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ブルース・ロックの偉大なるギタリストに捧げた盤 ゲイリー・ムーア(Gary Moore)は、1954年生まれの北アイルランド出身のミュージシャンで、2011年に急死している。スキッド・ロウやシン・リジィでの活動を始め、ジャンル的にはハード・ロックという印象が強いが、1990年の『スティル・ゴット・ザ・ブルース』以降、ルーツへの回帰をし、ブルース関連に軸足を置くようになっていった。そのような中、ブルース・ロックの偉大な貢献者に捧げるアルバムを1995年にリリースした。それがこの『ブルース・フォー・グリーニー(Blues for Greeny)』というわけである。 表題のグリーニーというのは、ピーター・グリーンのこと。この人物は、フリートウッド・マックの創設メンバーにして、初期フリートウッド・マックを牽引したアーティストである。ブルース・ロックからハード・ロックへの流れができていった歴史的な過程は、周知と言ってしまえばそれまでなのかもしれない。けれども、その“脈流”をさかのぼっていくかのような形でヘヴィ・メタルやハード・ロックに熱中する若い層に示していったのは、ゲイリー・ムーアの大きな功績とも言えるような気がする。 選曲は、表題が示すようにピーター・グリーンの演奏で知られるナンバーがひたすら並んでいる。11曲のうちの多くは、フリートウッド・マックの最初のアルバム(参考過去記事)に収録されたものだが、それ以外の曲も含まれていて、ピーター・グリーンがジョン・メイオールのグループ(ブルースブレイカーズ)に参加していた時期のナンバーも収められている。 本作のレコーディングで使用されたレスポールは、ピーター・グリーンから譲り受けたものだという。ムーア自身は、『スティル・ゴット・ザ・ブルース』よりも“このアルバムの方がより純然たるブルース・アルバムだ”と述べていたのだという。筆者はピーター・グリーンが大好きなので、ついつい元の演奏を思い浮かべつつ本盤を聴いてしまうのだけれども、本来、その必要はないのかもしれない。むしろ、このアルバムを聴いてから、過去をさかのぼってピーター・グリーンを聴く。その方が本盤の正当な聴き方と言えるように思ってみたりもする。[収録曲]1. If You Be My Baby2. Long Grey Mare3. Merry-Go-Round4. I Loved Another Woman5. Need Your Love So Bad6. The Same Way7. The Supernatural8. Driftin'9. Showbiz Blues10. Love That Burns11. Looking for Somebody1995年リリース。 [枚数限定][限定盤]ブルーズ・フォー・グリーニー/ゲイリー・ムーア[CD]【返品種別A】 ブルーズ・フォー・グリーニー [ ゲイリー・ムーア ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年09月06日
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長いキャリアの中でも、1,2を争う名盤中の名盤 ニール・ヤング(Neil Young)の名盤はという話題になると、候補に挙がるアルバムがいくつかある。そんな中でも、『ハーヴェスト』(1972年)と並んで必ず上位に数えられる名盤が、この『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ(After the Gold Rush)』(1970年)である。ニール・ヤングの名作というよりも、1960年代末から1970年代初頭のロック音楽を代表する名作と言ってもよいと思う。 本盤は、ニール・ヤングの作品としてはサード作となるが、時期的には“スーパーグループ”であるCSN&Y(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)が人気を博した頃と重なる。CSN&Yの『デジャヴ』のリリースが1970年の3月で、この『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』のリリースは同年の9月であった。そんなこともあり、スティーヴン・スティルスのほか、クレイジー・ホースのメンバー、ニルス・ロフグレンらがレコーディングに参加している。 カントリーをベースとしたロックで、すべての曲に当てはまるわけではないものの、アルバム全体としては、やや暗いトーンである。はずれのない全11曲だが、個人的な好みでいくつか個別の曲に触れておきたい。表題曲の2.「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」は、ニールの特徴の一つともいえる、あの頼りなげな声のヴォーカルで切々と歌を紡ぐところが魅力。4.「サザン・マン」は、南部の黒人問題を取り上げていて、演奏も重々しいので、気軽に聴ける感じの曲ではないが、本盤中でベストの1曲と言えるかもしれない。ピアノ伴奏による8.「バーズ」は、シンプルな演奏ながら、これほど耳に残るナンバーはないといった感じで、ニールのアーティストとしての力量が如実に表れている。他に、6.「オー・ロンサム・ミー」も、9.「アイ・キャン・リアリー・ラヴ」も捨てがたく、こうやって曲を挙げ続けるとほとんど全曲をピックアップすることになってしまいそうだったりする。 ともあれ、上で述べたように、この『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』は、ニール・ヤングの代表的な盤であると同時に、その当時のロック界を代表する名盤である。クラシック・ロックに少しでも関心がある人にとって、この作品が“これを聴かずには死ねない”盤の一つであることは間違いない。ニール・ヤングを聴く最初の1枚である必要は必ずしもないかもしれないが、ニール・ヤングに触れてしまったら、本盤は絶対に外せない作品ということになると思う。[収録曲]1. Tell Me Why2. After the Gold Rush3. Only Love Can Break Your Heart4. Southern Man5. Till the Morning Comes6. Oh, Lonesome Me 7. Don't Let It Bring You Down8. Birds9. When You Dance I Can Really Love10. I Believe in You11. Cripple Creek Ferry1970年リリース。 アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ [ ニール・ヤング ] アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ<リマスター>/ニール・ヤング[CD]【返品種別A】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年09月04日
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詩人サビーナの魅力が詰まった一枚 ホアキン・サビーナ(Joaquín Sabina,本名ホアキン・ラモン・マルティネス・サビーナJoaquín Ramón Martínez Sabina)は、1949年、スペイン南部出身のシンガーソングライター。若い頃には、文学を学び、フランコ独裁体制に抗してロンドンへ亡命するなどした経歴を持つ。フランコの死後に帰国し、1970年代末から現在まで音楽活動を続けている。その一方、詩人としても活動していて、詩集を出版したりもしている。 スペインのアーティストで、アルバムもたくさんあるので、限られた数の盤しか聴いていない。とはいえ、筆者は、ある時からホアキン・サビーナの世界に引き込まれていった。その最大の理由は、詩的世界の強さにあるように感じる。 冒頭の1.「ノ・ペルミタ・ラ・ビルヘン」からして、詩的な歌/語りの世界が展開される。2.「バモノス・パル・スール」のようにアップテンポの曲もあれば、13.「カマス・バシーアス」のようにラテン・スタンダード風の曲調のナンバーもある。これらを含めてどの曲も素晴らしいのだけれど、やはりアルバムの神髄は、作曲して自分で歌ってしまう詩人としてのサビーナの本領発揮の部分にあると思う。そうした観点からすると、上記の1.と併せて、3.「ラ・カンシオン・マス・エルモサ・デル・ムンド(世界でいちばん美しい歌)」、6.「ぺセス・デ・シウダー」、12.「クアンド・メ・アブラン・デル・デスティーノ」なんかが核になっていると言っていいだろう。 余談ながら、こうしたサビーナの魅力に主眼を置くならば、本盤のジャケットは少々ミスマッチな気がしなくもない。試合を終えたばかりのボクサーのような姿をしたサビーナ自身の写真がジャケット表面で、裏ジャケットもガウンを着たボクサー姿である。もっと詩的世界を表現するような、いわば“アーティスティック”なジャケットでもよかったのではないかと思う。実際、筆者もリリース当時にこの盤を見かけたのだけれど、ジャケットの印象から直感的に購入を後回しにしてしまった(今となっては後悔)。そんなわけで、ジャケット・イメージと盤の魅力は決して一致していないかもしれない、ということをぜひ記しておきたいとも思った次第である。[収録曲]1. No permita la Virgen2. Vámonos pa'l sur3. La canción más hermosa del mundo4. Como un dolor de muelas5. 69 punto G6. Peces de ciudad7. El café de Nicanor8. Lágrimas de plástico azul9. Yo también sé jugarme la boca10. Arenas movedizas11. Ya eyaculé12. Cuando me hablan del destino13. Camas vacías14. Semos diferentes2002年リリース。 Joaquin Sabina / Dimelo En La Calle 輸入盤 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年09月02日
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スペインを代表する女性シンガーのデビュー盤 マルー(Malú)の名で知られるこの女性シンガーの本名は、マリア・ルイサ・サンチェス・ベニーテス(María Luisa Sánchez Benítez)。2つの名前(姓名の名)の頭の部分を組み合わせて、マルーと言われればなるほどというアーティスト名である。父はペペ・デ・ルシーア、叔父はパコ・デ・ルシーア、母も女性グループのアレーナ・カリエンテで活躍した経歴を持つという音楽一家に育ち、1998年、16歳の時に本盤『アプレンディス(Aprendiz)』でデビューした。 このデビュー盤、“七光り”というよりは、“血筋”の一枚と言った方がいいように思う。本人曰く、学校に行かなくてよさそうという理由で、初レコーディングのオファーを受けたとのことである。デビューに際して、家族で親しい付き合いのあった大物シンガー、アレハンドロ・サンスが曲を提供した(本盤収録曲のうち、1.、4.、5.が彼のペンによる)。こうしたお膳立ては、“七光り”と言われると確かにそうかもしれない。けれども、その歌唱力は、既に完成されているというわけではないし、随所に粗さもあるように思うのだけれど、とにかく16歳とは到底思えないハイレベルなものである。この実力という部分を考えると、“血筋”であり、生まれ持って与えられた才能だったと言えるように思う。 本盤はスペインで60週以上にわたってチャートインし、30万枚を売り上げた。アレハンドロ・サンス提供のデビュー・シングル、1.「アプレンディス」は、マルーを代表する曲の一つとして、定着していくことになった。その後も3曲(2.、4.、8.)がシングル・カットされたが、4.「ドンデキエラ・ケ・エステス」が特にいい。あと、アルバム最後のナンバーである9.は、3.「シ・トゥ・メ・デハス」のヴァージョン違いで、“フリー・ヴァージョン”と名付けられているが、個人的にはこの9.のヴァージョンの方が気に入っている。 ともあれ、本デビュー盤は、将来の伸びしろも含めて、実力を存分に披露するアルバムとなった。そして、実際、マルーは10年、20年後にスペインを代表するトップ・シンガーとしてのキャリアを積み重ねていくことになった。[収録曲]1. Aprendiz2. Lucharé3. Si tú me dejas4. Donde quiera que estés5. Antes que amantes amigos6. Hoy desperté7. Días que fueron8. Como una flor9. Si tú me dejas -free version-1998年リリース。 Malu - Aprendiz CD アルバム 【輸入盤】 下記のランキングサイトに参加しています。お時間の許す方は、 バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年08月30日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-L)へ → つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでも ありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2022年08月28日
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元メカノのヴォーカリストによる洗練されたポップ音楽 1980年代から1990年代初頭に一世を風靡したメカノ(メカーノ,Mecano)というバンドがあった。スペイン人3人組のこのバンドは世界的成功を収めたが、1993年に活動を休止した。その後、1997年にそのヴォーカリストだったアナ・トローハ(アナ・トロハ,Ana Torroja)はソロ・デビューし、2010年までに5枚ほどのソロ作を制作した。 メカノというとシンセ・ポップやテクノ・ポップのようなイメージがあるかもしれないが、ソロ転向後のアナ・トローハは、エレクトロニックなポップの色彩は持ち続けながらも、ストレートなポップ路線もこなし、良質なポップ音楽を制作していった。2003年リリースの本盤『フラヒル(Frágil)』は、ソロ3作目となったアルバム。特大ヒットというほどの売り上げではなかったよう(スペイン国内チャートで最高位15位)だが、高い評価を受けた作品で、ラテン・グラミー賞にもノミネートされた。 シングルカットされたのは4曲。本盤収録曲の中で最初のシングルとなった4.「キエン・ディセ」は無難な選曲のような気もするが、続くシングル曲の3.「ベインテ・マリポーサス」は、“(心にいる)20匹の蝶”という表題も目を引き、サウンド面でも工夫があっていい。バラード調の5.「メ・バスタ・コン・クレエール」も、筆者的にはお気に入り。10.「クアトロ・ディアス」は、シングルとしては、ややインパクトに欠ける。 これら以外の注目曲としては、表題曲の6.「フラヒル」が圧倒的にいい。曲の展開がよく、エレクトロニックなポップ調とヴォーカルを聴かせる部分が絶妙に組み合わされた1曲だと言える。また、11.「メノス・マス」はも曲の展開と豊かなヴォーカルが際立った1曲だと思う。あと、少し変わったところでは、13.「アイ・ウィッシュ・ユー・ワー・ヒア(あなたがここにいてほしい)」。表題から分かるように、ピンク・フロイドのカバー(元アルバムの記事はこちら)で、英語での歌唱を披露している。[収録曲]1. Con solo un beso2. Libélula3. Veinte mariposas4. Quién dice5. Me basta con creer6. Frágil7. Solo por eso8. El arte de llorar9. Hoy igual que ayer10. Cuatro días11. Menos, más12. Letras de sal13. I Wish You Were Here14. Con solo un beso2003年リリース。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年08月26日
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レイド・バックなクラプトンの紛れもない代表盤 1974年に発表されたエリック・クラプトン(Eric Clapton)の代表作と言われるのが、本盤『461 オーシャン・ブールヴァード(461 Ocean Boulevard)』である。スタジオ録音の作品としては、1970年(デレク・アンド・ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』、なお同年にはファースト・ソロ作もリリースされている)以来となる“復帰作”であった。 ちょうどこの期間、クラプトンはヘロイン中毒とのその療養に苦しんだ。ザ・フーのピート・タウンゼントが、彼の復帰を促すために1973年にレインボー・コンサートを企画したりもしていた。そして、スタジオ作品としてようやく届けられたのがこの『461 オーシャン・ブールヴァード』だったということになる。 その内容は、コンパクトな曲とバンド編成で、派手にギターを聴かせるものというよりは、やや地味にギター・ソロを聴かせ、一歩引いた感じで落ち着いて歌っている。この作品は、クラプトンの代表盤と言われるけれど、条件付きの”代表盤”で、いわゆる“レイド・バック”な一枚である。ヤードバーズからクリームにかけてのクラプトンを求めたところで、そもそもお門違いということになるのだろう。この盤はレイド・バックなクラプトンを求める人には、必聴の超名盤ということになるのだと思う。 とか何とか言って、筆者は本盤が大好きである。クラプトンのアルバムの中で、これを聴いた回数はおそらくダントツの1位である。まず、1.「マザーレス・チルドレン」の決して気張らない、軽めのドライヴ感がいい。広く一般受けという意味では、ボブ・マーリーのカバーで、全米1位(イギリスでも9位)のヒットとなったレゲエ調の5.「アイ・ショット・ザ・シェリフ」を挙げないわけにはいかない。とはいえ、その1曲前(シングル・リリースではB面)に収められている4.「ゲット・レディ」がいい。地味で目立った存在感を放つナンバーではないけれども、イヴォンヌ・エリマンとの共作曲で、彼女のヴォーカルも冴えている。 アルバム後半で圧倒的に気に入っているのは、8.「レット・イット・グロウ」。スローなバラード調は、かつてのクラプトンの熱いファンからすると賛否両論あるだろうけれど、個人的には、クラプトンのソングライティングの才能が見事に発揮されているナンバーだと思っている。あと、アルバムの最後に収録された10.「メインライン・フロリダ」は、ついつい流れの中で聞き流してしまうのだけれど、たまに落ち着いて聴くとこれがまたよくできた演奏。一歩引いたリラックス感の中でギターとヴォーカルをしっかり聴かせる好曲だと思う。 長いキャリアのエリック・クラプトンなので、時代をさかのぼって本盤を聴くということになる人も多いことと思う。いわゆる“レイド・バック期”のクラプトンに初めて手を出そうという人がいるならば、筆者としては、絶対的にこの盤を最初に手に取ることをお勧めする。[収録曲]1. Motherless Children2. Give Me Strength3. Willie and the Hand Jive4. Get Ready5. I Shot the Sheriff6. I Can't Hold Out7. Please Be With Me8. Let It Grow9. Steady Rollin' Man10. Mainline Florida1974年リリース。 461オーシャン・ブールヴァード/エリック・クラプトン[SHM-CD]【返品種別A】 461オーシャン・ブールヴァード [ エリック・クラプトン ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年08月24日
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爽快感の残るロックサウンド トム・ペティ(Tom Petty)は、バンドを従えたトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ(Tom Petty & The Heartbreakers)名義で1976年にファースト作を発表した。1979年にはサード作の『破壊』がヒットし、アメリカン・ロック界を代表するアーティストとして知られていった。 本盤『ロング・アフター・ダーク(Long After Dark)』は、1982年に発表された第5作である。前作(『ハード・プロミス』)よりは売上げを落としたものの、なかなかの好作で、これぞアメリカン・ロックといった曲とサウンド。聴いた後の爽快感が心地よい一枚というのが筆者の印象である。 シングルとしては、2.「ユー・ゴット・ラッキー」と4.「チェンジ・オブ・ハート」がカットされ、前者は全米20位、後者は21位を記録した。筆者の気に入っているナンバーは、これらのうちの2.のほか、冒頭の1.「ワン・ストーリー・タウン」。トム・ペティ節が全開のナンバーであり、聴いた後の爽快感がいい。さらには、少し陰のある7.「ストレイト・イントゥ・ダークネス」が個人的にはお気に入りの好曲。 上で1.を聴いた後の“爽快感”に触れたが、この感覚は、本アルバム全体にも当てはまるように思う。トム・ペティの音楽自体にそういう要素があるというのも確かなのだろうけれど、『破壊』のヒットによる成功後、アーティストとして、バンドとしての余裕や貫禄が出てきたこととも関係しているのかもしれない。いずれにせよ、ロックで突っ走るというのもいいけれど、後味がすっきりというのは、トム・ペティの魅力の一つなのかな、と考えてみたりする。[収録曲]1. A One Story Town2. You Got Lucky3. Deliver Me4. Change of Heart5. Finding Out6. We Stand a Chance7. Straight into Darkness8. The Same Old You9. Between Two Worlds10. A Wasted Life1982年リリース。 【輸入盤】Long After Dark - Remaster [ Tom Petty ] 【輸入盤CD】Tom Petty & The Heartbreakers / Long After Dark (トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年08月20日
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代表作にして金字塔 ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)は、1943年、カナダ生まれのシンガーソングライター。多くの作品を発表しているが、特に評価の高い1970年代の諸作のうち、金字塔とも言える作品が、8枚目のアルバムとなった本盤『逃避行(Hejira)』である。 この作品は、1976年にリリースされた。彼女の代表作として扱われることが多く、確かに、初めてジョニ・ミッチェルを聴こうかという人がいたら、筆者はきっとこの盤を真っ先に薦めることだろう。 一聴すると、淡々としているように聴こえるかもしれないが、ヴォーカルの表現力、派手ではない演奏の多様で細やかな工夫が何度聴いても飽きない要因になっている。ソングライティングのよさも際立っていて、早い話、全部がよくできていて、非の打ち所がないというのが、名盤といわれる所以なのだろうと思う。 上で述べたヴォーカル表現の豊かさは、“歌っている”のではなく、“語っている”ことに起因するのだろう。この盤に限ったことではないけれども、ジョニ・ミッチェルの歌には癖があり、場合によっては、好き嫌いが分かれるかもしれない。それはとりもなおさず、“きれいに歌う”のではなく、“感情や詞を存分に表現する”からなのだと言える。 一方、演奏面では、多様なゲストの存在感が際立つ。最大の存在感を放っているのは、ジャコ・パストリアスのベースである。情感に満ちたベース演奏は、これと同じ年に発表されたジャコ・パストリアスのソロ・デビュー盤で披露されている演奏に通ずるものがあり、1.「コヨーテ」、5.「逃避行(ヘジラ)」、7.「黒いカラス」、9.「旅はなぐさめ」でその演奏を堪能することができる。その他には、3.「ファリー・シングス・ザ・ブルース」におけるニール・ヤングのハーモニカによる参加も、演奏に明確な色彩を与える役割を担っている。さらには、4曲で参加しているラリー・カールトンのギターも存在感を発揮している。カールトンの参加曲の中では、2.「アメリア」は個人的に気に入っているナンバーの一つだったりする。あと、この2.でのヴァイブや、上述の9.でのホーンといった楽器を取り入れているのも、サウンド面で効果的に彩りを与えることになっているように感じる。[収録曲]1. Coyote2. Amelia3. Furry Sings the Blues4. A Strange Boy5. Hejira6. Song for Sharon7. Black Crow8. Blue Motel Room9. Refuge of the Roads1976年リリース。 逃避行 [ ジョニ・ミッチェル ] [枚数限定]逃避行/ジョニ・ミッチェル[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年08月17日
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暑い夏にこの曲を…(2/2,洋楽編) 台風一過となりましたが、暑い日はまだ続くようです。前回に続き、“暑い夏”のナンバーの続編です。今回は洋楽編ということで、さらに2曲を取り上げてみたいと思います。いずれも1980年代の懐かしのナンバーです。 まずは、イギリス出身の女性3人組グループ、バナナラマ(Bananarama)の「ちぎれたハート(Cruel Summer)」です。1983年のシングル曲で、翌年リリースの第2作となるアルバムに収録されています。発売当初は、上記のような邦題だったのですが、現在では「クルーエル・サマー」というカタカナ表記になっているようです。 やがてバナナラマは2人組での活動が長く続きますが、2017~18年に期間限定でオリジナル・メンバー3人での復活を果たしました。以下のライヴ映像は、その再結成時のものです。 さて、続いては、マイアミ・サウンド・マシーン(Miami Sound Machine)の「ホット・サマー・ナイト(Hot Summer Night)」です。映画『トップ・ガン』(元祖の方)のサウンドトラックに収録されたナンバーです。 この曲が出された1986年当時は、まだマイアミ・サウンド・マシーンでしたが、何年か後には、グロリア・エステファンとマイアミ・サウンド・マシーンに改名し、さらに、グロリア・エステファンはソロ名義で活躍していくことになりました。往時のライヴの様子ということで、1988年(グロリア・エステファン・アンド・マイアミ・サウンド・マシーンの頃)のものをご覧ください。 尋常ではない暑さが日本各地で連日続きますが、ご自愛ください。[収録アルバム]Bananarama / Bananarama(1984年)Top Gun -Original Motion Picture Soundtrack(1986年) 【輸入盤CD】Soundtrack / Top Gun 【輸入盤CD】Bananarama / Greatest Hits Collection (2PK) 【K2019/3/29発売】(バナナラマ) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年08月14日
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暑い夏にこの曲を…(1/2,邦楽編) とにかく異常なまでに暑い毎日が続いています(おまけに台風も発生して本州に近づいてきてました)。夏と言えば、過去にはこんな曲やこんな曲なんかも取り上げましたが、あらためて夏のナンバーをということで、2回に分けてお届けしようと思います。 今回は邦楽編ということで、日本のナンバーを2つばかり取り上げます。1曲目は、山下久美子の「赤道小町ドキッ」です。1982年のヒット曲です。 続いてこのヒットから30年近く経ったライヴの様子をご覧ください。2010年のライヴの映像です。 次の夏のナンバーは、サザンオールスターズの「真夏の果実」です。1990年の夏にシングル・リリースされました。夏の定番ソングです。 この同じ曲のアコースティック・ヴァージョンもお聴きください。2008年の演奏の様子とのことです。 [収録アルバム]山下久美子 / 『Chronologic Singles Side:A Collection』(1991年)サザンオールスターズ / 『稲村ジェーン』(1990年) ALL TIME BEST [ 山下久美子 ] 40th Anniversary Best Album+Live+DVD「 愛☆溢れて! ~Full Of Lovable People~」 [ 山下久美子 ] 真夏の果実 [ サザンオールスターズ ] 【特典】稲村ジェーン(オリジナルポストカード) [ サザンオールスターズ&オールスターズ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年08月12日
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オリビア・ニュートン=ジョン追悼 オリビア・ニュートン=ジョン(Olivia Newton-John)がカリフォルニア州の自宅で亡くなったと報じられました。享年73歳で、長らくの闘病の末、(2022年)8月8日に癌で亡くなったとのことです。1970年代に多くの若者を虜にした“妖精”を偲んで、いくつかの楽曲を振り返ってみたいと思います。 まずは、代表曲の一つで、今回の逝去の報でも繰り返し流されている「そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)」です。1975年に発売され、全米1位の記録を始め、世界中でヒットしました。往時の映像と後世の歌唱の様子の両方を見比べてご覧ください。 オリビアのヒット曲はいくつもありすぎて、何曲か挙げるだけでも賛否両論になってしまいそうなのですが、個人的にはこれはぜひということで、1980年の「ザナドゥ(Xanadu)」です。ELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)との共演ナンバーで、同名映画のサントラに収録された曲です。 代表曲を思い起こしていくだけでも、「愛の告白」も、「愛のデュエット」も、「フィジカル」(こちらは過去記事あり)もとなるのですが、ここでは、別のナンバーをもう一つ。 オリビアは、やがて環境保護活動や癌の啓発活動も展開していくことになりました。そうした社会活動へと向かい始めた頃のアルバムに、『美しい星と子供たちに〜ウォーム・アンド・テンダー』という、娘の誕生を契機として生まれたアルバムがあります。1980年代初頭までのヒット志向とは違う彼女の姿がそこにはあり、筆者のお気に入りです。そんなわけで、同盤に収められた「虹のかなたに(Over the Rainbow)」をお聴きください。 オリビア・ニュートン=ジョンのご冥福を心からお祈りします。R.I.P. そよ風の誘惑 [ オリビア・ニュートン・ジョン ] 【輸入盤CD】Olivia Newton-John / Icon (オリヴィア・ニュートンジョン) 【中古】 ウォーム・アンド・テンダー(美しい星と子供達に)/オリヴィア・ニュートン=ジョン 【中古】afb 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年08月09日
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マクリーンによるBN初リーダー・セッション ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は、1931年生まれで2016年没のアルト・サクソフォン奏者。モダン・ジャズの世界では知らぬ人はいない有名サックス奏者である。そんな彼の作品の中で、これぞいちばんの代表作というわけではないにせよ、聴き手が愛着を寄せる盤の一つが、この『ジャッキーズ・バッグ(Jackie’s Bag)』と言えるのではないだろうか。 レコーディングがなされたのは、1959~1960年にかけてのこと。異なる2回のセッション(同じメンバーは、リーダーのマクリーンを別にすれば、ベースのポール・チェンバースのみ)をA面とB面に配したという具合である(なお、CDでの追加曲は、LPでのB面のメンバーによる)。 1.「クァドラングル(クアドラングル)」に代表されるような、LPのA面(1.~3.)のたたみかけるような“これぞモダン・ジャズ”といった演奏は、本盤の重要な魅力である。マクリーン自身の演奏も実に冴えている。とはいえ、LPではB面に当たる4.「アポイントメント・イン・ガーナ」以降のもう一つの“違った空気感”がさらにこの盤の魅力ではないかと思う。端的に言えば、ティナ・ブルックス(テナー・サックス)の参加の影響が大きい。とりわけ、個人的には、上述の4.と6.「ジャワ島」が特にお勧めだが、CD化で追加された3曲も含めて、このセッションの楽曲の演奏は特にどれもが素晴らしい。 そのようなわけで、マクリーン盤ではあるのだけれど、後半のティナ・ブルックスを聴くための盤としても、存在価値が大きいと言えるように思う。ちなみに、アルバム表題(“ジャッキーつまりはマクリーンのカバン”)は、そのままジャケット・イメージに表されていて、書類を入れて紐を巻いて閉じる形のバッグのイメージである。何だかいろんな楽曲の演奏を詰め込んでカバンに入れたかのような印象を与えるのだけれども、もっと仰々しく扱ってもよかったのではと思うほど、収録曲の演奏のレベルが高い。そんな盤と言っていいように思う。[収録曲]1. Quadrangle2. Blues Inn3. Fidel4. Appointment in Ghana5. A Ballad for Doll6. Isle of Java~以下、CD追加曲~7. Street Singer8. Melonae's Dance9. Medina[パーソネル、録音]1.~3.:Jackie McLean (as)Donald Byrd (tp)Sonny Clark (p: 1.を除く)Paul Chambers (b)Philly Joe Jones (ds)1959年1月18日録音。4.~9.:Jackie McLean (as)Tina Brooks (ts)Blue Mitchell (tp)Kenny Drew (p)Paul Chambers (b)Art Taylor (ds)1960年9月1日録音。 ジャッキーズ・バッグ/東芝EMI 【中古】 【輸入盤CD】Jackie McLean / Jackie's Bag 【K2016/8/26発売】(ジャッキー・マクリーン) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年08月09日
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2022年08月05日
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2通りのクインテットによる初期の代表作 1950年代半ば、西海岸のアルト奏者の代表格だったバド・シャンク(Bud Shank)。本盤『昼と夜のバド・シャンク(Bud Shank-Shorty Rogers-Bill Perkins)』は、彼の代表作として知られる。“昼と夜の~”という表題は、日本盤ならではのものだが、元の盤の表題は、上で挙げたもののほかに、“Bud Shank Quintet”と呼ばれることもあるようだ。ちなみに、“昼と夜”というのは、ジャケットのデザインと関係していて、ジャケット表面には日中のロサンゼルス、裏ジャケには夜のロサンゼルスの写真が使用されている。 LPのA面(CDでは1.~6.)とB面(7.~12.)は、それぞれ異なるセッションで録音されたものである。実際には、A面が1つめのクインテットで、B面の方は異なるメンバーでのクインテット演奏である。特にA面は、いかにも軽やかで西海岸的な雰囲気だが、このセッションはバド・シャンクの初リーダー録音であった。 前半と後半で異なるセッションの音源が組み合わされて一枚になっている以外にも、本盤で特徴的なことがある。それはバド・シャンクのプレイヤーとしての特性で、ただアルト・サックスを演奏しているだけではない。本盤の後半では、テナーやバリトン・サックスも扱いこなし、前半・後半ともにフルート演奏者としての腕前を発揮している。 個人的な好みで何曲か個別の演奏に触れておきたい。2.「カサ・デ・ルス」はシャンクの自作曲(本盤では1.~6.が自作曲)で、流れるようで明朗な彼のアルト・サックスがとにかく聴いてて心地よい。5.「ジャスミン」は、少々甘めと言われるかもしれないが、ヴァリエーションのある曲や演奏の中でこうした曲に出合うと、筆者的にはついつい聴き惚れてしまう(実際、この後の6.「ジャスト・ア・フュー」では、一転してスリリングな演奏になるのもまたいい)。 後半の演奏では、8.「フルーテッド・コラムス」が、表題の通り、フルート演奏が主役となっていて、ハンプトン・ホーズのピアノと相まってその小気味よさがツボにはまると実に快楽的。実際、後半のセッションの演奏では、いくつもの曲でハンプトン・ホーズ節が演奏のノリを引っ張っている。そんな中、柔らかで少しまったり感もある11.「ア・シナー・キスト・アン・エンジェル」も、個人的にはなかなか気に入っていたりする。[収録曲]1. Shank's Pranks2. Casa de Luz3. Lotus Bud4. Left Bank5. Jasmine6. Just a Few7. Paradise8. Fluted Columns9. I Hear Music10. Royal Garden Blues11. A Sinner Kisses an Angel12. It Had to Be You[パーソネル、録音]1.~6.:Bud Shank(as, afl), Shorty Rogers (flh), Jimmy Rowles (p), Harry Babasin (b), Roy Harte (ds)1954年3月25日録音。7.~12.:Bud Shank(as, ts, bs, fl), Bill Perkins (as, ts, fl), Hampton Hawes (p), Red Mitchell (b), Mel Lewis (ds)1955年5月2日録音。 昼と夜のバド・シャンク +1 [ バド・シャンク ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2022年08月02日
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ゆったりと軽快なギター演奏 ピーター・バーンスタイン(Peter Bernstein)は、米国ニューヨーク生まれのジャズ・ギタリスト。1967年生まれの彼は、1990年代以降にいくつものリーダー作を吹き込んでいるのだけれど、筆者はごく一部の作品でしか、彼の演奏を知らない。 本盤『ストレンジャー・イン・パラダイス(Stranger in Paradise)』は、2003年に日本のヴィーナス・レコードによって吹き込まれ(録音場所はニューヨーク)、その翌年にリリースされた。“裸体ジャケ”が得意なヴィーナスの作品とはいえ、“パラダイス(楽園)”だからゴーギャンのタヒチの裸体婦人画というのは多少安直にも思えるが、正直なところ、このジャケット・イメージと作品内容の相関性はあまり大きくないように思う。 実際、演奏そのものは、特に南国楽園風というわけでもないというのが、個人的な印象である。豪快かつ軽妙な1.「ヴィーナス・ブルース」に始まるが、3.「ルイーザ」や4.「ハウ・リトル・ウィー・ノウ」のように、時にゆったりまったりと、また時に軽やかにギター演奏を聴かせる。 そして、本盤は、後半に進むにしたがって、アルバム全体のトーンのようなものが見えてくるように思う。中途半端な(決して悪い意味ではなく、敢えてこう表現できるように思う)まったり感は、バーンスタインの演奏の特徴と言えるだろうか。決して先を行く機敏な動きという感じではなく、ゆったりと頭の中の音を実際に響くギターの弦の音に置き換えていく。そんな感じの演奏が本盤の魅力ということになるのかもしれない。 [収録曲]1. Venus Blues2. Stranger in Paradise3. Luiza4. How Little We Know5. Bobblehead6. Just a Thought7. This Is Always8. Soul Stirrin'9. That Sunday, That Summer10. Autumn Nocturne[パーソネル、録音]Peter Bernstein(g), Brad Mehldau (p), Larry Grenadier (b), Bill Stewart (ds)2003年8月24~25日録音。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月29日
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ギターの神様、“ジミヘン”のマスターピース ジミ・ヘンドリクス(Jimi Hendrix)は、1970年に27歳の若さで不可解な死を遂げた。一般に、死因は睡眠中の窒息死とされるものの、救急隊が病院へ搬送した際に居合わせた人たちの証言に食い違いがあったり、マネージャー(マイケル・ジェフリー)が彼の殺害を告白し、その上、飛行機事故で死んだはずのこのマネージャーがその後も生きていたという証言があったり、何かと不審な点があると言われたりもする。 死の真相はともあれ、彼の存命中にリリースされた3つのスタジオ作のうち、最後の作品となったのが、本盤『エレクトリック・レディランド(Electric Ladyland)』であった(なお、ライヴ盤も含めると、翌年、急死の前に『バンド・オブ・ジプシーズ』という作品がリリースされている)。本盤は、今でこそ1枚のCDにすべて収まっているが、LP時代には2枚組の大作で、これまでのチャンス・チャンドラーに代わってジミ自身がプロデュースを担当したアルバムとなった。 ザ・ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスは、ジミのほか、ノエル・レディング(ベース)、ミッチ・ミッチェル(ドラムス)の3人から成るが、本盤には様々なゲスト・ミュージシャンも参加している。例えば、4.「ヴードゥー・チャイル」には、スティーヴ・ウィンウッド(ハモンドオルガン)やジャック・キャサディ(ベース)、6.「長く暑い夏の夜」にはアル・クーパー(ピアノ)が参加している。他にも、デイヴ・メイスン(3.と15.、12弦ギターおよびコーラス)、ブライアン・ジョーンズ(15.、パーカッション)、マイク・フィニガン(10.と13.、オルガン、参考過去記事)らが演奏に加わっている。 全体がコンセプト・アルバムになっているというわけではないのだけれど、ジミ・ヘンドリックスの頭の中に鳴り響いていた音を実際の音に表現した演奏として、本盤はその集大成的仕事である。否、生き続けていれば集大成作はその後にも生み出されたのだろうから、その死によって集大成作になったという方が正確なのかもしれない。ともあれ、“ジミヘンを聴いてみたいんだけど”なんて人がいるとすれば、筆者はまずこの盤を勧めることは間違いない。 ちなみに、本盤はUS盤とUK盤とでジャケット・デザインが異なっていた。英盤は19人の裸の女性が収められた写真が2枚組仕様で折りたたまれたジャケットの表面と裏面をあわせた形でデザインされていたが、ジミ・ヘンドリクス自身はこのジャケットを気に入っていなかったという(個人的には、最初に本盤を知ったのがUKジャケだったので、こちらの方がしっくりくるのだけれど)。現在では遺族の意向で、ジミの顔写真をあしらった米盤ジャケット・デザインの方が使用されている。 [収録曲](LPのA面)1. And the Gods Made Love2. Have You Ever Been (to Electric Ladyland)3. Crosstown Traffic4. Voodoo Chile(LPのB面)5. Little Miss Strange6. Long Hot Summer Night7. Come On (Let the Good Times Roll)8. Gypsy Eyes9. Burning of the Midnight Lamp(LPのC面)10. Rainy Day, Dream Away11. 1983... (A Merman I Should Turn to Be)12. Moon, Turn the Tides...Gently Gently Away(LPのD面)13. Still Raining, Still Dreaming14. House Burning Down15. All Along the Watchtower16. Voodoo Child (Slight Return)1968年リリース。 エレクトリック・レディランド [ ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年07月24日
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実にハイレベルな“二匹目のドジョウ” 『スーパー・セッション(Super Session)』(1968年リリース)の続編とも言えるのが、この『クーパー・セッション(Kooper Session)』(1970年リリース)というアルバムである。といっても、その表題は、ほとんどダジャレ(“スーパー”→“クーパー”)でしかない。アル・クーパー(Al Kooper)によるセッション企画の第二弾のアルバムということになるわけだが、『スーパー・セッション』を超えるとは言わないまでも、この『クーパー・セッション』は、ただの二番煎じとは言えない、実にハイレベルな好盤なのである。 本盤の参加メンバーで最も注目すべきは、ギタリストのシャギー・オーティス。本盤では、彼の存在感とテクニックが半端ない。この人物は、R&Bシンガー、ジョニー・オーティスの息子であり、しかも、この当時まだ15歳という、まさしく“若き才能”であった。 収録された7曲の演奏は、どれも素晴らしく、全編を通して聴くことをお勧めするが、いくつかの曲を聴きどころとして挙げておきたい。まずは、1.「ベリー・マイ・ボディ」。リズム感に乗って勢いのある曲調が印象的で、その後の収録曲への期待を抱かせるに相応しいオープニング曲である。もう一つ、前半でぜひとも触れておきたいのは、2.「ダブル・オア・ナッシング」。アルのオルガンとシャギーのギターの組み合わせが醸し出すスリリングさがいい(このスリリングさは3.でも継続し、4.で息抜き的にリラックス感が出ているのも、構成の妙と言えるように思う)。 LPでは、1.~4.がA面で、“The Songs”、5.~7.がB面で、“The Blues”と銘打たれている。後半のインストルメンタル演奏もどれも素晴らしいが、何と言っても圧巻は、5.「12:15スロー・グーンバッシュ・ブルース」で、シャギーの演奏を堪能できる。同じく7.「シャギーズ・シャッフル」も聴き逃がせない。 それにしても、アル・クーパーという人は、パフォーマーなのか、裏方ないしは仕掛人なのか。彼のいろんな作品を聴くたびに、この疑問がしばしば湧いてくるのだけれど、きっと正解は“両方”なのだろう。実際、本盤でも、ヴォーカルとしての役割、そしてオルガン・プレーヤーとして聴き手の耳に残るパフォーマンスを披露している。しかし、彼が只者でないのは、仕掛人としての才能である。セッションものやその他いくつかのプロジェクトものでのアル・クーパーの役割は、ただのアーティストには容易にできないマルチぶりの賜物である。そのようなわけで、企画者としてのアル・クーパー、プレイヤーとしてのシャギー・オーティスという、簡単には揃い得ない組み合わせが実現されたことにより生み出された稀有な盤ということになるのだろう。[収録曲]1. Bury My Body2. ouble or Nothing3. One Room Country Shack4. Lookin' for a Home5. 12:15 Goonbash Blues6. Shuggie's Old Time Dee-Di-Lee-Di-Leet-Deet Slide Boogie7. Shuggie's Shuffle1970年リリース。 クーパー・セッション/アル・クーパー[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月20日
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聴衆の支持を集める中でのセカンド作 1988年にデビューし、セルフタイトルのデビュー作が高い評価を得て、「ファスト・カー」のヒットや翌89年のグラミー賞3部門受賞で一躍有名となったトレイシー・チャップマン(Tracy Chapman)。そんな中、同89年にリリースされた第2作が、この『クロスロード(Crossroads)』というアルバムだった。 前作との大きな違いとしては、第一に、同じプロデューサーでありながら、チャップマン自身もプロデュースに加わった点が挙げられる。それから、第二に、演奏に用いられている楽器に幅が出ている点だと言える。これら二点は互いに関係していたのかもしれない。自身がプロデュースに携わることで、やりたかったこと(言い換えれば、ファースト作ではできなかったであろうこと)を取り入れることができたことだろう。そして、その一つが、ギター弾き語り風の雰囲気は保ちつつも、もう少し多様な楽器と演奏を取り入れることだったのではないだろうか。 その結果、“アコギ1本で歌う”のようなイメージで本作を聴くリスナーの期待にそぐわない部分はあっただろう。けれども、この音はいま聴いても全然古さを感じさせないし、それでいて、ファースト作で世間の評価を集めた彼女のよさが十分に発揮された内容に仕上がったと思う。 個人的に気に入っている曲としては、表題曲の1.「クロスロード(Crossroads)」。アルバム表題もこの曲名もなぜか日本語表記は単数形(“クロスローズ”ではない)なのだけれど、淡々と歌う内省的なナンバー。上述のサウンドの変化がよくわかるものとしては、ネルソン・マンデラに捧げた3.「フリーダム・ナウ」、それから、6.「サブシティ」、7.「ボーン・トゥ・ファイト」なんかが私的には気に入っている。あと、9.「ディス・タイム」は“自分を愛する”というテーマのやはり内省的な内容の曲だが、妙に心に染みるナンバーで、筆者には特に印象に残っている。 最後に、筆者の手元にあるCDのブックレット(歌詞カード)には、英語の詞のほかに、独・仏・西・伊の翻訳を合わせた計5言語が記載されている。たまたま入手したものがそういう仕様なのか、あるいは日本盤とかもそうなっていたのか、詳細は分からないが、米国におけるマイノリティというチャップマンの立場や考えと関係しているのだろうか。[収録曲]1. Crossroads2. Bridges3. Freedom Now4. Material World5. Be Careful of My Heart6. Subcity7. Born to Fight8. A Hundred Years9. This Time10. All That You Have Is Your Soul1989年リリース。 【輸入盤CD】Tracy Chapman / Crossroads (トレイシー・チャップマン) 【中古】クロスロード [Audio CD] トレイシー・チャップマン 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年07月16日
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早逝のシンガーソングライターのセカンド作 ティム・ハーディン(Tim Hardin)が、1966年のデビュー盤(参考過去記事)の翌年に発表したのが本作『ティム・ハーディン2(Tim Hardin 2)』だった。ジャケットには窓から外を見るハーディン自身の写真があしらわれているが、横にいる身籠った女性は、妻のスーザン・ヤードリーとのこと。第2作と言っても、ファースト作の後に一から作られたというわけではなく、ファースト作よりも前に録られた音源からファースト作がリリースされた頃までの音源(1964年11月から1966年8月)が本盤には収められている。 さて、本アルバム全体のトーンは、ファースト作に比べるとやや落ち着いたものとなっている。特に前半(LP時代のA面に当たる1.~5.)は、フォーク・シンガーとしての彼の持ち味がより前面に出ている曲が目立つに思う。その一方、後半(B面)を中心にして、フォークの枠を飛び出た演奏も多く含まれ、朗らかだったりノスタルジックだったりする楽曲が並ぶ。 本盤のいちばんの注目曲と言えば、1.「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター」だろう。パーカッションを効かせつつも淡々としたバックの演奏で、静かにかつ熱く語りかけるようなパフォーマンスは、本盤収録曲の中でもベストだと思う。そして、何よりも、この曲はいろんなアーティストによってカバーされていくスタンダードとなった。本盤リリースの前年には、ボビー・ダーリンがこの曲を歌って全米8位のヒットとなり、その後もジョーン・バエズ、フォー・トップス、ジョニー・キャッシュらがヒットさせたほか、ロバート・プラントやボブ・シーガーなんかもこの曲をカバーしている。 他の気になる曲もいくつかだけ挙げておこう。4.「レディ・ケイム・フロム・ボルティモア」はソフトタッチのフォーク調のラヴソングで、さらりとした歌い口がいい。6.「ザ・グレイス・オブ・リヴィング」は、フォークから万人に聴きやすい音楽へという、当時の彼の試行錯誤が感じられる。10.「ハンク・ウィリアムスに捧ぐ」は、文字通りカントリー歌手のハンク・ウィリアムズへのトリビュート。この人物の短い生涯について歌われていて、このカントリー・シンガーの各方面への影響(フォーク、ロックなどの様々なアーティストに影響を与えた)の一端を見ることができる。[収録曲]1. If I Were a Carpenter2. Red Balloon3. Black Sheep Boy4. The Lady Came from Baltimore5. Baby Close Its Eyes6. You Upset the Grace of Living When You Lie7. Speak Like a Child8. See Where You Are and Get Out9. It's Hard to Believe in Love for Long10. Tribute to Hank Williams1967年リリース。 ティム・ハーディン2 [ ティム・ハーディン ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月11日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-L)へ → つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありが たいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2022年07月06日
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作曲家として、歌い手として、円熟の余裕盤 ビクトル・マヌエル(Víctor Manuel, 本名ビクトル・マヌエル・サン・ホセ・サンチェス)は、スペイン人のシンガーソングライター。1969年にデビューし、現在も活動を続けている。 そんな彼の代表曲ともいえるナンバーは1970年代にいくつも発表されているが、その一方で、1990年代後半から2000年代前半のいわば円熟期の諸作(それらは筆者がリアルタイムで経験した諸作でもあったりする)は、彼のキャリアの中でも好盤が相次いで作られた時期でもあると思う。 2001年リリースの『エル・イホ・デル・フェロビアリオ(El hijo del ferroviario)』(“鉄道員の息子”の意)は、ビクトル・マヌエルの生年が1947年なので、50歳代前半のときの作品ということになる。本盤の次作に当たる『ガレージの犬』のところでも述べたように、声と歌のよさだけでなく、アーティストとしての余裕のようなものが本盤からも滲み出ている。 筆者が特にお気に入りの曲は、まず冒頭の1.「ナダ・ヌエボ・バホ・エル・ソル」と表題曲の2.「エル・イホ・デル・フェロビアリオ」。いずれも詩的で懐古的で、以前にも書いたように、ヴォーカルが何よりも惚れ惚れとする魅力的な声なのである。同じように、4.「アイ・マス・デ・ドス・カラス」、7.「ポル・ミ・クルパ」なんかもいい。 アルバム全体を見渡した時、曲ごとのアレンジや演奏の工夫はあるものの、これといって派手な曲やアップテンポの曲があるわけでもなく、どちらかというと淡々と進んでいく感じである。そんな中で好曲が次々にさらりと流れていくと言えばいいだろうか。言い換えれば、繰り返して聴けば聴くほど、細部に気がつき、好きなところが増えていく。そんなタイプの作品と言っていいのかもしれない。 [収録曲]1. Nada nuevo bajo el sol2. El hijo del ferroviario3. Dueña y señora4. Hay más de dos caras5. A la mar fui por naranjas6. No es bueno que el hombre esté solo7. Por mi culpa8. María de las Mareas9. Veinticuatro horas10. Si nos llegaran los niños11. Las vidas de un pantalón12. El hombre sin recuerdos13. Eres una isla14. Ojalá tengas suerte2001年リリース。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月03日
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葛城ユキ、追悼 「ボヘミアン」(1983年)のヒットで知られるシンガーの葛城ユキが亡くなったと報道されました(外部記事リンク)。これまで闘病されていた経緯があったとはいえ、まだ73歳での逝去でした。追悼ということで、既に過去に取り上げた「ボヘミアン」以外のいくつかの曲をお聴きいただきたいと思います。 今月(2022年6月)半ばのステージが最後の場だったとのことですが、そこで歌われたナンバー、「ローズ」です。 さらに、洋楽カバーをもう一つ。「ヒーロー」です。 葛城ユキといえは、ヒット曲「ボヘミアン」ばかりが取り上げられますが、洋楽カバーの歌唱も素晴らしければ、他の曲でも力量を発揮したシンガーでした。個人的好みでのチョイスですが、1981年の「風の彼方に」、そして、1984年発表のアルバム収録曲だった「ブルースはもう聴こえない」をお聴きください。 報道によれば、安らかな最期だったとのこと。どうか安らかに眠らんことをお祈りします。 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年06月29日
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パフォーマンスの高さが如実にわかるライヴ盤 U2(ユー・トゥー)は、アイルランド発のロック・バンドで、グラミー最多受賞の記録でも知られる。1980年にデビューした彼らにも、もちろん、若い頃というものがあった。デビュー後に3作品を発表し、その勢いで初のライヴ・アルバムが発表された。それが、この『ブラッド・レッド・スカイ=四騎=(Under a Blood Red Sky)』というライヴ盤だった。 “アンダー・ア・ブラッド・レッド・スカイ”という表題は、7.「ニュー・イヤーズ・デイ」の詞に出てくるフレーズである。本作では、米コロラド州のレッドロックス野外劇場でのライヴの夕焼けというイメージがあったそうだが、実際には、1983年6月5日の同地は悪天候で、激しい雨の中での演奏となった。そのため、同ライヴの音源は、1.と4.の2曲にとどまり、その分、西ドイツ(当時)でのツアーの音源が多く収録されている。 リリース後、間もなかったサード作『WAR(闘)』の曲を中心に、ファースト作、セカンド作、さらにはこれらに収録されなかったシングル曲が並べられている。U2は、上記のグラミー受賞記録だけでなく、ライヴ・パフォーマンスが高いバンドとしても知られる。別に数や額が多いから素晴らしいというわけではないけれど、過去、複数の年においてコンサート収益1位を記録したり、米国における観客動員数の大きいコンサート(史上1~3位をU2が独占し、いずれも8万人超)を記録したりしている。 実際、本盤の注目箇所は圧倒的なライヴ・パフォーマンスである。筆者の気に入っている演奏を何曲かだけ挙げておきたい。1.「グロリア」は、セカンド作に収められたナンバーだが、このライヴの方を聴いて好きになった曲。3.「アイ・ウィル・フォロー」はファースト作のオープニング・ナンバーだった曲で、セカンド・シングルでもあった彼らの原点みたいな曲だが、この演奏は、彼らのライヴ・パフォーマンスのエッセンスが凝縮されている。“U2ってどんなライヴをするの?”と質問する人がいたら、筆者はきっと“この曲を聴いてみて”と答えることと思う。 後半(LP時代のB面)最初の5.「ブラディ・サンデー」は、言わずと知れた彼らの有名曲の一つ。北アイルランドの“血の日曜日事件”(1972年)を題材とした内容で、このライヴ盤でも聴きどころとなっている。さらに、この曲と同じくサード作からのシングルで、彼らの代表曲として知られる7.「ニュー・イヤーズ・デイ」は本盤のハイライトとも言える。もちろん、彼らはこのアルバムの後も進化を続け、さらなる高みに達するわけだけれど、デビュー数年のこの時点でいかに高いライヴ・パフォーマンスができ上っていたのかが、いま聴いても実感できることと思う。[収録曲]1. Gloria2. 11 O'Clock Tick Tock3. I Will Follow4. Party Girl5. Sunday Bloody Sunday6. The Electric Co7. New Year's Day 8. 401983年リリース。 ブラッド・レッド・スカイ=四騎=/U2[CD]通常盤【返品種別A】 【中古】 ブラッド・レッド・スカイ=四騎=/U2 【中古】afb 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年06月25日
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ファースト作にして時代を先取りしていた名盤 デラニー&ボニー(Delaney & Bonnie)は、アメリカの夫婦デュオである。夫のデラニー・ブラムレットは、妻となるボニーと1960年代後半にロサンゼルスで出会い、結婚。そして夫婦デュオができあがるものの、最初に録音した音源はリリースされなかった(後に『ホーム』としてリリース)。その後、本盤を吹き込み、この『オリジナル・デラニー&ボニー(The Original Delaney & Bonnie & Friends)』でメジャー・デビューを果たした。 本盤の凄さは重層的である。そもそものデュオとしての力量について語るだけでは、まったくもって不十分と言ってもいいだろう。その力量については、ストリングスに携わったアレンジャーが、白人デュオだとは思わなかったというエピソードがあるらしい。白人か黒人かという、現代世界から見たらレイシズムそのもののような「偏見」が当たり前だった時代に、その「偏見」の壁を感じさせない歌唱を見せていたという訳である。しかも大部分の曲は、デラニーあるいはボニーがソングライティングに関わったものだった。 さて、本盤の凄さを語るには、“デラニー&ボニー”の名義にも触れなければならない。ジャケットには“デラニー&ボニー”としか書かれていないものの、実際には“デラニー&ボニー&フレンズ”なのである(裏ジャケには写真入りでその“フレンズ”の内容が記されている)。そして、その“フレンズ(友人たち)”には、レオン・ラッセル(ピアノ、ギター)、ドクター・ジョン(キーボードのほか、4.の曲提供)などの“濃い”メンバーたちがいる。これらの面子の存在もまた、本盤のディープでスリリングな演奏の元になっていることは、忘れてはいけないと思う。 話が何だか抽象的になってしまった。以下、筆者の個人的好みのおすすめ曲をいくつか挙げておきたい。1.「団結しよう(ゲット・アワセルヴズ・トゥギャザー)」は、曲のノリも、ヴォーカルも、印象的なホーンも、ギターワークも文句なしの1曲。2.「いつの日か(サムデイ)」のような、デニーとボラニーのヴォーカルの掛け合いは、このデュオの良さがよくわかるナンバーだと思う。5.「老人(ディア・オールド・マン)」のようなソウルでファンキーなヴォーカルは、“黒人/白人”の垣根を思いっきり越えている。 個人的にお勧めのナンバーとして、6.「もっと愛し続けて(ラヴ・ミー・ア・リトル・ロンガー)」は外せない。本盤の翌年にはデレク&ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』がリリースされているが、ソウルとロックが融合したこのスタイルは、デラニー&ボニーが先に完成した形で提示していたことがわかる。アルバム終盤では、9.「十字架の兵士(ソルジャーズ・オブ・ザ・クロス)」が出色。ボニーのソウルフルなヴォーカルがロック調のフォーマットと完璧なまでに調和しているところが、筆者の気に入っている部分である。[収録曲]1. Get Ourselves Together (団結しよう)2. Someday (いつの日か)3. Ghetto (ゲットー)4. When the Battle Is Over (闘いが終わる時)5. Dirty Old Man (老人)6. Love Me a Little Longer (もっと愛し続けて)7. I Can't Take It Much Longer (堪忍袋の緒が切れた)8. Do Right Woman, Do Right Man (ドゥ・ライト・ウーマン)9. Soldiers of the Cross (十字架の兵士)10. Gift of Love (愛の贈りもの)1969年リリース。 オリジナル・デラニー&ボニー [ オリジナル・デラニー&ボニー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年06月21日
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プレスティッジ期の最後を飾るワンホーン盤 ベスト編集ものを別にすれば、ソニー・クリス(Sonny Criss)の1960年代のプレスティッジ所属期の最後を飾ることになったのが、1969年に録音およびリリースされた『アイル・キャッチ・ザ・サン(I’ll Catch the Sun)』という盤である。彼のスタイルは、基本的には変に時代に流されないハード・バップで、彼ならではの泣きのアルトが特徴である。本盤はそうした傾向を如実に示している作品だと言える。 注目したいのは、リズム・セクションの面子である。とりわけ、ピアノのハンプトン・ホーズとドラムのシェリー・マンの存在感が大きい。前者は、軽快に聴き手を楽しませるピアノが身上で、その特徴は本盤でもしっかり発揮されている。後者は西海岸(ウェスト・コースト)ジャズの代名詞的ドラマーだが、軽快で確かなドラミングがこれまたしっかりと発揮されている。そして、その上を踊るのがソニー・クリスのサクソフォンというわけである。 全編通じて35分程度なので、通して聴いても決して長い時間ではない。その中から、注目したい曲をいくつか挙げておきたい。1.「ドント・レイン・オン・マイ・パレード」は、安定したリズム隊の上でキャッチーなリフをソニー・クリスが奏でるという、ある種わかりやすい展開。これと似たタイプの演奏としては、4.「カリフォルニア・スクリーミン」も収められていて、本盤の主たるイメージを表す部分だと言えると思う。それと同時に、ソニー・クリスがクラシックにかつ朗々と吹くというタイプの演奏も耳につく。その代表例としては、表題曲の6.「アイル・キャッチ・ザ・サン」が挙げられる。 正直なところ、“革新”を求める人たちからすれば、この演奏は、必ずしも魅力的な音楽には見えないかもしれない。けれども、筆者としては、このソニー・クリスのサックスの音そのものが中毒的であるのとともに、敢えて自身のスタイルを無理してまで時代に合わせる必要を感じていない頑なさにも妙に共感してしまったりするのである。[収録曲]1. Don't Rain on My Parade2. Blue Sunset3. I Thought About You4. California Screamin'5. Cry Me a River6. I'll Catch the Sun[パーソネル、録音]Sonny Criss (as), Hampton Hawes (p), Monty Budwig (b), Shelly Manne (ds)1969年1月20日録音。 【輸入盤CD】Sonny Criss / I'll Catch The Sun 【中古】 BEST VALUE 1500::アイル・キャッチ・ザ・サン! /ソニー・クリス(as),ハンプトン・ホーズ(p),モンティ・バドウィッグ(b),シェリー 【中古】afb 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年06月17日
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クラリネットの名手による実力発揮の一枚 クラリネットという楽器は、ビッグ・バンドにおいては花形だったが、モダン・ジャズの発展の歴史の中でマイナー楽器へと追いやられてしまった。そんな時代の変化の中、ジャズ音楽の変化にもかかわらず見事にクラリネットを操った名手がバディ・デフランコ(Buddy DeFranco)であった。 バディ・デフランコは、1923年ニュージャージー州生まれで、2014年末に91歳で亡くなっている。当初、彼はビッグ・バンドでの演奏で活動し、1945年にはダウンビート誌の人気投票でクラリネット部門の1位にも選ばれている。やがて、1950年代に入る頃からは自身のバンドで活動するようになり、1953年には拠点も西海岸へと移すことになる。当初はアート・ブレイキーをドラム、ケニー・ドリューをピアノにしていたが、やがてケニー・ドリューの後を引き継いだソニー・クラークをピアニストとしていくつも吹込みを残した。そうした時期の1955年、クインテットで録音されたのが、この『クッキング・ザ・ブルース(Cooking The Blues)』である。 表題の通り、ブルース曲を取り上げた、もしくは、(モダン・ジャズ的な意味での)ブルージーな演奏を披露している盤と言えるが、メンバーを見るととりわけ2月になる点がある。一つは、ピアノがソニー・クラークという点。別に、その前のケニー・ドリューが悪かったとかいうわけでも何でもないけれども、このモダン・ジャズ然とした演奏において、ソニー・クラークが果たしている役割は大きいと思う。それから、もう一つは、ギターを含めたクインテットになっている点。タル・ファーロウのギターは随所で前面に出てきていて、この盤のカラーを大きく色づけている。 お勧めのナンバーをいくつか挙げておきたい。表題曲の2.「クッキング・ザ・ブルース」は、上で述べたソニー・クラークのピアノも、タル・ファーロウのギターもきわめて快調である。メイン・ディッシュと言えるデフランコのクラリネット演奏で最も際立っていると思うのは、3.「スターダスト」。モダン・ジャズの語法の中で、クラリネットもまた、トランペットやサックスと同じように機能することを身をもって示した演奏だと思う。 あともう一つ挙げるとすると、4.「ハウ・アバウト・ユー」。ソニー・クラークのピアノも、タル・ファーロウのギターも、そしてバディ・デフランコのクラリネットも、見事にモダン・ジャズとして調和している。たまたま筆者がそうだったからかもしれないが、クラリネット・ジャズの入口としても、本盤は好適盤と言えるように思ったりする次第である。[収録曲]1. I Can’t Get Started 2. Cooking The Blues 3. Stardust4. How About You5. Little Girl Blue6. Indian Summer[パーソネル・録音]Buddy DeFranco (cl), Sonny Clark (p, org), Tal Farlow (g), Gene Wright (b), Bobby White (ds)1955年8月26日録音。 [枚数限定][限定盤]クッキング・ザ・ブルース/バディ・デフランコ・クインテット[CD]【返品種別A】 クッキング・ザ・ブルース [ バディ・デフランコ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年06月14日
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2022年06月11日
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個人的には後になってから味を噛みしめた盤 1990年、トム・ウェイツ(Tom Waits)が音楽を担当したミュージカル(『ブラック・ライダー』)がハンブルクで初演を迎えた。このミュージカルは、その後、パリをはじめ、様々な場所で上演されたということなのだが、少し遅れて1993年に、同ミュージカルで用いられた楽曲を新たにスタジオで録音したアルバム、『ブラック・ライダー(The Black Rider)』がトム・ウェイツの作品としてリリースされた。 正直、リリース当時、どういったわけか筆者はあまりこの盤には魅かれなかった。平たく言ってしまえば、聴き手側が作品に追い付いていなかったということなのだろう(1曲目の叫び声が強烈だったせいもあるのだろうけれど)。今となっては何とももったいない話ではあるのだが、いろんな音楽を聴いていると、こういうことは時として起こり得る。それなりの年齢になってからそんな風に思えるようになった。 さて、時とともに味を噛みしめるようになった本盤収録の曲のいくつかを見ておきたい。表題曲の2.「ブラック・ライダー」のように、ミュージカルの場面をそのまま切り取ったかのような楽曲が複数見られる。他方、3.「ノーヴェンバー」のように、語り部としてのトム・ウェイツらしい曲も収録されている。その両方の特色を持ち合わせたかのような、9.「ザ・ブライアー・アンド・ローズ」のような曲もある。ミュージカルが元になっていることを強く感じさせるインスト曲の10.「ロシアン・ダンス」や11.「ゴスペル・トレイン」があるが、その直後に聴き手の心に染みわたる12.「アイル・シュート・ザ・ムーン」というのが実にいい。なお、このパターンの展開は、インスト曲の17.「オイリー・ナイト」から18.「ラッキー・デイ」の流れにも見られる。ラストが20.「カーニヴァル」というインストルメンタル・ナンバーで終わるのも、ミュージカル・ベースのアルバムならではなのかもしれないが、ミュージカルを知らなくとも、壮大なストーリー展開の世界に引きずり込まれるような気がする。 こんなことを書きつつ、やっぱりその当時、30年近く前の筆者には、その良さがわからなかったのかな、とちょっと思ってしまったりする。ともあれ、年齢関係なく、成熟したリスナーが聴けば、きっとこの盤の良さがわかってもらえるのではないかと考えたりするのだけれど…。[収録曲]1. Lucky Day Overture2. The Black Rider3. November4. Just the Right Bullets5. Black Box Theme6. 'T' Ain't No Sin7. Flash Pan Hunter/Intro8. That's the Way9. The Briar and the Rose10. Russian Dance11. Gospel Train/Orchestra12. I'll Shoot the Moon13. Flash Pan Hunter14. Crossroads15. Gospel Train16. Interlude17. Oily Night18. Lucky Day19. The Last Rose of Summer20. Carnival1993年リリース。 輸入盤 TOM WAITS / BLACK RIDER [CD] 【輸入盤CD】TOM WAITS / BLACK RIDER 【中古】 ブラック・ライダー/トム・ウェイツ 【中古】afb 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年06月07日
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貫禄が増したグラミー受賞作 ソエー(Zoé)は、メキシコのクエルナバカ(モレーロス州の州都)で結成されたオルタナティヴ・ロック・バンド。レオン・ラレーギ(León Larregui)を中心メンバーとする5人組で、メキシカン・ロック独特のリズム感に加え、スペース・ロックやサイケデリック・ロックといった幻想的なサウンドの影響の強い音楽が彼らの特徴の一つとなっている。2001年のデビュー盤から6枚目のスタジオ作となったのが、2018年リリースの本盤『アストラン(Aztlán)』である。 表題の“アストラン”というのは、メキシコ人の祖先である古代アステカの人たちの遥かなる故郷の地の名前。表題曲は7曲目に収録されているが、この曲に限らず、アルバム全体を通じて、幻想的な独自世界が表現されている。なおかつ、これ以前のアルバムと比較すると、落ち着きが増したというか、貫禄がついたというか、とにかく安定感が感じられる。 お気に入りのナンバーをいくつか挙げておきたい。冒頭の1.「ベヌス」、2.「アスル」は、本作中で最良の出来のナンバーの一つ。特に後者の憂鬱さを帯びつつ厚みのあるトーンが個人的にはお気に入り。 他の曲をもう少し挙げると、3.「ノ・アイ・マル・ケ・ドゥレ」は、ソエーらしさが全開と言えそうな演奏内容。表題曲7.「アストラン」は上述の通りの着想の曲で、特に幻想的なナンバーの一つ。10.「エジャ・エス・マヒア」は力強いリズムが特徴で、幻想性とリズムの組み合わせの妙が気に入っている。この曲から11.「オロペル」と12.「クラリビダー」にいたるアルバム終盤の展開(10.、11.と畳みかけるように進行し、12.で少しテンポを落として彼らの世界観をくまなく発揮)も筆者的には本盤の気に入っている部分だったりする。 繰り返しになるが、全体としてソエーらしさが安定的に発揮されている好盤で、お気に入りかつお薦めのアルバムである。2019年のグラミーで、ベスト・ラテン・ロック(アーバン/オルタナ・アルバム)を受賞したのも頷ける充実した内容の一枚だと言える。[収録曲]1. Venus2. Azul3. No hay mal que no dure4. Al final5. Hielo6. Luci7. Aztlán8. Temor y temblor9. Renacer10. Ella es magia11. Oropel12. Clarividad2018年リリース。 ↓LP盤です↓ 【輸入盤LPレコード】Zoe / Aztlan【LP2019/2/1発売】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年06月02日
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目立たない人物による目立たない好盤 ボブ・ニューワース(Bob Neuwirth)は、1939年生まれのアメリカ人シンガーソングライター。1960年代のフォーク・シーンのつながりでボブ・ディランと親交を持ち、『追憶のハイウェイ61』のジャケ写(ダニエル・クレイマーによる写真)で、ディランの背後に下半身だけ写っているのは、実はニューワースだとのこと。 そんな彼は、1970年代に入り、セルフ・タイトルのソロ盤となる『ボブ・ニューワース(Bob Neuwirth)』をリリースした。とはいえ、この作品は世間の大きな注目を集めることもなく、彼はこの1枚だけで表舞台からは姿を消してしまった(とはいうものの、本盤発表後には、ディランのローリング・サンダー・レヴューに参加したり、長い間を経て1980年代後半以降に何枚かのアルバムを発表したりはしている)。 このようなわけで、余程のマニアにしか認知されていないアーティストなわけだけれど、本盤に参加したゲストの面々を見れば、その交流の幅広さがうかがえる。リタ・クーリッジ、ブッカー・T・ジョーンズ、ドニー・フリッツ、ジェフ・バクスター、ジェフ・マルダー、クリス・ヒルマン、ダスティ・スプリングフィールド…と、豪華すぎるメンバーが並ぶ。ゲストが豪華なら素晴らしいというわけではないにせよ、どれだけ顔が広く、有名ミュージシャンのサポートを受けたのだろうという名が連なる。 そして、何よりも本盤の内容。一言にすると、なぜこれが聴衆に受けなかったのだろうと訝しく思ってしまう。時にいい具合に“ディラン”していて、カントリー・テイストもあれば、ジャグバンド風の雰囲気もある。なおかつ、泥臭さが随所に漂う演奏とヴォーカルで、しかも収録曲の過半が自作曲。カバー曲のセンスもよい。一言でいうと、1970年代前半時点でのアメリカ音楽のエッセンスを南部的な雰囲気の中で見事に写し出した一枚と言ってもいいのではないだろうか。 筆者の気に入っているナンバーをいくつか挙げておきたい。2.「キッス・マネー」は、適度なトラディショナル・テイストにディラン風の語り口がいい。カナダのシンガーソングライターであるマレイ・マクロクランのペンによる4.「本キー・レッド」は、米国南部風のジャム的雰囲気が気に入っている。7.「ロックン・ロール・ライダー」は、ザ・バンドに通ずるようなナンバーで、筆者的には、リヴォン・ヘルムとのダブル・ヴォーカルでやる姿を見てみたかったなどと考えてしまう。8.「ウィ・ハド・イット・オール」は、ドニー・フリッツのナンバーで、本盤と同じ年にリリースされたソロ作でも取り上げられた曲。そもそも曲がいいと言ってしまえばそれまでだけれど、ニューワースによる染み入る歌唱もなかなかのもので、本盤の聴きどころだと思う。 すっかり長文になってしまったが、結論として一言。ボブ・ニューワースのこのソロ作が大したセールスも上げず、マイナー盤となったことは、謎でもあり、もったいなくもある。1990年代末以降、CDでリイシューされてせっかく聴けるようになったのだから、もっともっと聴き継がれていってほしい作品だと強く思う。[収録曲]1. Rock & Roll Time2. Kiss Money3. Just Because I'm Here (Don't Mean I'm Home)4. Honky Red5. Hero6. Legend in My Time7. Rock & Roll Rider8. We Had It All9. Country Livin'10. Cowboys & Indians11. Mercedes Benz1974年リリース。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月29日
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多彩なゲストを迎え、シンガーとしての前進と安定を示した盤 ギターの神童と言われたエリック・クラプトン(Eric Clapton)は、1970年にソロ・デビュー盤をリリースして以降、長い目で見ると、徐々にシンガーとしての立ち位置を強めていった。かつての前のめりなギター演奏のイメージとは大きく異なり、“レイド・バック”や、レゲエを取り込んだ点などは、それが表面化した現象だったと言えるように思う。1976年発表の本盤『ノー・リーズン・トゥ・クライ(No Reason to Cry)』は、後世から見れば、そうした形でクラプトンがシンガーとしての存在感を強めていった流れの中で理解できる盤なのではないかというふうに思ったりする。 1970年に最初のソロ作(その後にデレク・アンド・ザ・ドミノスの活動が挟まる)の後、1974年の『461オーシャン・ブールヴァード』からはソロ活動に本腰を入れ、翌年に『安息の地を求めて』、そして(間にライヴ盤のリリースを挟むものの)、その次の年に当たる1976年にリリースされたのがこの盤という流れであった。さらに次の年には『スローハンド』が発表されるのだけれど、ここで述べた期間というのは、筆者個人が特別に気に入っているクラプトンの活動期だったりする。 さて、今回の『ノー・リーズン・トゥ・クライ』である。もはやお手のものとなったレイド・バック的なナンバーをいくつも含み、随所でブルースやギターの聴きどころを設けていて、作品としてのバランスが取れている。それに加え、シンガーとしての成長というか安定感がついてきたという印象が強い。さらに、ゲストの多彩さも目を引く。ザ・バンドのメンバーは5人全員が参加しているのに加え、ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズのロン・ウッド、ジェシ・エド・デイヴィス、ビリー・プレストンなどといった超豪華なサポート陣である。 いくつかの曲に目を向けておきたい。いかにもレイド・バックの魅力やヴォーカリストとしての安定感を感じさせるナンバーとしては、2.「カーニヴァル」や10.「ブラック・サマー・レイン」が筆者的にはお勧めである。豪華なゲストに注目したい曲も2つほど挙げておきたい。ヴォーカルでボブ・ディラン、ザ・バンドのリック・ダンコが参加している曲があり、前者は、3.「サイン・ランゲージ」(日本盤表記では「サイン・ラングウィッヂ」)、後者は、5.「オール・アワ・パスト・タイムズ」でそれぞれエリック・クラプトンとともにヴォーカルを担っている。この3.のディランとの共演は本盤での大きな聴きどころと言っていいように思う。 また、クラプトン作品に頻繁に登場するマーシー・レヴィ(マルセラ・デトロイト)のヴォーカルが複数の曲で利いていて、しかもリード・ヴォーカルをとっているナンバー(8.)も見られる。最後に、ブルースで聴かせるナンバーが適度に配されているのも、本盤が聴き手を飽きさせないものになっている理由の一つだと言える。アルフレッド・フィールズの4.「カウンティ・ジェイル・ブルース」やオーティス・ラッシュの7.「ダブル・トラブル」といったナンバーがこれに当たる。無論、ギターの神様を求める聴き手からは、もっとギターを聴かせてもらいたいと注文がつきそうではあるのだけれど、個人的にはこれでいいのだと思ってみたりもする。[収録曲]1. Beautiful Thing2. Carnival3. Sign Language4. County Jail Blues5. All Our Past Times6. Hello Old Friend7. Double Trouble8. Innocent Times9. Hungry10. Black Summer Rain11. Last Night(CD追加曲)1976年リリース。 ノー・リーズン・トゥ・クライ [ エリック・クラプトン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月24日
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ストーンズ絶頂期、自前レーベルからの1枚目 ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の絶頂期は、『ベガーズ・バンケット』(1968年)から『メイン・ストリートのならず者』(1972年)と言われたりする。これら2枚のアルバムの間に発表された作品の中には、『レット・イット・ブリード』と今回取り上げる『スティッキー・フィンガーズ(Sticky Fingers)』が含まれる。これら4作に『アフターマス』(1966年)を加えると、ストーンズの最高作5つということになるというのが、筆者の個人的な見たてである。 絶頂期のまま1970年代に突入したストーンズは、デッカとの契約を終了し、自前のレーベル(ローリング・ストーンズ・レコード)から最初のスタジオ作となるこの『スティッキー・フィンガーズ』をリリースした。全体としては、これまでのサウンドを押し進め、スワンプ・ロックあるいはサザン・ロック的な要素をより多く盛り込んだ作風になっている。セールス面では、見事に全米・全英ともに1位を記録した。 本盤に収録された中で最も有名で人気曲と言えば、1.「ブラウン・シュガー」だろう。先行シングルとしてリリースされ、シングル・チャートでは、イギリスで2位、アメリカで1位を記録した。一方、筆者にとって本盤のベスト曲は2.「スウェイ」。アメリカでシングル発売された3.「ワイルド・ホース」(これもたしかに好曲)のB面曲でもあったが、ややおとなしいこの曲を食ってしまうほどの渋さと迫力が同居するナンバーだと思う。 8.「シスター・モーフィン」は、ミック・ジャガーが恋人のマリアンヌ・フェイスフルのためにプロデュースしたが、発禁処分となり、ストーンズの前作(『レット・イット・ブリード』)への収録も見送られていた。そんな曲の初出というわけだが、表題の“モーフィン”はモルヒネの意味。歌詞も“シスター・モルヒネ”に“カズン・コカイン”というのは、確かにヤバイ曲とされてもやむを得ないというところだろう。9.「デッド・フラワーズ」もなかなか気に入っている曲なのだが、最後に、10.「ムーンライト・マイル」の方について触れておきたい。本作の中でいちばん最後にできあがった曲で、キース・リチャーズ作の「ジャパニーズ・シング(日本の事柄)」という仮題の曲を元にミック・ジャガーとミック・テイラーが徹夜のセッションで仕上げたという。旅の道中であるという雰囲気は分かるが、日本らしいかというと確かにそんなことはないので、表題がこのように落ち着いたということだろうか。[収録曲]1. Brown Sugar 2. Sway3. Wild Horses4. Can't You Hear Me Knocking5. You Gotta Move6. Bitch7. I Got the Blues8. Sister Morphine 9. Dead Flowers 10. Moonlight Mile 1971年リリース。 スティッキー・フィンガーズ [ ザ・ローリング・ストーンズ ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年05月20日
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1980年代の活動の集大成的な秀逸ライヴ盤 トム・ウェイツ(Tom Waits)は、1973年のデビュー以来、アサイラム・レコードと契約していたが、1980年代に入って、実験的な音作りを実践しようとレーベルを移籍し、アイランド・レコード所属となった。アイランドでは、いわゆる三部作(『ソードフィッシュトロンボーン』、『レイン・ドッグ』、『フランクス・ワイルド・イヤーズ』)などを吹き込んだが、ちょうどこの時期に相当する1980年代の活動の集大成的なライヴ・アルバムとなったのが、1988年の本盤『ビッグ・タイム(Big Time)』であり、同名のドキュメンタリー映画も制作された。 本作は、トム・ウェイツのライヴ盤としては2作目ということにはなるのだけれど、最初のライヴ盤『娼婦たちの晩餐』は、スタジオに観客を入れてのライヴ演奏という変則的なライヴ盤だった。そのため、本当の意味でのライヴ演奏盤は、本作が初ということになる。収録された音源は、『フランクス・ワイルド・イヤーズ』のリリースに伴う、ヨーロッパとアメリカでのツアーのもので、1987年のロサンゼルスやダブリン、ベルリン、ストックホルムなどでのライヴ・テイクである。 本盤を一言で表すならば、“とにかく圧倒的”である。1980年代当時のトム・ウェイツの勢いや制作意欲がそのままライヴで再現されている。アルバム作品で、ある種の統一感やコンセプトのある演奏を聴くのもいいのだけれど、本盤はもう少し広範囲にこの時期の彼の到達点とういか立ち位置をそのままストレートにライヴで表現していて、そしてその出来が秀逸というものである。 全編をあたかも一つのライヴのように効くのがお勧めではあるが、敢えて聴きどころと言えそうな曲をいくつかピックアップしてみたい。1.「シックスティーン・シェルズ」は、“こんばんは(Good Evening)”という掛け声から始まり、ライヴの開始を告げる好演奏。奇をてらった演奏の一方で、案外じっくり聴かせる演奏があるというのも本盤のよさで、そういう意味では、4.「コールド・コールド・グラウンド」なんかは、推奨曲と言える。同じく“聴かせる”ナンバーとしては、8.「フォーリン・ダウン」も個人的には好みである。 本盤が素晴らしいと思う点として、アルバムを通して聴いたとき、後半から終盤に向けて盛り上がりが高まっていく点だと感じる。無論、複数のライヴ会場の音源を組み合わせているので、実際のライヴ会場の盛り上がりとは異なるはずなのだけれど、そういう雰囲気がきちんと感じられる。11.「レイン・ドッグ」、12.「トレイン・ソング」(これは何とも言えないトム・ウェイツの名曲の一つ)、13.「イリノイ州ジョーンズバーグの町の歌」あたりの流れは、本当にライヴに居合わせているかのような気分を味あわせてくれる。15.「イスタンブールからの電話」や16.「クラップ・ハンズ」の盛り上がりがあった後、最終的に名バラードの18.「タイム」で全体を締めくくる(ちゃんと最後に“サンキュー、グッド・ナイト”と挨拶をしている)というのも、ライヴ感たっぷりと言える。 今となって振り返れば、1980年代のトム・ウェイツは実に充実していた。そして、その充実ぶりをリアルに感じさせてくれるのが、このライヴ盤『ビッグ・タイム』だと言えるように思う。[収録曲]1. 16 Shells from a 30.062. Red Shoes3. Underground4. Cold Cold Ground5. Straight to the Top6. Yesterday Is Here7. Way Down in the Hole8. Falling Down9. Strange Weather10. Big Black Mariah11. Rain Dogs12. Train Song13. Johnsburg, Illinois14. Ruby's Arms15. Telephone Call from Istanbul16. Clap Hands17. Gun Street Girl18. Time1988年リリース。 [枚数限定][限定盤]ビッグ・タイム/トム・ウェイツ[SHM-CD][紙ジャケット]【返品種別A】 【国内盤CD】トム・ウェイツ / ビッグ・タイム ビッグ・タイム [ トム・ウェイツ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月16日
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2022年05月12日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その10) 第12弾となった80年代曲選も、ひとまずこれで締めです。最後は、ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)の1986年のシングル曲、「ドント・ギヴ・アップ(Don’t Give Up)」です。同じく英国出身のケイト・ブッシュ(Kate Bush)とのデュエット曲で、イギリスのチャートで9位(全米では72位)を記録しました。 動きやインパクトのあるビデオが多かった時代に、ひたすら抱き合ったままの二人が歌うミュージックビデオ…。筆者としては、これはなかなか印象的でした。 そんなこともあって、筆者の中では上のビデオ映像がデフォルトなのですが、これには2つ目のビデオ・ヴァージョンというのもあって、それが以下のものです。 ところで、デュエット曲という性質上、ライヴでやる時に同じメンツで簡単にはできないという問題があります。実際、ピーター・ガブリエルも、ライヴの場面では、いろんなアーティストをゲストに迎えてこの曲をデュエットしています。そんな中、なかなかいい出来になっていると思ったのがこのライヴでの歌唱です。ポーラ・コール(Paula Cole)とのデュエットをご覧ください。 [収録アルバム]Peter Gabriel / So(1986年) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年05月09日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その9) サバイバー(サヴァイヴァー、Survivor)は、「アイ・オブ・ザ・タイガー」(1982年)などのヒットで知られるロック・バンドですが、1983年にヴォーカリストが交代しています。当初のヴォーカリストだったデイヴ・ビックラーが喉を壊してしまったためで、ジミ・ジェイミソンが後任となるわけですが、この新ヴォーカリストのもとでも「バーニング・ハート」(1985年)のようなヒット曲を生み出していくことになりました。 今回の曲は、ジミがヴォーカルだった頃、「バーニング・ハート」の少し後に全米8位となった「イズ・ディス・ラヴ」というナンバーです。まずは、ミュージックビデオの映像をどうぞ。 このジミのヴォーカルは勢いと迫力があって、筆者的にはとても好みです。2014年、63歳の誕生日を前にして、脳卒中で亡くなっているのが残念でなりません。 さて、もう一つは、そのジミの姿が堪能できるビデオです。この曲のヒット当時の、日本のテレビでの映像です。 映画『ロッキー』に絡んだヒットを飛ばし、産業ロック的な印象も強いサバイバーですが、やはり過小評価は禁物…なんて思い直してみたりする次第です。[収録アルバム]Survivor / When Seconds Count(1986年) 【輸入盤CD】Survivor / Best of Survivor (サヴァイヴァー) 【輸入盤CD】Survivor / Ultimate Survivor (サヴァイヴァー) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月08日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その8) 1980年代、アイドル的大人気を誇ったイギリスのデュオといえば、ワム!(Wham!)でした。1982年に「ワム・ラップ! (楽しんでるかい?)」でデビューし、1986年の解散までのわずか数年の間に次々とヒットを飛ばしました。 今回取り上げるのは、1985年のシングル曲、「フリーダム(Freedom)」です。全英1位、全米3位の大ヒットを記録しました。 今とは全然違う情景の、在りし日の中国の様子(自転車で溢れているイメージも懐かしい!)がビデオの中に織り込まれていますが、ワム!はこの1985年に西洋のポップ・グループとしては初となる中国公演を実現しています。天安門事件(1989年)が起きる以前の話です。 続いては、この曲の“ロング・ヴァージョン”なるものをお聴きいただこうと思います。この頃は、12インチ・シングル(LP盤と同サイズだけれども、回転数は45r.p.m.で、アルバムと違って数曲しか収録されない)も盛んで、シングル曲の別ミックスなどが作られていました。7分越えの「フリーダム」です。 [収録アルバム]Wham! / Make It Big(1984年) メイク・イット・ビッグ [ ワム! ] 【輸入盤CD】Wham! / Make It Big (ワム) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年05月05日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その7) 1980年代前半に人気を博したゴーゴーズのメンバーで、解散後にソロとして活躍したベリンダ・カーライル(Belinda Carlisle)。そんな彼女のヒット曲と言えば、「ヘヴン・イズ・ア・プレイス・オン・アース」という人も多いことでしょうが、今回は、これが収録されているのと同じアルバム(『ヘヴン・オン・アース』)からの別のナンバーです。 同盤からは「アイ・ゲット・ウィーク」というシングルもヒットしましたが、今回取り上げる「ワールド・ウィズアウト・ユー(World Without You)」というナンバーは、アメリカではシングル発売されず、UKチャートで34位になったという、ややマイナーなナンバーです。 上で“マイナーな”とは書きましたが、筆者の中ではアルバムを最初に聴いたときから、大ヒットの「ヘヴン~」と並んでいい曲だなあ、なんて思っていたナンバーです。 ライヴ・ステージでのこの曲もご覧ください。1990年なので、曲およびアルバムの発表から数年後の映像ということになります。 [収録アルバム]Belinda Carlisle / Heaven On Earth(1987年) 【中古】輸入洋楽CD BELINDA CARLISLE / Heaven on Earth[輸入盤] 【輸入盤CD】Belinda Carlisle / Greatest (ベリンダ・カーライル) ゴールド [ ベリンダ・カーライル ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月04日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その6) スターシップ(Starship)は、ジェファーソン・エアプレインから分離・派生していったバンドの一つで、当初はジェファーソン・スターシップを名乗っていました(後に法的な係争があって、単にスターシップとなりました)。飛行機(エアプレーン)が宇宙船(スターシップ)に変化し、やがてメンバーも変化して、という感じですが、彼らが1980年代半ばに発表したヒット作『フープラ』からのナンバーです。 このアルバム収められたヒット曲というと、「シスコはロック・シティ」が有名ですが、もう一つのヒット・シングル「セーラ(Sara)」も同じく全米1位のヒットを記録しています。「シスコはロック・シティ」も好曲ですが、その当時、筆者的には、どちらかというと、この「セーラ」の方がよりお気に入りでした。 さて、ライヴの映像を2つほど追加でご覧いただこうと思います。一つめは、発表から10年ほどを経た1996年のステージの様子です。もう一つの方は、2007年のライヴの模様です。後者はミッキー・トーマスの年齢(60歳手前ぐらいでしょうか)を考えると驚きの声ののびだという風に感じます。 [収録アルバム]Starship / Knee Deep In The Hoopla(フープラ)(1985年) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年05月02日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その5) 今回は、ヴァン・ヘイレン(Van Halen)の曲を取り上げたいと思います。1988年の「ホエン・イッツ・ラヴ(When It's Love)」というナンバーで、アルバム『OU812』(読み方は、“オー・ユー・エイト・ワン・トゥー”)からのシングル曲でした。 1988年のナンバーですので、デイヴィッド・リー・ロスがバンドを脱退し、その危機を乗り越えてバンドが成長し続けた時期、サミー・ヘイガーがヴォーカルを務めたいた時代の曲です。全米チャートで最高位5位とヒットし、ハード・ロック・バンドによるいかにもバラード系の曲だったわけですが、そういう商業主義的(?)な批判を横に置けば、やっぱり名曲に数えられんじゃないかと未だに思う次第です。 往時のライヴでのステージの雄姿もご覧ください。1990年代初頭のものです。サミー・ヘイガー色が全開で、デイヴのファンには異論があるかもしれませんが、ヴォーカリストの脱退を経たバンドが途切れることなくトップに居続けられたのは、紛れもなくこの人の功績と言っていいように思います。今ではもう見ることのできない、エディの姿と共にご覧ください。 [収録アルバム]Van Halen / OU812(1988年) 【輸入盤】Ou812 [ Van Halen ] 【売り尽くし】OU 812【CD、音楽 中古 CD】メール便可 ケース無:: レンタル落ち 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2022年04月30日
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2022年04月28日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その4) カッティング・クルー(Cutting Crew)は、イギリスで結成され、1986年にデビューしたロック・バンドです。ファースト・シングルの「愛に抱かれた夜(アイ・ジャスト・ダイド・イン・ユア・アームズ・トゥナイト)」は、アメリカをはじめ4か国でチャート1位という大ヒットを記録し、一躍人気を獲得しました。今回ここで取り上げるのは、同じデビュー盤の収録曲の中からサード・シングルとしてカットされた「モッキンバード(One for the Mockingbird)」というナンバーです。 チャート的には全米38位、全英52位という結果で、ヒット曲というわけではなかったのですが、筆者は当時からなかなか気に入っていた曲でした。「愛に抱かれた~」のあの雰囲気も独特でいいのですが、ロック・バンドらしい疾走感と勢いが何よりもお見事です。そして、適度なキャッチーさも兼ね備えています。 もう1本の映像は、その当時のライヴの様子です。今からだと30年以上も前の映像ということになりますが、メンバーがとにかく若いですね。 [収録アルバム]Cutting Crew / Broadcast(愛に抱かれた夜/旧邦題:ブロードキャスト)(1986年) 【輸入盤CD】Cutting Crew / Broadcast (カッティング・クルー) カッティング・クルー / ブロードキャスト [CD] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年04月27日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その3) アーケイディア(Arcadia)は、デュラン・デュランの一部メンバー(サイモン・ル・ボン、ニック・ローズ、ロジャー・テイラー)による、サイドユニット的な活動をしたバンド。1985年に『情熱の赤い薔薇』というアルバムを残しましたが、今回のナンバーは、そこからのシングル曲です。 「ザ・プロミス(The Promise)」は、上記アルバムからの3枚目(「グッバイ・イズ・フォーエヴァー」はアメリカのみだったので、イギリスでは2枚目)のシングル曲です。最初のシングルだった「エレクション・デイ」のようなヒットにはなりませんでしたが、個人的には「グッバイ・イズ~」とこの「ザ・プロミス」の方がお気に入りでした。 ちなみに、この曲のクレジットには記されていないようですが、バッキング・ヴォーカルでスティングが参加したことが知られています。 さて、この曲のライヴ映像をと思って探してみたのですが、見つかりませんでした。とはいえ、1986年のテレビ番組出演時と思われる映像がありましたので、ともあれ、彼らの若き日の姿をご覧ください。 [収録アルバム]Arcadia / So Red The Rose(情熱の赤い薔薇)(1985年) ↓プレミアがついているのでしょうか?↓ 【中古】輸入洋楽CD ARCADIA / So Red The Rose : Special Edition[輸入盤] ↓こちらはLP盤↓ 【中古レコード】アーケディア/情熱の赤い薔薇[LPレコード 12inch] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月25日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その2) 1980年代アメリカを代表するアーティストとして、前回のビリー・ジョエルとくれば、今回はこの人です。ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)の大ヒットしたアルバム『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』からのシングル曲、「カヴァー・ミー(Cover Me)」をお聴きください。 1984年のヒット曲で、上記アルバムからのセカンド・シングルとして、全米(ビルボード)7位を記録しています。筆者の個人的な話で恐縮ですが、そういえば、4ヴァージョンが入った12インチ・シングルのレコード盤なんてのも当時聴いていた覚えがあり、懐かしいところです。 その往時のライヴの姿をということで、続いては以下のビデオをご覧ください。今の感覚からすると、何とも暑苦しい雰囲気かもしれませんが、1980年代前半、『U.S.A.』ヒット当時の熱気そのまんまといった風情の映像です。 余談ながら、この「カヴァー・ミー」というシングルのB面は、「ジャージー・ガール」という名曲です。トム・ウェイツの曲で、当時はこのシングル曲のB面としてしかリリースされていない、いわば“ウラ名曲”のようなナンバーでした。[収録アルバム]Bruce Springsteen / Born in the U.S.A.(1984年) ボーン・イン・ザ・U.S.A. [ ブルース・スプリングスティーン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年04月22日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その1) 久々に80年代曲選をお届けしたいと思います。2020年3月(新型コロナ感染が広まり始めた頃ですね)以来、およそ2年ぶりの80年代曲選、第12集となります。全10回の予定ですので、よろしくお付き合いください。 最初のナンバーは、ビリー・ジョエル(Billy Joel)の「アップタウン・ガール(Uptown Girl)」です。1983年発表の『イノセント・マン』からの第2弾シングルとしてシングル発売され、全米ビルボード3位のヒットとなりました。 この曲のライヴでの演奏もご覧いただこうと思います。ウクライナ侵略で何かと取り沙汰される昨今のロシアですが、1987年、ビリー・ジョエルが崩壊前のソ連邦で行ったライヴの様子です。 ある種、閉じられた世界だったソヴィエト連邦の国民で、このコンサートで外部世界に触れた当時の若者(当時25歳だったなら今は60歳といった具合ですね)は、今起こっている状況、ロシア国内での情報のあり方に、果たして何を思うのでしょうか。[収録アルバム]Billy Joel / An Innocent Man(1983年) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月20日
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1980年代に向けてバンドの行先の模索 フォガット(Foghat, フォグハット=“霧の帽子”の意)は、1970年代初頭にサヴォイ・ブラウンから分派したバンドで、ブルース・ロックからハード・ブギーへと進む道を切り開いていった。1980年代に入るあたりからは、メンバーの交代や音楽性の模索で停滞期を迎え、挙句の果てには、分裂して双方がフォガットを名乗る事態まで起こった(後に改めて再結成にこぎつけている)。 1980年にリリースされた『タイト・シューズ(Tight Shoes)』は、そんなバンド停滞期の入口での模索を示す盤と言えるように思う。全体としては、その当時、隆盛にあったニューウェーヴへの歩み寄りが顕著である。ジャケットもそのような志向を如実に反映していて、靴(赤いバッシュ)、蛍光色、バンド名は従来のロゴではない表示は、これまでの彼らのジャケットにはなかった趣である。そのようなわけで、コアなファンからは否定的評価も受けてしまうことがある。とはいえ、個人的には、フォガットというバンドの歴史の中でどうかは横においておけば、この当時の音楽シーンの中での単独作品として見れば、なるほどな仕上がりの作品だったと評価できるように思う。 全体的に、ブルース・ロックを控え、ロッド・プライスのギターも抑えめで、デイヴ・ぺヴァレット(ロンサム・デイヴ)中心のポップ・ロック調というのが本盤の中核となっている。曲作りも、ギターソロも意図的にこうした目標を定めた作品を目指しているように見受けられる。曲作りはもともとデイヴが主に担っていたものの、本作では8曲すべてがデイヴのペンによる。ギターに関しては、この音楽的志向はロッド・プライスにとって不満の種となったのだろう(実際、本作をもって彼はバンドを脱退した)。 さて、ポップな収録曲のいくつかに目を向けておきたい。冒頭の1.「ストレンジャー・イン・マイ・ホーム・タウン」は、シングル・カットされたナンバーで、上で述べたような本盤の特徴を如実に示す曲である。バンドが得意とするブギー・ロックを基調としてポップ風なアレンジを加えたと言えそうなナンバーも散見される。3.「フル・タイム・ラヴァ―」はそのよくできた例である。5.「トゥー・レイト・ザ・ヒーロー」もそうした例の一つ。少々奇を衒い過ぎのエフェクトなんかも見られるけれど、なかなかキャッチーに仕上がっている。8.「ノー・ハード・フィーリングス」は、フォガットの作風からするとかなり新傾向と言えそうな曲調のナンバー。デイヴの曲作りのよさが際立っている。[収録曲]1. Stranger in My Home Town2. Loose Ends3. Full Time Lover4. Baby I Can Change Your Mind5. Too Late the Hero6. Dead End Street7. Be My Woman8. No Hard Feelings1980年リリース。 ↓本盤を含む廉価版オリジナル・アルバム集↓ 輸入盤 FOGHAT / ORIGINAL ALBUM SERIES [5CD] ↓LP盤です↓ 【輸入盤LPレコード】Foghat / Tight Shoes(フォガット) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月17日
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2022年04月13日
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現代UKバンドのギタリストによるファースト・ソロ作 ダンカン・ロイド(Duncan Lloyd)は、2000年にマキシモ・パーク(Maxïmo Park)を結成したイギリス出身のギタリスト。マキシモ・パークは、2003年にポール・スミスを迎え、2005年にファースト作を発表し人気を獲得していく。その一方で、ダンカン・ロイドがバンド活動と並行して制作し、2008年にリリースしたソロ・アルバム作品が、この『シーイング・ダブル(Seeing Double)』である。 21世紀に入り、サイケやパンクどころか、オルタナの名で括られたり分類されたりするロックすらも一巡した後の時代。そんな時代的な流れの中で、それがうまく消化され、音に体現されている好盤というのが、このアルバムを最初に聴いたときの、筆者の第一印象だった。実際、彼の中には1990年代のインディー・ロックやガレージ・ロックなどリアルに体験した音楽と、それ以前のロック史の積み重ね(邦盤ライナーによれば、例えばキャプテン・ビーフハートなんかにも触れている)の双方が流れていると言えそうだ。 特に注目したいナンバーをいくつか挙げておきたい。筆者が気に入っているのは、1.「セヴン・レターズ」や4.「ナイトフライ」といった、本盤収録曲の中では“やや地味”なナンバー。表題曲の8.「シーイング・ダブル」もどちらかと言えば、その流れに近いかもしれない。あと、アコギに持ち替えての6.「ヴィクトリー・アンド・サレンダー」と、10.「アナザー・チャンス」は、いずれもシンプルながら聴き手を妙に惹きつける魅力があり、聴けば聴くほどソングライティングのよさに頷いてしまう。 日本盤ではさらに地味な2曲が追加されているが、それらを含めても総収録時間は38分弱。本来の10曲だけなら30分ちょっとなので、一気に聴けてしまう。それでもって、この長さの中に詰まっている曲の密度は、なかなか濃いものだと言えると思う。[収録曲]1. Seven Letters2. Make Our Escape3. Suzee4. Nightfly5. Misfit6. Victory and Surrender7. You Are Partly to Blame8. Seeing Double9. 3 Times Over10. Another Chance~以下、日本盤ボーナス・トラック~11. All Ours (I Guess I’m at a Loss, Part 2)12. Waiting for Thee2008年リリース。 【国内盤CD】ダンカン・ロイド / シーイング・ダブル ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月09日
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成熟の域に達したアコースティック・ライヴの好盤 ハート(Heart)は、1976年にデビューしたバンドで、1980年代にはポップな方向性を盛り込んだりして人気を博した。1995年に発表した『ザ・ロード・ホーム(The Road Home)』は、このバンドの成熟をよく示すライヴ盤だと思う。 1990年代、MTVの“アンプラグド”という企画が一世を風靡した。本ライヴ盤は、その流れの中で出来上がったものだったが、当時の流行とは関係なく、後から聴いても実によくできたライヴ作品になった。 その理由というか背景としては、いくつかのことが指摘できると思うのだけれど、一つは、ハートというバンドのバックグラウンド。周知の通り、レッド・ツェッペリンの影響を強く受けており、アコースティックな演奏というのは、ハートにとって付け焼刃ではなく、体内に消化されたものだと言える。次に、アン・ウィルソンのヴォーカリストとしての成熟も挙げられる。当時のアンはちょうど40歳代半ば辺りで、ヴォーカリストとしての味(それはさらに年齢を重ねて深みを増していった)が成熟の域に達していった頃だった。さらに、彼らが敬愛するレッド・ツェッペリンの元メンバー、ジョン・ポール・ジョーンズが演奏とプロデュースで参加している。これらの要素が組み合わさってのこのライヴ盤の出来栄えという結果になったのだろう。 そのようなわけで、アコースティックな演奏とアンのヴォーカルのよさが存分に楽しめる盤と言えるように思う。本盤所収のお気に入りの演奏を挙げ始めるときりがなくなりそうなのだけれど、いくつか触れておきたい。冒頭の1.「夢見るアニー」、2.「ドッグ・アンド・バタフライ」は、70年代のハートらしくアコースティック向きの好曲。これらの曲の間のMCで“私たちのリヴィング・ルームへようこそ”と聴衆に話しかけているのもいい。80年代のヒット曲である5.「アローン」や6.「ジーズ・ドリームズ」もアコースティック向けのアレンジで、特に前者のヴォーカルはアンの実力発揮のナンバーで、ジョニ・ミッチェルのカバーである12.「リヴァー」と合わせて、ヴォーカルの聴きどころとなっている。 さらに、ロック調のヒット曲である10.「クレイジー・オン・ユー」や13.「バラクーダ」は、元の曲のイメージを保ちながら、アコースティック・ギターでの盛り上がりの演奏を披露している。なお、カバー曲としては、上記12.(ジョニ・ミッチェル)以外に、7.(エヴリブラザーズ)や11.(エルトン・ジョン)も含まれており、“リヴィング・ルーム”感がある。さらに、シークレット・トラックとして、アルバム表題になっている15.「ザ・ロード・ホーム」が収められている。[収録曲]1. Dreamboat Annie (Fantasy Child) 2. Dog and Butterfly 3. (Up on) Cherry Blossom Road4. Back to Avalon5. Alone 6. These Dreams 7. Love Hurts 8. Straight On9. All I Wanna Do Is Make Love to You10. Crazy on You11. Seasons12. River13. Barracuda 14. Dream of the Archer15. The Road Home1995年リリース。 Heart ハート / Road Home(Live) 【CD】 【輸入盤CD】Heart / Road Home (ハート) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月05日
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