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2024.05.13
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#宮沢賢治 #AIイラスト




一〇五八

電車

一九二七、五、九、

銀のモナドのちらばるそらと

逞ましい村長の肩

……べルを鳴らしてカーヴを切る

 べルといふより小さな銅鑼だ……

はんの木立は東邦風に

水路のヘりにならんで立つ

はんの木立の向ふの方で

黒衣のこども燐酸を播く

……ガンガン鳴らして飛ばして行く……

田を鋤く馬と白いシャツ

胆礬いろの山の尾根

町へ出て行く小さくやさしい貴女たちの群

 (今日はどこらへおいでです)

 (はあ組合へ金策に)

さあっと曇る村長の顔

……うしろを過ぎるひばの木二本……

風が行ってしまった池のやうに

いま晴れわたる村長の顔

……ベルを鳴らして一さん奔る……

 栗の林の向ふの方で

 ざぶざぶ水をわたる音

 それから何か光など

 崩れるやうなわらひ声

(解説)
鉄道の開通は農村生活を向上させる一方、消費文化を流入させ農家女性が電車に乗って借金に行く事態もうみだしました。
宮沢賢治の父や祖父は私鉄を経営していました。
財閥の家に生まれた宮沢賢治の複雑な感情が表現されています。
当時の花巻の実際の電車はAIイラストより横幅が狭く、馬面電車と呼ばれました。






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最終更新日  2024.05.13 04:59:45
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