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2021.04.06
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第35話「運命の日」

死期が近いことを悟った康熙(コウキ)帝は四皇子に乾清(ケンセイ)宮を封鎖させ、例え皇子でも中に入れないよう命じた。
そして運命の日…。
四皇子は李(リ)太監から知らせを受け、その夜、皇帝の寝殿である暢春(チョウシュン)閣を訪ねた。

その頃、十三皇子と茗薇(メイビ)も皇帝を見舞うため参内していた。
しかし衛兵から寝殿は立ち入り禁止だと止められてしまう。
その時、暢春閣から四皇子が現れ、呆然としながら歩いて来た。
「皇阿瑪が…崩御された」


すると八皇子は物陰から自分を見つめる茗蕙(メイケイ)の姿に気づく。
「こんな所で何をしている?」
黒い外套をまとった茗蕙は暗闇に紛れるように隠れていた。
「兵を率いてすぐ戻るよう爺に伝えてください、宮中で変事が起きます」

康熙61年11月13日、突然の皇帝崩御の知らせに紫禁城は悲しみに包まれた。
徐薔薇(ジョショウビ)は十三皇子の福晋としてひざまずきながら、史実でしか知らなかった歴史的瞬間に立ち会っていると実感する。
…教科書や小説で何度もこの日の記述を読んだわ
…崩御前後の逸話も知っているけど、渦中に身を置いてようやく分かった
…もう冷静な傍観者ではいられない

葬儀の準備で皇子や妃嬪たちはひとまず解散した。
すると李太監が寝宮へ戻る徳(トク)妃に接触、皇帝の遺詔があると伝える。

徳妃は李太監が見守る中、聖旨を確認したが、そこには皇位を四皇子に継がせるとあった。

十三皇子は悲しみに暮れた。
四皇子の話では李太監から父の密旨で亥の刻に来るようにと指示があったが、訪ねた時にはすでに亡くなっていたという。
十三皇子は父が皇位継承のことで呼んだと気づいたが、その時、徳妃の使いが四皇子を迎えにやって来た。

四皇子は皇帝の遺詔を託されたのが母だと知った。

四皇子はその場にひざまずいて拝命しようとしたが、徳妃はなぜか聖旨を渡さなかった。
「まずは先帝が残された願いを叶えましょう、お前の即位を阻む最大の障害を取り除くの
 お前が事を果たしたのち、私から天下に告げるわ」
すると徳妃は四皇子の手で十三福晋を殺せと命じた。

翌朝、八皇子たちは父の供養に来た四皇子の入殿を阻んだ。
「皇阿瑪の死はあまりに突然すぎる、立ち会ったのは四哥だけです
 昨夜、何があったのか皆の前で話してもらいたい」
しかし四皇子が寝殿に着いた時に父はすでに亡くなっていたと話しても弟たちが納得するはずもない。
「皇阿瑪の死に四哥は無関係だと?!皇阿瑪の命に従い封鎖したの言うのも本当か分からぬ!
 聖旨を受けたと偽り、皇阿瑪を軟禁したのでは?!」
十皇子は怒りに任せて拳を振り上げると、駆けつけた十三皇子が止めた。
「皇阿瑪の棺の前で出まかせを並べ、手まで出すとは!皇阿瑪を安らかに眠らせぬ気ですか!」

九皇子は皆が心に抱く疑いを口にしたに過ぎないと十弟をかばった。
すると呆れた茗薇が証拠はあるのかと反発する。
「ただの憶測を口に出せば災いを招くだけです
 何より李太監が先帝が四哥に乾清宮を警備させたと証言しています
 それとも十哥は四哥があらゆる人々を欺いたとおっしゃるの?」
茗薇の指摘にぐうの音も出ない九皇子、すると四皇子がそこで遮った。
「もうよい、皇阿瑪の崩御について疑わしい点は調べ上げ、天下に対し明らかにしよう」
そんな皇子たちの争いを見ながら、茗蕙はどこか落ち着かない様子だった。



慌ただしい後宮では誰もが徳妃に指示を仰いでいた。
茗蕙は納蘭(ノーラン)貴妃の嫉妬心を煽ろうと、実は徳妃が遺詔を預かっておきながら明らかにしていないと報告する。
「何か困り事があるように思いますが…」
しかし貴妃はどちらにせよ徳妃の息子だと興味を示さなかった。
するとふと四皇子が簒奪(サンダツ)したという噂を思い出す。
「あれは誠か?」
「何もかも流言です、真偽などどうでもいい、肝心なのは皆が信じるかどうかです」
「…つまり皆に信じ込ませろと?」
「四爺は冷酷ゆえ敵が多いですが十四は違います…娘娘の恩を私は忘れません」

十三皇子と茗薇は八皇子たちが四皇子の即位を阻止するため、悪質なデマを流すつもりだと分かった。
そこで流言が世間に広まる前に止めるべきだと四皇子を説得、このままでは遺詔があっても反故にされてしまうと心配する。
十三皇子は早く遺詔を公表すべきだと訴えたが、四皇子は密旨の内容を話すことができなかった。
仕方なく十三弟と茗薇を宮中から遠ざけようとしたが、2人は四皇子の力になりたいという。

屋敷へ戻ったものの十三皇子は一睡もできなかった。
父が茗薇を呼んだのが日没前だったので酉の刻の頃、だとすれば四皇子を呼んだ亥の刻までかなりの時間がある。
その間、父がずっとひとりだったというのも妙だ。
話を聞いた茗薇はその間に密かに先帝に会った人物がいると仮定してみたのの、やはりあの厳重な警備の中ではあり得ないと気づく。
しかし十三皇子はどんな可能性も排除せず、調べることにした。
それにしても徳妃や四皇子の様子がおかしい。
遺詔はすぐさま天下に公表するべきだが、何を隠しているのだろうか。
すると茗薇は冷静に絡み合った糸をほどいて行けば、いずれ真実を手繰り寄せることができると励ました。

十三皇子は郊外で密偵と接触した。
密偵の報告ではあの日、十三福晋が去った後は宮中で特に何も起きていないという。
ただ侍衛の1人から、ある宦官が外套をかぶった人物を案内していたという証言を得た。
しかしその宦官がどこへ案内したのか、誰なのかはまだ調査中だという。

徳妃は後宮の切り盛りで忙しい中、偶然、宮女たちの噂話を耳にした。
今や噂に尾ひれが付き、四皇子が遺詔を改ざんして十四皇子と対立していると広まっている。
徳妃は口を慎むよう宮女を叱ったが、間違いなく誰かの策略だと分かった。

納蘭貴妃の寝宮に珍しく徳妃がやって来た。
貴妃は後宮を取り仕切る徳妃を労いながら、貴妃の自分さえ口を挟む隙もないと嫌みを言う。
徳妃は滅相もないとあしらい、人の噂とは恐ろしいものだと切り出した。
すると貴妃は確かにその通りだと認め、宮中の者なら口止めできても外の者は難しいという。
「噂によると遺詔には″十四皇子″とあったのに″四皇子″と書き換えられたとか…
 実にもっともらしい話ではないか」
「おほほ~誰が上手いこと言えとw」
「そなたも難儀だな~2人とも己が産んだ子なのだから」
「姐姐、確固たる証拠もないただの憶測を口にするのはいかがなものかと…」
「妹妹、新帝が即位するまで後宮の最高位にあるのは本宮、そなたの指図は受けぬ」
そこで徳妃は先帝の意に背いて国を乱すようなことがあれば我が子と言えど許さないと断言した。
貴妃は先帝が遺詔を徳妃に託した以上、見るつもりはないと安心させたが、戻った十四皇子がどう思うかは分からないと牽制する。
「人の噂は恐ろしいと申しておったが、実子同士の争いも見たくなかろう?
 十四皇子が戻るのを待ってから遺詔を公表した方がよいぞ?」

茗蕙は八皇子たちと協力して誰もが遺詔の信憑性を疑うよう画策、簒奪の噂を広めた。
突然の崩御には謎が残るもの、四皇子が死に関わったかどうかはともかく、最も疑わしいのは警護していた四皇子に違いない。
茗蕙は流言を利用して皇位争いの余地を残し、十四皇子が戻るまでの時間稼ぎに奔走した。

八皇子と九皇子の軍営に何やら動きがあった。
さらに十四皇子も兵を率いてまもなく都へ到着するという。
報告を聞いた四皇子は十四皇子が勅命もなければ報告もせず、密かに回京したことに憤慨し、直ちに城門を封鎖するよう命じた。
…やはり反撃に出るのだな…

十四皇子はやっとの思いで帰還したが、城門は封鎖されていた。
門衛は四皇子の命だと訴えたものの、まさか力づくで十四皇子を阻止することもできない。
結局、十四皇子は衛兵たちを無視して父の元へ駆けつけ、位牌の前で涙ながらに四皇子の仕打ちを嘆いた。
「夜を徹し戻った私を…四哥は締め出そうとしました…まさか本当に皇阿瑪は害されたのですか?」

四皇子は報告を受けて乾清宮へ駆けつけた。
すると前庭には十四皇子を援護する八皇子たちが兵を従え待ち構えている。
「八弟、十四弟と共に兵を率いて来るとは何の魂胆だ」
「十四弟は訃報を受けて帰還した、四哥、城門を封鎖してそれを阻むとは何の魂胆が?」
一方、十四皇子は無念を晴らすため、父の位牌に誓っていた。
「皇阿瑪、ご安心を、決して大清の天下を逆賊には渡しませぬ…」

固い決意を胸に外へ出た十四皇子、すると四皇子と八皇子たちが一触即発の様相となっていた。
そこで十四皇子は八皇子たちに四兄と2人だけで決着をつけたいと頼む。
「あとは私にお任せを…」
すると四皇子も自分の兵を下げた。

つづく


(  ̄꒳ ̄)即位の条件が茗薇の殺害って…黒幕がバレバレ?w





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最終更新日  2021.04.06 21:23:04
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