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Jun 5, 2009
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テーマ: 中国&台湾(3345)
カテゴリ: 台湾の玉石混淆
(4月6日の 「NHK用語 <日台戦争> 不適格な “歴史用語” をテレビで普及させる気か」 の書き込み応酬の続き)


一部の論者が 「日台戦争」 という用語を使おうとするとき、2つの歴史事象が混同されているように思われる。


(1)下関条約に承服できない在台湾の清国勢力による抵抗:

清国から派遣されていた巡撫 (=知事) の唐景松* が選挙もなしに大統領となり 「台湾民主国」 独立宣言をし、日本支配に抵抗する戦闘を台湾西部で繰り広げた。
(* 「松」 は、山かんむりをつけて、「すう」 と読む。)

戦闘は、日本からの進駐軍が台北県に上陸した明治28年5月29日にはじまり、10月21日の台南陥落で終わっている。

この戦闘は、日清戦争のために設けられた大本営が日本軍を引き続き指揮した。

清国側が日清戦争の講和条約の内容を台湾において意図的に徹底させず、日本側が武力によって講和条約内容の実現を図ったものということができる。

これらの理由から、この一連の戦闘は下関条約締結後であるが 「日清戦争の一部」 と整理するのが正当と考えられる。


(2)清国による法の支配が及んでいなかった台湾東部の先住民族の抵抗:

奇しくも清国が 「化外 (けがい) の地」 と呼ばざるをえなかった先住民族の領域を、近代社会の法治に従わせようとする台湾総督府の政策への、先住民族による抵抗運動。


先住民族側の立場を現代的に解釈すれば、民族自決権確保のための闘争。

日本側から見れば、「首狩りの習俗をほうっておけるか?」。
先住民族側から見れば、「長年にわたり漢人の侵入を食い止め、清国でさえ干渉してこれなかった領域を、日本人が侵害するとは許せない」。

この抵抗運動の鎮圧は、初期対応は警察力によったが、規模が大きかったため軍による対応となった。

この一連の戦闘は、第(1)項の 「台湾民主国」 なる清国勢力による戦闘とは、主体も経緯も異なる別物である。

この戦闘を 「戦争」 と呼ぶかどうか。
先住民族側に、国家樹立を目指した計画性はなく、台湾総督府に取って代わる実力も意図もない。

先住民族側が書く歴史では 「戦争」 であろうが、日本側から見れば 「叛乱(の鎮圧)」 ないし 「紛争」 と整理するのが妥当である。

共産党ふうには、「遅れた封建社会を解放する、民族解放戦争」 などと整理されるかもしれないが、もちろん論外であろう。

日本側が仕掛けた 「侵略戦争」 と呼べるか。
一部論者は、そういうふうに議論を持っていきたいのであろうが、それならそもそも漢人が台湾に移民し先住民族の領域に侵入しつつ融合した過程をも 「侵略戦争」 と呼ぶことから始めていただかねばなるまい。



4月5日のNHKスペシャルでは、第(1)項にも若干触れつつ、第(2)項の叛乱を現地の写真つきで紹介しながら 「日台戦争」 ということばを字幕で出した。

第(2)項にいう紛争を 「日台戦争」 と称したことに、視聴者は驚いたのである。





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最終更新日  Jun 7, 2009 07:09:16 PM
コメント(9) | コメントを書く


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複雑な事象をよく整理して頂きました。  
屋根の上のミケ さん
複雑な事象を分かりやすく整理して頂き、ありがとうございました。ミケ (Jun 5, 2009 11:11:25 AM)

番組では(1)と(2)を包括して呼んでいます  
青狐 さん
泉さん、不正確なことを言うのはよくありません。
、
>第(2)項にいう紛争を 「日台戦争」 と称したことに、視聴者は驚いたのである。

NHK番組は以下のように述べたのです。
「(台湾の)領有直後から問題が噴出します。漢民族としての伝統や誇りを持つ台湾人が、日本の支配に対して激しい抵抗運動を起こしたのです。・・・・・・武力で制圧しようとする日本軍に対し、台湾人の抵抗は激しさを増していきます。戦いは全土に拡がり、後に「日台戦争」と呼ばれる規模に拡大して行きました」

(1)と(2)を包括して「日台戦争」という言葉を当てはめているのです。別に(1)鎮圧後の戦闘を「日台戦争」と称しているのではありません。
で、戊辰戦争も、もろもろの中小の戦闘を包括して「戦争」という呼称を用いていますね。それでも日台戦争という呼称は「社会科学の常識に反する」ことですか? (Jun 5, 2009 07:25:46 PM)

日清戦争に包摂できないでしょう  
青狐 さん
台湾民主国軍の戦いを日清戦争に包摂させるとのは相当無理筋に思いますが、それはどなたの学説に基づく考えですか?

そもそも日清戦争では台湾領有は争点ではなく、別の争点で行われ終結した戦争のはずですけど。
台湾は戦場にもなっていないですよね。

日清戦争が終結し、下関講和条約が締結され、日台の関係が変容した時点で、新たな戦争が始まったと考えるのが自然ではないですか? 
ですから歴史学では、乙未戦争・日台戦争・台湾制服戦争といった概念・呼称が出され、日清戦争とは別個の戦争として認識されていると思うのですが。

日台戦争という概念を打ち消すために、無理をされているように思いますが… (Jun 5, 2009 08:42:57 PM)

第3者のご判定を待ちましょう  
Izumi Yukio  さん
ハンドルネーム青狐氏とのやりとりにおいて、わたしとしては主要な論点は提示済で、堂々巡りになってきた。

第3者の議論参加をお待ちする。

そもそも(1)と(2)は主体が別物なのである。その区別ができない論者とは、議論がもはや成り立たない。

「台湾民主国」なる政治主体は、清国勢力そのものであるというのが通説。これに対する異論もある。
「台湾民主国」が清国勢力とは別物と見なすなら、「日台戦争」という認識は成立しうるが、それこそ当時の清国勢力が望んだ幻惑の罠にはまることだろう。 (Jun 6, 2009 10:21:31 AM)

Re:「日台戦争」の交通整理(06/05)  
赤石 遊人 さん
先ずは「戦争」の定義をいたしましょう。私の定義は次の通り。
 役、戦争=国家間の戦闘
 乱=国内での主権を争う戦闘
 変=国内での、主権に関係の無い戦闘

台湾での出来事に当てはめれば、(1)は最大限譲れば「戦争」と言えるかもしれません。「台湾共和国」を承認した国家は無かったと思いますが、とにかく宣言していますからね。しかし、公共放送の採るべき姿勢ではありません。

(2)は「変」ですね。台湾先住民に国家を樹立しようという意図は無かったと思います。

以上からすれば、(1)と(2)とを包括して扱うというのは、牽強付会にして曲学阿?でしょうね。

>戊辰戦争も、もろもろの中小の戦闘を包括して「戦争」という呼称を用いていますね。

戊辰戦争のもろものの中小の戦闘は、いずれも「明治政府」対「旧幕府側」という共通項があるので包括して扱う理由はありますね。

ただし、「戦争」という名称はいただけません。「戊辰の乱」とすべきですね。で、乱を起こしたのは「明治政府」。反乱=悪者というイメージがあるので、「戊辰戦争」としたのでしょうね。牽強付会ではないが曲学阿世の呼称です。

青狐さんご自信のお考えを伺いたいですね。

以下は蛇足ですが。

「西南戦争」も曲学阿世の呼称ですね。「佐賀の乱」や「神風連の乱」と同じく「西南の乱」と呼ぶべきですね。しかし、何しろ西郷さんの人気がすごいので「乱」と呼べません。

文禄の役を韓国では壬申和乱と呼んでいます。悲にして哀ですね。日本の歴史学者にもこの呼称を使う輩がいるようです。曲学阿夷と申しましょうか。

ちなみに、「清」との戦いは「胡乱」と呼んでいるそうです。じつに「うろん」です。 (Jun 6, 2009 03:05:47 PM)

日常現象の裏側  
田吾作 さん
「2008年韓国蝋燭デモ(2008ねんかんこくろうそくでも、大韓民国で行われた米国産牛肉輸入再開反対に端を発した一連のデモ)」や「北京オリンピック長野デモ」のような「プロパガンダ」がどのような手順で行われているのかご存知ならば解説してもらえませんでしょうか?

(参考1)1989年の天安門広場で起きた民主化運動の実情を当事者が語った記事が「20年後もいまだ軟禁中、天安門事件の逮捕者とお茶をいただく――フィナンシャル・タイムズ(1)」にあります。
<small> <a href=" http://news.goo.ne.jp/article/ft/world/ft-20090604-01.html" ; target="_blank"> http://news.goo.ne.jp/article/ft/world/ft-20090604-01.html< ;/a></small>

(参考2)「莫談国事」
なぜこの様なインタビューが実現したのかをうかがわせる記述を竹内好が行っています。「上に政策あれば下に対策あり」が日常現象である歴史を感じさせてくれます。日本の記者も政治犯の自宅に「お茶を」いただきに行って、監視当局の盗聴による「言論の自由」が保障された場でのインタビューを行うべきだと私は考えますが。

「むかしの中国では、どの茶館にも「莫談国事」という掲示があった。「国事を談ずるなかれ」というのは、秩序形成者の側からすれば言論の制限だが、茶館のほうからすれば、この掲示があるかぎり、何を論じようと「国事」にはわたらぬという、言論の自由の保障の意味ももっていた。」

中国を知るために(第一集) 1967年 竹内 好(たけうち よしみ)著 勁草書房発行 P238―P239より引用 (Jun 9, 2009 05:17:09 PM)

Re:「日台戦争」の交通整理(06/05)  
mizu さん
一応、研究者の端くれですが、
日台戦争という用語には接したことがありませんでした。
普通は武装抗日運動と呼ぶのではないでしょうか。
(1)の台湾民主国の成立は
やはり日清戦争の延長とは考えずらいです。
通史的な台湾史の本を目次だけでもさらってみては
いかがですか? (Jun 16, 2009 12:38:51 PM)

Re:「日台戦争」の交通整理(06/05)  
ぽち さん
私が放送の中で違和感を感じたのは「後に日台戦争と呼ばれる・・・・」の点です。本当に「呼ばれ」ていたのであれば根拠となる文献を示すべきです。それも「複数」の文献を。

根拠を示せない、あるいは、1冊程度しか示せないのであれば「造語」といわれても仕方がないでしょう。それも悪意に満ちた造語。 (Jun 27, 2009 01:18:31 AM)

“日台戦争” グーグル検索の現状  
Izumi Yukio  さん
グーグルで “日台戦争” を検索すると、6月28日午前現在、14,000件。
依然、小生のブログが4件目に登場します。

4月6日にグーグル検索したら 201件。
6月8日の時点では 40,400件もヒットしていましたが、ヒット数の減少から見て、世間の問題意識もやや冷めてきたようです。

ウィキペディアには、まだ“日台戦争”という項目はありません。
今回の一連のNHKスペシャル問題が、「プロジェクトJAPAN」 という項目で詳述されています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88JAPAN

あと、
NHKスペシャル 「アジアの一等国」 偏向報道まとめ Wiki
というサイトがありますが、これはウィキペディアとは無関係です。
http://wiki.livedoor.jp/kyotres/d/%c6%fc%c2%e6%c0%ef%c1%e8%a1%a9 (Jun 28, 2009 10:52:09 AM)

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