2014年11月13日、熊本大学は進行性頭頸部癌に対する3種類の癌抗原ペプチドの混合ワクチンの第2相試験の結果を発表した。
研究成果は、 Clinical Cancer Reserachに2014年11月12日からオンライン版で公開されている。
ペプチドワクチンを投与できた群と投与できなかった群において、生存期間の中央値(MST)はそれぞれ4.9か月と3.5か月であり、投与した患者群の方が有意に生存期間が延長することが判明した。
ペプチドワクチン投与後に、3種のペプチドワクチンのうちの1つであるLY6Kという癌特異的抗原由来のペプチドに反応する、キラーT細胞の存在が確認できた患者は85.7%であり、MSTも8.1か月であった。キラーT細胞の存在が確認できなかった患者のMSTは1.4か月であった。
CDCA1という癌特異的抗原由来のペプチドに反応する、キラーT細胞の存在が確認できた患者は64.3%であり、MSTも11.3か月であった。一方、キラーT細胞の存在が確認できなかった患者のMSTは4.6か月であった。
今回3種類のペプチドを用いたペプチドワクチンを施行したが、特に3種類すべてに反応するキラーT細胞を誘導できた6症例では、4症例が生存しており1症例では癌が完全に消滅し、1症例は5年近く、他の2症例は約14ヶ月および25ヶ月以上生存している。
ペプチドワクチンを投与した患者のうち、1症例において癌抗原ペプチドを認識するキラーT細胞が強く誘導され、癌は原発巣および転移巣ともに完全に消失し、その後2年間再発もせず良好に完全治癒の状態を維持している。
例数が少ないので、コメントがしづらいが、ペプチド投与群でキラーT細胞が誘導されなかった症例のMSTは1.4か月と従来治療群の3.5か月に比べて半減している。
キラーT細胞が誘導された場合には、十分な効果があると考えられるので、第三相試験によって効果が実証されることが待ち望まれる一方、キラーT細胞が誘導されなかった場合には、(いつそれを判断するかを規定するの必要があるが)、従来治療に切り替えるなど、テーラーメード治療を指向した試験方法の検討が望まれる。
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