アラ還の独り言

アラ還の独り言

2020年11月16日
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カテゴリ: 妄想
徹夜明けに気分が爽快になるのはなぜかと思って調べてみるとずいぶん前に論文にまとめられていました。
その文献は
Drew Dawson & Kathryn Reid. Fatigue, alcohol and performance impairment. NATURE | VOL 388 | 17 JULY 1997
これは深夜労働者の活動量を調査したもので、それがアルコール摂取量に換算するとどれぐらいに当たるかを検討したものです。

徹夜明けの爽快感は体内時計によるものと仮説が提供されています。
体内時計は睡眠から次睡眠まで覚醒状態を維持するように働き、睡眠から覚める直前に覚醒状態に戻すという仮説です。

この仮説は覚醒に働く体内時計は睡眠に関係なく働いていることになります。したがって、徹夜明けには覚醒を促すように働くことから、爽快感をもたらすということが、経時的に活動量を測定することによって確かめています。

前にコルチゾールの血中濃度を調べた文献(文献名は忘れました)では、目覚める1時間前から2時間前にコルチゾールの血中濃度が上昇することを確認していました。しかし、この目覚める時間は前の晩に自分が起きようと定めた時間で変化させることが可能であることもその論文にあったはずです(これは文献を探さねば)ということでこの文献は以下
池田 大樹、林 光緒; 自己覚醒が日中の眠気に及ぼす影響  心理学研究 2012 年 第 83 巻 第 1 号 1-9
ということで、これは意志によって体内時計の周期を変化させることになるので、状況証拠的にはDawsonの仮説とは少し合いません。

体内時計の文献はたくさん出ています。自分は教科書を買わない人なので、どこまで通説になっているかは分かりませんが、ここ3ヶ月ぐらい、体内時計に関する文献を調べた限りでは、各文献を付き合わすと微妙に仮説が異なるような気がします。

話がそれてしまいました。

徹夜明けの爽快感です。これはうつ病の治療に応用されて断眠療法というものが存在します。うつ病患者の抑うつ感を徹夜明けの爽快感で回復しようとする方法です。越前屋 勝; うつ病に対する断眠療法 :日本生物学的精神医学会誌 22 巻 3 号によると
効果が持続しにくい,患者側・治療者側の負担が大きい,診療報酬請求ができない,といった欠点があり,今日まで我が国では普及してこなかった。
そうである。

有効性は60%、即効性があるので最近は(2011年)選択肢の一つと考えられるとのことである。 日本うつ病学会治療ガイドライン IIうつ病(DSM-5)/大うつ病性障害2016にも断眠療法の項目があります。

そこでピンとくるのは2019年に注意欠陥/多動性障害治療剤として発売されたビパンセです。この薬剤の発売とともにコンサータとビパンセの治療は登録制になりました。理由はビパンセで顕著ですがアンフェタミンのプロドラックだからです。コンサータは容易にアンフェタミンに変化させることが出来るからです。コンサータは劇薬、向精神薬(第一種)処方箋医薬品の指定ですが、ビパンセは劇薬、覚醒剤原料、処方箋医薬品の指定を受けています。

さあ、ここで抗うつ剤の薬剤設計で即効性というものを一つのキーワードにしましたが、結局はそのような物は作る事は出来ませんでした。アンフェタミンに関しては手を付けてはいけないものであるという頭があったからです。

注意欠陥/多動性障害治療薬でビバンセカプセル20mgが承認されたのですから、抗うつ薬の抑うつ感の即効性対処療法としてビバンセが適応拡大しないかなということです。

今の覚醒剤を使わせないキャンペーンで覚醒剤そのもののイメージが悪くなりすぎているので、難しいのは理解できます。しかし、サリドマイドは不眠症などほぼ健康人に使って大きな問題を起こしましたが、多発性骨髄腫という難病には切り札的効果があるのに薬価収載されるまでにとても時間がかかりました。もっといえば現在抗COVID-19薬として申請中でかつ抗インフルエンザ薬として承認されているアビガン(ファビピラビル)も催奇形性があるので、サリドマイドのような副作用が出る可能性があります。

アンフェタミンの依存性が問題になるかもしれません。アンフェタミンの依存性に関してはアンフェタミンによる爽快感のレベルが異常に高い人が存在し、その人たちが依存症に陥るという仮説もあります。でなければ、戦後アンフェタミンが眠らないで仕事ができるという薬として大々的に発売されていることから、高齢者にもっとアンフェタミン依存症のひとがおおくてもおかしくないはずです。

これはコンサータが抗うつ剤としての承認を取り消された理由は自殺企図が増えると言うことです。うつ病は寛解途中に自殺企図が出ることが多いというデータが存在します。これから導き出される仮説は現在の抗うつ剤が自殺企図を生じるほどうつ病を治せていないという仮説も生じます。(さすがに無理筋、うつ病の自殺企図は寛解途中に出やすいと言うだけであって100%寛解途中に自殺企図が出るわけではありませんから。)

いったん取り消した効能効果でも、現在の科学水準で再検討した場合には効果があるということが分かれば積極的に見直して欲しいと考えます。効かない薬の効能を再審査で取り消すことも重要なことですが、逆に関しては誰かが声を上げなければ日の目を見ません。

抑うつはとてもつらいものです。その症状が取れるのであれば、まずは断眠療法の薬価収載、その資金は今の抗うつ剤を減らすことができれば十分ペイすると思います。


最近読んだ本
双星の陰陽師 23
話が本格化してきたというかややこしくなってきました。
次の章ぐらいで終わりにしないと、最後はバタバタしそう。


超人類6 Reanimator 4
分冊版はやめて 間違えて何冊かかってしまった。分冊にするメリットがよく分からない。合本で値引きしてくれるのは有難いが。





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最終更新日  2020年11月16日 14時50分48秒
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