全2件 (2件中 1-2件目)
1

監督:三池崇史原作:滝口康彦「異聞浪人記(1958)」この小説は、1962年に「切腹」監督:小林正樹、主演:仲代達矢で映画化され、カンヌで高い評価を受けている。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%87%E8%85%B9_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29今年、カンヌ国際映画祭出品作品、三池崇史監督、市川海老蔵主演で再び映画化された「一命」をすごく観たかったので、公開されるとすぐに映画館へ行った。 切腹に関して 日本の武士道の、「己の名誉と贖罪の為、死を以って償う」という理念のなかで、切腹が単なる刑罰としてではなく名誉の行為とされたのは、戦国時代から江戸時代にかけての自決概念の移り変わりによるものらしい。切腹は腹部を切り裂いただけでは死亡までに時間がかかり、死ぬ者に非常な苦痛を強いるため、通常は介錯人が切腹直後に介錯を実行する。切腹の作法が制定された時期については諸説あるも、18世紀の初め(享保年間の前後)という説が有力である。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%87%E8%85%B9実際、自決方法の中でこれほど残酷な行為があるのかと現代を生きる私としては絶句していまう。 瑛太演じる千々岩求女(ちぢいわもとめ)が、大名屋敷の庭先で自ら持参した粗末な竹みつで切腹するシーンは、切迫心理を押し出し大画面大迫力で心に迫る。この激しく酷いシーンが5分以上も続き、私は呼吸困難になった。 鋭利な刀だとすぐに突き刺さるが、竹みつでは刺さらない。求女は、狂乱しながら何度も何度も腹を打ち刺し肉を破っていく。それを見守る井伊家の家臣には微塵の同情心も無い。介錯人の沢潟彦九郎(おもだかひこくろう)は非道にもその苦しみを面白がりすんなりと介錯しない。見かねた家老、斎藤勘解由(さいとうかげゆ・役所広司)が壇上より降りて介錯してやる。 売れる者はすべてカネに替え、武士の魂でもある刀まで手放し、病に苦しむ妻子の医者代を工面する為に、恥を承知で裕福な大名屋敷に乗り込んだ求女。幕府の御家取り崩しで浪人となった武士たちが、狂言切腹でカネを手に入れようとした江戸の初頭。求女もこれを決行し本当に斬首されてしまう。 うろたえる求女に、武士に二言は許されないと正式な儀式で処分される。でも、そんな冷酷無慈悲な斎藤勘解由も、戦国時代は主君に忠誠を誓い主家を守る為に命を賭けて戦い抜いた侍だったのか、片足を激しく負傷している。 ひとつの饅頭をも分け合って食べ、新しい生命の誕生に喜び合う。 寒さ貧しさにひたすら耐えしのび、いたわり合って暮らす家族。貧しく寂寥とした家にも冷たい雪が降り、夫の亡きがらの前で血だらけの饅頭をむしゃむしゃと食べ、死んだ赤ん坊の口にも入れる美穂(求女の嫁・津雲半四郎の娘・満島ひかり)のシーンがあまりにも哀しくて、いつまでも胸に残った。 津雲半四郎(つくもはんしろう・市川海老蔵)は、命を賭けて人間の「尊厳」を問いに、偽りの武士道を正しに井伊家に乗り込んでいく。 ちらちらと雪降る中の大立ち回りは、迫力ある剣術の見せ場でもあり、武士の意味を問題提起させる演技力の見せ場でもあり、存在感出す海老蔵は本当に見応えがあった。井伊家の赤備えの鎧を倒すシーンは体面ばかりの偽善をたたき壊しているようで圧巻だった。 津雲半四郎の、ただ、 ”春を待っていた・・ ” この最後のつぶやきは本当に、深く例えようのない哀しみを表現している。 胸が詰まった。美術もすばらしく、名家屋敷の屏風、襖絵が不気味だけれど非常に芸術的だった。 全般に暗く重い風景なのに主役格を含め映像がとても美しくすばらしかった。
2011.10.18

監督: 七高 剛 DOGxPOLICE <純白の絆>を観た。若きハンドラー(警備犬を訓練する警察官)早川勇作(市原隼人)と警備犬シロの絆を中心に、警視庁(MPD=Metropolitan Police Department)警備部警備二課装備第四係の活躍が描かれている。警備犬とは、犯人制圧、爆発物などの捜査、災害救助などの任務を行うことが可能な特殊な訓練を受けた犬。事件後に犯人を追跡する=警察犬事件を未然に防ぐ=警備犬 (警備犬は3.11東北大震災でも活躍しているそうです。)係長の向井(時任三郎)は、単独行動ばかりで協調性に欠けた早川の相棒(バディ)に、アルビノ(劣性遺伝)として生まれたシロを引き合わせ訓練するように命じる。でも、早川とシロの出会いは、シロがこの世に生を受けた時から始まっていた。 CGを使っていない爆破シーンはインパクトがあった。結果を恐れず突っ走る直情型ではあるが、人の心の傷に敏感で繊細な一面がある―という早川勇作のイメージに、俳優市原隼人がすごく合っていた。コスチュームがよく似合う。容姿が精悍で大スクリーンに見映えがする。それに犯人を追いかけ地下鉄構内を疾走する姿がさまになっていてとてもかっこ良かった。 この映画に登場するシロは2010年1月4日生まれのメス犬で、本名もシロで健康なホワイト・スイス・シェパードだそうです。主要メンバーの個性もしっかりしていて俳優さんたちの役作りへの取り組み方、その理解度をパンフレットで読んで深い感銘を受けました。 DOG×POLICE 警視庁警備部警備第二課装備第四係 (集英社文庫) (文庫) / 小森陽一/著
2011.10.02
全2件 (2件中 1-2件目)
1


