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クリントン・ディアー による演出は、メジャーな劇場での初の黒人による演出となり、シェイクスピア学者 ジャミ・ロジャーズ博士 が 「英国シェイクスピア史における大きな節目」 と評価した注目作。
なのだそうです。ボクは日本の現代演劇もほとんど見たことがありませんし、もちろん外国の舞台なんて全く知りません。このナショナルシアターのプログラムだけが、かろうじて演劇とのつながりなのですが、このプログラムでは シェークスピア劇
の現代的演出の舞台が上演されることが時々あります。イギリスでの シェークスピア
の受け取られ方というか、文化の伝統に対するズレのようなものを感じるのはそういう時です。
シェークスピア劇
なんて戯曲としてしか読んだことのないボクには、 現代的に解釈されているシャークス ピア
に、ネタはシェークスピアですが、語られているのは現代的なテーマだったりするわけで、 時に、ついていけないことがあるというわけです(笑)。
今回の演出でも、 ムーア人
である オセロ
に対する 人種的な差別
や、 デズネモーナ
や、 イアーゴーの妻
ですが、 エミリア
に対する ミソジニーっていうのでしょうか、
女性蔑視
がくっきりと表現されていて、舞台の雰囲気が とがっている印象
を受けました。
例えば、まあ有名な オセロー
の嫉妬というか、湧き上がる猜疑心も、単に男女の問題ではない、人種的偏見に対する猜疑心を引き金でとしながら、一方で、信用ならないものとしての女性に対する疑いで下支えしているかの心理の動きが、かなり鋭角的な印象を感じさせてしんどかったですね。
その分、 イアーゴー
の悪辣な使嗾が、異常にリアルで、演じていた俳優も上手なのですが、面白いというよりも疲れる舞台でした。
ここのところ、舞台の転換とかでも、とてもテクニカルに映像が使われる舞台を続けてみたのですが、映像で見る限り、生の舞台での視覚体験をしてみたいなあと思わせるスピードとリアルでした。
いやはや、シェークスピアって、こんなに疲れるっけ?
まあ、そんな感想の舞台でした。映像で見ていることを忘れさせる臨場感というか、中でも イアーゴー
をやっていた ポール・ヒルトン
という役者さん、イヤ、ホンと、すごかったですよ(笑)。
演出 クリント・ディアー
原作 ウィリアム・シェイクスピア
キャスト
ジャイルズ・テレラ(オセロ)
ロージー・マキューアン(デズネモーナ)
ポール・ヒルトン(イアーゴー)
ターニャ・フランクス(エミリア)
2023年・185分・イギリス・リトルトン劇場
原題 National Theatre Live「Othello」
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