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2021.02.10
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カテゴリ: アート
図書館で『現代に生きるサマセット・モーム』という本を手にしたのです。
モームの代表作と言えば「月と六ペンス」となるのかもしれないが、わたしの出会いは「アシェンデン」だったわけで・・・情報部に属してお国のために働いたモームを評価しているのでおます。





清水明著、音羽書房鶴見書店、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
名作『月と六ペンス』出版から一世紀、いま、時代の岐路に立つ人々への指針となるモーム文学の魅力。

<読む前の大使寸評>
モームの代表作と言えば「月と六ペンス」となるのかもしれないが、わたしの出会いは「アシェンデン」だったわけで・・・情報部に属してお国のために働いたモームを評価しているのでおます。

rakuten 現代に生きるサマセット・モーム




「第9章 兵士に愛された小説」で『剃刀の刃』を、見てみましょう。
p145~149
<1第二次大戦期に登場した兵隊文庫の隆盛>
 終戦直後の国内の洋書事情にいついて、かつて飯島正は次のように書いた。

…そして敗戦後、ふたたび本さがしもいそがしくなった。新橋よりの銀座の露店に、アメリカ軍の兵隊たちが棄てていった、兵隊用のポケット文庫版が、ドッサリとならんだからである。ぼくたちはひまさえあればそこに駆けつけて、山と積まれた安本の中から、探偵小説やハードボイルド本、そしてこんどはそれにくわえてニューロティック本を、先をあらそって、さがし求めた。…銀座の露店の兵隊版から掘り出した作家では、ウィリアム・アイリッシュが、一番の獲物だったこともつけくわえておく。

 飯島はグレアム・グリーンに戦前から注目してきた識者の一人だが、彼がこのように書く兵隊用のポケットブックというのは、“Armed Servicess Editions”日本では「軍隊文庫」「兵隊文庫」などと訳されている小型軽量の特色を活かしたペーパー・バックのことである。グリーンも何冊か同シリーズ中にある。

 同叢書は、アメリカ軍が自国の兵士用に大量に発行した文庫シリーズであり、無論一般では入手出来ず、無料で配布され、戦地に向かう兵士の心を慰め、あるいは戦意を直接的にも間接的にも高揚させるという目的があった。

 興味深いことに、文庫のサイズは、GIの軍服の胸ポケットに入るぐらいの裁断だったため、文字通り、心の友として本の役割があったのかもしれない。筆者は数年前に、本国のみか、日本の古書店のインターネットのリストや、イギリスの古書店のリストに挙がっているのを見た。必ずしも、当該の文庫が第二次大戦後各地に進駐したアメリカ兵によりその地で売り払われたとは限らないが、彼らが帰国前に読了した本をそこで、前述の回想にあるように処分したことが多かったのは十分想像出来る。
(中略)

 前置きが長くなったが、このシリーズの一巻にサマセット・モーム『剃刀の刃』(The Razor's Edge,1944)が収録されている。他に、『人間の絆』(短縮版)、『月と六ペンス』、『サミングアップ』などがリストアップされていて、『剃刀の刃』は再版もされている。本作は完全版と銘打ってある。

 まず、同書の奥付を見てみよう。ダブルデイ社との取り決めにより出版、1943年、1944年マコール社の版権云々とあるが、出版年月は未記入である。兵隊文庫には各々シリアル番号が付され、『剃刀の刃』はQ31となっている。
(中略)

<1第二次大戦下のサマセット・モームの小説>
 ヨーロッパ戦線において連合軍とドイツ軍との戦いの帰趨がほぼ見え始めていた頃、アジア太平洋戦線でも、アメリカ軍の圧倒的な勢力がアジア各地に日本軍を追い詰めていた、そういう時代にあらわれた作品が『剃刀の刃』である。

 モームは1940年、長らく本拠にしていたフランスを脱出し、イギリスを経由して、アメリカに「疎開」していた。同地に居住しながら、すでに演劇界からは引退していたが、途切れることなく、小説、エッセイ、ルポルタージュなどを書き続けていた。

 ここで、モームの国家との関わりに少し触れる。彼は第一次世界大戦時に。赤十字野戦病院隊に志願し、その後諜報部員としての役割を積極的に担い、国家への貢献を秘密裡に行ない、後年その体験が『アシェンデン』(1928年)として小説化され、モームの立場が世に知られたが、現実は彼がMI6の一員だったことを最近までイギリス当局は公式に一切認めたことはなかった。ところが、2010年になって、イギリス情報部が研究者に託した過去の膨大な内部資料により、モームの役割が天下晴れて公認の事実となった。モームはスパイだったと。

 第二次大戦期においても、彼はイギリス情報部から作家として戦争遂行に協力を依頼されていた。『戦うフランス』(France at War,March 1940)という戦時下のフランス人のドイツとの戦いへの備えを称えたルポルタージュである。フランス人の戦争努力への賞賛は、つまりドイツ軍の侵入に備えるべき立場にいるイギリス国民への鼓舞を意味していた。モームは1926年以来、この年まで南仏リヴィエラ海岸の風光明媚なフェラ岬に豪奢な邸宅ヴィラ・モーレスクを構え、そこを本拠ににして世界中を旅していた。

『戦うフランス』出版後、ほどなくして起きたドイツ軍のパリ占領とともに、彼はフランスを離れ、故国に戻るが、それもつかの間、情報省の依頼にて「宣伝と親善の使命を受けて」アメリカに向かうことになった。結局その後モームはほ6年間を大西洋の対岸の地で過ごすことになる。やがて、ヨーロッパ情勢は緊迫の度合いを一層強め、イギリス各地でドイツ軍による空爆が始まる。再び情報省より、今度は直接、戦意が高まっている同国人の士気をアメリカ国民に伝える作品の執筆を要請されることになる。


p159~161
<『剃刀の刃』出版の経緯と受容>
 ここで最後に、『剃刀の刃』が兵隊文庫で再版されるほどの人気作となっていたことに改めて触れておきたい。本論の最初に述べたように、同叢書は、時に短縮されたものもあるが、あらゆる分野の作品が市場で売られているのと同じ内容で印刷され、戦地の兵士に送られた。

 ベストセラー、娯楽作品が目立っているが、むろん、同文庫を管轄する委員会の指針はあった。「連合国軍に対して、またいかなる宗派や人種、いかなる職業に対しても害となる発言や姿勢を含んだもの、『アメリカ民主主義の精神』に背いている本は認可されなかった」が、一方、時に共産主義に同情的だと批判される作品も認可されることがあった。概ね、委員会の認可基準は現在想像される以上に緩やかなものだったようだ。

 連合国軍対枢軸国軍(すでにイタリアは降伏していた)の戦いが最終段階にきていた1945年にいたって、ヨーロッパ戦線、アジア太平洋戦線などで、『剃刀の刃』を手にする兵士は多くいただろう。その年の前半、銃後の家庭にいる『レッド・ブック』の愛読者が『剃刀の刃』を毎号心待ちにしていたのと軌を一にするように、作品は戦地で読み物に飢える多くの兵士の心を掴んだのだろう。さらに、1944年の後半、ベストセラーになっていた『剃刀の刃』が読まれた後、戦地に「送られた」ということもあったはずである。しかし、彼らはラリーのようにそれを読んで銃(現世)を投げ出すこともなかったのである。

 それでは、モームの真の意図は何だったのだろうか。『剃刀の刃』は、もちろん前作のプロパガンダ小説と異なり、作者のより内在的なものからきている。長年、温めに温めぬいた構想、テーマに基いている。

 だが、『剃刀の刃』の構想の萌芽は、20年代の短篇と未刊の戯曲にあるだけではなかった。それは、他の大小の作品(『月と六ペンス』、『人間の絆』、「変り種」、「凧」…)に見られるモーム生涯の一つのテーマ(自由な精神への関心、物質的世俗世界への反発する人間の生き方への憧れ)と明らかに共通点があった。いみじくも、物語の前半(第二章第四節)、価値観の相違をめぐってラリーがイザベルと議論する個所があり、その後二人は婚約を解消するわけだが、そこで述べるラリーの想いを引用する。

…精神の生活というものが、どんなにわくわくするものなのか、また経験する上でも、どれほど豊かなものなのか、君に分かってもらえるといいのだがな。…それに似た感じが、一つだけある。たったひとりで飛行機に乗り、果てしなく高く舞い上がり、無窮の空間に包まれるときのような感じだよ。いわば、果てしない空間にうっとりしてしまうわけだ。どんな権力、栄光とも決して交換しようとは思わないような爽快な気分になるものでね。…


ウン 兵士に愛された『剃刀の刃』という小説が興味深いので、図書館に借出し予約を入れたのです。

『現代に生きるサマセット・モーム』1
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Last updated  2021.02.11 08:11:24
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