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「おべんとうの時間( 2 )」(木楽舎) の表紙の女性は 熊本県 の山の中の村で働いている 村田佐代子さん です。 愛林館「村づくりスタッフ」 という肩書がついていますが、看護師になってほしかった看護師の母親の希望を振り切って、山の仕事を職業に選んだ方です。
「愛林館」 との出会いは、高校 2 年生の夏です。ここが主催する自然林の下草を刈るボランティアに参加しました。実は内心ビビってて 1 泊で帰るつもりが、参加者が面白い人ばっかりで 3 泊したんです。夜大人たちはお酒を飲んで、民族楽器を叩くんですよ。いろんな生き方があるんだなあって、思いました。
わたしは山の仕事の時から弁当作ってますけど、ご飯とおかず 1 品とかですかね。今日は、頑張っちゃいました。クレソンの胡麻和えは、よくやるんです。この辺は店がないから、一品持ち寄りで宴会するんですけど、「棚田で摘んできたよ」って言うと喜ばれて、私の料理無精もバレないのがいいんです。
若い人が自分で作った 「おべんとう」 を食べながら、なんというか、なんか、座り込んでこの本を読んでいる、まあ、老人の シマクマ君 も元気が出そうな生き方をしておられるのがうれしいですね。 でも、もっと元気が出そうなのがこの方々の生き方です。
秋田県山本郡三種町
で 「じゅんさい採り」
をしていらっしゃる 袴田フチエさん
と、その お仲間
です。池の上に、小さな箱舟を出して、水の中の じゅんさい
をえり分けて摘むのだそうです。上の写真は、本書の巻頭を飾る写真ですが、お弁当とポートレートはこんな感じです。
田舎育ちの シマクマ君
には懐かしい 「いでたち」
ですね。おべんとうの筍の煮物がうまそうです。
ところで 「じゅんさい」
ってご存知ですか?お吸い物でいただいたことのある、これですね。
安藤食品
ちゅるちゅるッとした葉っぱですね。 秋田県
の 三種町
の名産品のようです。 安藤食品
という会社のホームページに収穫の様子とか載っていましたから、貼ってみました。ああ、こんなふうに収穫する作物もあるのだなあと驚きました。
安藤食品
ところで、この 「おべんとうの時間( 2
)」
読んでいて、 「アッ、やっぱり、ここにも行ったんだ」
と思ったのがこの写真でした。
岩手県宮古市田老
というところです。この本は 2012
年 4
月の発行
ですから、 阿部さんたち
が取材したのは東北の震災のあった 2011
年の秋
でしょうか。
理容タカハシ常雲寺前店
のプレハブ店舗の前に立っていらっしゃるのは 理容師高橋勝さん
です。 「おべんとう」
は大きめの 海苔巻きおにぎり
です。
おにぎりを 2 個持ってきて、お客さんがいない時に隅っこの定位置に座って食べるんです。職人っていうのは、皆そうだと思うけど早いよ。あっという間。喉つまりしないように、湯を飲みながらね。白湯でいいんです。
3 月 11 日の地震の時、お客さんはいたんです。ちょうどやり終わって、椅子を起こそうって時だったんです。すぐ逃げてくださいって帰ってもらって、女房を高台のお寺さんまで連れて行きました。私は消防団員ですから、まず水門を閉めて、その後ポンプ車で小学校へ行きました。
この一帯 1000 軒くらい建ってたと思います。何もかもが流された場所に戻って店やるなんて、馬鹿だなあってひとは思ったかもしれません。うちのは、反対だったんです。相談した 6 月は、まだ余震が凄かったしね。でも、この場所だったらすぐ裏が高台だし、 20 数年消防団員やってるし、何かあったらとにかくお客さんと自分の命は守るからって説得して、 8 月にプレハブを建てたんです。いま女房がやってる場所だって同じ田老なんだけど、なんかね、生まれ育ったここの空気を吸いたかったのかな。流されなかった高台の人たちが、宮古市街まで行って髪を切ってるって聞いてね、だったら俺が戻ろうって。
被災して、初めて、職人しててよかったなあって感じました。親に感謝ですよ。だって、親がやってなかったら、絶対にやらなかったもの。
散髪屋さん
だった家に生まれて、親の仕事を仕方なく継いで、結婚して夫婦で働いて、大きな津波に何もかも流されて、津波の最中にも町の消防団でみんなの生活と命の世話をして、仮設住宅で暮らしながら、なにもなくなった町にプレハブのお店を出して、流されなかった近所の人たちが遠くまで行かなくても 「頭はおれが刈ってやるよ。」
って、また元の場所で仕事を始めた人が、 「職人しててよかった。」
とつぶやきながら、お店の隅で、大きな握り飯を頬張り白湯で流し込んでいます。
そういう 「生き方」
もあるということを伝えてくれるこの本は、やはり、すごいと思うのですが、いかがでしょう。
「おべんとうのじかん(2)」
でした。 「おべんとうの時間」 (1)
・ (3)・
(4)
はここをクリックしてみてください。
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