がん発生の基盤となる仕組みを探る ―DNA 損傷下における細胞周期の新たな制御因子―
出典: プレスリリース
2014年11月12日、東京大学の研究グループは、DNA 損傷後の細胞の生死を決定する仕組みが、がんの発生過程に与える影響の大きさに注目し、その仕組みを制御する新たな遺伝子 Rad54B を発見したと発表した。
研究成果は、Nature Communicationsに2014年11月11日からオンライン版で公開されている。
がんにおいては細胞周期を制御する仕組みが異常を来たしており、本来起こるべきではないタイミングで細胞分裂を繰り返している。
細胞は、日々外的、内的ストレスにさらされることでDNAに損傷が起こりますが、それらは精巧な仕組みによって修復され、修復ができないものは細胞死を誘導することで、遺伝情報が乱れた細胞が生存しない仕組みを備えている。
その仕組みが破綻することは、がんの発生や、がんのさらなる進展、悪性化につながると考えられている。
正常な細胞では、DNA 損傷が起こった場合、まず細胞周期を停止させ、DNA 損傷を修復して生存を続けるか、細胞死を誘導するかを判断する時間的な猶予を作ります。
その際に中心的な働きをするのが、p53 というタンパク質で、p53 が機能することで、細胞周期の進行が適切に抑制されます。
研究グループが発見した遺伝子 Rad54B は p53 の働きを抑制し、細胞周期を停止させる仕組みを無効化することで、DNA 損傷の修復が完了しない状態のまま細胞分裂を促進することがわかり、そのような分裂の結果、染色体の欠失や重複などが培養細胞において観察。
ヒトのがん細胞を移植したマウスを用いて、既存の薬物治療とともにRad54Bタンパク質を阻害した場合には、阻害しなかった場合よりも癌の増殖が強く抑えられた。
Rad54Bタンパク質を治療標的にすることにより、既存薬剤の効果を増強、癌の悪性化を抑制、癌の発生の予防の可能性が示唆された。
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