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2022.10.04
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カテゴリ: こはく文庫

2022年9月刊
こはく文庫
著者:猫屋ちゃきさん
ユストゥスは悩んでいた。そろそろ結婚をと周囲にうるさく言われたから仕方なく娶った妻・メルツェーデスが良妻すぎるのだ。愛のない形ばかりの結婚であり、今後子どもを持つつもりもないと結婚を申し込む際に伝えたはずなのに、メルツェーデスは求められた以上の「妻の働き」をしようとする。第三王子であるユストゥスは結婚を機に公爵の位を賜った。つまりメルツェーデスは公爵の妻であり、彼女の善行はユストゥスの仕事にも良い影響をもたらしてくれるのだが、だからこそ、ユストゥスは困惑する。メルツェーデスには何か、裏があるのでは……そんな疑心を抱きつつも、ただ無心に尽くしてくれる彼女に対し徐々に心を開き始めた頃、ユストゥスは兄から信じられない話を聞かされる。それは、メルツェーデスには以前から想い人がいるというものだった。自身の求婚が二人の仲を引き裂く形となった過去を知ったユストゥスは……。


登場人物
 メルツェーデス=侯爵家三女。何事も長女最優先の家で育ち、おまけ扱いに嫌気がさしていた
         所、ひょんなことからユストゥスの目に留まり結婚。
   ユストゥス=第三王子。野心とは無縁そうなメルツェーデスなら面倒事も少なそうだと求
         婚したものの、結婚後も暫くは妻を顧みていなかった。
   ヨーリッツ=第二王子。弟夫婦を心配し何かと相談に乗っている。
    マリオン=ヨーリッツの妻。
    ダミアン=メルツェーデスの慈善事業仲間で、ユストゥスの数少ない友人の一人。

良妻過ぎる妻の扱いに困り果てる堅物王子のお話。

第三王子・ユストゥスは数か月前に妻に迎えた侯爵令嬢メルツェーデスの言動が気に障って仕方がない。
とは言え、金遣いが荒いとか毎日遊び歩いているとかではなく、良妻過ぎて困っているのだ。
王太子である兄を支えるべくヨーリッツ共々尽力する心構えだったが、周囲は先ず結婚しろととにかく煩い。継承争いする気など更々ないのに野心剥き出しの女たちの擦り寄りに辟易としていた頃、とある茶会にて、参加者が連れて来た子供たちの面倒を楽しそうにしているメルツェーデスに目が留まった。
その素朴さや、子供たちに好かれている人柄も好ましい。
何よりギラギラした感じが一切無いのが気に入った。
妻にするならこの手のタイプが一番面倒が無さそうだと、すぐさま侯爵家へ求婚書を送り、承諾をもらってすぐ結婚したのだが、ユストゥスは嫁いで来た彼女にこれは契約結婚であり、自分は君を愛するつもりは無いと告げた。
跡継ぎも必要ないので子作りするつもりも無いとも。

そして、彼女に公爵夫人としての務めもしなくていいから大人しくしていろと言う。
公爵位を賜ったものの、王子としての公務もあるためユストゥスは毎日多忙だった。食事も紅茶で流し込むように慌ただしく食べ、メルツェーデスとは夕食を共にしたのは数えるほど。
自分がワーカホリック気味なのは承知しているが、碌に顔を合わせない夫には自分から会いに行けばいいとばかりにお茶の準備までしてメルツェーデスが執務室を訪れるように。
一人で楽しそうに話す彼女に、内心ではかわいこぶりっこのあざとい女と毒づいてはみるが、彼女に会うとどうにも調子が狂う。
ユストゥスが仕事中は彼女は慈善事業に精を出し、合間にお茶会などにせっせと参加しているらしい。
元々故郷でも孤児院の慰問や援助などに力を入れていたようだが、実家にいた頃より使える金額が桁違いになったこともあり、それを元手に寄付を募って学校を建てたいのだと言っていた。
賛同者も増えたので建築に取り掛かれると随分嬉しそうだけれど、無駄遣いも甚だしい。
夫婦生活の進捗具合を尋ねに来たヨーリッツに愚痴ると、慈善事業の費用を無駄遣いと言い切るはと心底呆れられた。

ヨーリッツによれば、メルツェーデスは社交界に顔が広い彼の妻・マリオンの力を借りて、慈善事業に力を入れている貴族達と交流しているのだとか。
学校建設の動機も学ぶ機会があれば、孤児たちの中からもいずれ優秀な人材も出てくるからというもの。
面倒な手続きはメルツェーデスが担い、出資者のおかげとその名を全面的に押し出すという美味しいとこ取りの寄付案は大絶賛で今や彼女はマリオンと並んで大人気らしい。
ユストゥスと折り合いの悪かった貴族達が最近妙に態度が軟化しており、仕事が捗っているのはそういうことか。道理で皆一様に奥方に宜しくと言っていたわけだ。
絶賛されながらも「もとはと言えばユストゥスさまのお力あってこそ」とメルツェーデスが話しているそうで、本人知らぬ間に株を上げられていたのだった。

話を聞き、流石に無駄遣いは失言だったと取り消したユストゥスは、情報通の兄に、メルツェーデスの身辺を探ってほしいと頼みます。
大人しくしているどころかこうも大っぴらに動かれては約束と違うではないか。
何故だかモヤモヤして堪らない。
数日後、兄からの報告によれば予想はしていたもののメルツェーデスには悪評の一つも無かった。
貴族だけでなく屋敷の使用人たちも彼女の味方で、寧ろ妻を顧みないユストゥスの評価が下がり続けている始末。まあ使用人からどう思われてようが構わないが、ヨーリッツからいい加減仲良くしろよと、調査中に知った彼女が欲しがっていたというクマのぬいぐるみをプレゼントして歩み寄れとアドバイス。
まあ、人脈作りの礼としては安価になるが、たまにはプレゼントも良いだろうと、早速件のクマを購入しメルツェーデスにに渡すと大層喜ばれた。
その彼女の反応に、ユストゥスも悪い気がしなかった。

メルツェーデスは田舎に領地を構える侯爵家の三女として産まれた。
両親は分け隔てなく育てたつもりだったろうけれど、婿養子を取って家を継ぐことになる長女贔屓がそれはもう顕著だった。
次姉はそれが不満だったようで早々に嫁に行ってしまったが、おまけ扱いの上に何のうまみも無い田舎貴族の三女ともなると相手を探すのも難儀した。
子供好きだし、無理に結婚せずとも教会で働くのも良いかもしれない。
諦めかけていた時にユストゥスからの求婚で家族ともども驚いたものだ。
でも、自分などに目を止めてくれた彼に自分なりに精一杯尽くそうと決意して嫁いだのだけれど、あの契約結婚の件で内心ガッカリもしていた。
しかし、最初の決心は変わらない。慈善事業を通じてユストゥスの役に立てば良いのだ。
マリオンに夫婦仲についてこっそり相談して見たが、まだ契りも交わしていないことに大層驚かれユストゥスに憤慨。それでもぬいぐるみをプレゼントしてくれてからは会話も増え、以前より随分仲が良くなった。
そんな折、隣国に嫁いでいた王妹とユストゥスの友人であるダミアンと数名の貴族が組んで国家転覆を企む事件が起きた。
偶然にもダミアンはメルツェーデスの慈善事業仲間で一時期親しくしていた。
だが、それをかつて二人は恋人同士だったのではとユストゥスが勘違いしてしまい・・・。

この巻違いが切欠で二人の関係が一気に近付くトラブルが起こるんですけど、漸くユストゥスが自分の気持ちを認め、お互い愛し愛され仲良く暮らしていこうと決めます。
あんなに恋愛や結婚に興味が無かった第三王子は妻を溺愛し、押しも押されぬバカップルとなるのでした。

終盤のトラブルや、勘違いの結末などは敢えて記載していません。
ダミアンは良い人だけど、以前から考え方が極端でいつかやらかすんじゃないかとメルツェーデスに思われてて、この辺は読んでて思わず笑いが。
この3人の関係も実はトライアングルだったりするんですが、興味がある方は短いお話ですので実際に読んでみてください。
中盤までのユストゥスの言動が結構辛辣なので好き嫌い分かれそう。

評価:★★★★☆





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最終更新日  2022.10.04 18:11:44
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