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いや~~、こういうワイン、久しぶりに飲みました。超お買い得イタリアワイン!滑らかな口当たりのドライな白!シグナム「ビアンコ・サレント」(白)「こういうワイン」というのは、果実味の薄いワインという意味なのですが、別に悪いと言っているわけではありません。値段的に見てもかなり妥当な質を持っていますから。色は薄い麦わら、全体に緑の反射がしっかりと現れています。果実は、青りんご、トマトの葉、苦味のある草種をかんだときの渋い苦味味わいは、線の細い酸。これが心地よいのですが、ヴォリュームは少なく、実に「あっさり」しています。果実のりんご、洋ナシ系の香りは、フレッシュな果実そのもので、食べてもまだちょっと青っぽい部分が残っているような果物ですので、一つの個性としてこちらの官能を刺激するものではありません。簡単に言うとシャバシャバワインですが・・・・でも、酸化部分が多く、いかにも衛生的によろしくない醸造所でできたようなローマの食料品店に並んでいるような質ではなく、むしろ逆で、酸化しないよう様々なテクニックを駆使してできたようなワインです。断言はしかねますが、少し酸化防止剤的なニュアンスもあります。やや薬品臭い感じです。果実味が薄いので、極少量の異質な香りを感じてしまうのですが、きりりと冷やせば、それもそんなに強く感じるものではありません。こういうのは、貝類のワイン蒸しなんかには最高でしょうね。白ブドウの苦味と貝類の苦味があってますし、磯の香りとほのかな果実味、そして線の細い酸もぴたりと来ます。もちろん、ヴォンゴレスパゲッティに、たっぷりとパセリをあしらう・・・・できればアウトドア、できれば海に面したところ、海の家なんかでダラダラとやるのにいいでしょうね。トレッビアーノ、マルヴァジアのコンビにシャルドネが入っているそうです。なるほど・・・・と思わせる味わい。これがプーリア!と思わせるような特徴は僕は感じませんでした。残念です。でも、こういうワインこそ、これからの季節、必要になるんです(^^)のどの渇きを潤す。適度な酸で体をリフレッシュする。ほろ酔い気分になる、おしゃべりして逆に元気になる。安いワインですけど、使い方によってはすごいコストパフォーマンスになる!!超お買い得イタリアワイン!滑らかな口当たりのドライな白!シグナム「ビアンコ・サレント」(白)
2008/05/30
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塩野七生ルネサンス著作集(7)この作品の中では、「君主論」の作家についてのなかなか素敵な面がたっぷりと描かれていて、好感が持てました。「素敵な面」というのは、実は、セックスでの失敗談であったりするのですが、まあ爆笑間違いなしの「売春譚」を彼は友人に手紙で書き送っているのですね。ここでクローズアップしても、「君主論」の著者の権威が失墜してしまうこともないだろうし、いや、これに触れてこそ初めて「ルネッサンスのスピリッツ」に出会えるようにも思えます。ワインでもなんでもニュアンス、細部というのは非常に大事ですから。学会ではほとんど無視されている手紙を塩野七生さんが公表してしまったのですが・・・やはりこの本を読んで笑ってください(^^)288ページに載ってます。塩野七生ルネサンス著作集(7)それで、ニコロ・マキャヴェッリは、非常に大仰な感じの著作ばかりを書き残した堅物だと思っていたのが吹っ飛んでしまって、そして後年彼が書いた喜劇「マンドラーゴラ」が『初めてイタリア喜劇を見た』とまでゲーテを讃嘆させたゴルドーニのものより出来が良く、劣るとすれば、コルネールの最良の作に対してのみ、と言われるルネサンス喜劇の傑作と評価されシェークスピアやゴルドーニや、ジロドーやピランデッロの作品の上演と、同じようにイタリアでは扱われている。ということを知るとこの喜劇に断然興味を持ってしまったのでした。マキァヴェッリ全集(4)しかも、ストーリーだけを見ると非常に素敵な恋愛コメディなんですね。「素敵な」と書くからには、相応の意味があって、例によってお下品なのですよ(^^)あらすじを読んでいるとボーマルシェの戯曲に基づいてロレンツォ・ダ・ポンテが台本を書いたモーツァルトの「フィガロの結婚」を連想してしまったのですが、あ~いうのよりずっと面白いし、洗練されています。「フィガロの結婚」で風刺されているのは貴族であり階級社会ということになるのでしょうが、16世紀初期に書かれたニコロ・マキャヴェッリの「マンドラーゴラ」には、人間性をもっと俯瞰しているような気がします。(フィレンツェの大富豪に嫁いだ、まだ見ぬ美女に恋したフランス男が、偽りの媚薬「マンドラーゴラ」を駆使してベッドインしようとする話なんですけど・・・・^^;)まあ、どっちがどうの、という話ではないのですが、ルネッサンスと言うギリシャ・ローマ時代の文芸を復古させた時代と啓蒙主義という時代の差はあるでしょうね。題材的には似ているようで、基盤となる人間性への視線は対照的と見るべきでしょうか。フィレンツェのオリオーロ劇場で「マンドラーゴラ」を見るという夢が増えました(^^)マキャウ゛ェッリ キャンティ クラシコソラティオ デル ターニ 2005世界は劇場
2008/05/26
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マキャヴェッリの生涯を通じて、ルネッサンスの華であったフィレンツェ共和国を描き、また逆にフィレンツェ共和国の栄華と衰退、崩壊を通じてマキャヴェッリの生き様を追った力作です。塩野七生ルネサンス著作集(7)本題からはややそれるかもしれませんが、マキャヴェッリが提唱したいくつかの政治理論を通して中核的なポジションを占めた、「祖国を守るためには傭兵制度からの脱却し、国民軍を 持たねばならない」という考えの「傭兵制度」と彼らがしていた「当時の戦争」についてのコメントに興味を持ちました。「十四、五世紀のイタリアを特徴付けたものの一つである 傭兵制度は、簡単に言えば、隊長の実力に相応した数の 兵とそれに必要とされる武具込みで、これらを指揮する 傭兵隊長と傭い(やとい)先である国が、雇用契約を 取り交わすことで成り立っている。 契約は普通一年、二年目は問題がなければ自動的に 更新されることになっていた。 この制度に需要が絶えなかった理由は、イタリアの 中世は都市を基盤にして成り立った国家が多く、 その種の国家の方が経済的にも繁栄していたから だろう。 都市国家なのだから、都市が国家の中心を占める。 都市の住民は、商業と工業にたずさわる者が多い のは当然なのだから、市民の主流なのである。 日本ではブルジョワというフランス語で知られて いる市民階級は、イタリア語ではボルゲーゼという。 ゲルマンに語源を持つ語と思うが、市壁に囲まれた 街の中に住まう人、という意味である。」そう、「ボルゴ」とはイタリア語で、町を意味したり城壁の外に発達した区域をも意味しますが、いずれにしても都市の機能が及ぶ範囲をさすのだと思います。因みに、フランスのブルゴーニュ地方はイタリア語では BORGOGNA ボルゴーニャと言いますから、この言葉の語源もボルゴでしょう。ワインにも「ボルゴ」がつく名前がたくさんあります(^^)ボルゴーニョ・バローロ・フランコ・ボスキス 2000さて、傭兵制度に関して続けましょう。どんどんんと面白くなります。「ところが、当時の戦争ときたら、天候の都合で春から 秋にかけて行われるのが普通なのだが、そのような 仕事に絶好な季節に、「市民」たちを戦争に駆り出す わけにはいかない。 ならば戦争などしなければよいとなるが、二十世紀の 今日に至るまで、非合理的だからという理由で戦争 回避に成功したためしはない。 それで、仕事に絶好な季節に、仕事に絶好な年頃の 男たちを戦争に駆り出して経済の疲弊をまねくより 彼らには仕事に専念してもらって、その仕事から あがる利益の一部を税として徴収し、それでもって 傭った(やとった)戦争専門屋に、そちらのほうは まかせるということにしたのだった。 この制度の普及のおかげで、イタリアの戦争といえば 傭兵同士が戦うものになったのである。」この辺りまでで、「傭兵制度」というものが当時の経済社会の面から見て、理にかなっていたことが良く分かると思います。 この辺り、もうちょっと具体的に見てみましょう。 「需要が増えれば、供給もまた増える。イタリアの 国々は、仕事に絶好な季節に仕事に絶好な年頃の 男たちを十分に活躍させたためか大変に豊かだった ので、ドイツやイギリスから、イタリアに出稼ぎに くる戦争屋も少なくなかった。 しかし、これらの傭兵隊長にとってみれば、配下の 兵は立派な設備である。 設備なのだから、なるべく損傷のないようにと願う のも当然だ。 その結果、華々しく戦闘を展開をしておきながら、 死者は落馬が基で死んだ一人だけなどという、愉快 な戦争が普通になってしまったのであった。 ブクハルトが、「芸術作品としての戦争」と名づけた ものである。」ここで思い出すのが、エルマンノ・オルミ監督の映画「ジョヴァンニ」です。「黒隊のジョヴァンニ」ことジョヴァンニ・デ・メディチの最期を描いた名作ですがあの映画では、塩野七生さんのいう「愉快な戦争」を非常にリアルに、また「生真面目に」に描いていたように思います。「芸術としての戦争」を「人が人と対峙して剣と剣で戦う戦争」を人間的と見做して、それ以降の大砲の出現から近代戦争までを非人間的と批判的に見るオルミの視点があり、それゆえにか、非常に耽美的な作品に仕上がった映画です。DVDで出ていないのが残念です。イタリアのアカデミー賞ともいえる「ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞」を総なめにした2001年の作品です。でも塩野七生さんの視点は、もっとそのことには距離をおいて俯瞰しているように思えます。続けましょう。「しかし、芸術的なる戦争で、随分と長い間、全員が 満足していたのである。 市民たちは仕事に専念できる。国家は、しないでは すまない戦争を、したという形だけはつくれる。 「ボルゲーゼ」とは見られていなかった農民だって 馴れ合いの戦争なのだから、敵の兵たちも穏健で ヨーロッパの他の国々では通常だった、敗者が こうむる略奪におびやかされる心配もない。 (略)」「全員が満足していた」というのが良いです。そういうポジションを探るのが、「賢い人」であり「賢い社会」でしょうから。この制度は洗練の極みであり、「洗練された文化」という気がします。それが2世紀の間続いて来たと言います。 でも、そういうことが分かる人だけなら、何も苦労はないんですよね。それを痛感させるのがこれ以降の歴史であり、それこそがルネッサンスを終焉させていきます。 「この、ちゃらんぽらんではあったが人間世界の 機微には通じていた愉快な制度が大打撃をうけたのが 1494年のフランス王シャルル八世のイタリア侵入 である。 都市国家の群立するイタリアと違って、中央集権化は 進んでいても、当時のフランスは、イタリア人に とっては後進国である。 経済的にも、イタリアの方が豊かだった。当時のイタリア 人が見下していたフランス人だが、彼らには、戦争は まじめにやるものと思う点では伝統がある。 そのフランス人に、まじめにイタリアに侵入されさたの だから、イタリア人は深刻な打撃を受けたのである。 シャルル八世の軍は、非芸術的とされようがおかまいなく 略奪と暴行に徹底したからだった。」十字軍遠征の「いいだしっぺ」はフランス人ですからね。「まじめに戦争をやる伝統」というのはわかります。このシャルル八世が教皇アレッサンドロ6世に神聖同盟でナポリ、そしてイタリアから追い出される。次の王ルイ12世、ミラノ侵攻して、スフォルツァ家を追放。教皇ジュリオ2世の神聖同盟でフランスをミラノから追放。次の王フランソワ1世、再びミラノ侵攻、スフォルツァ家を再び追放。神聖ローマ帝国皇帝の地位をスペインのカルロス1世と争い敗北。カルロス1世が、神聖ローマ帝国カール5世として即位、フランスをスペインとドイツから挟み込む形になる。教皇レオ10世、カール5世と組んで再びミラノを奪還。教皇クレメンス7世、コニャック同盟を結んで、神聖ローマ帝国に対する。これへの報復としてスペイン、ドイツ軍がローマを目指して南下する。スペインは、最も先鋭的だったカトリックの宗派ドメニコ会や日本にも多大の影響を与えたイエズス会の本拠地ですよね。そしてドイツと言えば、このころすでに大きな勢力を持っていたプロテスタントの本拠地。この両極端の勢力がハプスブルグ家の元で一体化してイタリアを攻めたものだから、都市国家の集まりであったイタリアでまともに生き残れたのは、ヴェネツィア共和国だけでした。ヨーロッパ史の大きな流れが急速に変化していく時代の黎明期、おそらくはまだイタリアがその経済的、文化的な力をヨーロッパに及ぼした最期のともし火、それがルネッサンスというものの一面だと思います。マキャヴェリズムというのは、現代の平和社会から見ると「目的のためなら手段を選ばない恐怖の思想」というような位置づけなのかもしれないですが、大国に蹂躙される恐怖に常に脅かされた時代に、冷徹な視線でそれを回避するアートを綴ればマキャヴェリズムに到達するのは当然の帰結なのかもしれません。そしてルネッサンスの華フィレンツェ共和国は滅ぼされ法王庁ローマは強奪されます。ローマにバロック建築の華が咲くのは、ルネッサンス建築がほとんどすべて焼き尽くされたからなのでした・・・。史実は頭をこんがらがらせますが、ルネッサンスの気概とはどういうもので、どんな歴史的背景から生まれ、他国とイタリアがどのように違っていたのかなど、知れば知るほどワクワクする、七生ワールドなのでした。塩野七生ルネサンス著作集(7)
2008/05/25
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以下、イタリアワインのエッセイコンテストに応募した今年の僕の作品です(^^;) グリーンに輝く黄色を見る。傾けたグラスの小さなワインの湖は優しい濃淡の波でキラキラと輝く。グラスを回すと周囲の緑が踊りだす。このワインの小さな、それでいてワクワクするファーストシーン。食べてしまたいほど美味しいフルーツがある。十分に熟れた果実の甘さ。それでいてフルーツの命である酸が全く損なわれていない力強さ。緑の葉の香りは?フフフ・・あるある!花のような芳香は?ハイ!もちろんあります!砂や石、土のようなニュアンスは?う~ん、確かにある!スパイス?クンクンクン、ないな、ないと思う!汗のような動物臭は?そ、そりゃ無茶だ!春風に蕾揺れるブドウ園。緑の穂、音楽奏でる麦畑。口蓋にはシャープな酸が颯爽と登場する。絹の糸のような繊細に輝く酸だ。華麗さと純粋さを併せ持つこの酸は本当に美しい。ほぼ同時に、酸の後を追って登場するのは滑らかな舌触り。限りなく前に出ようとする酸をなだめながらここでは酸に華を持たせている。だが舞台はまだ終わっていない。嚥下した後、じっと口蓋に残る感覚を探る。酸がその存在を舌の上で猛然とアピールしてじわじわと唾液を分泌させ、カーテンコールよろしくこちらの拍手を催促する。だがそれだけならまだ平凡なスペクタクルの枠を出ないがこのワインは違う。華やかな果実の香りがまだ鼻腔の裏側をやさしく撫でている。抱きしめたくなるような、可憐なタッチで。愛おしい余韻に浸りながら、最後に安堵と感謝と尊敬の気持ちをこのワインに送ろうとしたその瞬間、まるでワインが別れ際にウィンクでもするように、生々しくも新しい感覚を鼻腔の裏側にチラリと覗かせて、ハッとした。クルミの香りだ!それはこの美しい酸、豊かなフルーツと大地の香りが愛撫しあって最後に産み落とした官能のプレゼント。見事なラストシーンに喝采!幸福のソアヴェに乾杯!マアジ コルバラカ ソアヴェ・クラシコ [2005] 750ml
2008/05/24
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最後はやはりルピカイア。なんと2004年と2003年のヴァーティカルが楽しめました。双方とも注がれてからかなり経ってからテイスティングしたのですが、2004年の方は、ある香りを感じてハッとしました。色は言うまでもなくコンチェントラティッシモ!!濃縮しまくっています。グラスを鼻に近づけると、一瞬卒倒しそうになった後に恍惚感が二つの鼻の穴をヒクヒクさせて、思わず半笑い状態になりました。麝香の香りです。「こりゃ、ワインじゃなくて香水だわ」と思いました。赤い果実と青い果実。チョコレートにバニラ、ここに豊富なミネラル香が重なると、それらしい香りが漂います。味わいも、まだまだ酸とタンニンのポテンシャルが強く若い印象ですが、でもその味わいの美しさは尋常ではありません。それまでのテイスティングワインは吐き器に吐いていましたがこのワインにいたっては、全部飲んでしまいました(^^;)次、2003年です。2004年との圧倒的な差に愕然となります。もちろん濃厚さや味わいのベクトルは似通ったものになりますが、ここでは果実味がすでに焼きつくされた印象を与えます。すべてがローストした何か。焼いて焦がしたような香りになっています。チョコやバニラはもちろんですが、このヴィンテージに顕著に感じられたのは、キャラメルでした。でも、森永のキャラメルのようなミルキーな感じではなく、あくまでクレム・ブリュレ的な「焦げ」です。タンニンは、2004年の緊密さに比べるとやや劣ると感じましたが、酸の美味しさ、綺麗さのレベルは、極めて高いものだったと思います。カロリーナさんによると、ルピカイアは料理との相性については「瞑想用ワイン」でも良いこと、本来のポテンシャルを発揮するにはやはり10年、15年後の方がよいと言われていました。時間さえあれば、もっとゆっくりテイスティングして、もっとゆっくりと色々なお話が出来たらよかったのにと少々残念な気持ちになりました。それほどにテッリッチョのカロリーナ・ズッキーニさんとパッソーニさんは感じの良い、気さくな感じの方でした。カロリーナさんは、随分昔に別の業種で日本に来られたことがあったそうですが、そのときは仕事だけで何も見られなかったこと。今回は、インポーターさんの計らいで早起きしながらも京都見物が出来て充実しているとおっしゃっていました。大切なことですよね。1999ヴィンテージ。マレンマ地方のヴィンテージスコアはスコアは93点。「飲み頃または熟成が必要」「つやがあり、コクのあるワイン。カベルネは最高の出来」とあります。ルピカイア 1999 750ml2000ヴィンテージです。マレンマ地方のヴィンテージスコアは89点。「飲み頃」「海洋性気候の影響により、バランスの良いワイン」とあります。ルピカイア ロッソ / カステロ デル テリッチョ【2000】【赤 フルボディ】2001ヴィンテージです。マレンマ地方のヴィンテージスコアは96点。「飲み頃」リッチでパワフル、まだフレッシュでバランスの良いワイン」とあります。カステロ デル テリッチョ2001カステロ デル テリッチョ2002年は降雨量が多かったため生産されていません。2003ヴィンテージ。スコアは88点。「飲み頃または熟成が必要」「ジャミー、多くのワインはアンバランス、しかしいくつはグレートワイン」とあります。[1993] ルピカイア 750ml/テヌータ デル テッリッチオ
2008/05/23
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最後の質問コーナーで、1.「カステッロ・デル・テッリッチョ」の「テッリッチョ」 の意味は?2.「カステッロ」というからには「シャトー」が存在する のか?存在するならその歴史的な背景は?3.「ルピカイア」の意味は?と三つの質問をして見ました。1の答えとして、カロリーナさんは、「みすぼらしい土地」という意味だと、少しはにかみながら答えてくださいました。そうです。TERRA に ICCIO とか UCCIO がつくと蔑称的表現になりますから。豊かさからはかけ離れた、やせた土地というニュアンスもあるのでしょう。辞書をみるとTERRICCIOには腐葉土という意味もあるようです。2では、シャトーは、実はないそうです。近くに遺跡のようなものは残っているそうですが、いわゆるシャトー的なものはなく、昔存在していたことから、そのようなネーミングになったそうです。実に興味深かったのは、この土地は、エトルスク人の起源的な所なんですね。同じマレンマ地区でも南のラツィオ地区に下がると名前がマレンマ・トスカーナからマレンマ・ラツィアーレになりますが、そこにタルキニアという、エトルリア時代の見事な墓地などが遺跡として残る素晴らしい街があります。ローマが半島の覇権を握る前はエトルリアが文明人のトップで、ローマ人などはただの田舎もんに過ぎなかった、そういう時代があります。ローマの王政時代の何代かの王もエトルリア人です。ブドウ耕作、ワイン作りに関しても、そういった技術を有していたのは、エトルリア人であり、ギリシャ人でありローマ人ではなかったのです。今イタリアの中北部では、ブドウの幹を伸ばして、量産体制をとっている畑をよく見かけますが、そのオリジナルはエトルリア人の発明です。エトルリア人は、相当にローマ人を馬鹿にしていて、ローマ人は、意識的にか無意識的には、数世紀をかけてエトルリア人と同化した、またはエトルリア文明を同化しつつ根絶してしまったとも言われます。現に、エトルリアの言語はまだ解読されていないと、大学時代に教授から教わりましたが、今はどうなのでしょう。20年前ですからね・・・・(^^;)話はそれましたが、このワイナリーのラベルの真ん中にあるレッドスターは、だから、エトルリアの太陽とも呼ばれるこの民族の象徴なのでした。ハンニバルをその名前の一部に冠し、エトルリアのシンボルをエティケッタに掲げる、ワイナリーオーナーのジャン・アンニーバレさんのその土地に対する気概というものを感じさせてくれます。最後にルピカイアの意味ですが、「アイア」が場所を意味すると聞いたところで、イタリア語を解する人は、ピンと来るでしょう。そう!ルーポは狼。 狼の土地という意味です。だからどう?という風に思うのですが、やはりうっそうとした森であったに違いないこの土地で(マレンマとは「沼地」という意味です)、狼の群れというのは、まだ人間と共存していたんですよね。やはり、時間の流れ=今と昔のつながり、そして自然の中で共存していた動物と人間の関わりのイメージはワイン作りとは無関係ではいられないという思いにもさせられるネーミングだと思います。サッシカイア=礫の多い土地タッシナイア=小石の多い土地オルネッライア=マンナトネリコ(植物)の茂る土地ソライア=太陽の土地ルピカイア=狼の土地「アイア系」のワインの名前の意味が伺われますね。すべて、ぶどう園になる前の土地柄が表されていて興味深いです。イタリア人は過去をリスペクトする人たちですから。ということで前置きが長くなりましたが、赤ワインのテイスティングでした。まず、カパンニーノ・ロッソ。カッパニーノ2004カステロ デル テリッチョこのワイナリー唯一のサンジョヴェーゼ100%ワインにして唯一のステンレス熟成のワイン。2004年ヴィンテージでしたが、その2004年についてパッソーニ氏は、 完璧な年、果実が完熟し、ちょうど程よい雨量。 そして収穫が始まる8月下旬からの季節、夜が 涼しくなった、と。夜に冷え込むことがこの季節とても大切なんですね。特にこのマレンマの温暖な気候ですと、必要な酸が失われずに済む。よって、適切なタンニン、熟したタンニンが得られて滑らかでスムースな出来になった、と。やはりこのワインにも、よく熟れた果実を感じさせます。ブラックチェリー、ブラックベリー。良質のサンジョヴェーゼの香りだと思います。タンニンの強さから来るのでしょう、ほうじ茶やウーロン茶の香りも感じます。口に含んだ頃からカカオのアロマも感じるようになります。ステンレスのみの熟成ワインなら、シチリアのネロ・ダーヴォラにもよく感じる香りですから、この土地の太陽の強さをまざまざとここに感じることが出来ます。余韻に感じる強い苦味は、ミネラルであり、果実味の凝縮感から来るのでしょうか。軽く飲めるワインでもあり、その果実のできばえを評価するなら、上出来のワイン、ということができます。次は、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、そしてサンジョヴェーゼを3分の1ずつブレンドしたタッシナイアです。カステロ・デル・テリッチョ タッシナイア・ロッソ[2003]2003年をテイスティングしましたが、ご存知のとおり2003は旱魃の年です。逆に2002年は、雨がよく降った年で、ルピカイアは生産しなかった年です。濃縮している分、エレガントさは落ちた、と。(会の後で教えてもらったことですが、2002年はルピカイアとカステッロ・デル・テリッチョを生産しなかったために、「ましな」ブドウをタッシナイアに使用したところ、タッシナイアの品質が例年に比べて上がったとのこと。ほとんどジャムのようなブルーベリー、グアヴァジュース。緑系の香りもあり、ハーブの様でもあります。タンニンの厳密な感じが印象的で、実に緻密です。それでいて液体の粘性も非常に良く出ていますのでバランスよく心地よさも特上です。アフターに感じるカカオの風味、そして塩気。海から5kmしかない畑というのもよく分かります。最後から2番目のワインは、カステッロ・デル・テッリッチョです。カステロ デル テリッチョ2001カステロ デル テリッチョインポーターさんのほうでは、カステロ・デル・テリッチョと表記されています。僕は、イタリア語の発音にできるだけ忠実に、と思っていますので、カステッロ・デル・テッリッチョと書きます。検索されるときなど注意してください。ワイナリーの名前を冠したワインということは、もちろん最後のルピカイアと同格のフラッグシップたるワインということになります。2000年ヴィンテージが最初です。シラー50%、ブティ・ヴェルド25%、ムールヴェドル25%恥ずかしながらムールヴェドルなどという品種名は初めて聞きました(^^;)シラーがスパイシーさを。プティ・ヴェルドがスミレなどの華やかな香りを。ムールヴェドルが果実味を、とその品種の役割をパッソーニさんが説明してくださいました。凝縮しまくった色合い。フルーツとスパイスの爆発のような力強さ赤いベリーのジャム。塩気。シャープな酸、とても綺麗。深く刻み込むタンニンは、やや粗いように感じる余韻の長さは尋常じゃない。フルーツとバニラ。アルコールの迫力、ヴォリュームがあり、それでいて果実味が前面に出ている。会の後にワインガレージニシジマさんがムールヴェルドについて、最初からこのワインを造ろうとした段階からこの品種を作ると決めていたのかを聞かれました。答えはNO。いくつか別の品種でも実験をしていて、その中にはタナという品種もあったそうな。タナも僕は初めて聞いたブドウだったので、まるで????だったのですが西島さんはいたくびっくりされておりました。いずれにしても、オーナーのボルドー志向と作り手の地中海志向がこれらのブドウ品種へと好奇心を駆り立てるのでしょう。おそらく、我々がイタリアだとかフランスという近代国家で線を引こうとしているものと、彼らの線を引く基準にはずれがあって彼らのそれはもっと深みのあるものかもしれないと思いました。つまり古代から現代までの長い時間を尺度にした概念です。ルピカイアのヴァーティカルは明日! 左からワインガレージニシジマさん、醸造家のジョヴァンニ・パッソーニさん輸出担当のカロリーナ・ズッキーニさん、僕
2008/05/22
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インポーター中島董さんの主催するテイスティングセミナーにお邪魔してきました。今日の主人公はトスカーナ州のカステッロ・デル・テッリッチョです。ルピカイアを一度飲んだことのある人でしたら、その忘れることの出来ない夢のような果実とインスピレーションに富んだ熟成香とミネラルの凝縮感に一瞬うっとりとしてしまうはずです。カステロ デル テリッチョ2001カステロ デル テリッチョただ、その他のワインに関してはほとんど経験がなかったこともあって、しっかりお勉強させていただこう!と勇んで出かけたのでした。セミナーの内容とテイスティングしたワインについてまとめて見ましょう。どこにあるワイナリーか?ですが、その味わいを知れば、非常に温暖な地域を想像できると思います。そう、トスカーナの海岸線です。エクスポートマネージャーのカロリーナ・ズッキーニさんが イタリアの西海岸と言われたのには、微笑してしまいました。彼女は英語を話していたので、「ウェストコースト」という言葉を聞いて、アメリカの西海岸をイメージしてしまったからです。まあ、確かにウェストコーストですわな(^^;)もう少し厳密に言うと、「すぺての道はローマに通じる」という古代ローマのアウレリア街道を北に、ティレニア海の海岸線を北上した、トスカーナの海側・・・つまりボルゲリから程近いカステッリーナ・マリッティマという場所です。いわゆる「マレンマ地区」の北側に位置しています。http://www.terriccio.it/dove_azienda.html実はこのワイナリーのオーナーであるジャン・アンニーバレ・ロッシ・ディ・メデラーナ氏は、30年前に落馬して下半身不随になられ、そこからワイン作りにのみ情熱を燃やすようになられたということです。そこで登場するのが、トスカーナワインブームの火付け役の一人である カルロ・フェッリーニです。彼のスタイルは、フェッリニアーノ(フェッリーニ風)と言われるほどに、実に滑らかで洗練されているのですが、いわゆる伝統派と言われる方々からは、批判の的になりやすいワインを造る人です。このジャン・アンニーバレさん(アンニーバレって、”ハンニバル”のことですよね。ジャン・アンニーバレなんて名前、初めて聞きました)は、とにかくボルドーワインのファンだったそうで、彼の情熱は「自分のブドウ畑でボルドースタイルのワインを!」ということになったそうです。80年代に全面的に改植を行って、ドラスティックにフランス品種を導入して、トスカーナ南西部の独特のテロワールをワインに表現すべく、いまやトスカーナの新興地区のワイナリーの代表格にまでプレステージを高めたワイナリーです。イントロダクションは、エクスポート・マネージャーのカロリーナ・ズッキーニさん。そしてテイスティングからは醸造担当のジョヴァンニ・パッソーニさんのお話でした。カルロ・フェッリーニはやはり売れっ子スターですから常時畑やワイナリーを見ることは出来ないでしょう。だから彼のような若手を登用している。紹介では、白ワインを主に担当されているとのことでした。実に印象的だったのは、 「質の高い地中海ワインは、白い花とトロピカルフルーツ、 そして柑橘系の香りがすること。我々はこれをテーマに 白ワインを作っています」とパッソーニさんが表現されたことでした。まず「地中海のワイン」というときに、我々はどうしても南イタリアやギリシャの方を想像してしまいますが、このトスカーナやもっと来たのジェノヴァ周辺のワインなんかもやはり「地中海ワイン」に入ってくる。それは、ピエモンテやロンバルディア、あるいはヴェネトやアルト・アディジェとは当然全く違った世界ですし、同じトスカーナでもキャンティ・クラッシコやモンタルチーノなどの古典的地域のワインとも一線を画すという意味です。そして、その地中海の白ワインの理想系は、こういう香りがあるワインである!というゴールを見定めて醸造している辺りが、新進気鋭の凄腕ワイナリーらしい見解だと思いました。白ワインをご紹介しましょう。まずは、今回初リリースで、今はまだ船便での輸送中という「カパンニーノ・ビアンコ」です。カパンニーノとは猟師小屋というような意味ですがジャン・アンニーバレさんが馬を連れてよく休まれた小屋があるそうです。下半身不随になってもなお、馬への愛情を忘れない彼の思いがワインの名前となったそうです)ヴィオニエ80%、マルサンヌ20%のステンレスタンク発酵熟成、6ヶ月シュールリーの作品。最初にテイスティングするワインって、感覚が一番冴えていますから、いいワインだと異様に感動してしまうのですがこのワインはそういうワインでした。パッソーニさんが「ピンクグレープフルーツ、トロピカルフルーツ」、僕が「ミネラル、オレンジの花、柑橘系の香り」と感じた、実に美しい芳香が印象的です。そして、このワインが平凡でないところは、余韻がとても強いことです。フルーツの甘みが増して、ハチミツの香りすら漂う、厚みのある香りが残りつつも、綺麗な線の酸がしっかりと残っています。傑作だと思いました。温暖な気候と海に近い土壌のミネラル感が綺麗に出ています。(インポーターさんのほうでは「カッパニーニョ・ビアンコ」と表されています。もうすぐリリースだそうです!この夏絶対買いです^^) 次はソーヴィニョン・ブラン100%のコン・ヴェントです。面白いことに、このワインの名前は、二つの意味が隠されているそうです。コン・ヴェントとは、文字通り「風とともに」という意味です。「風と共に去りぬ」はイタリア語で「ヴィア・コル・ヴェント」です(^^;)海風の影響の強い畑で、しかもソーヴィニョン・ブランは非常に風に弱いそうで、畑に防風林まで施してあるそうで、これをもじったようなネーミングです。もう一つの意味は、この二つの言葉、コンとヴェントを重ねた言葉で、つまりコンヴェント。イタリア語で「修道院」を表す言葉です。実際に、この畑はもともとは近くの修道院所有の畑だったそうでこれをジャン・アンニーバレさんが買い取ったことで、コンヴェントという名前を「風と共に」をかけて、リリースされたということです。実にエレガントだと思ったのは、いわゆる「ソーヴィニョン臭さ」が最小限なのですね。猫のオシッコ的な香りはある。そしておそらく北イタリアの猫のオシッコよりもっとオシッコ的な香りがありますが、ほんのワンタッチです。パッソーニさんが「トマトの葉」という表現をされていました。これは、参考になる表現で、イタリアでは結構頻繁に使用される表現なのですが、久しぶりに聞いて、「あ!この香りが”トマトの葉”なんだな」と香りを噛みしめるようにインプットしておきました(^^;)グリーン系の葉の香りでも、発酵させた葉や、乾燥させた葉でもない、トマトの葉。今のトマトは結構熟れてますけど、青いトマトをかじった時の独特の香りですね。おそらく、ブドウの果実は完熟しているのだけど、ソーヴィニョン的葉緑素がしっかりと残っていることに起因した香りじゃないでしょうか。僕はこのワインにミネラル感をしっかりと感じました。ふと「火打ち石」が感じられたのは、ほんの一瞬でしたがそういう濃厚なミネラルを感じされる、それでいてグリセリンの要素もしっかりあって、バランスが取れているワイン。おそらく、もう少し瓶熟させたほうが、ワインは落ち着くように思いますが。次のワインは、ロンディナイア・ビアンコです。ロンディナイア 2005 カステロ デル テリッチョカロリーナさん曰く「”アイア”は場所を意味する言葉でロンディネは”ツバメ”。ツバメが住まう所という意味の言葉です。」シャルドネ100%のステンレス熟成、シュールリー3週間の後に瓶詰め、6ヶ月熟成後リリースです。このワインの香りには、一種の驚きとノスタルジーを感じないわけには行きませんでした。まず芳香性の珍しさです。香りを嗅いだとたんに、僕は去年滞在したカンパーニア州モンテヴェトラーノのアグリトゥリズモ「ラ・ヴェッキア・クエルチャ」のレモンのジャムを思い出しました。そして、シャルドネであれ、何であれ、このような香りをワインの中に見出したのは初めてだったのです。そしてとても素敵だと思ったのは、こういうワインってもっともっと果実味を「これでもか!」と表現するわけですが、このワインには、「引き」があります。そしてただ引いているだけではなく、綺麗なミネラル香と合わさって、おそらくは料理のために用意された「スペース」があるのです。ワインとしても実に控えめで、それでいて強い個性を持ったワインというのは、面白いと思います。この個性はおそらく料理との相性でも強みを発揮するに違いありません。彼らに料理との相性を、特に地元の料理のことについて聞けなかったことが残念でした。明日は赤ワインについて書きます。
2008/05/21
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からっ風野郎(DVD) ◆20%OFF!三島由紀夫が相当に「おちゃめ」です(^^;)か、かわいい!と僕は思ってしまいました。増村保造第13作のこの「からっ風野郎」ですが、実は増村と三島は東大法学部の同級生なのでした。お互いに、高級官僚の道を捨て、映画と文学の道に進み、何の因果かこうして増村作品に三島が登場することになります。役どころは、なんとヤクザ!ファーストシーンで車が殺風景な建物の周りに巡らされた壁に沿って進んでいるのですが、案の定、刑務所です。受刑者たちがバレーボールをしているのですが、そこに上半身裸の、肉体美を非常に意識してさらけ出している三島がおります。「面会だ」と呼ばれるのですが、ゲームが伯仲しているので、代わりの者が受刑服を着なおして、面会に向かうのですが、面会室に入るやいなや バキュ~ン!と殺されてしまいます。このオープニングはなかなか素敵でした。三島の存在感、そしてヤクザの発泡するピストル・・・非常に映画全体のキャラクターを浮き彫りにしています。この後、出所した三島は、キャバレーの歌い手である情婦(水谷良重)と再会したわいいけど、やるだけやって(^。^;)この女を捨ててしまうわ、敵のヤクザから身を隠している映画館の掃除婦である若尾文子を無理やり犯すわ、もうあんた、めちゃめちゃですやん!というアニマルぶりなんですが、これを三島が実に素でかわいく演じているのですよ。増村自身も「三島さんの人のよさをある程度出してやろうとも思いました」と言っているとおり、非常に硬派な役どころで、ストーリー時代も実にドロドロとしたアクションあり恋愛ありの後の日活アクションと東映のヤクザ映画をあわせたような風情ながら、三島自身のキャラクターのしなやかさが映画全体の雰囲気を覆っておるのです。そして、それに増村のシャープな絵づくりがとても個性的な味を出していて面白く観れました。女性の地位も上がり、ある種暴力というものに社会が非常にナイーブで厳しい目を持つようになった現代の感覚から見れば、犯されながらも愛してしまう若尾文子のかたくなな純愛というものはちょっと理解しにくい気もしないではないのですが、やはりそこは三島のキャラクターが圧倒的にカバーしている。母性本能を簡単にくすぐってしまうような感じです。彼の演技は実にへたくそで実に不器用なのですが映画というものが、カット、カットで、短い演技でつなげる芸術でもあるから、不器用な演技のカットを重ねることによって一つの個性的な作品として成功していると思います。映画は監督のものであり、演劇は俳優のものである、と良く言われます。映画は監督が編集でカットしてしまえば役者の努力は水の泡ですが、演劇は監督がカットしようのない役者の独断場です。それを逆手に取ると、素人役者でも立派な映画として成立するわけで、その代表的な一連の作品群がイタリアのネオリアリズム系の作品ということになります。その中でも傑出しているのは、ヴィットリオ・デ・シーカの「自転車泥棒」と「靴磨き」でしょう。自転車泥棒(DVD) ◆20%OFF!靴みがき(DVD) ◆20%OFF!み~~んな素人です(^^;)ところがこの映画美ときたら、ピカイチです。カットカットの美しさ、生々しい映像の迫力。アクション映画じゃなくても手に汗握るほどです。「からっ風野郎」とネオ・リアリズムを比較するのはやや乱暴ですが、というのも、三島はこのころすでに「世界のミシマ」だったわけで、ローマで職にあぶれてウロウロしていた役者たちではありませんから。それに脇を固める役者陣も錚々たるものです。とはいえ、生身の人間がその脚本と映像の世界から飛び出してくるような、役柄である朝比奈というヤクザではなく、まるで本当の、生身の三島由紀夫が必死で健気な演技を繰り広げている・・・・・その魅力は十二分に伝わってくるのでした。からっ風野郎(DVD) ◆20%OFF!
2008/05/14
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塩野七生ルネサンス著作集(6)神の代理人・・・・つまり法王のことですね。ところで、「法王」と「教皇」の違いって知っていました?この本にはそのようなことは載っておらず、「法王」で通されていますが・・・。こちらをご覧いただくと良く分かります。http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/memo/pope.htmともあれ、実体は同じです。また「免罪符」という言い方も意味的に相応しくないということで現在は使われないらしいですね。今は「贖宥=しょくゆう」状というそうです。詳しくはWIKIPEDIAでどうぞ)この本は、いばわ「ローマ法王列伝」です。なので、「ルネッサンスの女たち」では、女性を通したルネッサンス像を。「神の代理人」では法王を通したルネッサンス像を描いています。中でも、とても勉強になって、面白かったうちの一つは、塩野七生のカトリック感といいましょうか。ルターが興したプロテスタントに対してカトリックをどう評価するかの点でした。たとえば、カトリックとプロテスタントと、神に対する向かい方はどちらが真摯かと問われれば、僕ならやっぱりプロテスタントと答えるでしょう。神と人の間に何も介さないプロテスタントの方が、聖職者、そしてその長である代理人の法王を介すカトリックよりも、より直接、より純粋に神に触れられて、抱擁される気持ち良さがあるように思います。この本では、第4章の法王レオーネ10世の台詞としてカトリックとプロテスタントの本質を言わせています。「ドイツという文化程度の低い国に起こった、全ヨーロッパに おけるイタリアの知的支配に対する嫉妬を内臓した反撥」「仲介者なしに見えぬキリストと結ばれるには、一人一人が 相当に強い意志力を持っていなければならない。ルター派は すべての人に、そのための、まじめでひたむきな意志力が 備わっていると信じているからだよ。 一方、カトリックは、人間性には善も悪も含まれるという、 複眼的視野に立つ。人間性を単に悪ときめつけるだけでは なく、良き性も認めながら、同時に、人間の持つ弱さも 忘れてはならぬ、というわけだ。 だから、まじめでひたむきな意志力を失いがちな人々には、 現実はこの方が多数なのだが、そのような人々のためにも 仲介者となる見える教会、すなわち地上の教会があった ほうがよい、となるのだ」 「そういう国(どんより曇り、霧がかかって、少し前を 行く人が、灰色の影のように見える、アルプスの向こうの ドイツ)では、霧の向こうに何かがあるにちがいないと、 幻想をいだけるのだろうか。 神の正義と愛の支配する時代がくると、信じ込めるのかも 知れない。ところが、太陽がすみずみまで照らしてしまう 我が国では、すべてが見通しだ。向こうは楽観的でいられ ようが、こちらでは、はじめから悲観的だ」プロテスタントの聖人聖像崇拝の禁止と教会装飾の過度の禁止について 「慎ましい家に住む庶民にとって、美しい教会は、自らの 貧しい世界を離れ、地上の天国、しかも自分たちのもので ある、豪華さの中にひたることなのだ。 誰でもいつでも入れるのだからね。人々のこの感情が 何百年もかけて作られる協会を支えてきたのだ。華麗な 教会は神の住みかには適していない、と簡単には断罪 できないではないか。 カトリックは、だからこれらを、信仰を助ける本質的な 手段としている。ややもすれば弱くなりがちな人の心だ。 美しい教会、キリストや聖人を身近に感じさせる彫像や 絵画、妙なる楽の音。これらは、単なる装飾品以上の 働きを持っていると思うがね」 道化「あちらさんのやり方は、何としても厳しくて 陰気でございますねえ。色彩豊かな絵を、灰色で塗り つぶすような感じだ」 「それに比べると、われわれカトリックのほうは陽気だ のう・・・(略)」 気候が暗い、すべてのものが見えず、不安になり考えが陰気になる、だからこそ見えないものを見ようとする力が備わる。幻想を見やすくなる。よく言えば夢や希望、理想を追い求めるようになる。 気候が明るい、考えが陽気になる。現実はすべて見えるので、現実を直視する力やユーモアのセンスが備わる。幻想を見ず、夢や希望、理想を声高々に唱えず、現実を直視する。金と芸術の力を利用する。ワイン同様、人間も気候環境に左右されていて、それが歴史を作ってきているんですね。この本では、特に、もう一つの宗教的、また政治的な対立としてのサヴォナローラと法王アレッサンドロ6世の往復書簡を扱った第2章がスリリングで傑出して面白かった!ルネッサンスの史実やその精神世界に興味がある人には是非お勧めしたい書物です(^^)イタリアワインが好きな人にも読んで欲しいですね。ワインのことを知ったり学んだりするのは、歴史を知ったりこうした精神世界を知ることで土台を掴んでいけるような気がします。こういう本を読むことによって、楽しみがより緻密に広がると思います。塩野七生ルネサンス著作集(6)
2008/05/13
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------------------------------------------------- 6. ○リースリング 2007さあ、神戸ワイナリーご自慢のリースリングです!(^^)外観: うすい麦わら 緑の反射 黄金色のニュアンス香り: 砂⇒ミネラル 野菜、青りんご、酵母味: 発泡性、綺麗な酸と滑らかな舌触り余韻: 非常にしっかりした酸、 ポテンシャルが出るにはまだまだ!!さすがに売り切れ続出ですな・・・リースリング[2000]/神戸ワイン----------------------------------------------------- 7. ○リースリング 2001外観: きっぱりとした濃いレモンイエローから黄金香り: シトラス、ミモザ、カモミール オレンジの皮、ミネラル(火打ち石のニュアンス) グレープフルーツ味: なめらか それでいて酸も豊かで圧倒的に個性が あり、それでいて旨い!!余韻: ミネラリーでフルーティーな余韻が残るhttp://www.kobewine.co.jp/catalog/020_regular/000138.php----------------------------------------------------- 8. ○信濃リースリングこれは、山梨のマンズワインがシャルドネとリースリングを掛け合わせて作った品種で、醸造しているワイナリーは日本ではマンズワインと神戸のみということです。外観: 濃い黄金色 緑のニュアンス香り: パインキャンデー味: 発泡が強い 甘みがあるというよりも酸味があまり前面に 出てこない。今回のテイスティングワインの中で一番炭酸がしっかりと感じられたのは、やはり酸が他のものに比べて少ないので貯蔵の際に、より冷やして寝かせるために、その分炭酸ガスがしっかりとワインの中にたまる、ということでした。栽培課の末松さん曰く、「何度か信濃リースリングの畑を見てもらいましたが 晩腐病にかかったブドウがたくさんあったかと思い ます。やはり酸が落ちやすいブドウなんですね」製造課の濱原さん「ブレンド用に使う品種でもありますが、やはり酸では なくコクをワインに与えるためのブドウ品種です。」-------------------------------------------------- 9. ○豪雪 ナイアガラ 信濃ワイン こちらもお客様の差し入れのワインです! いつも有難うございます!!外観: にごってる!(にごりワインなのでした)香り: ガムやキャンディのマスカット味 マスカットジュース、 いわゆるフォクシー系の香りが絢爛と出てる味わい: 口蓋に広がる香りが実に猛々しい※ こんなワインも見つけました。長野県原産地呼称管理制度認定五一わいん・氷果の雫(白)[375ml]玉村豊男氏・田崎真也氏らが認め...------------------------------------------------- 10. ●メルロー外観: 薄いルビー 紫の反射香り: 発酵香、チェリー、プラム、青さ、 タンニン系の香り、やや野菜、花味: タンニンしっかり細やか、酸もしっかりして いるが丸みもある余韻: 綺麗な酸が軽快に伸びるこちらもまだまだ未熟ながら神戸ワインの真骨頂ともいうべき、エレガントなワインスタイルが分かるワインです。メルロー------------------------------------------------ 11. ●カベルネ・ソーヴィニョン外観: 濃いルビー、黒いニュアンス香り: 砂、ミネラル、土、ミント、ベリー系の果実味わい: 渋みしっかり、すさまじい!! 酸もメルローに比べると非常に強いメルローは9月1日の収穫で、マロラクティックを含めて1月まで発酵。カベルネは、9月27日の収穫で1月までマロラクティック。神戸ワイナリーでは、一次発酵が終わると、圧搾して樽移しをして、マロラクティックスターターという乳酸菌の活動を活発化するものを添加しているそうです。「イタリアではそういうの聞いたことがないのですが」という僕に対しては、濱原さんは「多分、大きなワイナリーなら必ずやっていると思います。 イタリアのように力強いブドウができる生産地では もともとブドウが持っている乳酸菌でマロラクティックが スタートできるというのはありえると思います」と言われました。そして付け加えて、「乳酸発酵をさせる時には、他のタンクとは離れたところで やる必要があります。目に見えない菌のことなので、知らず 知らずの間に乳酸菌が別のタンクに入ってしまって 気づいたら、酸が全然なくなってしまった、という危険性が ありますから」 「もちろん、ポンプからタンクから、すべての醸造器具は 使用前に熱湯殺菌をしてから使用します」やはり、酵母、菌を相手にする仕事というのは、本当に見えない相手との共存を意味しますから、これと良い関係にあることって本当に大変なことなんだと再び感心した次第です。最後にこのメルローとカベルネのブレンド「ノーブル」をいただきましたが、視覚、嗅覚、味覚とこの二つのブドウのブレンドの意味が本当に良く分かる感覚を表現していて、面白かったです。神戸ワイン ノーブル赤 720ml三つのワインを並べて色を比べてみましょう!メルロー、カベルネ、そして二つのブレンドのノーブル。正直にその差が出ています。ただ、かなりゆっくりとテイスティングさせていただいたために時間がなくなってしまい、帰りのバスに間に合わせるために、この辺からバタバタと閉めに入って、解散してしまったのでした(^^;)あわただしい最後でしたが、色々な新しい体験ができた素敵な会だったと自負できました。雨の中、風の中、参加者の皆さんといっしょに過ごせたことを幸せに感じました。参加者の皆さん、そして神戸ワインスタッフの皆様有難うございました!!次回開催は、6月1日(日)13:30~16:00ごろです。新梢の誘引や副梢の除去などが畑のテーマです。参加料はワインテイスティングを含めて ¥1500(税込み)(お釣りの出ないようにお願いします)お申し込み、お問い合わせはは、viteitalia@maia.eonet.ne.jp まで。 ↓ この赤ちゃんがどれだけ成長しているでしょうね。5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」中級編で全イタリアを巡ります!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」京都の上級編です!6月18日(水)~京都河原町イタリアワインスクール「ヴィーテ」大阪の上級編です!6月24日(火)~大阪心斎橋
2008/05/12
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昨日の日記に書きました畑作業「芽かき」に続いてはワイン城に戻ってのテイスティング講座でした。皆、体の芯まで冷えていましたので、気遣ってくださった神戸ワイナリーのスタッフの皆さんが暖かいお茶をサービスしてくださったのには感激いたしました。しばし、ホッコリ体を休めます(^^;)さて、では2007年度産神戸ワインの品種別テイスティングオンパレードです。-------------------------------------------------○白ワイン ●赤ワイン 1. ○セイベル9110フランス系の様々な交配種があるそうで、このようにセイベルの後に4桁の番号が並ぶのが通例のようです。外観: パールの輝き っちゅうか、超うすい麦わら パールというより水銀?香: 花、酵母、バナナ、ライチ 乳白色から出る香りのイメージ味: 少し発泡性、鋭角的な酸と苦味もしっかり余韻: 酸がかなりしっかりと出て余韻に細い線を 描く。苦味の出方も特徴的神戸ワインの製造課の濱原さんいわく、セイベルは個性がない分「素直」だそうです。長期熟成に全然向いておらずすぐに褐色になるそうです。酵母の香りをしっかりと感じるのは、ブドウそのものの個性がない分、酵母に触れさせる期間が長かったからでしょうといわれていました。神戸では最も古い樹で、昭和54年の植樹だそうです。現在29歳ですか。なかなかのご高齢ですね。だから比較的良いブドウをつけるようになるのでしょうか。この酸の伸びのある感じは素敵でした。「風呂上りに一杯!」あの、ヤクルトやマミーの大人バージョンになれる気安さ、飲みやすさにシャープな酸が魅力のワインでした。この酸がなくなったら終わりですね。通常ブレンド用に使用されるワインですが、神戸では「おしべセイベル」という名前でリリースされているそうです。------------------------------------------------- 2. ○シャルドネ 辛口外観:比較的しっかりした麦わらと緑の反射香り:すでに複雑な香りが出ている 熟れたりんご、やや酸化したりんご 甘みがあるが、ナッティーな感覚が全体を 引き締めて、実に風格がある味: 発泡性、辛口感しっかり 酸絶大で1よりも ヴォリュームのある酸余韻:ほのかな余韻、とても綺麗な酸が残るが やや辛口すぎる?いかにも質実剛健、ブルゴーニュ伝統スタイルのシャルドネといった佇まいです。この感覚にはいつも舌を巻かされます。神戸ワイナリースタッフの感性の勝利です。濱原さんによりますと、個性のしっかりした良いシャルドネだけに、余韻の綺麗さを大切にした結果、色々な畑のシャルドネとブレンドするよりも単一で作ったほうがより個性を生かせることがわかったので、今後の樽熟成もこの大沢(オオゾ)のシャルドネに徹してみるとのことでした。かなり将来性を感じさせるシャルドネでした。リリースされればこのラベルが貼られるのでしょうか。神戸ワイン エレガント白 720ml-------------------------------------------------- 3. ○シャルドネ 甘口外観: 緑と麦わら、薄い香り: メロン、パイン、緑色の香り華やか味: 発泡性、口の中で酵母臭 甘口だけれどabbocato程度 それほど甘みは 強くない。酸は鋭い余韻: ほのかな甘い酵母臭2本目と3本目は、畑とブドウのレベルこそ違え、同じシャルドネです。ところが嗅覚的な差異の大きさに驚いてしまいました。もちろん質問はしてみました。「これだけ香りが違うのは、酵母の種類が違うからですか?」これに対する神戸ワインの答えはNO。つまりは甘口と辛口の差、そしてやはり畑の差、ということになります。2本目の辛口のシャルドネはいかにも硬派でしたがこの3本目は、いかに甘く仕立てられているからと言っても、相当にフルーティーさが出ていました。もちろんこれは良いことなのですが、それにしても香りに大きな違いがあったことには驚きました。ブレンド一つで味が大きく変化することは神戸ワイナリーで再三学ばせていただきましたが、同じシャルドネで畑が違うだけで、こうも香りのフルーツの出方が変わるものかと妙に感心してしまいました。因みにテクニカルな話題ですが、2本目のシャルドネの発酵温度は12℃、3本目の甘口は13,1℃ですが発酵期間が2本目の方が長いために辛口に仕上がるそうです。※現在甘口系のシャルドネでこんな傑作ワインもあります!神戸ワインヴィンテージ白 [2004](やや甘口) 720ml---------------------------------------------------- 4. ○シチリアのシャルドネ 2007お客様が差し入れくださったワインです!有難うございました!!見事にヴィンテージが一致しました!外観: 濃い麦わら色、ほとんど緑なし。輝きあり また粘性もかなりある香り: ハチミツをかけたパイン、マンゴ、味わい: ヨーグルト系のまろやかな酸味 トロッとした触感余韻: 甘いフルーツの香りが持続する神戸ワインのシャルドネがしなやかさ、エレガントさを求めるスタイルであるとするなら、シチリアのそれはまさにパワフルで100点満点の誰にでも分かる「美味しさ」を提供したワインだと思います。マンドラロッサ シャルドネ[2007]/セッテソリ------------------------------------------------ 5. ○シャルドネ エクストラ 2004神戸港開港140年記念ラベルの特別仕様シャルドネです。この記念ラベルかなり素敵だと思います。外観: 香り:酵母、ぬか、酸化香味わい: アルコールの熱さがしっかりあって 独特のコハク酸系の香りと共にのど元に カッと来る。余韻: 果実味がここで出てくるこのワインには正直最初は面食らいました。酸化香がしっかりと出ていて、古酒のような香りが出ていたからです。ところが面白いことに時間と共に、それがなくなって実に複雑な香りと深みのある果実味が一体となって見事なワインに短時間で変身しました。最後には、花や野菜、そしてフルーツ、ミネラルの香りが混じりあって、清清しい複雑味を出していたと思います。濱原さんによれば、このワインを産するブドウは大沢(オオゾ)や平野の畑の樹齢のしっかりしたシャルドネなので、そろそろ低温発酵でフルーツ味を出したものよりも、少し高温発酵させたパワフルなシャルドネに今後していっても良いのではないか、と言われていました。ブドウが生長すると、ワインが変わり、その変わり方にあわせてスタイルを変えてみる。その柔軟な方向性は指示したいと思いました。そしてスタイルを変えたこのワインを飲んでみたいと思いました。-------------------------------------------------赤ワインは明日触れます。次回開催は、6月1日(日)13:30~16:00ごろです。新梢の誘引や副梢の除去などが畑のテーマです。参加料はワインテイスティングを含めて ¥1500(税込み)(お釣りの出ないようにお願いします)お申し込み、お問い合わせはは、viteitalia@maia.eonet.ne.jp まで。 ↓ この赤ちゃんがどれだけ成長しているでしょうね。イタリアワインスクール「ヴィーテ」昼下がりの初級編です!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」中級編で全イタリアを巡ります!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」京都の上級編です!6月18日(水)~京都河原町イタリアワインスクール「ヴィーテ」大阪の上級編です!6月24日(火)~大阪心斎橋
2008/05/11
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雨ですね・・・(^^;)絶好の晴天を夢見ておりましたが、ちょっと無理そう。でも、僕は晴れ男です。せめて大雨にならないことだけ祈って、これから行ってきます。帰ってきたら、またレポートしますね!!-----------------------------------------------------いや~、参りました(^^;)極寒でした、神戸ワイナリーは。多分、今まで20回以上、この3年をかけて神戸ワイナリーに通いましたが、一番過酷、辛かった作業でした(^^;)1年以上前、冬に雨が降ったこともありましたが、心の準備がちゃんとできてるでしょ?そういうのは大丈夫なんです。でも、今回は、GWであれだけ太陽が照り付けていて、衣替えも終えようかというような季節。まさか冬に押し戻されようとは思っても見ませんでした。雨は降るわ、風は吹くわ・・・ろくな防寒をしていかなかった僕も僕ですが、それにしても、凍えるように、手をかじかませながらも「芽かき作業」がんばってきました。栽培担当の末松さん曰く、「午前中のオーナーズクラブは畑作業は中止だったんですが 皆さんは、畑メインで来られていますから、そういうわけに いかないですよね。 実は、雨の日に、あまり芽を取りすぎると、その切った 部分から 病原菌が入ったり、腐敗の原因になりますので 今日は最小限の作業だけしましょう。」この言葉に、どれだけ救われたことか!(^^;)さて、「芽かき」作業です。前回の作業で、その新芽の数をそれぞれの母枝に2芽残していたのですが、今回はその芽を半分の1芽に残します。しかも、2芽のうち、先端の方の、より成長して、より多くの房をつけた目を根こそぎ、手で引きちぎるのです。あ~、もったいない!!というのは、素人考えです。こういった芽かきは春の段階で、2~3回に分けて行うのですが、何故せっかくの「神の恵み」「自然の恩恵」を根こそぎ取ってしまうかというと、答えは簡単! 良いワインを造るためです!ブドウのエネルギーは、本当にすさまじいです。それこそ自然の力そのものに、秩序なく伸びようとします。でもこの成長は実に無秩序ですし、第一、ブドウ君は、成長しようとしますが、ワインを造るべく「房」にエネルギーを残そうとしません。つまり枝や葉にエネルギーを消耗して、我々が欲しい房へのエネルギーを浪費してしまうのです。そこで、必要なのが、人間の知恵、農業の技というものです。2,3回に分けて「芽かき」をするのは、養分の分散をすることによって、ブドウに均一にダメージを加え行き過ぎたストレスを与えないようにするためです。ストレスを与えすぎると、つまり一度に多く刈り込みすぎるとそのストレスで、かえって伸びようとする力が大きくなるんですね。誰かさんのダイエットのリバウンドみたいなものでしょう(^^;)早めに少しずつ芽の数、葉の数、房の数を調整して、そのブドウの樹齢や樹勢の個性に応じた成長をさせ、最終的にそのポテンシャルの最大限を搾り取る。これがブドウ栽培者のアートというものでしょう。今回は、雨のためあまり芽をいじれなかったのは、残念でしたが、ほんの少しだけ許可された「芽かき」箇所を見ていただきましょう。上と下は同じ枝です。大体20センチの間隔で、枝が上に伸びるように仕立てるのです。いい感じにかき取れました(^^)こうして枝をかき込むことによって、日本特有の梅雨の湿気対策にもなる、一石二鳥の「芽かき」なんですね。これから夏、そして収穫にかけての、この結果母枝周辺の枝の刈り込みは、まさに健康的なブドウをつくるための生命線になります。だから神戸ワインのスタッフ、そして契約農家さんの仕事もまさに、マニアックなまでの情念を帯びてきます。でも・・・作業中も雨と風は吹きつけ続け、20分ぐらいで「もう限界!」という心境になって、畑での記念撮影を忘れてしまいました。な、なんて弱い僕・・・・。この後の2007年収穫のタンク出しワインの試飲はまた明日触れますね。今回も色々な発見をさせていただいて楽しいテイスティングだったんですよ!次回開催は、6月1日(日)13:30~16:00ごろです。新梢の誘引や副梢の除去などが畑のテーマです。参加料はワインテイスティングを含めて ¥1500(税込み)(お釣りの出ないようにお願いします)お申し込み、お問い合わせはは、viteitalia@maia.eonet.ne.jp まで。イタリアワインスクール「ヴィーテ」昼下がりの初級編です!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」中級編で全イタリアを巡ります!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」京都の上級編です!6月18日(水)~京都河原町イタリアワインスクール「ヴィーテ」大阪の上級編です!6月24日(火)~大阪心斎橋
2008/05/10
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大阪におけるイタリアワインスクール「ヴィーテ」の上級編のコンセプトは・・・・ ワインメーカーズ・ディナーです(^^)展開する場所は、心斎橋のイタリアワインの小さな天国「フィアスケッテリーア コン・ヴィーノ」さんです。フィアスケッテリア コン・ヴィーノコン・ヴィーノ・・・・まさに「ワインと共に」をコンセプトにシェフでソムリエの米屋さんがパティシエでソムリエの奥様とともに展開されている、イタリアのオステリアを思わせる非常にツウなお店です。この講座は、ヴィーテ・イタリア高岡が独自にワインメーカーとコンタクトを取り、そのワインメーカーがワインを通じて表現しようとする世界をじっくりご紹介する講座です。様々な産地のワインを比較テイスティングするのではなく、一人の作り手にスポットライトを浴びせて、そのつくり手のワインをひたすらテイスティングすることで、その地方、産地、畑からにじみ出てくる芳醇な世界を、時にイタリアの歴史とワインの歴史の接点として、また時に醸造技術的なお話とともに、そしてまたそのワインと常に共にあるべき地方料理と共に、じっくりと飲み、楽しみ、深く感じ、知ることを目的とした講座になります。もちろん、そのワイナリーが最も力を注ぐプレミアムワインを含む、ラインナップで、イタリアを代表する、超一流のワインの味わいもしっかりと味わっていただきます!テーマとなるワイナリーは、ヴィーテ・イタリア高岡が厳選した作り手です。今回の4回シリーズでは、伝統を重んじながらも、新しさを取り入れながら、慎ましくイタリアワイン文化の発展に寄与するイタリアワイン界の大御所たちです。高岡が様々なワイナリーの方々と出会う中で、また実際にワイナリーを訪れた中で、好感を持ち、そして絶大に尊敬するに至ったワイナリーをコレクションしています!おそらくイタリアワインファンにとっては「飲んだことある」ワインがあるはずです。でも、同じワイナリーのワインをじっくり並べてテイスティングすること、そして現地の料理との共存を経験することはとっても貴重です!ワイナリーに訪れて生産者と共にワインをいただくようなそんな真摯で楽しい時間になればと思います。では、その生産者のラインナップをご紹介しましょう!第1回 6月24日(火) 19:30~21:30 レオニルド・ピエロパン http://www.pieropan.it/ ※言わずと知れた質的ソアヴェ・クラッシコのパイオニアです。 → 10月に延期されます。詳細は近々にお知らせします。第2回 7月22日(火) 19:30~21:30 マストロベラルディーノ http://www.mastroberardino.com/ita/index.asp※カンパーニア地方の大御所中の大御所!伝統への尊敬と 愛着こそ、このワイナリーのエネルギーです!第3回 8月26日(火) 19:30~21:30 カ・デル・ボスコ http://www.cadelbosco.it/ita/default.asp?lan=ita※フランチャコルタの横綱の一角。洗練と迫力のスパークリング ワインとスティルワインもご紹介!第4回 9月23日(火) 19:30~21:30 ルンガロッティ http://www.lungarotti.it/※イタリアのへそ「ウンブリア州」のリーディングワイナリー。 歴史とワインの深いつながりを大切にしています! 受講料は、全4回で¥40000(税込み) ビジター参加もOKです。 第1回 ¥10000(税込み) 第2回 ¥12000(税込み) 第3回 ¥13000(税込み) 第4回 ¥10000(税込み)※当日、現金にてお支払いください。※最低催行人数は6名様、定員は20名様です。 満席になりしだい締め切らせていただきます。 ※ お申し込みは、ヴィーテ・イタリア高岡まで 090-3973-6688または、viteitalia@maia.eonet.ne.jp まで!!京都における上級編は、マニアックな比較テイスティングの場。ワインの味わいをひたむきに楽しみます。大阪における上級編は、同じマニアックさながらも、ワインと生産地、そして人間のつながりを発見する場です。イタリアワインスクール「ヴィーテ」昼下がりの初級編です!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」中級編で全イタリアを巡ります!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」京都の上級編です!6月18日(水)~京都河原町イタリアワインスクール「ヴィーテ」大阪の上級編です!6月24日(火)~大阪心斎橋
2008/05/08
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有難うございます。現在、第一回6月18日(水)の会は再度予約で満席となりました。多少の変化が出るやもしれません。ウェイティング・リストでお待ちになられることも可能です。7月以降の会はまだ少しだけ空きがございます。大変長らくお待たせいたしました!京都での上級編を告示いたします。まず、初級(プリンチピアンティ=初心者向き)中級(アッパッショナーティ=イタリアワイン&料理入門編)と二つの段階を経なければ上級編を受講することができないというわけではないことをここで強調しておきたいと思います。同じことは、初級編でも中級編でも言えます。テーマはそれぞれ毎回変わりますから、興味のあるクラスにその都度、都合の良いときに参加していただくのが一番ですから。「上級編」でお届けしたいのは、「イタリアワインの世界をもっともっと知りたい!」という方への感動や喜びというものです。ですからテーマ的には、当然よりマニアックなものになりますので、「ワインをあまり飲んだことがない!」という方には、ちょっとレベルが高すぎるかと思います。ある程度、ワインを経験されている方、おそらくワインスクール「ヴィーテ」なら、初級編のテイスティング講座を終えた人には十二分に楽しんでいただける講座になると思います。もちろん、初級編を経験されていない人でも、ワインが大好きで常に飲んでいらっしゃるような方なら、全く問題なくレッスンについてこられると思います。テイスティングに関しては、丁寧に指導いたします(^^)進め方としましては、1.テーマとなる世界についてのレクチャー!ワイン法を覚えるというようなことは一切ないです。テーマ世界についてのジャーナリスティックな話題や僕のイタリアでの経験を基にしたお話です。2.ワインの比較テイスティング主に上級編では、銘柄(DOC,DOCGなど)やヴィンテージあるいは、ブドウ品種や醸造法などを基準にして比較テイスティングします。テイスティングはブラインドが基本姿勢です。3.パンとチーズで楽しむ!学習した後の「ホッコリタイム」もワインが求める時間です(^^)「これが美味しい!だって・・・」「いや、俺はこれだ!なぜって・・・」「私は、こいつは不味いと思う!というのも・・・」などの会話も含めて、盛り上がりましょう!!ということで、ワインスクール「ヴィーテ」のマニアック編始まります!! 上級編 京都 場所: ワインバー「ロスコ」 河原町通り六角東入る コチラ 〒604-8032 京都市中京区六角通河原町東入ル 六角ビル3階 第一回 6月18日(水) 19:30~21:30 イタリアの土着ブドウの個性を探る その1 北イタリアの白ブドウ 第二回 7月9日(水) 19:30~21:30 イタリアの土着ブドウの個性を探る その2 南イタリアの白ブドウ 第三回 8月13日(水) 19:30~21:30 イタリアのスパークリングワイン アルプス山麓 と ポー川以南 その1 第四回 9月10日(水) 19:30~21:30 イタリアのスパークリングワイン アルプス山麓 と ポー川以南 その2 受講料は、4回シリーズで ¥28000(税込み) 各回のビジター参加も可能です。 第一回、第二回、それぞれ ¥7000(税込み) 第三回、第四回 それぞれ ¥9000(税込み)※ お支払いは当日現金にて、お釣りのないようお願いします。※ お申し込みは、ヴィーテ・イタリア高岡まで 090-3973-6688または、viteitalia@maia.eonet.ne.jp まで!!※ 最低催行人数は6名様です。最高は10名様までです。では、イタリアワインにあつ~~い、あなたのご参加をお待ちしておりますよ!!!※ 大阪での「料理とワインの上級編」も明日発表です!!イタリアワインスクール「ヴィーテ」昼下がりの初級編です!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」中級編で全イタリアを巡ります!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」京都の上級編です!6月18日(水)~京都河原町イタリアワインスクール「ヴィーテ」大阪の上級編です!6月24日(火)~大阪心斎橋
2008/05/07
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塩野七生ルネサンス著作集(2)この本のまえがきには、以下のような愉快な部分があります。-----------------------------------------------------「ルネサンスの女たち」の成分表政略結婚 8戦争 2略奪 2暗殺 6恋 4牢獄 2gokan 1(←漢字で入力すると削除されます(^^;)処刑 4そして権謀術数にいたっては数知れず。-----------------------------------------------------実にどろどろとした人間の暗部、ネガティブな部分がその成分のほとんどを占めているように見えますが・・・。また、こんな言葉も。映画「第三の男」のオーソン・ウェルズのせりふとして------------------------------------------------------「きみは僕の悪人だと非難する。しかし、数百年の平和の後に、スイスはハト時計をつくっただけなのに、ボルジアや他の連中が悪事を尽くしたと非難されるルネサンスの時代には、レオナルドやミケランジェロによって、偉大な文化が花開いたではないか」------------------------------------------------------息を呑むような圧倒的な美しさとは、数々の政治闘争と戦争、権謀術数に明け暮れる人間の業と表裏一体、切っても切れないカップルのような存在なのでしょうか?少なくとも歴史はそれをしっかりと物語っています。第一章の、カテリーナ・デステにしても、彼女が芸術家のパトロンとしてヨーロッパ中の賞賛を浴びた事実は、文芸の庇護者だから、つまり戦争という惨くも醜い人間性とは対極的なモノに情熱を注いだから、ということに世評ではなっていますが、実のところは、マントヴァの領主としての彼女のプライドこそが、いえ、というよりも、自らとその国を守るという目的のために使った道具こそが文化芸術であり、手段がその庇護あったという意味で、芸術の歴史における意味合い、位置づけがより本質的、核心的に浮かび上がってくるように思います。※カテリーナ・デステが嫁いだマントヴァのゴンザーガ家直系 子孫所有のワイナリー!「ヴィニ・ディタリア」で10ヴィンテージ、最高評価であるトレ・ビッキエリを受賞。サン・レオ...第二章、ルクレツィア・ボルジャ。チェーザレ・ボルジャの妹ですな。権謀術数の誉とは父である教皇アレッサンドロ6世といえるほどに、当時イタリアを蹂躙しようと画策していた大国フランスの懐に入り込み、まさに返し技で一本を取ってしまうような老獪さと強靭な精神で「イタリア統一」を夢見た法王の娘。「女を知ることは歴史の真実を知ること。ある時代をよく知ろうと思ったら、その時代の女たちを良く調べるとよい」とゲーテは言ったそうですが、ルクレツィア・ボルジャほど父と兄に翻弄された人生を歩んだ女もいないのではないかと思えるほどで、3人目の夫(二人目は兄に暗殺される)がフェッラーラ公エルコレで良き夫だったことがせめてもの慰めですが、それでも男たちの政争の道具にされて、その果てにはフェッラーラを教皇領に奪われるのですから・・・ボロ布のように使い捨てにされた女というイメージを持ってしまいます。それだからこそ、彼女を通して、当時の歴史の激烈を極めた、食うか食われるかの凄まじいばかりの争いが際立って見えてきました。※ローマのお膝元、フラスカーティ地区のメルローです。第三章は、カテリーナ・スフォルツァです。イタリアの女傑。イタリアルネッサンス最高の、美しく、残忍な女。スフォルツァの名で、ピンと来る方もいらっしゃると思いますがミラノのスフォルツェスコ城のあのスフォルツァ家の、あのイル・モーロの姪に当たります。いわば下克上の時代でもあった戦乱の中で、様々な豪族、野武士たちが傭兵としての技量を争いあっていた時代、その勝ち抜き戦で優勝したのがスフォルツァ家だった、といえるのですが、その血の気の強い気性を受け継いだカテリーナは、小国ながらフォルリの伯爵夫人となり、夫なきあとは自ら軍の先頭に立ってチェーザレ・ボルジャ率いる教会軍との攻防を戦います。籠城戦を制したチェーザレ・ボルジャは、自らの部屋に彼女を監禁して、「イタリアの女傑」を陵辱したと言われますが、その後の一年間におよぶローマのサンタンジェロ城での監禁の後は、あのサヴォナローラに魂の救済を求めるほどに強靭な精神は潰えていきます。この晩年の彼女を評して、「神の恩寵の勝利」とヨーロッパの歴史家たちは彼女の一生を終わらせるそうですが、塩野七生さんによると「彼女が惹かれてやまなかったのは、金と権力と恋、 これらを失い、再び手に入る可能性がなくなって 初めて、神に近づき始めた」と結んでいます。ルネッサンスの輝きの一つに彼女の「女傑ぶり」が加えられることによって、その光と影のコントラストは一層に強くなり、その魅力も増していくように感じます。倫理的な「善悪」というものなど、ルネッサンス世界が含みうるほんの一部に過ぎないのだということを思い知らせてくれる人物像です。※フォルリIGT 第4章は、ヴェネツィア共和国のカテリーナ・コルネール。ここでルネッサンスは、東方のオスマン・トルコの台頭という要素を取り入れなければならなくなります。1453年にビザンチン帝国の首都コンスタンティノープルがトルコによって陥落させられると、その触手を徐々に西方に向かって伸ばしてくる勢力に対して、どう立ち向かうか。もちろん当時それに最も敏感だったのが東方貿易でヨーロッパ有数の栄華を誇っていた商人の国家ヴェネツィア共和国でした。その政治的、戦略的拠点としてキプロス王に嫁ぎ、王なきあと、ヴェネツィア政府の傀儡として好き勝手に利用されたのがカテリーナ・コルネールでした。ヴェネツィア政府は、彼女を利用することでキプロス人の名誉を傷つけることなく「併合」し、レヴァンテと呼ばれる東地中海の、しばらくの制海権を独占することに成功します。併合後、カテリーナ・コルネールは、表向きは「優雅な年金生活」を現ヴェネト州のグラッパの里「バッサーノ・デル・グラッパ」近郊のアソーロで送ります。そこで花開かせた宮廷文化もヴェネツィアルネッサンスを語るうえでは重要なのかもしれませんが、この章では「国家の傑作」ともいえるヴェネツィア共和国の実利主義目的を達成するためには、いかなる手段も実行に移す、しかも、表面上は平和裏に、当の本人にも気づかないように一国の女王から権力を奪取してしまう芸術のような政治手腕です。※バッサーノ・デル・グラッパの名手中の名手!全章を通じて、「女の哀れ」というものが、強く、深く、ギラギラと輝きながらにじみ出てきます。そして同時に、それぞれの人間として、女性として生きる刻印=個性が、時代と彼女たちが生きた国と歴史の中に活き活きとまた冷徹な視線と、そして大きな愛着と共に書き込まれていました。塩野七生の処女作です。この頃からもう存分に塩野七生だったんですね(^^;)彼女自身が、カテリーナ・スフォルツァでありカテリーナ・デステである。そして決してルクレツィア・ボルジャでもカテリーナ・コルネールでもない。そんな気がします。イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」京都の上級編です!6月18日(水)~京都河原町イタリアワインスクール「ヴィーテ」大阪の上級編です!6月24日(火)~大阪心斎橋
2008/05/06
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第1位 アスタンジャ アルベルト・ロイ社第2位 アリアニコ・コンタード ディ・マヨ・ノランテ社第3位 バルバレスコ フラテッリ・グラッソ社第4位 ヴァルテッリーナ・スペリオーレ リセルヴァ サッセッラ ネーラ社 第5位 ロッソ・ピチェーノ・スペリオーレ イル・ブレッチャローロ ヴェレノージ社 第6位 オルトレポ・パヴェーゼ コンソレ・マルチェッロ カステッジョ生産者ワイナリー第7位 ネロ・ダーヴォラ-メルロー ヴィニェーティ・ザブ第8位 ピノ・グリージョ テッレ・デッリ・オーシIGT ファルネーゼ社第9位 ソーヴィニョン ヴァルブルーナ ラ・プレンティーナ社第10位 ロッソ・ディ・トスカーナ イル・ノットリーノ ノットーラ社10のうち、南イタリアが4、北イタリアが6。でも1位と2位を独占したのは南イタリアのワイナリーでした。最後に、「有料試飲コーナー」でテイスティングしたワインをご紹介します。もちろん、今までのワインの中では最も高価なワインになります。サンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャ アーヴィ 04サン・パトリニャーノ社凝縮していて、紫色の反射が実に濃密で美しいロースト香、煮詰めたチェリー、バニラ strutturatissimo!!(ストラクチャーがめっちゃしっかり!)凝縮感の中にあるフルーツと樽のバランスが素晴らしい!アヴィ・サンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャ[2004]スペリオーレ・リゼルヴァ以下、インポーターさんのコメントに対して僕がコメントする形で進めます。太字がインポーター稲葉さん、細字が僕です。畑は標高200mの場所に12haあり↑ 200mというのは「セールス」の文句ではない。ブルネッロなら150m~400m、キャンティクラッシコなら300m前後が平均でしょうか。標高が高いほど寒暖の差が出来やすく良い葡萄ができます。とはいえ、ボルゲリの海に近いところなら標高50m前後ですから・・・低いことが品質を左右するものでもないでしょう。ですから、この数字からは、「それほど恵まれた標高ではない」ということが言えますが、ワイン作りはすべての連鎖の仕方で決まりますから、それを決め付けることもできません。でも、ストラクチャーがきっぱりと出ているこのワインからは標高200mでも非常に気候的に冷涼な環境にある、または収穫を絞りに絞ったということも言えると思います。葡萄の樹は、6250~7400本/ha の密度で植えられています。 ↑ 密であればあるほど、ブドウの根が垂直に深く根付きやすく、深層のミネラル質をワインに伝えやすいと言います。また、冷涼な地域なら密植することで、畑の表面温度を保ちやすくする効果があるようです。極端に多い密植で10000本/ha以上のところもありますが、7000本というのはなかなか行き届いた、モダン醸造に忠実な数字ということがいえると思います。葡萄は選別され、60%しかワインになりません。 ↑ 60%なら非常に平均的な数字だと思います。ただ、60%でこれだけの凝縮感が出るのですからすごいブドウを作った!と、かえって、この数字と品質のアンバランスに驚かされてしまいます!生産量は、30000本です。 ↑ 12haで30000本。1ヘクタールにつき2500本。ブドウの樹の本数が平均7000本あるとして、1本のブドウの樹からワイン0.35本のワインが出来る!つまり、一本のブドウの樹からハーフボトルも出来ないんですよ!すごい投資だと思いません?!?で、この価格でしょ?正味、本体価格6500円で30000本なら日本で稲葉さんが全部売りさばいたとしても2000万円行かないんですよ。当然、この値段がそのままワイナリーの利益になることはありえません。ただ・・・さらに、大きく夢の膨らむ投資と思えてなりません。国際的な名声が更に大きくなると、一体どういうことが起こるんでしょうか。面白くもあり、楽しみでもあります。これが「ワインビジネスの面白さ」なんでしょうか?いえいえ、そういうわけでもなさそうです。実は、このワインの作り手は、非常にユニークです。本当にイタリアらしい!詳しくは後で触れましょう。アルコール発酵とマロラクティック発酵はアリエ産のトノーで行い、熟成期間は12ヶ月です。 ↑ 発酵から樽で行うのも実にモダンです。というか、昔はどこでも樽でやってきたことなんでしょうがフレンチオークのトノー(バリックより一回り大きい)で行うことが、やはり最先端なのでしょう。ラベルは毎年デザインされ00年はイタリアで最高のラベルとして賞を獲得しています。 ↑ この辺りに特別な感慨はありません(^^;)このワインは、ロマーニャならではの葡萄品種サンジョヴェーゼの素晴らしい表現力を象徴することを意図して造られています。 ↑では、トスカーナのサンジョヴェーゼとどう違うのかという問題が出てきます。これを見分けることが出来るのは非常に難しいように思います。サンジョヴェーゼ・グロッソとかサンジョヴェーゼ・ピッコロという二つのサンジョヴェーゼのクローンについての議論はありますが、あまり品質に関わりがあるとは思えません。概して、トスカーナの良質ワイナリーの層の多さと歴史的な長さ、そしてサンジョヴェーゼというブドウの由緒の正しさから言えば、トスカーナがロマーニャ地方より一歩も二歩もリードしていると見ることは間違いではないと思います。ただ、これだけグローバリズムが進んだ世の中にあって、サンジョヴェーゼの優良クローンが大量生産地方であるロマーニャ地方に輸出されそれがアヴィに使用されていることは十二分に考えることは可能だと思います。因みに、僕はこのワインの中に、ロマーニャらしさというものは、あまり感じませんでした。超優良のサンジョヴェーゼという印象は受けましたが。さて、最後にこのサン・パトリニャーノというメーカーに触れておかないといけません。HPに立ち寄るといきなりこんな文面に出くわして面食らうのです。Senza esercitare alcuna azione educativa, creare rapporti con i giovani, incontrarli realmente le campagne di prevenzione ottengono poco. In una lettera di Andrea Muccioli al Giornale il nocciolo del problema: “La droga nasce nel vuoto educativo in cui abbiamo abbandonato i giovani”何らかのしつけを講じることも、人間関係を築くことも現実的に出会うこともなしに、予防キャンペーン張る意味はほとんどない。アンドレア・ムッチョリがジョルナーレ誌に書いた問題の本質は、「麻薬は、我々が若者を見放す過程ともいえる”しつけのない”ところに生まれる。このサン・パトリニャーノは、主に麻薬患者の更正施設なんですね。ヨーロッパ最大ともいえる1800人の若者が、ここで、主に、ワイン、オリーブオイル、サラミ、ハチミツを生産しながら、麻薬を絶つこと、社会的生活への復帰を目指しているということです。アヴィというこのサンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャリセルヴァは、 A VINCENZO ア・ヴィンチェンツォつまり、「ヴィンチェンツォに捧ぐ」という意味でありヴィンチェンツォとは、この施設を70年代後半に創立したヴィンチェンツォ・ムッチョリ氏のことで、上記のアンドレアムッチョリ氏は、その息子で、現代表であるようです。これで、価格の安さの理由が判明しました!!エミリア・ロマーニャといえば、伝統的に共産党一色の州であり、その「まっかっか」の様子はベルナルド・ベルトルッチの映画「1900年」にも顕著に出てきますが、社会運動としての左翼系活動の活発さは、現在でも非常にアグレッシブで、その起源は一体なんだったのか興味をそそられるものがあります。それにしても、我が国では麻薬患者というのは一種の「よそ者」的存在の域を出ないと思えるのに、かの国では、トレ・ビッキエーリつまり、イタリアワインのスターたちを生み出す職人になりえるんですね。イタリアワインに親しんでいると、こういう社会の深みを知ることになる・・・・本当にすごい国ですわ、イタリアは。醸造家は、リッカルド・コタレッラ・・・ま、また、ですか(^^;)アヴィ・サンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャ[2004]スペリオーレ・リゼルヴァイタリアワインスクール「ヴィーテ」昼下がりの初級編です!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」中級編で全イタリアを巡ります!5月15日(木)~大阪江坂
2008/05/05
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第10位 ロッソ・ディ・トスカーナ イル・ノットリーノ第9位 ソーヴィニョン ヴァルブルーナ第8位 ピノ・グリージョ テッレ・デッリ・オーシ第7位 ヴィニェーティ・ザブ ネロ・ダーヴォラ-メルロー第6位 オルトレポ・パヴェーゼ コンソレ・マルチェッロ第5位 ロッソ・ピチェーノ イル・ブレッチャローロ第4位 ヴァルテッリーナ・スペリオーレ・リセルヴァ サッセッラ第3位 バルバレスコ 1998 フラテッリ・グラッソ第2位 アリアニコ・コンタード 2004 ・ ・ 第1位 イーソラ・デイ・ヌラーギ IGT アスタンジャ アルベルト・ロイ社 オリがかなり出ている。ガーネットがかったルビー色。 セメダイン、 トマトジュース、樽香 ドライフルーツ、スミレのドライフラワー 酸化香、グアバジュース、ミント(サロンパス) レザー、チョコのニュアンス 時間が経つと黒蜜、栗のロースト アタックの何たる滑らかさ!バランスの素晴らしさ! タンニン細やか 余韻に火打石、ミネラル、ドライプラムや 小さな赤い果実 希望的予測価格 ¥5000 実際の希望小売価格 ¥4620アルベルト・ロイ アスタンジア I.G.T 2002【解説とブラインドを解いたあとの感想】いや~、楽しいワインです!ブドウは、カンノナウ70%、カリニャーノ、ボヴァーレ、ムリステーロで30%。このあまり知られていないサルデーニャの土着ブドウの数々がこれだけ顕著に香りの複雑さを出してくるのでしょうか。とにかく、色んな香りが言葉としてどんどん出てくるので、テイスティングしている間中、本当に楽しくて時間が経つごとに、「次はどんな香りかな?」などとワクワクしながら、グラスを鼻に近づけていました。最初の「オリが出ている」というのは、おそらくボトルに残っていたワインがだいぶ少なくなっていたからだと思います。ですので、これだけ複雑な香りを楽しもうとしたときやはり、かなり前の、最低でも1時間は前の抜栓かデキャンタージュはする必要があるかと思います。オリがあるのは心配する必要ないです。品質を見てみて、行き過ぎた酸化香がないこと、味わいでの酸の突出がないなどが確認できたら、このオリは欠点ではなく、かえってワイナリーのワイン作りへの強い姿勢の表れと見て良いかと思います。オリにも旨み成分があるわけですから、これをワインに閉じ込めないわけには行かないのですよ。料理において、灰汁や脂に旨みが多分に含まれているのと一緒だと思います。綺麗なミネラル香が果実香と樽香にまとわりついていてスモーキーなようで、非常に繊細な火打石の匂いが余韻で感じられたときは、ハッとして嬉しくなります。火打石は、土壌のミネラル質がワインに凝縮して表現された時に現れる香りだと思うのですが、ライターとか花火のときの匂いをイメージしていただくといいかも。ワイナリーのHPに、醸造法が載っているのですが、面白いことにカンノナウの伝統的な醸造法として「カーボニックマセレーション」を採用しているんですね。これは主に新酒で使用される醸造法ですけど、これによって速い速度で酸の棘を丸めることができます。その後は、1年使用したバリックでの熟成です。2002年は、サルデーニャではどんな気候だったのでしょうか?有名産地では雨の被害が甚大だった年で、プレステージの高いワインは作らなかったヴィンテージと記憶しています。ですが、このアスタンジャをテイスティングする限り、そうしたマイナスをイメージさせるものは微塵もなくだからこそ、他のヴィンテージも飲んでみたいという強い欲求を感じます。現当主の父であるアルベルト・ロイが戦後に興したワイナリーでそれまではシンプルなブドウ耕作人だったそうです。今はサルデーニャのカンノナウの作り手として代表的なワイナリーに成長して、土着の個性の表現に邁進しているワイナリーです。サルデーニャといえば、あの映画「モンドヴィーノ」でブドウ耕作人のじいさんが登場して、「人間の尊厳」を説く重要な場面の舞台がサルデーニャでしたね。あのじいさんは一見に値すると思います。モンドヴィーノ(DVD) ◆20%OFF!とはいえ、伝統とグローバリズム=モダンという二元論、二極対立という図式ではなく、双方の長所、短所を評価しつつ、サルデーニャという稀有の個性を表現するワインを造る方向に向かうと、おのずと醸造テクニックではなく、畑での仕事をいかにするかという所に行き着くしかないと思います。アルベルト・ロイのワインは、その基本中の基本を十分に感じさせてくれるワインだと思います。香りの複雑味で楽しんでください。料理の相性は、やはり熟成型のペコリーノ・サルドがベストでしょうね。あるいは、イノシシとかちょっと臭みのある肉の煮込み料理。モツ系の煮込みとか、スジ煮込みとかね・・・ああいいなあ食いてえなあ(^0^)ワイナリーのHP http://www.cantina.it/albertoloi/ には料理との相性についても、詳しく載っています。ampie le possibilit・di accostamento dalle produzioni pi・saporite della salumeria regionale e nazionale, ai primi piatti ben conditi, torte salate ricche di condimenti, carne alla brace ed anche grigliate di pesci saporosi come muggini ed anguille, brasati di tonno, pesci al forno ai sapori dell弛rto.「サルデーニャやイタリアの味の(塩気の)しっかりとしたサラミ類から、しっかりとした味付けのパスタ類、または調味料を豊富に使った前菜系のタルト、肉の網焼き、ボラやウナギなどの味のしっかりとした魚のグリル、マグロの煮込み料理、魚のオーブン焼きで野菜をふんだんに使ったソース」とあります。いわゆるパワフル全開の赤ワインと違って、繊細で少し「弱さ」もある食材やソースを要求してくる辺り、このワインの繊細さ単なるパワフル系のワインではないことをアピールすることにもつながっているのだと思います。アルベルト・ロイ アスタンジア I.G.T 2002イタリアワインスクール「ヴィーテ」昼下がりの初級編です!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」中級編で全イタリアを巡ります!5月15日(木)~大阪江坂
2008/05/04
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第10位 ロッソ・ディ・トスカーナ イル・ノットリーノ第9位 ソーヴィニョン ヴァルブルーナ第8位 ピノ・グリージョ テッレ・デッリ・オーシ第7位 ヴィニェーティ・ザブ ネロ・ダーヴォラ-メルロー第6位 オルトレポ・パヴェーゼ コンソレ・マルチェッロ第5位 ロッソ・ピチェーノ イル・ブレッチャローロ第4位 ヴァルテッリーナ・スペリオーレ・リセルヴァ サッセッラ第3位 バルバレスコ 1998 フラテッリ・グラッソ ・ ・ ・ 第2位 アリアニコ・コンタード 2004 それほど凝縮しないルビー色 凝縮した果実、ミネラル、そして樽香、バニラ 実にバランスよく整然と並んでいる アルコールしっかり感じる。 酸とタンニンのバランスよく、アルコールの滑らかさと 一体感を持ちながらも、はっきりとした線を見せる。 全体に強く、まとまりがあり、それでいて大仰ではなく コンパクトにまとまっている。 きれい、かなりきれい! 希望的予測価格 ¥4500~ 実際の上代価格 ¥2625(税込み)コンタド アリアニコ[2004]/ディ・マーヨ・ノランテ【解説とブラインドを解いた後の感想】価格から見てこの質の高さは、「ありえない!!」このディ・マーヨ・ノランテの当主のアレッシオ・ディ・マーヨ・ノランテさんには、大阪とトリノでお会いしたことがありますが、非常に人当たりが丁寧な方で、特にトリノでお会いしたときはこのワインが「トレビッキエーリ」に輝いたそのテイスティング会で、大変な忙しさだったことでしょうが、挨拶に行くととてもうれしそうな表情をしてくださったことが印象に残っています。このワイナリーの哲学は、 クオリティーの高い南イタリアの土着ブドウの 持ち味を発揮したコストパフォーマンス高い ワインを、一般の方々に楽しんでいただく!という実にシンプルで実に正しいものです。そして、それを徹頭徹尾実践されているところが凄い!この品質の高さで、ファーストラインじゃないんですよね。まだまだ凄いワインがある。ドン・ルイージ!!ドン ルイジ2004ディ マーヨ ノランテ醸造家は、リッカルド・コタレッラですが、このベスト10の6位でも触れましたが、コタレッラは本当にコンサル担当するワイナリーが多すぎる!その中で、このディ・マーヨ・ノランテでは、このアレシオさんが、「私の父である!」と実直に語られるように畑のことから醸造の、まさに秋の一番忙しい時期に至るまでコタレッラが実際にワイナリーを訪れて面倒をみているのが、このノランテ社であるらしく、ファレスコというコタレッラ自身のワイナリーに続いて、いわゆる「コタレッラスタイル」というものが信憑性を帯びてくる、それだけに、手は抜けない作品群となっているのがノランテ社のワインだと思います。このワインは、実は、2003年までのスタイルと少し雰囲気が変わったようにも思いました。前まではもう少し果実味の凝縮感、重さというようなものがあり、モダンスタイルが絢爛と出たものだったと感じていたのですが、このワインでは、その複雑な香りの整頓具合といい、味わいのバランスと程よいボディー感といい、実に「エレガント」なワインに仕上がっています。もちろん、3位、4位で触れたようなネッビオーロ的な淡く美しいスタイルというものとは違いますが、重々しいモダンスタイルとは完全に一線を画した、それでいて壮麗なたたずまいは保持しています。香りの描写で、「整然と並んでいる」と書きましたがこれはそれぞれの香りのノート、果実、スパイス、ミネラルが非常にバランスよく、引き出しに収められていることを意味し、果実一辺倒、スパイス一辺倒というずけずけしたスタイルとは全く違うという意味です。ワインのレベルがワンランク上がった、というのがコンタードに関する正直な感想です。そして価格は以前と変わらぬ評価ながら、このワイナリーの哲学を貫いたものとなっています。素晴らしいの一言に尽きます。もうすでにイタリアワインファンにとってはこのワイナリーの質とコストのバランスに関しては周知の事実なので新しいヴィンテージを手にとっていない方には是非お勧めしたいですし、まだ飲んだことのない人には、南イタリアを代表するワイナリーと南イタリアではナンバーワンの格を不動のものにしつつあるアリアニコ種のコラボを是非ともこの価格で楽しんでいただきたいと思います。あと、このワイナリーのあるモリーゼという州について触れておきましょう。もともとモリーゼという場所は、12世紀以降ののシチリア王国、ナポリ王国の領土で、その頃の行政区の名前を コンタード・ディ・モリーゼと呼んでいたそうです。コンタードというのは、辞書を引くと「郡部」「都市周辺領地」と出てくるのですが、別の資料によるとコンタードまたはコンテアと書かれているので、この南イタリア両王国の「伯爵領」と考えて良さそうです。イタリア語で、農民のことを「コンタディーノ」と呼びますがこれは都市周辺部、伯爵領を意味するこのコンタードから派生した言葉と思われます。このワインに託すディ・マーヨ・ノランテの意志が、過去の歴史、南イタリアの非統治の歴史と無関係ではないところも、無視すべきではないでしょう。「モリーゼという州の特徴は?」とアレッシオさんに質問したことがあるのですが、「ん~~、困ったなあ~~」というのが第一声でした(^^;)貧困州で、コレといった歴史の舞台になったこともない1971年まで、アブルッツォ州に含まれていたところです。イタリア全体、そして世界にモリーゼの名前を轟かせたその歴史上の第一人者こそ、ディ・マーヨ・ノランテのアレッシオさんということがいえるかも知れません。パスタメーカーに「ラ・モリサーナ」というのがありますね。僕がイタリア滞在時代に愛用していたパスタでもあります。このパスタメーカーもモリーゼを代表する、そして日本にも届いてくるモリーゼの贈り物ですね(^^)【ラ・モリサーナNo16スパゲッティ業務用5kg】関西超有名イタリア料理店のプロも使う黄金のパスタコンタド アリアニコ[2004]/ディ・マーヨ・ノランテイタリアワインスクール「ヴィーテ」昼下がりの初級編です!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」中級編で全イタリアを巡ります!5月15日(木)~大阪江坂
2008/05/03
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第10位 ロッソ・ディ・トスカーナ イル・ノットリーノ第9位 ソーヴィニョン ヴァルブルーナ第8位 ピノ・グリージョ テッレ・デッリ・オーシ第7位 ヴィニェーティ・ザブ ネロ・ダーヴォラ-メルロー第6位 オルトレポ・パヴェーゼ コンソレ・マルチェッロ第5位 ロッソ・ピチェーノ イル・ブレッチャローロ第4位 ヴァルテッリーナ・スペリオーレ・リセルヴァ サッセッラ ・ ・ ・ 第3位 バルバレスコ 1998 フラテッリ・グラッソ 薄いルビー色 ややオレンジ色の反射 タンニンの粒子の香り 果実味、ミネラル、スパイス、フレンチオーク 締め付けるタンニン オークの香りがもう少し取れると素晴らしい ややモダンな色気を出した伝統的スタイル 飲んじゃった 希望的予測価格 ¥5000 実際の希望小売価格 ¥3675(税込み)グラッソ・フラテッリBarbarescoバルバレスコ1998【解説とブラインドを解いた後の感想】このワインに関しては、テイスティング前にラベルが目に飛び込んでしまったので、完全にブラインドではないです(^^;)最後の「飲んじゃった」というのは、僕はテイスティングの時は必ず、口蓋の中で学習した後、ワインを専用の吐器に吐くようにしているので、このワインは美味しすぎて思わず「飲んじゃった」ということです(^^;)ただ、いつもの議論ですが「美味しすぎて」というのも、ネッビオーロを使ったワインの場合、いわゆるシンプルでマッチョな「美味しい」というのとは、違います。前回のヴァルテッリーナでも触れましたが、ネッビオーロ種のワインの美味しさは、ワインそのものの美味しさ、まさに文字通り 「目、鼻、口、余韻、すべてに美しいワイン」という「鑑賞を楽しむ」ワインの美味しさです。視覚では、ルビー色の粒子の隙間からオレンジ色が漏れています。ガーネット色です。オレンジ色は、夕焼けの色だからでしょうか、心を落ち着かせる、というよりは恍惚とさせる美しさがあるように思います。やや黒味を帯びたルビー色とそこからこぼれるオレンジ色の全体には、これから始まるドラマの始まりをはっきりと印象付ける力があります。香りはでは、はっきりと熟れた果実を感じることができます。限定するとしたらブラックチェリーやブラックカラント、黒色をイメージさせる小さな果実が非常に良く熟れた香りです。ただ、この果実は顕著じゃない。様々な複雑な香りで込み合ったグラスの中の空間で、かき分けるように果実を探す必要があります。そして、探し当てた暁には、その香りの土台をきっちりと支える要素としてその存在を際立たせてくる、という果実香の出方です。ミネラル香は、石や砂、または磯の香りを感じさせます。「タンニンの粒子の香り」と書きましたが、最初に鼻をついた強い香りは、時間と共に中和されてきます。これは主に「葉っぱ」の進化系の香りだと思います。若いワインは、葉っぱは葉っぱでも緑のイキイキとした鋭角的な香りを出しますが、熟成とともにその葉っぱは、枯葉や発酵させた紅茶のような香りに変わっていきます。この香りがミネラルと同居することによって、相乗効果で「紅茶の出がらし」のような香りや、僕がとってつけたように書いた「タンニンの粒子の香り」という風にお互いが強調しあうように思います。スパイスは、甘みのあるスパイスですね。シナモンや丁子、というよりは、もっとバニラの香り。これはフレンチオークからの香りですが、この辺りが果実の出方に比べるとやや強すぎるように感じます。酸とタンニンは、ネッビオーロの力強さが出ています。ワインを単純にフルーティーな飲み物と理解している人には分かりづらい魅力かもしれません。何といっても、バルバレスコの、いえイタリアワイン界の巨匠といっても過言ではないアンジェロ・ガイアにして「このタンニンを愛さなくてはいけない」と黎明期にアメリカ人に解説したくらいですから・・・バルバレスコという名前は、イタリアの歴史を見ていると非常に気になる名前です。バルバロは「蛮族」「野蛮人」を表しますが、ローマ時代ユリウス・カエサル前のガリア人、ギリシャ語的な呼び名ではケルト人を意味する言葉だからです。ユリウス・カエサルがガリア地方、すなわち現在のフランスとベルギー付近を文明化することによってヨーロッパという概念が生まれるわけですが、彼の時代つまり紀元前一世紀は、このピエモンテ地方にしてもロンバルディアにしても、ヴェネトにしても、まだケルト人の住まいだったんですね。バルバレスコ関係の資料を見ていると、その歴史は「ローマ人が原住民であったケルト人に、マルティネンガの樫の森を伐採させ、ブドウの木(ヴィーテ)を植えさせたことによって始まる」とあります。マルティネンガというのは、現在グレージ侯爵家が所有するバルバレスコでも有数のクリュの一つで、ローマ時代から「軍神マルスの住処」と呼ばれた畑で、このMARTEという言葉がマルティネンガの語源だそうです。http://www.marchesidigresy.com/testi/vigneti.html ↑ 美しくも、いかにも高貴な畑の写真が拝めます!バルバレスコ・マルティネンガ・カンプ・グロス1998マルケージ・ディ・グレシィBarbaresco Mart...「蛮族の住むところ」というニュアンスがこの、世界で屈指のワイン村の歴史の最初を刻印しているところが面白いですし、軍神が宿る畑があるというのも、いかにもローマの軍人が入植した村という感じがしますね。バルバレスコ村は、ターナロ川を見下ろす高台にあって塔を持つ城砦が中心地にありますが、戦略的な意味でも重要な地点であったに違いなく、その地勢が同時にワイン作りにも活かされているという、ある種の矛盾にも、人間の生き残りをかけた業の必然というものを感じずにはいられません。このフラテッリ・グラッソのバルバレスコとしてはもうワンランク上のレベルである、クリュワイン、ソリ・ヴァルグランデがあり、より凝縮感のある緻密さを感じさせるワインです。バルバレスコ ソリ ヴァルグランデ1999グラッソ フラテッリ伝統、古典というものは、常に変化し、新しさを取り入れない限り風化するものです。そういう意味で、フラテッリ・グラッソのバルバレスコは伝統の趣を最大限に残しつつも、樽熟成による「甘み」の味付けをして、現代的嗜好にも合うバルバレスコを作っているという印象を受けます。このコストパフォーマンス!素晴らしいの一言です!!グラッソ・フラテッリBarbarescoバルバレスコ1998イタリアワインスクール「ヴィーテ」昼下がりの初級編です!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」中級編で全イタリアを巡ります!5月15日(木)~大阪江坂
2008/05/02
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開講します!空席まだございますので、参加ご希望の方は是非ご連絡ください。viteitalia@maia.eonet.ne.jp(高岡)まで。ワインの楽しさをただワイワイやるだけのワイン会ではなく、ただひたすらストイックにテイスティング技能や知識の習得に情熱を傾けるだけでもない、ちょうどその中間ぐらいの、スクールはないものか?つまり1.適当に飲むのではなく、自分の感性を磨くための テイスティング講座があり2.ワインを更に美味しく楽しむためのワインの バックボーンについての知識が得られて3.ワインと食事の相性について実際に感じ方を 交換し合え 4.ワイン文化や味覚について真剣に学びつつも その場の新しい出会いのひと時も大切に楽しみ たい!そんな愉快なスクールをヴィーテ・イタリアとワイン&創作和食ダイニング「じょうのや」じょうのや北浜店がコラボ企画しました!!こんな方にお役に立つことと思います!!1.ワインのテイスティングや一般的な知識にについて 知りたい!少し知るだけで、食卓の雰囲気がガラリと変わると思います。同じ料理、同じワインがそこにあったとしても、ワインのテイスティング、料理との相性について知っていると、時間の充実度が変わる、つまりは人生の質が変わります。2.ワインを「鑑定」する技能をつけたい。「鑑定」というと大げさな感じがしますが、名前も何も分からない状態で、テイスティングをして、そのワインがどういう質のワインなのか、また自分にとって価値のあるワインなのか、などを多角的に見ることが、ワインの本来のテイスティングの目的です。そのためには、ボキャブラリーを増やすこと、そして特に香りと味覚の世界をよく知ること、敏感になることが大切です。初級編ではその基礎をお伝えしています。これで、ワインの文化の深みにはまってしまう事間違いありません!3.ワインと料理の相性についてもっと知りたい!ワインと料理は共に手を取り合って発展してきました。昨今の「モダンワイン」の欠陥のひとつは、この文化的歴史的な「共犯関係」からワインを引き離しちゃったことにあると思います。ワインは料理と共にある。「では、何がどう合うことを”相性が良い”と言うのか」初級編では知識だけではなく、特に感性に照らし合わせて自分自身の「納得」を感じていただけるよう、基本的な食材ごとにワインとの相性を感じていきます!4.料理やワイン文化に好奇心、興味のある人々との 交流できるやはり「共に楽しむ」からワインは面白いのではないでしょうか?でも、ただワイワイやるだけでは何か物足りないですよね?ワインという文化の楽しさを十分に味わっていただきながら、同じ価値観でワインを楽しめる、そんな講座でありたいと思っています。ということで、和食と共に楽しめるイタリアワイン講座初級編!お気軽においでください!!「ワインの基本&和食とイタリアワインを愉しむ初級編」第一部 ワインテイスティングの基本とワインの知識アレコレ第二部 季節の創作和食とワインのマリアージュ第1回6月4日(水) 19:30~21:30ワインの知識 古代から近現代の歴史テイスティング 白・赤ワインのテイスティング法2第2回7月2日(水) 19:30~21:30ワインの知識 ブドウ畑とワイン醸造 テイスティング 白・赤ワインのテイスティング法2第3回8月6日(水) 19:30~21:30ワインの知識 イタリアワインとフランスワインテイスティング 白・赤&スパークリングワイン第4回9月3日(水) 19:30~21:30ワインの知識 複雑怪奇だから楽しいイタリアワインテイスティング 白・赤&デザートワイン第5回 10月1日(水) 19:30~21:30Gran Menu’ Degustazione(料理とワインの相性ディナー)大阪のイタリア料理店での実体験です。ホストテイスティングからソムリエとの交流までを「リストランテ」の雰囲気の中で学びます。場所は未定です。 場所は、大阪北浜のワイン&創作和食ダイニング「じょうのや」じょうのや北浜店 参加料は、全回 ¥30000(税込み) ビジター参加もOKです、1~4回それぞれ ¥6000(税込み) 第5回のみ¥12000(税込み) ※当日現金にてお支払いください。できるだけお釣りの 出ないようお願いいたします。 お申し込みは、ヴィーテ・イタリア高岡まで viteitalia@maia.eonet.ne.jp ワインを飲むときのウキウキ感が変わります(^^;)ヴィーテ・イタリアのスクール初級編へ、あなたも是非!!イタリアワインスクール「ヴィーテ」昼下がりの初級編です!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」夜の初級編です!6月3日(水)~大阪北浜イタリアワインスクール「ヴィーテ」中級編で全イタリアを巡ります!5月15日(木)~大阪江坂イタリアワインスクール「ヴィーテ」 京都の上級編で、イタリアワインを徹底検証!6月18日(水)~京都河原町イタリアワインスクール「ヴィーテ」 大阪の上級編は「ワインメーカーズ・ディナー!」!6月24日(火)~大阪心斎橋
2008/05/01
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