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樽工房ガンバのアポが遅れ気味になって、ランチの時間に突入。アスティ郊外のカステッラルフェーロからガンチャのあるカネッリまで約30分。ガンチャとのアポは1時半。軽いランチ時間をプログラムしていたので、全然間に合わない!ガンチャに電話して、時間をずらすように頼むも、他のアポがあるらしく、「すぐに来て欲しい!」と担当のお姉さんが強く要求してきます(^^;)参加者の皆様にはちょっぴり我慢いただいて、ガンチャのアポを優先することに。ガンチャでもワインテイスティング時にちょっとしたおつまみが出ることは知っていたので、なんとかつなぎにはなるかな・・・と。ガンチャは、ご存知の方も多いでしょう。イタリア最大級のスプマンテ生産者。最大にして最初の生産者ともいえその起源は19世紀の中ごろまで遡ります。創始者のカルロ・ガンチャがフランスでシャンパーニュ方式の醸造楽を学び、帰国後、本拠地をカネッリに構えることでガンチャの歴史が始まります。カルロ・ガンチャの先見性が秀でていたのは、フランス式のノウハウをイタリアの葡萄品種に導入しようとしたことですね。だから1920年代にフェデリーコ・マルティノッティが気圧を加えてアルコール発酵中に生成される二酸化炭素をワイン中に溶け込ませ、二次発酵ワインを量産するステンレスタンクを発明するまでは、モスカートを使ったアスティは瓶内二次発酵で作られていたことになります。(シャルマ方式のシャルマは、この”アウトクラーヴェ” と言うタンクの特許を取得して、これを広く普及させた ユージン・シャルマ。と言う説明をガンチャのお姉さまは しておりました。なのでガンベロロッソ誌やイタリア ソムリエ協会はあえて「イタリア方式」とか「マルティノッティ 方式」と呼ぶようにしているようです)残念ながら輸入はされていませんが、ガンチャ社にはピノ・ノワールとシャルドネをブレンドした瓶内二次発酵のワインが3種、そして瓶内二次発酵のアスティも生産しています。この二次発酵ワインを一次発酵の後に6ヶ月熟成させるバリックセラーからワイナリー訪問はスタート。カネッリの他の生産者と同様に地下からカネッリの丘の下に続く地下倉庫です。遠くでかなりけたたましいボトリング工場の音が鳴っていましたが、セラー内は暗く、ひっそりとしていて独特の静寂感があります。この静けさと独特の湿気は、しっとりとした感じとジメジメとした感じの中間的な塩梅で、これこそが近代以前のワインセラーの空気であることが感じられました。静かな場所は、瓶内二次発酵の現場。騒音激しい場所は、シャルマ方式・・・つまり量産システムの現場です。説明をききながら場所を移動するのですが、だんだんと「工場」的な騒音が近づいてきます。そこに修道士がいてもなんら違和感のない場所から一気にNASAの工場にでも来たかのような、20万リットル容量の一次発酵槽や温度管理された巨大ストック槽などが所狭しと並んでいます。kaoritalyさん提供の写真です。いつも有難うございます!!これはMTさん提供の写真です。有難うございます!ボトリングシステムに至っては、一時間に瓶詰できる本数なんと3万本!!キリンのビール工場に行ったときの事を思い出しました。一通りの説明を聞いて、また静寂の地・・・瓶内二次発酵のボトリングシステムに向かいました。ここでは一時間に400本の瓶詰です。もちろん機械化されていますが、デゴルジュマンやリキュールの添加という細かい作業が要求されていますから、その本数に当然限界があります。近くで数人の作業員が小さな浴槽に向かって、二次発酵を終えたボトルをボン!ボン!と抜いている光景を見ました。再びkaoritalyさんの写真です。何をしているのかを聞いてみると、出来上がりの気圧が7ほどなので、これを5,5ぐらいに弱めるために一端コルク栓を抜いて、気圧を弱める試験をしているとのことでした。単なる大量生産のワイナリーと言う意識を日本にいるとどうしても持ってしまうのですが、やはり質を重視したラインには細やかな作業を怠っていないことが分かりました。しばらく暗がりのセラーを歩いてから、ガンチャ社のinfernotto 「インフェルノット」に案内されました。インフェルノットとはピエモンテ方言では「インフェルヌッ」と発音されていましたが、いわば「地獄」という意味なのですがこれは自嘲的な表現で、ピエモンテの家庭の貴重なワインや家宝を隠しておく、一番奥にある部屋のことらしいです。当然、ガンチャの貴重な古酒や昔の資料などが展示されている部屋です。一番印象的だったのは、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世やベニート・ムッソリーニの訪問を受けたときの古いセピア色の写真でした。土と埃やカビをかぶったボトルも時間の流れを感じさせますが写真には当時の人々の表情もあり、生々しかったです。その後にテイスティングしたワインがこれです。ガンチャ社がヴェネトからジュースを輸入してワイン化しているプロセッコとスタンダードアスティ。日本のものとはラベルが違いますが、これは世界中、輸出する国のセンスによってデザインを変えているだけで中身は全く同じだそうです。瓶内二次発酵の「カルロ・ガンチャ」も特別にいただきましたが非常に上質のフランチャコルタに匹敵する素晴らしい味わいでした。おつまみに出していただいたサラミやトゥーマ・ピエモンテーゼというチーズも抜群に美味かったです(^^;)やはり大手の会社なので、ビジター担当の、トリノ大学で経済を学んでいるアルバイト系のお姉さまが相手をしてくだいましたので、突っ込んだ話は一切なしでしたが、ガンチャ社が大量生産のアスティと共に、瓶内二次発酵のワインも大切に醸造している現場を見れたことは大きな収穫でした。
2008/10/31
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10月27日(月)は、本格的にワイナリーツアーを開始する日であり、また「アスティの日」と定めていた一日でした。我々が宿泊しているのはアスティ県カネッリです。ピエモンテツアーというとどうしてもバローロやバルバレスコのランゲ地方に注目が集まりますが、ジョルジョが強調するまでもなく、アグリトゥリズモの地元アスティのカネッリはモスカート種の聖地であり、様々なスローフードの故郷でもありますから、足元をしっかりと探索しようというのがこの日の趣旨でありました。っつうか・・・もちろんネッビオーロを見るとやはりメッカはランゲ地方ですけど、バルベーラと言う目下人気急上昇中の品種に関しては、そのモダン化が起こったのはランゲではなくアスティです。それまで量産体制のみのバルベーラに質的なエッセンスを加えてインターナショナルなマーケットに新風を巻き起こしたのです。もちろんバローロ、バルバレスコの生産するバルベーラもその気候的、土壌的、そしてメンタリティー的な関係からアスティのバルベーラよりもボディーのしっかりとしたバルベーラワインを産しますが、そのしなやかなボディーの作り手ではアスティの方が優勢なのだと思います。ということでその食材とワインという観点でアスティを見つめる第一弾は、やはりチーズの生産地ということになるでしょう。アグリランガ社は山羊乳のチーズ ロビオーラ・ディ・ロッカヴェラーノの有力生産者で、アグリトゥリズモのジョルジョの友人でもあることから、彼に同伴してもらって、飼育所兼生産現場を訪ねることにしたのです。カネッリを南下すること約20分ぐらいでしょうか。南下するとは言ってもモンフェッラートの高地を緩やかに登ったところにアグリランガ社があります。ヴェージメという村です。標高は、500~600mぐらいはあるでしょう。もうこの高さでは葡萄の耕作は行われていませんでした。最初に山羊の飼育小屋をのぞきに行きます。ある種、絶妙な臭気が漂っています。「私は、この匂いあかんわ!」とMさんは小屋を出られました。獣臭と糞尿臭・・・当然です。でも、僕はそういうのは厭いません(^^;)大歓迎なのです。ということで夢中でビデオ撮影をしましたが、写真撮影を怠ったため、一枚も残っていません(^^;)(kaoritalyさんを始め、参加者の皆さんお助けください^^;)と、早速kaoritalyさんから助け舟!山羊の乳は、母乳にその成分が似ているため・・・とは言っても昔はそういう事を感覚的に学んでいたわけですが・・・・、お乳の出ないお母さんのおっぱいの代りをしていたようです。日本ですとどうしても山羊のチーズというと「臭い」と思われがちですが、このロビオーラ・ディ・ロッカヴェラーノの10日間熟成を食べると、そのフレッシュな酸味と乳の美味しさに目から鱗が落ちるはずです。手前が10日熟成、後ろが3週間熟成です。熟成を経るごとにだんだんと固形部分に「弛み」が出てきてクリーミーさが濃厚になると同時にある種の「匂い」も加わりますが、その全体像は、ジョルジョの「高貴」という表現に僕も同意したいと思います。アグリランガのエンリーコは、ずけずけといかにも勝手気ままにチーズを切り刻んでほとんど食べ放題のように僕達にサービスをしてくれるジョルジョを横目に、普段どおりの作業でチーズを熟成庫に運搬したり、場所を移したりしています。「世界で一番美味いチーズ!!」真っ白な塊を口に運びながら、ジョルジョが心の底からそう言っているのが分かります。味わうと言うよりも、次から次にほおばっていく、「ジャイアン」のような食べ方です(^^;)熟成庫をのぞかせてもらうと、大小、形も様々なチーズが横たわっていました。色合いの差はあれ、最大で3ヶ月ほどの熟成チーズもありかなり表皮の形と大きさにその時間の片鱗が現れておりました。このチーズは、スローフードが強調してもいますが「クリュ」を楽しめるチーズなんですね。つまり、山羊が食む牧草地の標高や畑の質に応じてチーズも味わいを変え、それが比較的味に正直に出やすいのだと。今回はそういった比較テイスティングはできませんでしたが実に面白い切り口であり、やはり植物であれ、動物であれ自然を100%相手にしている食品には人間の官能に豊かな感性を与えてくれるものなのだと納得します。自然の恩恵を自然に察知していたのが古来からの農民の生活何だと思いますが、それをあくまでも科学的アプローチで広い世界からプレゼンテーションするのがスローフード協会。もっともっとアピールしていきたいところですね。さて、ちょっと急ぎ足でカネッリに戻り、ジョルジョを下ろして今度は樽生産者である ガンバ社に向かいます。ここはガイアの樽も作っていますし、前々からイタリアを代表する樽生産者として訪問を希望していたところです。運転手のネグロさんは行ったことがないといいます。おまけに場所も分からないという・・・ねえねえ、住所とか場所の情報送ってたやんか!?(^^;)ということで、近づいたところで電話して場所の説明をしていただきながら到着します。最初に事務所の一角で樽の素材についての簡単な説明を受けました。工房に入ると木材を切り刻む音や、樽の部品等を打ち込む音でほとんど声が聞こえないためです。実際、説明を聞いているところからもかなりうるさい音がこちらに響いて来ました。ガンバ家の跡取りであるマウロ・ガンバさんの奥さんが担当して樽作りの現場についてお話をしてくださいました。バリックのフレンチオークの生産地、材木の切り方や熟成法、火の当て方や具体的な製造法を分かりやすいスローなイタリア語で語ってくださいます。説明を終えてから、工房に入っていくのですが、材木を切る音や金槌などを打ちつける音が炸裂して、たちまち聴覚を支配します。ところどころで、「ここは撮影しないでね」というガンバ社オリジナルの樽組み立て機がありましたが、それ以外はフリーで撮影をさせていただきました。バリックの木材を半分組み立てたところで、素材をくねらせるために「焼き」を入れます。焼きを入れて、材木が柔らかくなったところで、片方の蓋のない状態の樽を作り、その状態でもう一度「焼き」を入れて今度は、「ロースト香」をつけるための工程に入ります。やはり、最近は、バシバシに焼きを入れてロースト香をたっぷりつけるワインから、ほのかなロースト香をつけるワインに変わってきているようですね。「低温で長時間、約10時間ほど樽を焼きます。最近の 傾向ですね。」バリックの製造工程を見た後、今度は大樽の方です。やはり成りがでかいので、その姿を見ているだけでワクワクしてきます。大樽とバリックの製造工程の違いは最初から最後までほとんど違います。バリックは小さいのと材質の違いから木の繊維に沿って樽材を切る必要がありますが、大樽の方は大きいこともあって、繊維に沿って「割る」作業は不可能です。kaoritalyさんからの映像です!なのでのこぎりでギコギコと切ることになります。樽材を曲げるのも、バリックのように「焼き」を入れるのではなく、熱湯の風呂につけて重石をして、材質を柔らかくしてから更に機材で圧しをして完全に曲げるのです。内側をローストするようなことも大樽はしません。そして組立作業は、大人数で脚立などをつかってやるのもバリックとは大きな違いです。出来上がった樽にニスを塗るのは、美的にも美しくするのと繊維に沿って切れない樽材からのワインの「漏れ」を防ぐ二つの意味合いがあるそうです。ここにも映像が不足していますが、最後に「チップス」も見ることが出来ました。つまり、バッタモンカリフォルニアワインをつくるときワインに混ぜて「樽熟感」を出す「おがくず」ですね。途中、赤ちゃんのところに戻らなければ!と昼食に帰られた奥さんに代わって登場した若君マウロ氏がアメリカやオーストラリアからのリクエストだと説明してくれました。「イタリアにはこうしたオークはないのか」「イタリアでこうしたオークを生産するつもりはないのか」といった質問が出ました。イタリアのオークは「節」が多すぎるためにワイン熟成には適しないこと。またフランスでのオーク生産は歴史があり、信用も十二分にあるので、「ピエモンテオークの森」を数世紀かけてつくりあげるのは、あまりにも割に合わないとニコニコしながら答えてくださいました。詳しい内容はビデオ映像にたっぷりあるのが残念です(^^;)ランチ時間を大幅に超えて、アスティの一日の半日が終えました。ガンバ社の工房内も、すっかり静まり返っていました。
2008/10/30
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サローネ・デル・グスト2008のリンゴット会場を後にした我々は、レストランでのディナー時間までの小一時間をリンゴット敷地に隣接している EATALY イータリーで過ごすことにしました。Kaoritalyさんのアイデアです。東京にも出店されているらしいですね。スローフード協会が絡んでいるスーパーマーケット兼トラットリア&ワインバー的なノリの店です。写真資料ありません(^^;)サローネ・デル・グストは2年に一度の祭典ですから別に気にしないのですが、こういう風に日常的なレベルでしかも「メガ」な消費者を相手にスーパーマーケットを展開するスローフード協会って、どういう存在なのかと思いました。発端は、ファーストフードというグローバリズムに対抗した市民運動として展開した団体でしょ?ファーストフードもスーパーマーケットもいわばスピードを要求する現代的な社会の要求なわけですがスローフードという地域性や伝統性は、この「メガ」マーケットを相手にしたスピード感には当然ついていけません。ある意味、非常に挑戦的な試みともいえるかと思いますがすでにある種の「ひずみ」は出ているのではないかと思います。スローフードという旗の下に集まりさえすれば「売れる」と考える生産者たちも当然いるわけですから。でも売れなければ小規模生産者も生きていけないわけです。そのバランス感覚を育てるための今は過程なのでしょう。イータリーという店を出すこと自体に本末転倒を感じてしまうのは単に僕が頭でっかちの閉鎖的メンタリティーを持っているからかもしれません。ともあれ、イータリーの動向には目が離せませんね。さて、夜はトリノの老舗リストランテ・デル・カンビオのディナーでした。ここには2002年の最初のヴィーテ・イタリアツアーで訪れたことがあり、僕個人としても再訪を待ち望んでおりました。サヴォイア王室の絢爛たる王宮(世界遺産)は、予約してガイド付きでなければ入れませんが、同じ空気をここリストランテ・デル・カンビオで感じることが出来る、そんな18~19世紀的な貴族趣味を味わえるインテリアなのです。ディナーのメニューはすでに予約していた通り ピエモンテの古典料理コースでした。最初にロッケ・デイ・マンツォーニのヴァレンティーノ・ブリュットで乾杯です。最初のストゥッツィキーノは野菜のフラン、カステルマーニョのフォンデュソース。カステルマーニョはピエモンテの極希少なチーズですよね。酸味とミルクの濃さ、そして熟成の深みがしっかりと感じられる味わいです。 vitello tonnato alla maniera antica前菜の一品目は、栄光のヴィテッロ・トンナートですね。日本でもお馴染みだと思いますけど、肉質、ソースのまとまり、言うことなしの綺麗な一品でした。やはりヴィテッロ・トンナートも様々な味とプレゼンテーションがあるんですね。この写真は非常に申し訳ないのですが、白トリュフの最高料理と言っても良いでしょう。 La cocottina del Cambio al tartufo con l'uovo di Paolo Parisiパオロ・パリシさんの作った卵とともに味わうトリュフのココットkaoritalyさんが「かき混ぜる前」の写真を送ってくださいました(^^;)白トリュフのサクサク感とあのえもいえぬ香を100%活かすのは卵しかないのではないかと思えました。胸からこみ上げてくるような感動すら感じました。パンも最高に美味しいものでした。ピエモンテだけにもう少しフランス的なパンが出るのかと思いましたが、スタイルは割りとスタンダード。そこにナッツやカカオが練りこまれているタイプです。バターの美味しさもやっぱり一流のリストランテの美味さです!「ピエモンテの古典的な料理に合わせて、ピエモンテらしい ワインセレクトで」というリクエストを元に選んでもらった最初の白ワインは ランゲ・シャルドネ カデット 07 ブルーノ・ロッカ社でした。非常に甘みの強い、それでいて果実味だけではないしっかりとした肉質とストラクチャーを感じさせる素晴らしいワインでした。相性的なことを言えば、ややツッコミも可能かと思いますがそれでもピエモンテの肉中心の強い味を持つ前菜にはパワフルな白ワインが必要ということなんだと思います。このワインは今思い出しても、決して「洗練されて好き」という代物ではありませんが、ワインとしての迫力、つまり単なるモダンワインではない力強さを感じさせるワインでした。パスタ料理です(^^) Agnolotti tradizionale del Cambio al sugo d'arrostoロースト肉の肉汁を使ったトラディショナルなアニョロッティ。僕には、今までのアニョロッティの中では最高点を付けたくなる味でした。非常に濃厚で、その濃厚さに手加減がない。トラディショナルと名づけられることだけはあります。ソースも中身の肉質も実に重厚。強くワインを要求する料理です。と、ここで登場してもらったのが、やはりバローロですね(^^)映像はありますが、すいません、ピンボケでワインの詳しい情報も忘れてしまいました(^^;)kaoritalyさん提供の映像ではっきりしました。バローロ 94 ヴィニェート・ブルナーテアンドレア・オベルト社 ラ・モッラ村の生産者、畑はブルナーテ。ラ・モッラでも最高の畑の一つですね!!まだまだ若い力強い、果実質、肉質のしっかりとしたバローロだったと記憶します。セコンド・ピアットと合わせます。 Stinco di vitello a lunga cottura con salsa al rosmarino子牛のすね肉の長時間煮込み、ローズマリー風味です。この肉料理も絶品でしたね。当然ファッソーネを使っているわけですが重苦しくなく繊細でローズマリーの香の利かせ方も綺麗でした。ただワインとの相性では、バローロの力強さが上回ってしまって残念な相性でした。もちろん質感的、プレステージ的には非常に良い雰囲気を醸し出すのですが・・・世の中には「笑えるデザート」というものがあるのですね。このデザートほど僕は腹を抱えて笑ったデザートはありませんでした(^^;)もちろん我々のテーブルは皆爆笑で、ちょっと顰蹙を買ったかもしれません。それほどに、笑えるデザートです。確かカカオのミルキーな液体だったと思うのですが、そこに「仕掛け砂糖」が入っています。これをストローで飲んでいくのですが、砂糖が口蓋の粘膜に触れると、ピチピチ、ビチビチ、シュワシュワと音をさせるのですね。これが口をあけると音響効果でテーブルの皆にその音が聞こえてくる。口を閉じると、まるでオンサを震わせて頭につけたときのように、 シュルシュルシュル~~ ピチピチピチ~ シャラシャラシャラ~~という音が後頭部で鳴っているのです。この音はもうコントロールの仕様がないのですね。だから音が響いちゃう・・・・笑いの連鎖は途切れませんでした(^^)最後を飾ったデザートも素晴らしかった! Lo zabaione secondo la nostra tradizione: bruciato spumoso e ghiacciato 「我々の伝統にのっとったザバイオーネ。 焦がしたもの、泡立てたもの、凍らせたもの」というタイトルです。写真なくて御免。kaoritalyさんがすぐに送ってくださいました!ザバイオーネに強烈にマルサーラが利いています。なので非常にアルコールを感じるわけですが、ここに「焦がしの苦味」「泡の滑らかさ」「氷の冷たさ」が対比効果で味わいを変化させます。面白い!やはりリストランテのレベルはこうでなくっちゃね!と感じた次第。 ↑ワインセラーには無数の超古酒が眠っておりました・・・。この後、酸味の利いたカフェを頂き、カヴールが座っていたと言われる特別席の前で記念撮影をし、デル・カンビオ自慢のワインセラーを地下に案内いただいて、外に出ました。目の前は、イタリア王国成立後の国会にもなったカリニャーノ宮殿です。ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の生家でもあるイタリアにとって由緒ある場所です。ユヴァッラによる見事なトリノ・バロック建築!!全体の風景、環境、歴史、料理とワイン、そしてサービスもちろん好み云々の話はあるでしょうが、そのすべてにおいてのポテンシャルを十二分に楽しめたデル・カンビオのディナーでした。
2008/10/29
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サローネ・デル・グスト二日目。最後の参加者であるTJさんとも無事チケット売り場前で出会え(前日のトレ・ビッキエーリですでに合流はしていたのですが、彼女は宿泊がトリノでした)、エミリア・ロマーニャのアチェート・バルサミコを試食したり、バジリカータ州のブースを徘徊した後、昼食前で比較的空いていたエノテーカに陣取りました。カルタ・デイ・ヴィーニ Carta dei vini と書かれた分厚い冊子には、2000種類以上ものワインがカテゴリー毎に分けられていて、各ワインには色で示された価格があり、1ユーロごとのチケットをワインと引き換えにするシステム。例えば、今回一本目に僕が飲んだワインはシチリアのレガレアーリ社が生産するシャルドネ瓶内二次発酵のスパークリング「アルメリータ・ブリュット」ですがこのワインは深緑色の表示がありましたので3枚のチケット、つまり3ユーロで一杯飲めることになります。写真がぼけてしまいましたが、白ワインのカウンター、赤ワインのカウンターなどがそれぞれに2~4つほどあって、番号でオーダーするとスタッフがサービスしてくれます。因みに、一本目のワインは、スタッフの勘違いで2枚のチケットで済みました(^^;)彼らも飲みながら楽しむからでしょう。特に後半はサービスした後にチケットを受け取ってくれないスタッフもおりましたので、何回か使い回しができてしまいました(^^;)昼頃になるとエノテーカは超満員になります。ちゃんと席を取っておかないと「ここ空いてる?」「この椅子、貰ってもいい?」などと、ひっきりなしにイタリア人や他の外国人が聞いてきますから、我々は誰かを必ず一人テーブルに配置して、色んなカウンターにワインを取りに行くようにしていました。ワイン大好き人間にとってはここはパラダイスですね。じっくりと腰を落ち着けてワインを浴びるほどテイスティングできます。しかもワインのおつまみや前菜、パスタそれにパニーノ類も完全配備です(^^)前回も前々回もそういう配慮はなかったように思います。今回は エノテーカ&ビストロという名前がついていましたので、単にエノテーカではなかったんですね。というわけでほとんど夕刻前まで、このエノテーカで延々と時間を過ごしました。最後に飲んだマルサーラです。フローリオの傑作ですね。デザートワインも5種類ぐらい飲みましたっけ(^^;)モスカート・ディ・ノート、モスカート・ディ・シラクーサモスカート・ディ・パンテッレリーア、モスカート・ディ・トラーニ・・・南部の様々な地区のモスカートを楽しみました。もちろん、バローロやブルネッロ、アマローネ、そして数々のイタリア土着葡萄のワインも。これだけを半日かけて飲むのですから、楽しくないわけがない!!ちょっとヘロヘロ気味で夕刻にエノテーカを後にして後はまた味見とお土産タイムの続きです。ここには世界中の食材が集まっていましたし、またスローフード協会が特別に指定した保護食材のコーナーもあったりするのですが、全く手が回りませんでした。また様々なテーマの勉強会やワークショップもありますのですべてを堪能しようとするとやはり全5日間をかけても足りないでしょうね(^^;)でも、あまりに人が多くて、ブースもわけが分からないくらいにありますので、正直かなり疲れます。これで今日のプログラムが終わりなら死力を尽くして果敢に試食と土産物色を続けるわけですが、この後のディナーではトリノの老舗リストランテが待っています。土産物をわんさか抱えてサローネ・デル・グストを後にしました(^^;)また二年後のサローネまで ARRIVEDERCI!!(^^)いざ!リストランテ・デル・カンビオへ!!(続く)
2008/10/28
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実際には10月26日(日)の出来事です。時差の関係もあってか、比較的早起きになります。とはいえ、ピエモンテの朝は霧が濃くて、あまり清清しく起きる気になれないので朝食の時間そのまんまに8時に食堂に下りてみると・・・人の気配が・・・ ない(^^;)おかしいなあ・・・と思ってハッと思い出しました。この日から夏時間が終わって、冬時間の始まりなんですね(^^;)急ぎツアーのお客様にアナウンス。早起きしていた皆さんは、「1時間得した!」と外を散策する人あり、またベッドに深くもぐりこんだ人もいらしたようです(^^)ルペストゥルを出て中庭と駐車場を兼ねた広場から東の方に広がる葡萄畑を望むとこういう風景が広がります。朝の典型的な風景ですが、通常より霧が少ないと思います。目の前に広がっているのは、モスカート種です。ここはカネッリ。アスティDOCG醸造のメッカですから当然なのです。摘み残されたモスカートの房がありましたので、つまみ食いしてみました。瞳孔が開きそうになるくらいに美味しい葡萄です。過熟状態ですから適度に水分が飛んで、独特の触感・・・・・まるでグミです。この時期、雨があまり降らないヴィンテージなら過熟葡萄でデザートワインができます。ジョルジョはそのラインを狙っているのでしょうか。右と左の列で紅葉の具合が違うでしょ?右がモスカート。そして左がドルチェットです。ピエモンテ地方の典型的なデイリーワインにして名バイプレイヤーですね。僕の大好きな品種ですが、モスカートが9割でドルチェットが1割程度でしょうか。そんな風に見えます。こちらも摘み残しがありました。マスカットほどの感動はないにしても、甘く美味しい果実です。収穫後数週間は経っていますから、酸は相当に落ちていますが・・・。気づかないうちに靴がドロドロになるまで散歩してしまいました。ルペストゥルの葡萄畑をぶらぶら散歩して戻ってみると東の空に太陽が昇っていました。霧の風景ですから、太陽の見え方も独特ですね。毎日こういう風景に囲まれた生活をカネッリの人々は生きています。長年、自らの祖先が受け継いできた葡萄と畑、そして風景を基本に生活が成り立っています。これら葡萄に根ざした産業で生活の糧を得、それに誇りを持って生きるというのは、かなり素敵なことなのではないかと思います(^^)。また日常的にこの霧に覆われた風景を目にしているピエモンテ人たちのメンタリティーについても考えさせられます。ここは地中海的ではありません。ゲーテは「イタリア紀行」におけるヴェネツィア編でその太陽を反射するアドリア海の光溢れる風景を見慣れた絵画ヴェネツィア派の明瞭さ、朗らかさを礼賛していますがピエモンテのある種「北方的風景」とピエモンテ人の気質そしてピエモンテワインの質感とは決して無関係ではないのでしょう。
2008/10/27
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10月25日(土)からの続きです。さて、夕刻からは、ビッグイベント 「トレ・ビッキエーリ」テイスティング会がありました。リンゴット会場を離れ、フィアット社旧本社工場の跡地に出来たショッピングモールの一角に向かいます。すいません、ここでも写真資料ありません・・・。このテイスティング会は、2年に一度のこのサローネ・デル・グストの際にスローフード協会とガンベロロッソ誌が刊行している「イタリアワイン年鑑」の出版を記念して最高賞ワイン「トレ・ビッキエーリ」をずらりと並べたものです。いわばイタリアワインのトレンドの発信基地になるテイスティング会ですね。トリノで行われるのは2年に一度。そしてこの隔年のもう一つの年は、イタリアのいずれかの都市で行われ、僕もローマでワインを勉強中に、たまたま運良くローマ会場に参加したことがありました。今回はお客様をお連れしながら、「ここで飲んどかないと損!!」という超の付く有名プレミアムワインをご紹介して行きました。サッシカイアやオルネッライア、あるいはビオンディ・サンティのブルネッロやガイアのランゲ・ネッビオーロの世界!当然、最も新しいヴィンテージのワインですから、ポテンシャルこそ感じますが、やはりそのワインの質的最高地点ではないわけですから、やはり酸もタンニンも若く感じます。でも、ここでもテイスティング会はお祭り気分。どんなワインがトレ・ビッキエーリを受賞したのかと言う点に注目が集まる一方で、ともかくイタリア最高クラスのワインを楽しもうよ、という雰囲気が会場に充満しています。丁々発止、そのワインへの意見を述べ合っているマニアな若者達もいますが、全体的にお祭りを楽しんでいる感じがしました。つまり、どこのテイスティング会にもあるようなリラックスしたムードです。酔っ払うものなど一人もなく、赤ら顔をしてはいますが皆が会話を楽しんでいる。日本のお酒のある世界とは全く異質な世界です。ワインと人間の生活が切り離し不可能な国の現実がコレです。日本ではアルコールと日常、そして人とのコミュニケーションの場がどんどんと切り離されているように思います。交通事故などの事情もあるでしょうが、それはイタリアも同じこと。だれもワインのせいなどにしません。結果、日本のお酒のある場所はどんどんとイメージ的にも実質的にもふしだらで「オヤジ臭い」、会話のないただの大騒ぎの場になっていくような気がします。トレ・ビッキエーリテイスティング会場の雰囲気は「正真正銘の普通の大人の場」という気がしました。たいした事なんか、これっぽっちもないんですよね。自分の快楽のためだけに飲んでいるのです。それが必要だから存在しているのです。その「必要」の趣が随分イタリアと日本とでは違っているのですね。ほろ酔い気分・・・というよりかなりヘロヘロ状態になる直前まで飲んで(^^;)、我々も会場を後にしてカネッリのルペストゥルに帰還しました。我々を待っていたのは、ジョルジョのおもてなし。素朴で自然なピエモンテの料理たちでした。今回ルペストゥルでは3度のディナーを楽しみましたが初回は最もスタンダードなヴァージョン。いわば、ルペストゥルスペシャル、といったところでしょうか。最初は、ファッソーネ子牛のロースト、パセリとパルミジャーノのソース。この子牛は本当に柔らかくて、味が優しいのが特徴。肉の「柔らかい」というのは日本と違って、イタリアでは褒め言葉にはならないと思うのですが、でも日本的に柔らかい、美味しい。左側、何でしたっけ?右はピーマンをローストしたものの中に、バターとツナをまぜたソースを詰め込んだもの。このバターが軽くてとても美味しいんです。マヨネーズより軽く味がシンプルで、触感も滑らか。それでもルペストゥルのジョルジョの味としては結構ヘビーなほうです。これはポルチーニ茸のソテーにポレンタを添えたもの。ぺろりと食べてしまう美味さ!キノコの香りとポレンタの香のコンビも素晴らしい。典型的な料理ですね。ラビオリ系のものはピエモンテではアニョロッティと呼ぶようです。中身は豚肉と子牛肉とそしてリゾットと言っていました。リゾットがちょうどつなぎになってよい触感になるとのこと。料理を終えると終止サービスしてくれていたジョルジョもテーブルに加わって、リラックスモードでお話を。「カネッリは世界の中心なんだよ。」 Canelli e' il centro del mondo今回のツアーでも、このフレーズがほとんど口癖のように繰り返されました。ジョルジョのキャッチフレーズですね(^^;)世界で最も美味しいチーズ(ロビオーラ・ディ・ロッカヴェラーノ)世界で最も美味い子牛(ファッソーネ)があって、野菜や果物の味も絶品。ワインはアスティの聖地。バローロ、バルバレスコもすぐ近く。これを「世界の中心」と言わずして何と呼ぼう。十二分にその理屈は通るような気になってしまいます(^^;)kaoritalyさんのご指摘によりメインが欠けていたことが判明しました。写真を改めてアップします。
2008/10/26
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ルペストゥルのジョルジョにサローネ・デル・グストの入場チケットを頼んでいたんです(^^;)で、ジョルジョはジョルジョで、僕のためにチケットを安く手に入れられるように手配をしてくれていたんですがいかんせんイタリアの事務手続き等は示し合わせた通りには進んでくれません。ちょっとしたゴタゴタがあって、リンゴット見本市会場の前で1時間ほど待ってもチケットが到着せず、半分憤慨してまた半分は「お~~い!ジョルジオ~~!」「これぞジョルジョマジック」などとギャグにしつつ、会場のチケット売り場に向かいました(^^;) 参加者の皆様の寛容に感謝です!!いえいえ、僕が日本でさっさと購入しておけば良かったんですよ。「狐につままれる」ようなイタリアでの現象を直視すべきでした。もうとっくに入場時間(11:00AM)は過ぎていましたからチケットを購入してすぐに中に入ります。それでもほとんど待ち時間はありませんでしたから良かったです。中に入っての雰囲気は、写真でお楽しみください。今回は、ビデオ撮影中心なので写真が不足しています(^^;)どこに行っても黒山の人だかり。そこを書き分けて味見していきます。よほど価格の高いアイテム以外はすべて味見し放題です!まずはチーズ通りでイタリアの北から南までのチーズを一気に味見していきます。ヴェネトのアジアーゴやバスタルド。もちろんエミリア・ロマーニャのパルミジャーノ・レッジャーノ。ラツィオのプロヴォローネ。トスカーナのペコリーノ・トスカーノ。次々に目を引く食材が出てくるものだから、いちいちどこの地方のどういう名前のどういった製法のチーズかなどの詳細など、どうでも良くなってきます(^^;)売る側とのフィーリングもあります。積極戦法のブースもあれば、ややボーっとした感じのブースもあり、お客さんの要り具合もほぼ比例しているのです。もちろん、サラミ通りも欠かせません。トスカーナのチンタ・セネーゼ系のサラミ。もちろんエミリア・ロマーニャのクラテッロ。それにカラブリアのンドゥージャ!!(かっっれ!)カンパーニアのサルシッチャ・ロッサ!味見をしながら、こういったサラミブースが売っているパニーノをほおばることが出来ます。僕達は、クラテッロのブースで贅沢にクラテッロパニーノを買って立ち食いしたのでした。途中、Mさんにイタリアビールをご馳走になって、気持ち良くほろ酔い加減で、午後も更なるテイスティングの旅を続けます。というか、目を引いたブースに近づいて、とにかく味見をする。気に入れば買う、というリズムを繰り返していくのです。とにかく、日本には絶対に存在し得ない美味さですし、日ごろ日本のサラミ&チーズマーケットの貧困に怒りとさもしさを感じている僕にとっては、まさにここは天国です。何を口にしても素朴で純粋な豚ちゃん、そしてお乳の世界が広がっているのです。日本のものはほとんどが工場製品ののっぺりとした個性のない味ばかりですものね。芸術家がアートで個性を表現するのと全く同じ次元でこうした食品を捉えてみるのも重要かもしれません。というか、ワインの個性も同様、やはり個性を捉え、そして愛でるには本質の何たるかについて気を配る必要があるんでしょうね。ただ単に「美味しい!」も良いんですが、千差万別の「美味しい!」がここには存在するんですよね~~。時には「クセ~~」「カレ~~」の食材のありますが否、ほとんどがそういう食品になるのですが、そうした日本ののっぺりとした味覚世界から見ると全く「変態」ともいえるような食材のバラエティーの深さ、広さを味わうことも人間の感性を育てるためにもどうしても必要なんですね。本来ならその食材が生まれ、育ち、作られる環境に身を寄せることが、ヴィーテイタリアツアーの目的でもあるのですが、こうして見本市会場に一堂に集まるイベントもあっていいのではないかと思います。とにかく、ウハウハ!ドッヒャ~~!!な、なんじゃそれ~~~~!!まじっすか!!って、食材の色、形、香り、味わい、そして素朴で健気な生産者に触れていると喜びが溢れてきます。人間が自らの生まれた故郷にしかない食材を愛している現場を目の当たりにすることも、このイベントの大いなる目的の一つではないかと思います。
2008/10/25
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出発は雨でした。初めてのことではないかと思います。近江八幡は早朝の電車がないので、実家の父に野洲駅まで車で送ってもらいました。朝 4時44分 発の電車。なんと不吉な数字を並べた出発時刻でしょう(^^;)ともあれ、送ってくれた父には涙が出るくらいに感謝です。さて、移動日とはいえ旅行初日。しかも、現地集合と言う初めての試みでしたから難関を3つはクリアしなければなりませんでした。まず一つ目は自分と自分の荷物が無事に現地に着くこと(^^;)これがないと旅行が始まりません・・・。実は去年は自分が機内に忘れ物をしてしまったために旅行中ずっと航空会社と電話でやり取りをしなければならず結局何も解決しなかったと言う苦い経験がありました・・・。二つ目は、別便でフランクフルトから到着する二人(NさんとMさん親子)とトリノのカゼッレ空港で合流すること。三つ目は、前日に到着していたもう一人のお客様(kaoritalyさん)をトリノ市街のホテルでピックアップすること。ともあれ、ローマのレオナルド・ダ・ヴィンチ空港に到着して大金を換金した後、同行のMTさんと空港内のワインバーで乾杯です。フレスコバルディ直営のワインバー。トスカーナの雄ですな。それでもやっぱ乾杯は泡物です。トレントDOCで乾杯。すこぶる上手さ、上品さ!!サラミとチーズの盛り合わせもいっしょにいただきました。生ハムやトゥーマ・ピエモンテーゼをいただいていると自分の官能のエンジンがかかってきて、興奮してくるのを感じました。明日からはサローネ・デル・グスト、そしてワイナリー巡り・・・・・・ワクワク感がジワジワ、沸々と大きくなってくるのを感じて嬉しくなりました。チーズにハチミツとフレスコバルディ特製のモスカートのジェルを添えてもらいました。パルミジャーノとこのハチミツのペアは絶品でした。濃厚で香りも強く、とても質の高い相性です。一方のモスカートのジェルにはあまり感心しませんでした。甘さは十二分にあるくせに、香りがイマイチだったのです。ともあれ、「じゃ、また帰りにね!」と6年前のツアーでも顔を合わせたプーリアのおじさんサービスマンに別れを告げて、トリノに向かいました。MTさんと、もうちょっとゆっくりしたかったですね、いやもう一杯飲みたかったね、などと話しながら。トリノではまず、今回のツアーで運転手を務めてくれるネグロさんと合流。もうしっかりおじいさんのドライバーだがこの道40年の超ベテランです。そして待つこと1時間弱?NさんMさん親子と合流できました。今回お会いするのは神戸ワイナリーのイベント以来2度目のお客様です。急ぎ車に乗り込んで、トリノ市街へ。Kaoritalyさんの待つホテルへ向かうのですが、住所やサイトアドレスを事前に伝えていたにもかかわらず、ネグロさんは「そこには行ったことないけど、ん~~多分大丈夫だろ」と曖昧な感じでトリノ中央駅付近まで近づいていきました(^^;)基本、イタリアでは色々と道中不具合やイライラがあったりしますが最終的には上手くいくと信じて僕は疑いませんから、なんとかこのときもホテルにたどり着き、Kaoritalyさんのピックアップに成功!!真夜中、そう、もう1時ぐらいにはなってましたっけ。アスティ県カネッリのアグリトゥリズモ「ルペストゥル」に到着しました。宿泊客に「ちょっとうるさい!」と注意されたりしながらバタバタとチェックインして、ほとんどバッタンキュー・・ですな(^^)気温は肌寒さをそれほど感じさせない、日本と良く似たような暖かな秋のような気がしました。辺りは真っ暗ですが、僕達は完全にアスティのマスカットに包囲されて、眠りに就きました(^^)明日から、本格的なツアーの始まりです。トリノのサローネ・デル・グスト。国際スローフード協会の2年に一度のお祭りです。イタリア中、世界中から、人間の歴史を紡いできた食材が一堂に会しているのです。
2008/10/24
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明日より11月1日(土)まで7泊9日でイタリアはピエモンテに行ってまいります。期間中、メール等一切の連絡が取れなくなります。携帯を持っていますので、緊急時のみ連絡いただけますか? 44 7921 691721今回は、現状でもアポが決定していないワイナリーがあったりで、非常にドキドキ度の高いツアーになってます(^^;)詳細は帰国したらご報告しますね!乞うご期待!!
2008/10/23
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偶然にも、時と場所を異にしながら、イタリアを愛し、イタリアで生活し、イタリアで食文化を学んだ 近江八幡イタリアントリオが、あなたに「知って得するイタリア」「生活と文化のイタリア」をお届けするシリーズ第二弾です!「トリオ」というのは、「バルベッタ」の岡村シェフ。「壱製パン所」の谷さん。 そして僕です。 左が谷さん、中央が岡村さん第一回テーマ「永遠の都ローマ」につづくのは、イタリアワインのヌーヴォー「ノヴェッロ2008」です。地方文化輝くイタリアは、フランスとは違いノヴェッロの種類が無数に存在します。そんなイタリア東西南北から様々なノヴェッロをセレクトして気軽なビュッフェ形式のパーティーを開きます(^0^)クイズあり、ゲームあり、、、ワインでイタリアを巡りながら、ホッコリ楽しいひと時を共に過ごしましょう!!近江八幡人の近江八幡人による近江八幡人のためのイタリアンイベント!好奇心旺盛なあなたのご参加をお待ちしております(^^) ↑ これはキャッチ。 近江八幡以外の人も大歓迎です(^^;) 日時: 2008年11月8日(土) 18:00~20:00頃 場所:イタリア料理「バルベッタ」 料金:¥8400 (料理、ワイン税、すべて込み) お申し込み:32-5636(バルベッタ)近江八幡のイタリア料理「バルベッタ」-----------------------------------------------------もうすぐ、ピエモンテ紀行です。実は、今年は未だにアポが取れないワイナリーがあります。今年はネッビオーロの収穫がずれ込んで、対応できるかどうか分からないので、直前に連絡しあって、訪問できるかどうかを決めます。こんなケースは初めてです(^^;)
2008/10/21
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ワインメーカーズディナーが大阪のイタリア料理「ヘンリー」さんで開催されます。詳しくは、オピウムの石垣さんからの情報をお読みくださいね。エミリア・ロマーニャのワインを生産者と共に!エミリア・ロマーニャのブリシゲッラからのお客様ですよ。ここは特に上質のオリーブオイルの生産地なんですよね。スローフード協会一押しの「オリーブオイル組合」のオイルで日本でも有名ですね。フィレンツェとラヴェンナを結ぶ線のちょうど中間地点。古代ローマの街道としても有名な「エミリア街道」の沿線ですね。ピアチェンツァ→パルマ→レッジョ・エミリア→モデナ→ボローニャ→イモラ→ファエンツァ→フォルリ→チェゼーナ→リミニと現在も続く一直線の道。フォルリからちょっと南にそれた場所です。ワイン産地で言うともちろんサンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャDOCトレッビアーノ・ディ・ロマーニャDOCパガデビット・ディ・ロマーニャDOCのゾーンですね。イメージ的には大量生産地区という感じがしますが、昨今のイタリアワイン事情は旧来のイメージを覆すものがほとんどですから、今回の生産者のワインにも期待したいところですね!ラ・ベルタ社stiamo sorgendo とあります。訳すと「我々は今生まれようとしている」という感じ。新しいワイナリーでしょうか。イタリアで直接ワインに触れることが、イタリアワインにより近づくベストな形だと思いますが、ワインにアプローチする形は多様化しつつあります。こうやって日本で生産者に会えるんですからね。ワインを造っている人に直接会って、彼らの表情や声を感じて、できれば会話も交わして・・・それでこそそのワインを飲む価値がグッと高まると言うものです!そういう経験のない人も、何度も経験されている人も奮ってご参加くださいね!
2008/10/20
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今週末は妻が仕事で二日とも不在。こういうとき、僕の方が「出番」としての仕事を入れてしまうと、ちょっとやっかいなことになっちゃいます。息子は土日とも朝早くからの野球練習。弁当、水筒、着替えの用意から、遅刻しないように送り出すのもちょっとした緊張感があります。送り出せば夕方まで帰ってきませんから楽ですけど。とはいえ、少年野球のコーチ以下、お世話をしてくださる人たちがあっての「楽」ですわな。それでも、娘には親以外に安心して休日を過ごす相手はおりません。我が家の状況では、土日に僕が仕事を入れるのは、今のところ難しいのです。僕としては、もっと土日に働きたい気持ちはあるんですが。神戸ワインのイベント以外、積極戦法を取っていないのはそういう事情があります。モノは考えようで、4歳のこの歳って本当にかわいい時期で言葉もどんどんと覚えますし、「意志」というものが言葉にも行動にも「こもって来る」時期なんですよね。いっしょにいられることは、僕にとってはかけがえのないことですし、そういうポジションにいられるのは、ラッキーというか、妻を始め周囲の理解あってこそです。ならば「だらだらと過ごす週末」などありえない!充実した時間を二人で作るぞ!!と、土曜日は、二人で「遠足」を企画しました。良い季節ですしね、とにかく自分も身体を動かしたいですし娘にはもっと運動して欲しい!ところで「遠足」というと、娘にとっては、即 「お弁当持ち」を意味するようです(^^)「じゃ、いっしょにお弁当つくろうか!」と誘うと、ウンと力強い返事。ということで、お弁当作りで、まずはおにぎりをつくりながら雰囲気を温めます。いえいえ、そんな大層なものは作りません。ありもので、とにかく「弁当」と呼べる代物をつくるだけです。おにぎり、卵焼き、ウィンナー(お弁当にするからと娘がわざわざ朝食時に残した^^;)、レンコンの金平・・・「おにぎりには海苔巻きする?」「お手本見せてあげるから、今度はあんたが握って みなさい!」「このおかず、綺麗にお弁当箱にもりつけてね!」など好みを聞きつつ、指示を出しつつ、ゆっくりと弁当を作り上げました。麦茶もつくって水筒に入れて、準備完了!。「じゃあ、TSUTAYAに遠足に行こう!」と言うと、娘はとっても嬉しそうに目を輝かせます。「遠足やから全部歩くんやで!!」と言うと、ウン!と何も疑わずに無垢な返事をかえしてくれます。大人が歩いて30~40分あるので結構な距離ですが、歩いたり走ったりが大好きな娘なので全然OKだと思ったのです。「さあ出発!」と勇んで出発して、わずか50m・・・・・・・小走りにかけた娘がいきなりバタリと転倒!!両足の膝をすりむいて大泣きです。「このまま、家に帰って処置してたら、きっと遠足なんて いきたがらないぞ・・・」そう思った僕は(^^;)「大丈夫、がんばれ!!お前やったら行ける!!」などと、根拠のない励ましをしつつ、怪我の介抱することなく再出発させたのでした。始めの20分ぐらいは、シクシク泣き続けていた娘でしたが「だんだん血が固まってきたぞ。もう大丈夫やな」などと声をかけると、ウンと静かにうなづいてくれるようになりました。(今思えばなかなか根性のある娘です^^;)そして途中の公園でお弁当タイム。血でにじんだ膝を抱えてのお弁当タイムは、痛々しくちょっと可愛そうでしたが、通りかかる人や虫達、そこから見える風景の話をしていると、笑顔も出てきて、「さあ、もうちょっと!あとひとがんばりや!」と声をかけると彼女も嬉しそうに立ち上がるのでした。と、ここまではまあ良かったんですよね(^^;)そこからは・・・やはり一度休憩してしまったからかがんとして歩きたがらなくなっちゃいました。ダッコダッコ、、、、もう歩かないの!この時点で、僕としてはスパルタに徹するか、それとも折れるか・・・少し迷いました。で、恐らく家から公園まで、約40分ぐらいは歩いていましたし膝の怪我もあった上のことなので、父は降参することにしたのでした。Tsutayaに着いて、お目当てのDVDを借りて、近くのお店で自宅にゴールインしたときの甘いおやつを買いましたが結局、帰りの道程は、98%おんぶかダッコ、または肩車で帰宅したのでした(^^;)炎天下、僕の足腰も相当に鍛えられたことでしょう!(って、最初の目的とちゃうやん!?)親としての反省は・・・・やはり怪我の処置をせずに突っ走ってしまったことですね。しかも、帰宅後にも何もしなかった・・・忘れちゃったんです。娘もケロッとしてたもんで・・・。で、妻が帰ってきて、怒るわけですな(^^;)僕も心の片隅で、消毒薬をつければ強烈に痛いことを知ってますから、娘の苦しむ姿を見たくないという思いがどこかにあったと思います。でも、結局それがかえって娘を苦しませる結果になってしまいました。看護師である妻は、有無を言わせず消毒の処置をしてくれて、結果娘の号泣が家中に響き渡ることになってしまいました。「すぐに処置してたらこんなことにならないのに!!」妻から叱られた僕は、娘に謝り続ける以外ありませんでした(^^;)結果を得るための手練手管やスパルタも時には必要でしょうが、それよりも重要なことをおざなりにすると最悪のケースにもなりかねないということですね。バカな父親でした・・・・。
2008/10/19
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ヴィーテ中級のサルデーニャ編、今日は赤ワインのテイスティングです。モニカ・ディ・サルデーニャDOC パーラ社このワインが在庫切れというのは非常に残念です。イタリアの土着ブドウらしい、実に愛嬌のある、好感の持てるワインだからです。色はそれほど凝縮感のない薄い紫色をたたえたものです。北部のワインならもっと紫色が濃く呈されたはずです。香りのフルーツは、プラムやチェリーなど、大きなフルーツをイメージさせるもので、凝縮感はないものの豊かな甘みは感じさせます。味わいは、酸、タンニン共にやや「つっけんどん」な感じでアルコールとの一体感はどこへやら。特にタンニンは「乾いた」「辛口」のタンニンであり「高貴」で「甘口」のタンニンとは対極的なモノです。あ、勘違いしてほしくないのは、それでもこのワインは十二分に美味しい!ということです。このつっけんどんさは、ブドウの個性がまだ洗練されつくしていない証拠でもあり、その「素」の姿には心和ませてくれる情緒を感じます。土着ブドウが「洗練」に向かうと、画一化が起こってしまう危険性もあると思うのです。「洗練」というのは果実の凝縮ですね。凝縮しまくると複雑味が生まれますが、元々あった果実の質が変質しますし他の要素によって隠されてしまうこともあります。そういう意味では、素朴さが残されると、それ自身が個性として認識されます。実にシンプルで簡単な世界。そしてそういうワインこそ、地元の素朴な料理にぴったり来ます(^^)質感をあわすことって、ワインと料理の相性ではとても大切ですからね。サルデーニャのポルチェッドゥ、あるいは、会場のジラソーレシェフ土屋さんに腕をふるっていただいた カリアリ風のトリッパ煮込み Trippa alla cagliaritanaにも、ウキウキするほどピタピタと来るのです!!さて、2本目の赤は、この州の第一人者カンノナウです。カンノナウ・ディ・サルデーニャ DOCモニカ同様、ステンレスタンクのみの発酵熟成ですからブドウの個性が素直に出ます。果実は、モニカの「プラム」に対して「ストロベリーやクランベリー」つまり赤い果実系のフルーツです。甘みが結構凝縮しているのでジャムのようなニュアンスすら感じました。ブドウがしっかりと熟れた証拠ですね。青っぽい野菜香なども感じませんでした。モニカにも共通しているのですが、やはり発酵香、つまり二酸化炭素を含んだ、発酵したてのワインの香りというのはあります。これも紫色同様に、北方の赤ワインならもっと顕著に感じさせるところでしょうが、さすがは地中海真っ只中のワイン。やはりフルーツがイキイキと感じられます。モニカと違うのは、やはり酸とタンニンの違いです。モニカよりもポテンシャルが強く、しかも綺麗に表現されているように思います。全体の一体感があり、強さも感じながら、アルコールの甘みとの結びつきが強固なので、酸っぱくも渋くも感じず、むしろ「まろやか」なイメージを与えてくれます。この辺りにカンノナウがサルデーニャを代表するブドウとしてインターナショナルなマーケットもにぎわすことができた片鱗を感じます。ヌラーグス VS ヴェルメンティーノモニカ VS カンノナウという図式を作ってしまうと、つまらなくなるかも知れませんが、白、赤のそれぞれの比較に同じ関係性を見つけないではいられません。 素朴 VS 洗練ということです。もちろん、このにインターナショナルなブドウ品種が加わるとサルデーニャのワインシーンが更に面白くなりますし、現在は、他の希少品種も虎視眈々とメジャーデビューを狙っている状況です。そんなマイナー葡萄の存在を知らしめる作品が次のワインです。主要葡萄はカンノナウですが、その他にボヴァーレムリステーロという葡萄も約30%含まれています。面白いことに、ワイナリー「アルベルト・ロイ」のサイトを見ると、この二つの品種に関しては 「その他、この地区の葡萄」で片付けられています(^^;)ワイナリーとしては、あくまでテロワールの存在、またはワインそのものの質感の方を強調したいのかもしれませんしあるいは、全く無意識なのかもしれません。いずれにしましても、このアスタンジャの存在はサルデーニャがイタリアでもトップクラスのワインが生産できる類稀な存在であることを見事に立証しているワインだと思います。その複雑味は、レザーを強烈に放ち、ミネラルとドライフルーツが見事に一体化した「艶かしい」香りです。味わいは2002年ヴィンテージということもあってか北方のワインとは比較にならないほどの熟成の速さを感じました。現時点、つまり収穫年から6年で、しかもこの質感の長期熟成を感じさせる高いワイン性を感じさせながら、もうそのポテンシャル発揮の最高レベルから下降線をたどりだしたイメージなのです。酸のまろやかさ、そして全体のボディからやや「緩み」始めた感覚。食べたらどんどん脂肪として腹の周りに溜まる中年の身体(^^;)・・・いや、それよりは、肉体美を誇った身体が、やや「弛み出した」という印象です。男としましては「熟女」をついつい連想してしまいます。レザーと香りを描写しましたが、花の香り、それもちょっとドライにしたようなニュアンスも素敵でした。楽天では売切れていますが・・・・「高岡アット・ホームソムリエ」もご利用ください。調達します(^^;)それぞれの赤3本が、僕の心の中で花開いて、まだ枯れずに咲き続けています。アフリカからの強風に負けずに育った葡萄たちの力強さと生産者たちの熱い思いは、もちろん、サルデーニャの大地の風景と歴史の楽しさにもワクワクしながら、また次回テイスティングできる機会でお会いしましょう(^^)
2008/10/18
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イタリアワインスクール「ヴィーテ」の中級編。昨日のサルデーニャ編アウトラインに続いて、今日はいよいよワインテイスティングです(^^)土着ブドウの坩堝・・・という言葉がすぐに浮かぶサルデーニャですが、ふと 土着ブドウって言ったって、千年、数百年遡れば 外来ブドウじゃねえか!という気もしないでもないです(^^;)それでも、やはり現代のグローバリズム、あるいは産業革命による工業化の前に、人力と自然の力のみで移動を繰り返していた人間の業によって、イタリア各地に定住した「元よそ者」を今の時代から見て「土着」と呼ぶのに何ら問題はないように思います。そういう意味では、北イタリアのアルプスの麓に何世紀もの間に定住しているフランス系のブドウも「土着」とする考え方は、間違ってはいないでしょう。さて、一本目は、フェニキア人によってもたらされた?ヌラーゲ人の名前を冠する「ヌラーグス種」100%のフレッシュ&フルーティーワインです。甘みと苦味の協奏は、中南部イタリアにある典型的な香りと味わいです。草の香りは、グリーンな爽やかさを持つというよりはやや黄色がかった藁のような印象を与える苦味を呈しています。フルーツの香りは、参加者の方々が「トロピカル」「フルーツの缶詰のシロップ」と言われるだけにはっきりと感じる良質のものです。ここにわずかなニュアンスとしてのミネラル香も加わります。一口すするとハッとします。鼻で感じたフルーツのイメージが変わります。甘いフルーツの香りそのものはアロマとして口の中で広がりますが、舌の上で感じる酸はちょっと異質なものです。鋭く、全体的なボディーからやや逸脱した存在なのです。簡単に言うと、ややボディー感が崩れている・・・・もっと簡単にいうと しゅっぺえ~~!!という感覚が先立つのです。それでもこのワインが並ではないのは、アルコールの厚みがしっかりとあり、酸をコーティングする洗練はないにしても、喉元ではっきりと感じる「熱さ」があることです。食前酒から前菜、あるいは魚介のパスタ、特に貝類の料理に合わせたい味わいでした。二つ目のワインはサルデーニャの第一人者と言っても過言ではないこの品種のワインです。ヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャ。色そのものはヌラーグスとそれほど変わりない薄い緑をたたえた麦藁色ですが、香りでは、全く違った印象を与えるワインです。フルーツの質がとても良い。熟れていて、しかも酸もきっちりと残っている、長野県の美味しい果物!という感じ。寒暖の差のある気候的に恵まれた場所の果樹という印象のフルーツをここでは感じます。ヌラーグスには、僕には、良くも悪くもですが、雑味を感じさせるフルーツでした。ここにミネラルの香りがしっかりとした存在をアピールしていて、ちょっぴりランクの高いワインをイメージさせます。味わいも、酸やミネラルを豊富に感じながらもアルコールとの一体感があるので、全体にまろやかな印象があります。それでいて、余韻に舌の上に残る感覚は心地良い酸、そしてフルーツのアロマ。ヴェルメンティーノがイタリア屈指の白ワインを作るブドウであることが良く分かるワインだと思います。ヌラーグスとヴェルメンティーノ、どちらが好きかを参加者の皆さんにきいてみたところ、4対4でした。好みの差ははっきりと出るでしょうね(^^)ではまた明日(^^)白は以上2本でしたが、このワイナリー「パーラ社」には、厚みの秀逸なもうワンランク高いこの白ワイン「エンテマーリ」もあり、とても印象的です。(楽天には出品されていませんでした)
2008/10/17
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イタリアワインスクール「ヴィーテ」の中級編が始まりました。このシリーズでは、イタリアの「代表的」生産地のみならずすべての生産地を丁寧に巡っていくコースですので、前回お越しくださると、イタリアワインの本質に限りなく迫れるだけではなく、その文化的、歴史的、また料理的な背景にも肉薄できるレッスンになってます。さて、今回はサルデーニャ特集でした。最初に三択クイズです。第一問サルデーニャの文化を紐解くと、必ず出てくる言葉に遭遇します。それは ヌラーゲ とか ヌラーギという言葉なんですが、これが表すのは一体何?A 民族の名前B ブドウの名前C 魚の名前答えは・・・・・・・ Aの民族の名前一般にヌラーゲはサルデーニャに現存する円筒状の遺跡の名前として有名ですが、元をたどれば民族名になります。紀元前3000年から900年ぐらいまでいた地中海東方系の民族とのことで、当時ヌラーゲは7000基も存在していたそうです。http://www.japanconsulting.it/domudesayaka/index.htmlより抜粋地中海東方といえば当時はフェニキア人とかイタリア中部を圧倒していたエトルリア人が有名ですがこれらの民族との関わり、あるいは同一性も考えられるのかもしれません。それでは第二問。次の絵は、実に奇妙で、しかもちょっと怖い印象すら与えるものですが、サルデーニャ州の旗のデザインです。クアットロ・モーリ=4人のムーア人つまり北アフリカのアラブ系の人たちが鉢巻のようなものをつけています。さて、この旗は一体何を意味するものでしょうか?次のうち、間違っているものはどれ?A.アラブ人に対する抵抗B.ローマ人に対する抵抗C.ピエモンテ人に対する抵抗答えは・・・・・ B ローマ人に対する抵抗です。つまり、始まりはスペインのアラブ支配に対する「レコンキスタ」。イベリア半島を牛耳っていたアラブ人の4人の王の首を討ち取ったことを記念した紋章が、その後のスペイン人のサルデーニャ支配時代にサルデーニャに定着したというもの。オリジナルと思われる紋章は「鉢巻」ではなく「目隠し」です。つまり、処刑されたムーア人の王だったんですね。その後、イタリア王国以前の約150年ほどを治めるピエモンテ政府=サヴォイア王家に対する抵抗の旗にもなったそうです。ということで、ローマ時代、一大穀倉地帯としてのシチリアと共にパクス・ロマーナを生きたサルデーニャの現在の紋章には「反ローマ」の刻印はありません。それでは最後の第三問。現代のサルデーニャの経済、景気の問題。イタリア経済の中にあって「後進地」の印象が強いサルデーニャですが、以外にもヨーロッパはもとより世界的な意味で有名な産業が存在します。次のうち、それに当てはまらないのはどれ?A. ワイン産業B. コンピューター産業C. 観光産業正解は、・・・・・・すべて○ マル。つまり、どれもサルデーニャが世界に誇る産業です。ワインは・・・・これから触れていきますが、イタリアでも特異な存在といえるほどに、その個性は強烈なものです。コンピューター・・・・ヨーロッパトッププロバイダーである「ティスカリTISCALI」は現州知事レナート・ソルが州都カリアリで設立したもの。これって、僕も調べていて意外でした。観光・・・に関してはいうまでもないですよね。コスタ・ズメラルダは、世界有数のリゾート地です。僕も行ったことがありますが、場違いな感じがするほどにお金持ち達が集まってくる場所、という印象でした。ヨットハーバーの美しさ、ホテルやレストランのエレガントさ、そしてその価格の高さも有数でしょう。ということで、大雑把にサルデーニャについての歴史や一般知識のガイダンスを終えて、ワイン編に移ります。この島の土着ブドウの多さはシチリアやカンパーニアと比べても遜色なく、しかも、一つの品種たりとも共通のものを持たないことからもその特異さには目を見張るものがあります。歴史の違い・・・つまりは征服者がどこからやってきたのか、という違いがまずあるでしょう。南イタリアの歴史とサルデーニャの歴史は共通部分もあれ、相当に違った側面があって面白いのです。スペインとの強烈なつながり、そしてピエモンテとの決して短くない共生の時代・・・。また気候や植物学的な生態系の違いもあるでしょう。たとえば、この島で有名なハーブである「ミルト」は他のイタリアの島にも半島にも存在しません。(ミルトで有名な「ミルト」という食後酒がありますね)同様の理由で、この島に根付いたブドウ品種は、他のイタリアとは異種のものです。ヌラーグスは、その名がヌラーゲに由来するとおりフェニキア人起源といわれます。ヴェルメンティーノは、スペイン起源ともエトルリア起源とも言われますが、いずれにせよサルデーニャ北東部のティレニア海と北部のリグーリア海のブドウであることに変わりありません。セッラ&モスカ社がスプマンテ化したことで僕の中にもイキイキと生き続けるトルバート種はスペイン起源とも南仏起源とも言われます。モニカ種もスペインでuva mora 黒いブドウと呼ばれていたものが、サルデーニャで訛ってモニカと発音されたようです。カリニャーノ種は、ワイン通の方々ならピンと来るでしょう。そう、カリニャンですね。フランスならラングドック、スペインならリオハやカタルーニャ地方。カンノナウは全く発音的に変わってしまっていますが分類学的にはグルナッシュです。その他、ジロ種やボヴァーレ種もおそらくスペイン起源。そして、マルヴァジア・ディ・サルデーニャはギリシャ起源ピサやジェノヴァの中世の海洋国家の交易でもたらされたブドウが、希少なデザートワインとしてこの島にいき続けている現実には胸が熱くなる思いがあります。あの、「モンド・ヴィーノ」で「人間性の尊厳」を説く爺さんが出てきますが、まさにマルヴァジア・ディ・ボーザDOCの畑での撮影だったようです。ブドウ品種の宝庫とはイタリア全体に言えることですがその中でもシチリアとサルデーニャは、海で完全に孤立していながらも、歴史と風土の個性と深遠さ、ワインという文化の楽しさを、イタリアと言う国という次元を超えて「一世界」として伝えてくれる面白い生産地といえるでしょう。サルデーニャを舞台にするこの映画は映画ファンなら必見の映画です。テイスティングコメントは明日!
2008/10/16
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各少年野球チームのBチーム、つまりは5年生以下編成のチームを対象にした マクドナルド杯の県大会が土曜日の雨天により延期になって今日開催されました。僕と妻、そして妹と家族総出で長浜市の運動公園に行ってきました。予選のときのブログって、書きましたっけ?とにかく、我がチームは3,4年生のチームなんです。そして他のチームは5年生が中心のチームのようで、体つきが全然違うのです。見てるだけで他チームには圧倒されちゃうんですが、基礎が出来ていることと、試合運びの上手さ、そして指導者の指導力のお陰で予選を勝ち抜いてきたのです。県大会に出場した今日の段階でペスト16、今回2回勝って、半月後の準決勝、決勝に進めるかの第一日目だったわけですが結果から言うと ベスト 8に終わりました。結果は結果ですが、現段階ではそれほどの意味を持たない数字でしょう。でも、試合をすることの「経験」。野球と言うスポーツを通して戦うプロセスの大切さや、勝つために何が必要かあるいは負けを受け入れる心の持ち方、はたまた試合の「流れ」を読み取る力、そういった諸々のことを子供達は体得しているのだと思います。一回戦は、見事な投手戦で、4回ぐらいまでゼロ続きでした。でも、我がチームは再三得点圏にランナーを進めながらあと一本が出ない。相手チームは、結構淡白な攻撃に終止していました。ある意味、流れはあちら側にあったといっても可笑しくない。つまり、こちらに何かミスがあれば、あるいはあちらに一本ヒットが出たら、一気に敵のペースにはまる瀬戸際を何回も続けていました。息子はセンターで8番バッター。難しいライナーをキャッチして、流れをアチラに譲らないナイスプレイも見せてくれました。バッティングは今回さっぱりでしたわ・・・。また相手の2アウト、満塁、ツースリーで何度もファールを打たれるケースでも、見方ピッチャーは最後見逃し三振を取る、手に汗握るシークエンスもありました。後半、相手の緊張感が途切れたところで試合は決しました。2回戦は、これはもう相手のバッテリーが完全に上手でした。球のスピードが全然違います。我がチームのバッターは見逃し三振、空振り三振の山を築いていました。こっちはジリジリして見ているのですが、やはり子供の筋力と反射神経ではどうにもならないところです。それでも最後まで、元気良く試合をやり通して、終わった後も明るく振舞う様子には、コチラが元気づけられました。息子は、守備では大活躍でしたが、相変わらずの貧打で味方の攻撃に貢献することはできませんでした。一時期素振りを熱心にしたときは、よくヒットも打てたものですが、最近ちょっとサボり気味だったのが、結果として現れたのでしょう。帰宅後 「また素振りがんばろうな!」と声をかけると、うん!とうなづいておりました。自分でもよ~く分かっているのです。最近思うのですが、あまり期待をかけすぎるとコチラにも息子にも良くない影響が出そうな気がします。最善の努力をした上でも、結果は80点に満たなくてもOK!大拍手!!ぐらいで良いのではないかと思います。そういう意味では、今回の大会は見事な78点だったように思います。僕も子供達に負けないように生きたいと思います(^^)
2008/10/13
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本日は、4歳になる娘の運動会でした。「この娘なかなかの脚力がある」と見ていた僕は、靴も「瞬足」という名の靴を与え、何かと身体を動かすように休日は山登りに連れて行ったり、暑さが楽になった9月中旬からは、保育園へのお迎えを徒歩にしたりして、少しずつトレーニングしてきました。驚きなのは、園に迎えに行くと、喜び勇んで出てきて僕に抱きつくと、すぐに「瞬足」に履き替えて、走り出すのです。「走れ!」なんて言ったことがないのですが、とにかく自然に自発的に「もう走ってる」という感じなのです。(そう仕向けるためにコツがあって、お気に入りのぬいぐるみを持っていくのです。そうすると、ぬいぐるみをダッコしながらウキウキして走り出すのです^^;)だから彼女は終止ぬいぐるみをダッコして走っているので結構近所の人から面白がられています^^;)こちらが追いかけると鬼ごっこみたいに喜んでスピードアップするし、「あ~~しんどい!」と言って、ダッシュの後少し休憩を取ると、すぐに僕に向かって 「あそこの”たばこ”の看板まで競走な! よ~~いドン!」とまたダッシュする。保育園から自宅まで多分1kmぐらいだと思うのですがずっと走って帰ります。こちらも、もちろん往復走るわけですから、かなり疲れますが、二人で走っていると楽しいです。さて、そんな娘なので運動会の徒競走では「一等賞」を取って欲しいと思うのが、実に身勝手な親心というものです(^^)「一等賞取ったら”かっぱ寿司”行こう!」などと、ついつい「釣って」しまいます(^^;)そういう僕に対して妻は少々苛立ちを感じているようです。「一等賞とらんでもいいから、一生懸命ゴールまで がんばり!そしたら”かっぱ寿司”や!」と娘に言います。「かっぱ寿司」に拘るのは、娘の大のお気に入りだからです(^^;)さて、本番。ゴール地点で、ビデオカメラを持って彼女のゴールシーンを撮影すべく、待ち構えていました。よーいドン!5人いた走者の中で、うちの娘だけが完全に出遅れました。アリャリャ・・・。ところがここからが見事な、文字通りの「ごぼう抜き」!娘は、ゴール前で、全員を抜き去って、余裕の一位でゴールイン!!競技を終えて戻ってきた娘に 「一等賞!!今夜はお寿司や!!」というと、ニッコリ!!この年齢と言うのは、まだ闘争本能というのが芽生え始める頃ですし、身体能力的にも、例えば4月生まれのうちの娘と3月生まれの子供とでは全然違ったりします。だから、一等賞というものにどれだけの値打ちがあるかは極めて???ですが、ともかく、「彼女の記憶に夢の一等賞を獲得してお寿司に行ける」というポシティブな記憶は残り続けるでしょう。今日、朝から夕方暗くなるまで少年野球で練習と練習試合に明け暮れた息子も妹の結果を心配しながら帰宅しました。「どうやった?」と第一声で父に聞いてきたので「そんなん一等賞に決まってるやん!!」と返すと妹と抱き合って、まるで自分のことのように喜んでいました。兄弟愛というより、回転寿司に行けるからです(^^;)親としては、この運動会で保護者会の役員の仕事がほぼ終わってホッとしています。今年は、息子の小学校の運動会、学区の運動会、野球大会、ソフトボール大会、バレーボール大会と地区の行事に積極的に参加しました。結構今まで避けてきた部分があるのですが、こういう行事に参加すると、誰がどこに住んでいて、どんな人なのかがぼんやりと分かってきます。逆に言えば、自分のこともそんなレベルで知られることになるのでしょう。とりわけ強烈な情が生まれるわけではありませんし、いわば「緩い」関係なわけですが、その「緩さ」を楽しむ自分もいて結構面白いなと思えるようになりました。ともあれ、娘は結果を出してしまいました。夜はもちろん”かっぱ寿司”でした(^^;)お祝いの言葉もろくに聞こうとせずに、回転する寿司のお皿を食い入るように見つめる娘でした。明日は、息子の少年野球。県大会です。朝5時におきて、6時からの練習に付き合って、湖北の会場に家族で向かいます(^^;)
2008/10/12
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10月3日に仕込んだ二つのタンクのうち、ヨーグルトメーカーで発酵させていた方の発酵が止まったようです(^^;)なぜ発酵が止まったと判断したかというと、二酸化炭素を出さなくなったからです。甘みは十分に残っていますし、まだ糖分を食べつくしたとは言えないのですが、要するにすべての酵母がアルコールと二酸化炭素に分解した、ということでしょうか。一方の常温で発酵しているほうは、まだ勢い良くブクブクと泡を出し続けています。果帽を常に上昇させて、その果皮と種の間から、沸々と炭酸ガスをくぐらせています。神戸ワインでも感じることですが、ワインとは生き物であることがこういう場面では更に実感できます。置いておいたら、勝手にガスが出てきて、果皮や種の部分(果帽)を揺らすんですよ。なにやら虫のようなものが存在するのかと最初の方は、発酵槽を見て泡が立ち上がるとドキッとしたものです。あと、僕が目論んでいるのは、「清澄」ですね。どうやって、現状のワインの濁りをなくすか、です。「牛の血」という手がありますが、どこで入手しよう・・・。「小麦粉」という手もありますが、ちょっと面白くない?「フィルター」ってったって・・・・ざるじゃ粗すぎるし 紙じゃ、細かすぎる?などと考えて、「卵白」にしてみようと思っています。あ、でも、樽熟成もしなければなりませんよね・・・・・。いっそ、カリフォルニアの安モノワインのように「おがくず」入れますかね(^^;)とにかく、ヨーグルトメーカーの方は、冷却保存に回しました。まだスキンコンタクトはしています。熟成に関しては、常温発酵のワインが炭酸ガスの生成をやめたときにまた考えようと思います。
2008/10/10
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昨年は発酵を始める前からカビの薄膜が張ってしまって、一部冷蔵保存していますが、ワインの体をなさないものですが、今年の神戸カベルネ・ソーヴィニョンは違います。ブクブクと音を立てて発酵しています(^^)というのはウソですが、音は立てないまでも炭酸ガスを強烈に発散しております。本当に嬉しい驚き、誤算です。お陰で、困ったことに、キッチン中がショウジョウバエの住処と化しそうです(^^;)今回は実は2種類の「ヴィニフィカツィオーネ」(発酵から熟成を合わせた”ワイン作り”)に挑戦しております。一つは、写真のようにガラス容器に入れて、完全に自然の温度で、つまり温度コントロールなしで発酵させるやり方ともう一つは昨年同様、ヨーグルトを作る容器に入れて温度を幾分上げての発酵をさせるやり方です。双方共にもちろん「天然酵母」での発酵です。 双方ともに毎日グツグツしております。炭酸ガスの力で種や果皮が上昇します。これを専門用語で「果帽」といいます。イタリア語では、カッペッロ・ガッレッジャンテと言います。 cappello galleggiante文字通り、「浮き上がる帽子」です(^^;)発酵温度が高いほうがはるかに発酵が進んでいるようで果皮からの色の抜け具合が全然違います。予め熱湯殺菌したスプーンで、毎日2回ほどかき混ぜますが、その際にちょっとテイスティングすると、温度が高い方にはるかに炭酸ガスのピリピリが感じられます。去年は、このように激しく発酵することはなかったのですがどうしてでしょうか?実は、日曜日に収穫して、すぐに発酵させずに、金曜日にすべての作業をしたんです・・・。単に時間がなかったからなんですが(^^;)そういう低温保存の時間と酵母の運動に関係があるのかそれとも、今年のブドウの「蝋粉」の多さに起因するのでしょうか。わかりません(^^)ともかく、何かの機会にスクールやイベントにお越しくださった方にテイスティングしていただければと思いますが、でも少量故・・・・・お約束はしかねます(^^;)ともあれ、じっと観察し続けたいと思います。
2008/10/07
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ブログでのアナウンスが遅れていて、スンマセン!!今回の京都上級編は、「イタリア2大産地の一角」と呼ばれる トスカーナ地方にスポットを当てます(^^)ヴァラエティーの豊かさが身上であるイタリアワインだけにトスカーナとピエモンテを「2大産地」と言ってしまうのは甚だもったいないことだと常日頃から思っていますが、その伝統、その内外からの注目度、その質的に高い生産者の層の厚さを見れば、間違いなく、「2大」と言って良い実力は持っていると言えます。また、誰にとっても入門するときには「入り口」というものが必要になってくるでしょう。そういうときに「2大産地」という言い方は、非常に便利です。まずはここのこのワインを飲んでみたら?というものがあって初めて掘り下げていくきっかけを与えられるものです。そういう意味で、このトスカーナのワインは間違いなく大きく、魅力的な入り口になります。伝統地区としてのキャンティ・クラッシコヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノブルネッロ・ディ・モンタルチーノカルミニャーノそして新興地区としてのボルゲリスカンサーノパッリーナなどのマレンマ・トスカーナ地区。トスカーナ自体が伝統世界とニューワールド的な世界を併せ持つひとつの宇宙として存在しているのです。それを京都の上級編で掘り下げていくのがこのシリーズです。京都って、トスカーナ地方の州都フィレンツェと姉妹都市関係なんですよね。そういう意味もあって(って、あんまり意味ないかな^^;)、京都でのイタリアワインスクールをトスカーナのワインを中心にテイスティングしていく会にしようと思っています。もちろん、それだけじゃイタリアワインは語りつくせませんが一つの地区を深めて行ってこそ、その個性の表情を深く理解できるというもの。ヴィーテツアーの「トスカーナ編」も近い将来あることですから(^^)皆さん、この辺りで、少しずつ予習をしていこうではありませんか?あ、もちろん、気軽にワインを楽しむ感覚でいらしてくださって結構です。味わいについては、あれやこれやと意見を出し合いますがあれやこれやと言いつつもリラックスしていることが大切ですからね。先日、亡くなられたアブルッツォのジャンニ・マシャレッリさんの言葉にこんなんがあります。----------------------------------------------------“ Stare dalla mia parte non e’ assolutamente necessario,e tanto meno auspicabile: al contrario, una dose di curiosita’,come di fronte a una creazione estranea,con un’ironica resistenza , mi parebbe una posizioneimconparabilmente piu’ intelligente nei miei confronti “私のそばにいる必要はまるでないし、むしろ願い下げなのだ。逆に他者に対して意地悪な抵抗を投げかけるような、少しばかりの好奇心を持つことが、私には比較すべきもないほどに賢い振る舞いのように思えるのだが・・・(訳、高岡)-------------------------------------------------------他人の意見を聞いたり、ワインという他者を自らに取り込んだりするというのは、彼の言うように「意地悪な好奇心を持つ」という振る舞いで良いのではないかと言う気もします。熱烈に何か、また誰かに身を捧げるような姿勢ではなくもっと皮肉っぽい、斜めから疑いをかけて、いうならば偏見に満ちて、他者に対峙するのも、大切なことではないかとも思います。人間関係でもそうですが、ある程度の距離感を置いている方が、長く幸せな関係を築けるものですからね。リラックスして美味しさに陶酔するのも良し、鼻についたワインについて意地悪なコメントをするのも良し、色んな意見や文句を出して、その中で自分なりのトスカーナを感じ取っていくのが良いでしょう。高岡イタリア在住時の「トスカーナ恨み節」も突然口をついて出てくるかも知れません(^^;)ともあれ、ワイワイと楽しくテイスティングしましょう(^^)これが基本中の基本です。 ◎ 京都上級編(マニアチ) マニアックなテーマでイタリアワインの珠玉の 世界を愛でるワイン会です! 京都の秋はトスカーナの新興&伝統銘柄で 攻めてみましょう(^^) 10月 8日(水) キャンティ・クラッシコ 11月12日(水) ヴィーノ・ノービレ・ ディ・モンテプルチャーノ 12月10日(水) ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 全3回 ¥23000(税込み、パン&チーズ込み) 各回参加もOK 料金未定 場所: ワインバー ロスコ http://www.winebar-rothko.com/ ご予約、お問い合わせはコチラまで! viteitalia@maia.eonet.ne.jp
2008/10/06
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