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2020年6月刊マカロン文庫著者:佐倉伊織さんスポーツメーカーで働く真尋。仕事に一生懸命で恋愛とは無縁の日々を送っていたが、ある日密かに思いを寄せていたエリート外科医の慶治と出会う。普段は大人な彼なのに、ふたりきりになると「お前のこと、ほかの医者に頼みたくなんかない」と独占欲を発揮。付き合っているかのごとく甘い言葉を重ね、そしてキスを仕掛けてくる。彼の激しい求愛攻撃に翻弄され、たじたじになる真尋。「お前じゃないと満たされないんだ」ーー一途な気持ちを露わにする慶治に、真尋も気持ちを抑えられなくて…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 青野真尋=元カレと思わぬ形で再会し復縁を迫られる。 日高慶治=優秀な外科医で真尋の元カレ。日高佐知子=慶治の継母。スポーツ用品メーカーの営業として働く真尋は、別れた恋人のことが忘れられなくて新しい恋に踏み出せずにいた。そんな彼女を見かねて同僚で友人の智花は、合コンをセッティングし無理矢理参加させた。気にかけてくれるのはありがたいけれど、こと恋に関しては彼以上に好きになれる人なんていない。合コンでは今村という感じの良さそうな人とそれなりに会話も弾んだが、さっきからどうも体調が悪い。数日前から微熱が続いていたし風邪でも引いたか。それに鳩尾も痛み出してついに吐き気まで。智花に具合が悪いから先に帰ると告げ、自宅への道を急いだが突然の腹部の激痛に真尋は意識を失って昏倒。目を覚ますと地元の総合病院だった。ストレッチャーに乗せられ運ばれていた真尋を驚いた顔をして見ている若い医師。慶治くん、と思わず彼の名を呼ぶと、俺が診ると言って処置室に入って来た。そうか、ちゃんと立派なお医者さんになったんだねと内心ほっとしたものの、あの別れの日を思い出す。一方的に別れを切り出した私を恨んでいるかもしれない。検査の結果、虫垂炎だと診断された。真尋の場合腹膜炎を起こしかけていて明日手術することに。執刀は慶治が担当すると聞いて驚いたが、俺は優秀だからと宣言する通り手術痕も最小限で治りも早かった。慶治は暇を見つけては真尋の病室を訪れ、軽口を言っては彼女を憤慨させ笑いながら去っていく。そんな態度にまるで以前の関係に戻ったかと勘違いしてしまいそうになる。そして退院の日、母が手続きを済ませてくれている間に慶治がやって来て、連絡先を教えろと言う。そういえば別れた後にすぐ電話番号もメアドも変えたんだっけ。でも、今回みたいな場合は不可抗力としてもう会わないとあの人と約束したのだ。いくらまだ好きでも私のせいで彼に迷惑を掛けたくない。どう思われようと頑なに連絡先は交換しなかったのだが、数日後仕事から帰宅するとアパートの部屋の前に慶治が立っていてビックリ。なんで?と尋ねると職権乱用と言っていたのでカルテに書いた住所を見たのだろう。梃子でも動かない彼を渋々部屋に通すと、この部屋は病院に近くて良いからちょくちょく泊まりに来ると言う。絶対にダメっ!と断ったが、翌々日に本当に来たので何を言っても無駄だと悟った。そういえば昔からこんな性格してたっけ。碌な食事もしていないと言うので夕飯まで用意している私は一体何をしてるんだか。もしあの人に知られたら約束が違うとあの時言われたことを実行するかもしれない。一緒にいちゃいけない。判っているのに慶治との時間が心地よくてもう来ないでと言えないでいる。一方、慶治はずっと忘れられなかった恋人・真尋との再会に浮かれていた。当時は父や異母弟の次晴にも心配される程ボロボロで、食事ものどを通らず引き籠っていた。なのに継母の佐知子はそんな長男を見て妙に機嫌が良く腹立だしく思ったのを覚えている。早くに母を亡くした息子を気遣い、昔からこの家の家政婦をしていた佐知子を妻に迎えた父。良かれと思っての再婚だったのだろうが佐知子とは折り合いが悪く、彼女もまた後に生まれた次晴だけを可愛がっていた。自分の態度も良くなかったとは思うものの、今思うと父が経営している病院をいずれ慶治に継がせたいと言い出してからだ、真尋に別れを切り出されたのは。まさかとは思うが、佐知子が何か真尋を脅すような真似をしたのだとしたら。迷惑がられても足繁く彼女の部屋に通い、それとなく尋ねてみたら案の定様子がおかしい。最近父の体調が思わしくなく慶治は職場を4日、実家の病院を1日と言った感じで掛け持ちしている。ある日、日高病院で最近佐知子が慶治の悪評を職員に言いふらしていると耳にし、いよいよ確信が持てた。やはり彼女に真実と本心を聞く必要がある。合コンで知り合ったと言う今村に先日傘を借りたからと出掛けた真尋のことが気になり、思わずその待ち合わせ場所に乗り込んだ慶治は、自らの想いを彼女に打ち明け・・・。今村から交際を申し込まれた真尋は勿論受け入れるはずがなく、ずっと忘れられない人が居るのでときっぱり断ります。今村も納得し、その場を去った後に慶治が乗り込んで来たので真尋もビックリ。でも、彼からずっとお前だけが好きだったと告げられ彼女も自らの想いを打ち明けます。その後、佐知子から何を言われたと聞かれ、ついに観念。交際していた時から慶治が父親を尊敬し、いずれ跡を継ぎたいと常々聞かされていた真尋。結婚の話も出始めた頃、佐知子に呼び出され慶治と別れないと彼に後は継がせないと脅されたのです。悩んだ末に、彼の努力を間近で見ていた真尋は身を引く決意をし、別れを告げたのでした。真相を聞いた慶治は激怒。継母と話しをつけると真尋を伴い日高家に帰った彼は、佐知子に事の真偽を言及。さすがにもう隠しておけないと白状した継母に、今までの自分の態度も良くなかったと謝罪。次晴の気持ちも伝えると漸く佐知子はどれだけ酷いことをしたのかと真尋に詫びるのでした。いくら出来の良い継子を邪魔に思ってたって、無理矢理恋人と別れさせるのはなぁ。いくら謝罪されて真尋はそれを受け入れたとて未来の姑がこんな人じゃ先が思いやられる(^_^;)私なら仲良く出来ないし、義実家と距離置くかも。その後、慶治から正式にプロポーズされ、数か月後真尋の誕生日に式を挙げた所で物語は幕。慶治の勤め先がこの作家さんのベリーズ、マカロンレーベルでおなじみの野上総合病院でした。それにしてもこの病院のドクターは皆さん結婚までに色々事情を抱えすぎな気も。評価:★★★★☆
2024.08.20
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2023年5月刊マカロン文庫著者:きたみまゆさん恋に臆病になっている会社員の優花。ある時、バーで上司に迫られ困っていたところを、偶然居合わせた外科医・史斗に助けられる。酔った勢いで史斗に悩みを打ち明けた優花は、そのまま彼と一夜を共にしてーー。その場限りの関係だと思っていたのに、ある事情が重なり“偽りの婚約者”として一緒に暮らすことに! 期間限定の関係のはずが、想定外の溺愛に翻弄されまくり。ウブな反応が史斗の欲情を煽ってしまい、理性を奪われるほどに蕩かされ…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 佐野優花=バーで知り合った史斗に頼まれ契約上の婚約者を演じる。 国見史斗=外科医。長らく思い続けていた優花に契約を持ち掛ける。 佐野翔太=優花の歳の離れた弟。サッカー特待生。 国見明斗=消防士で史斗の弟。車のディーラーの受付事務として働く優花は派手な顔立ちのせいで何かと誤解されがち。遊び慣れてると思われるのか、不倫の誘いやセフレになってくれなどクズ男に言い寄られることが多く断るのに一苦労。今夜も上司から仕事の相談があると食事に誘われ、何となく警戒していると連れて行かれた先は雰囲気の良いバー。仕事の話はどうした?とツッコミを入れたくなるほど、くだらない話は続き、案の定交際を申し込まれて内心でため息を吐いた。既婚者のくせにどういう神経をしているのか、きっぱり断ると弟さんに金がかかるんだろう?とやけにしつこい。前の職場も上司に迫られ断ったら曲解した噂が流れて辞めざるを得なかったのを思うと腹が立つ。だが、腐っても男性、力が強くて中々触って来る手を止められない。難儀していると一人の男性に僕の彼女に何の用ですか?と声を掛けられ、上司はバツが悪そうに漸く優花を解放。誰?と思うと彼は小声で俺に話を合わせてと囁いた。バーテンダーを見ると頷いていたので、さっきお手洗いに行ったときに電話して迎えに来てくれって頼んだんですと言うと、これは拙いと思ったのか上司は必死に謝罪。会社と奥さんにバラされたくなければ二度と彼女に関わるなと男性が釘をさすと上司は逃げ帰って行った。おかげで助かったと男性に礼を言うと、どうやらこれはヤバイ状況だとバーテンダーが常連客である男性に声をかけ一芝居打ってもらったらしい。改めて二人にお礼を言うと男性は国見史斗と名乗り、外科医だと言う。国見と聞いてあの大きな病院の?と尋ねると院長の次男なのだそうだ。酒も入り、上司との会話を聞かれていたのもあって隠しても仕方ないと聞き上手な史斗に家庭の事情をアレコレ話すと頑張って来たんだねと言われ思わず涙が。母子家庭で育ち、その母も七年前に事故死。10歳下の弟を必死に働いて育てて来た彼女にはなんだかとても刺さった言葉だった。でもこんなに頑張っていてもくだらない誘いで迷惑かけられたり本当に嫌になる。元カレには遊び慣れてると思ったら処女で不感症だったと周囲に言いふらされたこともあってすっかり男性不信だ。今夜も実は嫌な予感はしていたのに。話を聞いていた史斗は、じゃあ俺が君の男性不信を治してやると、酔いも手伝って近くだと言う彼のマンションへ。お堅い性格の自分が行きずりの男性とこんな関係になるとはこれぞ青天の霹靂であったが、不感症ではない事が判って取り敢えず安心した。翌朝、自宅に戻ろうとスマホを見ると弟の翔太から鬼電が。着信履歴にビックリしているとまたかかって来たので電話に出ると、無事を喜ばれどういうことかと尋ねると優花の住むアパートが火事になり、連絡が取れないと大家から寮に電話があったと言うのだ。史斗が送ってくれて、アパートに着くと火元だったらしい1階は黒焦げ。優花の部屋は2階だが火も上がっているだろうし放水のせいで家具家電は全滅だろう。ガックリ来ていると一人の消防士にここの住人かと尋ねられ、名乗ると無事を確認された。隣の史斗が気付いて親し気に話していた消防士は弟の明斗だと言う。翔太も駆けつて無事で良かったと喜ばれたが、この後どうしよう。翔太には言えないが如何せん彼に金がかかるので貯金も出来ておらず、部屋探しするにも先立つものがない。考えあぐねていると一旦俺の部屋に住まわせますのでと史斗に言われてビックリ。流石にそこまでしてもらうわけには、と断ろうとすると弟さんに心配を掛けちゃいけないと言い含められ、話を合わせることに。この人私の恋人だから厄介になるつもりだと言えば、翔太はほっとしていてやはり気を使わせていたのだなと反省。衣服や日用品まで購入してもらい、好意に甘えてばかりで申し訳ないと思いつつ、かかった費用は絶対にお返ししますので、と頭を下げるとなら代わりに俺と契約結婚して欲しいと頼まれた。彼が言うには、大病院の御曹司となると周囲からの縁談攻撃が凄まじいのだそうだ。流石に辟易していて、平穏に過ごすためにはいっそのこと結婚すればいい。なので、期間を決めて自分の妻役をしてくれないかと。力にはなりたいけれど結婚となると決断しかねる。優花が逡巡していると、なら一先ず半年間は契約婚約者を務めて欲しい妥協案を提示。その間、ここに暮らし、お金を貯めれば良いと。勿論生活費の一切を面倒見るし報酬も出すとまで言われて、報酬はいらないが恩返しとして婚約者の役なら引き受けると了承。こうして期間限定の同居生活が始まった。実は史斗はかなり優秀な外科医と知ったのは翔太の憧れのサッカープレイヤーの手術を担当したという話から。それでも救えない命は少なくないと溢す彼は、どうしようもないことで患者の家族に責められることも多いと言う。そんな彼の一面を見せられどんどん彼に心惹かれていく優花。そんなある日、明斗が車を見に優花の勤め先に現れた。家族で乗れる車が欲しいと聞き、おススメの車種を案内。その間、明斗の想い人の話を聞いた。無事に契約が決まって諸々の手続きをしていると彼から、史斗にも自分と同じく忘れられない人がいるんですよ、と言われ優花の頭は真っ白。万全を期して買ってもらった婚約指輪を見て、自分はここにいちゃいけないと考えた彼女は部屋を出て行く決意をし・・・。【極上三兄弟シリーズ】の2作目は次男・史斗さんのエピソード。派手な顔立ちのせいで男運がすこぶる悪いヒロイン・優花は一人で弟の翔太が好きなサッカーをできるよう頑張っていました。実は、そんな彼女のことを7年前から史斗は想い続けていたのです。明斗の言っていた史斗の忘れられない人とは自分のことだとは夢にも思わない優花は契約婚役を解消しようと決意しますが、その話を切り出された史斗は大慌て。理由を尋ねれば、私なんかが同居してたら本命が悲しみますよと言えば、それは君のことなんだと返され目が点。えっ、私たち出会ってまだ2カ月弱くらいですよね?疑問を口にすれば、状況が状況だから仕方ないと、七年前の出会いを語る史斗。それは優花の母が事故に遭い搬送先の病院でのこと。まだ研修医だった彼はそれでも研修先の病院の救急に居たのだと聞き、懸命に母の心肺蘇生をしてくれた若い医師だと思い出します。彼のおかげで一時意識を取り戻した母と最期の別れが出来たと当時はとても感謝したと。この辺りの思い出のシーンが読んでてもう泣けて泣けて。でも、母に自分の想いと感謝を告げ、史斗に礼を言った優花がずっと忘れなかったと語る彼は、偶然にも再会できた彼女との縁を繋ぎたくて契約婚を言い出したのです。真実を聞き、漸く自分が史斗の想い人であると彼女は悟るのでした。その後、二人は入籍して物語は幕。3作目のヒーロー・明斗の何気ない一言でとんでもないことになる所でしたが、彼も恵さんと復縁できるかの瀬戸際だったからなぁ。家族で出かけるために買った車は優花の勤め先で購入したんだなと判った一コマでもありました。評価:★★★★★個人的にこの2作目が一番好きなお話かも。
2024.08.06
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2023年4月刊マカロン文庫著者:きたみまゆさんウブで地味な千帆子は、結婚予定のエリート警視正・賢斗と同棲中。警察幹部の父が決めた相手だったが、以前から憧れていた彼との同居生活は想像以上に甘くてドキドキしっぱなし! しかし、ある出来事をきっかけに賢斗にとって自分が邪魔な存在なのではと疑い始める。彼に迷惑をかけたくないと思った千帆子は、別れを決意するが…。「今さら手放すわけがないだろ」───彼の一途愛が溢れ出し、容赦なく熱情を注がれて…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 加賀千帆子=憧れていた人と婚約したものの、悩みも多いお嬢様。 国見賢斗=千帆子の婚約者で警視正。 藍沢=千帆子の同僚。 真木ひとみ=賢人の部下。千帆子をライバル視している。刑事局長の一人娘の千帆子は、現在婚約者の国見賢斗と同居真っ最中。親が決めたお相手だったが、実は前々から憧れていた人物だっただけに一緒に暮らし始めて2ヶ月経った今でもこれは夢?と思うことしばしば。警察庁に勤める警視正で33歳。いわゆるキャリア組の賢斗は出世株の一人と期待されており、千帆子との婚約も実はその足掛かりなのではと内心は思っている。それでも、あの過保護な父のお眼鏡に叶う位なのだから性格も申し分なく、政略結婚みたいなものなのに、彼からの溺愛ぶりに戸惑うばかり。嬉しいんだけれど、恋愛経験ゼロの自分はドキドキしっぱなし。警察庁の幹部ということもあってか、父は躾は厳しかったけれどその過保護ぶりはすさまじく、10年ほど前にとある事件に巻き込まれてからというもの更にエスカレート。成人して公立図書館司書として働き出してからも門限は20時、一人暮らしなんて以ての外な状況だった。窮屈ではあったが親の言う通りに過ごしていた千帆子は、ある時、父に招かれて自宅にやって来た賢斗に一目惚れ。密かに想っていた所、降ってわいた縁談話。釣書を開いてお相手が憧れの人だと知った時は卒倒しそうになったものだ。それからあれよあれよという間に話は進み、お互いの生活態度を知るのも良いだろうと入籍前から同居を薦められ、早2ヶ月。3ヶ月後には結婚式を控えている。そんなある日のこと、買い出しに出掛けていた千帆子はジャムを買いにホテルのベーカリーに立ち寄った。そこで偶然、仕事の下見に来ていたらしい賢斗を見つけてその格好良さに今更ながらときめいていた。そういえば数日後に要人が来日するとかお父さんが言ってたっけ。このホテルを使うんだなとしげしげ見ていると、妙に懐っこい女性警察官と嫌がる風でもなく気安く話しかける彼の姿を見て大ショック。しかし、視線に気付いた賢斗がすぐにやって来て、その場にいた同僚と先程の部下らしき女性に千帆子を紹介してくれた。にしても、真木ひとみなる部下は賢斗に想いを寄せているのが丸判りで何とも気まずい。通り過ぎざま、親のおかげで彼と婚約できていいですね、と嫌味まで言われ、正にそのことで少し悩んでいる千帆子は胸にグサリとやられた気分だった。落ち込んでいると賢斗に心配されたが、思わず私も真木さんにするみたいに砕けた口調で接してくださいっ!と頼むと面食らいながらも応じてくれて気分も少しだけ上昇。それから暫くは平和で、招待状の発送も済んだ。そんな最中、賢斗からスマホを忘れた、真木に取りに行ってもらうから渡して欲しいと頼まれた千帆子は、指示通りやって来た彼女に渡すと真木は話があると言う。すると徐に賢斗と別れてくれと言われて思わず目が点。真木が言うには彼の直接の上司は警備局長で千帆子の父とは長らくライバル関係なのだそうだ。なのに、千帆子と結婚したら出世に響くと。それから父が賢斗を脅していたと聞いてビックリ。まさか、娘の婿にしたいがために彼を脅して無理矢理結婚を承諾させたの?ただでさえこんな地味女が妻になるなんて申し訳ないと思っていたのに。思い悩んだ千帆子は婚約破棄を決意。同僚の藍沢に恋人のフリを頼み・・・。醜い女の嫉妬心によるやっかみと憶測に踊らされ、浮気を装い婚約破棄をしようとした千帆子の作戦はあっさり賢斗に見破られ、藍沢は睨まれる羽目に。実は賢斗の方こそ、千帆子に長年想いを抱き、彼女の父に結婚を打診していたのでした。二人の出会いは遡ること10年前、千帆子が巻き込まれた小学生誘拐事件。当時、子供を助けようとした高校生の千帆子も一緒に連れ去られたのですが、数時間後犯人は確保。千帆子と小学生も無事に保護されその際、二人を保護したのが警察官になりたての賢斗だったのです。その勇気ある行動と可憐な姿に一目惚れした彼は、千帆子が加賀刑事局長の娘と知り、昇進してからずっと娘さんと結婚したいと猛アピール。彼女が27歳になって漸く許可が出たのでした。それであの溺愛ぶり。同僚から妙に浮かれていて気持ち悪いとまで言われてるくらいなのに、あの真木さんは何を思って不本意な婚約と思ったのか。これには、警察庁の懇親会で千帆子の父の娘を泣かせたら承知しない的な会話で、肝心な部分を聞かずに「肝に銘じておけ」の所だけ聞いていたからでした。恋は盲目といいますが、都合のいい所しか聞かずに婚約解消しろとか好き勝手言ってたのかと思うと滑稽ですね。このことについて特に責められらたわけでもないのがもやりますが、結局別れずに結婚しちゃったんだからこれぞ盛大な罰ってことかな。極上兄弟シリーズ第1弾ということで、最後にちょっとだけ二人の弟も登場。兄弟全員忘れられない人がいるという状況に思わず( ̄ー ̄)ニヤリでした。評価:★★★★☆
2024.07.30
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2023年6月刊マカロン文庫著者:きたみまゆさん幼い息子を育てているシングルマザーの恵。ある日、保育園の行事で消防署の見学へ行くことに。すると消防士の中に、6年前に別れた大病院の御曹司・明斗の姿が! 医師になるはずだった彼がなぜ?と驚きを隠せない。しかも、自分の子どもだと勘づいた明斗から同居を提案されて…!? 以前と変わらぬ甘い愛情に絆されそうになるが、埋まらない身分差が気持ちに蓋をする。そんな恵に、ついに欲望を抑えきれなくなった明斗が迫ってきて…。「悪いけど、もう手放す気はない」ーー逞しい体に抱かれると、恵の理性も崩壊寸前で…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 宮本恵=父が営む喫茶店の看板娘。5歳になる息子を育てている。 国見明斗=恵の元カレのレスキュー隊員。 宮本光=明斗と恵の息子。 下田理紗=恵の幼馴染。父が営む喫茶店で働きながら、5歳になる息子・光を女手一つで育てている恵には忘れられない人がいた。光の父でもあるあの人は今どうしているだろう。あんたはいつも周りを不幸にする、と言ったのは幼馴染の理紗だったが、6年前は本当に不運が重なって怖くなり彼のことも不幸にしてしまうのではと思い込んでいた。今考えるとあれが正しい判断だったのかは判らない。そんなある日、保育園行事で親子で消防署の見学会に参加した恵はそこでかつての恋人・国見明斗と再会。別れる前、彼は医学部だったはず。それがどうしてレスキュー隊員の制服を着ているのか。消防隊、特にレスキュー隊の大ファンの光は明斗の実演に大興奮。保護者にも大人気なせいか、説明係の隊員が明斗について救急救命医の資格も持つ凄い隊員だと話していて恵のその凄い経歴にビックリ。光にせがまれ明斗と写真を撮ることになった時は冷や汗ものだったが、案の定彼にはバレていた。シングルマザーだと知られてしまったが、あれから6年も経つのできっと彼にも新しい恋人がいることだろう。その時は他にも写真を希望する親子が多かったので逃げられてホッとしたのも束の間、数日後、店に明斗が訪ねて来て、見ると利き腕にテーピングをしている。あの見学会の時、転びかけた恵を彼が咄嗟に助けてくれたことがあって、もしやそのせいでと彼女は真っ青。うろたえる恵に、実は家事が出来ずに困っているんだと明斗から打ち明けられ、話を聞いていたらしい父から、お詫びも兼ねて手伝いに行ってやりなさいと薦められた。元々二人が交際していたのも光の父が彼な事も知っている故に、ちゃんと話をしてこいということか。彼の部屋に着くと光は俺の子だろ?と聞かれ、素直に頷いた恵は明斗に請われて息子共々数日家事手伝いの名目で明斗の部屋に泊まり込むことに。その際、彼からは自分も一緒に息子を育てたいとプロポーズをされた。あの6年前の突然の別れは今も納得がいかず、ずっと君を忘れられなかったと。明斗の言葉で恵は別れに至った理由を思い出していた。6年前、二人は父の店の常連客が駅で狭心症を起こした時に居合わせたことが縁で交際に発展。明斗は地元の大病院院長の三男で当時は医学部4年生で、恵は大学2年生であった。御曹司ということで理紗には相当妬まれたが、元々嫌味な所はあったので何を言われても気にしない様努めていた。それから暫く経った頃、明斗からプロポーズされた恵は幸せの絶頂で、近いうちに彼の両親と顔合わせをする予定だった。が、ある日のこと通行人のたばこのポイ捨てによって店舗前に置いていた木製の樽に引火。自宅兼店舗は全焼してしまい、逃げ出すだけで精一杯で7歳の時に事故死した母の位牌さえも持ち出せなかった。父は火傷で数日入院したものの命あってのものだねと何とか立ち直り、移転せざるを得ないが店も火災保険のおかげで再営業できそうだった。でも金銭的余裕があるわけではない。大学を辞めて店が開店できるまでは働こうと決めた恵にあんたはいつも不幸を呼ぶのね、と理紗に言われて衝撃を受けた。恵の母も彼女を庇って車に惹かれて亡くなった。本当に疫病神よね、とまで言われ、彼女は落ち込み思い悩むように。そんな最中、明斗が兄らしき人物と言い争っている場面に遭遇。医師を諦めるなんて女のせいかと詰め寄られて素直に肯定する明斗の姿を見て、自分は傍に居てはいけないと思ったのだ。一方、明斗は光と同じ保育園に息子を預けている理紗が恵に暴言を吐いているのを見て、その内容から6年前もそんな調子で彼女を追い詰めていたのを知った。元々恵は母の死に対して父に罪悪感を持っていた。なのに、店と家が全焼したのは恵のアイデアで店舗前に置いていた樽にタバコの火が引火したのが原因だと言う。位牌も持ち出せず、そこに来て恋人が医師を目指さないと知って自分を責めた。漸く理由に思い当たって明斗は改めて彼女に想いを告げ、自分が何故医師ではなくレスキュー隊員になったのかを語り・・・。幼馴染がマジでウザイっ。今作に置いては諸悪の根源キャラの理紗さんですが、恵にキツイ当たりだったのも、母親同士が親友で母を亡くした恵を気の毒に思い実の娘以上に彼女を可愛がっていたからでした。誕生日を祝い、クリスマスパーティーにも呼んで家族旅行にも連れて行った言うから、そりゃ確かに面白くないよね。おまけに恵は成績優秀で外見も可愛い。そんな感じでどんどん妬みの思いは強くなっていた大学生時、恵は大病院の御曹司と交際し始め結婚間近と聞いて爆発。どうにも許せなくて暴言を吐いて恵の罪悪感を煽り、傷付け追い詰めたのでした。事実を知って明斗も激怒し、彼に諭されたことで理紗も恵に謝罪。後に一応の和解をしています。まぁ根っから悪い人ではなかったんでしょうね。親しい間柄だからこそ妬ましさも増してしまった。明斗は恵が火災にあったことで兼ねてからの夢だった消防士になることを決意。救急救命医の資格も持ってるので完全に医師も道から外れたわけではないようですが、それを相談する前に恵にフラれたんで相当ショックだったろうと思うと切ない(^_^;)誤解も解けたのと、罪悪感に囚われ続けていた恵の呪縛も解け二人は入籍。明斗の家族とも顔合わせを済ませ、彼らの企画で結婚式を挙げて物語は幕。極上兄弟シリーズ第3弾の今作。前2作は多分読めていないので、また近いうちにでも。評価:★★★★☆
2024.07.28
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2023年7月刊マカロン文庫著者:紅カオルさん社長令嬢の朱音は、許嫁である御曹司・大聖に密かな恋心を抱いていた。無事結婚に至り情熱的な初夜を過ごすが、なぜかそれ以来寝室は別々。きっと彼は義務感で結婚したのだろうと傷つく。他に好きな女性がいる疑惑も浮上して離婚することに。その後妊娠が発覚するも、彼には言わずに出産。そんな朱音のもとに縁談が持ち込まれ…!? 断れないと言う両親のために見合いの場に行くと、なんと大聖の姿が! 「俺が好きなのは君だけだ」ーーまっすぐな愛を貫かれ、朱音の凍てついた心が甘く溶かされていき…。【お見合い結婚シリーズ】第三弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 遊川朱音=金融グループの令嬢。大聖と結婚したが誤解が元で離婚している。有栖川大聖=大企業の御曹司で朱音の元夫。遊川いろは=離婚後に生まれた大聖と朱音の娘。クリスティ=大聖の大学時代の同期で副社長。 瀬尾新太=朱音の幼馴染。23歳の時に許嫁の御曹司・大聖と結婚した朱音は、彼に本命がいると知って身を引いた。離婚を切り出した際、あまりにもあっさり承諾されたので、やはり彼にとって自分との結婚は不本意だったんだなと改めて思い知らされた。たった1年の結婚生活を終え、実家に戻った彼女を両親は暖かく迎えてくれて、後に生まれた娘のいろはのことも目に入れても痛くない程の可愛がりぶり。それから暫く経ったある日、両親からどうしてもと頼まれて、朱音はお見合いをすることに。金融グループの社長令嬢とはいえ、自分はバツイチの上に子持ちである。先方は了承しているのか?と父たちにしつこく確認をしたが、大丈夫の一点張り。いろはにも会いたいと言うので、まぁそこまで言うならと渋々お見合いの席へ。が、指定のフレンチレストランに着くとそこにいたのは元夫。大聖は朱音と彼女の母が抱いていたいろはを見ると、感慨深げにしていて、これまで疎遠にしていたことを詫びた。そして朱音と復縁したいと言う。話を聞くに、元義祖父の主治医経緯から離婚後に彼女が娘を産んだことを耳にしたらしい。朱音が望むならとあの時は離婚を承諾したが、子供が生まれたのなら話は別。自分とやり直して家族3人で暮らそうと頭を下げられ、朱音は複雑な心境に。あなたには好きな人が居るくせに、娘は可愛いから復縁したいってこと?当時の結婚生活は正直言って甘さの欠片も無かった。多忙なのも承知していたが、留守がちの上、1年の間に寝室を共にしたのはほんの数回。彼のためにと料理教室にも通って腕を磨いたのに住み込みの家政婦の作る食事はレストラン並みで出番なし。止めは大聖が自分の会社の副社長・クリスティに好きで堪らないと電話で愛を囁いていたのを立ち聞きしてしまったのだ。身を引く決意をした後は早く、翌日大聖に離婚を切り出し承諾を得るとその日のうちに実家に帰った。妊娠に気付いたのはそれから一ヶ月ほど経ってからのことで、敢えて彼には知らせなかった。それにしてもいくら娘の存在を知ったからって、あの見合いの日から彼のアプローチが凄い。毎日朝と晩にSNSでの連絡は欠かさず、いろはの様子も知りたがっていた。人見知りのいろはが彼にすぐ懐いたのも後押ししてるのかもしれない。そして、大聖の方も離婚に応じた理由があった。6歳下の綺麗な許嫁にベタ惚れだった彼は初夜から暴走し、これでは彼女に嫌われると敢えて寝室を分け仕事を詰めるように。朱音の為と考えた行動が彼女を孤独にしていたとは夢にも思わず、家事などやらなくていいばりにスーパー家政婦を雇えば、朱音が夫の為に料理したいという気持ちを萎えさせていた。大聖は元より、彼女とその幼馴染・瀬尾新太との関係を疑ってもいて、離婚を切り出された時も朱音の希望を受け入れた結果だった。だが、知らぬ間に彼女は自分の子供を産み、瀬尾と再婚もしていない。未だに未練たらたらの大聖は遊川家にコンタクトを取り、情に訴える形でなんとか見合いに漕ぎ着けたのだった。彼の両親と遊川家側も復縁を望んでいるようなので、後は朱音にアタックあるのみ。幸いにも、いろはが大聖に懐いてくれているのもあって随分態度も軟化してきたように思う。だが、偶然出先で朱音が瀬尾と親し気にカフェでお茶している姿を目撃。瀬尾が俺がいろはの父親になってやると言っているのを耳にし・・・。タイミング悪すぎる上に誤解に誤解が重なって、な感じで3人は気不味い雰囲気。でも、大聖の態度に朱音が激怒。せっかく上がって来た好感度が一気に急降下してしまったと慌てる彼でしたが、兄夫婦の家に避難していた彼女も兄嫁から素直になってちゃんと話をしなさいとアドバイスを受けていました。もう、本当にその通り。あなたたちは最初から会話が足りない。お互いとんでもなく好きなのに、両片想いってめんどくさいなぁ。彼に向き合うと決意した朱音は、いてもたってもいられず翌日大聖の会社に凸。応対してくれたのはクリスティ。相変わらず悔しいくらいの美人ぶりに、絶対に負けないと嫉妬メラメラ。宣戦布告すると、クリスティは自らが女装趣味の男だと打ち明けるのでした。飽く迄趣味なのでノーマルだとも。だから心配無用ですよと微笑まれて唖然。念のため、あの日の会話の真偽を尋ねれば、朱音のことが好き過ぎておかしくなりそうなんだけど~~と彼から恋愛相談されていたそうで気が抜けたものの、慌ててやって来た大聖に自分の想いを告げます。彼もまた新太との仲を疑っていた事、別れるのが朱音の為だと思っていたと語り、元鞘に。その後、復縁して本編は幕。おまけの番外編はそれから半年後、朱音と二人料理に励む大聖のエピソードでした。前述の通り、やはり会話は大切。評価:★★★★☆
2024.07.26
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2023年12月刊マカロン文庫著者:和泉あやさん沙雪は1歳半になる息子と暮らすシングルマザー。ある日出席したパーティーで、息子の父親・壱春と再会してしまう。アメリカから帰国して警視正となった壱春は、沙雪がかつて結婚の約束をしていた相手。2年前、沙雪は“ある事情”から、一方的に別れを告げ彼の元を去ったのだ。今も悲しみに捕らわれたままの沙雪の心を、壱春の深い愛が溶かしていき…。「俺には君しかいない」ーー生涯で唯一愛した人からの溺愛猛攻は、蕩けそうなほどに甘くて…! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 蓮水沙雪=カフェで働きながら息子を育てるシングルマザー。 天沢壱春=沙雪の元カレの警視正。 蓮水冬壱=沙雪と壱春の息子。 柁西玲凪=警視監の娘で壱春の自称婚約者。母の親友が営むカフェで働く沙雪は、1歳5ヶ月になる息子を育てるシングルマザー。決して楽な生活ではないが、同じアパートに暮らす母の協力もあって何とかやっていけている。そんなある日のこと、高校の頃からの友人・美月に頼まれ、結婚相談所主催の婚活パーティーのさくらのバイトをすることになった沙雪はそこでかつての恋人・壱春と再会。この人は2年前に婚約者と既に結婚したはずなのに、どうして婚活パーティーに参加してるの?疑問に思っていると向こうも沙雪がいたことに驚いていたようだったが、友人に無理矢理参加させられたんだと答えた。別れの経緯から少々ぎこちない会話になったけれど、その場は別れ、息子の待つアパートに帰ろうとしたら沙雪を気に入ったらしい参加者の一人に後を付けられ自宅近くで襲われそうになった彼女を救ったのは壱春だった。彼が警察だと告げると男は二度と近づかないと約束して逃げ帰って行った。もう来ないとは思うが、性懲りもなく付け回して来る輩は意外に多い。昔のよしみで暫くの間は個人的にガード役をすると言われ、少々戸惑ったが、幼い息子もいるので素直に申し出を受けることにした。その際、買い物に出掛けていた母が帰宅。ベビーカーに乗せていた冬壱を彼に見られてしまい、人見知りの冬壱が初対面の壱春には妙に懐いていて切なくなった。再会後、宣言通りに本当にガードしてくれていたらしい彼から、1週間ほど経ってもあの男が接触してくる気配も無いので恐らく大丈夫であろうとお墨付きをもらった。それでも周辺区域は担当の警官によるパトローをを継続してくれるそうなので一先ずは安心できそうだ。その頃になって壱春から改めて復縁を申し込まれた。結局誰とも結婚していないと言うので、婚約者がいたんじゃ?と尋ねると、当時は沙雪がいたのにそんな不誠実な事はしていないときっぱり。ではあの女性が言っていたのは一体どういうこと?壱春は冬壱のことも自分の子として愛するので、一か月でいいから挽回のチャンスが欲しいと言う。未だ彼に未練がある沙雪は揺れた。結局、好きな気持ちには勝てず、一か月の間、息子を交えての壱春との交際を承諾。しかし、彼の将来を思えば私が傍に居てはいけない。犯罪者で現在服役中の父がいる以上、警視正の壱春とはどうしたって結婚できないのだから。父が服役中の犯罪者だと知ったのは2年前。壱春からプロポーズされた翌日のことだった。自称彼の婚約者という女性が沙雪の元を訪れ、極道の娘が彼と結婚できると思っているのか、と責められ壱春と別れるよう脅されたのだ。母子家庭で育った沙雪は自分に父がいたとは知らず、急ぎ母に尋ねると女性の言う通りで、祖父母に結婚を反対されたのと父もカタギの母に迷惑はかけられないと入籍はしていなかったそうだ。だが、度々家を訪れ幼い沙雪を可愛がってくれた男性・八神が父と知り生活の面倒も見てくれていたと知った。そんな父は10年ほど前に事件を起こして現在服役中とのこと。籍は入っていないとはいえ、極道の娘が警察官しかもキャリア官僚と結婚するのは難しい。壱春には自分には警視正の妻なんて無理だと別れを告げたが、案の定彼は納得していなかったようだ。偶然母子手帳を見られ、その字で壱春の子だとバレたので、潔く彼の子だと認め、結婚するのは難しい理由も話した。事情を知ると当時別れを告げられた理由に納得もいったようで、現状では結婚が難しいことも確かだと言っていた。だが、家族が離れ離れにならず済む方法があるはずと別方向で模索すると決意。辞職も辞さない覚悟みたいだけど、出来れば辞めて欲しくはない。その際、自称婚約者の女性については伏せておいたのだが、壱春が沙雪とよりを戻したのを知ったのか、未だ壱春を諦めていない女性・柁西玲凪が沙雪にコンタクトを取って来て・・・。一方、壱春は組織対策課にいる友人に沙雪の父・八神について調べて欲しいと頼み込んでいました。数日後、友人の調べによって八神は従兄弟の罪を被り自主したようで、実は無実だったことが判ります。そして、出頭する前に組を辞めていたことも。八神のいる刑務所に面会にまで行った壱春は、アパートの入り口で沙雪を脅す玲凪の姿を目撃。警視監から紹介された時にきっぱり断ったのにしつこく押しかけては恋人気取りだった彼女に辟易していたものの、まさか沙雪を脅して別れさせていたとは知らなかったので、玲凪に激怒。このまま去って二度と関わらないなら表沙汰にしないと言うと、渋々玲凪は諦めると約束してその場を去り、沙雪には八神の真実を話します。しかし、極道であったことは本当なので、上司に相談したがやはり結婚は難しいと言われ、考えた末に以前から話が出ていた国際警察組織に壱春が転職することに。推薦してくれたのが玲凪の父の警視監だそうですが、これは詫びの意味もあったのかなと。娘がまさか脅迫まがいのことまでしていたんですもんね。八神の出所の日も決まり、母共々父と再会した沙雪。その半年後、身内と友人達に祝福されながら壱春との結婚式の様子が描かれて幕。何故か誤解があって別れたという理由がやけに多いこのジャンル。今作は誤解がありつつも身を引いた理由にも納得できる珍しいパターンだったのもあってモヤモヤ度も少な目。(理由自体はかなり深刻ですが)なにせ、自称婚約者がイイ感じの自分勝手なアホ女だったからなぁ。負け要素が無いと言うか。評価:★★★★★
2024.07.05
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2023年10月刊マカロン文庫著者:Yabeさん航空会社のグランドスタッフとして働く和葉は、ある日、同じ会社のエリートパイロット・亮真から結婚してほしいと頼まれる。最年少機長となったばかりの彼は、仕事に専念したいのに、寄ってくる女性が後を絶たず困っているのだという。一方和葉も、苦労して育ててくれた母を早く安心させてあげたいと、彼との結婚を決意。単なるルームシェアくらいの気持ちで同居を開始したものの、夫となった亮真の激甘なギャップにたじたじで…!? 「これからは、遠慮なくいかせてもらう」突然始まった溺愛猛攻に、ウブな和葉は陥落寸前! 糖度120%の【極甘オフィスラブシリーズ】第二弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 石神和葉=グランドスタッフ。涼真から契約結婚を申し込まれた。 井添涼真=最年少機長。和葉の人となりを気に入り契約婚を持ち掛ける。中村由香里=和葉の友人で同僚。 葛城=副機長。涼真とは同期入社のライバル。グランドスタッフとして羽田空港で働く和葉は、亡き父の影響でピアノを弾くのが趣味。部屋にあるのは電子ピアノなので、練習を重ね仕上がった曲のみ、空港のグランドピアノで弾かせてもらっている。人気のない時間を選んでのことだが、今日は傍で聞いてくれている人がいた。見ると社内一のモテ男・井添涼真ではないか。今年、最年少の33歳で機長になった彼はその容姿とどこぞの会社社長の息子ということでとにかくモテる。しかし、涼真は並みいる美人CAからの誘いを全て断わる孤高の人でもあった。そんな彼が、上手いとは言えない和葉の演奏を最後まで聞いてくれたことに驚いたが、あろうことか涼真の方から話しかけられたので緊張しきり。弾いていた曲のタイトルを聞かれ、説明すると君のおススメの曲を知りたいからといつのまにやらSNSの友達登録までさせられ何が何やら。生真面目な和葉は社交辞令かもしれないと思いつつも、帰宅するとおススメの曲とタイトルを3つわざわざ説明文まで付けて送信。すると、数時間後にステイ先なのだろう北海道の写真と共にお礼の返信が来て、少しして早速ダウンロードして聞いてると報告が来た。その後もSNSでのやりとりが続いたある日、早番が終り帰宅しようとしていた和葉はトラブルに巻き込まれた。間一髪のところをは涼真に救われ、ショックで震える彼女をカフェに誘い収まるまで傍に居てくれた。余計な手間を取らせたと礼を言ってその日は別れたが、翌日出勤するとこのことが噂になっていて和葉は質問攻めに。本当にただのSNS友達なのでそういう仲ではないと説明すると、友人の由香里始め、同僚達は一応信じてくれた。が、怖いのはCA達で聞こえよがしにひそひそやられて何気に傷付いてしまう。数日後、涼真から男一人じゃ入り難いからと女性に人気のスイーツ店に誘われた和葉は、距離を置いた方が良いと判っているのに付き合ってしまった。タルトに舌鼓を打っていると、彼は頼みごとがあるんだと切り出した。幼い頃からパイロットに憧れ、必死に勉強をこなし念願の機長にもなれた。が、学生時代から女性のアプローチが凄まじく、毎度毎度断るのも一苦労だと言う。パイロットは医師と同じく日々勉強。浮ついた気持ちでないだけに正直煩わしいのだそうだ。そこで、数年程俺と契約結婚してもらえないだろうかと。要はせめて数年煩わしさから逃れたいので女避けに協力して欲しいということか。流石に結婚となると迷うが、涼真の気持ちも判る。しょっちゅうCAの誰かに付き纏われていただの、美人で評判のCAが告白して玉砕していた等、グランドスタッフの方にまで聞こえてくるほどなのだ。断るのにも労力使うし逆ギレされたりしたらメンタルにも影響しそうだ。それでも、と渋る和葉にもう一押しとばかりに涼真は入籍して一緒に暮らせば家賃も浮くし、実家への仕送りも増やせる。生活費全て俺が持つと畳みかけられ、彼女は決心した。そのうち母を引き取り、妹が結婚するまで独り身のつもりだったが、先に自分が結婚した方が母も安心だろう。それに仕送りが増やせるのはありがたい。せめて2年以上は継続したいと言われたので、期間含めて追々決めて行くことに。母にも結婚報告し、許可を貰うと早々に二人は入籍。スケジュールが合わず、涼真の両親との対面は少し先にはなるが歓迎されていると言っていた。引っ越しを済ませ同居生活が始まると、これでお前にの前では猫被らなくていいなと、彼は態度を一変。好青年の仮面を脱ぎ捨てた涼真は所謂俺様だった。しかし、多忙故に女性たちからの猛アプローチに困っていたのは本当のようで、それより煩いと怒鳴るのを我慢するのが大変だったそうだ。少々早まったかもしれないと思ったものの、俺様ではあるが何か無理強いしてくるなどの問題行動も無いので気にしないことにした。由香里には疑惑の目を持たれているが、あんたが幸せならそれでいい、と何かあったらすぐに相談して欲しいと念押しされた。同僚達からは概ね祝福されたものの、他の部署、主にCA達からの風当たりが強く、聞こえよがしな悪口はしょっちゅうある。由香里がいなかったら心が折れたかもしれない。涼真との関係に変化が生じたのは入籍から1ヶ月経ったある日のこと、彼の同期の葛城からちょっかいを掛けられた際、慌てて間に入った涼真と葛城が一触即発状態に。慌て止めたので事なきを得たが、帰宅後彼からキスをされ、俺以外の男を見るなと抱きしめられた。以降、俺様のまま和葉を溺愛する涼真の態度にたじたじ。虫除けだと結婚指輪を買い、二人で嵌めると諦める者が続出したのか悪口も減った様に思う。数日後、無事に涼真の両親にも挨拶を済ませた和葉はその歓迎ぶりに数年で別れるのに何か騙しているようで心を痛めた。それから数週間後のこと、休暇中に友人に会うと出掛けた涼真を見送り、出勤していた和葉はしょうこりもなく話しかけて来た葛城から、涼真が浮気していると教えられ・・・。勿論、涼真は浮気なんてしていません。彼が会いに行ったのは【極甘オフィスラブシリーズ】第1弾の主役CP達で、そのヒーローの拓海さんとは古い友人でした。たまたま拓海さんが席を外した際、前作のヒロイン・千鶴と話していたのを葛城に見られてたんですね。由香里からの連絡で、和葉が葛城に連れて行かれたと知った彼は慌ててやって来て、俺の妻に手を出すなと激怒。元々和葉に気があり、ライバルの涼真に取られた腹いせをしようとしていたのを気付かれ指摘されたことで、葛城も観念。浮気疑惑も晴れます。帰宅後、涼真が語ったのは実は1年ほど前から和葉に惚れていて話しかける切欠を待っていた事、裏で可愛いくて面白い子だとパイロット達から大人気の彼女を取られたくなくて契約婚を申し込んだのだと。思いがけない真実にパニくる和葉でしたが、改めて彼から好きだと告白され、いつの間にか自分も彼に心惹かれていたことを悟り、気持ちを打ち明けるのでした。由香里にだけは真実を打ち明け、でも今は両想いで幸せと報告。葛城との騒動で、涼真の性格がバレはしたものの社内で評判のラブラブ夫婦となった二人の様子が描かれて幕。この【極甘オフィスラブシリーズ】、3作目を先に読んでしまったんですが、多少登場人物がリンクしているだけでどれから先に読んでも問題ありません。因みに今作は2作目。前述の通り1作目の主人公たちは名前だけですが登場しており、ストレスで倒れた和葉が連れて行かれた病院の担当医が名前は出てなかったけれど恐らく3作目のヒーローの俊介さんかと。実はヒーロー同士が知り合いでしたってのに気付くのがシリーズものを読むちょっとした愉しみかなとも思います。1作目はまたそのうちにでも。評価:★★★★☆
2024.06.23
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2023年6月刊マカロン文庫著者:夏目若菜さん社長令嬢の冬璃は恋人に捨てられ傷心中。さらに父の会社が倒産寸前だと発覚し戸惑っていたら、幼馴染の一流ホテルCEO・束縒が手を差し伸べてくれる。「俺が救世主になってやる」と言う彼と、融資と引き換えの政略結婚が決まってしまい…!? 夫婦になって同居し始めた束縒の態度はなぜか冷たくて、冬璃は心が痛む。結婚なんて迷惑だったのだろうと思っていたのに…。「俺に甘えろよ、全部受け止めるから」ーー独占欲を剥き出しの愛に抱かれた冬璃は、胸の高鳴りが止まらなくて…。【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】第五弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 桃田冬璃=美容関連会社社長の一人娘。 会社を救うために束縒と政略結婚をした。 葛城束縒=リゾート開発企業の御曹司で冬璃の幼馴染。野島憲一郎=タレント活動もしている実業家。冬璃の元カレ。 諸角響子=束縒の秘書。コスメや美容器具、エステ等美容関連の会社を経営する父の元、自らもコスメ部門で働く冬璃は、恋人である実業家・野島憲一郎に二股をかけられた挙句、電話一本でフラれてしまった。彼の本命は美人で評判のニュースキャスター、端から自分はただの遊び相手だったのだと知り、地の果てまで落ち込んだ。しかも、せっかく幼馴染の束縒が無理をしてリザーブしてくれた人気レストランの個室が無駄になり申し訳ないやら。話を聞きつけ、商談中の束縒がわざわざ早く切り上げて来てくれた時には強がって見せたが、長い付き合いの彼にはきっと色々お見通しであろう。悪いことは続くもので、父が信頼していた財務部の工藤による横領が発覚。かなりの額だったため不渡りになりそうだと上層部は混乱していた。融資を募ろうにも監査期間中に期日が来てしまう。父は工藤の足取りを追い、神戸にまで向かったそうだが結局逃げられてしまい最後の伝手を頼りとある場所に向かっていると言う。寝耳に水の倒産危機の中、束縒が冬璃を迎えに来て、彼の父がいる本社に連れて行かれた。道中、うちが融資するから心配ないと告げた彼に、但し条件付きなので話を合わせて欲しいと言われ、訳が分からないまま素直に頷いた。会長室に通されるとそこには父もいて、倒産を免れたおかげか顔色も良くなっていた。葛城会長は冬璃に向かうと徐に、息子と結婚するそうだね?と尋ねて来た。事前に彼が言っていたのはこのことか、とおかげで淀みなく「はい」と答えると会長は満足そうに頷いていた。幼馴染を助けるための息子の浅知恵かと疑っていたんだと言われた時は血の気が引いたが、何とか納得してもらえたようで、義娘の実家の危機なら手を貸すのは吝かないと損失額全額の融資を約束してくれた。後で、束縒に聞いた話では相当渋っていたらしい。親戚でもないのにそんな金額は貸せないと。そこで、彼が冬璃と結婚したいので助けて欲しいと告げた所、真偽を確かめるために彼女を呼び出したのだという。葛城会長からはあの場で翌年の春には盛大に式を挙げること、入籍自体は早々に済ませるよう命じられた。束縒からはいきなりこんなことになってすまないと謝罪されたが、倒産すれば多くの社員が路頭に迷うと思うとこれでよかったのだと思うし、感謝もしていた。政略結婚ではあるけれど、相手が束縒ならばきっとうまくやっていける。だが、そう思っていたのは冬璃だけだったのか、入籍を済ませ彼のマンションで同居を始めたと言うのに束縒はどこか余所余所しいのだ。夕食も遅くなることが多いから作る必要もないと言われ、経緯はどうあれ、せめて良い妻になろうと決意していた分、ガッカリ。しかも、束縒の秘書・諸角からはっきりと、彼の妻に相応しくない、悲劇のヒロインぶっているなどと罵られ落ち込んだりもした。彼女はきっと束縒に想いを寄せていたのだろう。なのに、ただの幼馴染だと言っていた冬璃を助けるために政略結婚してしまったのだ。恨まれていも仕方ない。そんな最中、束縒が多忙を極めた弊害か体調を崩し、寝込んでしまうと言う出来事が。看病する冬璃は、熱のせいで本音が出たのか彼から愛していると告げられた。その数日後、損失の補填の為に売りに出していた実家を束縒が買い戻してくれたのを知り、諸角に何と言われようと束縒と幸せになる、と冬璃は決意したのだった。入籍してから5か月ほど経った頃、あの告白から吹っ切れたのか、束縒の態度も軟化して仲良く暮らしていた二人。沖縄に新設されたホテルの下見にも夫婦で出かけて新婚旅行気分も満喫。しかし、東京に戻った冬璃のスマホに野島からのメッセージが。会いたいという文面に何をいまさらと拒否する旨を綴った返信後は連絡先をブロックしていた。だが、その後非通知の迷惑電話が続き・・・。二股掛けてた最低男が、本命にフラれ、冬璃とよりを戻そうとしつこく連絡して来て、無視し続けていた彼女でしたが、向こうも諦めず根性食らべの様相に。不審がる束縒に理由を話すと、仕事の送迎をするとまで言い出す始末。多忙な夫の手を煩わせたくなくて断わった日のこと、実家からの帰り道に待ち伏せしていたらしい野島と再会。復縁を迫る彼に私もう人妻なので、と諦めさせようとさせるも野島は信じない。しかも、スピード婚だったこともあってお前も二股してたんだろうと責められ、身の危険を感じた冬璃は駆け付けた束縒に助けられます。まだ式を挙げる前だったのと旧姓で仕事を続けてたとは言え、野島の思い込みもなぁ。ってか、自分を棚に上げて二股を疑う神経も信じられない。束縒が懇切丁寧に状況を説明するとすごすご退散した野島。ホント、最初にフラれた時、彼が言うように訴えるなりマスコミにリークしてやればよかったのに。まぁそれはそれで逆恨みされそうか。元カレのストーカー行為もこれで無くなった数か月後、予定通り式を挙げる二人の姿が描かれて本編は幕。おまけの番外編は本編の後日談。イギリスでの新婚旅行(本番)編と、帰国後冬璃の妊娠が判明して大喜びの一幕でした。評価:★★★★☆あの元カレは絶対に復縁したいと言い出すと思ってたw
2024.06.16
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2023年11月刊マカロン文庫著者:晴日青さん結婚間近で実家の借金が発覚した純美は、婚約者だった外交官の北斗に一方的に別れを告げる。それから5年後、二度と会うはずのなかった彼と再会…! 北斗は理由も告げずに去った純美への”復讐”と称して結婚を迫ってきて…!? 「俺の心は、あの頃からずっと君だけのものだ」ーーこの結婚は彼への贖罪のはずなのに、北斗の甘く強い独占欲は純美を翻弄する。熱情露わに迫られ、痺れるほどの執愛を刻まれると、次第に心絆されていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 稲里純美=ホテルのコンシェルジュ。 5年前、一方的に別れを告げた北斗から契約婚を申し込まれる。 末廣北斗=外交官で純美の元婚約者。 物見百合=純美が通う外国語教室のイタリア語講師。 ロッコ=百合の夫のパティシエ。友人に逃げられ、連帯保証人である父が多額の借金を背負ったことにより、人生が変わってしまった純美。住んでいた家を売却しても到底足りず、彼女ももっと実入りの良い仕事に転職せざるを得なくなった。しかも、純美には結婚間近の婚約者・北斗がいる。実家が太く、外交官をしている彼は事情を話せば力になってくれるかもしれない。それでも生真面目で融通の利かない性格の彼女は北斗に迷惑をかけるのは嫌だった。考え抜いた末、彼との婚約解消を決めた純美は性悪女を装って北斗に別れを告げた。あれから5年。何度か転職を繰り返し、今はホテルのコンシェルジュとして腰を落ち着けている。給料のほとんどを家にいれているので、あれから碌に服も変えていないが、制服があるので助かっていた。気の遠くなるような借金もあと数年もあれば終わる。少しは心の余裕が出て来たのか、最近よく思い出すのは酷い別れ方をしてしまった北斗のこと。大学の卒業旅行で金を貯め憧れのイタリア一人旅に行った際に道に迷い、大使館勤務をしていると言う彼に助けられた。話も合って北斗からのアプローチで交際が始まり、その1年後に正式に婚約。何もなければあのまま結婚して今頃子供もいたのではと思うと泣けてくる。当時はお互いの為にも別れるべきだと勝手に思い込んでいたが、本当にあれでよかったのだろうか。そんなある日、ホテルのレセプションにて、偶然にも純美は北斗と再会。別れて5年も経つというのに、彼は純美を抱きしめて離さず、戸惑う彼女に今でも君に心を奪われたままだし、恨んでもいると告げた。他に男が出来たと言う割に結婚していないことにツッコミを入れられ、ごまかすためにも一先ず謝罪した。その場は何とか逃げ出したが、帰宅すると家に北斗が来ており両親と談笑している姿にビックリ。慌てて自分の部屋に引っ張り込むと、母たちからあれこれ聞き出したらしく、大方の事情がバレていた。そもそも実家を売りこの借家に越してから住所は教えていないのに先回りして来ていたと言うことは偶然に思っていたあの再会も織り込み済みで事前に調査していたのだろう。もう取り繕っても仕方ないのだが、精一杯悪びれた対応をする純美を鼻で笑うと、彼から俺と契約婚をして欲しいと告げられた。あの別れ以来、ショックで未だに誰とも交際できていない、だから責任を取って俺の妻になれ。どういう理屈かと思えば、これもある意味復讐だと北斗は悪びれない。外交官という仕事は立場上、パーティー等の出席が多い。その際、妻の同伴が常識なのだそうだ。負い目もある純美はイマイチ納得いかないながらも、復讐という言葉に納得し、それで気が済むならと彼との結婚を決めた。借金の件も妻の実家の窮状なので手を貸すと話す北斗に、元々この人はこういう性格だったと今更ながらに思う。相談もせずに勝手な思い込みで彼を傷付けてしまった自分が浅はかだったのだ。理由はどうあれ、どんな思惑があろうと北斗に尽くそう。そう決意した数日後、二人は入籍。あの別れ以来、海外赴任していた彼は数年は日本にいられるからと帰国してすぐに購入したというマンションで同居となった。異常に荷物の少ない純美に彼は驚いていたが、そのうちパーティーの招待も来るからと、大量の服やドレスに靴、バッグなどをプレゼントされて、彼の気遣いに素直に礼を言った。復讐とか嫌がらせとか言いながら優しく接する北斗の為に、何かできることは無いかと純美が考えたついたのはイタリア語をネイティブに話せるようになりたい。英語はコンシェルジュの仕事に必須だったので話せるが、イタリア語は未知の領域。イタリア語講師の百合とは年齢も近いせいで親しくなり、お墨付きをもらうと同時にホームパーティーの招待を受けた。百合の夫がパティシエで料理含めて絶品だという。北斗には内緒で通っている教室なので、その日は友人に会うとだけ話し、百合の家を訪れた純美。イタリア人の夫・ロッコと仲睦まじい百合の姿を見て是非夫婦円満の秘訣を聞きたいと鬼気迫る純美の様子に、二人が語ったのはお互い素直になること、言いたいことは隠さず言い合うことと聞き、色々と腑に落ちた。彼がどう思おうと自分の気持ちを素直に伝えよう。そう決意したのだが、車で送ってくれたロッコの姿を遠目で見て、北斗が純美の浮気を疑い・・・。二人の出会いの地であり、イタリアへの赴任が多い北斗の妻になるからにはとイタリア語を習い始めた純美はそれを彼に隠していました。おかげで外出の多い彼女に不信感を持ってしまった彼は浮気を疑います。でも、素直になると決めた彼女からの告白とイタリア語を習っていたことその理由を聞いて、疑いは晴れ、蟠りも解けるのでした。以降は百合たちのような仲睦まじい夫婦になった二人だったけど、後日出席したパーティーで、北斗に親し気な女性たちの態度にヤキモキしたり、そのせいで平常心を持てなくなった彼女は会場で失敗してしまいます。落ち込む彼女を慣れないうちは誰でも緊張するものだと慰め、女好きの多い男性陣に君を見せたくなくて嫉妬メラメラだったと話す北斗。最初の失敗を教訓にし、その後は変に気を回すことの無くなった純美。北斗とも本音を話すようになってから暫くして彼女の妊娠が判明。彼は泣いて喜び、両家の両親にいつ伝えようかと話し合う中、百合たち夫婦も同じくおめでたと判り、お祝いムードの中、本編は幕。おまけの番外編は、本編から2年くらい後、長男・奏斗を挟んでのほのぼのエピソードでした。あらすじに復讐とか贖罪とかあったのでドロドロ系とか思いきや、蟠りが解けるのが早かったせいかほとんど夫婦のイチャイチャ話でした。かなりの額の借金だったみたいなので、別にその程度気にしないとかいう人は実際稀だと思うし、純美が別れを選んだ気持ちもまぁ判るんですよ。諦めない彼の気持ちと、結婚間近で婚約解消した純美に思う所あったろうけど、この結婚に対して何も言わずに受け入れてくれた義両親は器が大きいと思う。評価:★★★★☆
2024.06.10
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2023年10月刊マカロン文庫著者:砂川雨路さんウブな会社員の都子は、御曹司でもある副社長・要の秘書として働き始めて3年。要にほのかな恋心を抱いていたが、彼には政略結婚の予定があるため、身分違いの叶わぬ恋だと諦めていた。ところがある日の仕事終わり、ひょんなことから要と一夜を共にしたら、後日妊娠が発覚! 彼に迷惑をかけたくないと思い、本当の理由は告げず退職することに。ひとりで産み育てていたのに、1年後、突然要が現れて…!? 「人生のすべてをかけて必ず幸せにする」ーー空白の時間を取り戻すかのように、たっぷりの溺愛で包み込まれ…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 高垣都子=入社5年目の副社長秘書。要に片思いをしている。 岩切要=大手製紙会社の御曹司で副社長。猪川麻里佳=要の婚約者。大手製紙会社の秘書課で働く都子は、上司でこの会社の御曹司である要に想いを寄せていた。しかし、彼には婚約者がいて結婚も間近と聞いている。要に自分の気持ちを知られてはならない。話しやすいのか、自分に気安く接する彼の態度に内心でドキドキしながらも黙々と仕事をこなす日々。しかし、大口の仕事が上手く行き、気持ちも緩んだのか要にお祝いにとレストランでご馳走になった後、酒も入り、彼に誘われる形で都子は一夜を共にしてしまった。たった一晩、お互い大人なのだしこのことを盾にして交際を迫るつもりはなく、何か言いたげの要には充分弁えていますから安心して欲しいと告げ、以降も気にしていない風を装っていた。それから一ヶ月ほどたったある日、体調不良に陥った都子はもしやと検査薬で検査して見るとしっかり陽性反応が。念のため病院で診察もしてもらったが間違いなく妊娠していて、産むことを決めた。でも彼の側に居続けていたらバレてしまう。思い切って退職願を出すと要に驚かれ、あの日のことが原因かと詰め寄られた。さすがに真実は告げられない。何故なら彼の婚約者である麻里佳も妊娠したとかで式を早めようと要の父である社長が喜んでいたから。引き留める要に、意思は変わらないと告げ、引継ぎを済ませ1ヶ月後に都子は会社を退職したのだった。それから季節は巡り、都子は3ヶ月になる息子の大地と二人、アパートで暮らしていた。母子家庭で育ち、その母も早逝した彼女は祖父母に育てられ、今回のことも最終的には彼らを頼ることになってしまった。酷い男に引っかかって苦労した娘と同じく、孫までこんな目にと祖父は激怒していたけれど祖母共々最終的には力を貸してくれて暫くは実家で世話になり、先月引っ越したばかり。貯金と母の遺産で暫くは暮らしていけるが息子が保育園に入れるようになったら働かないと。そう思っていた矢先、祖母から電話が。なんとアポなしで要が実家を訪れたと言うのだ。祖父母は彼を見てピンと来たらしい。もうここには住んでいないと追い返したそうだが、まだ引き上げて来ていないベビーベッドを見られたと聞き血の気が引いた。祖母ももしかしてバレたかもしれないと言っていて、一回帰ることにした。だが、帰宅した途端、再び要が実家を訪れ、赤ん坊を抱いている姿を見られてしまった。祖父は性懲りもなくと今にも殴りつけそうで慌てて止めて、バレてしまったのなら仕方ないと要の子だと素直に打ち明けることにした。祖父母も交え、要が口にしたのは謝罪とあれからのこと。何と都子が去ってすぐに彼は麻里佳と婚約破棄したと言う。え、妊娠してたって聞いたけど?と尋ねると、どうやら麻里佳には他に好きな人がいたらしい。二人の婚約は家同志で決めたことで婚約したのは子供の頃。おかげで、婚約者というより友人関係に近かった。大人になっても今イチ結婚相手という認識にならず、麻里佳はある男に恋をした。打ち明けられた要は、彼女に頼まれアリバイ工作などの協力していたので猪川家にはバレなかったのだが、彼も都子という想い人が出来た。それで、頃合いを見て婚約解消しようと話を詰めていたと所、麻里佳が妊娠。要の子だと思い込み両家の両親が盛り上がっており、それを都子に知られてしまった。順番をすっ飛ばして、事情も話さず関係を持ってしまった自分が悪いと詫びる彼に、祖父はまだ怒り心頭だったが、祖母の執り成しによって猶予期間を設けることに。言いたいことはあるものの、誤解があったようだからとの祖母の言葉を受け、要から1ヶ月間、一緒に暮らして父として夫として相応しいか見極めて欲しいと頼まれた。悩んだ結果、大地も父親がいた方がいいだろうと、期間を決めて要のマンションで暮らすことを決めた。彼は予想以上に子煩悩で大地を可愛がり、甲斐甲斐しく世話を焼いている。その様子を見て彼女は2週間も経つと要との結婚を考え始めていた。彼の両親が二人の結婚を歓迎していると言っているのも大きい。要も早く孫に会わせてくれとせっつかれていたようだが、現在厄介ごとが起きていて先延ばしになっているのそうだ。何でも猪川家側が娘を妊娠させたくせに婚約破棄されたと岩切家に文句を付けているらしい。妊娠中にDNA鑑定もして要の子ではないと証明もしているのにだ。当の麻里佳とは先日改めて会って話をし、彼女のせいではないのに謝罪された。お相手は父親の部下だそうで立場を思うと名を明かせないとも言っていた。それから数日経ったある日、祖父から都子宛に猪川家から慰謝料請求の内容証明が届いたと連絡が来て・・・。いやいや、いくら婚約解消が悔しかったからって都子を愛人扱いして婚約破棄に至った責任取れとか頭おかし過ぎるよ猪川夫妻。ちゃんと順序を守ってればと祖父は再び要に激怒するも、猪川家側の言い分など色々判ると向こうの異常さに気付き、何が何でも孫と曾孫を守れと怒りを収めます。このお爺ちゃん、沸点低いけど飽く迄家族のためを思ってのことなのと、まぁ尤もな事を言ってるんですよね。常識人というか。その後、猪川家が都子の元を訪れて愛人風情がと彼女を責め立てるも、あんたらのその考えがおかしいんだし、娘の幸せを考えろ(本文はもっとソフトな言い方です)と諭していた所を、麻里佳とそのお相手・蔵多を伴い要が帰って来て、後日改めて話し合いで解決しようと説得。その話し合いの場にて麻里佳が絶縁を突きつけたことで漸く夫妻は折れ、蔵多との結婚を認めるに至ります。岩切家と都子宛の慰謝料請求も撤回されるも、両家はこの件で険悪となり業務提携も無しに。後始末に要が奔走する中、彼を支える都子。なんとか危機を乗り切った要からのプロポーズを受け、数か月後、周囲に祝福されながら式を挙げる二人と大地の様子が描かれて本編は幕。おまけの番外編は、結婚式後、息子を預かってもらいデートする夫婦のエピソードでした。毒親って程ではないのかもしれませんが、とにかく麻里佳の両親が怖くて、どうすればそんな考え方に?と首を捻ることしばしば。都子と要、メイン二人の別れから再会が早く、子は鎹って感じでまとまるのが早かった分、猪川家サイドの横やりが長くて煩わしかった印象です。モヤモヤは無くてもこういう独特な考えの人達を説得するのは本当に至難の業ですね。評価:★★★★☆
2024.06.05
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2023年10月刊マカロン文庫著者:宝月なごみさん叔父の家具店が廃業となり無職になってしまった亜椰は、気分転換と家具の勉強を兼ね、フィンランドを一人旅することに。その道中、大手企業の若き社長であり、初恋相手でもある瑛貴と偶然再会! 秘めていた想いが燃え上がり、ふたりは蕩けるほどの情熱的な一夜を共にする。でも御曹司の瑛貴には縁談が決まっていると知り、亜椰は彼の前から姿を消す。ーー3年後、こっそりママとなった亜椰の前に、瑛貴が現れ…!? 「きみに、結婚を申し込む」戸惑う亜椰を、瑛貴は変わらぬ愛情で包み込み、心ごと満たしていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 新沼亜椰=二歳になる娘を育てるシングルマザー。 柴藤瑛貴=大企業の御曹司。亜椰の初恋の人。 新沼胡桃=亜椰と瑛貴の娘。 親代わりの叔父夫婦が営む家具店が閉店することになり、再就職する前にと憧れの職人が作った家具が見たいとフィンランドに旅立った亜椰。かなり値は張るものの、やはりこの職人の作る家具は素晴らしい。しみじみと眺める彼女の目に留まったのはおままごと用のミニキッチン。それを見て叔父の店のお得意さんの息子を強引に誘っておままごとしたことを思い出した亜椰は、その時大胆にも彼にプロポーズまでしていた。彼は面食らいながらも君ならいいよ、と返事してくれたっけ。そんな約束を交わしながらも再会は叶わなかったけれど、えーきくん元気かな。これも何かの縁、痛い出費ではあるものの購入を決めた亜椰だったが、先客がいた。20代後半くらいのスーツ姿の青年が店員に購入意思を伝えていて、慌てて自分も買おうと思ってましたと手を挙げた。少々問答になりかけたものの、よく見れば飛行機で隣に座ってた人ではないか。気圧で耳をやられかけた際、楽になるからと飴を貰ったのだが、それがえーき君がくれたのと同じものだったので驚いたものだ。彼は改めて亜椰を見ると少し考え、自分と食事してくれるならミニキッチンを譲ると告げた。身形も良いし貰った名刺によれば大企業の副社長ではないか。だが、柴藤瑛貴という名に思わず読み方を尋ねるとまさかの初恋の人と同じ。ミニキッチンの購入理由も昔を思い出したからだと言われ、間違いない彼があのえーきくんだと判り、食事の誘いを受けることに。食事をしながら話をすると彼もすぐに亜椰があの時の少女だと判っていたという。約束通りミニキッチンも譲ってくれると言い手配してくれた。そして、瑛貴にとっても彼女は初恋の人で、出来れば帰国してからも会いたいと言われ亜椰も頷いた。酒も入り盛り上がった彼らはそのまま一夜を共にしたが、瑛貴がシャワー中にスマホが光りメッセージの一部が目に入ってしまった亜椰は愕然。彼の父からと思われるメールに見合いについての確認らしき文面に、お相手らしい女性からのメッセージが続き、まさか上手い事言われて遊ばれてただけ?思わず、部屋から逃げ出した亜椰は自分の宿泊先のホテルに戻ってチェックアウトすると一番早い便で日本に帰国したのだった。あれから3年。店を畳み、実家の農業を継いだ叔父夫婦の元で亜椰は娘の胡桃と共に暮らしていた。帰国して暫く経って妊娠に気付いた彼女は再就職もままならず、結局叔父夫婦を頼らざるを得なくなってしまったが、彼らは孫が出来たようで嬉しいとその後産まれた娘を可愛がってくれている。そんなある日、彼女の留守中に高級外車に乗った青年が亜椰を尋ねて来たらしい。多忙らしく早々に帰ったようだが、なぜか瑛貴のような気がした。しかも、叔母が抱いていた胡桃を見られている。勘が良ければ自分の子だと気付かれていそうだ。数日後、再び瑛貴は新沼家に訪れ、亜椰と再会。ずっと探していたと話す彼は胡桃のことも気になっている様だった。そしてあのミニキッチンは胡桃のおままごとに使われていると聞いて喜んでもいた。瑛貴は徐に指輪を取り出しプロポーズをしてきたが、あの夜見たスマホのメッセージの一部のことを尋ねると、打診はされたが見合いはしていないと答えた。そもそも初恋の人と再会を果たし結婚を前提に交際するのに見合いなんてするはずがないと。あまりにもキッパリ言うのできっと嘘偽りはないのだろう。自分の早とちりだったのは認める。だが、胡桃の気持ちも聞かなければ。いきなり父親が現れたら流石に混乱するだろう。娘の意思確認をしてから真剣に考えたいと告げ、その日は別れた。しかし、近所に住み、よく胡桃と遊んでくれている湯浅家の次男坊・麻人が亜椰に告白して来て・・・。誤解も解けて復縁間近と思いきや、横恋慕男が告白して来て、それを知った瑛貴はヤキモキ。叔父夫婦は胡桃の父が会いに来たのだから自分の気持ちに正直になれと亜椰を後押ししてくれたので、早い段階で彼女は覚悟を決めます。麻人には気持ちはありがたいけれどと断り、胡桃にはパパがいることを打ち明け、後日会う約束を取り付けます。最初は緊張しつつもすぐに打ち解けたことから、亜椰は瑛貴からのプロポーズを受け入れるのでした。一方、瑛貴は幼少時に父と離婚をして家から出て行った母と偶然再会。自分を蔑ろにしていた母親の本心を知り、和解に至ります。昔の自分ならきっと真実を知っても許せなかったはず、そんな気持ちになれたのは亜椰を愛したおかげと、彼女と娘の存在に改めて感謝することに。その後、亜椰と胡桃は叔父夫婦の家を離れ瑛貴の住む東京へ。親子3人で暮らしている様子が描かれて終わっています。偶然の重なりで初恋同士が再会して結ばれたものの、誤解から一時期離れるというシークレットベビーものあるあるな内容でした。見合いのこともすぐ本人に聞けば良いのにとは思いつつ、ここで解決したら話が展開しないのでしょうがない。亜椰の叔父夫婦がとにかくいい人達で、ぶっちゃけ胡桃ちゃんより作中の癒しポジだったと思う。横恋慕キャラの麻人さんはきっといい人が見つかるよ、うん。でも、取り敢えず事情も知らないのに瑛貴のことを悪し様に言ってたのだけは謝れ。評価:★★★★☆
2024.05.10
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2023年9月刊マカロン文庫著者:花木きなさん親が決めた男性とお見合いをすることになったウブな令嬢の優歌。お相手であるエリート御曹司の滉大と、初顔合わせのその日からいきなり同居開始! 緊張する優歌に対し、優しく紳士な振る舞いの滉大だけれど、内心は優歌への溢れ出る愛情を隠すのに必死で…。実はふたりは過去に一度出会っていて、滉大はずっと優歌を想っていたのだ。そんなことも知らない優歌だけれど、毎晩甘く愛され、ついに子どもを授かってーー!? 想いもしなかった滉大の果てしなく深い愛に、優歌の心は甘く絆され…。【極秘の切愛シリーズ】第三弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 八神優歌=箱入りで世間知らずなのがコンプレックスな社長令嬢。 八神滉大=優歌の夫。製薬会社の副社長で後継者。 日野西=優歌の同級生。社長令嬢の優歌は自他共に認める箱入り娘。今までの人生、小遣い稼ぎ程度のアルバイトしか経験したことが無く、これも社会勉強のためにと優歌が希望し、渋る両親を何とか説き伏せて勝ち取ったものだ。だが、26歳にもなって碌な就業経験が無いことを内心では恥じていた。そんなある日、父の会社と今度業務提携するらしい八神製薬の御曹司との縁談が持ち込まれ、お見合いすることになったのだが、驚いたことにもう結婚は決定事項のようだ。要はお見合いとは名ばかりの顔合わせということか。しかし、見合いの席に現れたのは本来のお相手である長男・柊斗ではなく、次男の滉大だった。当日に相手が変更なんてあまり聞いたことが無い。しかし、滉大は兄の柊斗には結婚間近の恋人がいることが判り、急遽自分が優歌のお相手に選ばれたと説明し謝罪。両親にしてみれば八神家の者なら問題なしと思っているようであっさり変更を受け入れていて驚いたものの、柊斗のちょっと近付きにくい雰囲気に比べ、滉大は人当たりの良さそうな優し気な印象だ。それにどこかで会ったことがあるような。彼とは話も弾み、滉大の希望もあって二人は早々に入籍。式と披露宴についてはお互い落ち着いたらということになり、彼の暮らすマンションでの同居が始まった。ほぼ初対面で入籍したにしては、優歌も彼も穏やかな性格なのと音楽という共通の趣味のおかげで割とすんなりと打ち解けた。それに、ほんの数日前までは厳しい門限に両親の過干渉により窮屈な生活を強いられていた優歌にとって滉大との暮らしは初めて味わう自由であった。生活に不自由はないけれど、短時間でもいいから何か仕事をしてみたい。でも、同じマンションに住んでいる彼の従兄の律樹とその妻・椎花の娘を見ていると子供が欲しい気持ちもある。滉大と相談して早めに妊活に入るとそれから暫くして優歌の妊娠が発覚。彼に報告しようとした矢先、偶然滉大が見知らぬ女性と親し気にしている姿を見て浮気を疑うも、意を決して尋ねたら、先日入籍した柊斗の妻・梓だと知って気が抜けた。元々彼らとは幼馴染の間柄だというから、なるほどそれであの距離感だったのかと納得し、滉大に子供が出来たと報告すると彼は大喜び。日が経つとつわりに悩まされたが、滉大の甲斐甲斐しいフォローにより何とか乗り切った。その間、エスカレーター式の学校の同級生・日野西と再会。結婚したと報告したのに、どうせ政略結婚なんだろうとやたらとモーションを掛けられて正直参った。妊娠したと告げると漸く諦めたようだったが、日野西があることない事滉大に吹き込んでくれたおかげで、弁解するのも一苦労。それにしても、滉大は初対面から私に好意MAXだったように思う。まあ、興味なさ気にされるより百万倍は良いけれど、普通ピンチヒッターのように決まった結婚とその相手をこうまで溺愛するものだろうか。今更ながらに疑問に思った優歌であったが、それもそのはず、滉大にとって彼女は将来について悩む自分に発破をかけてくれた恩人で・・・。優歌と滉大は15年ほど前に出会っていて、その頃の彼は柊斗が医師の道に進むことになって自分に後継者のお鉢が回って来てしまいそのプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。しかも優秀な従弟とも比べられていたのでプチ家出を決行した滉大は優歌と出会います。思わず小学生に愚痴ってしまって内心恥じていたら、優歌の答えは厳しいもの。でも誰かに言ってほしかった言葉でもあり、滉大が立ち直る切欠となった出来事でした。残念ながらその後彼女とは会えず、初恋の子として胸に刻んでいた所、何と兄の見合い相手が優歌だと判り、自分と変わってくれと頼んだというのがこの結婚のあらまし。優歌の方もこの話を覚えていて道理でどこかで見た顔だと判り、彼の態度の理由も判ってスッキリ。やがて安定期に入り、予定していた式と披露宴も大丈夫だろうと思っていた矢先、連続で前置胎盤の症状が出て入院となって式は延期。計画出産となってしまうも、後に長男・拓海も産まれて本編は終わり。書き下しの番外編はラストから1年後、久しぶりの夫婦水入らずのデート話でした。政略結婚とはいえ、過去の出会いと繋がりラブラブ夫婦になった二人に降りかかるトラブルが主な内容だった印象です。シリーズ3作目で完結エピなこともあって前2作の主役たちも全員登場。みんな仲良くやってます。兼ねてより働きたいと言う漠然とした希望を持っていた優歌は、律樹の妻・椎花の薦めで趣味で作っていたアクセサリーの委託販売を始め、自分に合った仕事を見つけたと大喜び。センスも良いので商品は大人気だそう。手先の器用な人って羨ましい。料理上手だし気立ても良い。ホント、初恋を諦めなくて良かったね滉大さん。あと、同級生の日野西のウザさぶりに読んでてイラッ。評価:★★★★☆べリーズ文庫ほどのページ数ならならもっと色々起こってそうなお話。
2024.04.12
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2023年9月刊マカロン文庫著者:一ノ瀬千景さん准看護師の千咲は、小さな病院で働きながら幼い娘を育てるシングルマザー。周囲の優しさに助けられ慎ましくも幸せな日々を過ごしていた。ある日、娘の父親である医師・直純と再会し…!? 直純は、初恋もまだだった千咲に愛を教えてくれた相手。エリート一族の彼とは身分が違いすぎると身を引いた矢先、妊娠が発覚し、愛の結晶である娘を大切に育てていた。直純は、やっと見つけた千咲をもう二度と離さないとばかりに、溺愛包囲してーー!? 「俺が一生、君を甘やかすから」エリートドクターの珠玉の愛に包まれる【極上ドクターシリーズ】第三弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 向島千咲=個人クリニックで働きながら娘を育てるシングルマザー。御子柴直純=総合病院勤務の脳神経内科医。 向島菫=千咲と直純の娘。 向島柊=千咲の6歳下の弟。個人クリニックで働く准看護師の千咲は女手一つで娘を育てるシングルマザー。院長とその妻である看護師の留美は一人では何かと大変だろうと色々融通してくれて有難い限り。今日も早くお迎えに行ってあげなさいと促され、礼を言いつつ退出すると病院を訪ねて来たらしい青年の姿が目に入った。近付くにつれ見えて来たその男性は、あの日別れた直純ではないか。彼も千咲に気付いたようで、呼び止められかけた時、丁度出て来た院長が彼に声をかけ院内へ招き入れていた。そうか、ドイツから帰って来てたんだな。娘の菫と自宅に戻った千咲は2年前の出来事を思い出していた。当時も今のクリニックで働いていた千咲の楽しみは銀座にあるカフェバー・フライムーンでティータイムを過ごすこと。寡黙だが背が高くカッコイイマスターのジンが提供するメニューはどれも美味で常連客も多い。直純もその中の一人だった。千咲は清潔感がありハンサムな容姿の彼に一目惚れ。その姿を見れるだけで良いと足繁く通っていたものだ。だが、そんなある日、友人の付き合いで参加した合コンで心無い言葉を浴びせられ落ち込んでいた時、気晴らしに来たフライムーンで直純とバッタリ。様子のおかしい千咲をマスターと二人で心配してくれて、ただ変身したい気分なんだと話すと何と直純からデートに誘われ、酒も入っていたのでお互い盛り上がって一夜を共にしてしまったのだった。翌朝目覚めると千咲は猛省。彼の優しさに付け込んでなんてことを。一人グルグルしていた彼女に、留学で来週からドイツに行くので2年ほど帰れないけど俺と、と話す彼の言葉を遮って良い思い出をありがとうと告げるとホテルから逃げるように立ち去った。しかし、それから1ヶ月ほど経った頃、千咲の妊娠が発覚。父親は当然直純なのだが、今はきっとドイツだろうし連絡も取り様が無い。それに産まないという選択肢は無かったので、ギリギリの時期まで働いた。弟の柊や留美たちの協力を得て後に千咲は長女・菫を出産。手狭ではあるが、クリニック近くのマンションで親子二人で暮らしている。翌日、案の定直純が待ち伏せていて、子供連れだった千咲は万事休す。取り敢えず話をしたいと請われ、渋々部屋に招き入れると、菫はあっという間に彼に懐いて血の繋がりを痛感した。直純の方も年齢とその容姿に思う所があったらしく、しっかり彼の娘だとバレてしまった。嘘を吐いてもしょうがない。素直に認めると正式に結婚を前提にした交際を申し込まれた。実は彼の方も、千咲に一目惚れしており告白のチャンスを伺っていたという。あの日は据え膳食わぬは、とばかりに関係を持ってしまったが、留学から帰って来るまで待っていて欲しいと言いかけたのを遮られた上にこれっきりという態度を取られたので、フラれたと思い込んでいたらしい。お互い両想いだったのに、なんとも間抜けな話ではあるけれど、改めて直純の名字や職業を聞いて千咲は驚愕。大病院勤務の脳神経内科医、しかも御子柴家の人だとは。明かな格差婚。千咲の身内は現在、弟の柊のみ。両親を早くに亡くし、母方の祖母との生活は経済面でも楽では無かった。そのことで高校時代、初めての彼氏の両親に交際を反対されたのは今もトラウマになっている。御子柴総合病院の院長が伯父と言っていたが、彼の実家もきっと相当な資産家だろう。菫にも父親がいた方がいいのは理解しているが、多分結婚は反対される。彼の求婚に頷けない千咲を急かすでもなく、直純の方はそれでも諦めないと彼女の部屋に通ってくる。千咲としても今も大好きな彼がここまでしてくれて嬉しくないはずも無く、数か月後、漸く覚悟が決まって求婚に承諾。最大の難関である彼の両親に会うことになったのだが、案の定、直純の母がこの結婚を猛反対して・・・。苦労人のヒロインがトラウマを乗り越えつつ、想い人と結ばれるというお話です。そして、シークレットベビーもの。直純の母には財産目当てだろうと罵られるも、この時点では彼を諦めるなんてできず、認めてもらえるよう直純も説得を続けていました。このお母さんにもとある事情があってのことなので、事情が分かると気持ちも判らないでもない。おまけに根は優しい人なので、夫からの後押しもあって思い直し、最終的に結婚を許してくれます。その後、すぐに二人は入籍。周囲の人達に祝福されて終わっています。このジャンルでは最近では珍しくシンプルな王道展開でした。なんか登場人物が皆優しくてほっこりする。いやな奴と言えば合コンで千咲に悪態ついたチャラ男くらい?姑さんは結局良い人だったし。千咲もその身の上から嫌な思いも苦労も沢山したんだろうなと思うものの、直純とのことはちょっと卑屈に捉えすぎだったんじゃないかな。シスコンの柊からもそりゃ姉ちゃんが悪いと窘めてたほどなので。とは言え、自覚してからはちゃんと自分の気持ちも言えたのでそこは何より。一応シリーズものですが、他2作を読まずとも問題はありません。かく言う私も一作目が未読でした(^_^;)(よくやる)二作目の方は少し前に感想記事上げてます。評価:★★★★☆
2024.04.07
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2023年8月刊マカロン文庫著者:花木きなさん親が決めた婚約者にふられた社長令嬢の梓。仕事も辞めることが決まっていて悩んでいたら、幼馴染の御曹司・柊斗に偽装結婚を提案される。トントン拍子に話が進み、離婚前提の夫婦になったふたり。実は初恋の人だった彼との新婚生活に、梓は緊張を隠せない。そんな中、なぜか柊斗は甘さ全開で迫ってきて…!? 「煽るな。このまま抱くぞ」ーー恥じらう梓をものともせず、熱情露わに溺愛し続ける柊斗。かりそめの関係だったはずが、身も心もとろとろに溶かされていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 泉谷梓=食品会社の社長令嬢。とある事情で柊斗と偽装結婚をした。 八神柊斗=梓の幼馴染で大企業の御曹司。 幼い頃から陰で梓を守っていた。 飯田=柊斗の専属秘書。28歳の社長令嬢・梓は今かつてないピンチに頭を悩ませていた。どう考えても大騒動になりそうなので、仕方なく何かと頼りになる幼馴染の柊斗に相談したのだが、やっぱり困るよね。もうすぐ式を挙げる予定の婚約者がいきなり婚約破棄を告げて行方不明になったのに、両親にその事を告げられていないんだから。梓は産まれた頃から過保護な父の庇護下の元、お嬢様として育てられ何をするのも父の言いなりだった。今回の結婚も渋々ではあったが、それで父が安心するならと受け入れていた。なのに、こんなことになるなんて。当然、招待状も発送済み。会社も寿退社する予定だった。今更結婚が取りやめになったとか言った後の皆の反応が恐ろしい。話を聞いていた柊斗は少し考えこむと涼しい顔で、なら俺と結婚すればいいと告げた。彼の作戦は、元々二人は恋仲で、こんな間近で申し訳ないが式を取りやめて、改めて柊斗と婚約したいと両親に言えば良いというもの。一先ず一年婚約期間を置いて、その後結婚生活を1年ほど過ごせば今回の婚約破棄についてもアレコレ言われることは無いだろう。幼馴染ではあるものの、偽装結婚なんかして後悔しないかと彼に尋ねたが、梓のためならとやけに乗り気な柊斗。取り敢えず、梓の両親の説得は任せてくれと頼もしい幼馴染に委ねてみたが破談については怒っていたが、柊斗と交際していたと聞いて父たちは大喜び。これ以上ない縁組だと速攻許しが出て、傍で聞いていた梓もびっくり。しかし、式もキャンセルするのだしそういうことならすぐ入籍することが条件だと、父も譲らず早々に柊斗と入籍させられてしまったのだった。偽装結婚のはずが何だか色々想定外のことが起きてしまったものの、実を言えば梓にとって柊斗は初恋の人で内心では嬉しい気持ちもある。一方、柊斗も少々予定は狂ったが、思惑通り梓と結婚出来て内心ほくそ笑んでいた。とにかく梓が第一の彼は、いじめっ子から梓を守り、彼女に近づく男たちを牽制しまくり恋愛関係に発展する前に悉く潰していたのだ。勿論、今回の見合い相手も素行調査を重ねとんでもない奴だと判り、裏から手を回した成果だ。しかし、これまでのことを彼女に知られたら大層怒られることだろう。それになんとしてもこの結婚は1年で終わりにはさせない。新婚生活が始まると、彼は初心な梓にグイグイ迫って来て・・・。入籍してから、柊斗にずっと好きだったと告白されて、驚いていた梓もあなたが初恋の人だったと打ち明け、少々愛の重い彼に戸惑いながらも仲良く暮らしていました。一応、混乱を避けるため今回の中途採用は幼馴染の伝手で、とごまかしていたけれど、柊斗に想いを寄せる飯田が梓を目の敵にして来ます。この人、もう二人が入籍済みでラブラブと知ったら発狂しそうな勢いだったけど、そもそもいくらモーションかけられても梓一筋の柊斗には通じず仕舞いでちょっと気の毒に。そしてついに梓に捏造したミスを擦り付けたことで、彼の怒りを買い移動させられるのでした。飯田さん優秀だっただけに本当に残念。梓が全く怒ってなかったのもあって彼女の決して他人を悪く言わない性格に益々柊斗は惚れ直すと言う。この人、凄いモテそうなのに梓と結婚するまで童〇だったっぽいのを見るに本当に筋金入りです。シリーズ第2弾ということで、1作目と3作目のヒーローもちょこっとだけ登場。みんな嫁さんのこと大好きな所をからかいあってて微笑ましい。書き下ろしの番外編は二人の結婚式エピソードでした。評価:★★★★★1作目がシークレットベビーだったこともあってかモヤモヤ度高めでしたが、こちらのお話は明るめ。
2024.02.28
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2023年8月刊マカロン文庫著者:一ノ瀬千景さん長年恋人がいない看護師の真緒は、両親から結婚を急かされて困っていた。ある日の仕事終わり、同じ職場のフライトドクター・壱也に誘われ食事に行くことに。酔った勢いもあり、いつもと違って情欲的な彼に抗えず一夜を共にしてしまう。その場限りの関係かと思っていたら、縁談避けのために偽の婚約者になってほしいと頼まれて…!? 驚きつつも、利害が一致し同居がスタート。するとウブな真緒の態度に、壱也の理性が限界突破…! 「そろそろ、本気で手に入れるから」ーー熱を帯びた眼差しで、痺れるほどの激愛を刻まれて…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 石田真緒=フライトナース。壱也とは犬猿の仲だがお互い気になる存在。 御子柴壱也=フライトドクター。 主にコンビ行動をしている真緒を気にかけている。真緒は看護師7年目のフライトナース。よく同乗者として指名してくるフライトドクターの御子柴壱也とは憎まれ口の言い合いをしているものの、同僚達に夫婦と言われる程息が合っていた。壱也はこの病院の創設者の孫で所謂御曹司なのだが、加えて高身長でハンサム。モテないわけがない。本人もそこは否定しないからなんだかモヤモヤしてつい突っかかってしまう。だが、そんな二人の関係に変化が。出動した現場で処置し搬送した患者に重篤な後遺症が残ると聞いて落ち込む真緒を、壱也が励ましその夜食事に誘われたのだが、酔いに任せて一線を越えてしまったのだ。彼は、誰彼構わずこんなことをしないと言っていたけれど、翌朝壱也が電話で会話する声で目覚めた真緒はその内容を耳にして愕然。お見合いするって?結婚する癖に私に手を出したのかと腹が立ち、昨夜のことは忘れてくれと言い置いて部屋を飛び出した。以降、彼とはギクシャクしたまま。仕事だけはきっちりこなしていたけれど、何だか気まずい。そんなある日、親から恒例の実家に帰って結婚しろ攻撃に辟易して思わず結婚を前提にして交際している人がいると嘘を吐いてしまった真緒は激しく後悔。それなら彼氏に合わせて欲しいと一か月後に両親が上京してくると言う。拙い、恋人どころか彼氏がいたのなんて高校2年の時に少しだけ。隙の無い美人と言われる外見はぶっちゃけ敬遠されるばかりでモテた試しがない。真緒にとって壱也が初めての人だった。しかし、忘れてくれと言った手前恋人のフリを頼むなんて論外。ギリギリだが、婚活パーティーに参加を決め、良さげな人を見つけるしかない。が、気合を入れ過ぎた彼女はそのせいで美人に磨きがかかり遠巻きにされ、誰一人声を掛けて来ないという散々な目に。おまけに変な男に引っかかっていた所を壱也に救われ万事休す。どうやら例の見合いは同じホテルで行われていたらしい。恥ずかしい所を見られただけでなく問い詰められて事情を白状させられた真緒に彼は信じられない提案をして来た。俺と偽装婚約しないかと。いやいや、あなた結婚するんでしょ?と尋ねると、今夜見合いをしたのは彼の妹で、壱也はその付き添いだったのだそうだ。あの電話も付添人のアドバイスを求めての物だったと聞いて勘違いしていた自分が恥ずかしい。しかし、結婚をせっつかれてるのは自分も同じ、だから利害関係が一致するのでお互い協力しようと。一先ず、来月上京する際の恋人役は引き受けてくれると言うのでありがたくお願いするとして、偽装と言いつつ、この日から壱也は彼女を本物の婚約者のように扱い、同僚にも結婚する旨を報告したのでビックリ。同じ病院に勤める彼の従兄弟からも壱也を頼むと言われるし、どういうこと?その後、両親との顔合わせも済み、父も壱也を気に入ったようだ。壱也は更に高級マンションまで購入してこれからここで同棲すると言い出すし、ここまで来るともしや本当に私と結婚する気なのだろうか。でも、真緒は元々彼を嫌っていたわけではない。憎まれ口もコミュニケーションみたいなものだったし、彼の素顔を知るうちに段々心惹かれていた。それから暫く経って、父が倒れたと連絡を受け数日間里帰りしていた真緒は帰宅後同棲中の部屋のソファーにブローチが落ちているのを発見。彼女は自分がいない間に壱也が女を連れ込んだと勘違いし・・・。この件についてはすぐに誤解も解けて仲直りするんですが、モテ男を好きになった弊害で真緒はヤキモキ。昔馴染みの女性との仲を疑ったり、その女性の取り巻きにあんたじゃ相応しくないと言われたり。その度に凹んだりもするけれど、彼の本心も判って偽装関係ではなくなります。その後は周囲に祝福されて入籍してENDおまけの番外編は壱也目線で、真緒に惚れた理由と現在の気持ちが描かれていました。一筋縄じゃ行かないからと偽装という関係に持ち込んだのは悪手だった気もしますが、きっと壱也も必死だったんでしょう。それにしても美人過ぎてもモテないという作中での真緒の喪女っぷりが読んでてクスりとしましたwあと、このお話はシリーズもののようで他のメインキャラ達が多数登場。他も読んでおいた方が関係性が判ってより楽しめるって感じでした。一応、内容的には未読でも問題はありません。評価:★★★★☆
2024.02.17
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2023年7月刊マカロン文庫著者:花木きなさん恋人のいない椎花は、医師である 父から外科医の律樹との結婚を勧められる 。エリートな彼とは釣り合わないと拒んでいたが、父の死をきっかけに突然プロポーズされて…!? 彼の優しさに触れ婚約を受け入れた矢先、実は結婚願望のない律樹に父が交際を頼み込んでいたと知る。偽りの愛情だったことに悲しみ一方的に別れを告げたが、直後に妊娠が発覚! 内緒で産み育てていたら、まさかの再会を果たしーー「二度と俺の前からいなくなるな」以前と変わらない甘く一途な激愛に息もつけないほど蕩かされ… 。【極秘の切愛シリーズ】第一弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 綿矢椎花=美容師として働きながら女手一つで娘を育てるシングルマザー。 八神律樹=椎花の元婚約者で救急医。 綿矢舞雪=律樹と椎花の娘。 不破=律樹の同期の心臓外科医。24歳の椎花は、末期の膵臓がんで入院していた父から外科医の八神律樹を紹介された。彼は父のお気に入りで入院する前からよく話題に上っていた人物だった。この時、大した会話はしなかったのだけれど、誠実そうな人柄に好感を持った。でも、その数日後、願いも虚しく父は亡くなり、母も既に病死している彼女は一人ぼっちになってしまった。そんな椎花に葬儀後、八神は自分と結婚して欲しいと告げた。実は八神は師匠のように慕っていた椎花の父から、娘と結婚して支えてやって欲しいと頼まれていた。しかしながら結婚ともなるといくら師匠の頼みでもおいそれと引き受けられなかった。話を立ち聞きしていたらしい同期の不破から結婚するのかと聞かれた時も思わずそんな気はないと答えていたのだけれど、葬儀で気丈に振舞い泣くに泣けない彼女の姿を見て心が決まった。突然のプロポーズに椎花も唖然としていたものの、君を支えたいんだという言葉に漸く彼女は泣くことが出来て、この決断に間違いは無かったと思う。たかだか数日の付き合いでも彼は確かに椎花に心惹かれていたから。天涯孤独になった椎花だったが、一人で暮らしていくには思い出のある家で暮らすのは精神的にキツイだろうと言うことで、八神の申し出で二人は同居することになった。一先ず数か月は結婚前提の交際期間とし、入籍はお互いの誕生日のどちらかにしようと考えていた。それから2ヶ月ほど経ったある日、椎花は偶然出会った不破との会話で衝撃を受けた。あの日の父と八神との話と、その後の不破とのやりとりは彼女にこの結婚に対して不信感を募らせるには十分な内容であった。それでも本心が知りたいと八神に問い質したのだが、思った通りの返答に一気に気持ちが冷め椎花は別れを決意。彼は最後まで別れたくないと言っていたけれど、気持ちが変わらないと判ると渋々だが応じてくれて椎花は実家へと帰っていた。あれから4年。椎花は舞雪と名付けた3歳の女の子を女手一つで育てている。別れてからすぐ妊娠に気付いたものの、八神とは一切連絡を絶っていたので子供がいることは知らせていない。お腹が大きいときに不破と再会し、別れたことを告げると余計なことを知らせた罪滅ぼしなのか以来何かと力になってくれている。そんな最中、両親の墓参りの帰りに八神とバッタリ。舞雪の年齢を聞いて自分の子だと確信した彼に思わず嘘をついてしまったが、あれは絶対にバレたに違いない。数日後、多忙なのか彼から連絡が無いことにホッとしながら過ごしていたが、親子との外出中トラブルがあり舞雪が緊急搬送されることに。その際、処置を担当したのが八神で・・・。血液型で自分の子だと確信したようで、舞雪の入院を聞きつけた不破によって真相は語られます。外科の教授であった椎花の父のお気に入りの八神に不破は嫉妬していたらしい。おまけに教授の娘と結婚したらもっと差を付けられる、そんな理由で一波乱おこしてやろうと思っていたと言う。やっぱりそんなこったろうと思ってた~~。でも、妊娠してたのに別れさせてたことを知り罪悪感があったと話す不破さんは、ちょっと引っ掻き回してやるつもりだっただけがこんな大ごとになるとは思わなかったろうな。しかし、椎花は別れを選んだのは自分自身の愚かさだったと語り、許されるならと改めて復縁を望む八神の申し出を受け入れます。正直、このヒロインが別れを切り出した理由がちょっとなぁ。八神が当初結婚に乗り気じゃなかったのが結構ネックだったみたいで、拘るのそこ?と。その間、八神の方は椎花にちゃんと好意を持っていたのだし、多分色々悪い方向に思い込んじゃう性格なんでしょうね。大好きな作家さんの一人ではありますが、ここだけ少し納得いかなかったです。書き下ろしの番外編は本編の後日談で八神目線の椎花の誕生日のお話。評価:★★★★☆別れの理由がああでなければ星5でした。
2024.01.14
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2023年5月刊マカロン文庫著者:西篠六花さん内気女子の紗季は、先輩社員の嫌がらせで仕事を失ってしまう。息抜きで訪れた旅先で、トラブルから救ってくれた壮馬と甘い夜を過ごして…。一夜の過ちだと思い黙ってその場を去ったら、やがて妊娠が発覚! 彼を探す当てもなく、ひとりで産み育てることに。しかし2年後、再就職先の御曹司だった壮馬に再会してーー!? 立場ある彼に迷惑をかけたくないと思うが、壮馬の一途な独占欲に抗えない。「やっと手に入れた」ーー娘ごと深い愛で包まれ、次第に身も心も溶かされていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 狩谷紗季=旅行会社で働きながら娘を育てるシングルマザー。 間宮壮馬=大企業の御曹司。紗季の上司として再会する。 狩谷唯=壮馬と紗季の娘。 道枝紫乃=壮馬の婚約者。シークレットベビーものです。中堅の旅行会社に勤めていた紗季は、付き合い始めたばかりの彼氏を先輩社員に寝取られた。挙句、その先輩からの度重なるパワハラと嫌がらせにより精神的に追い詰められ退職に追い込まれてしまった。漸く落ち着いてきたこともあって、一念発起して気分転換も兼ねて京都に一人旅行にやって来た紗季。彼女はそこで運命的な出会いをした。質の悪い外国人からのしつこいナンパに身の危険を感じていた紗季を助けてくれた身形の好い青年を思わずお礼にと食事に誘うと、ついつい飲み過ぎて旅行に来た理由などもベラベラ話していた。壮馬と名乗った彼は、随分と聞き上手で内気な自分でも会話がしやすい。いい気分になって酔いつぶれた彼女が気付くと高そうなホテルの一室。眠り込んでしまった紗季をわざわざ自分の宿泊先に連れて来てくれたらしい。だが、お互い何となく離れ難くて彼女から誘う形で二人は一夜を共にした。あれから2年。当然壮馬とはそれっきり。有体に言えば行きずりの関係だったのと、翌朝我に返った紗季が寝ている彼を残して逃げたからだった。それから就活に励んでいたのだが、2ヶ月近く経って紗季の妊娠が発覚。元カレとはそういう関係になる前にフラれたので、該当者は壮馬しかいない。当初、両親は産むことを猛反対したが、せっかく宿った命を殺せないと言う紗季の覚悟と頑なさに渋々折れ、今ではすっかり孫バカだ。唯と名付けられた娘ももう1歳。いつまでも親の好意に甘えているわけにはいかない。職探しに本格的に力を入れて、何とか前職の経験を活かせる大手旅行会社の中途採用に漕ぎ着けた。さすがは大手。ここはあの先輩の様な陰湿なパワハラをする社員もいないし、随分と働きやすい。無事研修も終えていざ頑張ろうと思っていたら、見覚えのある男性が。壮馬も紗季に気付いたらしく、慌てて駆け寄ってきたが言葉が見つからなくて逃げ出してしまった。同僚の話によると彼は親会社のCEOの息子で事業企画部長なのだそうだ。名前は間宮壮馬。もしまた会えたら、とは思わないでもなかったものの、まさかそんなとんでもない家柄の人だったとは。明らかに自分の様な一般人が釣り合う相手ではない。ましてや密かにあなたの娘を産みましたなんて絶対に言えない。幸い、違う部署なのでうっかり鉢合わせしないよう気を付けないと。一方、紗季の履歴書を見てシングルマザーと知った壮馬は娘の年齢的に自分の子ではないかと疑っていた。それからと言うもの、逃げ続ける紗季の努力も虚しく、壮馬の方が一枚上手で何かと理由を付けては会いに来る。苦し紛れに娘は前の夫との子ですと言ってみたけれど、それでもかまわないから交際して欲しいと言う。唯のことも可愛くて仕方ないようで情操教育のためにと水族館やら動物園やらあちこち連れ出してくれた。頑なに交際を拒んでいた紗季だったが、自分の気持ちに嘘は付けず承諾。唯はあなたの子だと打ち明けられずにいたけれど、彼も特に気にしてないように見えるし交際は順調だった。だが、そんなある日、紗季は壮馬の婚約者と名乗る紫乃に身の程を知れと彼との付き合いを詰られて・・・。上手く行ってたのにこの婚約者ェ。この人、壮馬とは形ばかりの婚約者で親のゴリ押しによるこの縁談を断りたいからと、二人で組んで婚約破棄するタイミングを伺っていたそう。所謂戦友同士みたいな仲で、大事な友人の壮馬に金目当てで近付く女はお呼びじゃないと、親切心からの行動だったようですが、ぶっちゃけ余計なお世話以外の何ものでもない。当然、壮馬にもしこたま怒られることに。この一件で、紗季との仲も拗れかけるも何とか誤解も解け、紗季もついに真実を明かします。経緯が経緯なので壮馬の両親は猛反対だったようですが、紗季の清楚な雰囲気ややはり初孫パワーは強かった。狩谷家の方も、壮馬の真摯な謝罪により何とか許しを貰い二人は結婚。もう一人子供が欲しいね、みたいな感じで〆ワンナイトラブ&シークレットベビーというお話でしたが、まあヒロインが頑固でした。とはいえ、彼の立場が判ると自分達は重荷でしかないって気持ちも判る。ヒーローの方は何か結構計算高くて、じわじわ外堀埋めてく様が何とも手際良くて、そりゃこんな人にグイグイ来られたら初心なヒロインなんてひとたまりもないでしょう。よくぞ一ヶ月も我慢したもので。評価:★★★★☆
2023.12.07
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2023年3月刊マカロン文庫著者:藍里まめさん書店員の果歩は客として出会った卓也と付き合って三ヶ月。幸せな日々を過ごしていたが、彼の弁護士を名乗る男性が現れ、実は卓也が御曹司で果歩と別れたがっていると教えられる。婚約者の存在も知らされて身を引いた矢先、双子を宿していることが判明! 初めての出産と育児に奮闘していると、ある日突然彼が訪ねてきて…!? 戸惑う果歩を前に、卓也は空白の時間を埋めるように絶えず愛を注ぎ込む。「二度と離さないから覚悟して」ーー双子と一緒に甘やかな独占欲で包み込まれ、果歩はとろとろに溶かされていって…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 相原果歩=元書店員。実家で双子を育てるシングルマザー。 吉川卓也=大手製薬会社の御曹司。果歩の元カレ。書店員と客と言う関係から交際にまで発展した果歩と卓也。製薬会社勤めらしい彼は同年代の会社員に比べると随分羽振りが良くて、たまに驚かされてはいたものの、初めての恋にのめり込んでいた彼女は気にしないようにしていた。最近は随分忙しそうだけど、次の休日に漸く会えると思いきや、大事な話があるんだと言われて少し不安も覚えていた。だが、その予感は的中。仕事帰りに見知らぬ男に呼び止められた果歩は衝撃の事実を知ることに。実はお金持ちなのではとは感じていたけれど、まさか彼が大手製薬会社の御曹司で、おまけに婚約者もいると言う。男性の要件はありていに言えば卓也と別れて欲しいとのことだった。まさか卓也の大事な話とはこのこと?でも、初対面の男より卓也を信じたい。もし本当なら彼に話を聞くと要求を突っぱねた果歩だったが、婚約者側から浮気相手として訴えられたら慰謝料請求されると聞いて思わず及び腰に。両親は既に無く、身内は兄一人。薄給の書店員では貯金もわずかだし兄に迷惑をかける訳にはいけない。どちらにせよ、慰謝料請求できるほどの婚約者がいるなら自分がしがみ付いても卓也の迷惑になる。潔く別れるなら相応の手切れ金を出すとは言われたが、それは意地もあって辞退した。男によって連絡手段も絶たれ泣く泣く身を引く形になった果歩だったが、数日後妊娠が発覚。未練がましいとは思いつつもどうしても産みたくて、結局実家にいる兄を頼ることに。事情を話すと兄は卓也に激怒していたものの、果歩もその子供も自分が面倒を見ると彼女の決断を応援してくれた。あれから2年半。男女の双子を産んだ果歩は就職先を探していた。兄の稼ぎでなんとか暮らせてはいるけれど、子供が大きくなればその分金はかかるし、恋人がいるのにこぶ付では結婚も出来ないだろうと思うと申し訳ない。そんなある日、街中で因縁を付けられた際に助けてくれた青年が卓也の友人でビックリ。どうやら、交際してる時の写真を彼から見せられて覚えてくれていたようだ。彼は弘田と名乗り、卓也は果歩にフラれてかなり落ち込んでいて、今はNY支社にいると言う。フラれた?それに落ち込んでたって、代理人まで寄越しておいて?まさかあの代理人は彼からの依頼ではないのではとも思ったが確かめようもない。弘田に聞けばもう少し当時の状況が判りそうだけど、一先ず彼に口止めをしてその場を去った。その数日後、NYにいた卓也は弘田から連絡を受け、休暇を利用して帰国。彼女のスマホとは連絡が取れないので、直接彼女の実家を訪れた彼は、果歩から当時の話を聞いて自分が知らぬ間に勝手に別れさせられていたことを知り・・・。居ても立っても居られずに果歩の実家に特攻した卓也は、激怒した彼女の兄にぶん殴られたりもしましたが、二人が別れた原因が巧妙な罠によるものと判り、一先ずは許されます。どうやら、厚生労働省のお偉いさんと縁を築きたいと考えていた卓也の母の暴走だったようで、あの代理人もその手の者と判明。卓也は果歩にプロポーズするつもりだったそうで約束の日を楽しみにしていた。しかし、代理人が果歩のスマホを操作した時、勝手に如何にもな別れのメールを送信しており、それを見た彼はいきなりの別れ話に大ショック。連絡も付かないしで、フラれたのだと思いこんだ。まぁ、その時はまだ書店勤めしてたんですけどタイミング悪く彼女が早退した日で、対応してくれた店員の紛らわしい言葉で退職したものと思い込んだのが拙かった。間の悪いことに海外転勤も決まってたから不幸な偶然が重なった結果というオチ。果歩はちゃんと本人に聞くと言ってたのに慰謝料がー、とか脅されちゃ怯んじゃうよね。金持令嬢からの請求額とか考えるだけで恐ろしい。でも2年半は長いよ。一人でも大変なのに双子ですもんね。お兄ちゃんは結局恋人にフラれたり、やってくれたなぁ彼母よ。とはいえ、真相が判った上にまだお互い愛し合っていて子供たちもいる。何が何でも結婚するとしつこく迫って来ていた令嬢に意趣返しして縁談を断らせ、反対していなかった父親に果歩たちの話をして結婚の許しを得て漸く結婚に至ります。姑とは蟠りが残ったままって感じで本編は終わってますが、後日談である番外編にて姑とも和解。お兄ちゃんも恋人と復縁して結婚したし大団円って感じで良かった。個人的に姑の仕打ちは一生許せないレベルではあるけど、双子たちには唯一の祖母だからと許した果歩はいい人過ぎる。でもそれも自分も母親になったからかな。評価:★★★★☆
2023.11.22
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2023年3月刊マカロン文庫著者:西篠六花さん箱入り令嬢の史織は、呉服屋の御曹司・嘉人との政略結婚を半ば強引に進められる。戸惑う史織に対し、常に愛情深く接してくれる嘉人。初夜を迎えて以降は情熱的に抱かれる日々が続き、次第に彼を想う気持ちが増していく。そんなある日、嘉人が自分に“ひとつの嘘”をついていることを知ってしまい…。落ち込む史織のお腹には彼との子が宿っていた。「死ぬまで君を離す気はない」ーー偽りの関係だと思っていたのに、旦那様は究極の愛で史織のすべてを包み込み…! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 羽川史織=事故で半年分の記憶を無くした社長令嬢。 羽川嘉人=老舗呉服店の御曹司。史織と政略結婚した。 羽川英孝=嘉人の兄。宮内史織には約半年分の記憶が無い。階段から落ちて頭を打ったのと強いストレスが原因らしく乖離性健忘症と診断された。一歩間違えば死んでいたかもしれないほどだったそうで左腕も骨折していた。一体自分に何が起こったのだろう。史織が意識を取り戻したと報せを受け、一人の男性がやって来たのだが、驚くべきことにその人は自分の婚約者だと言う。羽川嘉人と名乗る彼とは2ヶ月後に式も決まっているそうだが、骨折もしていることから延期も視野に入れると言ってくれた。どうやら空白の半年の間に彼と見合いをして婚約したようだけれど、やっぱり思い出せない。腕の方は恐らく1ヶ月もすれば大丈夫そうだが、史織にとってはほぼ初対面に近い彼ともうすぐ結婚するのだと思うと不安しかない。その後、退院した史織を嘉人は献身的に支えてくれた。多忙だろうに足繁く彼女の元に通い、失くしてしまった時間を埋めるよう接する彼に史織は感謝した。本当に良い人だと思う。しかし、彼女にしてみれば2ヶ月はあまりにも短い。腕も完治して迎えた結婚式は史織の事情を鑑みて身内だけのささやかなものになってしまったが、何故だか嘉人の兄・英孝だけが欠席したのが気になった。入籍して嘉人が購入したタワーマンションで暮らし始めた史織。結婚してからも嘉人は優しく、夫婦仲も悪くないと思う。彼の実家は名家なので嫁として覚えることも多いが、義両親も何かと気遣ってくれて充実した日々を送っていた。だが、そんなある日、所用で届け物をしに嘉人と義父がいる店舗に出向いた史織は、女性事務員から本当は英孝の婚約者だったくせに嘉人に乗り換えるなんて、と叱責を受けて唖然。自分が英孝の婚約者?何か思い出しそうになって実家で母を問い詰めると、あの事務員の言う通りだった。しかし、事故を機に英孝に婚約破棄されていたらしい。前々から史織から打診されていたから、と。だが、さすがにそれはあんまりだと嘉人が新しい婚約者として名乗りを上げてくれたのだそうだ。では彼は無責任な兄の責任を果たすために私と結婚したの?と、史織は一人思い悩み・・・。史織は罪悪感から嘉人と距離を置こうとするんですが、その間に彼女の妊娠が発覚。今後どうするべきか考えあぐねていた所、英孝と嘉人が揉めている会話が耳に入り、その内容から彼女は失っていた記憶を思い出します。周囲がやけに史織と英孝を接触させない様にしてたし、あー絶対この長男がやらかしたんだわ。と思ってたら案の定。政略結婚とは言え、婚約中の英孝の態度は褒められたものではなく、明らかに結婚してからも愛人を作りそうな彼に史織はほとほと呆れていました。態度を改める気も無いようなので、と破談を申し入れると、父からの評価が下がると英孝がゴネ、終いには史織を脅す始末。怯んだ彼女を突飛ばしたら階段から落ちて、って言うのが顛末。いやーもうこいつマジでクズですわ。嘉人が優秀なのでブラコンを拗らせてたのかもだけど、認められたいなら真面目に働けや。史織が記憶を取り戻してあの事故の真相が判明し、英孝は相応の報いを受けたのでした。金持の実家と後ろ盾を無くしていい気味。嘉人は以前から史織に惚れていて、兄の仕打ちに怒りながらもそのチャンスを利用して婚約者になったと告白。でも、この人が名乗りを上げてくれて良かったよ。史織もとっくに彼に惹かれていたことと、妊娠を告げ、大団円で終わっています。個人的にはあの事務員にもムカついたんですが特にお咎めは無しで残念。嘉人に惚れてたみたいだけど、だからって常務の奥さんに対してあの言い方は普通に失礼だわ。実は付き合ってて横取りされたーとかならともかくあのあと謝罪も無かったようだしちょっとモヤってしまった(^_^;)評価:★★★★☆
2023.11.18
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2023年4月刊マカロン文庫著者:皐月なおみさん喫茶店で働く夏美は、常連客である大企業の御曹司・秀哉と付き合っていた。交際1年でプロポーズされるが、彼の両親から結婚相手としてふさわしくないから別れるよう言われてしまう。身を引いた矢先、妊娠が発覚! 密かに産み育てていたある日、秀哉と予想外の再会を果たして…。「君を諦めるつもりはない」ーー溺愛全開で迫ってくる彼に、息子ごと甘やかされていく夏美。一途な想いを貫かれ、頑なだった夏美の心は溶かされていき…。人気作家による【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】第三弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 佐々木夏美=旅館で働きながら息子を育てるシングルマザー。 二階堂秀哉=大手不動産会社の御曹司。夏美の元カレ。 佐々木拓哉=夏美と拓哉の息子。 二階堂陽子=秀哉の母親。幼い頃に両親を亡くし、引き取ってくれる親戚も無く施設で育った夏美。社会に出ても恥をかかない様、先生たちの躾は厳しかったが今では感謝している。しかし、施設の卒業生が事件を起こしたことから、世間の園への視線は冷たいものとなり、地元に就職した夏美も誹謗中傷の対象に。挙句、窃盗の疑いを掛けられ退職に追い込まれてしまった。そんな彼女を偏見の目を持たずに雇ってくれたのは喫茶店のマスターだった。常連客も皆気の好い人達ばかり。そして、夏美はその中の一人である秀哉と恋に落ちた。彼が大手不動産会社の副社長と聞いて、自分とは違う世界の人だと最初は気後れしていたものの、交際して1年、彼からプロポーズされた時は本当に嬉しかった。秀哉には一応自分は施設出身だと話してはいたけれど、彼の両親にはきっと歓迎はされないはず。夏美の予感は的中、秀哉の両親は良い顔をしなかった。特に母親の陽子は夏美の秀哉に頼り切りの態度が気に入らなかったようで、金を出すから息子と別れて欲しいときっぱりと言いきった。よくよく思えば自分は彼の妻として必要な学も無ければ、話術も持ち合わせていない。陽子に秀哉の為にならないと言われればその通りだ。夏美は彼の両親に言われるまま、他に好きな人が出来たと告げ、秀哉の前から姿を消した。あれから2年。地方都市の旅館で仲居をしていた夏美は、秀哉とバッタリ。会社の研修旅行に少し顔を出しに来ていたらしい彼は再会を喜び、ずっと探していたと言う。興信所を使ってまで捜索していたようだが両親からの妨害に合い嘘の情報を掴まされ、暗中模索の状態だったらしい。喫茶店も辞めた夏美はあの後妊娠に気付き、一時期故郷の施設にも頼り男の子を産んでいた。年齢的にピッタリな事からすぐに秀哉の子だとバレ、彼に復縁を迫られたが陽子からの言葉を思い出すと上手くやって行けるようには思えない。その日は突っぱねたが、秀哉は諦めず、多忙だろうに毎日のように彼女達に会いに来るので、夏美の気持ちは揺らいでいた。だが、そんなある日、先輩からの嫌がらせや上司からのセクハラにより旅館を不当解雇された夏美は、失意のまま帰宅すると自宅が全焼していて茫然。幸い、秀哉が今日も来てくれていたので、暫く彼のマンションで厄介になることに。拓哉はすっかり秀哉に懐いていて、お礼代わりに食事の支度をしていた夏美は、ふと彼と交際していた時のことを思い出した。そういえばデートと言えば秀哉の行きつけの高級レストランばかりで手料理をふるまったことがないと。美味しそうにカレーやオムライスを食べる彼は聞けば元々家庭料理が好きだと言う。当時はステーキやお高いコース料理しか食べないんじゃと知らずに偏見で彼を見ていたことに気付いた夏美は猛省。自分達は圧倒的に会話が足りなかった。勝手に育ちが違うから価値観も違うと卑屈になって、だから陽子に何も言い返せなかったのだ。彼女の話を聞いた秀哉も、これを機にお互い思っている事や心配事など包み隠さずぶっちゃけようと提案。本来の自分を取り戻した夏美は今度こそ何を言われても負けないと秀哉の求婚を受け入れ共に生きることを誓った。しかし、以前から秀哉との結婚話があったらしい令嬢が二人が復縁したことを知り、話が違うと怒鳴り込んできて・・・。シークレットベビーものです。先日も他作品の感想で書きましたが、会話が足りないせいで別れる羽目になったパターン。夏美は施設育ちということを恥に思っていたわけではないけれど、卒園生のやらかしにより同じ施設出身と言うことで誹謗中傷に晒されていました。就職先でも苦労したものの、その後働いた喫茶店ではよくしてもらって運命の人との出会いも。でも、なまじ彼は地位ある人だったので、義両親に反対された挙句別れる羽目に。夏美も当時は秀哉から「全部俺に任せてますのでと親に何を言われてもそう言っておけばいい」って言い含められててそれに素直に従ってただけなんですけど、実はそれが拙かった。陽子さんにしてみれば、そんな言われるがままの弱気な態度じゃうちの嫁は務まらないって判断して、苦労した挙句に離婚になったら息子共々傷付くだろうという親切心から別れさせたと言うオチ。蓋を開けてみればなんかいい人だったお姑さん。そもそも家柄とか生まれ育った環境とか二の次だったらしい。要はあの時もガッツを見せて欲しかったんでしょう。二度目の顔合わせの時に夏美の本心や覚悟を聞いた時に語った陽子さんの言葉は読んでて何だか泣けました。ぶっちやけ、この時までは捜索の邪魔してたりしてたこともあってアパートの火事はこの人の差し金かと思ってたwwあと、秀哉の妻の座を狙ってたお嬢様は、気の強さを見込まれ陽子さんが推してたものの、そのとんでもない言動が暴露されドン引きし、結果墓穴を掘って縁談は無かったことに。夏美は義両親に認められ、二人は入籍。孫可愛さと嫁を大層気に入ったらしい陽子ともそつなく付き合い上手くやっている様子が描かれて終わっています。おまけの番外編は本編の後日談で3年後の二階堂家のお話。第二子を妊娠中の夏美と彼女の代わりに料理修行中の秀哉の奮闘ぶりが微笑ましく、オムライスが食べたくなりました。評価:★★★★★鬼ババァかと思いきや?
2023.11.11
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2023年1月刊マカロン文庫著者:吉澤紗矢さん数年前に怪我で入院した千鶴は、そこで出会った心臓外科医の圭吾と交際して1年になる。しかし隠していた家族の事情を彼の母に知られ、大病院を継ぐ圭吾の足枷にならないよう別れてほしいと頼まれてしまう。彼に迷惑をかけまいと身を引いた矢先、妊娠が発覚! なんとか1人で産み育て3年が経った時、突然圭吾が訪ねてきて…!? 「君を失ってまで欲しいものなんてない」ーーまっすぐな愛で千鶴の全てを受け入れ守ってくれる圭吾。甘やかな独占欲で息子ごと包まれると、頑なだった千鶴の心も蕩けていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 鈴木千鶴=工場で働きながら息子を育てるシングルマザー。 君家圭吾=千鶴の元カレ。大病院の跡取りで優秀な心臓外科医。総合病院の受付で働く千鶴が心臓外科医の圭吾と付き合って1年。外見だけでなく人柄も良い彼との交際は順調で幸せな毎日だったが、彼女の母が職場を尋ねて来るようになってからというもの、頭を悩ませるように。実母からしつこく金を無心されて、その場面を同僚たちにも見られている。幸い、圭吾の耳には入っていない様だったけれど、それ以上に拙い人物に目撃されてしまったことから彼女は窮地に。圭吾の母から、息子と別れて欲しいと言われた時は目の前が真っ暗にもなったが、彼女の言い分も尤もだとも思った。仮に結婚したとして夫の実家の金をあてにされても困るし、世間の目もある。手切れ金も渡すから、圭吾の為を思うなら身を引いて欲しいと言われ、千鶴は手紙で別れを告げると彼の前から姿を消した。あれから3年。都下にある小さな町で工場の契約社員として働いていた千鶴は、一人、二歳になる息子・晴汰を育てていた。高校生の頃に事故に遭い、膝に少し障害がある彼女は立ち仕事ができず、座って作業できる今の仕事場はありがたい。そんなある日、千鶴は圭吾と再会。彼はあの別れに納得いかずずっと彼女を探し続けていたのだという。母から妨害を受け3年もかかってしまったと詫びる圭吾は、晴汰を見て驚ていた。あまりにも彼に似ていたので圭吾は自分の子だと判ったようだった。流石にごまかせなくて認めると、彼は復縁を求めて来た。しかし、息子の父として会いに来るのは良いが、結婚となると彼の母が黙っていないだろう。身を引くよう言われた事だけは伏せて、実母と金銭トラブルで揉めていたこと、大金持ちの彼とは価値観が合わないからと別れの理由を告げた。彼は何となく母親の介入に勘付いていたようだったが、追及はされず、以降は息子の父として度々アパートを訪れるように。だが、圭吾は当然復縁を諦めておらずそれどころか隙あらばプロポーズしてくる。晴汰も彼に懐いていて、もとより嫌いで別れたわけではないので、結局押し負けて千鶴は彼からの求婚を受け入れた。しかし、やはり彼の母は千鶴に思う所があるようで、初孫は可愛いけれど彼女は気に入らないと言う姿勢は崩さなかった。義両親からの頼みで将来の院長婦人なのだからと君家総合病院で働き始めた千鶴は、姑と圭吾の従妹の企みにより立場が危うくなって・・・。シークレットベビーものです。相思相愛の恋人たちを引き裂く鬼ババァ、もといカレ母。身内の問題を突かれて泣く泣く身を引いたものの、当の彼氏は諦めておらず彼女を探し続けていました。正直、この行方探しも妨害してたって言うからホント酷い。でもまぁ、嫁の母親が金をせびりに来たりするのは困るって気持ちも判るんですよ。けど、終盤は千鶴の母も娘からの手紙を読んで改心していたし、その親心を利用して騒ぎを起こすのはやり過ぎ。性格の悪さは遺伝するのか圭吾の従妹も加勢してやらかしてたんで、事情を知った圭吾と舅は大激怒。おかげで、嫁として認められることになったものの、今後も姑とは蟠りが残りそう。孫は可愛いと思ってるっぽいのが救いか。代わりに千鶴は実母との仲が再構築されそうで、お母さんに歩み寄ってみては?と後押ししてくれた圭吾さんはホント出来た人や。別れの経緯や再会、そこから同居に至るまでは割とテンプレ展開な内容でしたが、彼母との再会はまたしても波乱を呼び、みたいな展開で面白かったです。性悪って程ではなかったけれど、初孫ブーストが効かないなんて、きっと姑さんは気に入らない奴はとことん気に入らない人なんだなぁ。評価:★★★★☆
2023.10.29
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2021年8月期マカロン文庫著者:櫻御あやさんウブな令嬢の琴子に、幼い頃から密かに憧れてた大企業の御曹司・透哉との政略結婚が決まった。同居初日、彼は義務的に自分を抱くのだろうと考えていた琴子の思いとは裏腹に、熱く甘く初めてを刻まれて…。ある日、琴子がとある事情からほかの男性といたところに透哉が鉢合わせし、彼の態度は豹変! 「君が誰のものか思い知らせてやる」ーー独占欲全開で、本能のまま猛々しく攻め立てる彼の溺愛に、琴子は身も心も抗えなくなっていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 真崎琴子=元社長令嬢。お見合いで初恋の人である透哉と結婚した。 真崎透哉=大企業の御曹司で琴子の夫。 越名桐子=琴子の母親。会社経営をしていた父が亡くなり、母方の伯父の援助で慎ましく暮らしていた琴子。そんなある日、母から持ち込まれた縁談話。お相手は10年前にとあるパーティーで出会って以来忘れられなかった初恋の人・真崎透哉だった。しかし、お見合い当日顔合わせの場に赴くと、透哉を始め真崎家の面々の態度がどうも余所余所しい。母の話では先方から是非にと持ち込まれた縁談らしいのに、どう見ても自分は歓迎されていない。だがそんな違和感の理由も透哉と二人になった時の会話で判明。何と母が、琴子をやる代わりにと1億円もの金を要求したと言うのだ。しかも既に支払い済みと聞いて眩暈がした。そりゃ透哉の両親もあんな態度になる訳だ。透哉に謝り倒した琴子は絶対に返金させるからこの縁談は断って欲しいと告げ帰路に就いた。帰宅して早々に母を問い詰めるとあっさりと認め、貰った金はもう手元にないと悪びれず実は多額の借金返済に充てたのだと。派手好きな母の事、伯父からの援助だけでは好きに買い物できなかったのだろう。そんなのっぴきならない状況だったことにショックを受けつつも返すと言ってしまった手前何とか工面しないと。でも自分が働いても何年かかるやら。返済に頭を悩ませていた琴子だったが、透哉から予定通り琴子を妻に迎えると聞いてビックリ。真崎の両親も桐子の独断での要求と知り、琴子に罪は無いと結婚を許してくれたのだそうだ。その後トントン拍子に話は進み、結納直後に入籍。透哉の暮らすマンションで新婚生活が始まった。透哉は琴子を溺愛し、幸せな日々を送っていた琴子だったが、それも突如訪ねて来た桐子によって打ち壊された。琴子がいなくなった途端、浪費に拍車がかかったのか母は結納金を使い込み、更に娘に金の無心をする始末。出さなければ義両親に貰いに行くと脅され渋々父の形見を売って借金返済に充てようとした200万円を渡したのだが、不服そうな様子からしてそう日が経たないうちにまた来そうで怖い。実は透哉は結婚を許してもらうために父親から厳しい条件を出されかなり無理をしたらしい。初恋の少女とどうしても結婚したかったと話す彼にこれ以上迷惑はかけられない。琴子は社会勉強をしたいからと、透哉の昔馴染みの伝手でアルバイトを始めることに。しかし、高時給に釣られた彼女は知らずガールズバーに派遣されてしまい・・・。嫁いでから判明した実母の浪費癖。1億も生活費だけでなく、大半はその返済に充てていたと知って琴子はガックリ。真崎家がそれとは別に出してくれた結納金迄使い込んでて、それでも足りないと娘に金の無心に来る桐子。派手好きではあったものの父が亡くなる前はあそこまでではなかったと琴子のモノローグで語られてるので、夫を亡くした寂しさから買い物に走っちゃったんですかねぇ。でも結婚相手と両想いだったから良かったけど、透哉が縁談を打診してなきゃ金欲しさに娘を金持ちに売りそうでなぁ。世間知らずの琴子は、せめて母の買い物代くらいは自分が何とかしないとと、働きに出ようとしますが手違いでガールズバーに紹介されて、それが透哉に見つかって騒動に。激怒した彼に、事情を話すとタイミングよく伯父から連絡が入り、桐子は自分が引き取り浪費癖を矯正すると約束してくれた。まぁ、最初から伯父さんに相談すべきだったよねぇ。母親の実の兄なんだから。使い込んだ金は親子で暮らしていた屋敷を売却して一部補填することになるも、思い出深い家だからと透哉が買い戻してくれて、スパダリも極まれりなカッコ良さを見せつけて終わっています。お見合い時は勘違いもあったのですれ違い婚的な展開になるかと思いきや、割と早めにラブラブに。諸悪の根源だった桐子さんはある意味毒親よな。まぁ、旦那さんが亡くなって不安とかいろいろあったんでしょうけど、それでもねぇ。ざまぁ要員にならなかったのは意外。おまけの番外編は後日談で、第一子を妊娠中の真崎家のお話でした。評価:★★★★☆とにかく、ヒロインのお母さんがダメ。
2023.10.27
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2019年11月刊マカロン文庫著者:西ナナヲさん恋愛経験ゼロの未咲は訪れた医院で、東京で働いていた頃憧れていた佐久間医師に再会する。優しくて腕のいい名医として慕われる佐久間から飲みに誘われ、舞い上がる美咲だが、彼の本心はわからない。ある日ひょんなことから、風邪で寝込んだ佐久間を未咲が看病することになり、一つ屋根の下、二人の仲は急接近! 「実は東京にいるころから好きだった。もう絶対に逃がさない」と普段はクールな佐久間から独占欲全開で熱い想いを告げられ、美咲は気持ちが抑えきれなくなり…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 榎田美咲=元製薬会社のMR。 退職して地元に戻り新聞社スタッフとして働いている。 佐久間透=内科医。父の内科医院を継ぐため東京から戻って来た。東京で製薬会社のMRをしていた美咲は尊敬する父の手伝いをするため故郷に戻って来た。父・武生が営む小さなweb新聞社は子ども食堂も併設しており、年数回行われるイベントの企画も担当しているせいでとにかく忙しい。MRもやりがいのある仕事だったけれど、それでも戻って来て良かったと思う。未練があるとすれば、想い人に会えなくなったことくらいだろうか。MR時代に担当していたクリニックの代謝科の医師・佐久間透に長らく片思いしていたものの、結局直に想いは伝えられなかった。そんなある日、高熱でダウンした美咲は母に付き添われて子供の頃から世話になっているさくま医院を受診。今日は若先生が診ると朦朧としながら診察室に入ると中にいたのは佐久間先生でビックリ。思わず熱も吹っ飛ぶほどの衝撃だったが、思わぬ再会に驚いていたのは向こうもらしく、動揺しながらもすぐに適切な処置をしてくれて熱も翌日には下がっていた。後日、再会を祝して飲もうと言うことになり、食事に誘われた美咲は、丁度立ち上がっている企画にぴったりだからと透に取材を申し込んだ。快く受け入れてもらえて、何度か顔を合わすうちにどんどん恋心が再燃して内心ではドキドキ。何となく自分の気持ちは透も察しているんじゃないかと思うのだが迷惑がっているわけでもなさそうだしどうにも本心が掴めない。しかし、彼が昔馴染みだと言う女性と親しげに話しているのを目撃。もしや元カノ?以来、モヤモヤが消えずにいた美咲は、ある日決定的な証拠を見つけてしまい・・・。まぁ、これは美咲の勘違いで、後にちゃんと訂正されます。昔なじみの女性には婚約者もいるし、単に仕事として透に営業かけてただけと言う。でも、この勘違いと医者の不養生で透が寝込んだことがきっかけになり、透も東京にいた頃から美咲に惚れていたと告白。二人の交際がスタート。さくま医院の若先生として、地元でも認知度が広まる中、美咲との仲も話題に。おまけの番外編は透目線のエピソードで、その後の二人の様子が描かれています。内容としては、恋に不慣れなヒロインとちょっと意地悪で本音が判り難いドクターとの恋物語です。元々両片想いだったようなのに、今までの信頼関係を崩したくなくて告白できずにいたという、展開的には割と鉄板。ヒーローが御曹司でもスパダリでもない分、リアル感はあったかな。評価:★★★★☆
2023.10.17
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2019年10月刊マカロン文庫著者:砂川雨路さん秘書の千華子は、次期社長の創成とひょんなことから一夜を共に……。やがて妊娠が発覚! 「結婚を前提に付き合おう」と言う創成に千華子は惹かれつつも、ある事情から突然仕事を辞め、創成の前から姿を消す。5年後、お弁当製造販売会社に勤めながら、慎ましくも幸せな生活を送る千華子と息子・新の姿があった。ある日、千華子の会社が大手流通会社と業務提携し、相手先の社長として現れたのはなんと創成! 「ずっと探していた。必ず幸せにする」。変わらずまっすぐな愛を伝える創成に、千華子は激しく心を揺さぶられ……!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 村永千華子=元社長令嬢。復讐のために創成に近づき関係を持つが妊娠発覚を機 に彼の前から姿を消した。 安慈創成=大企業の御曹司。5年間千華子を探していた。 村永新=千華子と創成の息子。 村永栄司=千華子の3歳下の弟。シークレットベビー+復讐ものです。千華子が高校生の時、彼女の父は友人の安慈友成に会社を乗っ取られた挙句、失意のまま病気で亡くなった。父は恨み言一つ溢さなかったけれど、病に気付かない程追い詰めたのはあの男のせいだ。千華子は密かに安慈社長への復讐を誓った。彼の息子である創成に近づき、子を成して安慈家の財産を根こそぎ奪ってやる、と。彼女は名を変え、友成の会社に潜り込むと、その働きぶりが認められ2年後には創成の秘書に抜擢された。創成は驕った所もなく気さくな人物で、少々戸惑ったが人の好さに付け込めばコロッと落ちそうだ。しかし、思っていたより誘惑のチャンスが訪れない。そうこうしているうちに2年も彼の側で働くことになり、その為人を知るうちに情が沸くのも当然の成り行き。そんなある日、友成が脳梗塞で倒れ、半身不随となってしまったことで、創成が社長職を引き継ぐことに。プレッシャーで気落ちしている彼に、今がチャンスと千華子はついに創成と関係を持つことに成功。1ヶ月後、妊娠に気付いた彼女は計画通りに進んでいるのに罪悪感に苛まれていた。この子を復讐の材料にしたくない。そしていつしか創成を愛していることに気付いてしまった。そう思った時点でこの計画は失敗だ。千華子は創成が引き留めるのも聞かずに退職。弟・栄司が働く都下の町へと引っ越し、数か月後男の子を出産したのだった。あれから5年。千華子は栄司が世話になっている建築会社社長の口利きで弁当製造会社で契約社員として働いていた。優秀な彼女はここでも頼れる戦力として重宝されており、意見を求められることもしばしば。今度、介護施設で提供される食事をこの会社が製造することになり、千華子も先方との会議に呼ばれた。施設の親会社が創成の会社と知り、嫌な予感がしたものの社長自ら来ないだろうと高を括っていた。が、予感は的中。顔合わせの日、創成と再会してしまった。彼はずっと探していたのだと、その日から何かにつけ、千華子との対話を望んだ。5年も経ってるのでもうどこぞのお嬢様と結婚してるかと思っていただけに、彼の執念深さにビックリ。彼の秘書・佐貫とも再会し、出来れば会って話を聞いてやって欲しいと頼まれたけれど、経緯が経緯だけに復縁するわけにはいかない。何とか突っぱねていたが創成に息子・新の存在がバレ、その髪の毛からDNA検査までされて万事休す。せめて、父親としてだけでも認めて欲しいと頼む彼に折れ、千華子は今後も自分達に会いに来ることを許してしまい・・・。この辺りまでが上巻のお話。どんなに邪険にされてもめげない創成と千華子の攻防戦の中、新はすっかり彼を父として認知しており、彼女は複雑な心境に。下巻は、栄司も復縁したらどうかと薦める中、友成があれからガンになり余命僅かと創成から聞かされ、話ができるうちにと事の真相を知るために会いに行くことを決意。友成からの話で、結局父の会社は乗っ取られたわけではなく、それどころか友成が倒産だけはさせまいと色々尽力していたこと、父の死後、学費やら祖父母を介護施設に入れるよう手配してくれていたことを知ります。千華子は誤解で逆恨みをし、恩人に復讐しようとしていたのを恥じました。尚更創成の求婚を受ける訳には行かないと彼の前から姿を消すべく考え始めるも、新が事故に巻き込まれたことを切欠に如何に息子が父親を求めているかを目の当たりにして思い直します。その後、友成が亡くなり親戚筋たちによる後継者争いが勃発。創成のピンチに元敏腕秘書の千華子が力を貸すという胸熱展開に。友成さんの語る真実の件は読んでて泣けました。でも多分そんな事情だろうなと予想はついてたので、おいおい、千華子ちゃんそれ絶対誤解だよと、モヤモヤ。しかも当初彼女が考えてた復讐方法がとんでもない長期プラン。完遂するまで何十年かかるか。正直、千華子は頭は良いけど思い込み激し過ぎでしたね。とはいえ、終盤の才女っぷりはカッコ良かったと思います。ヒーローの創成もデキる人だけど、千華子がデキすぎヒロインなので仕方なし。結局、無事に後継者は創成に決まり、二人が入籍して終わっています。今回読んだのはマカロンの方なんですが、ベリーズ文庫で完全版が出てるそうです。ぬかったわ。恐らく、書き下ろしの後日談があると思うので、そのうち文庫版の方も購入しようかと。評価:★★★★★TL小説で久しぶりに泣きました
2023.10.15
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2021年9月刊マカロン文庫著者:皆原彼方さんウブな秘書の紗世は、イケメン社長の景光と、ある日、酔った勢いで濃密な一夜を共にしてしまう。身ごもったことに気づいた紗世は、彼には告げずお腹の子をひとりで産み、育てることを決意。なのに、ひょんなことから景光と共同生活が始まって、彼の庇護欲全開な溺愛は加速するばかり…。「出会ったときから、俺の心は君のものだ」ーー独占愛を露わに甘い言葉で迫られた紗世は心を揺さぶられていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 麻田紗世=社長秘書。景光に片思いしている。 城阪景光=大手不動産グループの御曹司。日村恵美子=紗世の先輩秘書。悪酔いした想い人に押し倒されて思いがけずに一夜を過ごしてしまった紗世。だが、その一カ月後に妊娠が発覚。あの夜のことを謝罪しようとする彼に気を遣わせたくなくて今まで通りに接してきたものの、悪阻も酷くとてもじゃないがハードスケジュールの景光の秘書は務まりそうもない。離れがたいけれど退職を申し出ると、景光に妊娠がバレていて、秘書の仕事がキツイなら、動ける期間だけ自分の家のハウスキーパーをしてくれないかと頼まれた。さすがに今ほどの給料は出せないが食費付きで1日6時間ほどの勤務と聞き、何かと物入りになるのを思うと正直ありがたい申し出だった。しかも、彼の様子を見るに紗世のお腹の子の父親は彼女の別れた恋人だと思っているらしい。どちらにせよ、景光に打ち明ける気はなかったので誤解させたままの方がいい。そうして、通いでのハウスキーパー勤めが始まったのだが、最初の頃は悪阻で迷惑をかけることも多く申し訳なさで一杯だった。しかし、5ヶ月にもなると食欲も戻り彼も安心したようだ。それから暫くすると通勤がきつくなり退職を願い出ると、一人だと何かと大変だろうからと住み込みを薦められた。ここまで甘えていいものかと逡巡するも離れ難さもあって素直に好意に甘えた紗世だったが、景光が自宅に忘れた書類を届けた際、彼と恵美子が結婚話で揉めているのを目撃してしまい・・・。紗世は景光と恵美子がそういう仲だと勘違いして、置手紙を残して姿を消してしまうんですが、2ヶ月後、彼女を探し回っていた景光によって見つかり連れ戻されます。恵美子さんと付き合ってたんじゃ?と尋ねると、元々景光は紗世が好きで、彼女が妊娠して恋人に捨てられたようだが、そんなの関係なく紗世と結婚したいのだと相談してたらしい。だが、半年近くも側にいてプロポーズできていないことに呆れられ、恵美子に怒られていた場面を紗世が目撃。誤解されて今に至ると。景光から求婚され、同じ気持ちだったと判った紗世は漸く、この子はあの時に授かった子だと告白。彼の両親からも結婚の許しを貰い入籍。それから暫く後に女の子が産まれて終わっています。途中、景光サイドの心境を描いたエピソードが挟まれてたので、モヤモヤ度はほぼ無し。紗世はクズな父親のせいで苦労しており絶縁状態で実家も頼れず、子供も一人で育てるつもりでした。でも、景光は酔い任せに関係を持ったものの何でもないふりされてたせいで内心大ショック。妊娠発覚の時も最初は自分の子かと疑いつつも、その割に責任を問われないのできっと恋人がいたんだなと勘違い。いやいや、彼女の性格を思えばそんな責任とって結婚してくれとか言うわけないの判るでしょ。変な所で鈍い奴め(苦笑)紗世を何かと気にかけてくれていた恵美子さんは勘付いてたんじゃないかなぁ。だからあんなにハッパをかけてたと思われ。でも、そのせいで紗世に誤解されちゃったのは景光の言う通り本当に間が悪かったとしか。ぶっちゃけ、すっごい玉の輿だから、あのクズ父が金の無心とかに来たりしないか心配だったんですが、景光がちゃんと話を付けると言ってたこともあって一安心。この人、家族も良い人達だったし、いい人捕まえたなぁ。評価:★★★★☆
2023.10.10
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2023年2月刊マカロン文庫著者:伊月ジュイさんウブな社長令嬢の菫花は、一人旅中にエリート官僚の理仁と出会う。無防備な菫花の態度が彼の庇護欲を掻き立て、やがて溺愛に発展。しかし将来を約束した矢先、菫花の実家が倒産寸前であると判明…! 事情を知った彼の家族から、助ける代わりに二度と理仁と会うなと約束させられた菫花。その直後、妊娠していることが発覚し…!? 身を隠し1人で産み育てていたが、理仁は必死の想いで菫花を見つけ出す。「君と生涯をともにしたい」ーーパパになっても容赦ない彼の愛で、菫花の心と体は再び甘く占拠されていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 綿来菫花=鉄鋼会社の社長令嬢。家業が倒産危機に陥り理人との結婚を諦め、 後に産まれた娘の杏花を一人で育てている。 藤ヶ音理人=大手自動車メーカーの御曹司。クルージング旅行中に知り合った菫 花と恋仲になる。 綿来杏花=菫花と理人の娘。大学卒業後、両親に薦められてヨーロッパクルージング旅行に参加した菫花。一人旅の彼女は、カジノでカモられかけていた所を、理人と名乗る青年に助けられた。出会って間もない二人だが何故か離れ難く、たった1週間でも一生分の恋をした気分だった。理人は現在手掛けている仕事が終わったら必ず迎えに行くと言い、結婚の約束を交わした。しかし、その後二人は結婚することなく、菫花は実家を出て一人、娘の杏花を育てていた。あのクルージング旅行から3年、色々なことがあった。天にも昇る気持ちで帰宅すれば両親は行方不明で、会社は倒産寸前。幸い、心中する寸前で両親は保護されたが、万策尽き果て途方に暮れていた。そんな綿来家に手を差し伸べたのは理人の実家である藤ヶ音の当主。援助する代わりに理人と縁を切れと言われ、葛藤の末その条件を飲んだのだった。しかし、その直後に菫花の妊娠が発覚。両親に産むのを反対され、彼女は家を飛び出しその後女の子を出産。就業経験が無いため職探しに難航したが、花嫁修業の一環で料理を習っていたことが功を奏し、ハワイアンカフェで雇ってもらえることになった。店長は良い人だとは思うものの、妙にスキンシップが多くて困る。そんな彼に副業を考えてるならとブログの開設を薦められた。意外にウケてアフィリで多少は稼げるようになり、評判を聞きつけてつい先日雑誌デビューも果たした所。でも、その雑誌に顔写真が掲載されたことにより、理人が菫花の居場所を突き止めて・・・。この3年、彼は菫花を諦めきれず、どうにかできないものかと裏で動いていました。自分に娘がいることも雑誌のインタビューで知り、改めて求婚しに来たものの、彼女は頑として理人が父親だとは認めず、プロポーズも跳ね除けます。でも、理人もめげずに、ならせめて父親役だけでもさせて欲しいと懇願。渋々了承した菫花と一目で彼に懐いた杏花を理人は溺愛し、日を置かずに二人の暮らすボロアパートを訪れる様に。そんな最中、トラブルに見舞われた菫花が、杏花と共に彼のマンションで暮らすことになると、頑なな心境にも変化が。理人と向き合い、共に生きることを決心。しつこく二人を別れさせようとあがく馬鹿な女も出て来るんですが、最後は無事に入籍して終わっています。ヒロインが結婚を断念したのも、これはまぁ仕方ないよなぁと。肉親捨てて自分だけ幸せになれないよ。とは言え、終盤の菫花の母親の言葉がとんでもない水を差してくれたので、ちょっとお母さん空気読んでや、と。いるんですよねぇ、悪気なく変な気を回して不安に追い込むようなこと言う人。菫花の母親は正にそのタイプ。そもそも倒産間近なのに娘の卒業旅行にバカ高いクルージングに行かせるとか金銭感覚おかしい人達なんですけども。でもこれが無ければ理人とも会えなかったのを思うとなぁ。お嬢様育ちの子が極限までの貧乏生活を経験したことで図太くなり、料理スキルを活かしてブログも大成功。アフィリで副業並みに稼げるって相当ですからね。あのカフェ店長、やらかしたことは許せないけど、その手の稼ぎの才能はあったと見える。ヒーロー・理人はテンプレなスパダリ。大企業の御曹司で財務省のエリート。このジャンルのヒーローは大抵諦めが悪いので、ヒロインよりもヒーローを応援したくなるのが常になってます。評価:★★★★★
2023.10.05
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2023年1月刊マカロン文庫著者:砂川雨路さん恋愛経験の少ない夕子は、友人の紹介でエリート弁護士の史彰と出会う。同じような悩みを抱えていた2人。すると、彼からいきなり契約結婚を提案されて…! 利害が一致して始まった同居生活では、円満な仮面夫婦として過ごす日々を送る。ところが、ひょんなことから史彰の欲情が溢れ出し!? 愛など芽生えないはずだったのに、彼にどんどん距離を詰められ戸惑う夕子。「俺の妻なんだから、キスするよ」ーー甘く求めてくる史彰に抗えず、夕子は次第に心絆されていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 櫻澤夕子=人気料理研究家。 イメージを払拭するために八田から提案された契約婚をする。 八田史彰=弁護士。利害関係の一致から夕子に契約婚を持ち掛けた。 伍代若菜=夕子の友人兼マネージャー。 後藤花梨=史彰がコメンテーターを務める番組のMC契約婚ものです。お洒落美人が映え料理を作る、そんなコンセプトで人気者となった料理研究家の夕子は、そのギャップに思い悩んでいた。本当は、おばんざいとかおふくろの味的な料理を作りたいし、将来的にはそっち方面でやっていきたい。なのに、求められるのは映え料理ばかり。試しに家庭料理の動画をいくつか上げてみたものの、ウケが悪く、辛辣なコメントまで付く始末。やりたいことと望まれているものの方向性が違い過ぎるのだ。もうこうなったら人妻になって、動画配信も夫の好物の煮物や丼ものです、とシフトチェンジしていくか。まぁ、そんな相手もいないんだけど。が、悩みを聞きつけた若菜から思いがけない提案が。丁度良い人がいると。彼女から紹介されたのは、法律相談番組でコメンテーターも務める若手弁護士の八田史彰。本人は至って真面目で優秀なのだが、容姿が良く女遊びしていそうなチャラそうな印象から仕事に支障があるのだと言う。当人もいっそのこと結婚してイメージを払拭したいと。利害関係が一致した二人は意気投合し、仕事と目標の為の契約婚を決めたのだった。史彰との生活は快適で、この結婚によって、家庭料理を作っても動画の再生数も悪くない伸びとなっている。計画通りに事は運んで万々歳。お互いそこそこの有名人はあったので口さがないことを言う者もいたが、彼とは気も合うし、契約婚というより今では友情婚みたいなものだと思っている。だがそんなある日、史彰と彼が出演する番組のMCとの不倫が雑誌に報じられ・・・。この報道自体は以前から彼を狙っていた女子アナの策略なんですが、仲良し夫婦を演じてイメージを変えたい目的がある夕子にしてみれば大打撃。女子アナにしてやられた史彰に激怒しますが、彼の人の良さを思えば責められない。一先ず仲直りはしたものの、変に彼を意識してしまう夕子。実は二人とも、お互い惹かれ合うようになっていたのでした。その後、諦めない女子アナがあれこれちょっかい掛けてくるものの、二人で撃破。これで後顧の憂いも無くなると思いきや、今度は行き過ぎたファンが夕子の現状に対して猛烈な批判や、付き纏いを始めたことで思いもよらないダメージを受ける羽目に。この一連の騒動は、ストーカーの恐ろしさみたいなものが如実になって、ちょっと怖かったです。でも、史彰が寄り添い、その尽力のおかげで事件も解決。これを切欠に二人は本当の夫婦となり、後に夕子は妊娠。エピローグでは臨月間近、仲睦まじい二人の様子が描かれて終わっています。書下ろしと思われる番外編は本編から1年後の史彰目線の家族のお話。100ページちょっとの中短編でしたが、さすがはこの作家さん、ヒーローが頼れるスパダリで素晴らしい。評価:★★★★★
2023.09.14
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2022年10月刊マカロン文庫著者:蓮美ちまさん医療事務として働く遥は、母を亡くしたばかりで寂しさを隠しながら明るく振舞っていた。そんなある日、急病になった医師の代理でエリート外科医の悠がやってくる。なぜか彼に気に入られてしまった遥は、デートに誘われ甘やかされていく。しかし、職場の同僚医師に言い寄られてるところを見られて、独占欲を煽ってしまい…。「嫉妬するほど好きになったのは、君が初めてだ」ーー情欲に目覚めた悠から激しい愛を注がれ、遥は身も心も溶かされていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 瀬尾遥=健診センターで働く医療事務員。 九条悠=循環器外科医。佐々木麗子=九条の元カノで循環器外科医。王道のシンデレラストーリーなお話でした。両親を亡くし、健気に働いていた遥が、派遣先である企業の健康診断にて、ドイツ帰りのエリート外科医・九条悠と知り合い、恋に落ちます。タイトル通り、甘やかし上手な悠のおかげで、孤独な生活にも潤いが出て来た中、二人の恋路を邪魔するかのように悠の元カノの麗子が登場。本人の自覚がないだけで美人で異性にモテる遥を麗子は貧乏くさい女と貶め、彼と結婚するのは私よと喧嘩を売って来るも、実際に彼から聞くまで信じないと跳ね除けた遥だったけど、悠の勤め先では彼が結婚するらしいと実しやかに鞘かれていて、遥は大ショック。まさか、本命は麗子で自分は遊びだったの?何故なら遥は結婚しようなどと言われてもいない。でも、当然これは麗子による策略で、悠の本命は遥。そもそも麗子は悠と交際時に二股掛けた挙句に、彼を振っていたのです。なのに、その二股彼氏が医療ミスで立場が危うくなり、実は医療界の重鎮の息子である悠を思い出して彼にすり寄り、あわよくば妻にと目論んでいたのでした。だが、ぞんな思惑などお見通しな悠は麗子の甘言に乗るはずもなく。おまけに麗子は看護師からの受けも悪く、人間性も褒められたものではない女性だったこともあり、再就職の紹介もきっぱり断ります。この辺りのやり取りは胸がスッとしました。そもそも、悠も何でこんな性悪と付き合ってたんだよ、とは思いましたが顔とスタイルは良いらしいので、若気の至りと言うことなんでしょう。本性が知れる度に幻滅したとか言ってたし。その後、遥の方も一連の噂を含め麗子が都合の良い様に広められたものと判り、悠と和解。彼の両親にも紹介され、順調に交際を続けた後結婚して終わっています。麗子の登場で多少じれじれ展開はありましたが、悠目線のエピソードが合間に盛り込まれてたおかげで、モヤモヤも払拭されてた感じ。どう考えても玉の輿なので、苦労した分、遥が良い人に見初められて良かった。書き下ろしと思われる番外編は、本編の後日談・二人の新婚旅行のエピソードでした。評価:★★★★☆
2023.09.06
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2022年10月刊マカロン文庫著者:にしのムラサキさん父を亡くした夏乃子は、再婚した母に邪魔もの扱いされていた。母から義祖母の介護と飲食店のバイトを命じられて忙しい中、常連客のエリート外交官・勇梧に会うことだけが癒しになっていく。しかし、デートに誘われて親密な関係になった矢先に、彼に転勤の辞令が出て…。最後の夜に体を重ねてプロポーズされるも、夏乃子は義祖母を置いていけないと断ってしまう。ところがその後、妊娠がわかり…。迷惑をかけないように秘密で出産したはずが、数年後ひょんなことから彼に見つかってしまう。「俺のものになれ」ーー溺愛包囲してくる勇梧に心を揺さぶられた夏乃子は、彼の抑えられない激情に抗えなくなって…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 筒井夏乃子=イギリス人とのクォーター。 実母から使用人の様にこき使われていた。 綾城勇梧=夏乃子の恋人で、彼女が育てている慶梧の実父。 ベアトリス=夏乃子の義祖母。 ララ=夏乃子の異父妹。 アンドルー=ベアトリスの息子で伯爵家当主。不遇ヒロイン+シークレットベビーのお話です。再婚先の姑の世話をさせるために、実家に預けっぱなしにしていた前夫の娘・夏乃子をイギリスまで呼び寄せた母。イギリス文学に憧れ、その方面に進もうと考えていた彼女は、てっきり介護は飽く迄バイトで、その傍ら学校に行かせてもらえると思っていたら、いざ現地に着くととんでもない地獄の生活が待っていた。高校を中退させられたと言うのに、学校どころか無償で介護の仕事をさせているだけでなく、日中は近所のレストランでバイトをさせた給料を居候してるんだからと取り上げる。おかげで、へそくりをして旅費を貯めて日本に帰ることも出来ない。あれから8年、義祖母のベアトリスはお世話をしているうちに打ち解けてくれて、随分仲良くなっていた。そんなある日、25歳になった夏乃子は運命的な出会いをした。現地の日本大使館に駐在していると言う外交官・綾城勇梧。彼は、美しい夏乃子に一目惚れし、ベアトリスの好意で自由時間を貰った彼女を誘い、あちこち連れ出してくれた。給料を搾取されているので碌に服も持っておらずボロボロの靴を履く彼女は訳ありだと彼も気付いていたようだったが、敢えて事情は尋ねず、順調に交際を続けていた二人。しかし、勇梧の帰国が決まり、一緒に来て欲しいと頼まれた夏乃子は、ベアトリスを一人置いていけないとプロポーズを断ってしまう。失意のまま帰国した勇梧を諦めようとしていた彼女はそれから暫く経って妊娠していることに気付き、ベアトリスの協力の元、何とか帰国すると実家へと戻った。それから2年、祖父とあれから日本で暮らしているベアトリスに助けられ長男・慶梧を産んだ夏乃子は、あの時の別れが納得いかないと、屋敷からも姿を消していた彼女を探していたと言う勇梧と再会。再びプロポーズされるも、あの8年と言う母と異母妹からのモラハラにより、すっかり卑屈になってしまっていた夏乃子は頑なに受け入れない。そんな最中、ララが日本に拠点を移すからと、夏乃子にコンタクトを取って来て・・・。この母親と異母妹が今作の悪役です。まぁ、母親の性格が破綻してるんで娘もそうなっちゃったって感じなんですけど、つくづく夏乃子はこの女に育てられてなくてよかった。なまじ顔が良いから、男も引っかかっちゃうんだろうけど、あちこち被害者いそうで。てっきり生活苦なんだろうと思ってたら、いざ夏乃子の家に行ってみれば、バリバリの金持ちの伯爵家で勇梧もビックリ。出迎えた母親と異母妹は成金な装いなのを見て、何となく事情を察した彼はそういことかと、既に帰国した彼女を追いかけます。(勇梧も一回帰国して、暫くして出張でイギリスに来てました)あらゆる伝手と法に触れるギリギリな方法で夏乃子の実家を見つけた勇梧は無事に彼女と再会。息子とも対面を果たします。自己肯定の低い彼女を何とか説き伏せ、漸く結婚に漕ぎ付けたと思ったらあのバカ母子が日本に現れ、あろうことか勇梧がララに気に入られて、二人の子である慶梧を取り上げようとする暴挙に。人格が変わるくらい夏乃子を追い詰めた彼女たちに報復すべく勇梧がとった策は思いもよらないもので、この展開は少々驚きました。え、そういうことなの?と。よくよく思えば、お祖父さんもそうじゃないか的な事を勇梧に話してたもんな。真相が判るとアンドルーさんも亡くなった夏乃子のお父さんも気の毒でしょうがない。あんな馬鹿母子は、さっさと身一つで追い出してやれ。とはいえ、この辺の事情は全部説明すると長文になるので、割愛。テンポも良いし、面白い内容なので気になる方は是非とも読んで欲しいお話です。シークレットベビーものではあるけど、実際はヒロインの再生のストーリーでもあるという。ラストの大団円ぶりも良い。評価:★★★★★
2023.09.05
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2019年5月刊マカロン文庫著者:未華空央さん地味OLの里咲は、両親に無理やりお見合いをさせられる。その場にいたのはなんと御曹司で副社長の潤希だった! 抜群に仕事ができ容姿も完璧な潤希には釣り合わないと身を引こうとする里咲に、潤希は「だったら君を変えてあげる」と全身コーディネートを施し、いきなり新居の豪邸を用意するなどお姫様扱いの溺愛猛攻をスタート! 会社でも人目を憚らず愛情を注いでくる潤希に戸惑う里咲だったが、飲み会で男性に介抱されているところを潤希に目撃される。すると「悪い子だね……」と優しい潤希が豹変、独占欲をむき出しにして激しく求めてくる様に里咲はすっかり溺れてしまい…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 須藤里咲=製薬会社の総務部に勤める会社員。 成瀬潤希=里咲の勤め先の御曹司で副社長。 曽根雄大=里咲の同期。タイトル通りのお話です。地味OLが副社長に見初められた上に、見合い相手として現れ、あれよあれよという間に婚約成立。あんな素敵な人と私が結婚?半信半疑で自信の無いヒロインに自覚させるべく、外堀を埋めていくヒーロー。そんな最中、モテモテのヒーローが美人と親し気に話してて誤解したり、ただの気のいい友人だと思ってた同期から告白されたり、ヒーローと婚約してからというもの、感情を揺さぶられっぱなしのヒロイン。でもまぁ、彼女一筋なヒーローは浮気などするはずもなく、あの時の美人は縁談になりかけた顔見知りだったというオチ。目出度く誤解も解けて、ヒーローからプロポーズされて終わっています。100ページくらいの内容なので、展開自体は非常にシンプル。自覚がないだけで、実は可愛くて陰では人気のヒロインに一目惚れしたヒーローは、運良く知り合いの総合病院院長婦人であるヒロインの伯母から持ち込まれたヒロインとのお見合いに大歓喜。短編ながらも、ヒーロー側の心情を描いたエピソードが合間に挟まれてたので、その気持ちを知らぬはヒロインばかりなりって感じで面白かったです。正にシンプルイズベスト。ホント、こういうのでいいんだよっ。最近、夏バテでモチベが上がらず、どうにも読書が捗らないので(ラノベ系は割と平気なんですが)つい短めな電子書籍を読みがちになってます(^_^;)評価:★★★★☆
2023.08.31
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2022年12月刊マカロン文庫著者:雨村さん家族を亡くし天涯孤独となった春香。仕事まで失い困っていると、亡き祖母に世話になったと言う大手不動産会社の御曹司・透真が現れ、3ヶ月の契約結婚を提案される。利害の一致で始まった形だけの夫婦生活で、春香はなぜかとろとろに甘やかされていく。熱い視線で射抜かれ、心も身体も隅々まで溺愛される日々に陥落寸前で…。想いが抑えられなくなった頃、契約期日を迎えて彼の元を去ると妊娠が発覚! 「離さないから、覚悟しろよ」ーーひとりで産み育てるつもりでいたら、独占欲全開の透真に捕まって…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 石橋春香=元セレクトショップ店員。 とある縁で透真から契約結婚を提案される。 君塚透真=大手不動産会社の御曹司で弁護士。弁当屋を営んでいた祖母が亡くなり、天涯孤独となった春香。なんの因果か、その直後に勤め先のセレクトショップの店長との不倫疑惑で職を追われ現在は無職の身。四十九日も終わり、職探しなどやらなばならぬことは多いのに、たった一人の身内の死はあまりにも大きく、春香はすっかりやる気も失くしてしまっていた。だが、さすがに相続関連は後回しに出来ない。重い腰を上げて訪れたのは祖母の知り合いらしい弁護士のいる法律事務所。件の人物、事務所の所長でもある君島透真は随分若くて驚いたが、祖母とどういう関係なのかと尋ねると、何のことは無い昔の常連客で、留学に行ってたのもあり久しぶりに尋ねた際に名刺を渡してあったのだとか。彼は祖母のお孫さんならと、相続登記の件も含めて色々相談に乗ってくれると言う。おまけに、なにやら訳あり気な彼女を気づかい、夕食に誘ってくれた。祖母を知る人との食事は思いの外楽しく、思い出のから揚げの話で盛り上がり、すっかり打ち解けた春香は、祖母が亡くなりやる気を失っていたこと、退職に追い込まれた奇妙な噂のことなどを透真に打ち明けた。すると、話を聞いて考えこんでいた彼はある提案をしてきた。3か月間だけ自分と結婚しないかと。相続登記の費用含め生活費等全て持つし、その間、心を休めろと。そうすれば職探しもできるだろうという、とんでもない好条件。それに、一人で暮らすのも現状辛い。ほぼ初対面の自分にどうしてここまでしてくれるのか謎ではあったが、春香はその申し出に飛びついたのだった。透真のマンションに越してきて早2ヶ月以上経った。何とか職も見つかり、このかりそめの結婚生活もあと2週間余り。彼は大手不動産の御曹司で副社長でもあるそうで、弁護士の仕事もあってとにかく多忙を極めていた。あまり一緒に入られなかったが透真のおかげで精神面も癒されすっかり元気になった。別れがたいけれど、3か月間という約束だ。その後、二人は離婚届に記入し、春香は彼のマンションから出て行ったのだが、それからひと月ほど経ち、春香は自分が妊娠していることに気付き・・・。透真の突拍子もない提案、実は昔から春香のことを見知っており、当時から良いな、とほのかに想いを寄せていたからでした。結局留学もあって告白の機会を逃したものの、不幸が続いて精神的にボロボロだった春香と再会。思い付いたのが期限付きの契約結婚だったのです。でもまぁ、この3ヶ月で彼女の方も透真を愛するようになり、別居してすぐに彼女の妊娠が発覚。影から春香を見守っていた透真は彼女を迎えに行き、想いを伝えると二人は改めて夫婦生活をやり直し。このままほのぼのと仲睦まじく暮らしてくのかと思いきや、起きましたよトラブルが。春香を退職に追いやった根も葉もない噂、実は彼女が慕ってた先輩の仕業で、真相ややり口が知れると、人間って怖っ、なりました。いや、普通に逆恨み&証拠隠滅の為やん。ふざけんな!と事情を知った透真が怒り心頭だったのはさもありなん。春香に頼まれ、訴えはしなかったものの奥さんLOVEなこのヒーロー、裏でこっそり手を回して犯人を追い詰める様は見事で、頼もしかった。うん、このくらいはやっても誰も文句は言わないぞ。透真の両親と春香の祖父母との意外な関りも判明したり、なんだか読んでてほっこりする内容でした。んが、タイトルがなぁ。相変わらずのセンス(^_^;)原題もまぁ当たり障りない題名ではあったんですけど、もうちょっとこう・・・。一応、本編だけならベリーズカフェで読めるので、詳しい展開が知りたい方は是非読んでみてください。マカロン文庫の方には書下ろしの後日談が収録されています。評価:★★★★★
2023.08.16
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2020年12月刊マカロン文庫著者:惣領莉沙さんエリート御曹司の慶介と付き合っているウブな令嬢の苑花。慶介の海外赴任が決まり、仕事の足枷になりたくないと身を引いた矢先、まさかの妊娠発覚! 彼への想いを胸に秘め、シングルマザーとして愛娘・結杏を育てていくことに。ところがある日、結杏が体調を崩し入院、そこにやって来たのは慶介で…!? 「絶対に離さない」ーーずっと苑花を探していたという慶介は、空白の時間を埋めるかのように庇護欲たっぷりに甘やかしてくる。ママになっても変わらぬ溺愛を注がれ、苑花の心はとろとろに溶けていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 萩森苑花=美容室を営むシングルマザー。 田中圭介=大手運送会社の御曹司で苑花の元カレ。 萩森瑞生=苑花の兄。 萩森結杏=圭介と苑花の娘。シークレットベビーものです。思う所あって、修行のためにアメリカに長期出張していた圭介と別れた苑花。今は別れる直前に妊娠に気付いた娘・結杏と二人暮らしをしている。圭介は彼女からの別れ話に納得せず、帰国後はしつこく萩森家に赴き、苑花との話を望んでいたそうだが、心を鬼にして突っぱね以降会っていない。結杏が産まれる前なのでもう5年経つ。兄の瑞生は圭介の友人でもあるので、連絡は取っているようだが、くれぐれも今の住所を知らせてくれるなと釘を刺してあるおかげで居場所はバレていないはず。それ以前にもう諦めて新たな恋人を作っているのかも。だが、そんなある日、高熱を出した娘を病院に連れて行った苑花は、そこに圭介が現れてビックリ。彼が言うには兄から迎えの代打を頼まれたらしい。しかも、彼は自分に娘がいること、現在の住居についても何もかも知っていた。情報源は十中八九、兄であろう。結局、親友からの頼みは無碍に出来なかったようだ。圭介のスマホのフォルダーに結杏の写真がびっしりで、今更ながらにあの時の自分の決断は間違っていたのではと思い知った苑花。しかも、当然の如く、圭介は彼女との結婚を望んでおり・・・。このヒロイン、実は大企業のお嬢様で、自宅兼店舗は親が建ててくれたり、実家の通いの家政婦さんはお手伝いしてくれるわ、結構環境に恵まれてます。まぁ、シングルマザーでこんな店まで持ってることで、パトロンがいるんじゃ的な悪口言われたりしてる場面もあったんですけど、別れを選んだ理由が何とも身勝手で少々呆れました。親の反対を押し切ってなった美容師は辞めたくないし、アメリカで修業に励んでる彼の邪魔をしたくないとか。妊娠したなら結婚すればいいじゃない。向こうはその気なのに。それで何故別れを選ぶ必要が。これが妊娠してない状況なら、お互いの為に違う道をって決断も判るんですが(^_^;)なんにしてもヒーローは全く悪くないだけに可哀想。よくある家格が合わずに反対された、みたいな理由でもないし、つくづくその思考が良くわからないヒロインでした。苦労知らずなお嬢様だから?当時から人気ジャンルなので、ちょっと捻った理由にしたかったのかもですが、正直あまり読み手に共感得られない気はします。でも、ヒーローの諦めない芯の強さは認める。あ、当然の如く、最後は正式に結婚して終わっています。評価:★★★★展開そのものは悪くないと思うんですが、ヒロインの考え方が理解不能で。
2023.08.13
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2022年12月刊マカロン文庫著者:にしのムラサキさんOLの由卯奈は、町工場を経営する親を突然の事故で亡くし金銭的に困っていた。そんな時、急に由卯奈の祖父だという男性が現れ、資金援助の代わりにエリート官僚・直利に嫁入りすることを提案される。お金のために承諾するが、彼は「気持ちのない結婚だ」と冷たく言い放つ。しかし夫婦としての生活がスタートすると、冷徹なはずの直利の激情が溢れ出し…!? 「俺のものになれ」ーー熱く独占欲を刻まれて、由卯奈は戸惑いを隠せない。愛のない政略結婚のはずが、溺愛猛攻で赤ちゃんを授かって…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 芳賀由卯奈=ごく普通の会社員だったが、とある事情で直利と政略結婚した。 芳賀直利=法務省官僚で次期事務次官候補の一人。 小林文人=由卯奈の弟。 鹿沼千鳥=直利の遠縁で幼馴染。政略結婚ものです。小さな町工場を営んでいた両親が事故に巻き込まれて亡くなり、残された由卯奈と弟の文人は途方に暮れていた。不景気の煽りを受けて多額の借金があったことが判り、保険金もその返済に消えた。しかし、長年勤めてくれた社員達のためにも出来れば工場は閉めたくない。文人は大学に行かずに働くと言うが、弟は成績優秀で将来も有望。大学に行かないなんて論外だ。そんなある日、小林家に意外な人物が訪ねて来た。テレビでもよく見るその人は現総理大臣の黒部。どうしてそんな人がこんな町工場に。そして、黒部の口から語られたのは、由卯奈達の母が彼の娘だと言う衝撃の事実だった。両親が駆け落ち婚だと言うのも初耳だが、まさか自分達が総理の孫とは。母が亡くなった事を知り自ら訪ねて来た黒部は工場のことも文人の学費も心配しなくていいと言う。結婚を反対した罪滅ぼしなのかもしれないが、さすがに世話になりっぱなしなのは申し訳ない。四十九日を終えた頃、由卯奈がそれとなく尋ねると、なら自分が薦める相手と結婚してくれないかと告げられた。お相手は事務次官候補の法務省官僚の芳賀直利なる人物。芳賀家も多くの官僚や政治家を輩出している名家なのだそうだ。出来れば繋がりを持ちたいと話す祖父。言うなれば政略結婚なのだが、断れば今後の援助は絶たれるかもしれない。そう思い込んだ由卯奈は結婚を承諾。後日、顔合わせをした直利は結婚どころか由卯奈にも興味が無いようで、お互い不干渉で暮らそうと心無い言葉を投げかけられて茫然。でも、この人どこかで見たことあるような。そして思い当たったのは6年前の出来事。バイト中にガラの悪い連中に絡まれた際に救ってくれた恩人ではないか。随分、当時と印象違うけど、それだけに彼にとってはよっぽど不本意な縁談なのかもしれないと思うとガッカリ。だが、この結婚は決まったこと。仕事が忙しいからと披露宴に遅れて来るわ、同居し始めてもほとんど会話も無い。おまけに親戚だと言う千鳥なる女性には彼に相応しくないと嫌味三昧言われて、ため息しか出ない。一方、直利の方は由卯奈を金目当ての贅沢好き女と誤解しており、敢えて距離を置いていた。だが、生活費にと渡したカードはスーパーの買い物程度しか使われておらず、パン屋でバイトをすると報告されて戸惑うばかり。総理の孫でお嬢様じゃなかったのか。よくよく彼女から事情を聞くに小さな町工場の娘で贅沢とは無縁、両親が事故で亡くなっていたと言うのも初耳であった。どう見ても庶民的な由卯奈に偏った誤解をしていて酷いことを言ったと直利は猛省し、結婚して数か月、漸く彼女と向き合う決意をした彼は態度を軟化していきます。しかし、それからまた暫く経ったある日、黒部に反社会的勢力との癒着というスキャンダルが報じられ・・・。今作のヒーロー・直利は序盤は本当にいけ好かない奴で、その言動に読んでてムカっと来てたんですけど、誤解が解けて由卯奈と向き合うようになってからはスパダリに変身。その変わり身の早さに案外チョロい奴だったんだなと。最初のやらかし(不干渉で行こうぜ発言やら披露宴の遅刻など)のせいで、文人からはマジで嫌われてたものの、猛省後は真摯に彼女たちに接してたこともあり信頼を勝ち取るのも早かった。でもそんな最中にあの総理のスキャンダルが。とはいえ、これは政敵が目論んだ捏造だったんですけど、これをチャンスと千鳥が由卯奈に離婚を迫って来て、マジこの女ウゼエエエエエっ(台バン)その間に由卯奈の妊娠発覚やら色々重なるも、総理の嵌められたことを証明するために一人動く直利が良いんですよ。当然、正義は勝つということで事件は鎮火。代わりに悪さをしてたのはあのバカ女だったと言うオチ。この辺りの詳しい顛末は興味がありましたら読んでみてください。ベリーズカフェにて、長女出産間近のエピソードまでなら無料で読めます。マカロン文庫では書下ろしの後日談が描かれています。タイトルはちょっとアレでしたが、政略婚夫婦が心を通わせつつも、背景では陰謀が渦巻いていて、え、あの人も悪人だったの?な登場人物もいたり、この過去エピソードがこう繋がるのか、みたいな意外性もあって面白かったです。評価:★★★★★
2023.08.11
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2022年11月刊マカロン文庫著者:橘柚葉さん6年前、当時付き合っていた弁護士・央太の子を妊娠した真綾。実は大企業の御曹司だった彼の家族に交際を反対され、お腹の子を守るため一方的に別れを告げて海外へ渡る。仕事の都合で5年ぶりに帰国すると、勤め先の顧問弁護士になっていた央太と再会! 息子の存在もバレてしまう。「もう一度好きだと言わせる」ーー空白の時間を埋めるように絶えず溺愛を注がれると、忘れたいと思っていた彼への想いが真綾の心を埋め尽くす。パパになった彼の甘い独占欲は加速するばかりで…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 古関真綾=5歳の息子を育てるシングルマザー。 永江央太=真綾の元カレの弁護士。 古関幹太=真綾と央太の息子。 ノア=真綾の上司。シークレットベビーものです。人気ジャンルのせいか、このレーベルは結構な割合で、これな気がする(^_^;)とある事情で両親が暮らすイギリスで6年間を過ごしていた真綾は、この度辞令によって息子・幹太と共に久しぶりに日本に帰国した。これから日本支社で働くことになるのだが、そこで偶然真綾は元カレ・永江央太と再会。どうやらこの支社の顧問弁護士をしているらしい。モラハラとセクハラで女子社員達を苦しめていた前部長を排斥に追い込んだとかで、随分やり手のようだが真綾にとっては一番顔を合わせたくない相手だった。あれから6年、彼はもう結婚して家庭を持っているはず。そう、央太の妹に言われて身を引いたのだから。しかし、意外にも彼は再会してからと言うもの、真綾との話し合いを望んだ。今更話すことは無いと突っぱねて続けているけれど、とにかくしつこい。おまけに、央太の姪が幹太と同じ保育園に通っているとかで、母親の代わりに姪の迎えに行っているうちに幹太と仲良くなってしまっていた。別れた時期から逆算すると幹太は、自分の子供ではないかと疑って当然だ。真綾が逃げ回っていた間に拙いことになっている。実際に親子なのだから幹太が彼に懐くのは仕方ない。上司のノアがそんなのっぴきならない状況を察して色々協力してくれているが、バレるのは時間の問題な気がする。そもそも、央太はこんなにしつこい人だったっけ。どちらにせよ、いい加減納得いくまで話し合うまで彼は諦め無さそうだ。幹太は違う男性の子だと言って押し切ろうと心に決めていたら、央太は未だ独身であること、ずっと真綾を持居続けていたことを知り・・・。このジャンルのセオリー通りの展開となってます。ヒーローの妹がなんて言おうが、先ず本人に確認取りなさいよと。まあ、確かに実家が凄い家で政略結婚の話があったのもホントらしいんですが、恋人がいるから政略結婚はしないと両親にも言ってたようなので、完全にヒロインの早とちりだったっていう。いつも思う、将来が左右される重要事を一人の思い込みで判断するなと。とはいえ、これが上手く行ってたら大抵このジャンルは成り立たないので、そこは割り切るしかないのか。ただ、ヒーローが優秀ってのを見せるためだけの案件かと思ってた元部長の話が前フリで後に逆恨みで事件起こしたりとトラブルもありましたが、終盤漸く誤解が解けて二人は元鞘に。結婚も認められてハッピーエンドで終わっています。評価:★★★★☆このジャンルでは割と王道展開の内容だと思います。
2023.07.04
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2022年9月刊マカロン文庫著者:蒼井みなとさん看護師の杏奈は、ひょんなことから憧れのエリート外科医・三条と飲みにいくことに。酔った勢いで熱い夜を過ごしてしまい、後日妊娠が発覚…! しかしそんな矢先、三条がお見合い結婚するという噂が耳に入ってくる。お腹の子が彼の邪魔になることを恐れた杏奈は、ひとりで産み育てることを決意。離れた土地でひっそりと妊娠生活を送っていると、なぜか目の前に三条が現れ独占欲全開で迫ってきて…!? 「もう離さない、必ず幸せにすると誓う」ーー空白の期間を埋めるように情熱的な愛を注がれ、杏奈の心は甘く絆されていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 芹沢杏奈=看護師。憧れの人である三条に恋人のフリを頼まれる。 三条宏太=優秀な脳神経外科医。患者の身内に言い寄られて困り果てていた杏奈は、憧れの人・三条に恋人のフリを頼まれた。三条もあちこちから猛アピールされてうんざりしているのだとか。要は虫除けのための交際と聞いて、気持ちが追い付かず思わず断ってしまった杏奈。動機からして諦めるかと思いきや、彼はしつこく迫って来る。どうして三条は杏奈に拘るのだろう。フリなら誰でもいいではないか。そんなある日、出先で偶然会った二人は三条に誘われてバーに。その後、酒の勢いもあって一線を越えてしまったが、杏奈は無かったこととし努めて平静に努めていた。だが、それから暫く経った日のこと、杏奈は自分が妊娠していることに気付き、逡巡の末に産むことを決めた。なのにその矢先、看護師たちの噂話で三条が見合いをしたと耳にして・・・。こんな経緯で、三条に妊娠を打ち明けることなく杏奈は病院を辞め地方に。産婦人科医院で働き、職場やご近所さん達に助けらながら数か月、いよいよ臨月を迎え予定日までわずかとなった所、彼女を探していた三条と出くわします。そこでタイミングよく産気づき、出産後の会話で誤解も解けてめでたしめでたし。杏奈が早とちりしなけりゃ、こんな回り道せずに済んだわけですが、三条も虫除け目的の交際なんて言わずに、最初から以前から好きだったと言っとけば。このヒロインの性格もどうしてそこまで頑ななの?と思わないでもなかったけど、ぶっちゃけ、これはどっちもどっちだと思う。いつまでも平行線っぽいやり取りしてたのを見るに、再会した日に空気を読んで産まれてくれた長女が一番の功労者だった気が。子は鎹とはよく言ったもので。評価:★★★★☆
2023.06.06
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2017年11月刊マカロン文庫著者:pinoriさん真面目で優等生タイプのOL・めぐみは、出向先のメガバンクで元カレの八坂に再会。クールな八坂は職場ではモテモテで、彼女がいるという噂があった。まだ八坂のことが好きなめぐみは、それを知って今さら復縁することなんてないと思っていたけれど、突然彼からキス! それからというものの彼からの執拗な溺愛にとろとろにとろけちゃって…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 瀬名めぐみ=ATMの管理システム会社に勤める会社員。 出向先の銀行で元カレの八坂と再会した。 八坂穂積=めぐみの高校時代の元カレ。現在は銀行員。 倉沢=八坂の後輩。お互い初恋相手だった二人が、ふとしたすれ違いで別れ、7年後に再会。嫌いで別れたわけではないだけに、当時の想いと未練を思い出すも、元カレには今好きな人がいるらしい。だが、彼の方は今でもお前だけだと言わんばかりに、何かと絡んで来る。恋人なり想い人がいるくせに今更、私にちょっかい掛けて来なくても・・・。ヒーローの後輩からふとしたきっかけで懐かれ、その様子に嫉妬心を隠そうともしないヒーロー。勿論、後輩の方にヒロインは何ら気持ちも無いけれど、ヒーローの本心が判らない。しかし、出向中に小さなトラブルが続き、二人は急接近。生真面目すぎて曲がったことが大嫌いなヒロインは、身内や親しい者にも潔癖さを求めてしまう傾向があり、彼と別れたきっかけも発端はそれだった。あれから大人になってもこの性格や考えは変えられそうもないけれど、ふとしたことで、ヒーローも決してそのヒロインの気質を嫌っていたわけではなく、それどころか彼の想い人がヒロインであったこと等、その本心が語られ・・・。不器用な二人が7年越しに想いを叶えると言うお話です。淡々とした内容に見えて、結構色々起こってました。まぁ、終始ヒロイン目線ではありましたが、ヒーローの気持ちも判りやすいのに、鈍感な彼女にちょっとイラっ。別れた原因も今思えば些細なことだったのもあり、当時の心情が知れれば復縁するのも早かった。意地悪な人も出て来なかったし、おかげでじれじれ度も少な目。評価:★★★★☆
2023.05.07
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2022年3月刊マカロン文庫著者:一ノ瀬千景さん小さな法律事務所で働くパラリーガルの繭。恋愛経験が少ないものの、かつて一夜を共にしたエリート弁護士・樹との間に生まれた男の子を秘密で生み育てていた。しかし、ある日、息子といるところへ彼が突然現れて…!? 彼の子であることを隠そうとするも、庇護欲全開の樹に、息子ごとたっぷり甘やかされる。「一緒に歩む未来を必ず手に入れてみせる」ーー2年越しの滾る独占愛に、繭はタジタジで…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 妹尾繭=1歳になる息子を育てるシングルマザー。 高坂樹=弁護士。3年近くアメリカに留学していた。 妹尾旬太=繭と樹の息子。2年4カ月前、大手法律事務所でパラリーガルとして働いていた繭は、因縁の相手との再会で困っていた所を助けられたのをきっかけに憧れの人であった高坂と一夜を共にした。彼は、事務所でも優秀で勉強のためにアメリカへ留学が決まっており、この日はその送別会であった。告白するチャンスを逃しはしたものの、こうして思い出は貰ったので満足している。留学後も高坂からはメールは届いていたけれど、敢えて返信はしていない。そんなある日、繭は体調を崩し、妊娠していることが判った。当然、父親は高坂。しかし、交際しているわけでもないのに子供が出来たと言っても迷惑をかけるだけ。繭は一人で育てることを決意し、その後、男の子を産んだ。長男・旬太ももう1歳7か月。繭は妊娠を機に前の事務所を辞め、今は小さな法律事務所で働いている。所長の堂上は昔はやり手の弁護士だったそうだが、随分とのんびりしていて依頼は少ない。今相談されている離婚調停で慰謝料が取れるなら事務所もかなり助かるのだが。それにしても、依頼人の川口は事務所を訪れる度に何かと繭とコミュニケーションを取りたがるのにはどう対応すればいいのやら。無碍にするわけにもいかず少々困っている。ある日、繭はつい最近帰国したばかりだと言う高坂と偶然再会。その際、丁度、旬太を連れていたので彼そっくりな息子を疑わしげに見ていた高坂にバレやしないかと冷や汗。思わず、旬太は1歳になったばかりと計算が合わない様胡麻化したものの、後日、懸念していた川口からのストーカー行為から危うい所を救ってくれた高坂に安全の為だと押し切られて、彼と暫く同居することになり・・・。シークレットベビーものです。年齢のごまかしも、高坂には早々にバレており、しかも自分の幼い頃とそっくりとなれば、どう考えても俺の子だ、になりますよね。とはいえ、高坂は本人の口から聞きたいと敢えて問い質すことはせず、しれっと同居。あの依頼人も何か嫌な感じ(気持ち悪い方の)と思ってたら案の定、ストーカーだった。高坂がを俺の妻だと言った事から、余計に川口を煽ることになり、クライマックスでは再び繭を襲うと言う粘着っぷり。もしかしなくても、そんな厄介な性格だから奥さんが浮気したんじゃ。この事件を機に、二人は互いへの想いを打ち明け後に結婚。ハッピーエンドで終わっています。正直、高坂はどういう気持ちだったの?と疑問だったんですが、何のことはない、努力家の繭に以前から好意的で、あの夜以降留学してからも彼女とコンタクトを取るべく忙しい中メールを寄越してたのでした。この繭も思い込みが激しいタイプっぽいから、しかも悪い方に持って行きがちという。でも、なんだかんだと上手く行って何より。評価:★★★★☆
2023.04.17
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2022年9月刊マカロン文庫著者:砂川雨路さんぼたんは幼い頃から大企業の御曹司・丞一と本当の兄妹のように親しくしていた。ところが、親同士の再婚で義兄妹となった頃から彼に冷たい態度をとられるようになり、密かに憧れていたぼたんは傷ついてしまう。数年間離れて暮らしていたが、ある日ぼたんの就職をきっかけに突然丞一から同居を迫られる。嫌われていると思っていたのに、同居初日から彼が独占欲を露わにして…!? 「俺のものになれ」ーー容赦ない激愛を刻み込む丞一に、ぼたんは身も心も翻弄されていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 天ケ瀬ぼたん=義兄である丞一に長らく片思いをしている。 天ケ瀬丞一=大企業の御曹司で、ぼたんの義兄。 天ケ瀬泰作=ぼたんの義父。 原賀雄太郎=丞一の従兄弟。母の再婚によって、大企業の社長一家・天ケ瀬家の人間になったぼたん。口さがない者たちからは金目当てと散々詰られたが、特に義父・泰作の妹夫婦からは憎まれていると言ってもいい。母は相当な気苦労を味わった事だろうが、その母も再婚して2年で病を患い亡くなった。義父は不憫に思ったのか、家を離れ地方の学校の進学を薦めてくれた。体の良い厄介払いかもしれない。でも、幼少時は仲の良かった丞一は両親の再婚以来、碌に話もしてくれなくなっていた。きっと、この再婚には彼も反対していたんだと思い込んだぼたんは父からの提案を受け入れて、金沢へと旅立った。あれから7年。まるっきり音沙汰が無かった丞一が彼女の元を訪れ、大学卒業後は自分と同居し、天ケ瀬で働くよう命じて来た。既に他社の内定を貰っていたぼたんは、天ケ瀬への入社は拒否したものの、これだけは譲れないと言うのが丞一との同居。実家はしょっちゅう叔母夫婦が来るため落ち着かないだろうと、わざわざマンションを用意してくれたらしい。兄妹の同居は別段珍しくも無いが、血の繋がりは無くましてや初恋の人ともなると複雑だ。どうあっても引かない義兄に折れ、渋々承諾したぼたんだったが、初日の夜に無理やりキスされて茫然。悪びれない彼は、子供の頃からぼたんを愛していてずっとこの日を待っていたと言う。義兄は自分達母子を嫌っていたのではなかったのか。疑問に思って訪ねるとどうやら当時はのっぴきならない事情があったらしい。その辺りの事情は、後日親戚が集まる晩餐会が終わったら話すとのことだが、当日は案の定、叔母からの嫌味で針の筵状態。義父の泰作は優しいい人なのに、こうも人間性が違うとは。いつも、この手のやり取りは知らん顔を決め込み、場を離れた丞一が、この日ばかりはぼたんを庇い、叔母たちを諫めた。叔母はぼたんを天ケ瀬の籍lから抜いたほうが良いと捲し立て、娘を丞一の嫁にとしつこく薦めているようだ。一先ず彼の機嫌を損ねてはならぬと、ぼたんへの嫌味は止まったものの、当のぼたんは結婚と言う話に動揺。約束通り、当時の丞一の事情と、母たちが再婚に至った理由を聞いたぼたんは、自分が長らく誤解していたことを知った。それでも迷いは捨てきれずいたのだが、後日従姉妹の蘭奈の起こした騒動によって心を決め、彼の求愛を受け入れた。晴れて二人は恋人同士になり、義父も認めてくれているとのことで、結婚に関しては落ち着いた頃に内々でと決めた。しかし、何かと丞一と張り合い勝手にライバル視していた雄太郎が、ぼたんを呼び出し・・・。この叔母夫婦、いくらなんでも再婚から10年近く経ってるのに、連れ子の存在を認めないって必死過ぎない?と思っていたら、案の定そうならざるを得ない事情がありました。とは言っても、親族経営だからって許されることにも限度がある訳で。単独犯らしい雄太郎のしでかしはマジで胸糞なんで、丞一が間に合って良かった。ヒロイン・ぼたんは、義兄との関係に結構悩んでたけど、終盤に下した丞一と一緒にいるために自らを鍛えると言う決断は、随分思い切ったなぁと。蜜月時に1年以上離れるって早々できることじゃない。ラストシーンと言い、良いお話でした。7年間、丞一がんぼたんを遠ざけていた理由等、知りたい方はベリーズカフェでも本編だけなら読めます。マカロン文庫の方には、書き下ろしの後日談が収録されており、二人の新婚旅行のエピソードとなってます。評価:★★★★★
2023.04.02
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2022年8月刊マカロン文庫著者:西雲ササメさんカフェ店員の芽衣は訪れたホテルで、IT企業のエリート社長・慧と出会う。ひょんなことから、彼との関係性をネットニュースに面白おかしく取り上げられてしまい動揺していると、慧は芽衣が婚約者であると宣言してしまう! さらに、彼は契約結婚を持ちかけてきて…!? 自分の店を持ちたいという夢を支援してくれる慧に、芽衣は契約夫婦となることを決意。愛のない結婚だと思っていたのに、あることをきっかけに彼の嫉妬心を煽ってしまい…! 「もう、我慢できない」ーー冷徹な彼の秘めた独占愛に、芽衣は身も心も染めれられて…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 三澄芽衣=ごく普通のカフェ店員。瀬川にビジネス婚を持ち掛けられる。 瀬川慧=IT企業のCEO 桐生太一=瀬川の元同僚。 ジータ=AI搭載のお手伝いロボット。将来はパンケーキの店を出すのが夢の芽衣は現在、人気のカフェ店に勤めながら修行の真っ最中。そんなある日、生活を切り詰めて高級ホテルに泊まった彼女は念願の朝食ビュッフェにて、現在ニュース番組のコメンテーターとして出演中のIT企業のCEO・瀬川慧と出会った。芽衣のお節介心から起こったちょっとしたトラブルにて、彼に抱き着く形になってしまい、運悪く瀬川を追いかけていたパパラッチに写真を取られ大騒動に。翌日、彼女の働くカフェを訪れた瀬川は唐突に芽衣に求婚。どうやら今日の生放送にて、写真の女性と結婚すると爆弾発言をしたらしい。理由を尋ねると芽衣に一目惚れをしたからだと。そうは言われても、昨日の数分の邂逅でお互いのことも良く知らないのに、と一旦は断った芽衣だが、彼は店を持ちたいなら自分が協力すると言う。資金の心配も要らないし、何不自由させないから結婚してくれと詰め寄られて、どうすれば。それに、よくよく話を聞くにあの手の記事は彼にとってかなりの痛手だそうで、大手の取引先の社長が愛妻家らしく、やんわり釘を刺されたのだとか。それであのテレビでの結婚報告か。要はビジネス婚に付き合えってことで、その報酬代わりに生活の面倒と店を出すのも協力すると。芽衣にだって結婚に夢がある。でもここまで熱心に頼まれた挙句、夢の後押しもしてもらえるなら悪い話ではない。それに、彼は芽衣の夢を笑わなかった。元来のお人好しな性格と少々の打算により、芽衣はこの話を引き受けたのだった。一応、結婚に当たり、芽衣は条件を出した。いくらビジネス婚でも、結婚するからにはちゃんと夫婦として仲良く暮らしたいと話すと、瀬川も承諾。その後、二人の生活が始まったが、彼は優しく割と上手くやっていると思う。チョロいとは思うけれどクールに見えて意外に暖かい彼に、段々心惹かれて行く芽衣。だが、この結婚に対して、口さがない事を言う者は少なくはなかった。しかも、芽衣がカフェ店員であると早々に突き止められ、妬みからかネットで相当叩かれた上に、瀬川の元同僚の桐生からも厳しいことを言われ落ち込む羽目に。加えて、瀬川家のお手伝いロボットのジータから、彼にはずっと忘れられない人がいるのだと教えられて、追い詰められた芽衣は離婚を決意し・・・。瀬川にしてみればビジネス婚は建前で、本当に芽衣に一目惚れしたからだと終盤の彼目線のエピソードにて語られます。確かにちゃんと最初に求婚した時に一目惚れだって言ってたわ。芽衣が全然その気にならないから、あれこれ理由を付けて承諾させたことになったせいで、彼女はたったそれだけの関係だと不安に苛まれ、ネットでの悪評がさらに追い打ちをかけたのでした。てか、他人の結婚なんてどうでもいいじゃんね。なまじ有名人なのが徒になった感じですが、そっとしといてやれよと。とはいえ、大抵が本人たちが幸せならと思ってる人達ばかりだと思うけど、ネットで騒ぐのは一部の声の大きい連中なので、もう気にしない様するしかない。AIロボットのジータがかなり人間味があって良いキャラしてましたが、忘れられない人=〇〇とか、また紛らわしいことを。これも種明かしをするとやっぱりねな感じで、特に捻りは無く。芽衣が自分に自信がない系のヒロインなため終始グルグルしてて、割とじれじれした展開です。ホント、SNSって怖いな。かなり内容を端折ってるので、気になる方は本編だけならベリーズカフェでも読めます。マカロン文庫の方には書下ろしの後日談が収録されており、仲無睦まじい新婚夫婦の日常が描かれています。評価:★★★★☆
2023.03.19
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2022年8月刊マカロン文庫著者:櫻御ゆあさんウブな令嬢の千里は、家同士の繋がりで、外科医の隆成と政略結婚させられてしまう。昔から意地悪で苦手だった隆成のことなど絶対に愛せないと思っていたのに、彼は「すぐに俺を好きにさせてやる」と言い放ち、千里をとことん甘やかしてきて…!? ある日、千里がほかの男と一緒にいたことで、隆成の独占欲が爆発! 「ずっとおまえが欲しくてたまらなかった」ーー男の本能むき出しで迫ってくる彼に、千里は次第にほだされていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 相馬千里=資産家のお嬢様。隆成と政略結婚をする。 相馬隆成=アメリカ帰りの外科医で大病院の跡取り。 相馬光一=隆成の兄。社会勉強をしたいと5年間会社勤めをしていた千里は、許嫁との正式な婚約を機に退職。初恋の人である相馬光一との結婚に夢を馳せていた。上機嫌での帰宅途中、ふと気になって占い師に見てもらった所、幸せになるのは間違いないが相手は光一ではないと言う。千里は別の人と結ばれると聞きショックを受けたが、占い結果についてはスルーすることにした。だが、翌日の婚約式にて、千里の相手が相馬家の次男・隆成に決まったと告げられて愕然。光一は後継の座を降り、兼ねてからの夢で無医島で診療所を開くそうで、アメリカから隆成を呼び戻したのだとか。元々、千里は親同士の約束で相馬総合病院の院長婦人になることが決まっていたので、光一が継がないのであれば必然的にお相手は隆成なのだが、千里にとって彼は天敵のような存在だった。こんな奴と結婚しても上手く行くはずがない。だが、光一のことを思うと嫌と言うのは憚られる。あの占い、当たってたんだな。千里はしみじみと思った。隆成の希望で、二人は早々に入籍。式は一年後に大々的に行うということに決まった。同居初日に作った料理にケチを付けられ、皮肉屋なのは相変わらずだとは思うものの、結婚する前に語られた彼の本音は、千里は初恋の人でずっと想い続けていたと言う。その割に子供時代は随分いじめられたし、さっきもあの物言いは無いんじゃないの、と腹を立てる彼女に好きな子ほど虐めたいアレだと隆成に言いくるめられては文句も言えない。その後、相馬病院で受付事務員として働き始めた千里は、同僚から隆成の仕事ぶりが絶賛されていることを聞いて若干見直し始めていた。最近は皮肉も少なくなったし、料理も褒めてくれるようになった。自分でもチョロいとは思うが政略婚とは言え、仲が良いのに越したことはない。それに、昔寝込んだ際に優しく撫でてくれた手が光一ではなく隆成だと知ってからというもの充分絆されている。アメリカから彼の女友達が来てモヤモヤしたのは、きっと嫉妬心だろう。光一からは度々近況報告を兼ねたメールや電話が来ている。元気にやってるようで安心した。そして、自分達の仲もぐっと近くなった。ある日、あの占い師を見つけて、見事に的中したことを告げるとまた占ってもらうことに。すると占い師が告げたのは隆成には重大な隠し事があると言うもので・・・。タイトルのドSとは?言う程ヒーローはそんな態度ではないので、相変わらずのタイトルセンスw隠し事とはいうものの、浮気してたとかそういうのじゃなくて、光一には恋人がおり、元から千里に想いを寄せていた隆成は何としてでも彼女と結婚すべく兄の夢の後押しをしていたのでした。アメリカに武者修行に行ってたのは病院を継ぐため。まぁ、彼女に知られずに努力を重ねてたなんて、流石に言えないか。あの占い師さん、分かってて教えたろ。ってか、この占い師、たまにいる本物みたいです。本編の後日談にて、また色々言い当ててたり、何とも凄い人でした。随分と淡々とした内容で、恋のライバルが現れたり、仕事場での嫌がらせなどのじれじれ展開は皆無。占い通り本当に順風満帆な生活してます。評価:★★★★
2023.03.13
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2022年8月刊マカロン文庫著者:花木きなさん父を亡くした元令嬢の恵茉は、受け継いだ土地の税金が払えずに困窮していた。すると大手不動産会社の社長・涼成に助けられ、土地の運用を任せるために政略結婚を提案される。戸惑うも家族を助けるため、交際0日のまま新婚生活がスタート。少しずつ互いの距離を縮める約束だったのに、愛妻欲強めに迫られ…。「今夜はずっと君に触れていたい」ーー熱を帯びた視線で囁く彼にひたすら甘く愛され、次第に身も心もとろけていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 久我恵茉=資産家の娘。涼成と政略結婚をした。 久我涼成=大手不動産会社の御曹司。 坪井=涼成の秘書。資産家の父が病死して数年、残された家族に一等地の土地を残してくれたのはありがたいが、固定資産税の支払いが毎年重くのしかかっていた。ましてや母が再婚したのは普通の会社員。さすがにもう土地は手放すべきだろう。幾つかの不動産会社から打診が来てはいるが、未だに決めかねている。土地の売買にかこつけて恵茉に愛人にならないかと言って来た男には心底呆れたが、席を外している間に薬を盛られていたらしく、寸での所で一人の青年に助けられた。彼は久我涼成と名乗り、大手不動産会社の常務取締役を務めていると言う。ふざけた男を追い払い、その際汚れた服まで新調してくれて申し訳ないやら。彼に食事に誘われ、事情を話す羽目になったのだが、涼成が言うにはあの土地は不動産界隈でも有名らしい。恵茉には幼いころから、動物の保護施設を作って多くの命を救いたいという夢があった。出来ればあの土地に施設を建てたいのだが、税金を考えると難しい。今はボランティアとして精力的に活動していると、つい熱く語ってしまったが、話を聞いていた涼成が協力を申し出た。あの土地を買うので、半分は保護施設、もう半分は商業用に運用すれば良いと。そして、自分と結婚しないかと。突然の申し出に恵茉も驚いたが、確かに悪い話ではないかもしれない、相手は噂の不動産王で、あの土地が夫の物になるなら色々と融通が利く。でも一応、結婚にも夢があるので、例え政略婚でも浮気は厳禁、出来れば仲良く暮らしたいと条件を出すと涼成も了承してくれた。良家の両親たちも結婚に賛成してくれて、あれよあれよと話は進み、一ヶ月後には入籍と相成ったのであった。涼成所有のタワーマンションでの生活が始まり、会社を退職した恵茉は彼の薦めで一層ボランティア活動に力を入れている。勿論、主婦として家事も手は抜いていない。夫婦仲も、スピード婚だった割に上手く行っていると思う。だが、そんなある日、涼成の秘書・坪井が突然マンションまで押しかけて来て、二人のあの出会いが実は仕組まれていたこと、坪井が長らく涼成の愛人を務めていたと吹き込まれ・・・。終盤近くまで随分と上手く行ってるなと思いきや、出てきましたよお邪魔虫が。当然秘書の話は噓っ八のでっち上げです。出会いの件に関しては9割が作り話で1割がホントと言う感じですかね。涼成もあの土地を狙ってたのは確かなので。この秘書、最初出て来た時は雰囲気良さ気だったのに、目論見がバレると開き直ってホントに嫌な女でした。そもそも相手にされてないのに勝手に嫉妬して夫婦仲を壊そうなんて。でも相当涼成を怒らせてたんで、それなりのペナルティは受けそう。本編はベリーズカフェでも読めますが書籍化に伴い書下ろしの後日談も収録されており、本編から6年後の彼らが描かれています。評価:★★★★★
2023.03.08
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2022年8月刊マカロン文庫著者:田崎くるみさん失恋女子の百花は、外交官の淳之介と数年ぶりに同窓会で再会した。すると「ずっと好きだった」と彼から猛アプローチされ、酔った勢いで一夜を共にする。エリート街道を進む淳之介との住む世界の違いを感じ身を引くも、妊娠が発覚して…。4年後、ひょんなことから淳之介に息子の存在がばれてしまい!? 「なにがあっても君と息子を守ると誓う」ーー空白の時間を埋めるように、淳之介から庇護欲全開で愛を注がれ、百花の頑なだった心は次第に溶かされていって…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 倉重百花=3歳になる息子を育てるシングルマザー。 伊能淳之介=百花の幼馴染で外交官。 倉重幸之介=百花と淳之介の子供。 山口真帆=百花の親友。田崎くるみさんのシークレットベビーものです。マカロン文庫の読み放題対象作品がまた増えてて嬉しい(*^-^*)一流企業に勤める百花は、クォーターだという理由で、恋人の家族に結婚を反対され、その意に従った彼氏にフラれたばかり。そもそも一目惚れだと向こうから公衆の面前で告白をぶちかまして来たくせに、2年も付き合ってあっさり捨てるとは、正直呆れてものも言えない。今となっては未練も無いが、結婚するからと既に退職届を出していたため、せっかく苦労して入社したこの会社をたった2年で辞めざるを得なくなったのが少々困るくらいか。しかし、結構な酷いフラれ方をしたと言うのに思ったよりダメージを受けていないのは、いつまでも心の中に初恋の人への想いが残っているからだろうか。そんな幼馴染で初恋の人・伊能淳之介と再会したのは、失恋の日から1ヶ月後、中学の同窓会だった。お互い別の高校に進んだため、以降は疎遠だったから会うのは10年ぶりくらいか、彼は現在外交官をしていると言う。昔は仲が良かったこともあり、近況報告も兼ねて2人だけで二次会と称し、淳之介の行きつけのバーにて酒が入ったことでつい色々と自分のことを話してしまった。勿論、クォーターなのが原因で婚約破棄されたことも。真帆と同じく、淳之介もこの話には憤慨していたが、百花が現在フリーな事にホッとしていた。傷心の百花に付け入る狡い男と思ってくれていいと彼からホテルに誘われ、二人はその夜一線を越えた。幸せな気分も束の間、クラスメイトからのメールで淳之介に婚約者がいると知らされた百花は置手紙を残し、早朝ホテルから一人立ち去ったのだった。それでも、淳之介から何か言ってくるかと思いきや、音沙汰がない。そういえば海外赴任が決まって数年はイギリスだとか言ってたっけ。祖父母が暮らす実家に戻った百花は、地元の運送会社の事務員として働き始めたのだが、2ヶ月後妊娠が発覚。淳之介との子で間違いは無く、迷ったものの産むことを決意した。それから3年、運送会社の社長夫人が実の子の様に百花を労わってくれて、勤務時間なども随分融通してくれて助かっている。あれから祖父も病気で亡くなり、祖母は祖国イギリスへと帰って行ったので実家には、息子の幸之介と二人暮らしだ。両親は長らく海外赴任しているけれど、たまに戻れば孫を可愛がってくれるし、真帆を始め、勤め先の人々も皆良い人達でつくづく周囲に恵まれていると思う。真帆は淳之介に話せと言うが、既に結婚していたら向こうにも迷惑だろう。でも、最近息子がパパに憧れているらしく、存在を尋ねられても遠い国にいるとしか言えないのが申し訳なかった。そんなある日、10日間の休暇を貰った百花は祖母に会うべく息子を連れイギリスへ。ヒースロー空港で待ち合わせ場所が判らず、困っていた所、声を掛けてくれたのが何と淳之介。彼にしてみれば困っている日本人親子に親切心で声を掛けたのだろうがまさか百花だと思わず、お互い想わぬ再会に固まっていた所に祖母の登場で、二人の結婚報告のためにイギリスに来たのねと勘違いされ、彼の子を産んだことがバレてしまった。後日、淳之介と話し、彼に婚約者はおらず結婚もしていない事、百花への想いを告げられ、挽回のチャンスをくれと頼まれた。丁度、赴任期間も終わり近々日本に帰国すると言う。自分との将来を考えてくれないかと淳之介からの言葉に、百花は戸惑い・・・。クラスメイトが噂話を確定事項のように連絡してきたおかげで、しなくても良い回り道をしてしまった二人。淳之介の方も、あの朝一夜の過ち扱いされたことがショックで追いかけられなかったようで、諦めが悪いと思われても必死に縋れば良かったと激しく後悔する羽目に。百花の方も、元カレの非道な扱いが気にしてないようで実はトラウマになってて、淳之介も心変わりしたらどうしようと不安でグルグルし始めたり、お互い好きなんだし子供もいるんだから、すぐ籍入れればいいじゃないってわけにはいかなくなります。まぁ、百花の不安も判るんですよねぇ、将来有望な淳之介の出世の妨げになりやしないかとか、口さがない人は何処にでもいますからね。でもそんな二人を後押ししたのはお互いの親友たちと息子の幸之介。言いたいことは打ち明け合わないと、ぶちまけ合ったことでわだかまりも無くなり、結婚。最後は大団円で終わっています。ちょっと嫌味な人も出てはきたものの、9割は彼らの味方な人達なので、ストレスなく読めました。多分、ベリーズ文庫にしてたらもう少し色々起きそうだっただけに、このくらいのボリュームが良いです。評価:★★★★☆
2023.03.05
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2022年1月刊マカロン文庫著者:田崎くるみさん社長令嬢の菜月は、親の決めた政略結婚に抗えず、IT系大企業の御曹司・陽介と結婚させられてしまう。菜月はどうにかして離縁しようと心に決めるが、陽介は新婚初夜から甘く迫ってきて…!? 「もう遠慮はしない」ーー愛のない結婚だったはずが、独占欲剥き出しの旦那様に処女を暴かれ、快楽を教え込まれてとろとろに溶かされていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 北村菜月=電子部品メーカーの社長令嬢。 大学卒業後すぐに幼馴染で許嫁の陽介と政略結婚をした。 北村陽介=有名IT系企業の御曹司。 早坂未央=菜月の親友。 平野哲=菜月の恋人。その日、菜月は許嫁であった北村陽介と結婚した。元より互いの父親が幼馴染で、業務提携している縁で家族ぐるみの付き合いがあった事から、将来子供同士を結婚させようという話に。菜月も、見目が良く優秀な陽介に好意を抱いていたもののそれも高校生までのこと。彼が恋人らしき女性と歩いている姿を見て、この結婚を楽しみしていたのが自分だけだと思い知った。その後も陽介は相手をとっかえひっかえしているとの噂が耳に入り、その度に落胆したものだ。あいつがその気なら、自分だって素敵な彼氏を見つけてやる、と決心し、漸く理想の人に巡り合えた。平野哲と交際してからかれこれ2年。肉体関係こそ無いが、結婚するなら哲と、と思っていた矢先に菜月と陽介との結婚が決まったのだった。哲は別れを受け入れず、菜月も望んでいない結婚だったため、早々に離婚してくるからそれまで待っていて欲しいと約束を交わしている。律儀な彼はきっと待ってくれているはず。陽介もおそらく違う女生と結婚したかったろうから、案外離婚に応じるのも早いかもしれない。しかし、事態はそう簡単ではなかった。なんと陽介は菜月との結婚を心待ちにしており、女遊びについても根も葉もない噂で、ずっと菜月一筋だったと言う。でもあの時恋人らしき女性と歩いてたじゃないと反論すれば、あれも当時しつこく付き纏っていた子だと聞き、菜月の誤解だと判明。そもそも婚約者がいるのに他で遊ぶわけがないとキッパリ言われはしたが、自分にはもう哲君と言う運命の人がいる。陽介も彼の存在は知っているようで、今も続いてるならすぐに縁を切れと言い、あいつだけは絶対にやめておけと厳しく告げられた。式から一ヶ月。マンションで暮らし始めた二人の生活は思っていたよりも快適で、一緒にいて苦にならないことに菜月は驚いていた。やはり幼馴染で気心が知れているからだろうか。却って哲といる方が緊張していた気がする。彼からは毎日メールが来るが、陽介の態度からするに早々に離婚できそうにない。事情を知っている親友の未央にどうすればいいか話を聞いてもらったが、彼女からもまた哲だけはやめておけと厳しく言い含められてしまった。陽介はともかく未央にも哲の評判が悪くて内心驚いた。不思議に思っていると、ある日偶然にもレストランにて偶然居合わせた哲と女性の会話が耳に入りその内容に愕然。彼は菜月に気付かず得意げに、彼女とは逆玉狙いで好きでも何でもないと嘲笑い、交際当時から二股を掛けていたのだった。道理で、陽介たちから早く縁を切れと口を酸っぱくして言われるはずだ。自暴自棄になる菜月を優しく宥めてくれたのは陽介で、未央も馬鹿にすることなく話を聞いてくれた。哲にはその後、きっぱり別れを告げたが、その際口汚く罵られ恐怖を感じた。本性に気付かずに彼と再婚していたらとんでもないことになっていたかもしれない。その頃、陽介の方も彼をコネ入社とバカにする社員と悶着あり、きな臭い状況に巻き込まれつつあった。菜月はこれまでの態度を反省し、陽介と向かい合おうと決心し始めた時、無言電話や警告文めいた手紙の送り付け、果ては後を付けられるという不吉な事態が相次ぎ・・・。マカロンにしてはページ数多目だなと思ってたら、中盤から事件に発展したのでなるほどと。陽介と菜月両方に魔の手が迫ります。陽介の方は折り合いの悪い社員。菜月は当然哲なんですが、悪いタイミングとは重なるもので。一応、警察には通報してたので陽介側は事なきを得たんですが、それを隠れ蓑に哲が行動を起こし、菜月の誘拐を企てます。こいつ、クソ野郎だと思ってたら、とことんクズでしたわ。正当防衛として陽介にぶん殴られて清々したけど、結局示談で済ませちゃったのが少々モヤる。とはいえ、執行猶予ついて野放しにされても怖いか。接近禁止令が付いただけ御の字かも個人的には、逆玉狙いの二股男だと判明した際、未央が言ってた仕返し全部やっても足りないくらいですが。その後二人はお互い思いを打ち明け合い、翌年には長女も誕生。ラストシーンでは5年後の彼らが描かれ終わっています。序盤の菜月がおバカなお嬢様って感じでどうにも好きになれなかったんですが、哲と別れ吹っ切れてからが本番。世間知らずではあるけど優しい良い子って印象。親友の未央が良いキャラしてました。この人がいなかったらまだしばらく拗れてたかも。評価:★★★★★
2023.02.20
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2022年4月刊マカロン文庫著者:紺乃藍さん整体師のあかりは、ある日店を訪れた高級ホテルチェーンの御曹司・響一と出会う。ひょんなことから気に入られ、あかりが両親に見合いを強要されていることを話すと彼から契約結婚を提案される。戸惑いつつも互いの利害の一致から結婚することに…! 愛のない新婚生活のはずが、始まったのは響一から甘く溶かされ続ける日々。契約期限がくれば終わる関係だったのに…。「誰にも渡さない」ーーあることをきっかけに独占欲に目覚めた彼から激愛を刻まれ、あかりは高鳴る鼓動を隠せなくて…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 桜井あかり=リラクゼーションサロンに勤める整体師。 入谷響一=高級ホテルチェーンの御曹司。 入谷奏一=響一の双子の弟。リラクゼーションサロンで整体師として働くあかりには密かに憧れている人物がいた。いつも自分を指名してくれる常連客・入谷奏一はハンサムで紳士的、あの有名なイリヤホテルの総支配人を務めていると言う。勿論、ただの憧れであり、お得意様とどうこうなろうとは考えてはいない。そんなある日、いつものようにサロンにやって来た奏一に違和感を覚えたあかりは、意を決して尋ねた。本当にあなたは入谷奏一さまですか?と。見破られたことに、当人が驚いたようで、あっさりと別人だと答えた彼は入谷響一と名乗り、弟の会員証を借りて評判の施術を受けに来たらしい。似てるのも当然で、奏一とは一卵性の双子なのだそうだ。だが、いくら双子でも普段使う筋肉や部位はその生活によって違う、知らずに施術して不調を起こしたら大変だからと思わず響一に注意してしまった。彼は、あかりの対応に驚いたようだが気分を害したということはなく、その日は大人しくカルテと会員証を作ると定期的にサロンを訪れるようになった。それから暫く経ち、響一から食事に誘われたあかりは、そこで思いがけない提案をされた。自分と契約結婚をしてほしいと。両親は煩くないのだが、奏一と同じくイリヤホテルの別支店で総支配人を務める響一に、ここ最近縁談話が多く辟易しているらしい。雑談のおり、あかりは田舎の両親に早く帰って地元で結婚しろとせっつかれているのだが、まだ東京で働きたいと溢していたのを思い出し、これはお互い利害が一致してるのではと。確かに、東京で相手を見つけて夫になる人がホテルの総支配人なら、あかりの両親も納得するに違いない。勿論、生活費含めすべて響一が持つと言ってるし、そう悪い話ではないのかも。考えた末、あかりはその申し出を受けるのだった。一先ず籍を入れ、響一のマンションで同居を始めたあかりは、その快適すぎる環境に喜んでいた。響一も俺様に見えて、実は生真面目で努力家なのが、一緒に過ごすうちに段々判って来て、不器用な優しさに、契約婚と言えど、彼に心惹かれるように。奏一も最近、長年の想い人と結婚し、施術に来ると惚気ている。とはいえ、奏一の妻は社長令嬢と聞き、思い切り一般人のあかりは何だか居た堪れない。パーティーなどに同席する際は、愛妻家ぶりをアピールしている響一だが、周りにはどう思われているのやら。それから数か月が過ぎ、勤め先であるサロンの閉店を店長から知らされ、あかりは大ショック。再開発に伴い、テナントが入っているビルが取り壊しされるのでは仕方ない。新たな勤め先を見つけなければならないのだが、それ以前に、次の仕事が見つかるまで無職になると言うことは契約違反にならないのだろうか。今ではすっかり、響一が好きだと自覚したあかりは、何故だか状況を打ち明けることが出来ずに、こそこそと職探しに励んでいたのだが、それを見て響一があかりの浮気を疑い・・・。優秀な弟と比べられ、ブラコンを拗らせていた響一は、すぐに別人と見抜いたあかりに一目惚れ。サロンに通い、食事に誘うこと数回。いつ告白しようと思いつつも、彼女が弟に憧れているのを知り、正攻法ではだめと思い、あかりの事情を利用して契約婚を持ち掛けたのでした。そんなことも露知らず、あかりの方は自分の片思いだと思いっていて見事な両片想いの夫婦になっていたと言う。勿論、浮気もしてないので状況を話し、誤解はすぐ解け二人は互いの想いを打ち明けて、本当の夫婦になって終わっています。奏一側を先に読んだせいか、響一さんの印象が大分違うことに驚きました。え、俺様キャラだったの?ってか、奏一の方もあちらのヒロイン・結子目線だと、いけ好かないタイプだったようなので、あかりとは見せてた側面が違うんでしょうね、多分。双子の兄弟共々、想い人と結婚出来て何より。個人的には、弟サイドのお話の方が好きかも。評価:★★★★☆
2023.02.19
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2022年7月刊マカロン文庫著者:紺乃藍さん社長令嬢の結子は、幼い頃から憧れていた男性とのお見合いの日を迎えた。しかし会場に現れたのはその人の弟で、高級ホテルチェーンの御曹司・奏一だった。家同士の政略的な結婚から逃れられず愛のない夫婦となるはずが、始まった新婚生活は想定外の溺愛の嵐で…!? 「君の表情も声も身体も、全部俺のものだ」ーー彼の一途な情欲が炸裂して、結子の心は次第にほだされていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 入山結子=旧姓・佐山。ブライダルドレスメーカーの社長令嬢でフローリスト。 奏一と政略結婚した。 入山奏一=高級ホテルチェーンの御曹司。 入山響一=奏一の双子の兄。フローリストとして働く佐山結子は、幼馴染の入山奏一と政略結婚をすることが決まった。元々、親同士が友人で取引関係と言う兼ね合いで、いずれは結婚話も本格化するものと思い、ドキドキしていた。だが、それは相手が長年憧れ続けていた入山響一だった場合だ。お互い社会人になって会う機会はグンと減ってはいたけれど、響一が知らぬ間に結婚しており、結子の相手が響一の双子の弟・奏一に変わっていたとは夢にも思わず、内心がっかり。勿論、奏一のことも幼いころから知ってはいる。でも要領が良く、天才肌な彼がどうにも苦手で、親しくはなかった。なのに、奏一の方がやけにこの結婚話に乗り気で、結子も承諾せざるを得ない状況であった。上手いこと彼に押し切られ、翌月には入籍を済ませ同居となったのだが、職場は近いし、家事の類はハウスキーパーがほとんどやってくれる分、実家にいた時より門限も無くて生活は快適だった。これは予想外。奏一も優しいし、何かと気遣ってくれる。仕事で関わった我儘な女優に嫌がらせされて大泣きしていた時も、彼なりの方法で慰めてくれて、今ではすっかり結子も絆されていた。自分でもチョロいとは思うものの、結婚した以上、仲が良いに越したことはない。一緒に過ごすうち二人の仲も段々深まり、それなりに上手く行っていると思っていた矢先、奏一が総支配人を務めるホテルでトラブルが発生。結子の手伝いで何とか無事収まることとなったのだが、実はトラブルの原因が奏一の部下のやらかしによるもので、刑事事件にまで発展しそうなものだった。上に立つ者としてそんな事態になっていたのを気付けなかったと奏一の落ち込みはかなりのもの。子供の頃から上手く行きすぎる人生で、ここに来て初めて味わう挫折に戸惑う彼を宥めるうちに予想外の発言を受けて、結子が腹を立て一方的な仲違いに発展してしまい・・・。何でもそつなくこなし、兄より優秀だった奏一が30歳になっての初めての挫折。でも心配していたのは長年想い続けていた結子に幻滅されるのではという、何とも子供っぽい悩み。結子にしてみれば、とっくに奏一に惚れてるのに、そんなに信用無いのかと激怒。せっかく上手く行っていた関係もギクシャクしてしまって、不器用だなぁと。最後の方は結子もこんなんじゃいけないと考えていた時に、奏一の本心を聞いて漸く仲直り。同居してるのに、一ヶ月くらい碌に口を聞かなかったってのは、彼も相当堪えたと思います。ラストでは響一から、如何に奏一が結子に惚れていたかバラされ、ほのぼのした感じで終わっています。このお話も、スピンオフなんですね。お兄さんの響一さんサイドも出ているらしく、探してみたらkindleの本棚に入れてる作品だった(^_^;)これかー、ということで、明日の感想記事はその響一さんのお話です。評価:★★★★☆
2023.02.18
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2019年6月刊マカロン文庫著者:田崎くるみさん祖父の豆腐屋を手伝っている音々は、ある日レイトショーで隣に座ったスーツのイケメンと意気投合し一夜を共に…。そしてまさかの妊娠発覚!! 一夜の思い出を胸にシングルマザーとして息子・望を育てる音々だったが、一念発起して会社勤めを始める。ところがなんとその会社の社長・響があの夜のイケメンだった!? 望を一目見て自分が父親だと確信した響は「結婚してくれ。三人で暮らそう」といきなりプロポーズ! 実はあの日連絡先も告げずに姿を消した音々のことを、響は探し続けていたのだ。再会直後から注がれる響の溺愛攻勢に音々は戸惑いつつも同居を始めることにーー。順序逆転の“子持ち”新婚ラブストーリー? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 伊藤音々=1歳になる息子を育てるシングルマザー。 成瀬響=お菓子の卸商社社長。 伊藤望=音々と響の息子。伊藤新次郎=音々の祖父 倉田京香=音々の親友。このレーベルさんでは珍しい上下巻で発行されたお話です。多分、ベリーズ文庫にするにはページ数が少ないからかな。祖父が営む豆腐店で働く音々は、趣味の映画鑑賞のために訪れた映画館にて、一人の青年と出会った。感動巨編と言われる映画でボロ泣きする彼のせいで、半分も浸れなかったが、ちょっとしたトラブルを切欠に、映画の後に青年と飲むことに。酒が入って話も弾み、お互い似たような身の上だと知った二人は意気投合。盛り上がって、つい一晩を供にしてしまったのだった。翌朝、眠る彼を残しホテルを去っていつもの日々を過ごしていたある日、音々の妊娠が発覚。何故だか、産みたいと言う思いしかなく、親代わりの祖父の協力の元、数か月後、音々は男の子を産んだ。それから更に1年経ち、息子の望ももう1歳。あの時の彼とは当然再会できていない。と言うのも、響と言う名前しか聞いていないのでは探しようも無い。それでも、いい加減祖父に頼りっぱなしというのも気が引ける。自分も働きに出るべきだろう。そんな矢先、親友の京香から、私の勤め先で働かないかと薦められた。お菓子の卸商社らしく、主婦の多い会社で福利厚生はばっちり。しかも無料の託児所付きと言う、女性にありがたい職場とのこと。丁度、一人円満退社して募集を掛けているらしく、音々も乗り気に。面接の末、早速働くことになった。自分が働いている間は、会社の託児所に望を預かってもらえるのは本当に助かる。先輩たちも良い人達ばかりで、覚えることも多いが仕事も楽しい。忙しない日々を過ごしてあっという間に一ヶ月。女性が多いので、休憩時間はお喋りタイムとなるのだが、社長の話題となりそこからまだ若くてイケメンなんだと随分盛り上がっていた。イケメン社長が載っていると社内報を見せられた彼女はギョッとした。忘れもしない、この顔は、あの時の。名前も「成瀬響」と記載されているし、間違いない。社長は超多忙で、滅多にお目にかかれないと聞き、一先ず安心したものの、まさか彼の会社で働いていたなんて。いつバッタリ会うかと冷や冷やしつつ、京香にも相談してみたが、彼女は驚きつつも望は社長の子でもあるんだから事情を話すべきとアドバイスされ、一応決心はした。彼に会えたなら、事情は話すつもりだ。しかし、まだ迷いはある。彼にしてみれば迷惑なのでは。悶々と悩んでいたら、恐れていた再会は思いの外早く・・・。実は、響の方も音々を探しており、ずっと彼女を思い続けていました。けれど、手掛かりはあまりにも少なく。本当はあの朝、音々に結婚を前提に交際を申し込むつもりだったと聞かされ、複雑な心境に。望のことも、責めるどころか大喜びで、早々に祖父に挨拶まで済ませ、外堀を埋めて行く彼に囲い込まれていく音々。ただ、望の父が現れ結婚を望んでいることを知った祖父を安心させるため、響の家で3人の生活が始まります。望はすっかり響に懐き、響は音々を溺愛。特にトラブルも起こらず、和気藹々とした家族になって終わっています。恋のライバルや、妬みによる嫌がらせみたいなのも無くてそれだけで安心できる。ので、じれじれ要素は全く無しだし、ヒーローが良い男過ぎる。人によっては退屈な内容かなとも思いますが、ストレスなく読みたい人におススメ。上下巻合わせても200ページくらいですし。評価:★★★★☆
2023.02.17
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2017年8月刊マカロン文庫著者:市尾彩佳さんとある事情により、姫であることを隠し、人里離れた村で育った第二王女のシンシア。しかし、ある日世継ぎの第一王女が暗殺されてしまい、身代わりとして極秘で城入りすることに! 彼女を迎えにきたのは、クールで無口なイケメン騎士・サイラス。互いに惹かれていくふたりだが、シンシアにはすでに定められたフィアンセがいて…!? 「愛しているのはシンシアだけだ。ともに生きてほしい」ーー運命に翻弄された恋の行方は…? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 シンシア=ヴィルモール王国の第二王女。 サイラス=王国騎士団第三隊長で、シンシアの従兄弟。 ディアナ=シンシアの双子の姉。故人。 イアン=シンシアの教育係の書記官。ナイジェル=サイラスの兄。宰相補佐官。TL小説ではなく女性向けのラノベです。「小説家になろう」発とのことで、なるほどな内容。双子は不吉と言う悪習が未だ色濃く残るヴィルモール王国。国王夫妻に待望の世継ぎが産まれたのだが、それは双子の姉妹であった。本来なら片方は秘密裏に処理されるのが常であったものの、国王たちは実の子を手に掛けることは出来ず、信用できる側仕えの夫婦に妹の方を預け、辺境の地にて育てるよう頼んだ。あれから17年経ち、王宮にて王女・ディアナが落馬事故で急逝。次期女王の死に、混乱を避けるため、表向きにはディアナは重傷を負ったが命は取り留めたと発表され、真実を知るもの達にはかん口令が敷かれた。そして、王の甥である騎士団の隊長・サイラスとその部下達は、ある密命を受け、辺境の地へ向かうことに。王女を早急に返すよう王命を受けた老夫婦は本当の孫の様に慈しみ育てたシンシアが、ディアナの身代わりとして引き取られることに胸を痛めていたが、当のシンシアは特に異論は無いようでサイラスは内心面食らっていた。田舎で人目を避けて暮らしていたと言うから、さぞ大人しい娘かと思いきや、能天気としか思えない明るい性格に戸惑うばかり。王女の護衛達ともすっかり仲良くなって、お堅いサイラスは蚊帳の外状態。正直、事情が事情とは言え、シンシアは随分と身勝手な扱いをされていたと言うのに、卑屈さは欠片もない。王宮で大事に育てられ贅沢していた姉姫に思う所は無いのだろうか。優秀な兄にコンプレックスがあるサイラスは、つい自分と境遇を重ねてしまい、シンシアに対して複雑な心境を抱いていたものの、彼女と接していくうちにそれが間違いだったと気付かされる羽目に。自分の矮小さをサイラスは恥じたが、一先ず任務に徹し、何としてもシンシアを王宮へ無事届けるべく奮闘。何故なら、ディアナ王女の死は事故に見せかけた暗殺であったからだ。表向きこの旅は、ディアナ姫が療養先から戻るためのものとされている。黒幕が再び動くのはほぼ間違いないだろう。案の定、暗殺者たちに襲われた彼らは、多勢に無勢で散り散りになるも、シンシアの機転で事なきを得、数日後無事に王宮に到着。しかし、旅の間にお互い惹かれ合っていた二人だったが、サイラスにはどうしようもない。シンシアはディアナとして女王になると言うのに、その運命を嘆くことなく受け入れようとしている。何とか彼女を救う術はないかと思い悩むサイラスに、王妃が思いもかけない提案をして来て・・・。微妙に内容とタイトルが合っていないような(^_^;)まぁ、この出版社さんあるあるですねかね。おそらく原題の方が良いパターンだ。ヒロイン・シンシアは年齢にしては色々達観してて、もしもの時のためにと育ての親たちから生き延びるための術を教わっていました。暗殺者たちから逃れられたのもその知恵のおかげ。サイラスの方は拗らせたブラコンぶりで終始グルグルしてましたけど、その分、ヒロインが強く逞しい性格だったので、バランスは良いのかも。王妃の発案は、誰も損をしない提案で、二人は後に結婚して終わっています。このアイデアについては書くと長くなるのと、あんまり全バレしてもアレなので、気になる方は読んでみてください。結構面白かったけど、終盤かなり駆け足だったのが残念。評価:★★★★☆
2023.02.11
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2022年7月刊マカロン文庫著者:未華空央さん老舗旅館の令嬢・茉莉花は、許嫁で高級ホテルグループの御曹司・拓人と政略結婚をした。拓人は初夜に甘く迫ってくるが、恋愛経験ゼロの茉莉花は緊張のあまり拒んでしまう。妻の役割を果たせなかったためか、それ以来、拓人は誘ってこない。もう愛されることはないのだと寂しく思い始めたある日、他の男性といるところを見られて拓人の独占欲を煽ってしまい!? 「君のすべてを俺で埋め尽くす」ーーついに身も心もひとつになる初夜を迎えた茉莉花。色気を孕んだ拓人に、息つく暇もないほど全身にとろけるほどの愛を刻み込まれ…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 連城茉莉花=京都の老舗旅館の一人娘。 連城拓人 三栗谷早苗=拓斗の大学時代の友人。エステサロンの経営者。 三栗谷隆史=早苗の夫。アパレル会社の代表取締役。お互いの初恋を叶えて結婚した新婚夫婦がトラブルに見舞われるお話です。老舗旅館の一人娘の茉莉花は8ヶ月ほど前、幼いころからの許嫁であった連城拓人と政略結婚をした。政略とはいえ、茉莉花にとって拓人は初恋の人で彼の妻になれたことは嬉しい。拓人は優しく、仲睦まじい生活を送れているけれど、悩みがあるとすれば、二人はセックスレスだと言うこと。ウブな茉莉花は初夜で怖くなり行為を拒否してからというもの、拓人はキスすらしてこない。気の良い姑は妊娠の兆しが無いのは息子が多忙なせいではと、心配してくれているものの、それ以前に致したことが無いとは流石に口に出来なかった。もう覚悟はできたので、と拓人に自己申告すべきなのだろうか。ネットでアレコレ調べたら、女性側から誘うと言う手が一番効果があるらしい。茉莉花には少々ハードルが高いが、孫を待ち望んでいる義両親の為にもいい加減行動に移さねば。でもそんな時に限って、拓人に出張が相次ぎ中々チャンスが訪れない。悶々としていたある日、隣室に越して来たと言う三栗谷と名乗る夫妻が挨拶にやって来た。妻の早苗は随分と愛想がよくグラマー美人で夫の隆史は拓人と同年代に見えるハンサムだった。後日早苗と拓人が大学時代の友人と判り、偶然の再会ということで拓人共々食事に招かれたのだが、やたらと早苗の拓人へのボディシップが気になる。隆史の話では誰に対してもそうなんだとフォローされたけど、何だかモヤモヤする。そういう隆史も、別の日に買い物帰りに鉢合わせ荷物を持ってくれたまでは良いが、台所まで運ぶと言って聞かずズカズカ上がり込んだ挙句キスされそうになって心底驚いた。たまたま拓人が早く帰って来たから助かったけれど、茉莉花はどうも三栗谷夫妻にいい印象を持てずにいた。しかし、この出来事が刺激となり、拓人が一念発起。茉莉花も決意を固め、漸く二人は一線を越えることに成功。未だにベタベタしているらしい早苗のことは気になるが、今度彼女のエステサロンと拓人のホテルで業提携の予定があるらしい。茉莉花が嫌なら断ると本気で言っている拓人の気持ちは嬉しいが、さすがに仕事の邪魔までしたくない。一層仲が深まった今なら、早苗が何をしようが気にもならない。正式に業務提携が発表され、そのパーティーで沖縄のホテルに拓人と赴いた茉莉花は三栗谷夫婦による策略に巻き込まれ・・・。茉莉花は貞操の危機に陥るも拓人によって救い出されます。妻への不埒な真似に拓人は大激怒。業務提携も白紙に戻って騒動になった後、三栗谷夫妻の裏の顔が判るのでした。実は、この二人は似たようなことをあちこちでしでかして、複数人から訴えられていたと判明。しかも今回、茉莉花は睡眠薬を盛られていた事から傷害罪が適応され三栗谷夫婦は逮捕。なまじ三栗谷夫婦の営む会社は名が知られていたため、この事件は世間を賑わしていたが、暫く経って落ち着いた頃、茉莉花の妊娠が発覚してお終い。恐らく、ベリーズカフェでも本編だけなら読めるんですかね?ちょっと確認できてなくてすみません。番外編にて、長男・奏斗が誕生して3ヵ月後のエピソードが描かれており、三栗谷夫妻の顛末も説明されています。この夫婦、何かいけ好かないと思ったたらやっぱり。おかげでセックスレス(正確にはレス以前の問題だったけど)から脱却できたのは良いものの、早苗より隆の方が気持ち悪くてダメでした。いくら顔が良くても生理的に受け付けない。こんな悪いことしていつまでも上手く行くわけがないと、しっかり破滅してくれたようで良かった。拓人の言うように更生できるんですかねぇ、この人達。評価:★★★★★短編ではありますが、色々と起こって面白かったです。
2023.02.06
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2022年3月刊マカロン文庫著者:Yabeさん製薬会社社長の愛人の娘として産まれた優は、父の本妻から虐げられながらも慎ましく生活していた。そんなある日、父から腹違いの姉の代わりとして結婚することを命じられてしまう。相手は取引先である大病院の御曹司・一矢。抗うことができずに結婚するも、彼には初日から冷たくあしらわれる。愛のない生活でも諦めずに彼に尽くしていると…「ずっと抱きたいと思ってた」ーーある誤解が解けたことをきっかけに彼の溺愛が急加速! 初めて身も心も包み愛されて…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 緒方優=旧姓・坂崎。父の命令で異母姉の代わりに一也と政略結婚をした。 緒方一矢=優の夫。優秀な外科医であり、総合病院の御曹司。阿久津良悟=一也の友人。 三橋正信=優と陽の父親で製薬会社社長。 三橋陽=優の異母姉。身代わり政略結婚ものせす。坂崎優は製薬会社社長の愛人の子として産まれて以来、本妻と異母姉の陽から虐げられて育った。実母の有里子は優しい人で、愛人の子と蔑まれる娘に謝ってばかり。病気の母親の治療費を工面してくれる代わりに愛人となった有里子は、自分が罵られるのは覚悟していたものの、本妻たちは彼女ではなく娘の優にばかり辛く当たる。その方が有里子に効果的だとバレているからだろう。一応、認知されているので生活費や学費などはきちんと入金されているものの、祖母は入退院を繰り返しているので一向に生活は楽にならない。そんな中、本妻は優を屋敷に呼び出しては掃除を言いつけると言う嫌がらせまでしてくるのだからたまったものではない。罵られいびられ続けているうちにすっかり萎縮しがちな性格になってしまった優は、高校卒業後数少ない友人の実家が営むケーキ屋で働いていた。22歳になったある日、父・正信が久しぶりにアパートを訪れ、優に緒方総合病院の跡取りとの結婚を命じた。どうやら結婚間近になって、異母姉の陽が駆け落ちしてしまったらしい。この縁談を持ち掛けたのが三橋側だったこともあって、今更無しにはできない。陽の代わりにお前が嫁げと言うことだった。当然優は突っぱねたかったが、今も生活費を出してもらっている以上、それを打ち切られても困る。嫌々ながら、今後も母に変わらず援助することを条件に優は結婚を了承した。顔合わせと以来の対面となった夫・一矢は優秀な外科医と聞く。多忙と言うことで式は挙げず、入籍後即同居となったのだが、彼は優を軽蔑し切った目で見て、君を妻とは認めないときっぱり言われてショックを受けた。やはり、愛人の子なんて彼は嫌なのだろうか。もしかしたら他に好きな人がいたのに無理矢理結婚させられたのかもしれない。敵意に対して萎縮してしまう優は、他にも贅沢と男好きの女なんてと一矢から言われたが、それを弁解することも出来なかった。それでも忙しい彼の為に、家事を黙々とこなす優を見て、一ヶ月もすると一也の態度も徐々に軟化。おかしい、友人の良悟の話では三橋の娘はかなりの問題児らしいが、優はどう見てもタイプが違う。そもそも贅沢どころか、生活費代わりに渡したカードで買うのは食材や日用品ばかり。唯一の趣味らしい読書も図書館で借りている。どうも話とかみ合わない。試しに良悟と合わせてみたが彼も噂と余りにも違う優に戸惑っていた。これは絶対に裏がある。変な先入観を持たせてしまったと詫び代わりに良悟が伝手を使って調べてくれたところ、陽の存在が浮上。どうやら問題児はそっちの方だったようだ。しかも現在行方不明と来てる。推測するに、破談にしたくない三橋側が優を身代わりに嫁がせたのだろう。これはとんだ契約違反ではあったが、今となっては優を寄越してくれて良かったとは思う。いつしか、一矢は純粋な優に心惹かれていたのだった。その日、事情は全て把握したこと、最初の頃の態度を詫び、一矢は改めて優に妻になってほしいと告げ、二人は本物の夫婦に。二人が仲睦まじく暮らしていた頃、駆け落ちして外国に行っていた陽が部屋にやって来て一矢の妻の座を変われと優を追い出して・・・。この三橋家の面々が自分勝手すぎて読んでてムカつくこと数回。特に本妻とこの異母姉の言動が人として理解できない程。でもそれが一矢の怒りを買い、相応の報いを受けます。この辺のザマァシーンは爽快でした。父親も結局は蔑ろにしてた優が唯一まともな人間と知っても後の祭り。長女の素行不良により、上流階級とのコネ作りは絶望的。本妻による愛人いびりも巷で結構批難されていたらしい。身代わりを輿入れさせた件で信用に傷が付き、一矢の実家との取引もおじゃん。この父親も調子に乗り過ぎてたんだろうなぁ、妻と長女を諫めなかったのが致命的な結果を招いてしまったようで。苦労人のヒロインでしたが、ヒーローも実はかなりの苦労人で、その友人が気を回して陽の噂を話してしまったのが序盤のじれじれの原因になるも、この友人も良い人故の行動だったのを思うと憎めない。実際、誤解が解けてからは色々動いてくれてたし、この出張り具合からして彼が主役のお話もあるのかしら。評価:★★★★★ヒロインの健気さが泣けます。
2022.12.22
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2022年11月刊マカロン文庫著者:西雲ササメさん翻訳家の玲菜は、旅先でエリート弁護士である久嗣と出会う。互いに惹かれ合っていたが、ある事情で離れ離れになり再び会えずにいた。もう諦めようと思っていたのに、一年後に偶然再会。さらに魅力的になっていた久嗣に心を奪われ一夜を共にすると、翌月妊娠が発覚! 結婚を申し込まれるも彼を信じきれず、子どもが一歳になるまでに本当の夫婦になれなければ別れると約束する。ーー「お前たちを離さない」独占欲を剥き出しにした久嗣の激愛で、玲菜は絆されていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 加納玲菜=翻訳家。久嗣との結婚生活に疲れ、離婚を提案する。 加納久嗣=国際弁護士で玲菜の夫。 加納凌太=じき1歳になる夫婦の一人息子。すれ違い夫婦のお話。久嗣と玲菜が結婚して1年半。可愛い盛りの息子がいても夫婦仲は冷え切っていると玲菜は思っている。そもそも二人が結婚したのも、所謂デキ婚であったのも大きい。しかも、当時も交際していたわけでもなかった。旅先で出会い、その一年後に再会。その夜盛り上がった結果だったと言う。今思えば、よくよく相手のことを知らないままでの結婚だったのだし、上手く行くはずがないのだ。入籍前に一応、息子が1歳になるまでに本当の夫婦になれなければ離婚しようとは告げてあるのだが、彼にとってはどうでもいいのか、いくら国際弁護士とは言え、海外出張ばかり。玲菜が育児ノイローゼになりかかりボロボロの時でさえ、久嗣は不在で一切傍に居てくれなかった。息子・凌太の1歳の誕生日まであと2週間。潮時かと、玲菜は離婚を決意。しかし、喜んで了承するかと思われた久嗣は断固拒否。絶対に別れないと聞く耳を持たない。仕事柄体裁が悪いからだろうか。それとも凌太を手放したくないから?彼なりに息子は可愛いのかもしれないとは思ったが、その割に放ったらかしだったのは解せない。久嗣は話し合おうと言うが、玲菜は話をするのも億劫だった。だが、離婚を切り出した日からというもの、久嗣は家族の時間を持つべく多忙なはずなのに毎日家に帰って来る。しかも、そのために大事な出張をキャンセルしたと言うのだ。もしかして本当に彼は自分達と離れたくないと思っている?親子三人でレジャー施設にまで出かけるなんて、数日前までの彼とは別人のようで、戸惑うばかり。玲菜が久嗣とどうありたいのかと考え始めていたある日、彼の所属する弁護士事務所近くのカフェにて、女性所員たちの久嗣に関する口さがない噂を耳にしてしまい・・・。これで更に玲菜は久嗣を解放してやろうと離婚の意思は変わらない旨、彼に伝えると、何故か出会った時の話を蒸し返されて面食らう玲菜。実はこの頃から君に惹かれていたとか言われても、今更遅い。連絡先を教えたのに全く連絡もくれなかったくせにと言い合いになるも、お互いの話のすり合わせで小さなミスが引き起こしたすれ違いをしていたことに気付きます。まぁ、ほぼほぼ玲菜側のミスなので、読んでて思わずツッコミが。久嗣が忙しなく働いてたのも、ノルマを早々に片づけて家族との時間を作るためだったと判り、結局二人は元鞘に。仮面夫婦と噂されてた加納夫妻は、事務所員達が砂を吐きそうになるほどの仲睦まじさを見せつけてお終い。久嗣に秋波を送っていた秘書含め、他所の家の事情を好き勝手憶測で語ってる連中に見せつけてたのが面白いです。とは言え、後の家族水入らずの生活の為だとしても、乳飲み子抱えてストレスで精神病みそうだった奥さんを何か月も放置は良くないよなぁ。いくら、家事代行頼んでくれてたとしてもですよ。玲菜も変に意地張ってたのは良くないものの、こういう時に何もしてくれない夫は一生妻に根に持たれる言いますし、理由はどうあれ久嗣の方もここは反省して欲しい。それはともかく、二人の愛息・凌太くんが可愛かった。評価:★★★★☆この作家さんのお話はコメディの方が好み。
2022.12.06
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