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2004年11月09日
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東映という映画会社は時々、すさまじい作品を世に送り出し
てきた。
その時の主流路線からはずれた作品、いわゆる異色作である。
例えば、69年の任侠映画全盛期の
「日本暗殺秘録」という作品は、それに相当する。
同年の「恐怖奇形人間」もその系譜に入るであろうが、これ
は、当時の石井輝男異常性愛路線のひとつとして作られたと
思われるので、ここでは省いておこう。
また、70年代中期の実録路線とトラック野郎が人気のあった

「新幹線大爆破」が作られた。
その後も80年の「二百三高地」など公開当時は「おや!」と
思わせる作品が作られた。

「日本暗殺秘録」は作品自体も出来がよく、千葉真一は、これ
で演技賞を受賞し、数年後の「仁義なき戦い・広島死闘編」に
つながっていき、脚本の笠原和夫作品としても「仁義なき戦い」
への重要な中継点である。
今では東映映画の代名詞的存在の「仁義なき戦い」も企画の
当初は一種の異色作であったし、公開当時もそのような扱われ
方であった。
「新幹線大爆破」は公開当時は興行的には振るわなかったが、

とが出来る。
「二百三高地」も賛否あるものの、その後の戦争大作の道を
開いた。

さて、この数年間の東映の異色大作としては
「北京原人」、

「千年の恋・ひかる源氏物語」
があり、そして現在上映中の「デビルマン」がある。

これらはことごとく失敗作に終っている。作品評価としても
興行としても無残な結果である。
「デビルマン」は、まだ上映中であるが、おそらく
失敗作として興行を終えるであろう。
これらの作品が後年に傑作として再評価されることは、まず
ないであろう。

考えてみれば、これは当然のことである。
「日本暗殺秘録」、「仁義なき戦い」、「新幹線大爆破」など
は、その時点でも主流に対抗しよう、新しい興行の幹を作ろうと
いう熱気の中から生まれたもので、対抗すべき基盤があったので
ある。
一時期は主流となった任侠路線も時代劇に衰退の中から生み出
されたものであることを考えればよくわかる。
80年代後半以降、東映にはその主流や作品製作の基盤がなく
なっているのである。
しかも、製作体制はほとんどが、ともすれば無責任になりがち
な「製作委員会」方式であり、「東映としての個性」はどこに
もない。

こうした中で傑作が生まれる条件は
「作ろうとしている素材やテーマをきちんと理解した優れた
創作者」

「それを支える体制で製作すること」
でしかない。

それができない東映という会社は
「作品を作る会社としての機能もポリシーも」
失った会社である。

「デビルマン」は、なるべくして愚作になった。





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最終更新日  2004年11月09日 13時04分36秒
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