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2023.02.13
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​​  平出隆「猫の客」(河出文庫) ​  平出隆 という人は野球の話を書く 詩人 だと思っていましたが、ネコの話も書いていらっしゃるそうで、その上、フランスあたりで評判をとっていらっしゃるということを、どこでだったか忘れましたが、聞きつけて読みました。 「猫の客」(河出文庫) という小説を読みました。​​​
 始めは、ちぎれ雲が浮かんでいるように見えた。浮かんで、それから風に少しばかり、右左と吹かれているようでもあった。
 台所の隅の小窓は、丈の高い板塀に、人の通れぬほどの近さで接していた。その曇りガラスを中から見れば、映写室の仄暗いスクリーンのようだった。板塀に小さな節穴があいているらしい。粗末なスクリーンには、幅三メートルほどの小路をおいて北向うにある生籬の緑が、いつもぼんやりと映っていた。
 狭い小路を人が通ると、窓いっぱいにその姿が像を結ぶ。カメラ・オブスキュラ ― 暗箱と同じ原理だろう、暗い室内から見ていると、晴れた日はことに鮮やかに、通り過ぎる人が倒立して見えた。そればかりか、過ぎていく像は、実際に歩いていく向きとは逆の方へ過ぎていった。通過者が穴に最も近づいたとき、逆立ちしたその姿はあふれるほどにも大きくふくれあがり、過ぎると、特別な光学現象のように、あっという間にはかなく消えた。
 ところが、その日あらわれたちぎれ雲の像は、なかなか過ぎようとしなかった。それでいて、穴に近づいてきてもさほど大きくならなかった。いちばんふくれあがっているはずの地点にあっても、窓の上部で、掌に載るほどの大きさにとどまっていた。ちぎれ雲はためらうように道にたゆたい、それから、ようやくかすかな啼き声がした。 ​(P7~P8)​
 実は、この本の 文庫版の表紙カバー は二つあるらしいですね。上に貼ったのが 藤田嗣治 「クチュリエの猫」 という絵だそうですが、もう一つの方が、下に貼った、これですが、 加納光於 という版画家の 「稲妻獲り」L-no.15 という リトグラフ だそうです。
​​ ​​​​​​ 藤田嗣治 の猫の絵は、この作品の 主人公(?) にちなんでいるわけですが、 加納光於 のリトグラフの方は、先ほどの引用の中にあった 小路 のことを、その通路の形が、多分、稲妻形なのでしょう、の連想から、 書き手のご夫婦 「稲妻小路」 と呼んでいらっしゃるということもあるのですが、実は作品の中にこんな描写があります。​​​​​​​​
 昼は昼で、チビは梅の花びらを背につけたりしながら、ハナアブを叩き、トカゲを嗅ぎ、精気と渾沌の萌しはじめた庭で遊びつづけた。
 突然の木登りは、稲妻に化けたようであった。稲妻はたいがい上から下へ走るものだが、この稲妻は下から上へも走ったわけである。チビが電撃的な動きで柿の木に登るの、件のノートの中で「稲妻の切尖のように」と妻は書き留め、また、「雷鳴を起こす手伝いをするように」とも言い換えたりした。なるほど、そんな感じがした。 ​(P87~P88)​
​​​ この後、そこでは作品名しか出てきませんが、旧知であると思われる版画家との対談の話題とかが、まあ、ちょっと、ペダンチックに語られたりするわけですが、そこで話題にされている作品がこの表紙なわけです。​​
 マア、お読みになって、面白がっていただくほかありませんが、この作品が自然現象としての、たとえば 猫の「生」 と、 人間の認識 との スキマ というか、 ズレ を凝視しているように、ぼくは思うのですが、そのあたりを考える上でも、二つの表紙の絵は興味深いですね。
 この作品は、 末次エリザベート という訳者を得て、フランスでも出版されているそうです。彼女の解説によれば、 2009年 現在で 2万部 を越えて読まれているそうです。日本の出版業界で2万部がどんな数字なのかはわかりませんが、フランスではかなりなヒット作品なのだそうです。
 猫好きな方、別に限定するわけではありませんが、一度、手に取られてはいかがでしょう。ちょっとキザですが、悪くないと思いましたよ(笑)
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最終更新日  2023.02.13 00:49:48
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