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ちょっと前まで全く気づかなかった古道具屋をみつけたら、そして忍者ハットリ君のような無愛想な店主が出てきたら…、「自分が本当にほしいと思っていた物」がみつかるかもしれません。
『さまよえる古道具屋の物語』は、「挿絵がさかかまの本」「お金の入れ口がない貯金箱」「底が破れたポケット」「柄のないコークスバケツ」「ビリヤードの球」を買った人たちの連作短編です。彼らはその後の人生で、成功と失敗を経て自分と向き合っていきました。そして、それぞれの人生が古道具屋でつながり、再び本当に必要な物を手にして、それぞれの人生に帰って行きます。
次元を超えて現れる道具屋は、邪心を持った者にだけ見える幻だったのでしょうか。それとも…。
味わい深かったのが「挿絵がさかさまの本」の秘密。一緒に本を見る幸せ、ページをめくるときのわくわく感は、何物にも代えがたいです。自分が本を読んでもらった体験も、自分が読んであげた体験も鮮やかに思い出に残っています。
自然や社会に翻弄されながら、その中で踏みこたえる秀、香奈たちは、決して立派な存在ではなく、弱さも邪心も持った人間ですが、人生に「本当に必要な物」を求め続ける心が光ります。
参照元:柴田よしき『さまよえる古道具屋の物語』新潮社
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