全19件 (19件中 1-19件目)
1
「Coda1 夏の夕暮れ」は、初めてのピアノ演奏会に臨む公生のお話。 そこには、祖母を亡くした椿を元気づけようとする思いがあった。 「Coda2 夏の幻」は、公生の初のピアノ演奏会を描いたお話。 演奏したのは、モーツァルトピアノソナタ第3番変ロ長調第3楽章。その演奏に、母は息子を「あの才能をキチンと世に出さなきゃ」と思い、感情を爆発させた絵見の号泣に会場は失笑し、その会場の反応に公生は落ち込み、椿は笑顔になる。そして、その演奏が始まる前の舞台裏。友達のせっちゃんと記念写真を撮るかをり。その写真に写り込んだのが公生。今は、公生のピアノの上にあるあの一枚。「Coda3 秘密結社KKE」は、倉橋第四中学校での絵見の日常を描いたお話。そして、毎報音楽コンクールで公生が来るのを待つ絵見と武士。「Coda4 2年後」は、中学3年生になったヴァイオリニスト・三池俊哉のお話。中学1年生の茶代恵梨香のピアノ伴奏で、くる学祭で凪とガチンコ対決。「Coda5 夏のなごり」は、かをりの誕生、そしてヴァイオリンを始めるまでを描いたお話。さらに、中学生になった公生との出会いも描かれており、あの写真のエピソードも出てきます。どれもこれもイイお話。四コマ漫画も、各エピソードや原作を邪魔しない良い出来でした。
2019.05.06
コメント(0)
かをりは集中治療室へ。 公生は奈落の底へ。 どうして こうなっちゃうの 僕は ピアノを弾いて お母さんに 元気になって欲しかっただけなのに 僕はただ - 恋をしただけなのに渡を通じて、公生に届いたかをりからの手紙。「カヌレ 食べたい」。かをりは、病院の屋上で、東日本ピアノコンクールの日に手術を受けることを、公生に伝える。 怖いよ 怖いよ 私を一人にしないでそして、東日本ピアノコンクール絵見は最高の演奏を披露。公生は最悪の状態。それでも、ステージに向かう。 みんな 見てる 僕は応えなきゃ 僕は 弾くんだ そうやって生きてゆく 人種なんだ 僕はピアニストなんだから 君と同じ 演奏家なんだからショパン バラード第1番ト短調op.23。 一人になんか させてやるもんか 届け 届け 僕の全部をのっけて 届け会場は興奮の坩堝。が、かをりは逝ってしまう……かをりから公生への手紙。打ち明けられた真実。そして、一枚の写真。それは、今、公生のピアノの上のフォトフレームの中に。 ***終わっちゃいましたね。映画を観ているので、結末は分かってたんだけど、それでも、辛いです。でも、まだ『Coda』があるのです!
2019.05.05
コメント(0)
かをりは、公生ともう一度一緒に演奏をするために手術を決意。 リハビリ室で、体力や筋力を落とさぬようにも奮闘中。 椿は、公生と一緒の高校へ進学するために猛勉強。 模試の成績も上昇傾向。 公生も12月の東日本ピアノコンクールに向け、夜中までピアノに向かう。 そんな公生に差し入れを届けたり、髪の毛をきってやる椿。 そして12月、東日本ピアノコンクール。公生や絵見らが見守る中、相座武士がステージへ。ショパン エチュードOp.10-12。作曲家の意図を深く理解し、先人を踏襲し、血と汗の染みた譜面を体現する演奏。完全復活。そして、絵見、公生も本選進出。渡に誘われ、かをりの見舞いに行く公生。二人が笑顔で会話するのを眺める公生。 僕は 盗撮魔で 代役で 荷物持ちで ピアニストで 伴奏者で 僕は - 渡じゃない雨宿りの店先で、公生が差し出すホット・レモネードを受け取る椿。公生との思い出を、次々に思い浮かべる椿。 ばっかじゃないの…… かをちゃんは渡が好きなの あんたは 私と恋をするしかないのかをりから公生に、もう見舞いに来なくていいという電話。そして、夜空に飛行機が飛んでいるという電話。 また病院に行くよ ヒマとかじゃないよ 君に会いたいんだ渡と向かったかをりの病室。そこで、公生の目に飛び込んできたのは、ベッドの上で苦しむかをり。その処置のため走り回る病院スタッフ。その帰り道、黒猫が車にひかれて死んだ…… ***読み進めるのが、ツ・ラ・イ……
2019.05.05
コメント(0)
かをりの言葉に衝撃を受け、気分はどん底の公生。 どうにもならない思いを渡に打ち明ける。 『あたしと心中しない?』 嘘 言ってみただけ 私ね あんまり よくないみたい胡桃ケ丘中学校の学祭は、成績上位者が集い、独自性が強くアイデアに溢れた演目を準備するという、業界関係者注目の奇祭。公生は、そこで凪と共にチャイコフスキーの眠りの森の美女”薔薇のアダージョ”と”ワルツ”を弾くことに。 僕には - ひどい友達がいるんだ いじけたその人を 一発 ぶん殴ってやりたいんだ下を弾く公生が、凪の奏でる主旋律を呑み込み始める。一歩も引かず、必死に喰らいつき、張り合う凪。今、まさに覚醒。兄への思いを込めた演奏に、会場は興奮の嵐。二人の演奏を目の当たりにした武士も、そして、三池俊也も。さらに、ケータイから流れてくる演奏を病室で聞いていたかをりも、前に向かって進み始める。 君は王女様じゃないよ カヌレが好きなケーキ屋さんのコで 小説のヒロインじゃない 僕はラヴェルなんて絶対弾かない だからもう一度 一緒に弾こうよ それに 君が言ったんだ 「忘れられるの?」って ***有馬公生君、今度は君がかをりを支える番だね。
2019.05.05
コメント(0)
斉藤先輩から椿に別れの言葉。 そんな椿の側にいる公生。 が、かをりの見舞いに行くことは躊躇する公生。 そこへ現れたのは、胡桃ケ丘中学校音楽科1年の藍里凪。 紘子の下で練習することになった彼女を、公生が指導することに。 そして再度、かをりの見舞いに出向いた公生だったが、 病室の中から聞こえてきたのはかをりと渡の声。 中に入れぬまま引き返す公生。 友達を好きな 女の子 忘れたいことを思い出すのは 結構ツライそこで、ケータイにかかって来たのは、かをりからの見舞いの催促の電話。しかし、電話の後、かをりは自分の足で立ち上がれない状況に。そのことを隠して、公生の目の前に現れたかをり。二人は街に買い物に出かける。そして、二人は夜の学校へ。かをりは、今日1日だけ外出させてもらったことを打ち明ける。 代役じゃなくて 渡がよかったね ごめん せっかくの1日を 無駄遣いさせちゃって 君は忘れるの? 一緒に迷子を保護した女の子を 病院を抜け出して 待ってた女の子を 夜の学校を 探検した女の子を 君は忘れるの? 忘れない 死んでも忘れない うん やっぱり 君でよかった公生が凪の指導をしていることに不機嫌になるかをり。そんな暇があるのなら、もっと練習しろと言うかをり。時間なんて、あっという間に - と涙を浮かべるかをり。そして、後日見舞いにやって来た公生に、こう言う。 あたしと心中しない? ***かをりの最期の言葉は、『いちご同盟』の中で、重症の腫瘍で入院中の少女・直美が、彼女に寄り添う良一に言った言葉です。そして、凪の正体は相座武士の妹でした。兄を慕う妹は、公生を叩きつぶそうとしていたのです。
2019.05.05
コメント(0)
母の亡霊との決別の演奏。 そして翌日、公生は椿、渡と一緒に、病院へかをりの見舞いに行く。 さらに後日、一人で見舞いに行く公生。 そして、かをりの選曲が自分のためだったと気付く。 聞きたかったな 君のピアノ また一緒に弾きたかったな へーきだよね? 大丈夫だよね? 検査は嘘じゃないよね? もう学校に来ないなんて言わないよね? また会えるよね 君は母さんみたいに 突然 いなくならないよね ***一方、椿は公生への思いをコントロールできず……斉藤先輩も、ツライ……
2019.05.04
コメント(0)
かをりと公正がガラコンで演奏する「愛の悲しみ」。 この曲の演奏に乗り気でない公生。 それは、この曲が母との思い出の曲だったから。 子守歌代わりのように、母が毎晩弾いていた曲だったから。 「音が聴こえなくなる」 それは おくりものだよ紘子の指導、そしてかをりとの度重なる練習を経て迎えたガラコン。コンクール優勝者の三池俊也は、会場に集まった聴衆が、かをりたちばかりを話題にしているのが気に入らない。その聴衆の中には、井川絵見もいた。ところが、会場にかをりは姿を現さない。一人ステージに向かった公生は、クライスラーの「愛の悲しみ」をラフマニノフピアノ編曲版で奏で始める。怒りに身を任せ、感情に抗おうともしていない演奏。が、やがてテンポがゆっくりになり、たたずまいも柔らかに。 暗い海の底 おかしいな いつもみたいに 音が聴こえないのに 僕の中に音がある - 早希 ちゃんと見ててよ 私たちの息子が 最後のお別れをしに行くから ***遂に、公生が母親の死の呪縛から解き放たれる!!
2019.05.04
コメント(0)
演奏ストップ。 あの時 君は 何のためにヴァイオリンを弾いたんだろう 容赦のない人だ - 何を見ても 君を思い出す 本当に 容赦のない人だ 僕の中にいる 君ですら あきらめることを 許してくれないアゲイン!!かをりと交わした言葉を、かをりの姿を思い出しながら公生はピアノを弾き始める。 ああ そうだ 君のために弾こう三度、演奏がその姿を変える。音が変わり、音がきらめき出す。会場が公生の世界に埋没していく。コンクールで惨敗した夜、公生は夜通しぶっ倒れるまでピアノを弾き続けた。そして、かをりの元に藤和ホール事務局から、ガラコンサート招待状が届く。かをりと公生は、次なる目標に向けて歩み始める。かをりが選んだのは、クライスラーの「愛の悲しみ」。公生は、母の親友・ピアニスト瀬戸紘子の教えを乞うことに。そして、初めての音合わせの夜。かをりと公生は、蛍舞う草原の中。 君は心に何を持ってたの? 何を支えにしたの? 君がいたんだ ***遂にコクったか。
2019.05.04
コメント(0)
相座武士に続いては、井川絵見。 かつては、公生・武士・絵見の三人でコンクール上位を独占していたが、 気分屋で、ほんのちょっとしたことで演奏が変わってしまい、最近は不調。 しかし、公正の再登場で、彼女に新たな闘志が燃え上がる。 絵見は5歳の時、友達の演奏会で、公生のピアノ初演を目の当たりにする。 その演奏に触れ、彼女はピアニストになることを決意したのだった。 「”本当の有馬公生”は 初めての演奏の中にしかいない」 それは音楽の楽しさを体現したものだった。その後、母親の指導により、公生の演奏は豹変してしまった。機械仕かけ、母親の操り人形、譜面の奴隷、コンクールだけのピアニスト。コンクールのためだけに弾く公生の演奏を否定するため、絵見はピアノを弾き続けているのだった。「バッハ平均律1巻3番」そして「ショパン エチュードOp.25-11」。鬼気迫る演奏は、会場を興奮の坩堝へと誘う。そして、公生。正確無比、譜面を鏡に映したような演奏。 僕は お母さんに元気になって欲しかっただけなのに 喜んで欲しかっただけなのに それなのに お前なんか死んじゃえばいいんだそして、ピアノの音が聴こえなくなってしまった。
2019.05.04
コメント(0)
橋の上から川に飛び込んだかをりと公生は、二人で公正の家へ。 そこで、かをりは本に埋もれ、埃をかぶったピアノを目にする。 健全な演奏は 健全な環境から まずは掃除だ!! 換気!!コンクールの選択課題曲「バッハ平均律No.15 Gメジャー」そして、「ショパン エチュードOP.25-5」の自らの演奏録音を聞いた公生は愕然。 君は何のためにピアノを弾くの? 自分のため? 誰かのため? 君は この曲をどう弾きたい? バッハをどう弾きたい? 本当の君は ショパンをどう弾きたい?斉藤先輩とつきあい始めた椿だが、話はいつも公生のことばかり。気になるのは、かをりの存在で、中学最後の総体でも敗戦。そして、渡も勝利はならず。残るは、公生の毎報コンクールのみ。そこで、公生を待ち受けるのは、相座武士と井川絵見。公生をライバル視する二人のピアニスト。まずは、去年のチャンピオン・相座武士の「バッハ平均律第1巻13番」そして、「ショパン エチュードOP.10-4」。それは、他の演奏者を遥かに凌駕する、圧倒的な演奏だった。
2019.05.04
コメント(0)
第6回藤和音楽コンクール2次予選。 かをりの演奏は序盤は控えめ、その後”らしさ”を表出。 公生は、それに事もなげに合わせてくる。 が、その時、公生の視界に”今は亡き母の幻影”が。 音符が - 消えてゆく公生は、ピアノを弾くのを止めてしまう。そして、かをりもヴァイオリンを弾くのを止めてしまう。 アゲインその後、公生は主役のかをりを喰うような演奏を披露。まるで殴り合いのような演奏に、会場は呑み込まれてゆく。 容赦のない人だ その真っすぐな目も その後姿ですら 諦めることを許してくれない 支えられていたのは 僕だ場面は変わって、都津原大学付属病院。公生、椿、渡の3人は、検査入院中のかをりのお見舞いに。さらに場面は変わって、椿のソフトボール部練習後の帰り道。そこで、卒業後も野球部で頑張っている斉藤先輩からの告白。 なのにどうして 心が キラキラしないんだろう きっと卒業式の頃なら 冬の星座みたいに キラキラしていたのに一方、公生は退院したかをりから ピアノのコンクールに出て 君の番だよ ***椿の公生への思い。そして、公生のかをりへの思い。あぁ、青春。
2019.05.04
コメント(0)
映画は観ていたので、この作品の存在自体は知っていたのですが、 アニメ化されていたことも知らなかったし、 ましてや、著者が『さよなら私のクラマー』の新川さんだったとは、 つい先日まで、全く気が付いていませんでした。ウカツ…… ***11歳の秋、有馬公生は突然ピアノが弾けなくなった。その演奏は正確かつ厳格、”ヒューマン メトロノーム”と呼ばれた神童で、森脇学生コンクールピアノ部門優勝、ウリエ国際コンクール2年連続入賞、彩木コンクール最年少優勝、8歳でオケとモーツァルト協奏曲を共演していたのに。14歳の春、公生は家が隣同士で幼馴染のソフトボール部の椿や、女好きのサッカー部部長・渡亮太らに囲まれ、ピアノと無縁の日々を過ごしていた。そこに現れたのが、こらからヴァイオリン・コンクールで演奏するという宮園かをり。それは、優勝するとグァルネリでリサイタルが出来る藤和音楽コンクール。椿、渡と共に、藤和ホールでかをりの演奏を目の当たりにした公生は、課題曲「クロイツェル」を弾く彼女の奔放な演奏に衝撃を受ける。演奏後、三人のもとにやってきたかをり。彼女は、公正から発せられる言葉を、拳を震わせながら待っている。 …… 一次予選で 花をもらった人を始めて見た しかも 知らないコ達だろ? 花を用意しているわけないし あのコ達にとって - 君の演奏を聴いて あわてて花を買って渡した今日のことは 忘れられないよ たぶん そういう演奏だった後日、かをりから渡の代役に任命された公生は、二人で出かけたレストランにあったピアノを弾くことに。その演奏は、一瞬で来客たちの耳目を集めるが、公生は途中で演奏を止めてしまう。公生はかをりに、ピアノの音が、集中するほど、演奏にのめり込むほど聴こえなくなってしまうことを打ち明ける。それを聞いたかおりは、聴衆推薦で進出した二次予選の伴奏者に公生を任命する。課題曲はサン=サーンスの「序曲とロンド・カプリチョーソ」。 私の伴奏をしてください 私を ちょっぴり 支えてください くじけそうになる私を - 支えてください新川さん、何て拳の表現が上手いんだ……
2019.05.04
コメント(0)
副題は「学びの共同体の構想と実践」。 第1刷発行は、2012年7月5日。 著者は、東京大学名誉教授の佐藤学さん。 本著は、岩波ブックレットの1冊で、全62ページ。 『学びの共同体の挑戦 -改革の現在-』を読み始めたものの、 今一つピンとこない、そしてイメージがわかないのは、 きっと、私が「学びの共同体」自体を全く分かってないからだと思い、 文中にさかんに登場する本著を、先に読んでみることにしました。 *** 学びの共同体の学校改革は、しかし「方式」でもなければ「処方箋」でもない。 学びの共同体の学校改革を「方式」あるいは「処方箋」とした学校で、 成功した事例はない。(p.3)いきなり難しい……あれこれ考えても埒が明あかないので、読み進めて行きます。 学校の公共的な使命と責任は 「一人残らず子どもの学ぶ権利を保障し、その学びの質を高めること」にあり、 学びの<質と平等の同時追究>によって「民主主義社会を準備すること」にある。 教師の使命と責任も同様である。(p.15)これは、あちこちで出てくるフレーズなので、学びの共同体というものを語るうえで、とても大事なことなのでしょう。 私の10年間の失敗続きの学校改革においてもっとも難しかったのは、 改革によって校内が分裂してしまうことだった。 一方で改革に熱心な教師が出現したとしても、 もう一方で改革に疑念を抱き抵抗する教師が出現したとしたら、 学校は内部において分裂してしまう。(中略) もし学校改革が校内に分裂を生み出すようであれば、 決して改革に取り組んではならない。 改革がもたらすデメリットの方が、 改革によるメリットよりもはるかに大きい。(p.21)この部分は、すんなり理解することが出来ました。しかし、この前提条件に従うと、改革に踏み出し進めることは結構難しい。 現在、小学校でも、中学校でも、高校でも、 「学び合い」による授業改革が広く展開されている。 しかし、その多くは「協力的学び(Cooperative learning )」であって、 学びの共同体の学校改革が推進している 「協同的学び(collaborative learning)」ではない。(p.31)この後、両者の違いについての説明が続いてきます。「協力的学び」は、ジョンソン兄弟の理論とスレイビンの方式が代表的研究で、「協同的学び」は、ヴィゴツキーとデューイの理論に基づくものだそうです。その上で、著者は次のように記しています。 したがって、「協同的学び」においては「協力的学び」のように、 教育内容と無関係に授業技術を定式化することは困難である。(中略) そのため、学校現場では「学び合う関係づくり」容易に定式化できる 「協力的学び」が、「協同的な学び」よりも普及しやすい傾向にある。(p.32)この辺りの事情が、学びの共同体をイメージしにくい原因となっていそう。抽象的で、具体的な姿をとらえることが難しい。その後の「5 教師間の同僚性の構築」や「6 保護者との連帯、教育委員会との連携」にも、とても良いことが書いてありました。実際の著者のお話は、とても素晴らしいものであろうと容易に想像できますし、それを聞いて、著者に賛同する人たちが多数出てくるのも納得です。さて、私の中では、まだまだ「学びの共同体」の姿を、まだまだハッキリとらえ切るに至っていませんが、取り敢えず、『学びの共同体の挑戦 -改革の現在-』の続きを読み進めていくことにします。
2019.05.03
コメント(0)
映画は、まだ観ていません。 野村萬斎さんの顔が怖すぎて、ちょっと引いてしまう…… 本著を読んで私が持った八角さんのイメージとは、かなり乖離。 及川光博さんが、原島というのも違うなぁ…… さらに、片岡愛之助さんの坂戸も、ピンとこない。 そんな中、朝倉あきさんの浜本優衣はイイと思います。 まぁ、映画になった時点で、もう原作とは別の作品なんですから、 こんなことで、グチグチいうのはダメですね。 ***大手総合電機メーカー・ソニックの子会社・東京建電。そこで起こったデータ偽装事件を軸に、お話は展開していきます。第1話は、営業二課課長の原島万二、第2話は、東京建電の下請ネジ工場であるねじ六社長・三沢逸郎、第3話は、営業四課の浜本優衣、第4話は、経理課課長代理の新田雄介、第5話は、カスタマー室長の佐野健一郎、第6話は、営業部長の北川誠、第7話は、副社長の村西京助、そして第8話は、営業一課係長の八角民夫の視点で、それぞれ描かれています。それぞれのキャラクターの視点から見た東京電建が描かれるだけでなく、それぞれの生い立ちやその家族についても言及されていて、「サラリーマン人生」について考えさせられる作品です。これも池井戸さんの代表作と言える、素晴らしいものでした。
2019.05.03
コメント(0)
村上さんがこれまでに翻訳してきた作品を紹介した一冊。 1981年から2017年まで、30年以上に及ぶ期間の仕事について、 村上さん自身が振り返り、記したものだけに、 どれもこれも興味深いものばかり。 カーヴァーの作品がやはり多いが、 フィッツジェラルドやサリンジャー、チャンドラー以外にも、 本当にたくさんの作家の作品を翻訳してきたことに驚かされる。 また、これを好きでやっていると言えるところもスゴイ。翻訳業の師匠役・柴田元幸さんとの対談も素敵だった。 「どんなに難しい内容でも、 一回読んで内容がいちおうすっと頭に入るというのが、 優れた翻訳だと思うんです。 読者をそこでいったんストップさせてはいけない。 流れを止めてはいけない。 もちろんもう一度じっくりその文章を読み返したいと思って 読み返すのはいいんですが。」(p.115)村上さんが翻訳し、初めて活字になった作品である『サヴォイでストップ』は、全文掲載されており、それについての村上さん自身の文章も添えられている。手元に置く資料としても価値ある一冊。
2019.05.03
コメント(0)
副題は「歴史に名を刻んだ顔」。 第1章「古典のなかの美しいひと」では、 春の女神プロセルピナ(=ペルセポネ)やマグダラのマリア。 第2章「憧れの貴人たち」では、 侯爵夫人ブリジーダ・スピノラ=ドーリアやゾフィ大公妃。第3章「才能と容姿に恵まれた芸術家」では、シャネル、バイロン、リスト、サラ・ベルナール。第4章「創作意欲をかきたてたミューズ」では、ブージヴァルのダンス、夢、忘れえぬ女、等々が紹介されている。描かれた対象も豪華だが、描いた方も実に錚々たるメンバー。ラファエロ、ルーベンス、マリー・ローランサン、ルノワールにパブロ・ピカソ、等々。その双方について、様々なエピソードが記されている。 だが美貌だから愛されて当然というのは思い込みにすぎない。 恵まれた容姿は誰に対しても眼福を与え、多くの視線を集めるが、 それだけだ。 愛や恋はその先にある。 美貌はチャンスを増やしても成功を約束しない。(p.75)著者は、この後、故ダイアナ妃に言及している。愛や恋だけでなく、その他のことも同様だ。
2019.05.02
コメント(0)
著者の平川理恵さんは、リクルートで8年間勤務した後、 留学仲介会社を起業して10年間その経営に当たり、 2010年からは横浜市立市ヶ尾中学校で5年間、 2015年からは横浜市立中川西中学校で3年間、校長を務めたという方。 2018年からは広島県教育長として活躍している。 *** PBLで教えると、生徒の興味・関心は高まる。 しかし、教師の力量によってかなりの差が出る。 全国津々浦々おしなべて一定のクオリティで教育していこうと思うと、 日本の積み上げ方式がよいのだろう。(p.83)PBLとは、Project based Learning=プロジェクト型学習のこと。欧米の学校の授業は、そのほとんどがPBLで、日本は学習指導要領に基づいた積み上げ方式であるという。が、新学習指導要領のキーワードの一つに「主体的・対話的で深い学び」がある。 前任校でも、一般級でも個別支援学級(特別支援学級)でもない 「特別支援教室」という別室をつくり、 異動時には「不登校生徒ゼロ」になるという実績があった。 実践してみて、「居場所」と「常駐の教員」と その子に合った「カリキュラム」-この3点セットがあれば、 生徒は必ず学校に来ると実感した。(p.157)第5章『特別支援教育・合理的配慮』には、公立学校にフリースクールを設置した経緯が詳しく記されている。「場所」「ヒト」「カリキュラムと教材」をどのように準備したかがよく分かる。本著の中でも特に興味深かったのが、この部分である。 そのとき、必ず「あなたは、なぜこの会社で働いているのか?」 「なぜ、今の仕事を続けているのか?」 「辞めない理由は何か?」を聞いていた。 そこにその仕事の、その会社の魅力があるからだ。(p.197)これは、著者がリクルートに勤務していた頃、「Bing」「とらばーゆ」に求人広告を載せる際に、依頼企業にインタビューした経験を記したもの。この経験を学校で生かしたエピソードも、大いに参考になるものだった。
2019.05.02
コメント(0)
滋賀県大津市のいじめ自殺事件報道が過熱していた2012年、 荻上チキさんは、「ストップいじめ!ナビ」の活動を開始しました。 その経験を踏まえ、データや社会理論を用いて、 いじめの現状とその構造を分析し、教室づくりに言及したのが本著です。 *** 2011年に起きた大津市のいじめ自殺事件。 それが起きた中学校は、文科省の「道徳教育実践推進事業」の指定校でした。 この学校では、道徳教育の主な目標の一つとして、 いじめのない学校づくりというものがうたわれていました。 また、第三者によるいじめ報告書を読むと、 いじめがエスカレートしたタイミングの一つが、 道徳の授業の後であったことがわかります。 そのため、報告書では、 「いじめ防止教育(道徳教育)の限界」という節を設け、 いじめ問題に取り組むためには、道徳の授業などに偏重することのない、 総合的な環境是正が必要であるという提言までされているのです。(p.78)この記述の後、著者は「いじめ被害にあったときの相談方法」の学習に加え、「いじめ被害を仮想的に体験する」機会を設けることを提唱しています。防災訓練や救命訓練のように、実際に体が動けるように練習するのです。漠然とした「徳育」でなく、具体的な実践が期待されるとしています。 教師から見ると、他の子は「普通に通えている」のに、 それでも来られない児童がいると、その子本人に 何か「特別な配慮」を必要とする要因があったのだと見えてしまいがちです。 そうではなく、何か教室に不適応な児童がいた場合には、 教室という環境そのものを見直すという発想を持つことが重要なのです。(p.101)この発想の転換は、とても重要なものだと感じました。ひょっとすると「不適応」の方が、素直で普通の反応なのかもしれないのです。 市民社会のルールよりも、 教室や少数の仲間たちの間でしか通用しない「オキテ」がはびこる状況は、 キャンセルされなければなりません。 グループの外には教室があり、そしてその外には市民社会があり、 社会で許されないことは教室でもグループでもアウトなのだという意識を育むこと。 それとともに、ミスマッチなグループや教室から簡単に離脱し、 他の選択肢をとりやすいような環境を作ることが必要になるでしょう。 現在の日本社会では、教室以外、学校以外の居場所が、 あまりに少なすぎるのです。(p.126)著者は「学校中心主義を生活中心主義へと変えていく」ことも提言しています。確かに、子どもたちの日常は、学校に関わることがその大半を占め、考えることも、することも、そればかりになり過ぎているように感じます。もっと色んな場所に目を向け、繋がり、関わっていくことが必要なのでは?
2019.05.02
コメント(0)
村田さんの作品を読むのは、『コンビニ人間 』に続いて2冊目。 今回の作品は、お話の展開自体はスッと頭に入って来るけれど、 作者がこの作品を通じて伝えたかったことを十分理解できたかと問われると…… 巻末の「解説」も、私には今一つピンとこないものでした。 *** 「昔はね、朔くんみたいによそに女を作るほうが、 ずっといけないことだったのよ。 妻とセックスするくらいいいじゃない。 あんただってそれで生まれたのよ」 「今は違うわ! 結婚するときは、絶対に互いを家族として扱うこと、 つまり性的な目で見たり恋愛対象にしたりしないことを誓い合うのよ。 それを破るのは酷い裏切りよ」(p.153)これは、主人公の雨音の母親と、雨音自身との会話。この作品の世界では、夫婦間の性的関係はタブー視され、子どもは人工授精で産むのが当然とされています。雨音の元夫は、その裏切り行為により雨音から離縁されてしまいました。雨音は、その後、朔と再婚したのですが、もちろん二人の間に性的な関係はなく、逆に、それぞれに異性の恋愛対象がいて、そこには性的な関係もあります。雨音は、この世界では異質な誕生の仕方をした人間ということであり、そのことが、彼女に様々なことを考え、悩ませる要因となっています。そして、夫である朔が、恋愛対象の女性と離別することになったことを契機に、雨音と朔は「恋のない世界」、実験都市・千葉へと逃亡していくのです。 『家族(ファミリー)システム』は、 知能が高い動物には不向きな繁殖システムであることは、 各研究所の論文により証明されています。 『楽園(エデン)』では、全員がすべての『ヒト』の子供であり、 『おかあさん』です。(中略) 『ヒト』の子供を育てるための餌と巣はすべてセンターが提供します。(中略) 『楽園(エデン)』での大人たちの義務は二つ。 一つ目の義務は、葉書がきたら年齢・男女を問わず受精して、 繁殖に肉体的に協力すること。 二つ目の義務は、子供たちの育成に精神面で協力すること。 具体的には、すべての大人が、 子供たちに『愛情のシャワー』を浴びせる存在になることです。(p.201)これは、雨音と朔に施されたセミナーでの説明。そこは、『すばらしい新世界 』を彷彿させる世界です。朔は、出産を通じて、この世界にすっかり順応していくことになりますが、雨音はと言うと……ラストシーンは難解
2019.05.01
コメント(0)
全19件 (19件中 1-19件目)
1