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2024.05.14
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#宮沢賢治 #AIイラスト

一〇五九

一九二七、五、九、

芽をだしたために

大へん白っぽく甘酸っぱくなった山である




 このわづかな休息の時間に

 上層の風と交通するための第一の条件は

 そんな肥った空気のふぐや

 あはれなレデーを

 煙幕でもって退却させることである

 ……川なめらかにくすんでながれ……

 実に見給へ 傾斜地にできた

 すばらしい杉の方陣である

 諸君よ五月になると

 林のなかのあらゆる木

 あらゆるその藪のなかのいちいちの枝

 みなことごとくやはらかな芽をひろげるのである

  川にぶくひかってながれ




退職の警察署長のむすめが

水いろの上着を着て

電車にのって小学校に出勤しながら

まちの古いブルジョア出身の技術者を

少しの厭悪で見てゐたのである




 こゝはひどい日蔭だ

 ぎざぎざの松倉山の下のその日蔭である

 あんまり永くとまってゐたくない

 けれどもいったい

 これを岩頸だなんて誰が云ふのか







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最終更新日  2024.05.14 04:20:20
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