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A子は、タイムスリップして少しファンタジックな江戸時代に来てしまった。そこで出会ったのは奇妙な呪いや強迫観念を身に持つ人々。彼女は呪いや強迫観念に対し現代の知識で対処していく。今日のお客は。*「……君には、僕は救えないよ」そう語る青年の背中には、美しい梅の花。「これは呪いなんだ」そう語る青年は、もう一つ、人の上腕部ほどの屏風のようなものを取り出した。中には真っ黒な見事な枝と、白い絶妙なバランスで乗った雪が描かれている。「僕達、当代の者が死んだりこの絵に吸い込まれると、この絵の枝に花が咲くんだ」「……」「数十年で梅の花は散っていく。完全に散り切ったら、当代の者にとって最も近い血縁者の背中に花が現れる。切り裂いても駄目、他の絵を描いてもまがい物だと怒りを買うだけ。僕達がこの中に入るしかない」A切り裂くBお湯に漬けるC梅の絵を描いてみるD懇願する*A切り裂く「……分かった。預かってみる」そう言ってA子は預かった。その実、じゃきじゃきと切り裂いて、何でもありませんでしたよと笑ってみせたかった。鋏を取り出したA子の背後に、美しい女が現れた。女の上半身は裸で、黒い枝の紋様が刻み込まれている。その枝がA子に伸びて来る。「お…脅しなんかに屈しないんだから…っ」「違う。これは忠告だ。お前、このままでは大変に痛い目に遭うぞ」「は?ああ、困るんでしょ。あんた巻物だもんね、切られたら困るからそんな嘘」「嘘ではない」それでもそのとげとげした枝の隙をついてA子はじゃきりと巻物を切った。「……愚かな」「あ」「私は確かに巻物の一部だ。そして、無力だ。」「……」「だが、それを捕らえる者は違う」「……」「神様を傷付けると、同じ目に遭って殺されると、聞いたことはないか?……ああ、もう、聞こえていないか」「しょうがない……」黒い枝を繰って、女は絵を縫い合わせる。そうしてA子をも縫い合わせてやる。「……あれ?なんか、忘れてるような……」かくしてA子は生き返る。「……うーん、切るのはやめとこ」「他の手段なら大丈夫かな?」『……』「…?なんか今、黒い枝がずっこけたみたいに傾いた…」→SAVE POINT*B お湯に漬けるお湯に漬けると、絵の中から女がふわりと現れ出た。「余計な事はするな、今すぐ湯から絵を出せ。このままでは痛い目を見るぞ」「痛い目…?そんなもの、怖くないわ」女の上半身に描かれた枝が蠢いて、動きを止める。「……ああ、もう、手遅れだな」「……!」絵具が湯に溶ける。女の姿がどろりと溶ける。「なーんだ、これでよかったんだ…切り裂くな、絵を描くなとは言われたけど、お湯に漬けるなとは言われてないもん……あれ?」「……やはりな」「ちょっと待って……なんであたし、溶け」ぱしゃん、とA子は赤い液体になってしまった。その様子が、女の溶け行く上半身に散ってまるで赤い花のようになる。「……だが感謝するぞ人の子よ」「私達はこれで、神からは逃れられる」「私達は鎖だから」*「梅の花が消えた!君、何をしてくれたんだ!?」数時間後、男が喜び勇んで訪れた診療所には、誰も居なかった。いくら待っても、誰も帰ってこなかった。→SAVE POINT*C梅の絵を描いてみる「これでも美術の成績はAだったんだから」そしてこの診療所で働くうちに、怪我の治療や少し縫うくらいなら得意になっていた。お師匠様も最近では、扇子を口に当ててこちらを見守ってくれることが多い。ぺたぺたと赤い絵の具、桃色の絵具で着色していく。だが。「?……おかしいな、赤だよね、これ」その絵につけた途端、筆先から伝わる絵具が真っ黒に染まってしまう。他の紙では立派に赤の役目を果たしているのに。紙の相性だろうかと首を捻り、試し続けるA子に、何か声が聞こえる。「……無駄だ。 それはむしろ、我らの力を強めるだけだ」「……あなた、誰!?」「我らは枝。その絵に囚われる存在」まるで風を受けたかのように、絵の中の枝が揺れる。「……引き返せ、人の子よ。今ならまだ、間に合う。……まがい物は全て、鎖となるだけなのだから」絵の中の黒い絵の具は細く垂れ落ちて、まるで、新たな枝のようになっていた。*D懇願する「神様っ!お願いします、××君を、××君の血縁の人達を、つれてかないでくださいっ 何でもしますからあ」「……今、何でも、と言ったな?」*数年後、その都には、鬼が現れ人を食うと言う噂が流れていた。その話を、今はもう白く綺麗になった背中にじっとり汗をかいて青年は想う。自分達は封印していたのだ。無数の血を求める魔物を、身一つで贖って養っていたのだ。それを、解放するきっかけを、作ってしまった。悔やんでも悔やみきれない。しかしもはや絵は彼の手の内にない。悲しそうな顔で、あの日あの晩、腐れ縁の黒枝の女が別れを告げに来た。「……もう、私達、お役御免みたい」「それはどういう…」そして、代々継いできた青年の懐刀を取って、女は消えた。その意味を青年は数日後、知ることになる。赤い花に白い雪。灰色の枝。寒中の梅。その化け物は無数の血と骨で出来ていた。そして新たな犠牲者を捜し、夜ごと更に咲き誇っていく。
2011.04.30
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雑絵でごめんなさい。夏A編映画化・ゲーム化したら買う。本編の完全再現は当然として、それに加える特典の形でIFルートを見たい。同じバッドエンド・デッドエンドだとしても「もし●●していたら」というルートを見たい。7種は2次創作難しいと思うけど。そこも好きなんだけど。
2011.04.29
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もしもナツが一人で旅することになっていたら、どうなっていたのか気になる。あと、なんだかんだこっち来てからは涼が一緒に居た安居も。花も1年以上大人の状態で一人で旅していたら…?というのは気になる。新巻さんみたいに、犬の代わりにいのぶたと一緒に旅していたりして。ないかな。
2011.04.28
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「他のチームと合流した方がよさそうだな」僕達のチームは、7人で始まった。*僕達は冷凍保存されて、人類が滅んだ後の地球にやってきてしまったらしい。メンバーはとても綺麗な美鶴さん、ガイドの熊川さん、卯浪さん、涼さんに、元気そうな吹雪くん、そして僕だ。あとの3人は、『解凍失敗』していたと言う。無残に干乾びた姿は可哀想で、だけど、一歩間違えば自分がこうなってたのかもしれないと思うとぞっとした。3人を、皆で埋めてあげた。それからすぐのことだった。「……それ、使うんですか?」「ああ。資源は有効活用しないといけないだろ」その人たちの荷物を、何のためらいもなく卯浪さんと涼さんが使い始め、僕達はぎょっとした。「……でも、私達も生き残れるかどうか怪しいんだから、仕方ないわ。 丁重に弔って、ありがたく使わせてもらいましょう」「美鶴さん…」「……鷹。……まずは、俺達が生き残らないとだ」「吹雪」僕だけが、覚悟が足りないのかもしれなかった。*3人の遺体が掘り返されていた。それを見て涼くんは移動を強く主張した。「…いつ状況が変わるか分からない。シェルターや他のチームを探すべきだ」「涼お前せかせかしすぎだろ!もっと地面固めて行こうぜ」「……」ひどくうざったそうな顔で吹雪くん改め吹雪を避けて、涼くんは今日も狼煙を上げる。まるで誰かを呼んでいるみたいだと思った。*「鷹くん、これいけるわよ」「美鶴さんチャレンジャーだなあ…」食材を美鶴さんや吹雪くん、涼さん、卯浪さんは何でも試してみる。僕も、吹雪に試してみろと言われて口に突っ込まれた。「……おいしい!」「だろ!よし、今日はこれの鍋で行こうぜ!」「そうだね、じゃあこっちの野草も入れてみる?」「おう!」 一頻り食べた後、僕は数日前に見付けた狼のような、犬のような動物の所に差し入れに行った。「……その子の調子どう?治りそうかしら」「治るといいけど…」前足の血は少しずつ薄くなっている。包帯もあまり変えなくても大丈夫そうだけど。「……なあ。そいつが、死体を食い荒らした犯人じゃねえのか?」「……違うと思うけど…」「どうだか」涼くんが砥いでいるナイフを、いざとなったら止めたいと思った。*犯人は、狼じゃなかった。「卯浪さん、後ろ…」「……ちっ」大きな虎だった。「涼くん!?」虎に向かって発砲している卯浪さんを置いて、涼くんは突如走り出した。茫然としている僕の首根っこを強く掴んで。「ちょ……涼、くん……っ卯浪さんは!?」「あいつは武器を持ってるから大丈夫だ」「それでも…っ」涼くんが卯浪さんを疎んでいるのは傍目でも明らかで。ここで離れたら二度と会えない気がする。「……まずは生き残らないと、だろ」「…え!?」「……お前らがどれだけ死に急ごうが勝手だが、俺は他に目的があるんだ」ぎろりと睨まれて、伸ばした腕が竦んだ。「……お前と吹雪と美鶴は一緒に居たい。俺はあいつらと合流したい。 その為に一番の解がこれだ」「……っ」「他の奴らには言うなよ」 その後少しして、ぱんぱんと高い音が少し空に響いて、静かになった。* あれから15年。美鶴さんと吹雪の間には可愛い子が生まれて、一緒に暮らすようになった犬達も大家族になった頃、僕達はやっと春のチームと合流できた。「お前……もしかして」 「……!」 生真面目そうな青年だと思った。どこか尖っているのに、妙に天然そうな、……未だにどこか育ち盛りのような印象を与えるところが、安居と名乗った青年と、涼くんは似ていた。*「……そっちのチームは、ガイドは3人じゃなかったのか」 「……もう1人は、あいつだ」 「…あいつ?」 「……まさか…」 「未来に来る直前お前らに馬鹿みたいな発破をかけたあいつだ。 肉食動物の囮にした。その後は知らねえ。運が良ければ生きてるだろうが、顔を合わせないで15年経つ」 「……そうか」 あの時、故意に見捨てたことを、冬のチームには言えなくても……彼には言えるようだ。僕は聞こえないふりを続けた。「人の声がするからあいつかと思った。……顔を合わせてみればお前らだ。昔から見飽きた顔だが、安心した」 「お前はキャラが変わってなさそうで安心したよ」 ……けれど、涼くんがふと笑いをもらしたのを見て。 あ、若返った、と思った。 面倒そうに言う涼くんだったけど、その背中はどことなくしっぽを振っている犬を思い起こさせる。 微笑んで言葉を返す彼は苦労してきたのか白髪が多く、涼くんに向かった微笑む顔に僕は、孫を見守る老人を重ねてしまった。「……ありがとう。多分僕も、皆も、そう思うと思う」 「別に。そういうキャラの俺がやってやった、それだけだ。……皆って…他のチームには会ったのか?」 「いや、まだだよ。チームは、僕たちが急遽『別々のチームに振り分けられる』ことになってから1つ追加されたのは知ってるよね」 「ああ。-ふざけた話だ、俺達と同じ季節の名前を冠してる一般人なんてな。……しかもそいつらのお守りを任されたのが、行きたくないと叫んでいたあいつと、どうでもいいが口癖のあいつだ」 「どうする。そいつらを捜すのを次の目標にしてみるか?」 「……ああ。ここにも、数か月定住していたが……食糧も増えてきたし、いいだろう」 「……丁度いい」 僕達を置いてけぼりに話し込む、ガイドの人達。 ……唯一源五郎くんと言う人だけが、犬たちをちらちらと見ていた。「……源五郎。気になるなら撫でてきたらどうだ」「…後でお願いするよ」 動物好きな人に悪い人は居ない。僕はなんとなく彼に好感を持った。当の犬たちはと言えば、無邪気に春のチームの人達に遊んでもらっている。「……花さん、でしたっけ?あなたも、撫でてみますか?」「…いい、んですか?……」「……?勿論」「……!」彼女は犬を数回撫でて、静かに泣き出した。慌ててその様子を隠そうとする僕に、犬達が後ろから追突する。どすどすと埋もれる僕達の様子に、花さんは小さくあはは、と笑った。そうして僕達の旅は、新たな局面を迎える。
2011.04.27
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・未来安居・未来小瑠璃・未来鷭ちゃんが泣く・未来の小瑠璃変わってないと言う安居に顰蹙の嵐な繭ちゃん・のばらちゃん、怒ったふりをしつつもとても嬉しそうに笑うW小瑠璃・くりくり同盟増加、まつりちゃんやちまきちゃんのみならずお蘭さん牡丹さん螢ちゃんひばりちゃんくるみさん(微妙な所だけど花・新巻さんあたりも)が巻き込まれる。なお蝉辺りは入れないと言われる・未来安居に戸惑いつつもおずおずと弟のように話しかける茂・未来安居破顔・混合「誰」・その様子に少しジェラりつつも、他の面々が工作や未来の資源で色々作ったり試したりしてる所に積極的に交わり、素直に教わったり一緒に遊んだりする過去安居・桃太(鬼が島がこうだったらよかったのになあ…)・兄弟のように、成長した身長でもって未来安居が茂を肩車したり腕にぶらーんとしてみたりおんぶしてたら更に小瑠璃達が来て何人乗れるか試すことになる・過去安居も乗る・嵐(遊園地のきぐるみ…?)・微笑ましく見ている未来涼・いたずら的なことをしてまつりや未来安居に捕まえられる過去涼・この頃から野球の素質を見せ、未来に対して何となく希望を持つ過去あゆ・外の世界の、施設では学びきれない医療知識・経験を藤子ちゃん達から聞けて嬉しそうな過去鷭・これから出会う動物達について説明するかどうか悩みつつ、少しずつ話していくW源五郎withわんこ・新巻さん・動物・茜さん達・カレー食べて野球して皆でぐっすり寝て・数日後、唐突に消える子ども達・夢だけど夢じゃなかった・作ったもの達だけが残ってる
2011.04.26
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山本誕生日おめでとう!!*****山ツナのBL本のタイトルは「手作りの楽園で」で、帯のフレーズは【 君を運命と呼んでいいですか? 】です診断*** 手作りの楽園で、俺達は何度も何度も出会ってからの青春を繰り返す。「俺を運命と呼んでくれるか?」 そう言って、何度も壇上に上がる直前のツナの手を取って逃げ出して、ハッピーエンドだ。 そうして、目が醒める。 目が醒めたら今日も仕事が沢山待っている。 仕事で顔を合わせたツナと、たまに話をする。「ついさっき話したような、久しぶりに話したような不思議な気持ちだぜ」「あはは、夢で結構話しているせいかもね」 ツナはツナで、キラキラした思い出で毎晩癒されているようだ。そこに俺が居ることが、心底嬉しい。 ツナの「エンディング」は、きっと俺の夢見たものではないからーそこについては言及できないけど。 最近開発された薬のお蔭で、俺達はうまく眠れている。夢の中で十年近くを体験すれば、目覚めてからの一日なんてたいしたことないと思える。今日も幸せな夢を見る為に、皆の夢を守る為に、俺達は闘っていると思えば、終わりのない戦いが辛くなることもない。毎日走馬灯を眺めている気分だからだ。 最近は夢の中の方が現実のように思えてきた、なんて一人で笑う。 だけど、いつかキラキラした夢から目覚めない朝が来ればいいなんて絶対に思わない。 現実を夢みたいに幸せにする。 本当の、手作りの楽園を作ってやる。 場外逆転ホームランで、楽園よりもキラキラしたツナの目を見たいんだ。 それに比べたら、夢の楽園は単なるヒットだ。 俺のでっかい運命、待っててくれな。かならず叶えるから。
2011.04.25
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文明が滅んだ世界で、俺達を導く役目として現れた人々。彼らにとっての法律と宗教は、一人によって作り上げられていた。「……が言うから」「……ならこう言うだろうから」「……が決めたから」そして部外者であると位置づけられた俺達は、その一人を見たことも、声を聴いたこともない。概ね彼らの行動は正しく、無垢で、合理的だった。排他的なことと、その一人の居る場所に近付こうとすると酷く警戒されることを除けば。「……あそこには居る筈なのよ。酷い怪我を負ってるから、会わせられないと言われたけど」「俺も呻き声は聞いたことがあるな。痛みの発作が来たら口も聞けない状態になるんじゃねえか?……薬、もう少し分けてやるか?」「……そうね。こっちの方が年季は長いし」「でも、【そいつ】がまたダメって言いそうね……【そいつ】と直談判できたらいいのに。もうかれこれ数か月よ」「あの人が、うちらとの合流の後押しをしたらしいて聞いたのになあ」「多分あの人があのチームのガイドやろ?」その名前は夏の季語だと教えてもらった。珍しい、あまり聞かない名前だったけど。「……」「どうしたの?」「……なんでもない」彼らと初めに合流した子は、彼らを警戒している。確かに別のチーム、それも排他的な彼らの中に子ども一人だと怖いだろうなあ。「……あなたは」「うん?」「あそこに、誰が、どんな状態で居ると思いますか」「うーん…大怪我を負っちゃったんだよな。口も身体も殆ど動かせないって、あの人達は言ってた。 ……もしかしたら、その人は仲間を庇ってそうなったのかもしれないな。 なんにせよ、こんな世界で、そんな状態でも見捨てないって……とても大変で、凄いことだと思う」「……死なせないようにしてる…」「うん」「死なれちゃ困る、って、……副リーダーのあいつ、言ってたんだ。 『リーダー』の為に、お前は死なせない、って」「立場の為に死なせないってことか。大変だな、リーダーも」「……あのさ…動いて役に立てない時、……その身体を使って、未知の食べ物の……」「あら、こんな所で何を話してるの?」「……!」「あれ、どうしたんですか?」「昼ご飯の時間よ。あなた達の仲間が探してたわよ」「……」「昼ご飯楽しみだなあ。……それにしても、あなたたちは流石ですね。ここにやってきて数か月しか経ってないのに、もうこの世界の植物や動物を、安全に食べる手段を見付けてる」「沢山試せばいいだけの話だから」「すごいなあ」 今日も平和だ。
2011.04.24
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信仰である。物語というものは、ある種の信仰により成立している。身も蓋もないことを言ってしまえば、ある種の善意あるいは悪意あるいは欲望といった執着心により、物語は継続される。猜疑心が介入しない、あるいは猜疑心に抵抗できる力を備えることこそが物語における性善説だ。信仰には対抗する物体が必要である。あるいは対抗する物体があるからこそ信仰が成立する。ほとんどの対抗する物体とは、物語を造る者、あるいは読み手の自己補完によって創造される。信仰が消失することで消え失せる自己原因的な悩みには、目を瞑るか、見間違えるか、あるいは信仰を消失するか、何か解を見付けるかの対処法が役に立つ。さて、ある主人公は人生のありとあらゆる面で信仰を必要とした。それだけ沢山の試練に主人公は取り囲まれた。主人公は立ち向かい、あるいは逃げ回ることで年を重ねることができた。そして主人公はある時、自身の信仰を書き出すことにした。その中には一人の悪魔が居た。悪魔は悪魔でなければならない。主人公の身を映した、我が子のような登場人物達の敵でなければならない。それなのに主人公には愛着が湧いていた。これだけ対抗してきた悩みこそが主人公の根幹をなしてもいた。憎んでも憎み切れず、愛しても愛し切れないその存在を主人公は追放し、それでもその先で幸せになれるかもしれないという物語を付記した。あるいはそれは願いだった。信仰ですら救えなかった、信仰ですら排除しかできなかった者を、自らの檻から解き放つ為の船が、悪魔に与えられた。悪魔は見ている。画面の外を見ている。その外には、きっと主人公が描くそれよりも、美しく、無残で、優しく、醜悪で、夢のようで、現実的な明日がある。
2011.04.23
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タイムスリップした現在、要は戸惑っていた。かつて受けると思っていた、そして失って久しい信じる目と頼る腕と柔らかな温もり。そこに居たいと思ってしまった。未来へ要は向かわねばならないというのに、要は過去の世界において失ったものと対面して、未練をもってしまった。そしてそれらは、あのチーズ状になった安らかな微笑みとは違って、確かに生きているのだ。*子ども達の声は聞こえない。代わりに大人になったあの子達の声が耳の中でこだまする。返答するようにして要は今日も楽器を鳴らす。『どうして』「平気だ、気にする必要なんか全くないって思ってれば、いつか本当にそうなると思ってた」『先生達だよ』「…倦まず弛まず、手段を択ばずやってきた結果がこれだ」『卒業します』「……俺は赦されないんだろうな」『正常な判断が』 この世界は恐らく未練で出来ている。 未来に行った、そして過去この時間に居る僕達は記憶だけ帰っている。 未来に居るがこの時間には居ない人々は体と記憶共に毎回蘇っている。 未来には居らずこの時間には居る人々は身体だけが何とか生き返る。 だがその認識は、ここの僕達が知りうる範囲内でのことだ。「こんなはずじゃなかったのに」 この世界は、恐らく、僕達の未練で出来ている。 有り得たかもしれない可能性の集合体。「……ごめん、と、ありがとう、か」「……言える筈もないな」 言える相手も居ない。 言える場所もない。 要は一人だ。 いつも居る高い所が、急に寒い場所になったような気がして要は身を震わせた。*箱庭を要たちは作っていた。けれど仕掛ける側になって思った。ここは本当に井戸の外なのかと。もっと他の、例えば隕石を落とし、要の両親を死なせ、要に誘拐のトラウマを植え付けた物事が、要たちの箱庭の外から伸びる手で仕組まれたのではないかと。この世界で生まれ、生きて死ぬ要は、それでも構わない。まがりなりにも育て上げ、感謝され、幸福を感じて消えられるのだから。だが一つだけ疑問がある。この世界がもし箱庭なら、神様は何を造るつもりだったんだろうという疑問。安居の後悔が未来へ繋がる世界か。新巻の願望が報われていく世界か。花の心中が成長していく世界か。ナツの考察が深められる世界か。要の凶行が意味を成す世界か。答えは今日も見付からない。とうに終わった世界の空っぽな青空には、安らかな光と涼やかな風だけが満ちている。可能性の樹の枝は空っぽな空にある未来に向かって伸び、底も見えない程に真っ暗な地にある過去に向かって根差す。その起点となる種、現在を、少なくとも神は生んだ。行く先を、もしかしたら、神様も知りたかったのかもしれない。
2011.04.22
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彼女が居るかのように彼らは振舞った。彼らは8人だった。*彼女に出会って、一人の旅人は救われた。*彼女に再会して、その恋人は報われた。*彼女に止められて、ある8人はもう一度一緒に歩み始めた。*彼女と出会ったことで、彼女の為に犠牲にされた人々は嘆きを強めた。*全てが噛み合って、100人の子供達は起き上がった。***************************************************************************************************************************************************************************************彼らははじめから7人だった。1人がミイラになっていたのだ。*ほどなくして7人は仲間割れして死亡した。*その近くを丁度彷徨っていた一人は、その遺体を見付けて絶望し、狂い死んだ。*経緯を知ったミイラになった者の恋人は自殺した。*8人は分裂したまま、土砂に埋もれた。*ミイラになった者の父に犠牲にされた人々は因果応報だ、と呟いた。少し可哀想だ、という仲間の声に、それでも彼らは少し頷いた。*100人の子供達のもとには未だに誰も辿り着いていない。***************************************************************************************************************************************************************************************居ないのが彼女だろうと、もう一人の彼女だろうと、彼だろうと、100人は目覚めなかった。だから、彼女は生を噛みしめながら、今生きている全ての人々に、少しずつ感謝をする。
2011.04.21
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公式が鷹冬過ぎて幸せなのでこのさい鷹夏も考えたい鷹子×夏男でもいいし鷹臣×夏男でも鷹臣+夏男でもいいと思うよ…!鷹夏のBL本のタイトルは「いじわる天使と泣き虫悪魔」で、帯のフレーズは【 罪なくらい可愛い人 】です→鷹臣:天使(いじめ止めた(物理)的な意味で)(スパルタ天使) 夏男:悪魔(泣き虫(元))(泣き虫(鷹臣くんに対して)) 罪なくらい可愛い人:二人にとってのお互いの、何気ない瞬間鷹臣×夏男のBL本のタイトルは「恋心をひとかじり」で、帯のフレーズは【 君は僕のお姫様 】です→ひとかじりするとぶっ倒れる恋心の林檎。吐き出すと目覚める代わりに忘れてる。→「君は僕のお姫様」 鷹臣くんは、引っ越しの最後の時の事を何か隠している。 それは最後の守り人としての仕事、のつもりなのかもしれない。勿論男装でも鷹臣くんにょたでもいいと思います。あの二人は性別がどうなってもそれぞれで面白いと思う。今度は百合本タイトルとNL本タイトル診断を探してやりたい(あるのか…?)
2011.04.20
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クラッシュより早くUSBの差し込み部出してコピーが終わる気配僕のパソコン衣替え黒い画面フリーズ際でデータ守りたい予算は2000円3~5年ずっと使い続けているPC。酷使しすぎたのか最近挙動がおかしいので、甘いメモリーデータだけ新しいパソコンにうつすことに。電気屋で見るも、お高い。特殊機能より移すことが先、却下。通販で待つほど時間ない。あと通販はなんか品質が怖い。通販で中学の修学旅行直前に買ってもらったトイカメラが壊れた時のお父さんの哀愁の背中を私は忘れない。だめもとで学校の近くの初めていく携帯ショップ(結構大型・電気屋も兼ねてる)に寄ったら64GBのUSBがなんと2100円ほどで買えた…!!これデータ保存本当に大丈夫なんですかと失礼すぎる質問を売り場のお姉さんにしたところ、自社製品+在庫多い+特殊機能少ない、ということで相対的に価値が下がったとのこと。初の64GB(引く5.5GBほど)にちょっと興奮。その分大事にしないとなあ。取り敢えずプラチナデータほどではないけど大事なデータログ先に移しちゃおう。もう一本買おうか買うまいか迷い中。。それと課題が結構迫ってきているのでしばらく更新頻度下がりますすみません。ぬわー。
2011.04.19
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ジブリかな??『よりよい【妖怪や妖精の住めるような】環境・自然を作るには?』という話なので、真面目なまちづくり本です。 この中で気になった言葉として、「大人は妖怪が見えない」があります。「子どもの時にだけ、あなたに訪れる」。この歌詞でじんわり来る人は、もう失ってしまったなと思うものがあるんじゃないかなと思います。打算的だったり、損得勘定で動くのは大人も子供も変わりません。ただ、子供のほうが相手に合わせることがない分素直で、大人の方がたくさんの価値観というか常識に振り回されている分本当に大事にしたいものを見失ってしまっているんじゃないでしょうか。 あとはジブリで言うなら千と千尋を彷彿とする「市場は町の鏡」。漁港なら魚、貿易の多い所なら輸出入製品、と町を特徴づけるものがあるのは勿論ですがその活気さえも鏡だとしたら…。色々な町の市場、商店街をよく見てみたくなります。東京近郊の桜並木withアスファルトのいくつかは、桜の下には川の死体が埋まっている状態だ、というのも興味深かったです。ハクが貶められてしまったのも確か住んでいた川が死んでしまったからだったような。妖怪とは、昔からそこに息づくものの象徴です。昔の人々の想いも、そういった存在と一緒に未だ在るのだとしたら、『妖怪』が彼らの代弁者なのだとしたら。私たちは彼らをきちんと「見る」「見られるようにする」ことで、たくさんの失った想いをも復活させられるのかもしれません。猫の恩返しのような猫じゃらしの丘に小さな家々の陰。隣のトトロのような未開の森の奥、そこに繋がるトンネル。千と千尋のような海の中の停留所。昔夢見て、どこかに旅行する度に探しました。けれど、どこも途中で切れ、整備された石、コンクリート、金属、アスファルトに変わってしまっていました。効率化だけが必要、といった風潮でなくなった今。こういった夢を再現させることも、目標としていいのではないでしょうか。
2011.04.18
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・あじさいの浴衣のお姉さんが、今となっては他のあじさいにうもれているこの町の初めのあじさいを想いだす。その場所を待ち合わせ場所に指定した相手は憎まれ口ばかりたたいてくる近所の小生意気少年。4歳年下。15歳と11歳。そして、その年下少年は天才少年と呼ばれていたが毎年自分をプロデュースするために子供っぽいことを全て我慢していたため、年に一度のおまつりの時は仮面を被って好き放題する。「お前は覚えてないんだろうな」「……?」歩きながら彼は言う。おっとりしていてとろ~んとしているお姉さんは、ゆるい茶髪をまとめた頭をかしげる。覚えている。だけど、この子にはきっと将来が、もっと大きな将来があるから。あじさいが増える前、はじめのあじさいは殺風景な街並みで一か所だけ鮮やかで、さながら告白の桜の木のようだったのだ。そこで、8年前彼と彼女は婚約の真似ごとをした。今では、そんなことただの口約束に過ぎないと彼女は知っている。だけど悲痛そうな顔で嘆く、仮面の奥の少年は彼女よりも少し幼く見えて、彼女はどうしようもないもどかしさを抱えるのだった。
2011.04.17
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同級生の芳井はとてつもなく愛想が悪い。特に女子に向ける態度が壊滅的だ。大学生とは思えない。仕方がないので正義感で生きてると言われるあたしが注意することになった。「ちょっと芳井ー!」「……」ほら、欝々とした態度でじろっとみてくる。こういう奴が将来犯罪を起こすのよ。「あたしの友達泣かせたでしょ」「人違いだ」「告白したのに無視して逃げたそうじゃない」「知らん」あーもーなにこいつ。こういう奴ほんと嫌い、人の気持ちを慮る回路が欠けてるんだろうなきっと。190以上ある身長で高みから無表情で見下してくるそいつに苛立ちが募る。身長と性別でマウント取れるとか思わないでよね。「そんな言い逃れが通用すると…」「ヨッスィーーーーーー!!!」「!?」突然轟音が響き、目の前から芳井の姿が消えていた。「…え?え?」いや、ただ突然追突してきた何かに押し倒されてただけだった。……190以上のマッチョを?何が?その夕焼け色の塊はぽんっと顔を起こす。…人間だった。「え…あの……」「ちょっとヨッスィー!なんで人に断りもなく女の子と会話してるの!浮気!?ねえ!絶対不安にさせないからって言ったのは嘘だったの!?」……え?芳井とは全く逆、喋り倒すその女の子?にあたしも、…芳井も硬直してる。「えっ、別にあたしたち、そんな関係じゃな「ねえ聞いてんのヨッスィー?」地獄の底から響くような声に芳井はあ、とかう、とか返せていない。芳井、あんたの嫁でしょ、何とかしなさいよ。「そんな…そんなことするなら…もうだめだね…おしまいだね…」「いや、待て、待て頼む」「待たない!ヨッスィーの馬鹿!」「いや俺の頬撮むとか髪の毛いじるとか好きにしていいから頼むからまた自傷すんのはやめ「……仕方ないなあ、ヨッスィーの表情筋も髪の毛もほっとくと強張ったりごわごわになっちゃうもんね」……あ、ああ、そうだな。ごめん」素直すぎる芳井に呆気にとられるあたしたちの前で、芳井はその子に引きずられていく。芳井はさきほどその子に追突された腰がまだしびれて立ち上がれないようだ。もしかしたらその子に合わせて敢えて立ち上がれないふりをしてるだけかもしれないけど。ーかと思ったら、その彼女?さんがぐるりと唐突に振り返り、びくりとあたしの肩が跳ねる。「……芳井に何か用事あったなら、代わりに聞きますけど?」「…いえ、大丈夫です。自己解決しました」「それならよかったです」ちっともよくない顔でその子は去っていく。あの何とも言えない欝々とした顔。自分以外の何かに縛られている顔。度を越したぶっきらぼうな態度。……これまでの芳井の態度の諸々に納得が行った気がして、あたしは心の中で芳井に合掌した。
2011.04.17
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夢の日記ってつけちゃいけないのかな。昨日見た夢。妙にリアルで、知人がたくさん出てた。白いドア、ドアの向こうは青空、でも開けるとなにか狭い潜り抜けるためのところがあって、その先は夕焼けの空、そして開けるとまた白いドアの繰り返しの風景振り返ると、もしかしたら戻るためのドアノブはついてないんじゃないかと思ったけれど、次に来る人が開けようとしている青空のドアには、私も戻るためのドアノブがちゃんとついていた。でも私はたぶんそれを開けに戻ることはないんだろうなと思った。よく分からん、けどこれネタにできないかな(重症)他にもなんかクラスメイトが公園で変な人に俵かつぎされてつれてかれておいかけてったら津波に飲み込まれてクラスメイト助けて終了☆って夢見たけど俺はひでおになりたいのかな・・orz
2011.04.17
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どういう目的でこの世界をつくったんだろうか観察して、今も楽しんでいるんだろうか観察することは楽しいのだろうか観察者として たまに影響を与える者として楽しいのだろうか楽しいのかなぁきっと、楽しいのかな
2011.04.17
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落ちていくだけ落ちていくだけなのだ。何も持たず重みもなく浮力もなく共に落ちる者もなくただひたすらにゆるやかな落下をただ一人でことあるごとに繰り返すのだどこから落ち始めたのか、どこに行けば止まれるのか、不毛な問いを飽きるほど繰り返しても繰り返しても落下の時間は長くて尽きることがない昔の写真を見て、回想する私はいつからこうなった?ゆるやかすぎて 分からなかった?今は、よくなっているのかわるくなっているのか自分が今度は間違えていないのか 昔のほうがまだよかったのかそれさえ分からないで今日も周りに己を見てそして独り降りてゆくのだ
2011.04.17
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でもモニターは父のお古。 でかい。 今まで使ってたのが薄型だったから今更ながらノートパソコンにしなかったことを後悔。でもやっぱり嬉しい。制限時間付だけど・・・でも制限時間内なら、もう骨肉の争いがないので・・・最終更新日 2014年08月06日 15時49分08秒
2011.04.16
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あたしたちはタイムスリップを繰り返してる。もう6周目か、7周目か。佐渡で子ども達が殺される7年間を延々とやり直している。あたし達が暮らす場所は佐渡で、沢山の子ども達が殺されたのもこの佐渡で。その周りでは更に沢山の人達が、あたし達の眠っている間に死んでしまっていて。だから皆の未練が、生き残ったあたし達に集中して、こんな終わらない夢を見ることになっているんじゃないか、なんて、仲間のオカルトに詳しい人は言っていた。……この時代に生きている人達の内一人だけは毎回未来での記憶を持っていること、その一人の思い残したことを達成したら、バトンタッチでもするかのように、別の一人に役割が移ること。何度か繰り返す果てにそれが分かった。だけど、その未練はどこまで続くんだろうか。初めの安居君はともかく、未練なんてないと言っていたあゆさんまで巻き込まれているから、あたし達はあっけにとられるしかなかった。「…何回、繰り返すんでしょうね」「ゴールは、いつ来るんでしょうか」繰り返せることは、安心だ。やり直せることは、安全だ。だけど、ずっと繰り返し続けたり、やり直し続けるのは、何も変わっていないのとどう違うのか。世界の理にあらがっているからと、調子に乗っていた。よくも悪くも、リミットが欲しい。……結末が欲しい。終末を願うなんて馬鹿げているけれど。*×月×日 図書館何のためにあたしは頑張ってきたんだっけ。……何のために、あたしは、生きてきたんだっけ。「あたしは…未来の世界に行くまでは、ナッツが居るのと、家族が居るのと… 本の続きを読む為に、あの時まで生きていた気がします」「……本?」「はい。無人島とか、孤立した洋館とか、空の彼方とか、どこへでも小説を読めば飛んでいけたんです。……その時だけは、暗くて弱い自分や、重く沈んだ部屋、何より他の人へのコンプレックスを忘れることが出来ました」架空のエピソードに胸を躍らせていると人は笑うだろうけど……あの時だけは、あたしはあたし以外の人の価値観に染まれて、あたし以外への対応に身を浸らせることが出来た。「……私と…ある意味似てるかもしれないわね」「え?」「私も『馬鹿の居なくなった綺麗な世界』として、未来と未来に行く自分を夢見てきたわ。 ……おかげで、その為に必要ないもの全てを睥睨して、全て置いてけぼりに出来た。 …汚くて馬鹿だらけのこの過去で、私の心はずっと未来にあったような気がする」「……あゆさん」「…未来に来た当初は、あの教師共に騙されたと思ったけど」「……!?」「でも、今は鷹さんと出会えたからいいの」「……そ…そうですか…」「あなたも、未来で出会えた人が大事なんでしょう?」「……はい」「じゃあ、早く帰らないとね。」「……私でさえうんざりしてるんだもの、こんな世界の繰り返し。 何度も繰り返してるあなたたちなら猶更早く、元の世界に帰りたいでしょう?」「……」ここはネバーエンドだ。ずっと同じ『可能性』を試し続けたら、大人になれない。読み終わった本の同じページを繰り返し読んで、納得いかない部分には独白に空想を書き込んで…そんなことをしても、可哀想な犯人は救われないし、死んだ者は蘇らない。あたしの頭の中、そしてその書き込んだ一冊だけで、登場人物の運命が変わるだけだ。…それでさえ、書いた作者本人じゃないんだから……唯一の読者であるあたし自身さえ誤魔化せなくなったら、書き込みはその一冊でさえ、物語と連続しなくなる。ただの落書きになる。……それでも、ずっと挑み続けたら、何か別の扉が開けるんじゃないかと思うのはただの願望だろうか。…1周目であたしたちが要さん達と接触し、2周目で安居くんが茂さんに席を譲り、3周目で源五郎くんが動物達を救い、4周目で卯浪先生が立場を変え、5周目で小瑠璃さんが頑張って、お蔭で皆一旦外に出られて…結果的に、8人が未来に行けたことには、……今、6周目で何かを変えようとしていることには、本当に何の意味もないんだろうか。様々な変化をもう少しだけ見届けたいと思うことは、傲慢で、自分勝手なんだろうか。*×月×日 畑「……前々から思っていたんだけど、どうしてあなたは蝉丸さんといつも一緒に居るの?」「……落ち着くんです、多分。それと、絡み方はちょっとアホな方法ですけど」「そうね、馬鹿っぽいわね」「…それでも、あたしのことを気にかけてくれてるのかな、って思うんです」「……理解できないわ」 それは、あゆさんだから。 ……あゆさんが話しかけたなら、どんな男子も喜ぶだろうけど、あたしはそうじゃなかった。 バレンタインのチョコだって、弟にしかあげたことがない。 誰かに好意や関心を寄せることが相手の不快感に繋がるような気さえしていた。 年々あたしは不器用で、愚図で、内気で、人好きのしない性格になっていって…だから、無理やりにでも接点を持ってくれる手はありがたかった。 あたしが無害そうで弱そうだから一緒に逃げようと言ってくれた嵐くんも。 あたしと茂くんが似てるからと世話を焼いてくれた時の安居くんも。 あたしがトロいからやたらめったら弄ってきた時の蝉丸さんも。 わだかまりは多少あったけど、それでも、ありがたかった。 蝉丸さん。 一番初めに未来で見た男の子。 花さんの手紙のこと、誤魔化してくれた時とか。 昔いじめられっ子で、だからあんな風になったとか。 幻覚の世界に入る前、目覚めた後の縋るような声とか。 ……あの洞窟の中で、一緒に方舟前の扉を突破した時とか。 緊張してひきつって、それでも自分を奮い立たせる為に笑う癖とか。 怖い時手を引っ張って、時には後ろから背中を押してくれる両手とか。 そういうのがつもりつもって、初めの頃とは全く違う存在に蝉丸さんはなっていた。 気が付いたらあたしは、キスされても嫌じゃなくなってた。「……あたしが、ひばりちゃんやあゆさんと関わるのに躊躇してる時、馬鹿な失敗した時、何かしようとしてくれてたんです。不器用で、駄目駄目で、弱腰なんですけど。あたしに突っ込まれてむきになって、その様子が最初は怖かったけど、今では少し、漫才みたいだなあって思えるようになってきたんです」「……躊躇?」「あたし…、ひばりちゃんが苦手なんです。いつも、いろんな手で自分の言い分を通して、ツンケンしてて」「だろうと思ったわ」「……あゆさんのことも、苦手でした。すらっとして、さらっとしてて、言い方が直球気味で」「誤解を招く言い方をするよりはましじゃないの」「……そうですね。あたしはずっと、相手に判断の責任を押し付けるような、曖昧な言い方しかできませんでした。蝉丸さんにも、そういう所、怒られて…だけど、判断に失敗しても、どっちも悪くないって言えるような、曖昧な言い方も同時に求めていたんです……弱いんです、あたしは」「…処世術を使ってるともいえると思うけど?……人なんて、皆どうせ弱いでしょ。 みんな何らかの自分なりの方法でそれを隠してるだけよ」「鷹さんも、自分の弱さを自覚してた」 あゆさんは手元の草を見やる。「……弱いのは、仕方がないわ。弱さを乗り越えようとする強さがあればむしろ綺麗。 無知でも学ぶ気概があればいい。 鈍感でも、失敗した時これから気を付けようとしているなら構わないわ。 いざとなったら開き直って、自分の居る下層に他人を引きずり落とそうとする馬鹿が私は嫌いなの。 ひたすら他人に依存することしかできない馬鹿も嫌い。……以前の、最終試験の時…… 命乞いするあいつが死んでも罪悪感なんて湧かなかった。……ナツさん。 醜悪さは、未来の世界に不必要だと思わない?」 以前のあたしは、ダメダメな自分が嫌で消えてしまいたかった。 同時に、明日学校が消えるか……「……あたしは、ずっと夜のままならいいと思ってました。学校が嫌いでした。 自分に自信が持てなくて、学校も、自分と合わない人に笑われに行く場所でしかなかったんです。……そんなの、甘えと思うでしょうけど」「……苦手な相手とは無理にかかわることないんじゃないの。適当に流してればいいのよそんなもの」 あゆさんは綺麗に笑う。「私も未来の記憶がある安居くんとは話したくないし」「……」 その安居くんが未来の食べ物できっかけを作ってくれたおかげで、あたしがあゆさんと話せるようになったってことを、いつか言えれば…と思ったけど、未だにそれは難しそうだ。一周目ではつい未来の安居くんについて示唆するようなことを子ども達に教えて、以降の源五郎くん達にも伝えはしたけど…こと、あゆさんについては、伝える技術が余程うまくなるか、他の契機でもない限り無理だろう。 だんまりになるあたしを気にせずあゆさんは話し続ける。……実利的な所に、なんとなく未来の安居くんを思い出す。「…あなたも、角又さんみたいに受け流すのがうまい人を観察してみたら? それか、花さんみたいにはっきり嫌味を打ち返せる人を観察して、真似てみたらいいんじゃない」「うう…む、無理です…」「……無理強いはしないけど…選択肢の一つとして、練習してみたらいいんじゃない」「は…はい」あゆさんの目は、いつも真っ直ぐ前を見ている。夏Aの皆そうだ。いつも未来を考えて、そこに立つのに相応しいように、自分を磨き上げていく。あたしはそれが羨ましい。*×月×日 第一校舎「あゆさんは、あんまりこの世界に未練がないと言ってました」新巻さんは少し寂しそうに言う。新巻さんにとって、元のままの、それも生きている姿でかつての仲間に出会えることはそれだけで素晴らしいんだろう。そんな新巻さんを一目見て、お蘭さんは睫毛を伏せる。「…彼女の状況じゃ、分からなくもないけどね」「……俺達だって、そうであるべきだ。違うか」秋ヲさんは木の机をぽんと叩く。どこかその仕草は、海外小説で裁判長が木槌を振るう様を彷彿とさせる。「温室みたいに、時の流れ、時節に逆らってぐるぐるぐるぐる。 冒険は終わった、ゴールは過ぎた、あいつらの試験もひとまず終わってた。 終わったのはこの世界も同じ。ずっと同じ場所ばっかりまわってて、何になる? 澱んで腐るばっかりじゃねぇのか」「……それでも、……知りたいのかも、しれません」「俺達に一番できるのは知ることぐらいだしな……こんな機会でもなきゃ、知れなかったことがあったし。元の世界にこの記憶をもってければいいんだがな」嵐くんは目を伏せて、蝉丸さんは顎をさすりながら言う。……本当にそうだ。喩え時が巻き戻っても、夏Aの皆の記憶が消えていても、誰の命をも救えないとしても、こうして覚えていることに何か意味があると思いたい。「……今、力になって、そして、元に戻った時も力になる。それが、どこまで出来るのか、知りたいんです……わわっ」「生意気な」蝉丸さんに髪をぐしゃぐしゃとされた。「……でも、ま、やれることはやってみようぜ」「……忘れないでよ、あたしたちが元の世界に戻るのが最優先事項なんだからね」「へいへい」くしゃくしゃになった前髪の奥、あたしは少しだけ笑った。…『そうすれば、認めてもらえるでしょうか』という言葉は喉の奥で飲み込まれたままだった。*×月×日 布団の中あたしは傲慢な主人公が嫌いだ。猫を殺せる主人公が嫌いだ。すらっと何の悩みもなく、さらっと邪魔な存在を切り捨てられる強さが怖い。自分がその切り捨てられる存在と同等だからかもしれない。だけど、悩み苦しんで絶望する脆い主人公は自己嫌悪を誘発して読んでいられない。特に絶望して終わってしまう物語、悩みを抱えた苦しんで一歩進んでは二歩下がるような物語が苦手だ。それでも、そんな状況で立ち上がる主人公は、好きだ。勿論、その成果が成功なら言うことはない。だけど、そんな状況を耐え抜く主人公にも、時には癒され、力づけられる。小さな体、弱い立場、低い権威、少ない財産、自信のない能力、人好きのしない性格……それでも知恵や気付きや丹念で丁寧な繰り返しによってなにかを成し遂げる主人公。あたしはそんな主人公達が大好きだ。……ああ、けど、だけれど、彼らは、彼女らは、それらは、あたしを置いていった。あたしは本を読み終えたら、あれだけ感情移入した主人公の皮を強制的に剥がされる。そして気付く、あの主人公は前に進んだのに、あたしは心だけが前に進んで、現実の体も立場も何一つ動いていないと。だから貪るように次の本を求めた。そして疲れたら泥のように眠った。極度の疲労の中では、ナッツの温もりだけが感じられた。今ここに温もりはなくて、職員に配給された布団と、施設の皆とともに作った織物のカバー、それと動物舎でもらった毛の房がある。そして、本の記憶と、それを活かして進む手足がある。筋肉痛が酷いけど。だから泥のように、あたしの意識は解けていく。夢を見た。泥になったあたしに種が生じて、やがて育って夏草となり、茎が太く逞しくなって、やがて立派な大樹となる。養分を吸い尽くされた泥は清流となって、岩の上を滑る清水となる。そこに半透明のあたしが立っている。あたしは見守っている。虫や恐竜や獣や他の色々なものたちが、桃太郎のように種で流れてきて、自ら生まれては進化していく様子を。そうして全てが緑の樹に登り、大樹の葉は次第に平べったくなり、本の表紙となり、生き物達はその本の登場人物……いや登場生物となり、そしてあたしに語り掛ける。ゴールまで書き続けろ、と。<続>
2011.04.15
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安居達の前に、未来の荒廃した地球からやってきたという人々が現れた。ここに居ればいずれ殺されるか心を壊されると言う。だから安居達は、仲間とともに逃げ出した。彼らは文明というものの恐ろしさを知ることになる。彼らは外の世界を未来しか知らなかったし、未来からやってきた人々もすっかり、未来の文明崩壊した状態に慣れ切ってしまっていたから、文明社会を管理する人々……いわゆる公務員的な人々から追い立てられ、存在をなかったことにするか元の施設に帰るかの二択を迫られるだなんて考えもしなかったのだ。*……どんな想いも、身体がついていかなくちゃ、未来に繋がらない。「帰ろうよ、安居」「…茂」「少なくとも…戻れば、僕達、17歳までは生きられるんだよね… 要さんのメッセージによれば。 …同じように山の中を這いずるにしても… こんな風に、「シャカイ」っていうわけのわかんないものに追い詰められることはない」「やめろ」「僕なら、大丈夫だから」「やめてくれ」「安居は、こんな世界置いて、未来に行くべきだ」「でも、未来に行くには、削るんだ、沢山沢山削んなくちゃいけないんだ」「それでも安居は前に進んで、その時居る仲間で何が出来るか考えて、沢山の人を助けた、って聞いたよ」「その人の中にお前は居ないだろ」「……それでも、こんな、夢も希望もない所で、滅亡まで生きてるより…ずっと、そっちの方が…」「いいわけないだろ!……お前らの、お前の為に、俺は」「安居。 安居が一人で抱え込んで、苦しむことないよ」「俺はそういうつもりで頑張ってきたんじゃない!」「でも……どうするの。安居は夢があったから走ってこれた、僕は前へ真っ直ぐ進む安居が前に居たからここまでこれた。……安居、この生活をもっと続けてたら、もっと、生きてる意味が……ここまで逃げた意味が、分からなくなると思う」「……」「安居、帰ろう」信じられる相手がなくなった。居られる場所がなくなった。やりたいことがなくなった。生きる為に生きている。それは果たして正解なのか。「……要先輩に、ききたいんだ。」「これは、大丈夫なのか、って」「教えてほしいんだ」「要先輩が、大丈夫だよ安居、頑張れ、って言いに来るのをずっと待ってるんだ」そしてそれはもうすぐそこにある。「……僕もだよ」「あの人達はおかしな環境だって言うけど」決められたレール。「僕も、安居も、そのおかしな環境しか知らないんだ」歩みなれた道。「だから、おかしな環境で、おかしな励ましを求めて、おかしな夢を追っても何も責められることはない」外れる事など考えたこともない。「帰ろう」外れる事は、矯正される事。もっと大きく外れる事は、消える事。上から見る眼鏡越しの目による監視。伸びてきた白い手が摘み取る温室の苗達は、悲鳴を上げることもできない。「うん、帰ろう」そうして彼らは、高みから見下ろす、あの目のもとに帰る。あの暖かい手の元に戻る。
2011.04.14
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「……足りない」青とも藍色ともつかない空を見て、呟いた。何か欠けているものがある。*欠けた色。満たされない想い。それを補わなければいけない。そうしなければ、光の洪水が産まれない。暗く暖かな産道から、白くてまぶしい外へ出られない。いや、出なくてもいい。色が揃うその時を、それによってどんな絵が描けるのかを僕は見てみたい。*日々色は足されていく。それは会話から生み出される。「……逃げる、ねえ。……海の近くの村で?無人島で?……遠くへ逃げるなら、車にしろ電車にしろ……海外にしろ、お金が必要よね」「…何せ、これだけの大人数だからな」「自分達の人生で、どれだけ金や社会というものが影響しているのか実感したよ」「ハル……」「『繭ちゃんに会いたい』って、小瑠璃、言ってたんだ。たまに酷く魘されて飛び起きた後の小瑠璃を、何度抱き締めたか分からない。だけどそれでも小瑠璃は救われない。……俺はいつか音楽で、その願いを補えたらと思ってたんだ。……だけどそれって、結局自己満足だったのかもな」「救われてたよ、小瑠璃さんは。……飛んでる時もよく、ハルくんの音楽が聞こえたら、耳を傾けてた」よく聞こえる音の感覚は紫。風の感覚は黄色。*それは何気ない願望から生み出される。「外の世界…」「好きな場所」「好きな服」「普通の家族」「お金」「自由」「テレビで見たあれが、現実のものになるなんてな」「ああ、それと、外の世界なら、流れてる時ちょうどのニュースとか、好きな番組とか選んで見られるんだよな」「楽しみだなあ」郷愁を齎す橙。*それは少しの笑いから生まれる。「ないものはないんだから、考えるだけ無駄じゃないの」竹の細枝を落としながら虹子さんが言う。「外の世界の大人ってめんどくさいこと考えるんだなー」痛み始めた飯に納豆を混ぜて臭いを誤魔化しながらあかざくんが言う。「ま、あるもんでなんとかしてこうぜ!」漬物もどきを川の水で洗いながらちゃっかり4銃士の一人が言う。「ほう」「……なんだよ」秋ヲさんと蝉丸は関心した様子で笑う。「夏のAにも、こういう奴ら、いたんじゃんか」活気に萌える緑。**そして今日も僕らは色に囲まれている。青空が何故空虚なのか、分かった気がする。きっと、こうした暖かな声を響かせ、楽し気な声が囚われることなく自由に跳ね回る為なんだろう。和気藹々とした様子を見守っているさなか、誰かが「いてっ」と声を上げた。「木のとげが刺さった」「そんなに細いとげじゃないし、途中で折れてないから大丈夫」「血が出てきた……」あか。僕はなんとはなしに、脱出したあの日のことを思い出していた。*あの日、少人数で別れて行動することになった時。『う な み』小さく呟いた小瑠璃さんの小さな小さな背中からは想像もつかない程大きな殺気がぶわりと漏れ出た。小瑠璃さんは、居眠りをしながら見張り番をしていた卯浪先生にすり足で近付きながら何かを取り出す。幽霊画のモデルにしたいなあ、なんて場違いなことを思っていた僕に、小瑠璃さんは唐突に話しかけてきた。「ちまきちゃん、ハルを別の所に…そこの小部屋でいい、放り込んで」「小瑠璃!?」「……え?」「鍵も閉めてね。大丈夫。すぐ終わる」戸惑いつつも、ハルくんを扉の外へ追い出し、先ほどくすねた鍵で施錠する。「……!!」ハルくんの声が聞こえなくなった。音楽家として大事な筈の手を強く奮い、声を枯らしている。……ちょっと心配になってきた。「……本当にどうしたの?」「……巻き込んでごめんね、ちまきちゃん。……ちょっと衝撃が強いと思うから。…ああ、でも、ハルには聞こえちゃうかな」耳良いから、と呟いて、小瑠璃さんは斧を振り下ろした。*染料みたいで、結構綺麗だった。あれを使って描いた絵は、子どもの頃父に聞いた怖い話のように魂が宿るんだろうか。案外、綺麗だった。……あれなら、画材にする気持ちも分かる。生命と憎悪の表現に、あれだけ適切な色もない。*
2011.04.13
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涼は、気が付いたら施設時代にタイムスリップしていた。意識を取り戻す直前、ねずみのような姿をした、ぼんやりした白いものが話しかけてきたのを涼は覚えている。白いなにかは宣った。望めばいくらでもここに居られると。殺されるのならば、何回でもやり直させてやると。代わりにやり直すその都度、世界の人々の魂を寄越せと。言葉の端々、特に「つ」という発音を、方言なのか、「ちゅ」と置き換えるそいつの提案にはじめ涼は乗った。そうすれば今度こそ安居は、昔の心のまま未来を迎えることが出来るのかもしれないと思ったし、それを見た混合チームの面々は安居への評価をもっと高く、涼がライバルと認めた相手に相応しいものにすると思ったからだ。しかし、今では涼は、元の世界に帰りたくて仕方がない。あの心を病んで罪を犯した安居の元に戻りたくて仕方がない。この居場所に縛られることを、涼の心が拒否している。幻覚なら早く目覚めろと願った。催眠なら発生させた存在を皆殺しにしてやりたいと思った。どうしようもなく美しく、どうしようもなく憎たらしい郷土で、涼は今日も目覚めと共に絶望する。* 裁きと救いは表裏一体であり、神の特権だ。 涼は縛られない。 自身と対等であれる存在が現れるまで。 それはむろん未来に行くことの出来ない先生達でも貴士でも要ではない。 一緒に未来に行くであろう仲間たちでも、まだ足りない。 未来で出会う他のチームの人々とは全ての前提が異なる。 だが、自身と対等である存在ならば、その存在は、目線で、一声で……涼以外に伸ばされた腕でさえ、涼を縛る。 なのに目はいつも別のところを見ている。 ひたむきにまっすぐに守るべきものを、見張るべきものを、敵対すべきものを見ている。 涼がそいつを誠実に病的に守り、甘やかし、絶対的な味方をすることは、ただの自己満足なのだ。 だからこそ、他の存在が要ることを涼は知っている。 あの澄み切った、何もかもを照らし出すような光に涼が見張られ、影を造って対となる為の何かが要る。◇◇◇ ひどく重苦しい、けれどどうしようもなく重大な十字架を誰かが背負っている。 涼はその馬鹿の細かい後始末をしてやり、その頭に油をかけてやり、顔を拭ってやる。 けれど涼は、その馬鹿自身にはどう足掻いてもなれない。 どころか、丘の上に行くことさえ止められない。 未来に行った時、やっとこれで涼は自由になれると思った。 だが、裁かれも救われもしない世界で涼も安居も生きていかれず、結局十字架が新たな存在に変わっただけだった。 追放され、助けに行った先で糾弾される、このざま。 茨の王冠と杭と罵倒を本当に受けるべき存在はみな天国の門とやらの先に姿を消した。 涼に残されたのは、目の前にある傷付ききった背中だけだった。 全てを嘲笑うことしか涼には出来なかった。 植え付けられた、夏Aという種しゅの本能こそが、夏Aを夏A足らしめ、そしてすべての不幸の根源となっている。なくせるはずもない。 種。 まさに種。 要の皮肉は実にうまい。 種のプログラミングこそが、その中の当たり前からずれた個々を殺す。 だが、当たり前から外れたモノこそが。 夏Bのように。 巨船で洞窟に挑んだ安居、涼、夏Bのように。 『当たり前』の生きられなかった環境で生き延びるのだ。 なればこそ、未来で涼は安居と旅に出たかった。 外国。 外の、更に外の世界だ。 そこは、歴史で学んだ村社会のようになっている混合村とは違って、『当たり前』の外がある。そこでならば安居の目は更に輝くだろう、誰かを助けられるだろう。 だからその後ろで涼は安居を補助しなければいけない。 安居の中に、まだきっと安居を責める声がある。 安居は未だに自分を殺し続けている。 昨日安居は死んだ。 今日安居は死ぬ。 明日もきっと安居は死ぬ。 だが一人佇み、身を灼く光に挑む背中こそが美しい。 隣に立つのは、その父であれ、裁判官であれ、処刑人であれ、彼を殺すものだけだ。 それでもその目に宿る魂こそが美しい。 安居の鏡のような目。 いつだって心を映し、魂を剥き出しにしてきた瞳の中に……相対した時のみ見られるそこに、涼は帰らなければならない。 穢れを知らないいまの安居ではなく、穢れを知ってなお一層深い色を持つ未来の安居のもとに、還らなければならない。<続>
2011.04.12
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よれよれな、時代遅れの、蠅の王。それはまさしくあなたのことですと第一王子は言いかけた。彼の仕える王は、隣国の王について貶す。そうして王子たちに言うのだ。お前の時代には隣国を乗っ取ってしまえと。第一王子は正直に言って、隣国などどうでもよかった。隣国が餓えているだとか、悪政だとか、この国とは何の関わりもない。下手に手を出して馬鹿を見るのも嫌だった。だと言うのに、王の後妻に踊らされて王は王子達にそうした夢ばかりを押し付ける。今は乗っ取りなどの時代ではなく、相互になあなあの干渉を続ける時代だと言うのに。むしろ王政の弱まった時代にそんな民を消費するようなことをしたら民の支持率を失って真っ逆さまだと言うのに。前の戦争の傷を忘れたのか。隣国が……そして、この国がどうして、民を餓えさせているか分かっているのか。王子は、ぎゅうと両の手を握りしめる。若い有り余る力と血気。なんの役にも立てられないそれら。その握りしめた手でもって、王子は今日も一人、剣技と勉学に精を出す。いつの日か、必ず、自分の言うことを全て通す力を手に入れてやると。王子は力を手に入れた。自分の想い全て、言うこと全て、周囲の者が従うようになる力だ。その力を手に入れる頃には、王子は王となり、老いて、子供を持ち、後妻を得て、よれよれの、時代遅れの、蠅の王となっていた。
2011.04.11
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霧沢嘉月という人間を、白枝悟朗は軽蔑していた。何につけても軽薄でお調子者で、短期の努力で全てどうにかなると思っている。しかし霧沢は実際にどうにかなってきたのだ。全てを積み上げて、慎重に列からはみ出さないように動く悟朗に比べ霧沢は後ろから追って来たり前へ走り出たり、あるいは競争や人に合わせることなどどうでもいいとでもいうようにどこか遠い所で紙飛行機を飛ばしていたり。そんな霧沢を列に戻すのは誰の役目だと思っているといつも悟朗が解くのに、霧沢はうざったそうな顔で「悟朗って人生つまんなそうだよな」と言う。悟朗にとって霧沢はけして相容れぬ相手だった。そんな二人が同じ相手に恋をした。水藻香枝。悟朗は諦めた。どうせ今回も霧沢がいつもの手口で連れて行ってしまうのだろうと。しかして、香枝は悟朗の手を取った。霧沢は二人を応援していた。悟朗ははじめて霧沢に気を許した。*それから何年も、少しずつ悟朗は香枝との絆を育んでいった。しかし、子供を持ち、家を持ち、さあこれからだというところで、香枝は霧沢と駆け落ちをした。「……あいつは」「…おとうさん?」「あいつは待ってたんだ」「ねえ、おとうさん」「あいつは待ってたんだ…俺が、積み重ねるのを……!!!」悟朗は香枝との間の子を見た。この子だけは取られたくない。この子もきっと、育った頃に霧沢がやってきて、あっという間に連れて行ってしまうんだ。そうなる前に。*悟朗と子供は、小銭を稼ぎながら逃げ回った。だが、いつの間にか、霧沢と、香枝が近くにやって来ている。悟朗は子供によく謝ったが、子供は、色々な場所を旅行出来ていい、と言ってくれた。悟朗は疲れた顔で、それでも微笑んだ。*やがて悟朗は過労死した。しかし、子供は立派に成人した。「……お父さんの積み上げた人生」「あなたがとって行くんですか」悟朗の墓前で悟朗の子供は呟く。背後には、霧沢の影があった。「……あなたと、お母さんが一緒に事故に巻き込まれて……お父さんはいつも変なことを言うようになりました」「……まるでシューベルトの『魔王』みたいにお父さんは必死に僕を守ってくれた」「だけど貴方が本当に取りたかったのは……」その影はしー、とでも言うようにゆらりと揺れて、そして掻き消えた。悟朗の子は後ろに唾を吐き捨てて、悟朗の好きだった花を墓前に供え踵を返した。どうしようもない破壊衝動に襲われながら。
2011.04.10
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トンネルのような黄色い光が霧の中見えてきた。何日も遭難していた男はふらふらと近寄った。「おおい、助けてくれえ」あれを男は知っていた。霧の中をも照らし出すためのフォグランプだ。「おおい、誰か乗ってないのか」男は更に近付いた。車の形が見えてきた。ごく普通の、灰色の乗用車だ。「……おおい…」乗っている者がまともな人間であることを祈って、男は座席を凝視する。「んだあ、置いてかれたのかお前」果たしてそこには赤ん坊が居た。鍵のかかっていない車に乗り込んだ男に、赤ん坊は手を伸ばしてきた。男の手にすっぽり収まってしまう両手に、男はしばし癒された。「……ん?あれ?」気が付けば車は発進していた。ハンドルがひとりでに操作され、木々を避けていく。「おいおいおいおい」男が不安になり抱き締めた赤ん坊はきゃっきゃと笑っていた。次第にその姿が小さくなり、ついには胎児の形になり、消えてしまった。抱きつくものもなく男は勝手に動き続けるハンドルに縋りつくしかなかった。「どういうことだ」男は左手で自分の口をはっと押えた。「……あ、あー」やけに若々しい声。男は恐る恐るルームミラーを見た。若返っている男がそこに居た。「降ろしてくれ、助けてくれ」叫ぶ男の声は届かず、次第に事態を認識する能力も失せた、ただの喚き声になっていく。そうしてただの赤ん坊に男が変化した時、彼の耳に「おおい、助けてくれ」という声が聞こえた。助けたら、この不安から解放されると判断した赤ん坊はそちらに意識を傾けた。次第にそちらへ車は方向転換し、そして赤ん坊は久しぶりの温もりにきゃっきゃと笑うことになる。
2011.04.09
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キヨはショウから教科書を借りた。宿題が終わらないとごねるショウの分からない所を教えてやるためだ。「……お前、授業中に何やってんの?」「え?授業中のキヨ描いてみた」「お前なあ……勉強に集中しろよ」「だってわかんないんだもーん」キヨとショウの間には教科書の壁があった。だからショウは気付かなかった。キヨの顔は真っ赤になっていた。普段自分を邪険に扱い、都合のいい時ばかり頼って来るこの幼馴染に対し、キヨは苛立ちながらも見放せなかった。キヨの性格を鬱陶しいと言ってくる幼馴染にとっては、キヨなんて出来るだけ目にしたくない存在だろうと思っていたからだ。それなのにその絵の中のキヨはどうにも愛らしく、コミカルで、不真面目なショウの教科書の住人に相応しい出来栄えだった。「…似てない」「まあね。こんなにキヨ可愛くないもん」「お前なあ」「わはは」「いっそ教科書の中に入って、お前に問題を強調してやりたいよ」「落書きが一気に可愛くなく見えてきた」「ざまあみろ」数日後、この会話から着想を得たショウの教科書の中に、様々な恰好をしたキヨが登場し、強調の符号として使われることを、キヨはまだ知らない。******キヨ→ショウ:ほっとけない・すきショウ→キヨ:うっとうしい・おもしろい
2011.04.08
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目がちかちかする・・・たんぽぽモード→緑、乳白色 黒→地雷 黄色・青→虹色っぽくなるかんなモード→桃、赤系統、青紫さつきモード→青系、薄いグラデ が綺麗な感じ。7sらくがきキーチ7らくがきぱすたんらくがき凪の女海兵さんおや…海兵さんの様子が…?悪い顔
2011.04.07
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ひばり:祖母以外蝉丸:全て蘭:秋安居:夏以外要:全て貴士:家族以外
2011.04.06
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ある規格を越えた時点で、その商品は無価値となる。用途に堪えないからという理由だ。本物の商品は生産が限定されている。だから仕方なく海賊版が出回る。海賊版だろうと、感動できればいい。……本物と地続きであると認識できればいい。海賊版を造った者の手癖が強過ぎれば認識を外れる。様々な変化も、バージョンの違いも、全て、元々の生産元が作るならばなんでもいい。だがしかし、生産元が作らない。瑕疵はそのままに、一部の消費者のニーズにこたえない方向に再生産を続ける。だからこそその一部の消費者が生み出すものは、ニーズが高まるほどに品質が低くても実用化される。その商品を、ある者は信仰と呼ぶ。ある者は生きる意味と呼ぶ。ある者は心の平穏を約束する存在と呼ぶ。ある者はそれを偶像と呼ぶ。今日も消費者達は崇拝、消費、再生産を続けている。
2011.04.05
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君が好き~♪やばい 家の裏でマンボウが死んでる、さんに・・・中毒・・wカテゴリ微妙だけど、ストーリーだしpvっぽい気がするでこちらで。最初に15年男子見た。やばい。面白い。可愛い。でもカラオケで歌ってみたいけど変な反応されそうでこわい。でもでも(略)最終更新日 2014.08.06 15:52:40
2011.04.04
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サバイバルでなく平穏な日常によって、あらゆることへのトラウマが役に立たなくなっていることに気付いてマインドブレイクする安居。結果、危険な場と頼り頼られる場を求めて軍隊か消防かレスキューかKを目指す。過程で種たちの生まれ変わりと会って微妙な気持ちになる安居。記憶はだんだん取り戻す生まれ変わり安居。記憶取り戻す前はガキ大将取り戻していく過程でぼく地球の輪みたいに若干なる。末黒野家との因縁がどうなるかは神のみぞ知る
2011.04.04
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いくらいいことがあっても、好きな人に告白されたりとかあっても信じられない、今まで色々つらい目にあってきた人はこんな心境な気がする幸せになってほしい
2011.04.04
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聖なる存在ならなんでもいい 適当な聖なる存在 とか。選ばれし者の選択肢が無数にある。
2011.04.04
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壊れ方:子供帰りする「子供」全てを諦める「大人」
2011.04.03
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・何も考えてないようでいて考えてる子× 何か常に考えているようで考えてない子
2011.04.03
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死亡フラグについてのネットの百科事典が面白かったので、いつか死亡フラグをとことん折る能力持ちの人を書いてみたい。・能力持ち・でもそれは誰かによって作られたもの・で、結局壊さなければいけないことになるでもバッドエンドしか思い浮かばない・・・
2011.04.03
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確かにどっちもネガティブだけど向かうベクトルはちょっと違う。「後ろめたい・・・」≒「不安で堪らないgkbr」って考えると身体的には伏せ目がちとか少し縮こまった体つきってだけなのに、精神的にgkbrしてる姿を想像すると萌えました
2011.04.03
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今日美術の宿題の課題で理想の公園書いてみっていうのがあったんですが巻貝のオブジェを描いた結果→う●ことんがらせたさきっぽがなんとはなしにそれっぽい・・・!で友2「終わってないわー・・・」友1「つのりちゃんーどんな風になった?ww」つ「あ、う●こみたいになった」友1「!?」友2「いやいやいやいや!」つ「いやほんとう●こみたいなんだって」友2「いやそのあまりの卑下にびっくりなんだけど!!」友1「ぜんぜんそんなことないじゃん!!」(わざわざ移動して見に来てくれた)とんでもない自虐ネタだと思ったらしいです・・・・・・・・・orzいや、別にそんなんじゃないんですツノリチャン超正直だから本当に見たまんま言っただけなんです・・・!いやもうなんですかねツノリチャンは口開かないほうがいいんですかね・・・!
2011.04.03
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デートは楽しいですね。ええ、とても楽しいです。一週間が終わってまた出会えましたね。そうですね、一週間前と変わらずお元気で。何回も何回も繰り返されるこの一週間だけで幸せだったのに、どうして蛇はもっと楽しいことを外の世界を教えてしまったの。デートは楽しいですね。・・・・・・・・・そうでしょうか。楽しいですね。・・・・・・・・・・・・はい。一週間が終わってまた出会えましたね。何回繰り返すんですか。出会えてうれしくないのですか。・・・・・・・そういうわけではないですが。私はあなたに齧らせる。これであなたと会話ができる。この一週間の外に出られる。
2011.04.03
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ぷれぜんとだよと。あなたがいうから、わたしはだいじにとっておいたのに。何で貴方は場所によって使う言葉を変えるの?どうして私には押し付けているのに貴方は自分が生きやすいように話すの?分からない。分かりたくないだけかもしれないけれど。最終更新日 2014年07月14日 00時10分35秒
2011.04.03
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「これ見たらすぐに忘れるか拡散しろよ!!でないと危ないから11」「じゃあ見ないわ」「くそ草食系の巣窟め」というスレの流れ という夢を見た確かにそうなるわな・・・
2011.04.02
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諦めずにずるずるみっともなく縋り付いて傷ついていくのとどっちも哀しい。
2011.04.02
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だれのため?誰のため?自分のため。そして誰か読んでくれる人のため。踊るのは誰のため?自分のため。見る人のため。一緒に踊る人のため。同じ阿呆なら、踊らにゃそんそん。
2011.04.02
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あなたとぼくのきょうかいせんはあいまい。あなたのざっしょくのぞうきにほおずりしてかろうじてぼくがひとのかたちをたもっているいまいっしょにとびこみたいとねがうのですきみはなかをぶちまけてもきれいなひとたるひとのままですがぼくはきっとひょうめんをやぶったらそのとたんどろどろしたどくがながれだしてしまうからそのひょうめんちょうりょくがたすけてくれているうちにおちて、みずにおちたらそのかべにたたきつけられたらそのしゅんかんぼくはとけきみははじけいっしょになれるとおもうんです。
2011.04.02
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ふゆのまちにこだました
2011.04.01
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ああああもう4月ですね・・・・・・・・・・・クラス替えがうれしいような、いやなような。
2011.04.01
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身体が真っ二つに寸断されるのが分かった。少しずつ端から、動きの大きい所から齧られた。ついにそれが中心に到達し、真ん中で折られる。興奮さえ殺す激痛。どうやら頭も齧られているようだ。痛い。走馬燈。大好きなあの世界。もう一度。やり直したかった。共依存でも、そうじゃなくても。あの子たちへの、羨望と嫉妬、憧憬と諦観、希望と失望、好意と嫌悪、同情と侮蔑、絶望と憐憫、僕の全てが齧られて食い荒らされていく。無感情に、かつて死神を騙った僕への戒めのように、冷酷に。僕の教えは生徒たちの心の中で生きる。僕の体はこの蟻達の体内で生きる。嫌だ嫌だ嫌だ、消えてなくなるのは嫌だ、だけど僕以外他に消えられる人が居ない。そうだ、痛みを押し殺して消える僕は立派だ、これであの人たちも、先にあちらに行った父さんも母さんも、僕を認めてくれる筈だ。上半身だけでばたばたと動く、無様、みっともない、それより痛い、痛い、紛らわさないと、何か他のことを考えないと、今更どうしようもない言葉が、想いが、漏れてしまう、そんな自分は、駄目だ。先輩の家族。僕がこちらで目覚めた時一緒に居た彼ら。僕が支え、誤った所に導いてしまった彼女ら。ーかつて、同じように、地獄に導いてしまった彼ら。最期にあの子の顔が過る。あの子は、僕が行けないと知って、悲しむだろうか。喜ぶだろうか。それとも。あの子の全ての負の感情を、責任という名目で、持って逝くことができたら。そうしたら。―――そうしたら、きっと。そこには、美しい未来には、綺麗な笑顔で笑うあの子が、*
2011.04.01
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わたしは==をきらいです。そう、言えていたら良かったのかな。わたしは、ずっと教育を受けていた。従えば褒められ、逆らえば×された。わたしは、仲間に好かれる為に褒められて、仲間を庇う為に×された。だから、わたしが教える側になった時、導く側になった時、褒めるか×すしかやり方が分からなかった。教える側が絶対で、教えられる側はその範疇でしか動けないと。だけど、そうしたわたしは責められた。わたしは悪魔なんだと。ああ、そうか。わたしは悪魔だからご機嫌取りのために褒められ、悪魔だから×されたんだ。悪魔だから、誰か他の人にやってはいけないんだ。最近、現実と夢の境が分からない。誰か、どれかの自分を嘘だったと言ってくれないだろうか。それか、私に関わる誰かの言葉を嘘だと。四月の軽い嘘だけでもいいから、言ってくれないだろうか。そうしたら嘘の世界で生きていけるのに。現実で育てられ、現実の刃で育てられ現実を憎む悪魔には、行き場がない。
2011.04.01
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