローヴァーらが出演する。【ストーリー】リディア・ターは、世界最高峰のオーケストラの1つであるベルリンフィルにて女性初のマエストロに任命されることになった。天才的な能力と努力によって地位を確立し、作曲家として活躍するが、マーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャー、そして新曲の創作に苦しめられていた。そんな時、かつて彼女が指導を担当した若手指揮者の訃報が届き、彼女にある疑念がかけられる。<大使寸評>女性マエストロTARの指揮による楽曲の迫力は凄いのだが・・・友人の自殺とか、SNSの炎上とか次第に怖くなる状況に嫌気がさして、席を立って退出したのです。Movie WalkerTARこの二本立て館で映画の途中で寝たことはあるのだが、途中で退席したのは初のケースでした。1勝1敗というところか。あなたがいない世界を・・・2本立て館パルシネマ上映スケジュール
2023.10.21
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『死なないつもり』という本に、ネコ好きの横尾さんが見られるので復刻してみます。*********************************************************図書館に予約していた『死なないつもり』という本を、待つこと2日で兆速ゲットしたのです。老年がテーマの横尾さんのエッセイ集ってか・・・これは期待できそうでおます。【死なないつもり】横尾忠則著、ポプラ社、2016年刊<「BOOK」データベース>より「今いちばん関心のあることは命です。明日死んでもいいなんて、僕は思わない」「壊す勇気があるかどうか、完璧をめざさず、未完にすることで明日をつくる」-たえず世界を驚かせてきた美術家が80歳を迎えて語る、創作について、人生について。<読む前の大使寸評>老年がテーマの横尾さんのエッセイ集ってか・・・これは期待できそうでおます。<図書館予約:(2/12予約、副本10、予約0)>rakuten死なないつもり「兵庫県立横尾救急病院展」にてネコ好きの横尾さんを、見てみましょう。p157~158<猫は分身、生活必需品> 僕にとって猫は生活必需品です。なかったら生活できないし、生きていけない。 猫は自分の分身、アーティストとしての分身です。猫の勝手気ままなところ、好き放題なところ、これは芸術家が本来持っていなければならない性質です。 我々は常識とか社会的な決め事とか、そういう通念で自分自身を発揮しないままで終わってしまうけれど、猫は発揮しようとしなくても、存在そのものがそうなっている。だから猫のように生きられれば一番理想的。 芸術には遊びが必要だと言うけれど、今度はその「必要」という概念に縛られて、遊びがコンセプトになっていく。コンセプトになってしまうと、それはもはや遊びではありません。それに対して猫は、生きていること自体が遊びだし、「遊び」という概念すら持っていない自由奔放さがあるんです。 我々は人間の側から猫を見るけれど、猫の側から人間を見ると、気づくことがたくさんあります。人間は猫を「飼っている」と思っているけれど、猫からすれば、「人間を同居させてやってるいる」だけ。「一緒に暮らしてるけど、上下関係ないよ」って主張している。 人間は猫に対して支配的な立場をとるけれど、とんでもない。その反対です。たしかに猫はかわいがってもらえば嬉しいだろうけど、かわいがってほしい、とは思っていない。むしろ「かわいがらせてやっているんだ」というくらいでいるかもしれない。(中略) レベルが高いというか、かなり上から目線です。『死なないつもり』2:未完の哲学『死なないつもり』1:荒俣宏さんとの縁
2023.10.20
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図書館で『K氏の大阪弁ブンガク論』という本を、手にしたのです。K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪【K氏の大阪弁ブンガク論】江弘毅著、ミシマ社、2018年刊<「BOOK」データベース>より国民的作家から現代の人気作家まで縦横無尽!長年街場を見つめてきた著者がボケてつっこむ!唯一無二のブンガク論。【目次】ブンガク論に入る前に、ちょっと地元のこと。K氏の場合。/日本ブンガクを席巻する関西弁の技法/黒川博行ブンガクを支える「口語」表現/『細雪』-大阪弁が現代文で書かれるようになった時代/『細雪』はグルメ小説や!/大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性/ほか<読む前の大使寸評>K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪rakutenK氏の大阪弁ブンガク論「起きりー! 朝やでぇ!」第9章「泉州弁で描ききる先端性」で村上海賊の泉州弁を、見てみましょう。p189~193<ルビ使いが最高!> K氏は『村上海賊の娘』を読んで、「こんなんありか」と声を上げた。「ダントツにおもろい。とんでもなく凄い歴史小説や」と思った。 それは海賊武士の話し言葉が「泉州弁」で書かれたものだからだ。「泉州」は旧「和泉国」で大阪府南部。大和川から南、堺から和歌山までの地域で、とりわけ特徴がある「泉州弁」は、K氏が生まれ育った岸和田から南部の「泉南方言」だとされる。 合戦の際の台詞が「者ども、うろたえるでない。駆けよ」でなく、「お前ら、びびったらあかんど。走らんかえ」なのである。 この長編小説は戦国時代の大阪で起こった「第一次木津川口の戦い」を再現した小説である。「これや、これ」とK氏が本棚から抜き出してきたのは『信長公記』の現代語訳の文庫本だ。子供の頃から司馬遼太郎や海音寺潮五郎とかの合戦ものが好きだったK氏であるが、「『信長公記』はやなあ、1560年の桶狭間合戦から本能寺までハイライトが、岸和田の藤井町の地車(だんじり)に彫刻してあるんや」とのことだ。合戦をこの場で見てきたごとくことさらK氏は熱く語るのだが、正直「また岸和田だんじりか」とあきれてしまう。『信長公記』は、慶長年間(1600年頃)に太田牛一が著した織田信長の伝記である。信長の7歳年長だった太田は、彼の英雄に仕え元服から本能寺で切腹するまで生涯を実見してきた。したがってこの信長の一代記は歴史書としても信用度が高く、叙事文学・戦記文学としても優れた作品だというのが定説だ。『現代語訳 信長公記』(新人物文庫)の巻九/(1576)、「木津浦の海戦」には次のように記録されている。 七月十五日のことであった。中国筋安芸の水軍、能島元吉・来島通総・児玉就英・栗屋元如・乃美宗勝という者が、大船七、八百艙を率いて大坂の海上に来航し、大坂方に兵糧を補給しようとした。 これを阻止しようと迎え撃ったのは、真鍋七五三兵衛・沼野伝内・沼野伊賀・沼野大隅守・宮崎鎌太夫・宮崎鹿目介・尼崎の小畑、花熊の野口。これらも三百艙余を漕ぎ出し、木津川河口に防衛線を張った。敵は八百艙ほどである。互いに漕ぎ寄せて、海戦となった。 という歴史的史実だ。泉州武士を中心とした織田信長側の軍勢が村上海賊の本願寺側に敗れる海戦だった。本願寺方の村上海賊と織田信長方の泉州武士のいわば代理戦争であるが、この小説で主人公と戦う真鍋七五三兵衛はじめとする泉州海賊侍が、場面場面で口にする台詞があまりにも凄すぎるのだ。「真鍋海賊の武勇を見せちゃらんかい」「ああ、そらあれじょ。直政っさんの国がド田舎やさかいじょ」「おのれんとこの小倅ぁ、おのれより戦上手やど」「面白いのぉ、こいつら」「わっしょれ~。なんやこら、正統派の泉州弁そのままやしな」とK氏はそれらの台詞をいちいち声を上げて自らの泉州弁で読んで、「最高やのぉ」と反芻しながら、単行本上下巻あわせて1000ページ弱もある長編を一気読みである。 まるでだんじり祭で地車を命懸けで曳行している最中に発せられる「浜言葉」そのもの。それも地元民でもおもわず苦笑してしまう荒っぽい会話の台詞に、「そうか泉州の海賊侍の合戦のときの言葉は、祭のときにおがってる(叫んでる)のとおんなじや」と膝を叩いて喜ぶのだった。「殺(い)てまえ!」「不味(あかなし)いよぉ」「塩で食(いか)んかえ」 という、表意文字の漢字とそこに付くひらがなまでを含めて、リアルな泉州弁に読ませるためにルビを振っているところで、「なるほどそういう手があったんか」とK氏は感嘆するのだった。『K氏の大阪弁ブンガク論』3:尾野真千子の泉州弁『K氏の大阪弁ブンガク論』2:大阪語・標準語の書き分け『K氏の大阪弁ブンガク論』1:多様な関西弁
2023.10.20
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図書館で『横尾忠則さんへの手紙』という本を、手にしたのです。横尾忠則さんは絵画やエッセイなど多作のアーティストであるが、この本の著者は横尾さんの創造への情熱をどう捉えたのか?帰って調べてみると、この本は以前にも借りていたことが分かったのでこの記事を(その3)としました。【横尾忠則さんへの手紙】 酒井忠康著、光村図書出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より冒険王・横尾忠則氏へ捧げる、美術評論家・酒井忠康氏からの11篇のエール。【目次】第1章 夢の水脈=N氏への手紙/第2章 横尾さん、がんばれよ!/第3章 視覚の鏡ーY氏への手紙/第4章 「未完の横尾忠則ー君のものは僕のもの、僕のものは僕のもの」展記念対談/第5章 ラッピング電車に思う/第6章 横尾忠則氏が描く「文士の風貌」/第7章 滑らかな空気の層/第8章 横尾忠則ー猛暑の夕べに(U君への手紙)/第9章 横尾忠則の挑戦/第10章 公開制作って、何?(Hさんへの手紙)/第11章 相聞往来ー横尾忠則と柴田錬三郎<読む前の大使寸評>横尾忠則さんは絵画やエッセイなど多作のアーティストであるが、この本の著者は横尾さんの創造への情熱をどう捉えたのか?rakuten横尾忠則さんへの手紙横尾忠則さんの作品には、いろんなシリーズがあるが、「文士の風貌」シリーズを見てみましょう。p83~86<第6章 横尾忠則氏が描く「文士の風貌」> 数週間前に、わたしは京橋の南天子画廊を訪ねて、横尾さんが描いた近代文学者たちの肖像画をみてきた。すべてアクリル絵の具で描かれ、キャンバスのサイズもF4号大に統一されている。最終的には222点になるらしいが、このときまでに描かれてあった210点ほどの作品が床に並べられていた。 描かれた文学者たちの顔は、いずれもどこかで見覚えのある顔である。わたしの書架にある写真家の撮った写真集や何かの雑誌のグラビヤあるいは『新潮日本文学アルバム』のような種々の印刷媒体の写真で見た顔である。 それぞれ思い出す媒体はさまざまだが、横尾さんが何かをモトにして描いている、そのことだけは察知できた。が、しかし、そのモトが何であるかということは、それほど大事なことではない。なぜなら、写真のように写して、さて、この肖像画はほんとうに当人の顔に似ているかどうか・・・ということを問題にしているわけではないからである。 ここらあたりのことは、話がややこしくなるので、追々(それとなく)ふれるとして、わたしの脳裏に浮かんだのは、2008年に「冒険王・横尾忠則」展を開催したときのことであった。 よこおさんが「画家宣言」をする前、つまり80年代はじめまでのポスターの原画など未公開のグラフィックアートの仕事を、このとき大量に展示した。それに加えて近作・新作の油彩画をまじえて、約700点におよんだ展覧会となったのである。 そのときに横尾さんは、瀬戸内寂聴さんの随筆風の連載「奇縁まんだら」(『日本経済新聞』)に、毎回、絵を入れたのを展示し、さらに会期中、一点一点、新聞社の担当者が館に届けてくれて、展示の壁には新作が加えられたのを、私は興味深くながめて楽しんでいた。 すでに寂聴さんの連載は、一年ほど前からはじまっていて、それに横尾さんが絵を入れていた。この段階までは「文主画従」のかかわりであった。寂聴さんの文章も人間の機微に触れて、実に面白く、また上手く書くものだなあと感心した。それでときどき新聞をコピーしては、帰りの電車のなかで読んでいたのを思い出す。 が、こんどは展覧会である。だから「画主文従」の関係になる。つまり新聞のときは文章の「挿絵」として見られたが、こんどは原画である。寂聴さんの文章を読んでいる人も、また読んでいない人も原画を見ることになるので、そこから先は鑑賞者が、その絵からどういう印象を抱くのかということになら。とにかく、わたしが横尾さんの描いた「文士の風貌」をまとめて見たのは、この展覧会がはじめてのことである。 いま思い起こすと、寂聴さんの文章だけではなく、横尾さんの作品に関しても、わたしはただ何となく憶えているという程度で、漠然とした記憶しかなかったといってもいい。だから画廊であらためて見ることにしたのであるが、お茶を頂戴していた雑談の折に、画廊主の青木康彦さんが、こんなことを口にされたのである。「一点一点、すべての絵のスタイルがちがうでしょう。横尾さんは意図して描いたのだといっていました・・・」と。 この話を聞いたときに、わたしはちょっとびっくりした。それまで漫然と見ていて、そのことに気づかなかったからである。なるほどそうかと思った。『横尾忠則さんへの手紙』2:パリでの横尾忠則展覧会『横尾忠則さんへの手紙』1:まえがき
2023.10.19
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『K氏の大阪弁ブンガク論』を読んでいるのだが、この本を「関西人の話法」シリーズに追加して復刻します。************************************************************<関西人の話法 R1>ノーベル賞受賞の中山教授が言っていたが、関西人の話し方がアメリカ人に受けるそうです。要するに関西人の乗りには国際感覚があるようだが、これには少なからず関西弁が貢献しているはずですね。とにかく、関西弁で相手との間合いをつめるという高等テクニックは馬鹿にならないと思うのです。ということで、中山教授のエピソードから、関西弁あるいは関西人の話法について究明しようではないかと思い立ったのです。図書館で借りて今読んでいる「大阪ことば学」も含めて、我が蔵書録などから「関西人の話法」という括りで集めてみます。・K氏の大阪弁ブンガク論(2018年)・勝手に関西遺産7(2015年)・大阪ことば学(1999年)・街場の大阪論(2010年)・全国アホ・バカ分布考(1996年)・西方冗土(1994年)R1:『K氏の大阪弁ブンガク論』を追加************************************************************【K氏の大阪弁ブンガク論】江弘毅著、ミシマ社、2018年刊<「BOOK」データベース>より国民的作家から現代の人気作家まで縦横無尽!長年街場を見つめてきた著者がボケてつっこむ!唯一無二のブンガク論。【目次】ブンガク論に入る前に、ちょっと地元のこと。K氏の場合。/日本ブンガクを席巻する関西弁の技法/黒川博行ブンガクを支える「口語」表現/『細雪』-大阪弁が現代文で書かれるようになった時代/『細雪』はグルメ小説や!/大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性/ほか<読む前の大使寸評>K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪rakutenK氏の大阪弁ブンガク論「起きりー! 朝やでぇ!」『K氏の大阪弁ブンガク論』3:尾野真千子の泉州弁『K氏の大阪弁ブンガク論』2:大阪語・標準語の書き分け『K氏の大阪弁ブンガク論』1:多様な関西弁************************************************************<勝手に関西遺産7>(勝手に関西遺産)では、関西弁がときどき取り上げられるが・・・・今回のは、関西弁ならではの高度なコミュニケーション術らしいでぇ、ようしらんけど♪(勝手に関西遺産)に「知らんけど」が出ていたので、見てみましょう。2015.9.9(勝手に関西遺産)自信たっぷり 責任ポイッより■知らんけど 「あのカレー屋、毎日行列できてるねんで、知らんけど」 関西の電車や喫茶店でおばちゃんらの会話をちょっと盗み聞き。聞こえてくるわ、聞こえてくるわ、「知らんけど」という言葉。さも見てきたかのように話し続け、最後にすべての責任を投げ捨てる。話し相手の全身を脱力させる言い回し。 これって関西独特らしい。大阪生まれの記者もよくよく考えてみると……、たしかに使っている! 10~20代の関西人に尋ねてみても、「よく使う」とのこと。幅広い年代で口をついて出てくるようだ。 吉本新喜劇のギャグにもなった。大阪のおばちゃんキャラ「すち子」が人気のすっちーさんの座長公演。大坂の陣を題材にした「君臣豊楽 淀殿の見た夢」という芝居で、すっちーさん扮するお茶屋のおばちゃんが、秀吉がどうした、淀君がこうした、と自信たっぷりにしゃべり続けた最後に「知らんけど」。もちろん周りは「知らんのかい!」とツッコミ、笑いが起きる。 「一見深刻なことを言うて、最後に全然違う方向に行く。新喜劇のボケと似てるところがある」とすっちーさん。「日常にお笑いがあふれ返ってる関西だからこそ、生まれた言葉ですよね」 この言い回し、いつごろから使われるようになったのか。 日本漢字能力検定協会の佐竹秀雄・現代語研究室長は「いつごろかははっきりしないが」と前置きしながら、「それほど古いものではない。テレビでワイドショーが盛んになったころからでは」と推理する。テレビでやってた、でも断言できないようなうわさ話を内輪で楽しむときに使ったのでは、とみる。 「ただし、『大阪弁おしゃべり検定』があったとしたら、これは3級の使い方。変形してもっと上手に活用している人もいます」と佐竹室長は言う。 ワンランク上の使い方とは、「知らんけど」の前に、これまた関西特有の言葉「よう」をつけた「よう知らんけど」。こうすると内容のあいまいさに拍車がかかる。しかも、本当は自分がどこまで知ってるかの判断まで話し相手に押しつけている。 「立場が強い人に対して、言いにくいこと、まともに言うと角が立つような本音をカムフラージュできるのです」と教えてくれた。たとえば、怠けている上司に向かって、「課長、最近、仕事さぼってばっかりやって言われてるらしいですよ、よう知らないんですけど」と、たしなめる感じなんでしょうか。 ただ、どんな相手、どういう場面で「よう知らんけど」を繰り出すかは、絶妙なバランス感覚が求められるとも。「下手をしたら、人間関係が壊れてしまう。使いこなせるようになったら、検定1級ですね」 この言い回しって、状況や関係性を大事にする関西弁ならではの高度なコミュニケーション術だったんですね、よう知らんけど。(向井大輔)関西弁についてもうひとつ、勝手に関西遺産5から再掲します。 「んなあほな」とは上方落語協会の情報誌のタイトルなのだそうです。2015.5.27((勝手に関西遺産)ツッコむだけちゃうねんより ■んなあほな 18歳のときに関西で暮らし出した。「ほかす、って放っておくことじゃないの?」「煮抜き、ってゆで卵なの?」。学校でもバイト先でも、数え切れないカルチャーショックを覚えた日々。 この言葉の、独特の響きを耳にしたときのことも忘れられない……、って、あれ? いつやっけ。大阪の寄席、天満天神繁昌亭で、五つのひらがなが並んでいるのをはっきり意識したのは間違いないんやけど。 「んなあほな」 見かけたのは上方落語協会の情報誌、そのタイトルなのだ。笑福亭仁鶴さんの弟子、笑福亭仁勇さん(56)の案だったそう。「『ん』で始まるから、目立つと思ったんですよ」と命名者は明かす。 「いきなり『あほな』はキツいけど、前に『んな』って付けると、ノリツッコミのようになるんじゃないかなあ。『そんなあほな』の『そ』がかすれたんでしょうね」。関西のツッコミ文化の一翼を担う言葉だ。 子どもたちが落語に取り組んでいる上荘小学校(大阪府阪南市)の授業参観で、女の子のこんなしゃべりにウケたなあ。 「一万てな年の人がこの世の中におるんか」「おったらオモロイやろなあ」「あんた、おいくつです?」「わたし、一万です」「一万とはお若く見える。どー見ても、九千九百九十七!」「んなあほな」 頭ごなしに否定するんじゃなく、ボケを受け止め、ちょっと楽しむゆとりさえ感じませんか。落語家の桂文珍さん(66)は実に雄弁である。 「しょっちゅう会話で使うけど、相手を愚弄しているわけじゃない。商取引でも使うような、ファジーさがあってね。関西の楽しい言葉、成熟した文化から生まれた柔らかい言葉でしょう。ほかの地域では、あまり受け入れられていないが故のいとおしさを持っているんですよ」 「それにね、常識に対する非常識のような『んなあほな』ことから新しいビジネスや発見、発明が生まれることがある。そんなことを考えられる人は良い意味ではクリエーターやけど、社会性を欠いていれば『あほ』。紙一重やけどね」 おっ、奥深いなあ。あきれた「んなあほな」もあるけど、これまでの考えをくつがえす新たな視点を面白がる土壌と、どこかでつながっているのかもしれない。 もとい、そもそも「ん」で始まる日本語って、ほかにあるのか? 広辞苑に「ん」の欄はささやかにあった。「ンジャメナ」「んす」「んず」「んとす」。なんのこっちゃ。「んなあほな」の方がはるかにポピュラーな気がするけどなあ。 こんな遊びはいかが。ほかす、粋(すい)、いかつい、いんじゃんほい、いちげん、んなあほな。関西のしりとりは、「ん」で終わる言葉をだれかが言っても「んなあほな」と続けられる。すかさず「なんでやねん」とツッコんで、負け?!(篠塚健一)****************************************************************************【大阪ことば学】尾上圭介著、創元社、1999年刊<「BOOK」データベースより> 客のややこしい注文には「惜しいなあ、きのうまであってん」と切り返す。動物園のオリの前の立て札には「かみます」とだけ書いてある。距離をとらずにさっぱりと、聞いて退屈せんように、なんなと工夫して話すのでなければ、ものを言う甲斐がない。誤解されがちなことばの意味と背後にある感覚を、鋭く軽快に語る大阪文化論。<大使寸評>とにかく、関西弁に対する言語学的アプローチがええでぇ♪Amazon大阪ことば学この本から笑いのあたりを紹介します。<相手との距離の近さ>p170~173 大阪弁は、ことばそのものにおかしみがある。大阪人が二人寄ったら漫才になる、などと言われることがある。たしかに、大阪のことばで話すと笑いがふくらむし、大阪の人の会話には笑いが絶えない。これはなぜであろうか。 人はことばでものを感じ、考え、ことばでひとと接触し、ことばで自己を表現する。ある都市、ある地域のことばの特徴と言われるものは、実はその地域の人のものの感じ方や考え方、ひととの接触のしかた、自己表現のしかたとといったものの特徴にほかならない。 まず第一に、「相手との距離の近さ」ということについて。 近鉄あべの橋駅の切符の自動販売機で、釣り銭が多く出過ぎてびっくりしている女子学生にむかって、隣の列のおじさんがすかさず「まあ、姉ちゃん、安う乗んなはれ」と声をかけたという話を前に紹介したが、大阪の人は、ひととの間に壁を作らず、心理的に距離をとらない傾向が高い。それは、自分と相手とが同じ所に立って、同じ角度でものを見る感覚と言ってもよいもので、「まあ、そない言わんと、堪忍したって」というように、自分が自分のために人に頼むときにすらあたかも第三者のために頼んでやっているかのような言い方をするということにも表れているところである。 そのような感覚は「はよせんかいな」という言い方に見られるとおり、相手を非難するときですら「な」という助詞を使って相手と同じ位置に立ち、相手の肩を抱いて同意を確かめるような姿勢を維持するというところにも見られるのであった。 相手との間の壁を取り去るようにものを言うという傾向は語法にまで表れていて、垣根をはずして自分の手の内を相手に見せる言い方である「ノヤ」由来の「ネン」がきわめて頻繁に使われ、この語法の好まれ方は「あるネン」に平行して「あっテン」という語法まで発明されているほどである。(中略) 大阪の人の会話を支配する「相手との距離の近さ」や「相手との共同作業の感覚」というべき特徴は、言うまでもなく、笑いにとっての基本的な要素である。笑いというものが、相手との間に共通の感覚を確認しあう社会的な行為である以上、右のような相手との一体感は、笑いの基盤であるにちがいない。****************************************************************************【街場の大阪論】江弘毅著、新潮社、2010年刊<「BOOK」データベース>よりスタバはないがお好み焼き屋があり、缶ビールを24時間売っているコンビニはないが朝からやってる立ち呑み屋があり、ヤクザが徘徊し、おばはんの立ち話が続く。そんな「大阪の街場」のリアルなコミュニティと、そこで生きていくおもしろさを、岸和田に生まれ育ち、関西有数の雑誌の名物編集長だった著者が、ラテンのノリで語る。大笑いしながら考えさせられる大阪発スーパーエッセイ。 <大使寸評>「カーネーション」の世界で育ち、ベタな大阪を描いてるでぇ♪著者に「関西人は話す言葉と書き言葉はちがう」と言われると、ハタと納得するのです。Amazon街場の大阪論この本から「関西弁で書くということ」を紹介します。<関西弁で書くということ>p136~138 常々「大阪弁(関西弁)で書くこと」について考えている。 つい先日は『ダ・ヴィンチ』11月号で「関西ダ・ヴィンチ-あほあほ関西弁のちょっぴり真面目放談」という座談会をやることになった。 その座談会は、このところ新しい大阪弁感覚の小説で売れまくっている西加奈子さんと、高村薫さんをして「大阪弁をシリアスな小説のなかにきちんとはめ込む、そういう芸当のできる作家は、わたくしの世代では黒川さんしかおられないではないでしょうか」と言わしめたミステリー作家の黒川博行さんとの三人でやらせていただいたが、なかなか「大阪弁による書き言葉」は、複雑で奥が深いものがある。 わたしは今、この文章を関西弁、つまり正確には大阪弁のイントネーションとアーティキュレーション(言語の文節化)で書いているが、せやけど大阪弁でやなあ書いておもろいかどうかなんかわかりまへんがな、とは書かない。 このような表記では、われわれ日常的に大阪弁を喋って生活している者にとっても、読みにくいからだ。これはとても微妙なことなのだが、どうしても実際の話される言葉のまま文章にする、つまり表記したい時には、会話のなかの引用文として「」でくくったりしている。 よくいわれることだが、関西弁を母国語とする関西人は、言文一致体を持っていない。話す言葉と書き言葉はちがうということだ。けれども、イントネーション&アーティキュレーション的には、話すにしろ書くにしろ、どちらも関西弁である。 また書かれたものを読む時は、新聞や週刊誌の記事も、太宰治の『走れメロス』も宮沢賢治の『永訣の朝』も、関西弁つまり関西イントネーションで読んでいるし、何かを思ったりものを考える時も関西弁である。 そんなことを三人で話していて、そうだそうだと納得しあっていたが、どうもそうではないらしい。 本渡章さんという人の『大阪人のプライド』という本を読んでいると、ある大学教授による大阪弁話者についての文章引用があって「考えるときは標準語でものを考える」「考えるときは書きことばで考える」とある。 さらに本渡氏は「思考はものを書くのと似た作業だし、頭のなかで行われ、声をとうさないから話し言葉ではなく、書き言葉が使われる」「大阪弁は書き言葉にしにくい。だから、ものを考えるには標準語がよい」ということが書いてあった。 さらに「大阪人は、標準語と大阪弁の二重生活を日々おくっている」と述べていて、結論として「標準語をしゃべる大阪人は『まじめ』にものを考える。大阪弁をしゃべる人間は『反まじめ』モードで考える。言葉の二重生活をする大阪人はしばしば『まじめ』と『反まじめ』の間で遊びながら考える」と締めくくっていた。****************************************************************************【全国アホ・バカ分布考】松本修著、新潮社、1996年刊<「BOOK」データベースより>大阪はアホ。東京はバカ。境界線はどこ?人気TV番組に寄せられた小さな疑問が全ての発端だった。調査を経るうち、境界という問題を越え、全国のアホ・バカ表現の分布調査という壮大な試みへと発展。各市町村へのローラー作戦、古辞書類の渉猟、そして思索。ホンズナス、ホウケ、ダラ、ダボ…。それらの分布は一体何を意味するのか。知的興奮に満ちた傑作ノンフィクション。 <大使寸評>番組に依頼した人の着眼がよかったのか、それを採用し追及させた松本修プロデューサーが偉かったのか♪Amazon全国アホ・バカ分布考ノンフィクション100選★全国アホ・バカ分布考|松本修 全国アホ・バカ分布図byドングリ****************************************************************************【西方冗土】中島らも著、集英社、1994年刊<「BOOK」データベース>より「ヤクザ、アキンド、ヨシモト」マスコミに描かれる関西人は三つの人種のみで、かれらは「けつねうどん」と「たこやき」を主食にしており「わやでんがな」などの、奇怪な言葉を操りつつ「がめつい奴」を演じている―という、恐るべきカンサイ人の朝昼夜。街角の看板、貼り紙。試験に出る関西弁を縦横無尽、奇想天外に考察し、関西人にエールを贈り、ヨタを飛ばすエッセイ集。浪速はこれ一冊でわかります。<大使寸評>関西弁のブラッシュアップにはお奨めの1冊でおま♪Amazon西方冗土
2023.10.19
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『K氏の大阪弁ブンガク論』という本を読んでいたら、尾野真千子さんがNHKドラマ「カーネーション」で喋る泉州弁のことが載っていたのです。ということで、この本をくわえて「尾野真千子の世界」を復刻してみます。*********************************************************NHK土曜ドラマで『夏目漱石の妻』が放映中であるが・・・尾野真千子が演じる妻の存在感が圧倒的である。 今では飛ぶ鳥を落とすような尾野真千子さんであるが、ブレークの原点は朝ドラの「カーネーション」でしたね。このドラマの岸和田弁で、ツイッターの糸子botが毎朝「起きりー! 朝やでぇ!」と怒鳴っているので・・・・大使も、それに負けないように怒鳴りかえしているのです♪ということで、尾野真千子あれこれを集めてみました。・K氏の大阪弁ブンガク論(2018年)・夏目漱石の妻(2016年)・きみはいい子(2015年)・夫婦善哉(2013年)・そして父になる(2013年)・カーネーション(2012年)・トロッコ(2010年)【K氏の大阪弁ブンガク論】江弘毅著、ミシマ社、2018年刊<「BOOK」データベース>より国民的作家から現代の人気作家まで縦横無尽!長年街場を見つめてきた著者がボケてつっこむ!唯一無二のブンガク論。【目次】ブンガク論に入る前に、ちょっと地元のこと。K氏の場合。/日本ブンガクを席巻する関西弁の技法/黒川博行ブンガクを支える「口語」表現/『細雪』-大阪弁が現代文で書かれるようになった時代/『細雪』はグルメ小説や!/大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性/ほか<読む前の大使寸評>K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪rakutenK氏の大阪弁ブンガク論『K氏の大阪弁ブンガク論』3:尾野真千子の泉州弁『K氏の大阪弁ブンガク論』2:大阪語・標準語の書き分け『K氏の大阪弁ブンガク論』1:多様な関西弁【夏目漱石の妻】NHK土曜ドラマ、2016年放映<最終回「たたかう夫婦」予告>より最近夏目金之助(漱石:長谷川博己)が女流作家の大塚楠緒子(壇蜜)と親しくしていると知った鏡子(尾野真千子)は、気分が穏やかでなかった。そんなある日、夏目家に親しく出入りしていた足尾銅山の元坑夫・荒井(満島真之介)が、鏡子のいとこの山田房子(黒島結菜)から借金したまま姿を消す。房子と荒井の行方を捜す鏡子。一方その頃から小説の執筆で忙しくなった金之助は、持病の胃の病の療養のために静岡の修善寺に行くが…。<大使寸評>漱石の神経質な演技が、演技過剰ではないかと思えるほどの熱演であるが・・・鏡子(尾野真千子)の演技が、漱石に負けず図太い演技で、より印象深いのである。あの偏屈な漱石さんが「歯茎を見せて笑う女」として意識したそうだが・・・尾野真千子の演技がええでぇ♪nhk「夏目漱石の妻」HP『夏目漱石の妻』byドングリ【きみはいい子】呉美保監督、2015年、H28.1.1観賞<Movie Walker映画解説>より中脇初枝の同名小説を原作に「そこのみにて光輝く」の呉美保監督が映画化した群像劇。とある町に暮らし、様々な悩みや問題を抱えて生きる人々が人と人とのつながりに光を見いだし、小さな一歩を踏み出すさまを映し出す。出演は「横道世之介」の高良健吾、「そして父になる」の尾野真千子、「そこのみにて光輝く」の池脇千鶴、高橋和也、「盗まれた欲情」の喜多道枝、「ドライブイン蒲生」の黒川芽以、「おおかみこどもの雨と雪」の加部亜門、「もらとりあむタマ子」の富田靖子。<大使寸評>親のストレスを子供にぶつけようとする母(尾野真千子)の形相が、こわ~い。また、学校の先生に、精神疾患が増えているそうだが、わかるような気がします。それにしても小学生を演じる子役たちの自然な演技が、憎らしくなるほど上手いのだ。Movie Walkerきみはいい子【夫婦善哉】NHK土曜ドラマ、2013年放映<ストーリー>より大正から昭和へ、大阪が日本一華やかだった時代。その街の片隅で、居場所を失い、自らが招いたのか何一つ報われない男と女―――柳吉と蝶子、あほな二人が繰り広げる究極のラブストーリー。陽気で、迂闊で、一途な あほな女が、不甲斐ない、身勝手な、やさぐれた あほな男と、恋に落ち、何度も裏切られ、何度も傷ついて、でも、また惚れて・・・切っても切れない腐れ縁河童横丁、梅田新道、曽根崎新地、法善寺横丁―――華やかなりし大阪の歓楽街の片隅で、ヤトナ、関東煮屋、カフェー、化粧品問屋と、さまざまな職を転々と、やがて二人は、新天地・別府へ!<大使寸評>追って記入nhk「夫婦善哉」HP【そして父になる】是枝裕和監督 2013年制作<Movie Walker作品情報>より6年間愛情を注ぎ、育ててきたわが子が、もし他人の子だったら? 突然、過酷な現実にさらされた2組の夫婦の姿を映し出すヒューマンドラマ。『誰も知らない』の是枝裕和監督が、福山雅治を主演に迎えた深遠なドラマは、第66回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されるや、審査員賞に輝いた。<観る前の大使寸評>ドキュメンタリーを意識した監督が、ライフワークのように描くテーマ、家族とはどんなかな?・・・近日中に観に行く予定です。Movie Walkerそして父になるそして父になる・公式サイトさようなら「カーネーション」より朝ドラ「カーネーション」が終わったけど・・・carnation_bot(ツイッター管理者)からていねいな挨拶がありました。岸和田弁を広め、元気を与えてくれたbotに拍手♪@carnation_bot: 〈管理者より〉ついに連続テレビ小説カーネーションが最終回を迎えました。今までこのbotを楽しんでくださったフォロワー(それ以外も)の方々には心から感謝いたします、ありがとうございました。放送が終わったら絶対にお礼を伝えたいと思い、このアカウントからご挨拶させて頂きます。(続)1 私事ですが、自分は関西の人間でありながら岸和田言葉に関しては自信のないことが多く、皆さんにご指摘やお知恵をもらい助けても頂きました。また、個人的に管理に時間をさき難い時期なども、数多くの温かいメッセージに後押しされ、更新の大きな遅れもなく半年を終える事ができました。(続)2ドラマは終わり、更新がなくなり、管理上大きく手を加えることはなくなりますが、今後もアカウントはそのままで、botの発言も続けます。(本家からの苦情等がない限りw)そしてbot宛の質問やメッセージ等へのお返事も、時間はあいてしまうでしょうが、これまで通り行うつもりです。(続)3 最後に。このツイートが届くことがあるかどうかわかりませんが、ドラマ出演者の方々、スタッフの皆様、そして渡辺あやさん、そしてそして3人の糸ちゃん、素敵な素敵な半年間をありがとうございました。本当にお疲れ様でした。このbotを管理できたこと、幸せでした。(続)4【トロッコ】川口浩史監督、2010年制作<goo映画解説>より父を亡くした年の夏、敦(あつし)と凱(とき)の兄弟は母に連れられて、初めて父の故郷である台湾の小さな村を訪れ、祖父母に温かく迎えられる。敦は亡き父が大切にしていた古い写真にトロッコと写る少年が遥か昔の幼い祖父の姿だと知る。山林を走るトロッコに乗れば日本へ行けると信じていたと懐かしそうに語る祖父。ある日、母に置き去りにされるのではないかと不安を募らせた敦は凱を連れてトロッコに乗り込む。<大使寸評>台湾の景色のすばらしさが、よく表れています。ところで、この映画に母親役で尾野真千子が演じていたことを、最近になって知ったのです。movie.walkerトロッコ映画『トロッコ』予告編
2023.10.18
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図書館で『えんとつ町のプペル』という本を、手にしたのです。業界の常識を覆す完全分業制によるオールカラー絵本!・・・とのことだが、吉本総合芸能学院 (NSC) の22期生にして、お笑いタレント、絵本作家、漫才コンビ・キングコングのツッコミ担当という経歴が異色である。【えんとつ町のプペル】 西野亮廣著、幻冬舎、2019年刊<出版社>よりペン一本で描いたモノクロ絵本で世界を圧倒したキンコン西野が、業界の常識を覆す完全分業制によるオールカラー絵本!「信じぬくんだ。たとえひとりになっても。」4000メートルの崖にかこまれ、そとの世界を知 らない町がありました。町はえんとつだらけ。<読む前の大使寸評>業界の常識を覆す完全分業制によるオールカラー絵本!・・・とのことだが、吉本総合芸能学院 (NSC) の22期生にして、お笑いタレント、絵本作家、漫才コンビ・キングコングのツッコミ担当という経歴が異色である。rakutenえんとつ町のプペルこの本にはページ数が書かれてないので、栞を挟むかだいたいの目安を覚えておくしかないのです。<だいたい40%あたり> つぎの日、ペプルとルビッチは、えんとつのうえにのぼりました。「こわいよ、ルビッチ」「しっかりつかまっていれば、へいきさ。だけど突風がふくから、おとしものには気をつけてね」「なにかおとしものをしたことがあるの?」「うん。父ちゃんの写真がはいった銀のペンダント。父ちゃんの写真はあれ一枚しかのこっていないのに、さがしてもみつからなかったんだ」 ルビッチはドブ川をさしていいました。「あのドブ川におちたのさ」「ねえ、ペプル、『ホシ』って知ってるかい」「ホシ?」「この町は煙でおおわれているだろ? だからぼくらには、みることができないけど、あの煙のうえには『ホシ』と呼ばれる、光りかがやく石っころが浮かんでいるんだ。それも一個や二個じゃないよ。千個、一万個、もっともっと」「そんなバカなはなしがあるもんか。ウソっぱちだろ?」「・・・ぼくのとおちゃんが、その『ホシ』を見たんだ。 とおくの海に出たときにね、ある場所で、頭のうえの煙がなくなって、そこには光りかがやく『ホシ』がたくさん浮かんでいたんだって。 町のひとはだれも信じなくて、父ちゃんはうそつき呼ばわりされたまましんじゃゃったんだ。 でも、父ちゃんは『煙のうえにはホシがある』っていってね。ホシをみる方法をぼくにおしえてくれたんだよ」 ルビッチはくろい煙をみあげていいました。「信じぬくんだ。たとえひとりになっても」この絵本はキンコン西野の好意で絵本『えんとつ町のプペル』を全ページ無料公開しますで見ることができます。
2023.10.18
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今回借りた4冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・塹壕の戦争1914-1918・えんとつ町のプペル・横尾忠則さんへの手紙・ゆく川の流れは、動的平衡<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【塹壕の戦争1914-1918】タルディ著、共和国、2016年刊<「BOOK」データベース>より戦記コミックの金字塔。第一次世界大戦の“リアル”を徹底的に描き出して、「コミックのアカデミー賞」と呼ばれるアイズナー賞を受賞したフランスの巨匠タルディの代表作、ついに日本初上陸。この戦場の“リアル”を直視することから、いま、私たちの現代史は幕を開ける。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると、モノクロの漫画で・・・戦場の過酷さと汚さと無慈悲さが延々と続いています。吹き出しの台詞は滑稽なほどシニックではあるが戦争を呪っていることはわかります。<図書館予約:(10/08予約、副本1、予約0)>rakuten塹壕の戦争1914-1918【えんとつ町のプペル】 西野亮廣著、幻冬舎、2019年刊<出版社>よりペン一本で描いたモノクロ絵本で世界を圧倒したキンコン西野が、業界の常識を覆す完全分業制によるオールカラー絵本!「信じぬくんだ。たとえひとりになっても。」4000メートルの崖にかこまれ、そとの世界を知 らない町がありました。町はえんとつだらけ。<読む前の大使寸評>業界の常識を覆す完全分業制によるオールカラー絵本!・・・とのことだが、吉本総合芸能学院 (NSC) の22期生にして、お笑いタレント、絵本作家、漫才コンビ・キングコングのツッコミ担当という経歴が異色である。rakutenえんとつ町のプペル【横尾忠則さんへの手紙】 酒井忠康著、光村図書出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より冒険王・横尾忠則氏へ捧げる、美術評論家・酒井忠康氏からの11篇のエール。【目次】第1章 夢の水脈=N氏への手紙/第2章 横尾さん、がんばれよ!/第3章 視覚の鏡ーY氏への手紙/第4章 「未完の横尾忠則ー君のものは僕のもの、僕のものは僕のもの」展記念対談/第5章 ラッピング電車に思う/第6章 横尾忠則氏が描く「文士の風貌」/第7章 滑らかな空気の層/第8章 横尾忠則ー猛暑の夕べに(U君への手紙)/第9章 横尾忠則の挑戦/第10章 公開制作って、何?(Hさんへの手紙)/第11章 相聞往来ー横尾忠則と柴田錬三郎<読む前の大使寸評>横尾忠則さんは絵画やエッセイなど多作のアーティストであるが、この本の著者は横尾さんの創造への情熱をどう捉えたのか?rakuten横尾忠則さんへの手紙【ゆく川の流れは、動的平衡】 福岡伸一著、朝日新聞出版、2022年刊<「BOOK」データベース>より自然、芸術、暮らし…日常に生起する感慨をスケッチし、生命の動的平衡と利他性のつながりを表す。著者の魅力がたっぷり詰まった珠玉のエッセイ集。朝日新聞連載『福岡伸一の動的平衡』待望の書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入rakutenゆく川の流れは、動的平衡図書館大好き613
2023.10.17
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・小川哲『地図と拳』(2/01予約、副本6、予約196)現在4位・ジンセイハ、オンガクデアル(2/10予約、副本1、予約15)現在2位・村上龍『ユーチューバー』(5/20予約、入荷待ち)現在10位・『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』(5/23予約、副本1、予約26)現在4位・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、副本1、予約55)現在30位・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在394位・多和田葉子『白鶴亮翅』(8/2予約、副本?、予約57)現在15位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在296位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在141位・ブレイディみかこ『リスペクト』(9/05予約、副本?、予約46)現在22位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在113位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在379位<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・養老孟司『形を読む』・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・菊間晴子「犠牲の森で」・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・斎藤環『社会的ひきこもり』・ひさうちみちお『パースペクティブキッド』・松里公孝『ウクライナ動乱』・吉岡桂子『鉄道と愛国』:図書館未収蔵・村上春樹, 柴田元幸著『翻訳夜話』・南海トラフ地震の真実<予約分受取:6/22以降> ・山本佳典『羊と日本人』(6/17予約、6/22受取) ・宮脇淳子『 満洲国から見た近現代史の真実』(7/01予約、7/09受取)・阿川佐和子『 老人初心者の覚悟』(7/18予約、7/26受取)・スヴェン・ベッカート『綿の帝国』(6/14予約、8/16受取)・カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(8/31予約、9/06受取)・小松左京『大震災'95』(9/02予約、9/06受取)・西加奈子『くもをさがす』(5/10予約、9/06受取)・村上春樹『うずまき猫のみつけかた』(9/26予約、10/04受取)・タルディ『塹壕の戦争1914-1918』(10/08予約、10/14受取)**********************************************************************【地図と拳】小川哲著、集英社、2022年刊<「BOOK」データベース>より「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野…。奉天の東にある“李家鎮”へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/01予約、副本6、予約175)>rakuten地図と拳【ジンセイハ、オンガクデアル】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2022年刊<「BOOK」データベース>より貧困層の子どもたちが集まるいわゆる「底辺託児所」保育士時代の珠玉のエッセイ。ゴシック文学的言葉を唱え人形を壊すレオ。「人生は一片のクソ」とつぶやくルーク。一言でわたしの心を蹴破ったアリス。貧窮、移民差別、DV。社会の歪みの中で育つ、破天荒で忘れがたい子どもたち。パンクスピリット溢れる初期作品。『アナキズム・イン・ザ・UK』の一部に大幅増補。映画・アルバム評、書評を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/10予約、副本1、予約15)>rakutenジンセイハ、オンガクデアル【ユーチューバー】村上龍著、幻冬舎、2023年刊<出版社>より20代半ばにしてデビューをした作家・矢崎健介、70歳になった。「世界一もてない男」を自称するユーチューバーが、矢崎をユーチューブに誘う。承諾した矢崎が語り出したのは、自由である人間について。自由な人間は滅多にいないのだと言った。自由であるということは、唯一の希望を生む。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/20予約、入荷待ち)>rakutenユーチューバー【千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話】済東鉄腸著、左右社、2023年刊<「BOOK」データベース>より日本どころか千葉の実家の子供部屋からもほとんど出ない引きこもりの映画オタクの下に差し込んだ一筋の光、それはルーマニア語ールーマニア人3000人に友達リクエストをしてルーマニアメタバースを作り猛勉強、現地の文芸誌に短編小説を送りつけ、『BLEACH』の詩へのリスペクトと辞書への愛憎を抱きながらルーマニア語詩に挑戦する。受験コンプレックス、鬱、クローン病。八方塞がりの苦しみから、ルーマニア語が救ってくれた。暑苦しくって切実で、好奇心みなぎるノンフィクションエッセイ。千葉の片隅から、魂の故郷・ルーマニアへの愛を叫ぶー。本、映画、音楽…ルーマニアックのための巻末資料も収録!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/23予約、副本1、予約26)>rakuten千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話【台湾漫遊鉄道のふたり】楊双子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より昭和十三年、五月の台湾。作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴と台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。ただ、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子の焦燥感は募り…国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差。あらゆる壁に阻まれ、近づいては離れるふたりの旅の終点はー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/23予約、副本1、予約55)>rakuten台湾漫遊鉄道のふたり【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【白鶴亮翅】多和田葉子著、朝日新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>よりベルリンで一人暮らしをする美砂は、隣人Mさんに誘われて太極拳学校へ。さまざまな文化的背景の人びととの出会い、第二次大戦前後のドイツと日本の歴史に引き込まれ、名作を女性の視点で読み直す。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/2予約、副本?、予約57)>rakuten白鶴亮翅【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【リスペクト】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2023年刊<「BOOK」データベース>より2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとした小説。ホームレス・シェルターに住んでいたシングルマザーたちが、地方自治体の予算削減のために退去を迫られる。人種や世代を超えて女性たちが連帯して立ち上がり、公営住宅を占拠。一方、日本の新聞社ロンドン支局記者の史奈子がふと占拠地を訪れ、元恋人でアナキストの幸太もロンドンに来て現地の人々とどんどん交流し…。「自分たちでやってやれ」という精神(DIY)と、相互扶助(助け合い)と、シスターフッドの物語。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/05予約、副本?、予約46)>rakutenリスペクト【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2023.10.17
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図書館で『K氏の大阪弁ブンガク論』という本を、手にしたのです。K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪【K氏の大阪弁ブンガク論】江弘毅著、ミシマ社、2018年刊<「BOOK」データベース>より国民的作家から現代の人気作家まで縦横無尽!長年街場を見つめてきた著者がボケてつっこむ!唯一無二のブンガク論。【目次】ブンガク論に入る前に、ちょっと地元のこと。K氏の場合。/日本ブンガクを席巻する関西弁の技法/黒川博行ブンガクを支える「口語」表現/『細雪』-大阪弁が現代文で書かれるようになった時代/『細雪』はグルメ小説や!/大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性/ほか<読む前の大使寸評>K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪rakutenK氏の大阪弁ブンガク論「起きりー! 朝やでぇ!」第9章「泉州弁で描ききる先端性」で尾野真千子の泉州弁を、見てみましょう。p194~196<なるほど、方言指導は「カーネーション」の林英世さん> そんなK氏は早速Twitterに「『村上海賊の娘』の泉州弁は最高。和田竜はすごく泉州弁に精通している。研究をしているのか」と呟いた。岸和田以南で使われる「チャル」言葉、すなわち「見せちゃらんかい」「やっちゃる」などの使い方が的確すぎる。 すると反応が早いリツイートの中に、前にも登場いただいている「役割語の研究」でおなじみの大阪大学の金水敏教授から「あの小説は林さんが方言指導したんです。知らなかったの?」とリプライがあった。 林さんというのはNHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』で方言指導をした、女優の林英世さんのことである。『カーネーション』はデザイナーのコシノ三姉妹を育て上げた小篠綾子の生涯を描いた2011~12年の連ドラで、放送されるやいなや全国で話題になり、ギャラクシー賞に輝いた名作だった。 とくに開始早々だんじりの豪快な遣り回し曳航のシーンとともに特徴ある岸和田弁がオンエアされ、「ユニークな関西弁」と喝采を浴びた。「抑揚がかわいい」という評価もあって、K氏は「ほんまかえ」と訝ったが、まんざらでもないと思った。 何を隠そうこの連ドラで多用されるだんじり祭のシーンは、K氏が参加している五軒家町のだんじりを太秦映画村に持っていって撮影したものだ。「(父親役の)小林薫に、だんじりにタカるとこの演技指導しちゃったんや」というのがK氏の自慢だ(ほんまかいな、と思うが事実とのことだ)。 泉州弁の方言指導を受け持った林英世さんはK氏の岸和田高校の後輩であり、太秦での撮影の際にも真っ先に「Kさん。こんなんですが、これでええですか」と台本を持ってきた。それは他所の言語話者にもわかりやすく類推しやすい見事な岸和田弁で、「ええんちゃうか」とK氏は目を細めて頷いた。同時に「ええんかいな、こんなん放送して」と思った。 林さんはすべての台詞をあらかじめ自分でボイスレコーダーに録音して出演者たちに聞かせた。とくに主人公に扮する尾野真千子には目の前で岸和田弁を聞かせて指導した。 NHK大阪放送局制作の番組では、俳優の喋る大阪弁イントネーションが「らしくない」だけで「大阪弁がおかしいから見たくない」と如実に視聴率に跳ね返る。制作にあたって林さんは、プロデュ―サーにまず「何とかして大阪弁をクリアしたいんです」と言われた。 だんじりの岸和田旧市エリアはとくに地元意識が強いからそのハードルは高くなる。俳優が下手な岸和田弁を喋ろうものなら、「んなもん、あっかえ。だんじりちゃうわい。で一発退場やな」とはK氏の弁である。「本番でその都度目の前で方言指導するのですが、尾野真千子ちゃんは耳が良いので、きっちり口真似以上のものを言ってくれました」と林さん。ええ話である。 視聴率も抜群で大成功をおさめ、さらに「岸和田弁って面白い言語だ」と人々を魅了した『カーネーション』の放送が終了して二年弱。今度は時代小説の盟主である和田竜さんの『村上海賊の娘』が出版されたのだ。「おー、これ読んでみぃ。めちゃおもろいど、祭で言うてる丸出しの泉州弁や」と、ことあるたんびに岸和田の知人友人に吹聴していたK氏であるが、その方言指導をしでかしたのがまた林さんなのだということを知ると、「え~、これも、お前やったんかぁ!」と即座に林さんに電話した。この本も「尾野真千子の世界」に収めるものとします。『K氏の大阪弁ブンガク論』2:大阪語・標準語の書き分け『K氏の大阪弁ブンガク論』1:多様な関西弁
2023.10.16
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図書館で『編集思考』という本を、手にしたのです。アマゾンやフェイスブック(メタに改名)など私が敵視するGAFAと対抗するには、この種の本を読む必要があるのではなかと思い、チョイスしたのです。【編集思考】佐々木紀彦著、ニューズピックス、2019年刊<商品説明>より「編集」は、ビジネスにこそ必要だ!モノがあふれた時代、新たな価値を生み出す手法として注目を集める「編集」。NewsPicks初代編集長を務めた佐々木紀彦が、17年間の編集者としての経験をもとに体系化した「編集思考」は選ぶ・つなげる・届ける・深めるの4つのステップからなる。斬新なイノベーションを生み出したい人、どんな状況にも対応できるユニークなキャリアが欲しい人、新たなビジネスモデルを開発したい人、全ビジネスパーソン必読の新時代の1冊。<読む前の大使寸評>アマゾンやフェイスブック(メタに改名)など私が敵視するGAFAと対抗するには、この種の本を読む必要があるのではなかと思い、チョイスしたのです。rakuten編集思考「第5章 編集思考の鍛え方」で、儲け話の実践力を見てみましょう。p269~272<行動4:アウェーに遠征する> (前略) ビジネスパーソンであれば、中国は必須科目です。10倍の人口が毎日トライ&エラーしている国から、参考になる例が出てこないわけがありません。日本ではメディアの中国報道が貧弱なため、中国の進化に気づくのが遅れてしまいました。世界に置いていかれないためにも、自ら貪欲に中国の情報を取りに行ったほうがいいでしょう。 海外に行かずとも、不断の生活にもアウェーはあります。 私が最近、アウェー感を強烈に感じたのは、経済同友会の懇談パーティーです。経済同友会は錚々たる企業のトップが集まる場なのですが、今年から若手のノミネートメンバーとして私も参加できることになりました。ただし、会員の中で、30~40代のメンバーは1割もいません。数百人はいようかというメンバーの中心は60代。父親と同じくらいの年齢の方も多い中で、所在なくウロウロしてしまいました。日本で味わう久しぶりのアウェー感でした。 ただ、その場に立ち合って、たくさんのチャンスが見えてきました。上の世代の中でも、若い発想が欲しい。若い人を活かしたいと本気で思っている人は多くいます。しかしながら、若い人が委縮したり、異世代がフラットに交ざり合う場がないため、世代間の融合が起きにくくなっているのです。だからこそ、自分が率先して世代の融合をプロデユースしていこうと思えました。これも、アウェーに身を置いたから生まれてきた発想に他なりません。(中略)<行動5:聞く力を磨く> 編集思考を鍛えるためにもっとも大事なのは、聞き上手になることです。聞き上手になれば、いろんな人の力を引き出すことができます。 私は過去10年、イベントの聞き手役、番組のMC役、会議のファシリテーター役などモデレーター的な仕事をおそらく1000回以上は務めてきました。その結果、身に染みてわかったのは、モデレーターほど需給ギャップのある仕事はないということです。モデレーター的な仕事が求められる機会はどんどん増えているのに、それをうまくこなせる人がほとんどいません。これからの時代、モデレーターほど稼げる仕事はないでしょう。 モデレーターのメリットは何か? それは、まさに編集思考をフル活用できるということです。モデレーターとは編集者動揺「偉大なる素人」であることを武器にする仕事ですので、自分が専門的な知識がない分野でも、相手のいいところをつないで、新しい価値を生むことができます。 相手のいいところを引き出すために欠かせないのが、聞くスキルと質問するスキルです。 編集思考の材料は、自分の中よりも他人の中にこそ眠っています。それをつなげながら、人が意識していない芽を見つけ出せるかが腕の見せ所です。そのためにも、インタビューのスキル、聞くスキルがモノを言うのです。『編集思考』2:敏腕プロデユーサーの儲け『編集思考』1:ネット配信バブル
2023.10.16
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図書館で『カラス屋、カラスを食べる』という新書を、手にしたのです。マッドサイエンシストとは言わぬまでも・・・かなりの入れ込み具合ではあるなあ♪【カラス屋、カラスを食べる】松原始著、幻冬舎、2018年刊<「BOOK」データベース>よりカラス屋の朝は早い。日が昇る前に動き出し、カラスの朝飯(=新宿歌舞伎町の生ゴミ)を観察する。気づけば半径10mに19羽ものカラス。餌を投げれば一斉に頭をこちらに向ける。俺はまるでカラス使いだ。学会でハンガリーに行っても頭の中はカラス一色。「地方のカフェにワタリガラス(世界一大きく稀少)の標本がいる」と聞けば、道も店の名も聞かずに飛び出していく。餓死したカラスの冷凍肉を研究室で食らい、もっと旨く食うにはと調理法を考える。生物学者のクレイジーな日常から、動物たちの愛らしい生き方が見えてくる!<読む前の大使寸評>マッドサイエンシストとは言わぬまでも・・・かなりの入れ込み具合ではあるなあ♪rakutenカラス屋、カラスを食べる「第3章 味覚生物学のススメ」で、タイトルと同じ個所を見てみましょう。p59~61<カラス屋、カラスを食べる> こんな具合で、大学の研究室というところは、ちょいちょい、妙なものを食える。 ある日、私たちは一乗寺の平野の部屋に集合した。テーマは「ちょっと変わったものを食べてみる夕べ」。食べるのは、ハシボソガラスとハクビシンである。 参加者は私、そしてハクビシンの研究者である秋山。こういう時は忘れず顔を出すクボ、家主の平野。そして秋山の研究室に入った子で、カラスをやってみようかな? というミドリちゃん。ただし彼女はごく普通の女の子であって、この怪しい面子の中では浮き気味だ。ハギスの中におはぎが交じっているくらい、浮いている。 ちなみにハギスというのは刻んだモツや肉を羊の胃袋に詰めて蒸すか煮るかした、スコットランドの名物料理だ。ミンチの詰まったソフトボール、あるいは肉々しい餅巾着と思えば、だいたい合っている。こう書くと相当気色悪いものに思えるが、先輩の土産を食った限り、別にまずいものではない。ただ、見た目は想像に忠実に、気色悪い。 ハシボソガラスを持ち込んだのは私。こないだ調査地で死にたてほやほやの死骸を拾ったからである。かわいそうに明け方の冷え込みで死んだのか、死後硬直も始まっていないくらい新鮮だった。研究室に持ち帰って解剖してみたら、若い雄とわかった。生殖腺を探しても見当たらず、解剖に慣れた先生に見てもらってやっと見つけたのは、小指の爪の先ほどで白豆のような形をした、背骨の左右にへばりついている器官だった。春だというのに全く発達していない。繁殖していないということだ。 この個体が誰なのかは、だいたいわかっている。前日の調査中に見かけた、3羽 の若い他所のうちの1羽と見て間違いないだろう。 死骸を拾った日の前日、下鴨神社では、α、βと名付けた顔見知りのハシボソガラスのペアが怒りっぱなしだった。駐車場のハシボアペアも怒りっぱなしだった。馬場のハシボソペアも怒っていた。 この3ペアの縄張りの中に、3羽 の若いハシボソガラスが下りて来たのである。どの縄張りの中に入っても追い立てられ、若造たちは縄張りの接する狭い隙間、直径10メートルほどの範囲に押し込められてしまった。 日没になり、私が調査を終了するまで、若い3羽はそこにいた。多分、夜もそこにいたのだろう。前日の騒ぎで、彼らはほとんど餌を取れなかったはずだ。そして夜半から真冬に戻ったような寒さ。かわいそうだが、餌不足のまま凍える夜を過ごし、朝は迎えたがもはや限界だったのだろう。 小鳥の中には、寒い夜には一晩で体重が10パーセントも減るものがいる。脂肪を燃やして体温を維持しているのだ。翌日の昼間にせっせと食べて減った体重を回復させなければ、夜の間に死ぬ。冬のスコットランドでの研究例では、セキレイが昆虫を捕まえるペースは秒単位だったという。何分に一匹なんて悠長なことをしていたら死ぬのである。(中略) 翌日、朝早くに来てみたら、βが低い枝に止まって、下を向いてガーガー鳴いていた。昨日の喧嘩がまだ継続中か、と思ったが、それにしては相手のカラスが見えない。地上に向かって威嚇しているというのも妙だ。よく見ると、草の間に黒いものが見える。はて、黒猫だろうか? 覗き込むと、それは地面に転がるカラスの死骸だった。 ペアの片割れが死んだのかと心配したが、見ていたらもう1羽のハシボソガラスがやって来た。これはどうやらα君だ。すると、あの死骸は? ああ、そうか。昨日の若い奴らの1羽か。 社務所に断りを入れてから、カラスの死骸を拾い上げ、ビニール袋を二重にして収容した。デカいゴミ袋は常にデイパックの中に入っているのだ。何か拾った時とか、荷物を防水したい時とか、いろいろと役に立つ。 この死骸は研究室に持ち帰り、各部を計測した後で解剖した。性別と胃内容を見たかったからだ。性別は若い雄。消化管は完全に空っぽだった。かわいそうに、本当に何も食えなかったのか。ついでに皮を少し剥いでみたが、脂肪は全くない。野生動物だということを考えに入れても、かなり痩せていると言えるだろう。空きっ腹で凍死、という推測を裏付ける状態だ。 カラスも野生動物である以上、その生活は安全ではない。若いうちは特に、このように餌の取り合いに負けて餓死するものも多いはずだ。それ以外にも病気になったり、タカに襲われたり、防鳥ネットに絡まったり、路上の動物の死骸をつついているうちに自分も轢かれたり、いろいろなところで死ぬものである。 さて、解剖して必要な情報は得られた。骨は動物系統学研究室の山崎君にあげるとして、この肉はどうしたものか。痩せてるとはいえ、胸肉とモモ肉はそれなりのボリュームある。肉質は鴨ロースのような、暗い色の赤身だ。今朝は冷蔵庫のように寒かったし、死後硬直していなかったくらいだから、死後大した時間も経っていない。これ、食ってみても大丈夫なんじゃね?もちろん火は十分に通すけれども。 というわけで、食えそうなところを切り取ってみた。まずは胸肉を、さすがに病気や寄生虫をもらうのは嫌なので、焦げるくらい入念に焼いてみた。よし、いくらなんでも、もういいだろう。シンプルに、塩を振って試食してみる。 ・・・鶏レバー? ハツ? なんというか、すごく内蔵っぽい。モツ系のねっとりした臭いがする。はっきり言えば、血の臭いだ。歯触りは硬い牛肉みたいだ。鶏肉のような、ほろほろした繊維質はあまり感じない。噛み締めてもジューシィとかいう感じはなく、ひたすら、ガシッと硬い。そして、噛んでも噛んでも血の味がする。それさえ嫌いでなければ、まあ食えない肉ではない。少なくとも、まずいとか臭いとかいうわけではない。
2023.10.15
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図書館に予約していた『うずまき猫のみつけかた』という本を、待つこと10日ほどでゲットしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・カラー写真や挿絵が多くて、気楽に読めるエッセイ集となっているのがええでぇ♪【うずまき猫のみつけかた】村上春樹著、新潮社、1999年刊<「BOOK」データベース>よりアメリカのケンブリッジに住んだ‛93年から‛95年にかけての滞在記。ボストン・マラソンに向けて昴揚していく街の表情、「猫の喜ぶビデオ」の驚くべき効果、年末に車が盗まれて困り果てた話、等々なごやか(?)なエピソードの中に、追悼特集で報じられたニクソン元大統領の意外な一面や、帰国後訪れた震災後の神戸の光景がキラリと光る。水丸画伯と陽子夫人が絵と写真で参加した絵日記風エッセイ集。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・カラー写真や挿絵が多くて、気楽に読めるエッセイ集となっているのがええでぇ♪<図書館予約:(9/26予約、10/04受取)>rakutenうずまき猫のみつけかた『レッド・オクトーバーを追え』やレタスの値段が語られているので、見てみましょう。p157~164<ジャック・ライアンの買い物、レタスの値段、猫喜びビデオ> たしかトム・クランシーの小説『レッド・オクトーバーを追え』に、亡命しようとするソヴィエト時代のロシア人に向かって主人公ジャック・ライアンが「アメリカのスーパーマーケットでは冬だってトマトが買えるんだぞ。そりゃまあちょっと高いけどな」と説明する場面があったと記憶している。ロシア人はそれを聴いても「冗談じゃないや。冬にトマトが何で買えるものか」とあまり信用しなかった。でももちろんジャックは嘘をついているわけではない。 皆さまご存知のようにアメリカでも日本でも、冬にだって温室もののトマトはちゃんと買えるわけだけれど、それはそれとして僕は読んでいて「そりゃまあちょっと高いけどね」というところにいたく感心した。ひょっとしたらライアン氏は医師として多忙をきわめる奥さんのかわりに、よくスーパーに行って食品の買い物をしているのかも知れない。そして値段を見ては「ひゅう、トマト高いなあ」と深い溜息をついているのかも知れない。 ジャック・ライアンのこのような巧まざる生活リアリティーは、ハリソン・フォードという俳優の持っている本人実物大的な雰囲気に相通じているような気がする。映画『レッド・オクトーバーを追え』ではもっと若くてハンサムなアレック・ボールドウィンがこのライアン役を演じていたが、ハリソン・フォードに比べるとどうしても存在感が希薄で、まだちょっと役不足という感は否めなかった。ケビン・コスナーでもちと違う。やっぱりジャック・ライアンはなんてったってハリソン・フォードである。 ライアン氏の指摘するように、このボストンでも冬場には野菜の値段はぐっと高くなる。うちはだいたいが菜食中心の食生活で、僕は昼と夜とに巨大などんぶり一杯の野菜を食べるので、どうしても冬場には食費が高くなってしまう。とくに今年の冬はカリフォルニアの水害のおかげでレタスの値段が高騰した。(中略) もちろん冬場にしか出ない野菜、冬になってもそんなに高くならない野菜というのもあって、一般的に言うとそういうものを中心に食卓を構成することになる。中でも僕が好きなのは水菜である。水菜はだいたいが関西の野菜で、油揚げなんかと一緒にぐつぐつ煮物ににするとおいしくて、冬になるとよく食べる。京都のお惣菜屋なんかでよく出てくるが、東京ではあまり見かけないようだ。 ところがこの水菜がどういうわけかボストンのスーパーにいつも置いてあって、名前もそのままmizunaである。値段もそれほど高くはない。これを買ってきて、鍋や湯豆腐に入れたりして食べるとなかなか悪くない。そのままサラダにして食べようとしても、食べられなくはない。たぶん日本の人がアメリカで水菜を栽培するのに成功したのだろう。たしか去年は見かけなかったから、これはなんといっても今年の冬の朗報のひとつである。 そのほかにも日本名で売られている野菜にはshiitakeがある。これはすっかりアメリカでも有名になって、レストランのメニューにもそのまま出ているし、大抵の人はどういうものか知っている。でもmizunaはまだそんなに有名ではなくて、よくレジのお姉さんに「ホワッツ・ジス?」と訊かれる。 shisoはさすがに日本食品店でしか売ってないけれど、このシソを買おうとしているときに隣にいたアメリカ人のおばさんに「ホワッツ・ジス?」と訊かれた。それで「これはシソというもので、これこれこういう食べ方をする。僕はチョップしてサラダに入れて食べるけれどなかなかおいしいものですよ」と教えてあげた。でもおばさんは「うむ、とても綺麗な野菜だわね(very beautiful vegetable, isn't it?)」とコメントしただけで、買わないでそのまま行ってしまった。たぶん量のわりに値段が高すぎると思ったのだろう。 たしかにそう考えてみれば、シソというのは量のわりに高価な野菜かもしれない。しかしまあなんといってもシソをどんぶりいっぱい食べる人はいないだろう。『うずまき猫のみつけかた』2:中華料理アレルギーについて『うずまき猫のみつけかた』1:人喰いクーガーの話
2023.10.15
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我が町のツバメの旅立ちについて、この5年ほど気にかけているのです。だって空いっぱい群れをなしていたツバメたちが翌日は見えなくなるのは・・・寂しいというか、ボンボヤージュと手を振って見送りたいではないか。今年(2023年)の旅立ちは、10月13日でした。**********************************************************************<2022.09.28>■27日14時半から約2時間、雨の中、電線に停まる群れを見たのです。雨、風など自然状況をものともしない力強さが、ええでぇ♪例年10月10日ころまでには旅立つようだから、もうすこしフォローしてみます。■26日14時頃に群れて高く飛ぶシーンが見られた♪まだ旅立ってはいなかったのです。(あるいは、渡り中の群れだったのかも)■25日夕には1羽ずつのツバメは見えたが、群れは見えなかったので今度こそ旅立ったのだろうか。■24日の早朝に群れて高く飛ぶシーンが見られたが、夕方にもそれが見えたのです。 おお まだ旅立ってはいなかったようです。**********************************************************************<2021.10.10>■今朝(10/10-6時半)はお天気良~し♪、おや、我が町の上空を数羽のツバメたちが飛んでいるぞ・・これは渡りの途中なのか?■今朝(10/07)はお天気良~し♪、おや、我が町の上空をツバメたちが舞っているぞ・・・これは行き遅れた群れなのか、はたまた、北から移動中の群れなのか?この行動は寒くなるまでは続くかもしれないので、ウォッチングせなあかんなあ。(8時には見えていたこの群れは、9時頃には見えなくなりました)ということで、以前の日記から復刻します。***********************************************************************日に日に、群れで飛ぶツバメが少なくなっているような、このごろですね。七十二候に「玄鳥去」というのがあるけど・・・どうも我が町生れのツバメたちは、もう飛び去っていて南の地域を移動中ということのようです。ネットでこんなサイトがありました。七十二候「玄鳥去(つばめさる)」。巣立ったヒナは、どんな旅に出るのでしょうかより■もう帰る巣のない幼鳥たち。「渡り」を前に、集団で暮らします 食糧や繁殖のため定期的に長距離を移動する『渡り鳥』。日本でもいろいろ見られます。ツバメなどの「夏鳥」は、春に来て子育てし、秋になると南の国に去っていきます。オオハクチョウなどの「冬鳥」は、越冬するために北の国から日本にやってきます。チドリなどの「旅鳥」は、北国で繁殖し南国で越冬するため、中継地点として日本を通りかかります。 人間の世界では、転々とする苦労人を「渡り鳥」と表現したりしますが、『渡り』の旅はまさに苦労の連続。嵐や天敵など危険もいっぱいです。ツバメたちも、毎回命がけで種の楽園をめざします。 5月下旬。生まれてからおよそ20日で巣立った一番子のヒナたち。ツバメは2回子育てをする親が多く、生まれた巣は、これから育つ弟妹(二番子)たちのもの。巣立った子の居場所はありません。 そこで、幼鳥たちは集まって、出発の日まで水辺のアシ原や大きな樹木などで集団生活をします。早く一人前にならないと、南の国に渡っていけません。渡り鳥としての自覚を高める寮生活といったところでしょうか。幼鳥は、尾が短いので遠くからでもよくわかります。 夏になると、2回目の子育てが終わった親鳥たちも集団に加わります。夕方、空にたくさんのツバメたちが集結して、日が沈むと一斉にねぐらに入っていきます。「集団ねぐら」は毎日少しずつ移動するうえ、夜明けにはツバメたちはもう飛び立っているので、なかなか見つけにくいようです。集団はだんだん大きくなり、秋には数千~数万羽もの大群になるといいます。■歩かないツバメ。渡り鳥を見送れる場所をご存じですか? ある日の明け方前に小グループで出発。親鳥から先に南へと旅立ち、幼鳥は渡る体力がつくのを待ちます。連れて行ってはもらえません。7月後半になると、ねぐらは親の割合が少なくなってきます。それでも10月頃までには、皆出発するようです。 渡りにはいくつかのコースがあるようです。まだ一度も通ったことのない何千キロもの空の道を、親もいないのに、幼鳥はどうやって迷わずに行けるのでしょう? ツバメには、目印のない海の上でも目的地に向かって飛び続けられるよう、太陽や地磁気によって方角を知る能力があるといいます。さらには、目的地に近づくと地形や目立つ建造物をたよりに正しい場所を見つけるのだそうです。生まれながらに「渡る力」が備えられていたのですね。(中略) 飛行速度は時速45km、最高時速は200kmともいわれます。また、長い尾や翼のひと振りで、急旋回・急降下・停止飛行も思いのまま! 多くの渡り鳥が、気流が安定していて天敵に襲われにくい夜間に渡るなか、飛翔力に優れたツバメは、昼間に堂々と渡っていくのです。体力のついたツバメたちは南の地域を移動中のようだが・・・来年の春にまた帰っておいで。
2023.10.14
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図書館で『編集思考』という本を、手にしたのです。アマゾンやフェイスブック(メタに改名)など私が敵視するGAFAと対抗するには、この種の本を読む必要があるのではなかと思い、チョイスしたのです。【編集思考】佐々木紀彦著、ニューズピックス、2019年刊<商品説明>より「編集」は、ビジネスにこそ必要だ!モノがあふれた時代、新たな価値を生み出す手法として注目を集める「編集」。NewsPicks初代編集長を務めた佐々木紀彦が、17年間の編集者としての経験をもとに体系化した「編集思考」は選ぶ・つなげる・届ける・深めるの4つのステップからなる。斬新なイノベーションを生み出したい人、どんな状況にも対応できるユニークなキャリアが欲しい人、新たなビジネスモデルを開発したい人、全ビジネスパーソン必読の新時代の1冊。<読む前の大使寸評>アマゾンやフェイスブック(メタに改名)など私が敵視するGAFAと対抗するには、この種の本を読む必要があるのではなかと思い、チョイスしたのです。rakuten編集思考「第4章 世界最先端企業の編集思考」で、敏腕プロデユーサーの儲け話を見てみましょう。p181~183<エイブラムスという時代の寵児> 加熱するクリエーター獲得競争の中心に立つのが、スター・ウォーズシリーズ、『スタートレック』『ミッション・インポッシブル3』を手掛けた、J・J・エイブラムスです。 彼は、自身の制作会社であるバッド・ロボット・プロダクションを1998年に創業しました。バッド・ロボットは『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』のプロデユースを手掛けたことでも知られています。すでに日本で大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』のリメイク権を獲得しており、グローバル版を制作することが決まっています。 彼の動きは、マフィーのさらに先を行っています。単に自分の創ったストーリーとIPを売りにするだけではなく、IPを用いた派生ビジネスもすべて手掛けようとしています。妻でプロデユーサーのケイティー・マクグラスとともに経営する自らのスタジオで、すべてのビジネスを行おうとしているのです。 具体的には、脚本家・監督・プロデユーサーとしてドラマを制作することに加えて、音楽レーベル、出版、ゲーム、キャラクターを使ったグッズ展開、テーマパークのプロデユースなどに挑戦しています。これぞ、究極の編集思考。丸ごと何でも束ねることで異次元の規模のビジネスを行おうとしているのです。 エイブラムスはこれらすべての権利・ビジネスを行うパートナーとして、マーフィーの3億ドルを超す、世界最高金額5億ドルでワーナーと契約する見込みです。 エイブラムスの生き方は、起業家とは異なる新たなスターモデルとなる可能性を秘めています。起業家は自らモノやサービスを生み出すわけではありません。スティーブ・ジョブズも自らiPhoneを設計するわけではありません。それに対して、バッド・ロボットでは、すべての中心はエイブラムス。彼が作品を創り、そこからあらゆる商品に二次展開、三次展開していき、エイブラムスワールドを広げていく。 1人のクリエーターによって数億ドルのビジネスが生まれる。究極の才能依存型ビジネスと言えます。インターネットやグローバル化によって、1人のクリエイティビティがこれほどにまで拡張する時代が到来しているのです。 すでにエイブラムスは、2018年6月には中国のテンセントの出資を受け、ゲーム会社のバッド・ロボット・ゲームスを設立。テンセントが中国でゲームの展開を行う権利を獲得しています。 世界のゲーム産業の規模は1350億ドルに達しており、10%以上の勢いで成長中です。これは世界の映画ビジネスの3倍以上。エイブラムスは、映画の世界からさらに大きなマーケットへと出ていこうとしています。『編集思考』1:ネット配信バブル
2023.10.14
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図書館で『編集思考』という本を、手にしたのです。アマゾンやフェイスブック(メタに改名)など私が敵視するGAFAと対抗するには、この種の本を読む必要があるのではなかと思い、チョイスしたのです。【編集思考】佐々木紀彦著、ニューズピックス、2019年刊<商品説明>より「編集」は、ビジネスにこそ必要だ!モノがあふれた時代、新たな価値を生み出す手法として注目を集める「編集」。NewsPicks初代編集長を務めた佐々木紀彦が、17年間の編集者としての経験をもとに体系化した「編集思考」は選ぶ・つなげる・届ける・深めるの4つのステップからなる。斬新なイノベーションを生み出したい人、どんな状況にも対応できるユニークなキャリアが欲しい人、新たなビジネスモデルを開発したい人、全ビジネスパーソン必読の新時代の1冊。<読む前の大使寸評>アマゾンやフェイスブック(メタに改名)など私が敵視するGAFAと対抗するには、この種の本を読む必要があるのではなかと思い、チョイスしたのです。rakuten編集思考「第4章 世界最先端企業の編集思考」で、ネット配信バブルを見てみましょう。p171~175<コンテンツ黄金時代、開幕> ここからは、世界最先端企業の戦略を、編集思考で紐解いていきましょう。まずは、コンテンツ業界のディスラプターとして世界中で注目されるネットフリックス。ネットフリックスの躍進を理解するには、背景にある業界構造の変化を押さえておかなければいけません。 ちなみに、「ニューズピックスはどの会社を参考にして運営していますか?」とよく聞かれますが、その1つがネットフリックスです。<メディアの新旧交代を強烈に印象づけた「3億ドル」の契約金> みなさんは、これからの時代にもっとも有望な産業はなんだと思いますか? AIが当たり前になった時代に、どんな仕事の価値が上がると思いますか? 私の答えは明確です。コンテンツ産業こそが、もっとも有望です。編集思考を駆使して、新しいストーリー、エンタメ、芸術を創れる人の価値が飛躍的に上がると確信しています。それを証明しているのが、ネットフリックスの快進撃です。 2018年2月13日、映画界、ドラマ界に衝撃を与えるニュースが全米を駆け巡りました。「テレビの歴史上もっとも高額な報酬契約」が成立したのです。 契約を結んだのは、ネットフリックスと、ドラマプロデユーサーで脚本家のライアン・マーフィー。その金額は5年で約3億ドルです。日本円で300億円を超えます。トム・クルーズ、ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオトイッタスターでも、1作品の報酬は1000万ドル程度ですから、この金額がいかに莫大なのかがよくわかります。 これぞまさに新時代のアメリカンドリーム。『glee』『アメリカン・ホラー・ストーリー』『アメリカン・クライム・ストーリー』などのヒットドラマシリーズを手掛けてきたマーフィーが、コンテンツ界の新たな1ページを切り拓いたのです。とくに、大手スタジオの一角である20世紀フォックスからネットフリックスへの移籍だっただけに、新旧の主役交代を印象付けました。 発表当日、マーフィーはこんなコメントを寄せました。「〇」 マーフィーの契約が象徴するように、トップクリエーターたちの価値はかつての10倍以上に膨らんでいます。クリエーターバブルと呼ばれるほどの、「クリエーター黄金時代」が到来しているのです。 このブームの火付け役となったのが、ネットフリックスです。伝統的な映画スタジオやテレビ局が予算を絞る中で、コンテンツやクリエーターに惜しみなく資金を投下。コンテンツの中心地は、もはやテレビや映画ではなく、デジタル配信に移りつつあります。 過去5年間で、ネット向けに配信された脚本のある番組数は右肩上がりで上昇、2018年には160番組に達し、地上波テレビの146番組を抜き去りました。まさにネット配信バブル、ドラマバブル、ストーリーバブルが訪れているのです。 こうした流れの中で、引く手あまたになっているのが、脚本家、プロデューサー、ショーランナーといったプロフェッショナルです。 ショーランナーとは、米国やかなだテレビ番組において、現場で指揮をとる責任者を指します。映画でいう監督に近い存在です。ビジネス面からクリエイティブ面までを統括し、ディレクター、アーティスト、訳者、技術担当など、あらゆるメンバーをまとめて、コンテンツを創り上げていく、まさに編集長のような役割です。 いわば、編集思考の天才、最強の実践者と言えるでしょう。このショーランナーの第一人者がマーフィーなのです。 マーフィーの契約に限らず、今、米国では大型契約が相次いでいます。
2023.10.14
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<関西人の話法>ノーベル賞受賞の中山教授が言っていたが、関西人の話し方がアメリカ人に受けるそうです。要するに関西人の乗りには国際感覚があるようだが、これには少なからず関西弁が貢献しているはずですね。とにかく、関西弁で相手との間合いをつめるという高等テクニックは馬鹿にならないと思うのです。ということで、中山教授のエピソードから、関西弁あるいは関西人の話法について究明しようではないかと思い立ったのです。図書館で借りて今読んでいる「大阪ことば学」も含めて、我が蔵書録などから「関西人の話法」という括りで集めてみます。・K氏の大阪弁ブンガク論(2018年)・勝手に関西遺産7(2015年)・街場の大阪論(2010年)・大阪ことば学(1999年)・全国アホ・バカ分布考(1996年)・西方冗土(1994年)***************************************************************************【K氏の大阪弁ブンガク論】江弘毅著、ミシマ社、2018年刊<「BOOK」データベース>より国民的作家から現代の人気作家まで縦横無尽!長年街場を見つめてきた著者がボケてつっこむ!唯一無二のブンガク論。【目次】ブンガク論に入る前に、ちょっと地元のこと。K氏の場合。/日本ブンガクを席巻する関西弁の技法/黒川博行ブンガクを支える「口語」表現/『細雪』-大阪弁が現代文で書かれるようになった時代/『細雪』はグルメ小説や!/大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性/ほか<読む前の大使寸評>K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪rakutenK氏の大阪弁ブンガク論『K氏の大阪弁ブンガク論』2:関西弁を捨てた村上春樹『K氏の大阪弁ブンガク論』1:多様な関西弁***************************************************************************<勝手に関西遺産7>(勝手に関西遺産)では、関西弁がときどき取り上げられるが・・・・今回のは、関西弁ならではの高度なコミュニケーション術らしいでぇ、ようしらんけど♪(勝手に関西遺産)に「知らんけど」が出ていたので、見てみましょう。2015.9.9(勝手に関西遺産)自信たっぷり 責任ポイッより■知らんけど 「あのカレー屋、毎日行列できてるねんで、知らんけど」 関西の電車や喫茶店でおばちゃんらの会話をちょっと盗み聞き。聞こえてくるわ、聞こえてくるわ、「知らんけど」という言葉。さも見てきたかのように話し続け、最後にすべての責任を投げ捨てる。話し相手の全身を脱力させる言い回し。 これって関西独特らしい。大阪生まれの記者もよくよく考えてみると……、たしかに使っている! 10~20代の関西人に尋ねてみても、「よく使う」とのこと。幅広い年代で口をついて出てくるようだ。 吉本新喜劇のギャグにもなった。大阪のおばちゃんキャラ「すち子」が人気のすっちーさんの座長公演。大坂の陣を題材にした「君臣豊楽 淀殿の見た夢」という芝居で、すっちーさん扮するお茶屋のおばちゃんが、秀吉がどうした、淀君がこうした、と自信たっぷりにしゃべり続けた最後に「知らんけど」。もちろん周りは「知らんのかい!」とツッコミ、笑いが起きる。 「一見深刻なことを言うて、最後に全然違う方向に行く。新喜劇のボケと似てるところがある」とすっちーさん。「日常にお笑いがあふれ返ってる関西だからこそ、生まれた言葉ですよね」 この言い回し、いつごろから使われるようになったのか。 日本漢字能力検定協会の佐竹秀雄・現代語研究室長は「いつごろかははっきりしないが」と前置きしながら、「それほど古いものではない。テレビでワイドショーが盛んになったころからでは」と推理する。テレビでやってた、でも断言できないようなうわさ話を内輪で楽しむときに使ったのでは、とみる。 「ただし、『大阪弁おしゃべり検定』があったとしたら、これは3級の使い方。変形してもっと上手に活用している人もいます」と佐竹室長は言う。 ワンランク上の使い方とは、「知らんけど」の前に、これまた関西特有の言葉「よう」をつけた「よう知らんけど」。こうすると内容のあいまいさに拍車がかかる。しかも、本当は自分がどこまで知ってるかの判断まで話し相手に押しつけている。 「立場が強い人に対して、言いにくいこと、まともに言うと角が立つような本音をカムフラージュできるのです」と教えてくれた。たとえば、怠けている上司に向かって、「課長、最近、仕事さぼってばっかりやって言われてるらしいですよ、よう知らないんですけど」と、たしなめる感じなんでしょうか。 ただ、どんな相手、どういう場面で「よう知らんけど」を繰り出すかは、絶妙なバランス感覚が求められるとも。「下手をしたら、人間関係が壊れてしまう。使いこなせるようになったら、検定1級ですね」 この言い回しって、状況や関係性を大事にする関西弁ならではの高度なコミュニケーション術だったんですね、よう知らんけど。(向井大輔)関西弁についてもうひとつ、勝手に関西遺産5から再掲します。 「んなあほな」とは上方落語協会の情報誌のタイトルなのだそうです。2015.5.27((勝手に関西遺産)ツッコむだけちゃうねんより ■んなあほな 18歳のときに関西で暮らし出した。「ほかす、って放っておくことじゃないの?」「煮抜き、ってゆで卵なの?」。学校でもバイト先でも、数え切れないカルチャーショックを覚えた日々。 この言葉の、独特の響きを耳にしたときのことも忘れられない……、って、あれ? いつやっけ。大阪の寄席、天満天神繁昌亭で、五つのひらがなが並んでいるのをはっきり意識したのは間違いないんやけど。 「んなあほな」 見かけたのは上方落語協会の情報誌、そのタイトルなのだ。笑福亭仁鶴さんの弟子、笑福亭仁勇さん(56)の案だったそう。「『ん』で始まるから、目立つと思ったんですよ」と命名者は明かす。 「いきなり『あほな』はキツいけど、前に『んな』って付けると、ノリツッコミのようになるんじゃないかなあ。『そんなあほな』の『そ』がかすれたんでしょうね」。関西のツッコミ文化の一翼を担う言葉だ。 子どもたちが落語に取り組んでいる上荘小学校(大阪府阪南市)の授業参観で、女の子のこんなしゃべりにウケたなあ。 「一万てな年の人がこの世の中におるんか」「おったらオモロイやろなあ」「あんた、おいくつです?」「わたし、一万です」「一万とはお若く見える。どー見ても、九千九百九十七!」「んなあほな」 頭ごなしに否定するんじゃなく、ボケを受け止め、ちょっと楽しむゆとりさえ感じませんか。落語家の桂文珍さん(66)は実に雄弁である。 「しょっちゅう会話で使うけど、相手を愚弄しているわけじゃない。商取引でも使うような、ファジーさがあってね。関西の楽しい言葉、成熟した文化から生まれた柔らかい言葉でしょう。ほかの地域では、あまり受け入れられていないが故のいとおしさを持っているんですよ」 「それにね、常識に対する非常識のような『んなあほな』ことから新しいビジネスや発見、発明が生まれることがある。そんなことを考えられる人は良い意味ではクリエーターやけど、社会性を欠いていれば『あほ』。紙一重やけどね」 おっ、奥深いなあ。あきれた「んなあほな」もあるけど、これまでの考えをくつがえす新たな視点を面白がる土壌と、どこかでつながっているのかもしれない。 もとい、そもそも「ん」で始まる日本語って、ほかにあるのか? 広辞苑に「ん」の欄はささやかにあった。「ンジャメナ」「んす」「んず」「んとす」。なんのこっちゃ。「んなあほな」の方がはるかにポピュラーな気がするけどなあ。 こんな遊びはいかが。ほかす、粋(すい)、いかつい、いんじゃんほい、いちげん、んなあほな。関西のしりとりは、「ん」で終わる言葉をだれかが言っても「んなあほな」と続けられる。すかさず「なんでやねん」とツッコんで、負け?!(篠塚健一)****************************************************************************【大阪ことば学】尾上圭介著、創元社、1999年刊<「BOOK」データベースより> 客のややこしい注文には「惜しいなあ、きのうまであってん」と切り返す。動物園のオリの前の立て札には「かみます」とだけ書いてある。距離をとらずにさっぱりと、聞いて退屈せんように、なんなと工夫して話すのでなければ、ものを言う甲斐がない。誤解されがちなことばの意味と背後にある感覚を、鋭く軽快に語る大阪文化論。<大使寸評>とにかく、関西弁に対する言語学的アプローチがええでぇ♪Amazon大阪ことば学この本から笑いのあたりを紹介します。<相手との距離の近さ>p170~173 大阪弁は、ことばそのものにおかしみがある。大阪人が二人寄ったら漫才になる、などと言われることがある。たしかに、大阪のことばで話すと笑いがふくらむし、大阪の人の会話には笑いが絶えない。これはなぜであろうか。 人はことばでものを感じ、考え、ことばでひとと接触し、ことばで自己を表現する。ある都市、ある地域のことばの特徴と言われるものは、実はその地域の人のものの感じ方や考え方、ひととの接触のしかた、自己表現のしかたとといったものの特徴にほかならない。 まず第一に、「相手との距離の近さ」ということについて。 近鉄あべの橋駅の切符の自動販売機で、釣り銭が多く出過ぎてびっくりしている女子学生にむかって、隣の列のおじさんがすかさず「まあ、姉ちゃん、安う乗んなはれ」と声をかけたという話を前に紹介したが、大阪の人は、ひととの間に壁を作らず、心理的に距離をとらない傾向が高い。それは、自分と相手とが同じ所に立って、同じ角度でものを見る感覚と言ってもよいもので、「まあ、そない言わんと、堪忍したって」というように、自分が自分のために人に頼むときにすらあたかも第三者のために頼んでやっているかのような言い方をするということにも表れているところである。 そのような感覚は「はよせんかいな」という言い方に見られるとおり、相手を非難するときですら「な」という助詞を使って相手と同じ位置に立ち、相手の肩を抱いて同意を確かめるような姿勢を維持するというところにも見られるのであった。 相手との間の壁を取り去るようにものを言うという傾向は語法にまで表れていて、垣根をはずして自分の手の内を相手に見せる言い方である「ノヤ」由来の「ネン」がきわめて頻繁に使われ、この語法の好まれ方は「あるネン」に平行して「あっテン」という語法まで発明されているほどである。(中略) 大阪の人の会話を支配する「相手との距離の近さ」や「相手との共同作業の感覚」というべき特徴は、言うまでもなく、笑いにとっての基本的な要素である。笑いというものが、相手との間に共通の感覚を確認しあう社会的な行為である以上、右のような相手との一体感は、笑いの基盤であるにちがいない。****************************************************************************【街場の大阪論】江弘毅著、新潮社、2010年刊<「BOOK」データベース>よりスタバはないがお好み焼き屋があり、缶ビールを24時間売っているコンビニはないが朝からやってる立ち呑み屋があり、ヤクザが徘徊し、おばはんの立ち話が続く。そんな「大阪の街場」のリアルなコミュニティと、そこで生きていくおもしろさを、岸和田に生まれ育ち、関西有数の雑誌の名物編集長だった著者が、ラテンのノリで語る。大笑いしながら考えさせられる大阪発スーパーエッセイ。 <大使寸評>「カーネーション」の世界で育ち、ベタな大阪を描いてるでぇ♪著者に「関西人は話す言葉と書き言葉はちがう」と言われると、ハタと納得するのです。Amazon街場の大阪論この本から「関西弁で書くということ」を紹介します。<関西弁で書くということ>p136~138 常々「大阪弁(関西弁)で書くこと」について考えている。 つい先日は『ダ・ヴィンチ』11月号で「関西ダ・ヴィンチ-あほあほ関西弁のちょっぴり真面目放談」という座談会をやることになった。 その座談会は、このところ新しい大阪弁感覚の小説で売れまくっている西加奈子さんと、高村薫さんをして「大阪弁をシリアスな小説のなかにきちんとはめ込む、そういう芸当のできる作家は、わたくしの世代では黒川さんしかおられないではないでしょうか」と言わしめたミステリー作家の黒川博行さんとの三人でやらせていただいたが、なかなか「大阪弁による書き言葉」は、複雑で奥が深いものがある。 わたしは今、この文章を関西弁、つまり正確には大阪弁のイントネーションとアーティキュレーション(言語の文節化)で書いているが、せやけど大阪弁でやなあ書いておもろいかどうかなんかわかりまへんがな、とは書かない。 このような表記では、われわれ日常的に大阪弁を喋って生活している者にとっても、読みにくいからだ。これはとても微妙なことなのだが、どうしても実際の話される言葉のまま文章にする、つまり表記したい時には、会話のなかの引用文として「」でくくったりしている。 よくいわれることだが、関西弁を母国語とする関西人は、言文一致体を持っていない。話す言葉と書き言葉はちがうということだ。けれども、イントネーション&アーティキュレーション的には、話すにしろ書くにしろ、どちらも関西弁である。 また書かれたものを読む時は、新聞や週刊誌の記事も、太宰治の『走れメロス』も宮沢賢治の『永訣の朝』も、関西弁つまり関西イントネーションで読んでいるし、何かを思ったりものを考える時も関西弁である。 そんなことを三人で話していて、そうだそうだと納得しあっていたが、どうもそうではないらしい。 本渡章さんという人の『大阪人のプライド』という本を読んでいると、ある大学教授による大阪弁話者についての文章引用があって「考えるときは標準語でものを考える」「考えるときは書きことばで考える」とある。 さらに本渡氏は「思考はものを書くのと似た作業だし、頭のなかで行われ、声をとうさないから話し言葉ではなく、書き言葉が使われる」「大阪弁は書き言葉にしにくい。だから、ものを考えるには標準語がよい」ということが書いてあった。 さらに「大阪人は、標準語と大阪弁の二重生活を日々おくっている」と述べていて、結論として「標準語をしゃべる大阪人は『まじめ』にものを考える。大阪弁をしゃべる人間は『反まじめ』モードで考える。言葉の二重生活をする大阪人はしばしば『まじめ』と『反まじめ』の間で遊びながら考える」と締めくくっていた。****************************************************************************【全国アホ・バカ分布考】松本修著、新潮社、1996年刊<「BOOK」データベースより>大阪はアホ。東京はバカ。境界線はどこ?人気TV番組に寄せられた小さな疑問が全ての発端だった。調査を経るうち、境界という問題を越え、全国のアホ・バカ表現の分布調査という壮大な試みへと発展。各市町村へのローラー作戦、古辞書類の渉猟、そして思索。ホンズナス、ホウケ、ダラ、ダボ…。それらの分布は一体何を意味するのか。知的興奮に満ちた傑作ノンフィクション。 <大使寸評>番組に依頼した人の着眼がよかったのか、それを採用し追及させた松本修プロデューサーが偉かったのか♪Amazon全国アホ・バカ分布考ノンフィクション100選★全国アホ・バカ分布考|松本修 全国アホ・バカ分布図byドングリ****************************************************************************【西方冗土】中島らも著、集英社、1994年刊<「BOOK」データベース>より「ヤクザ、アキンド、ヨシモト」マスコミに描かれる関西人は三つの人種のみで、かれらは「けつねうどん」と「たこやき」を主食にしており「わやでんがな」などの、奇怪な言葉を操りつつ「がめつい奴」を演じている―という、恐るべきカンサイ人の朝昼夜。街角の看板、貼り紙。試験に出る関西弁を縦横無尽、奇想天外に考察し、関西人にエールを贈り、ヨタを飛ばすエッセイ集。浪速はこれ一冊でわかります。<大使寸評>関西弁のブラッシュアップにはお奨めの1冊でおま♪Amazon西方冗土
2023.10.13
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図書館で『航空宇宙エンジニアになるには』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・H3ロケットとか無人探査機などの構造や製造方法が載っていてええでぇ♪斯く言う私もエンジニアのはしくれだったので、こういうテクノロジーにはツボがうずくのです。【航空宇宙エンジニアになるには】 小熊みどり著、ぺりかん社、2023年刊<「BOOK」データベース>より飛行機やロケットを見ると、なんだか自然とわくわくしませんか?高度な技術が詰まっているから、遠くへ連れて行ってくれるからでしょうか。航空も宇宙もスケールが大きくておもしろく、仕事の範囲も拡大している分野です。また「空飛ぶクルマ」の開発が進み、「宇宙ビジネス」も活気づいています。この本では航空機や宇宙機を設計・開発する航空宇宙エンジニアの仕事と、航空機のメンテナンスをする航空整備士の仕事を紹介します。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・H3ロケットとか無人探査機などの構造や製造が載っていてええでぇ♪rakuten航空宇宙エンジニアになるにはJAXA(宇宙航空研究開発機構)の研究開発を見てみましょう。p94~96<宇宙探査の新技術の研究開発:本田さゆり> ■配線を使わずに送電する 宇宙機には、多くの危機が搭載されています。内部には電源とそれらをつなぐ多くの配線が張りめぐらされています。配線があると、それだけで相当な重さになるのと、配線の配置を考える必要もあるので、宇宙機の設計が難しくなります。 本田さんはJAXAの研究開発部門で、配線を使わずに電磁誘導の仕組みで電気を送り、宇宙機をワイヤレス化する技術「無線電力伝送」の研究をしています。研究開発部門は、将来の宇宙利用に向けた研究開発を行う部署で、本田さんはそのなかの第一研究ユニットで電源系の技術を担当しています。 ワイヤレス化することで宇宙機の設計の制約が減り、全く新しい概念で設計できるようになると期待されています。その第一歩として現在、月面を走行する探査機(ローバー)をワイヤレス化する研究に取り組んでいます。「電磁波はほかの機器に影響を与え、計測のノイズ源になったり、ほかの装置の誤作動をひきおこしたりするので、基本的に宇宙機に搭載する装置はできるだけ電磁波を発しないように作ります。みずから電磁波を発しながら電磁誘導で電気を伝えるこの技術は、本質的に宇宙機と相容れず、まだ無線電力伝送を宇宙で行った事例はありません。 そこで、まず地上での試験を通じて無線電力伝送の問題点を明らかにし、そのうえで電磁波を遮蔽する材料の使用や電気回路の改良などにより、不必要な電磁波の放出を抑え込む研究を進めています。 この研究はJAXAだけではなく、大学や民間企業と協力して実施しているものです。無線電力伝送ができるようになれば、宇宙機は飛躍的に進化します」 本田さんは近い将来の探査機、たとえば月の南極を探査するローバーにこの技術を搭載して、まずは一つ成功例をつくることをめざして研究しています。 「電源はまさに“宇宙機の心臓部”です。月面ローバーなら、真空で重力が小さく、夜のマイナス170℃の超低温の環境でも、絶対に壊れずに動くように作らないといけません。“宇宙環境が過酷だ”とは知識として知っていましたが、地球では起こらない事態が宇宙環境では起こるということを実感しています。 たとえば、金属同士が擦れ合うと、大気中では傷がすぐ酸化するのでくっつきませんが、真空中ではくっついてしまいます。そんなことが起こると、やってみてはじめて知りました。宇宙環境を想定した試験で起こる事態に一つひとつ対処します」 『航空宇宙エンジニアになるには』1:H3ロケットの構造設計
2023.10.13
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図書館で『航空宇宙エンジニアになるには』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・H3ロケットとか無人探査機などの構造や製造方法が載っていてええでぇ♪斯く言う私もエンジニアのはしくれだったので、こういうテクノロジーにはツボがうずくのです。【航空宇宙エンジニアになるには】 小熊みどり著、ぺりかん社、2023年刊<「BOOK」データベース>より飛行機やロケットを見ると、なんだか自然とわくわくしませんか?高度な技術が詰まっているから、遠くへ連れて行ってくれるからでしょうか。航空も宇宙もスケールが大きくておもしろく、仕事の範囲も拡大している分野です。また「空飛ぶクルマ」の開発が進み、「宇宙ビジネス」も活気づいています。この本では航空機や宇宙機を設計・開発する航空宇宙エンジニアの仕事と、航空機のメンテナンスをする航空整備士の仕事を紹介します。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・H3ロケットとか無人探査機などの構造や製造が載っていてええでぇ♪rakuten航空宇宙エンジニアになるにはまず、H3ロケットの構造設計担当者のご意見を見てみましょう。p32~34<ロケットの“最適な形”を考える構造設計者:森井翔太> ■H3ロケットの構造設計を担当 現在、日本の新しい基幹ロケットである「H3ロケット」が開発されています。森井さんはH3ロケットの第2段機体の構造設計を担当しています。H3ロケットは、メインエンジンや固体燃料ブースターがある第1段機体と、衛星を最終目的地まで運ぶ2段機体からできており、最上部には打ち上げ時に衛星を保護するための衛星フェアリングがあります。「構造設計とは、簡単にいえばロケットの“最適な形”を考えることです。200トン以上あるロケットを、速度ゼロの状態から最大マッハ7付近まで一気に加速するために、ロケットには最大5Gもの力がかかります。打ち上げ時のエンジンやブースターの燃焼や飛行中の突風によっても、ロケットは激しい振動や音響にさらされます。一方で、ロケットで打ち上げられる重さはきまっているので、できる限り軽く設計しなければなりません」 このように、極限環境下でも壊れることなく宇宙に行けて、かつ可能な限り軽くなるよう、バランスがとれた構造を考えるのが、ロケットの構造設計です。 ロケットの内部には大小さまざまな部品がみっしりと詰まっています。ロケットを動かす制御システムもとても複雑です。「外からは見えないロケットの中身のことも考えながら、全体の構造を設計します。構造設計者にはロケット全体を見渡して、さまざまな系を取りまとめる役割もあります」 航空宇宙工学には構造設計のほかにも、ロケットの推進力を生むエンジンや燃料を研究・開発する「推進系」、宇宙機の動きや姿勢をコントロールする「制御系」などさまざな分野があります。 そのなかで、森井さんは構造設計を選んだ理由を「構造設計はロケットの全体像を把握できるのがおもしろいと思いました。ソフトウェアよりぱっと目で観てわかるハードウェアを作りたい、自分の手でカタチをデザインして作りたいという思いもありました。また、機械工学で学ぶ力学には、材料力学・流体力学・熱力学・機械力学のいわゆる“4力”があります。4力の知識をダイレクトに活かせるのも構造設計だったからです」と話します。■望遠鏡のレンズの向こうに 森井さんは三重県伊賀市でそだちました。小学校5年生の時、学校の授業ではじめて天体望遠鏡で月を見たことをきっかけに、宇宙に興味をもったそうです。望遠鏡のレンズの向こうに自分の知らない世界があることを子どもながらに実感し、宇宙とは何か、もっと知りたいと思うようになった、と森井さんは言います。とにかく、私はブラックホールを見たいのである♪
2023.10.12
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図書館で『K氏の大阪弁ブンガク論』という本を、手にしたのです。K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪【K氏の大阪弁ブンガク論】江弘毅著、ミシマ社、2018年刊<「BOOK」データベース>より国民的作家から現代の人気作家まで縦横無尽!長年街場を見つめてきた著者がボケてつっこむ!唯一無二のブンガク論。【目次】ブンガク論に入る前に、ちょっと地元のこと。K氏の場合。/日本ブンガクを席巻する関西弁の技法/黒川博行ブンガクを支える「口語」表現/『細雪』-大阪弁が現代文で書かれるようになった時代/『細雪』はグルメ小説や!/大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性/ほか<読む前の大使寸評>K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪rakutenK氏の大阪弁ブンガク論第5章「大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性」を、見てみましょう。p111~113<関西弁を捨てた村上春樹> しかしながら、神戸高校から早稲田に進んだ村上春樹さんは完全に一番目のタイプである。「週刊朝日」連載の『村上朝日堂の逆襲』は86年に単行本化されたが、そこに「関西弁について」という文章がある。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』で谷崎潤一郎賞をとり、次に上下巻で計1000万部を超える大ヒット作となった『ノルウェイの森』を書き下ろしていたあたりの時代の文章だ。 東京に出てきていちばん驚いたことはぼくの使う言葉が一週間のうちにほぼ完全に標準語(というか、つまり東京弁ですね)に変わってしまったことだった。僕としてはそんな言葉これまで使ったこともないし、とくに変えようと意識はなかったのだが、ふと気がついたら変わってしまっていたのである。気がついたら、「そんなこと言ったってさ、そりゃわかんないよ」という風になってしまっていたのである。 同じ時に東京に出てきた関西の友だちには「お前なんや、それ。ちゃんと関西弁使たらええやないか、アホな言葉を使うな」と非難されたけれど、変わっちゃたものはもうどうしようもないのである。(新潮文庫、25頁)「わかんない。ちゃったもん。やからなあ」とK氏。ともあれ、村上春樹のその「関西弁について」というコラムは、自分の小説は東京で書く文章であり、関西弁でものを考える独自の思考システムにはまりこんでしまうと、文章の質やリズムや発想が変わってしまう、と結んでいる。 毎年のようにノーベル文学賞候補に上がる「村上春樹のブンガク性」は、無国籍的だと指摘され続けてきたが、母語であった関西弁を捨てたところから始まっているといえるだろう。「村上春樹は、そらそうやろ。それはそれでええやんけ。それも悪くない、や」「悪くない」というところだけ東京弁で発音するK氏のスタンスのエエところである。「でもオレらは恋愛小説の『ノルウェイの森』でも何でも、関西イントネーションで読んでるもんな」とつけ加える。というよりこの人は、標準語で描かれた文章をNHKのアナウンサーのようには読めない。そのことを自分でわかっているというか、悟っているようなのだ。『K氏の大阪弁ブンガク論』1:多様な関西弁
2023.10.12
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図書館で『K氏の大阪弁ブンガク論』という本を、手にしたのです。K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪【K氏の大阪弁ブンガク論】江弘毅著、ミシマ社、2018年刊<「BOOK」データベース>より国民的作家から現代の人気作家まで縦横無尽!長年街場を見つめてきた著者がボケてつっこむ!唯一無二のブンガク論。【目次】ブンガク論に入る前に、ちょっと地元のこと。K氏の場合。/日本ブンガクを席巻する関西弁の技法/黒川博行ブンガクを支える「口語」表現/『細雪』-大阪弁が現代文で書かれるようになった時代/『細雪』はグルメ小説や!/大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性/ほか<読む前の大使寸評>K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪rakutenK氏の大阪弁ブンガク論序章から多様な関西弁を、見てみましょう。p17~20<正しい言葉などない> 先生も地元出身ばかりで、国語の先生は宮沢賢治の詩を泉州弁で朗読していたし、英語の先生は大阪流イントネーション英語で、テープレコーダーの英語とは全然違っていた。 そこで教育の際に使われるセンセの話し言葉は「教育目的の制度化された標準(共通)語」ではない。そんなコトバによる授業を前提として学んだことは、「正しい言葉などといったものはない」ということであり、日常の実生活においての「それぞれの言葉」は違うということだ。 K氏は「動物園みたいだった」中学校で、無意識のうちに言語の多様性を見つめる土壌を体得したと思っている。 実際に大阪弁(関西方言というのが正しいのだろう)は、ミナミで河内弁と泉州弁がどちらも聞こえてきたり、同じミナミでも心斎橋筋のデパートや洋服屋で話される言葉と黒門市場の魚屋で話される言葉は違う。言葉は地域や職業、社会的属性によって違うという、至極当然の事実を身体でわかるということだ。「こちらの理解のほうが、全然グローバルやないか」「なにが英語を話せて国際競争を勝ち抜ける人材や」などとK氏は苦々しく思うのだ。 中学生のK氏たちは、本気の怒突き合いをずいぶんやったが、「一人勝ち、勝ち逃げ。親の総取りはあかん」という掟がルールとして徹底していたし、困っているものをもっと困らせてやろうというようなガキには、誰かが「それはやめといたれ」という土地柄だった。 子どもの頃から誰もが似かよったやりかたでセコく「勝ち抜く」ことばかり考えていて、のっぺりと画一なビジネスマン言葉を話す大人に育つ社会は「気色悪いな」、とK氏はその頃からすでに思っていた。 てんでばらばらな背景を持ち、想像も共感も絶する「他者」に、自分の言葉で意思伝達したりする際の「俳味」とでも言うべき「おもろさ」。それがK氏にとってのコミュニケーションの基本であり、それこそが他人にフレンドリーな態度というものなのだろう。<関西方言には「標準語」はない> K氏が関西のエリア雑誌の編集をやっていた頃、大分県出身で大阪在住の編集者にこういう話を聞いたことがある。 大阪や京都の地元出身の人は、東京弁すなわち標準語を使う人は少ない。会社の編集会議も結婚式の挨拶もデパートの店員さんも関西弁だ。だからこちらも標準語を使わなくてもいいんだ、と思ってそのまま「せからしかぁ」などとつい大分弁を喋ってしまう。しかしながら、それでは「?」という顔をされる。 街場のコトバは難しいなあ、とK氏は思う。 関西方言には標準語のようなものはない。つまり京都人は京都弁、大阪はもっと多く、K氏ら岸和田の人間は岸和田弁、東大阪や八尾の人は河内弁を大阪市内で普通に喋っている。「~しよう」「~しとう」という神戸~播州系の言語も梅田近辺ではしょっちゅう聞こえるし、「でんでんかまいませんよ」などと、「ざじずぜぞ」が「だぢづでど」になる和歌山弁を聴いたりすると、近しい泉州地方出身のK氏からすれば、思わずにやっとしてしまう。 とくにミナミの難波周辺にいると、近鉄、南海沿線からの人が集まっているので、「わいら」「しやけど」といった奈良~河内系、「おもしゃい」「ええわし」などの千秋弁は当たり前に耳にする。 K氏はこういった大阪系言語のさらに細かい地域性がわかるローカル的な理解が好きだ。どこかの評論家が「吉本芸人の話芸は河内や泉州の人間が噺家や漫才師になってから下品になった」みたいなことを書いているのを読んだ記憶があるが、K氏は「そら、ちゃうやろ」と思っている。むしろ落語家が「言うてはるのやおまへんか」などと妙な船場言葉を喋ったりしているのを聞くときに、「変に真似すなよ、逆にそれ田舎臭いど」と思ったりする。 これについてはさすが織田作之助、随筆なのにまことに小説的な味わいのする「大阪の可能性」という作品でドンピシャに書いている。この本も関西人の話法に載せておこう♪
2023.10.11
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とろい政官のリードに馴染んでしまって・・・すばやい中国・台湾の後塵を排するニッポンの製造業である。ということで、以下のとおり復刻して製造業発達の歴史を辿ってみようと思う。*********************************************************図書館で『鉄の文化誌』という本を、手にしたのです。先日、『森の仕事と木遣り唄』という本でたたら製鉄について読んだところである。森との関わりが深い製鉄は、まあ個人的なツボなので、この本をチョイスしたのです。【鉄の文化誌】島立利貞著、星雲社、2001年刊<「BOOK」データベース>より人類が鉄を発見してから5000年。鉄の歴史は人類発達の歴史である。そしてこれからの未来の発展にどのように関係し、役立っていくのであろうか。【目次】第1章 古墳時代(地球は鉄の星/ヒッタイトの鉄器/古代の製鉄炉 ほか)/第2章 中世(レン炉/低シャフト炉/たたら吹き製鉄法 ほか)/第3章 近世(高炉/鉄と炭素/高炉の西漸 ほか)<読む前の大使寸評>先日、『森の仕事と木遣り唄』という本でたたら製鉄について読んだところである。森との関わりが深い製鉄は、まあ個人的なツボなので、この本をチョイスしたのです。rakuten鉄の文化誌蒸気機関森林保護からはなれて、蒸気機関のあたりを、見てみましょう。p117~119<蒸気機関> ワット機関は、ニューコメン機関に比べて熱効率が格段によく、石炭の消費量は4分の1以下であったという。その後もジョン・ウィルキンソンは、蒸気機関の改良につとめ、さまざまのタイプの熱機関を発明し、その使用分野を拡張し、産業界への貢献は著しかった。 ワット機関が普及するまでは、通常、工場は河川の畔に建てられ水車によって、工場内の機械設備の動力源にしていたが、ワット機関によって、何時でも何処でも、強力な動力が得られるようになり、たまたまこの時代にイギリスに興った産業革命の推進力になった。 ワットはボールトン(企業家、機械技術者)と組み、多数の蒸気機関を製作し、産業革命時代の基幹産業、繊維工業への普及に努めた。 彼らが最初の25年間に製作した蒸気機関325台のうち、繊維関係の工場だけで124台が使われた。 ワットはまた、工学の基礎になる種々の仕事もしている。特に著名なものが、動力の観念およびその測定法の確立、目安としての馬力の制定がある。いまでは馬力は使われていないが、その代わり、彼の名からきたワット、キロワットが公認されており、蒸気機関はいまでは歴史的なものになりつつあるが、単位ワットは、日常語として残っている。 このように、ワットの業績ばかり推賞され、もとの熱機関の発明者ニューコメンの名はとかく忘れられがちのように思える。(中略) それより、ニューコメンの最初の着想こそ偉大な功績というべきである。彼の手柄は、円筒形のシリンダーの中に、気化と液化を繰り返す水蒸気を導入し、熱を「力学的な力」に変換させる装置を思い付いたことであろう。 これこそ、彼の偉大な発明であった。現在使われている自動車のガソリン・エンジンもディーゼル・エンジンもニューコメンが最初に着想したものと同じ円筒型シリンダーの中をピストンが運動して「熱を力に変換」する装置になっている。 この分野の物理学は、実用が先立ち理論が後からできたといわれている通り、その熱力学の創始者の一人サジ・カルノー(フランスの物理学者)は、円筒型シリンダーとピストンの加熱と冷却を繰り返し、シリンダー内の気体を膨張、収縮させる思考実験を基に熱を力学的な力に変換する理論を導いた。ウン 野だたらから始まって・・・木炭高炉、コークス高炉、蒸気式送風機を経て・・・熱力学理論までたどりついたわけで・・・まさに文化誌であったなあ♪『鉄の文化誌』6:蒸気機関『鉄の文化誌』5:幕末の鋳鉄砲『鉄の文化誌』4:近世ヨーロッパのコークス高炉『鉄の文化誌』3:近世ヨーロッパでの製鉄および森林保護『鉄の文化誌』2:たたら製鉄のルーツ『鉄の文化誌』1:日本の「たたら吹き製鉄法」
2023.10.11
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今回借りた4冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・K氏の大阪弁ブンガク論・ネコノミクス宣言・カラス屋、カラスを食べる・編集思考<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【K氏の大阪弁ブンガク論】江弘毅著、ミシマ社、2018年刊<「BOOK」データベース>より国民的作家から現代の人気作家まで縦横無尽!長年街場を見つめてきた著者がボケてつっこむ!唯一無二のブンガク論。【目次】ブンガク論に入る前に、ちょっと地元のこと。K氏の場合。/日本ブンガクを席巻する関西弁の技法/黒川博行ブンガクを支える「口語」表現/『細雪』-大阪弁が現代文で書かれるようになった時代/『細雪』はグルメ小説や!/大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性/ほか<読む前の大使寸評>K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪rakutenK氏の大阪弁ブンガク論【ネコノミクス宣言】 猫組長×西原理恵子著、扶桑社、2019年刊<「BOOK」データベース>より元経済ヤクザ×サイバラ!連載時のカラー原稿100ページ分を収録した『完全版』として再登場!全100話収録!猫組長(ネコクミチョウ)神戸生まれ。元山口組系二次団体幹部。若くして反社会組織に身を投じ、仕手戦やインサイダー取引を経験。グレーゾーンのファイナンスや国際金融を得意とする経済ヤクザとして活躍。タックスヘイブンにも複数企業を保有している<読む前の大使寸評>元経済ヤクザの猫組長が、サイバラとコラボして儲け話を語るってか・・・面白そうであるrakutenネコノミクス宣言【カラス屋、カラスを食べる】松原始著、幻冬舎、2018年刊<「BOOK」データベース>よりカラス屋の朝は早い。日が昇る前に動き出し、カラスの朝飯(=新宿歌舞伎町の生ゴミ)を観察する。気づけば半径10mに19羽ものカラス。餌を投げれば一斉に頭をこちらに向ける。俺はまるでカラス使いだ。学会でハンガリーに行っても頭の中はカラス一色。「地方のカフェにワタリガラス(世界一大きく稀少)の標本がいる」と聞けば、道も店の名も聞かずに飛び出していく。餓死したカラスの冷凍肉を研究室で食らい、もっと旨く食うにはと調理法を考える。生物学者のクレイジーな日常から、動物たちの愛らしい生き方が見えてくる!<読む前の大使寸評>マッドサイエンシストとは言わぬまでも・・・かなりの入れ込み具合ではあるなあ♪rakutenカラス屋、カラスを食べる【編集思考】佐々木紀彦著、ニューズピックス、2019年刊<商品説明>より「編集」は、ビジネスにこそ必要だ!モノがあふれた時代、新たな価値を生み出す手法として注目を集める「編集」。NewsPicks初代編集長を務めた佐々木紀彦が、17年間の編集者としての経験をもとに体系化した「編集思考」は選ぶ・つなげる・届ける・深めるの4つのステップからなる。斬新なイノベーションを生み出したい人、どんな状況にも対応できるユニークなキャリアが欲しい人、新たなビジネスモデルを開発したい人、全ビジネスパーソン必読の新時代の1冊。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten編集思考図書館大好き612
2023.10.10
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・小川哲『地図と拳』(2/01予約、副本6、予約196)現在10位・ジンセイハ、オンガクデアル(2/10予約、副本1、予約15)現在2位・村上龍『ユーチューバー』(5/20予約、入荷待ち)現在11位・『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』(5/23予約、副本1、予約26)現在6位・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、副本1、予約55)現在32位・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在402位・多和田葉子『白鶴亮翅』(8/2予約、副本?、予約57)現在20位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在309位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在144位・ブレイディみかこ『リスペクト』(9/05予約、副本?、予約46)現在28位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在115位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在388位・タルディ『塹壕の戦争1914-1918』(10/08予約、副本1、予約0)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・養老孟司『形を読む』・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・菊間晴子「犠牲の森で」・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・斎藤環『社会的ひきこもり』・ひさうちみちお『パースペクティブキッド』・松里公孝『ウクライナ動乱』・吉岡桂子『鉄道と愛国』:図書館未収蔵<予約分受取:6/16以降> ・『南シナ海 アジアの覇権をめぐる闘争史』(6/09予約、6/16受取)・山本佳典『羊と日本人』(6/17予約、6/22受取) ・宮脇淳子『 満洲国から見た近現代史の真実』(7/01予約、7/09受取)・阿川佐和子『 老人初心者の覚悟』(7/18予約、7/26受取)・スヴェン・ベッカート『綿の帝国』(6/14予約、8/16受取)・カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(8/31予約、9/06受取)・小松左京『大震災'95』(9/02予約、9/06受取)・西加奈子『くもをさがす』(5/10予約、9/06受取)・村上春樹『うずまき猫のみつけかた』(9/26予約、10/04受取)**********************************************************************【地図と拳】小川哲著、集英社、2022年刊<「BOOK」データベース>より「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野…。奉天の東にある“李家鎮”へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/01予約、副本6、予約175)>rakuten地図と拳【ジンセイハ、オンガクデアル】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2022年刊<「BOOK」データベース>より貧困層の子どもたちが集まるいわゆる「底辺託児所」保育士時代の珠玉のエッセイ。ゴシック文学的言葉を唱え人形を壊すレオ。「人生は一片のクソ」とつぶやくルーク。一言でわたしの心を蹴破ったアリス。貧窮、移民差別、DV。社会の歪みの中で育つ、破天荒で忘れがたい子どもたち。パンクスピリット溢れる初期作品。『アナキズム・イン・ザ・UK』の一部に大幅増補。映画・アルバム評、書評を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/10予約、副本1、予約15)>rakutenジンセイハ、オンガクデアル【ユーチューバー】村上龍著、幻冬舎、2023年刊<出版社>より20代半ばにしてデビューをした作家・矢崎健介、70歳になった。「世界一もてない男」を自称するユーチューバーが、矢崎をユーチューブに誘う。承諾した矢崎が語り出したのは、自由である人間について。自由な人間は滅多にいないのだと言った。自由であるということは、唯一の希望を生む。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/20予約、入荷待ち)>rakutenユーチューバー【千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話】済東鉄腸著、左右社、2023年刊<「BOOK」データベース>より日本どころか千葉の実家の子供部屋からもほとんど出ない引きこもりの映画オタクの下に差し込んだ一筋の光、それはルーマニア語ールーマニア人3000人に友達リクエストをしてルーマニアメタバースを作り猛勉強、現地の文芸誌に短編小説を送りつけ、『BLEACH』の詩へのリスペクトと辞書への愛憎を抱きながらルーマニア語詩に挑戦する。受験コンプレックス、鬱、クローン病。八方塞がりの苦しみから、ルーマニア語が救ってくれた。暑苦しくって切実で、好奇心みなぎるノンフィクションエッセイ。千葉の片隅から、魂の故郷・ルーマニアへの愛を叫ぶー。本、映画、音楽…ルーマニアックのための巻末資料も収録!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/23予約、副本1、予約26)>rakuten千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話【台湾漫遊鉄道のふたり】楊双子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より昭和十三年、五月の台湾。作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴と台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。ただ、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子の焦燥感は募り…国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差。あらゆる壁に阻まれ、近づいては離れるふたりの旅の終点はー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/23予約、副本1、予約55)>rakuten台湾漫遊鉄道のふたり【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【白鶴亮翅】多和田葉子著、朝日新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>よりベルリンで一人暮らしをする美砂は、隣人Mさんに誘われて太極拳学校へ。さまざまな文化的背景の人びととの出会い、第二次大戦前後のドイツと日本の歴史に引き込まれ、名作を女性の視点で読み直す。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/2予約、副本?、予約57)>rakuten白鶴亮翅【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【リスペクト】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2023年刊<「BOOK」データベース>より2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとした小説。ホームレス・シェルターに住んでいたシングルマザーたちが、地方自治体の予算削減のために退去を迫られる。人種や世代を超えて女性たちが連帯して立ち上がり、公営住宅を占拠。一方、日本の新聞社ロンドン支局記者の史奈子がふと占拠地を訪れ、元恋人でアナキストの幸太もロンドンに来て現地の人々とどんどん交流し…。「自分たちでやってやれ」という精神(DIY)と、相互扶助(助け合い)と、シスターフッドの物語。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/02予約、9/06受取予定)>rakutenリスペクト【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【塹壕の戦争1914-1918】タルディ著、共和国、2016年刊<「BOOK」データベース>より戦記コミックの金字塔。第一次世界大戦の“リアル”を徹底的に描き出して、「コミックのアカデミー賞」と呼ばれるアイズナー賞を受賞したフランスの巨匠タルディの代表作、ついに日本初上陸。この戦場の“リアル”を直視することから、いま、私たちの現代史は幕を開ける。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/08予約、副本1、予約0)>rakuten塹壕の戦争1914-1918【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2023.10.10
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図書館で『日本全国 地魚定食紀行』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・日本各地の地魚定食が載っていてええでぇ♪処理水放出後の中国では日本の水産物が食べられないそうで、我慢比べの様相であるが・・・。【日本全国 地魚定食紀行】うぬまいちろう著、徳間書店、2021年刊<「BOOK」データベース>より地魚定食グラビア/プロローグ ボクが漁港食堂に通うわけ/最果ての港、稚内港でカニ丼を味わい、礼文島に渡り究極のウニ丼を食す/豊かなる北東端の漁港、羅臼漁港で珍しいブドウエビ、黒ハモを心得る/青函連絡船の青史を追懐しつついただいた、マグロ中落ち丼とメヌキの粕漬/風待ちの港にて、ヒラメを噛みしめ男鹿しょっつる焼きそばを流し込む/大河川最上川と日本海が育んだ酒田の味、ダダミとニジバイガイに恍惚とする/寺泊の浜焼きに、佐渡島のサザエの味噌焼き、ハチメのあんかけに昂ぶる/イワシ塩焼き、キンメの煮付け、生メバチマグロに喜々とする/マグロ問屋が気魂を込めた三崎マグロとじっくりと囲炉裏で焼いた焼き魚〔ほか〕<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・日本各地の地魚定食が載っていてええでぇ♪処理水放出後の中国では日本の水産物が食べられないそうで、我慢比べの様相であるが・・・。rakuten日本全国 地魚定食紀行私にとっての地魚が載っているあたりを、見てみましょう。p164~167<瀬戸内二大島を巡り、焼きアナゴとひしお丼を深く吟味す> 本州西部、四国、九州に囲まれた日本最大の内海、瀬戸内海は古より西日本の主要航路として栄えた。 瀬戸内海式気候と呼ばれる温暖で雨量が少ない気候と、豊かな生態系を持つ海域は、太古より人が生活する素地を支え、文化を育んできたのである。 また、多島海としても知られ、その諸島数はなんと700以上である。ここでは瀬戸内最大の兵庫県、淡路島と、それに続く規模の香川県、小豆島を旅してみよう。 瀬戸内海東部に位置する瀬戸内最大の島、淡路島をボクがはじめて訪れたのは、2011年の4月のことである。 陽春の夜明けの風を受けながら、愛車とともに育波漁港に到着。これから待望のコウナゴ漁の取材をさせていただくのだ。 快く取材を引き受けてくれたのは『エビス丸』の若船頭である小溝悠介さん(以下悠介さん)である。ボクはモーターマガジンという自動車雑誌にて『クルマでゆるゆる日本回遊記』という連載をかれこれ16年続けており、その旅の取材として、こちらのエビス丸さんにコウナゴ漁の乗船をお願いしたのだった。「今から出ますね。ボクは曳き船に乗るさかいに、うぬまさんはエビス丸に乗ってさい」と、白い歯を見せて舷側をポンと軽やかに蹴り、曳き船とともに波止の外に滑り出していった悠介さん。エビス丸もブルブルと船体を振るわせて曳き船に続く。操舵室では、悠介さんのお父さんである小溝晃さん(以下晃さん)が舵を取る。「漁は他の2隻の曳き舟と、この船の3隻でやるんやけど、エビス丸はサカナを運ぶ運搬船と、さかな探したりする司令船の役目を兼ねおるんですわ」 温厚な語りで晃さんがエビス丸の運用を説明してくれた。エビス丸は育波漁港より4~5㎞沖の室津の瀬という漁場に到着。晃さんが魚探を睨み無線で曳き船に指示を送る。水温が上がるとコウナゴは砂に潜ってしまうとのことで、どうやら水温が上がる前の早暁が勝負らしい。(中略) 口の中で跳ねるコウナゴをプチッと噛み砕く。海水をタップリと纏っていたこともあって、深い甘さとあいまったそれは意外にいけた。そんなボクを見て晃父さんが、「コウナゴもうまいけど、ここからクルマで10分ほどの豊島の街でうちのアナゴを焼いとるから、それ、うまいから食べていってくださいよ」と、絶品の焼きアナゴがあることを教えてくださった。実は淡路島は“焼きアナゴ”で有名な島なのである。オリーブやタマネギ、淡路牛、コウナゴやシラスのみにあらずなのだ。 早速『魚増鮮魚店』にお邪魔したボク。こちらのお店“淡路名物焼きアナゴの専門店”としてたいそう有名な店舗なのである。遠くから足を運ぶ方々も多いが、日々のオカズとしてこちらの焼きアナゴを求める地元のお客さんで、平日ですら午前中でアナゴが尽きて終わってしまうこともあるという。 お店に配置されたグリルではジュウジュウと小気味よい音を立てて、アナゴが焼かれていた。焼いたアナゴは受籠に置かれていくのだが、それがまるで積み上げられた木材を思わせ壮観である。 濃厚な香りを放ち、白くたなびくアナゴの煙が目に染みるとおなかがグウと鳴く。こちらで焼かれているアナゴはいわゆるマアナゴといわれる種類で、瀬戸内海でアナゴといえば間違いなくこのマアナゴを指すのである。 『日本全国 地魚定食紀行』1:クジラ肉が庶民の味♪
2023.10.09
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図書館で『日本全国 地魚定食紀行』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・日本各地の地魚定食が載っていてええでぇ♪処理水放出後の中国では日本の水産物が食べられないそうで、我慢比べの様相であるが・・・。【日本全国 地魚定食紀行】うぬまいちろう著、徳間書店、2021年刊<「BOOK」データベース>より地魚定食グラビア/プロローグ ボクが漁港食堂に通うわけ/最果ての港、稚内港でカニ丼を味わい、礼文島に渡り究極のウニ丼を食す/豊かなる北東端の漁港、羅臼漁港で珍しいブドウエビ、黒ハモを心得る/青函連絡船の青史を追懐しつついただいた、マグロ中落ち丼とメヌキの粕漬/風待ちの港にて、ヒラメを噛みしめ男鹿しょっつる焼きそばを流し込む/大河川最上川と日本海が育んだ酒田の味、ダダミとニジバイガイに恍惚とする/寺泊の浜焼きに、佐渡島のサザエの味噌焼き、ハチメのあんかけに昂ぶる/イワシ塩焼き、キンメの煮付け、生メバチマグロに喜々とする/マグロ問屋が気魂を込めた三崎マグロとじっくりと囲炉裏で焼いた焼き魚〔ほか〕<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・日本各地の地魚定食が載っていてええでぇ♪処理水放出後の中国では日本の水産物が食べられないそうで、我慢比べの様相であるが・・・。rakuten日本全国 地魚定食紀行まずは、小・中学生時代によく食べたクジラから見てみましょう。クジラ肉が安かったので、庶民の味と言いましょうか♪p154~158<クジラのオバケ、刺身、ベーコンを食し、旅の縁に感謝する> 2月の紀伊半島。ボクと愛車は突風の洗礼を受けて進む。時化(しけ)で山のように盛り上がった海原は波止に打ち付け、飛沫を上げて海岸線に沿った路には潮が雨のように降り注ぐ。 ビュウビュウと吹き付ける海風に愛車のハンドルを取られまいと方に力を入れ、国道を南下すること暫く。半島突端よりやや東側に位置し、地図で見るとちょこんと熊野灘に突き出した太地町に到着。 黄昏の太地県道には大きなソテツか、はたまたドラセナと思われる大きな街路樹が植えられており、風に吹かれて葉がゆさゆさと煽られていたものの、ドラマチックな夕景を醸し出していた。後で調べたらさすが南国。その木々はなんとすべて椰子の木であった。 しかし、とにかく腹が減った。おなかをグウと鳴らしつつ、虚ろな心でよたよたゆるゆるとドラマチックな街道を行くと、その先に小さな灯りがともされていた。 灯りは赤い看板の『しっぽ』というお店を優しく照らしていた。波に打ち寄せられる流木のように、ボクはそのお店にクルマをゆっくりと停めた。(中略)「いらっしゃい。凄い風やで」 気のよさそうなマスターがテーブルに導いてくれた。頭に巻いたバンダナが、表の赤い看板と同じ色でなかなか粋である。 早速メニューを開くとなんと驚き、クジラ、クジラ、クジラ、クジラ料理のオンパレードである。このお店は名高きクジラ料理の専門店だったのである。 単純にごく普通の食堂にて煮魚定食の類いをいただこうと思っていただけに、この思わぬ展開に小躍りする。なにしろクジラは大好物で、幼少期にはわら半紙の学校給食の献立を見つめ、クジラフライが出る日を見つけると喜々としていたのだ。 当時のクジラフライは、なんともバタ臭いスパイスの効いたソースがふんだんにかけられて、今思えばソースかつのような体裁であった。それをチープな味わいのコッペパンに挟んでいただくのが大好きだった。クジラフライはちょっと歯ごたえがあったが、コッペパンと一緒に噛みしめると少し油臭くて、それがまたたまらなかった。 さらに北海道に単身赴任だった父がたまに帰ってくると、晩酌のお供は赴任地から届く北国の肴であることが多く、その中に縁が朱に彩られ乳白色で半透明なちょっと変わった香りがするものがあった。それがクジラのベーコンである。 ボクはあまたの肴の中でも、特にクジラベーコンをつまみ食いするのが大好きだった。ほぼ脂身のような食感のそれは、口の中に入れた刹那、その独特の香りと味わいが広がってとてもうまかった。当時の北海道には函館や網走、室蘭に捕鯨基地があり、鯨肉も盛んに消費されていたので、ケガニやスジコ、数の子にホタテとともに木箱に詰められ、遠く北国から送られてきたのだ。(中略) そんなわけで幼少期からクジラ肉をたしなむことがあり、その少し癖のある味にはまっていた。しかしながら商業捕鯨の衰退とともにクジラ肉は高騰してしまい、今では専門店でしか味わうことができない高嶺の花となってしまったので、こちらのお値頃なメニューを伺い、小躍りする思いだったのである。 さて、どれにしようかなと悩みつつ、アマタノレシピが記される中からオバケ(尾っぽの部分、尾羽毛と書く)、クジラの刺身、クジラのベーコンが一度に楽しめてお値頃な『鯨おのみ定食』というメニューが気になったのでそれを注文した。なんと、高級な鯨肉が定食で楽しめてしまうのである。さらに、どうしても忘れられない味を食したかったのでクジラフライにテイストが似ている『クジラの竜田揚げ』を単品で追加させていただく。 待つこと少々。大きな盆に鯨おのみ定食とクジラの竜田揚げが乗せられテーブルに運ばれてきた。喜々としながら悩んだが、まずは懐かしいクジラベーコンをひとくち。なつかしい味わいが口に広がった。あっさりしつつも濃厚、クジラの旨みがギュッと凝縮されている脂身。なんとも幸せな瞬間である。「ベーコン、うまいでしょ。それはオキゴンドウのベーコンね」 しっぽのマスター、脇川和清さんは昭和38年(1963年)生まれでボクよりひとつ年上のセンパイであった。その語りはとても優しくて人の好さがにじむものである。 さて、次に口にしたのが、ぬた(辛子味噌)のかかった白い部分である。ううむ、コリコリしてとても心地よい歯ごたえ。噛むほどにプリプリでぬたと絡んで食感が最高である。これは絶対に日本酒に合うこと請け合いである。「それはね、オバケっていって、オキゴンドウのヒレのところね。最初縮れて小さいんだけど、水で戻すと大きくなるから、だからオバケっていうんだよ。くじらの尾っぽで漢字で書くと、尾に羽に毛、となるから、だからオバケっていうって説もあるんだよね。どちらかというと酒の肴で、食感を楽しむものだね」捕鯨の現状がやったぜ 日新丸船団♪ に見えるけど・・・庶民の味も風前の灯なのか。 アカン、捕鯨を復興させて、またあの鯨肉を食べようではないか。
2023.10.09
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図書館に予約していた『うずまき猫のみつけかた』という本を、待つこと10日ほどでゲットしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・カラー写真や挿絵が多くて、気楽に読めるエッセイ集となっているのがええでぇ♪【うずまき猫のみつけかた】村上春樹著、新潮社、1999年刊<「BOOK」データベース>よりアメリカのケンブリッジに住んだ‛93年から‛95年にかけての滞在記。ボストン・マラソンに向けて昴揚していく街の表情、「猫の喜ぶビデオ」の驚くべき効果、年末に車が盗まれて困り果てた話、等々なごやか(?)なエピソードの中に、追悼特集で報じられたニクソン元大統領の意外な一面や、帰国後訪れた震災後の神戸の光景がキラリと光る。水丸画伯と陽子夫人が絵と写真で参加した絵日記風エッセイ集。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・カラー写真や挿絵が多くて、気楽に読めるエッセイ集となっているのがええでぇ♪<図書館予約:(9/26予約、10/04受取)>rakutenうずまき猫のみつけかた村上さんが、自分の中華料理アレルギーについて語っているので、見てみましょう。p53~56<この夏は中国・モンゴル旅行と、千倉旅行をしました> 6月28日に全日空機で成田から大連に向かう。これはある雑誌の取材で、写真の松村エイゾー君と二人で中国の級満州とモンゴル共和国を巡る2週間ばかりの旅行をするためである。でもただ単に雑誌の取材だけではなく、僕としては今書いている小説(『ねじまき鳥クロニクル/第3部』)のための個人的な取材をするという目的もあった・・・というか、実を言うとそっちがずっとメインなわけですね。そう言うと身も蓋もないけれど。 いずれにせよ僕は中国という国にぜひ一度行ってみたいと思っていたので、この取材はまあ渡りに船という感じであった。たとえ行きたいと思っても、一人で中国の奥地まで行くのは、今の段階では現実的にものすごく難しいわけだし。 というと、いかにも順風満帆言うことない話みたいなのだが、僕はこの旅行に関してはひとつだけ非常に深刻な個人的問題を抱えていた。その「ただひとつの問題」というのは、僕が極端な中華料理アレルギーだという事実である。僕はたしかに子供のころは偏食の傾向が強くて苦労したのだが、大人になってからはいろんなものを努力して食べるようにしてきたし、事実大抵のものは食べようと思えば食べられるようになった。 でも中華料理だけは何があろうとぜったいに駄目なのだ。なにしろ千駄ヶ谷の〈ホープ軒〉の前を通っただけで気持ちが悪くなる。横浜の中華街なんかとても歩けないし、中華街どころかシュウマイの匂いをかぐのが嫌で横浜駅を下りたくないというかなり重度のアレルギーである。生まれてからラーメンなんて一度として食べたことがない。 そういう話をするとみんな冗談だと思うらしいのだが、これはほんとうにほんとうに真剣な話です。何かの折りに中華料理店に招待されて、申しわけないけれどまったく箸をつけられなかったということも何度かあった。(中略) そんなこんなで、こと中華料理アレルギーの矯正については、けっこう性格的にしつこいうちの奥さんもさすがに匙を投げて、自分が中華料理を食べたいときには誰かほかの人を誘って食べにいくようになった。この前急にどうしてもラーメンを食べたくなって、お昼に一人でラーメン屋に入って食べていたら、近くのテーブルに座っていた若い女の子のグループに聞えよがしに、「年とっても、一人でラーメンを食べるような女の人だけにはなりたくないわね」と言われたそうで、「これというのもだいたい、あなたがラーメンを食べられないせいよ」とぷんぷん怒っていた。 ですから、一人でモクモクとラーメンを食べている40代の女の人をどこかで見かけても、あまりいじめないであげてください。人にはそれぞれいろんな個人的事情があるんだから。そしてそういったとばっちりは必ず僕のほうに来るんだから。『うずまき猫のみつけかた』1:人喰いクーガーの話
2023.10.08
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