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イスラエルの情報機関モサドがアゼルバイジャンを情報活動の拠点にしているとイギリスのタイムズ紙が報じたのは今年2月。最近ではフォーリン・ポリシー誌が両国の軍事的な結びつきを明らかにした。こうした関係をアメリカの外交当局が注目していることはウィキーリークスが公表した外交文書にも書かれている。イラン国内での暗殺工作はモサドがCIAを装って実行しているともフォーリン・ポリシー誌は伝えている。 こうしたイスラエルの工作が明らかになることに苛立っているひとりがジョン・ボルトン元国連大使。アゼルバイジャンとイスラエルとの関係を暴露することは許されないと息巻いている。イスラエルにとって都合の悪い情報は秘密にしておくべきだというわけだろう。 言うまでもなくボルトンは親イスラエル派の大物で、好戦的な言動で知られている。エール大学で法律を学んだようだが、憲法を無視する法律家集団「フェデラリスト・ソサエティー」とも近い。 この集団は1982年、エール大学、シカゴ大学、ハーバード大学といった有名大学の法学部に所属する「保守的な」学生や法律家によって創設され、潤沢な資金によって大きな影響力を持つようになっている。議会に宣戦布告の権限があるとする憲法などはアナクロニズムだと主張、プライバシー権などを制限、拡大してきた市民権を元に戻し、企業に対する政府の規制を緩和させることを目指してきた。1982年といえばロナルド・レーガン大統領の時代だが、この政権で司法長官を務めたエドウィン・ミースはソサエティのメンバーとして知られている。 1982年には戒厳令計画とも言われているCOGプロジェクトがスタートしている。緊急事態の際、政府機能を存続させるため、憲法を機能停止できるようにすることを目的としていた。その延長線上に愛国者法、そして2012年の国防権限法(NDAA)はある。 NDAAによって、テロリストだというラベルを貼られた人間は裁判所の逮捕令状なしに逮捕され、裁判や弁護士接見も認められず、際限なく勾留されることになった。アメリカ政府の政策を「平和的に抗議する」ことも許されず、支配層と敵対する勢力をインタビューしたジャーナリストもテロリストとして拘束される可能性がある。ボルトンのような考え方の人物がホワイトハウスで主導権を握ったならば、イスラエルにとって都合の悪い事実を伝えることは許されなくなる。 ロナルド・レーガン時代に始まったファシズム化計画はジョージ・W・ブッシュ政権で顕在化、バラク・オバマ政権もこの流れに乗っている。富の独占が進み、社会が崩壊しはじめている現在、支配システムを維持するためにはファシズム化を推進するしかない。 似たことが過去にもあった。1929年に株式相場が暴落、アメリカ経済の破綻が明らかになった後、ウォール街の大物たちはファシズムで乗り切ろうとしたのである。 ところがその思惑に反し、1932年の大統領選挙で勝利したのはニューディール政策を掲げるフランクリン・ルーズベルト。1933年からウォール街の大物たちがクーデターを企てたのは、大企業を規制しようとした反ファシストのルーズベルトを排除するためだった。クーデター派はファシズムを目指すと明言している。 このクーデター計画は海兵隊のスメドリー・バトラー退役少将が反対、議会証言で明らかにされ、失敗に終わる。バトラー少将はクーデター派に対し、カウンター・クーデターを宣言したともいう。 こうした証言は議会の記録を見ればわかるのだが、今でもこの事実を知る人は多くないだろう。大戦でドイツが降伏する直前にルーズベルトは急死、それを切っ掛けにしてクーデター派は復権し、戦後世界に大きな影響を及ぼしてきた。そのため、学者も記者もこうした過去に触れたくないのかもしれない。勿論、ジャパン・ロビーもクーデター派の一部だ。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)
2012.03.31
21世紀に入り、中東/北アフリカでは殺戮と破壊が激しくなっている。そうした中、イスラエルはイラン国内を不安定化するために「ムジャヒディン・ハルク(MEKまたはMKO)」、「ジュンダラー(アラーの兵士)」、あるいはクルド系の分離独立派を使って破壊工作を続け、最近はアゼルバイジャンに軍事的な拠点を作っているようだ。 グルジアにイスラエルが食い込み、南オセチアに対する奇襲攻撃でもイスラエルが重要な役割を果たした可能性が高いことは本ブログで何度か書いた通りだが、グルジアだけでなくイランの北部と接しているアゼルバイジャンも影響下においたと言えるだろう。 アゼルバイジャンにはバクー油田がある。2006年にバクー油田からグルジアのトビリシを経由してトルコのジェイハンにつながるパイプライン(BTC)が本格的に稼働しているのだが、そのライバルが出現した。2011年5月、イランの石油や天然ガスをイラク、シリア、レバノン、そして地中海を経由してヨーロッパへ運ぶパイプラインを建設することで合意したとイランのメディアは報道(一般的には7月に報道)しているのだ。 つまり、石油や天然ガスの取り引きに関し、アゼルバイジャン/グルジア/トルコとイラン/イラク/シリア/レバノンはライバル関係にあるということになる。この2グループのうちアゼルバイジャン/グルジア/トルコにイスラエルが加わっているわけだ。 イランの天然ガスをパキスタンやインドへ運ぶパイプラインも計画されている。一般にIPIと呼ばれ、2013年に完成する予定。このパイプラインが完成すればホルムズ海峡からタンカーで運び出す必要なくなり、イギリスが支配する保険でインドなどを脅すことも難しくなる。 ところで、アメリカのライバルとして急成長しているのがBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)。このグループはエネルギー面でも強い。石油生産量をみると、ロシアは第1位、中国は第5位、ブラジルは第9位。第17位のリビアは体制を転覆させられたが、BRICSと友好的な関係にあるイランは第4位、ベネズエラは第11位、そしてイラクは第12位だ。 イランを軸にしたパイプラインの建設計画はこうした国々の団結を強め、アメリカ、イギリス、湾岸産油国の石油支配体制が揺らぎ、EUに対する脅しもきかなくなるかもしれない。BRICSが独自の決済システムを作ろうとしているのも米英にとっては不気味だろう。こうした事態を最も懸念しているのがイスラエルやアメリカの親イスラエル派であるように見える。 かつて、イランはイギリスに支配されていたのだが、第2次世界大戦後、1951年にムハマド・モサデクを首相とする民族主義政権がイランに誕生、アングロ・イラニアン石油(AIOC)の施設を国有化する方向に動き出した。 石油利権を支配するためにイギリスの支配層が設立したAIOCを失うことは彼らにとって大きなダメージ。そこで、イギリスの情報機関MI6はアメリカのCIAと手を組み、クーデターでモサデク政権を潰してパーレビ独裁体制を復活させた。1953年のことだ。 ところで、イギリスがイランを「保護国」にしたのは1919年、その2年後にイラン陸軍の将校が首都のテヘランを占領し、「レザー・シャー・パーレビ」を名乗っている。「パーレビ朝」の始まりである。その前の「カージャール朝」と同じように、イギリスの傀儡体制だという点で、新王朝はカージャール朝と基本的に同じだ。 イランを保護国にする2年前、イギリスはイスラエル建国への道を開く「バルフォア宣言」を出している。イギリスのアーサー・バルフォア外相がロスチャイルド卿に出した書簡(実際に書いたのはアルフレッド・ミルナー)だ。イギリスの中東支配戦略の中でイスラエル建国は重要な意味を持っていると見るべきだろう。 現在のイスラエルはロシアからの亡命者/移民が大きな影響を及ぼしている。ボリス・エリツィン大統領はロシアに新自由主義経済を持ち込み、規制緩和と私有化を促進したのだが、その結果、国民の財産を格安の値段で手にして大富豪が誕生、国民の大多数は貧困化した。エリツィン体制が終焉するころになると、庶民の怒りは爆発寸前だった。 エリツィンの次に大統領となったウラジミール・プーチンは大富豪たちの支配力を奪い始める。クレムリンの管理下に入ることを拒否した富豪はロシアを脱出し、イギリスやイスラエルへ逃げ込んだ。亡命先で彼らは自分たちの資金力を使い、大きな影響力を発揮し始めた。 そうした背景はともかく、イスラエルや親イスラエル派は1992年に武力を使った世界支配の戦略を打ち出している。国防計画指針(DPG)だ。新たなライバルの出現を防ぐと同時に、アメリカ的な価値を促進することが指針の柱で、単独行動も辞さないとしていた。潜在的ライバルと考えられていたのは西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、西南アジア。日本も例外ではない。 この指針はメディアにリークされ、書き直されたことになっているが、このDPGに基づいく報告書「米国国防再構築」を2000年にネオコンのPNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)が公表している。 この報告書を作ったグループはブッシュ・ジュニア政権を動かすようになるのだが、この連中が2001年9月11日からほどなくして作り上げた攻撃リストには、イラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが載っていた。2001年末にはイラク、イランのほか、ロシア、中国、朝鮮を先制攻撃のターゲットにしていたという情報もある。 現在、イランが核兵器を開発していると主張している人たちは天野之弥IAEA事務局長を頼るしかない。何しろ、CIAもモサドもイランが核兵器の開発を再び始めた可能性は小さいと見ているからだ。 実際のところ、イスラエルもアメリカの親イスラエル派もイランが核兵器を開発しているとは考えていないだろう。イランを攻撃したい理由は別にあるということである。
2012.03.30
フランスの南西部にあるトゥールーズでユダヤ人学校のラビひとりと3名の子ども、そして3名の兵士が殺害されるという事件があった。犯人とされているモハメド・メラは3月21日、警察の特殊部隊に射殺されたとされている。 事件直後から、メラをフランスの治安当局が監視していたと報道されていたが、ここにきて彼は政府機関の協力者だという話が出てきた。対外情報機関のDGSE(対外治安総局)や治安機関のDCRI(中央対内情報局)に協力していたというのだ。 メラは2010年にアフガニスタンを、2011年にはパキスタンを旅行したと言われているのだが、その後、DCRIのオフィスを訪れ、現地の状況を説明していたとする話も流れている。 また、2010年、アフガニスタンに入る前にトルコ、シリア、レバノン、ヨルダン、そしてイスラエルを訪れていたようだが、イスラエル入りする際にはDGSEが便宜を図ったとも伝えられている。そこから兄弟のいるエジプトへ行き、そしてアフガニスタンへ向かったようだ。 事件の様子を撮影したビデオがカタールのテレビ局、アル・ジャジーラへ郵送されているのだが、消印は3月21日、つまり自分自身で投函できる状況ではなかった。そこで「単独犯」という公式見解も揺らいでいる。 今回の事件から昨年7月にノルウェーで77名が殺害された事件を思い出した人も少なくないだろう。この事件では犯人としてアンネシュ・ブレイビクが逮捕され、今年3月7日に起訴されているのだが、この事件も単独犯という公式見解に疑問を持つ人、あるいは「NATOの秘密部隊」(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)が背後で蠢いているのではないかという推測を口にする人がいる。 トゥールーズの事件にしろ、ノルウェーの事件にしろ、奥が深いかもしれない。
2012.03.28
シリアの内乱で反政府軍のプロパガンダが明らかにされ始めた。NATO(アメリカ、イギリス、フランス、トルコなど)や湾岸の独裁産油国(サウジアラビアやカタール)がCNN(アメリカのニュース局)やアル・ジャジーラ(カタールの放送局)を使い、実施してきた宣伝の実態がインターネットで流れ始めたのである。 例えば、2月14日にホムスのババ・アムルでパイプラインが爆破された際、CNNなど「西側」のメディアは事実に反する話、つまり政府軍を「悪玉」に仕立てるためのプロパガンダを実行した可能性が高い。 当初、CNNは反政府派のLCC(地域調整委員会)が語った話として、政府軍の航空機が爆撃したと伝えていた。が、後に事実でないことが判明する。放送で使われた映像の前の部分を見ると、航空機は映っていないのである。 突然、煙が立ち上っていることから、何らかの破壊工作が地上で行われた可能性が高いと多くの人が考えているようだ。煙が立ち上るまで何時間もの間、カメラは一定の方向に向いていることに疑問を持つ人もいる。まるで、その方向で何かが起こることを予期していたかのように思えるからだ。 この出来事を撮影したCNNのチームにはイギリスの元特殊部隊メンバーが含まれていたのだが、それだけでなく、ダニー・デイエムなる活動家も同行していた疑いが持たれている。この人物、多くの「西側メディア」が情報源にしていたシリア系イギリス人で、政府軍による「残虐行為」の「証人」として登場、外国勢力の介入を求める発言を続けてきた。 ところが、最近になってダニーや彼の仲間が「攻撃」を演出する様子を映した映像が流出、「偽情報」を流していたことが判明し、CNNは赤っ恥をかくことになった。この話は本ブログでも伝えたとおりだ。 実際、シリア領内には破壊工作のプロが入り込んでいる。トルコの米空軍インシルリク基地で反政府軍「FSA(シリア自由軍)」を訓練している米英仏の特殊部隊員やCIAの要員は別にしても、少なからぬ特殊部隊員が潜入している可能性が高い。例えば、イギリスとカタールの特殊部隊がシリア領内に入って活動しているという情報が流れ、フランスの将校がシリアで拘束されたという話も伝えられている。ウィキリークスが公表した民間情報会社「ストラトフォー」の電子メールによると、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコが特殊部隊をシリアへ送り込んでいる疑いがあるようだ。 こうした情報操作は東アジアでも行われている。言うまでもなく、中国や朝鮮を「悪玉」、アメリカを「正義の味方」として描いているのだ。 この2カ国のほか、イラク、イラン、そしてロシアをアメリカ政府が先制攻撃のターゲットとして位置づけたのは2001年末のこと。ジョージ・W・ブッシュ大統領の時代だ。(ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、9/11から数週間後の時点で、イラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを攻撃予定国とするリストを国防長官に見せられたという。) この方針に基づき、2003年11月には「CONPLAN8022」を仕上げたのだが、それだけでなく、例えば、朝鮮の軍事施設700カ所を「ピンポイント」で攻撃するというOPLAN5026が2003年7月に作成されている。 イラクはすでに攻撃済みであり、残るはロシア、東アジアの2カ国、そしてイランということになるが、2003年3月、イラクを先制攻撃した際にブッシュ政権は空母カール・ビンソンを朝鮮半島に派遣するなど、いつでも攻撃できる態勢を整えていた。このときにブレーキをかけたのがアメリカの「旧保守」や韓国の金大中大統領(2003年2月まで)や盧武鉉大統領。 しかし、盧大統領はスキャンダル攻勢で機能不全になり、2008年には戦争ビジネスと関係の深い李明博が大統領となり、好戦的な政策を採用、つまりネオコンと同じ方向へ進み始める。「太陽政策」をやめ、メディア自由化改革も廃止、警察は社会運動団体の事務所を捜索している。天安号の沈没事件では、政府が主張する「朝鮮犯行説」を疑う人々を逮捕している。そしてアメリカとの自由貿易協定に突進した。 李政権が行った朝鮮に対する挑発行為については本ブログで前に書いているので今回は割愛するが、東アジアでもアメリカ(少なくとも一部勢力)は戦争の種を蒔き続けているのである。中東/北アフリカと基本的に同じである。そして現在、アメリカ軍は中国やロシアを睨み、済州島を東アジアにおける要石と考えている。韓国で済州島の海軍基地計画に反対する声が強いのはそのためだ。戦争になれば、済州島が先ず破壊されることは目に見えているからである。
2012.03.27
シリアでは国連の潘基文事務総長とコフィー・アナン前事務総長が、イランではIAEA(国際原子力機関)の天野之弥事務局長とモハメド・エルバラダイ前事務局長が対立する形になっている。 いずれのケースでも現職がアメリカ政府と歩調を合わせているのに対し、前職は一線を画しているように見える。そして今、バラク・オバマ米大統領は、世界銀行の次期総裁候補に韓国系アメリカ人のジム・ヨン・キム(金勇)を選んだ。 約1年前、アメリカ、イギリス、フランス、トルコなどのNATO加盟国やサウジアラビアやカタールなどの湾岸独裁産油国はシリアの体制転覆作戦を本格化させた。アメリカの場合、ジョージ・W・ブッシュ政権の時代に反体制派を育成、支援する工作は始めていたが、昨年からは事実上の軍事介入を始めたのである。その辺の事情は本ブログでも何度か書いている。 この体制転覆プロジェクトに潘事務総長は加担し、本格的な軍事介入をも容認しそうな勢いだ。リビアでNATO軍がアル・カイダ系武装集団のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)と手を組んで軍事的に体制を転覆させ、ムアンマル・アル・カダフィをリンチの上で殺戮した際、リビアにとって歴史的な転換だと表現していた。NATO軍と同じ立場からリビア内戦を事務総長は見ていたようだ。 リビアの体制転覆ではフランスが口火を切り、イギリスが主導、アメリカが追随し、アル・カイダや湾岸の産油国が協力する形だったが、シリアではアメリカとイギリスが主導し、フランス、トルコ、湾岸産油国、そしてアル・カイダが協力している。このグループの好戦的な計画を潘国連事務総長は支援、軍事介入に抵抗しているロシアや中国には批判的だ。 そこへ登場したのがアナン前国連事務総長。シリア内戦を平和的に解決しようと動いているようだが、何しろ反政府軍は話し合いでの解決を望んでいない。リビアの内戦で反カダフィ軍がベネズエラのウーゴ・チャベスの仲介を拒否したように、シリアでも反政府軍は軍事的に体制を転覆させようとしている。 イランの場合、イスラエルやアメリカのネオコンが望む軍事力の行使を天野IAEA事務局長は後押ししている。天野がアメリカ政府の手駒だということはウィキリークスが公表したアメリカの外交文書で確認されている事実。 3カ月後にアメリカ/イスラエルはイランを攻撃するという話も流れているが、その一方、欧米やイスラエルでイランの核兵器開発は差し迫った問題ではないとする情報も伝えられている。「大量破壊兵器」で恐怖を煽り、イラクを先制攻撃したときと似たパターンになっている。 そこでイラン攻撃に批判的な声が大きいのだが、そうした中で開戦への道を切り開こうとしているのが天野事務局長。アメリカというより、ネオコンの手駒として動いているようだ。天野の立場は偏っていると批判されるのは当然だろう。 イランで戦争が始まった場合、最も大きなダメージを受ける国のひとつが日本。その日本でイラン攻撃をやめさせようという動きが鈍いのは興味深い。日本人には「奴隷根性」が染みついているのかもしれない。
2012.03.26
アメリカを中心にファシズム化が急速に進んでいる。それに歩調を合わせ、監視システムの高度化も進んでいるのだが、そうした中、1秒間に3600万人の顔を認識、ターゲットを探し出すシステムを日立国際電気が開発、来年度中に売り出すのだという。例えば、パスポート、運転免許証、フェイスブック、卒業アルバムなどの写真があれば、無数にある監視カメラを使うことで、どこにその人物がいるかを瞬時に調べることが可能らしい。 現代社会、特にアメリカの支配者たちが最も恐れているのは「平和」である。アメリカの場合、一貫して反戦/平和を訴える団体や個人は危険視され、監視されてきた。例えば、1950年代にFBIが始めたCOINTELPROや1967年にCIAが始めたMHケイアスはそうした運動を監視することを目的にしていた。 1970年代の後半になるとコンピュータの発達にともない、監視システムも長足の進歩と遂げる。イギリスとアメリカの電子情報機関(GCHQとNSA)の連合体、いわゆるUKUSA(ユクザと発音)が国際的な規模で通信を傍受するシステムを築いているが、それだけでなく、不特定多数の個人情報を収集、分析、保管することのできるシステムが開発されている。 そうしたシステムの中でも有名だったPROMISについては日本の法務総合研究所も注目、1979年と1980年にシステムに関する概説資料と研究報告の翻訳を『研究部資料』として公表している。この当時、駐米日本大使館に一等書記官として勤務していたのが原田明夫(後の検事総長)であり、実際に動いていたのは敷田稔(後の名古屋高検検事長)だ。 その後、アメリカではDARPA(国防高等研究計画局)が中心になって国民を監視するシステムの研究開発を進めている。個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータなどあらゆる個人データの収集と分析を行っているのだ。 それだけでなく、アメリカのシーズント社は、スーパー・コンピュータを使って「潜在的テロリスト」を見つけ出そうとしているようだ。つまり、どのような傾向の本を買い、借りるのか、どのようなタイプの音楽を聞くのか、どのような絵画を好むのか、どのようなドラマを見るのか、あるいは交友関係はどうなっているのかなどを調べ、分析し、国民ひとりひとりの思想、性格、趣味などを推測しようというわけだ。 アメリカの支配層が監視システムの構築に熱心な理由のひとつは、不公正な政治経済システムの結果、貧富の差が拡大して社会不安が増大、そうしたシステムに対する抗議活動が拡大することを抑えることにありそうだ。半年前にウォール街で始まったOWS(占拠運動)を暴力的に弾圧しているが、今ではフェイスブックで写真や交友関係を調べ、逮捕者リストが作られていると言われている。 アメリカでは今後もファシズム体制は強化され、日本社会も後を追ってファシズム化が促進されることは間違いないだろう。福島第一原発の事故で日本の政府、電力会社、マスコミなどが情報を隠蔽、世界的に嘲笑されているが、日本人にとっては笑い事では済まされない。原発に反対する人びとは監視対象になる可能性が大きい。大阪の橋下某は原発に否定的だというが、これは表面的なこと。原発に反対する意見が多いので、そのように言っているだけだ。橋下某はファシズム化を象徴する人物だと言える。そうした流れに日本企業も寄与することになる。
2012.03.24
フランスの南西部にあるトゥールーズでユダヤ人学校が襲撃され、ユダヤ教のラビひとりと3名の子どもが殺される事件があった。この事件の容疑者、モハメド・メラを逮捕するために警察の特殊部隊は彼の立てこもるアパートへ3月21日に突入、銃撃戦の末に射殺したという。メラは3名のフランス軍兵士を殺害したともされている。 このメラは「アル・カイダ」を自称、アフガニスタンとパキスタンとの国境近くにあるアル・カイダの施設で訓練を受けたと主張していた。 2010年にアフガニスタンを訪れた際にはカンダハルで逮捕されてアメリカ軍へ引き渡され、2011年には8月の半ばから10月の半ばにかけてパキスタンを訪問しているとも報道されている。 当初、アフガニスタンのアメリカ軍統合特殊作戦コマンド(JSOC)の施設に拘束されていたと伝えられたが、その後、否定されたようだ。 JSOCが拘束したかどうかはともかく、アフガニスタン訪問でのトラブルでフランスの治安当局がメラに注目していたことは間違いなく、ここ数年の間、メラを監視していたとフランスのクロード・ゲアン内相は報道機関に認めている。イスラム原理主義過激派のリストに載せられていたというのだ。 しかし、実は、その前から警察に目をつけられていた可能性が高い。2005年、07年、そして09年に逮捕され、今年2月には無免許運転で有罪の判決を受け、4月には裁判所へ出頭する予定だったという。 アフガニスタン/パキスタンでアル・カイダの訓練を受けたという点でリビアの体制転覆に参加したLIFG(リビア・イスラム戦闘団)とメラは共通している。 LIFGは1995年に創設された武装グループで、アメリカ政府から「テロリスト」だと認定され、2004年2月にはジョージ・テネットCIA長官(当時)もこの集団をアル・カイダにつながる危険な存在だと上院情報委員会で証言、本人たちもアル・カイダとの関係を認めている。 アル・カイダは統一された組織でなく、ゆるい集合体だと言われている。したがって全ての「アル・カイダ」を同じように扱うことはできないだろうが、NATO諸国、特に米英仏とアル・カイダを「不倶戴天の敵」だと言うことはできない。何しろ、アル・カイダなどイスラム武装勢力を組織、訓練、支援したのはアメリカの情報機関や軍なのである。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を) CIAがアフガニスタンに対する内政干渉を本格化させるのは1978年。王制イランの情報機関SAVAKと手を組み、エージェントをアフガニスタンに派遣して左翼勢力を排除するようにモハメド・ダウド大統領へ働きかけたのである。ダウドは「死の部隊」を編成して左翼狩りを始めるのだが、4月にクーデターで倒されてしまう。革命評議会兼首相に任命されたのがモハメド・タラキだ。 このころ、CIAの好戦派は秘密/破壊工作を復活させようとしている。1970年代の半ばに議会で批判されたような工作を復活させたいということだが、そのグループにはジョージ・H・W・ブッシュも含まれている。「裏CIA」の創設を目論んだのである。 その際、フランス、エジプト、サウジアラビア、モロッコ、そして王制時代のイランの情報機関も結びついている。その一端が「イラン・コントラ事件」で明らかになったわけだ。 1979年2月にイランでは王制が倒され、イスラム勢力が実権を握るのだが、その新政権はヘラトでタラキ政府の高官やソ連人顧問を殺害している。つまり、この当時、イスラム革命の象徴だったアヤトラ・ホメイニはアメリカと対立していたとは言えない。 そして4月、ズビグネフ・ブレジンスキーはNSC(国家安全保障会議)で反タラキ勢力への同情を訴え、CIAはこうした勢力への支援を始めた。CIAイスタンブール支局長がパキスタンの情報機関ISIの幹部と会談、アフガニスタンの反政府ゲリラを誰に率いさせるかを話し合ったのは5月。結局、麻薬業者のグルブディン・ヘクマチアルが指導者として選ばれた。 7月になるとジミー・カーター大統領はアフガニスタンの反政府勢力への秘密支援を承認し、9月にタラキは暗殺される。新しく実権を握ったハフィズラ・アミンとCIAとの関係を疑ったソ連政府は軍事介入を決断、12月にはソ連軍の機甲部隊が侵攻してきたわけである。そしてソ連軍とイスラム武装勢力/CIAとの戦争が始まる。 現在、リビアやシリアでサウジアラビアなど湾岸の独裁産油国が米英仏と手を組んでいるのは必然であり、バーレーンで平和的な抗議活動を暴力的に弾圧している事実を欧米のメディアが無視する理由のひとつもここにある。
2012.03.23
シリアの武装反政府勢力が人権を侵害しているとヒューマン・ライツ・ウォッチが非難している。非武装の市民を含む政府派の人びとを誘拐、拘束、拷問、そして殺害しているというのだが、これは最初から指摘されていたこと。ただ、「人権団体」がこうしたことを言い始めた意味は小さくない。内戦が長引く中、「西側」や湾岸の独裁産油国のプロパガンダが機能しなくなっていることを示しているからだ。 アメリカ政府などはシリアの反政府軍が武器を入手している先をイラクだと主張しているのだが、昨年8月には、シリアの反政府勢力へ対戦車ミサイル、地対空ミサイル、重機関銃といった武器を供給するため、NATOとトルコ政府が話し合っているとする情報が流れている。 また昨年11月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が崩壊した後、マークを消されたNATO軍機がトルコの基地に武器を運び込んでいた。その際、兵士も一緒に乗っていたという。同じ月にシリアの反政府軍とリビアの新政権の人間がイスタンブールで会い、武器と兵士の供給について話し合ったとも言われている。言うまでもなく、リビアの新政権はアル・カイダと深く結びついている。 AFPによると、サウジアラビアがヨルダン経由でシリアの反政府軍FSAに武器を供与しているとアラブの外交官が語っている。サウジアラビアやカタールは公然とシリアの体制転覆を主張、カタールは特殊部隊をシリア領内に入れているとする情報もあるので、サウジアラビアが武器を提供しても不思議ではない。ヨルダンにはシリア政府軍の拠点があるとする情報もある。 カタールのほかにもイギリスが特殊部隊を潜入させているとする情報があるほか、ウィキリークスが公表した民間情報会社のストラトフォーの電子メールによると、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコも特殊部隊をシリア領内で活動させていると推測している。 シリアの隣国、トルコにあるアメリカ空軍のインシルリク基地にも「西側」の特殊部隊員や情報機関員がいる。特殊部隊を教官として派遣しているのはアメリカ、イギリス、フランス、情報機関員を送り込んでいるのはアメリカだという。そこで訓練を受けているのがFSAだ。 要するに、「平和的な抗議活動に対するシリア政府軍の弾圧」というストーリーは妄想としか言えない。NATOや湾岸産油国、そしてリビアの新政権は武器や兵士を供給し、その兵士を訓練しているのが実態。自由シリア軍「への武器供給が実現すれば、諸外国を巻き込んだ本格的な内戦に突入する可能性がある」などということはない。最初から内戦なのだ。こんな間抜けな話を今、聞いてくれるのは日本のマスコミくらいかもしれない。 NATOや湾岸産油国が特殊部隊をシリア領内に投入している中、ロシアが特殊部隊を派遣したという話が流れている。ロシアのアナトリー・セルデュコフ国防相はこの情報を否定しているようだが、もし事実ならシリアでNATO/湾岸産油国の特殊部隊とロシアの特殊部隊が衝突する可能性もあるわけで、事態は緊迫している。
2012.03.20
3月17日、アメリカの不公正な政治経済システムに抗議する「占拠運動」の賛同者、数千名がウォール街のズコッティ公園(自由広場)に集まった。運動が始まって半年ということもあり、再結集したわけだが、警察はすぐ排除に乗り出し、73名が逮捕されたと伝えられている。 その9日前、バラク・オバマ大統領は抗議活動を取り締まる法律「HR347(土地建物改良規制連邦法)」に署名していた。「反抗議法」とも呼ばれている法律で、「重要なイベント」が開催される建物や敷地へ入ることを禁じている。 占拠運動だけでなく、例えば今年5月にシカゴで開かれる予定のNATOサミット、あるいは同じ月にキャンプ・デイビッドで開かれる予定のG8は対象になるだろう。 また、シークレット・サービスが護衛している人物、例えばオバマ大統領や共和党の大統領候補、ニュート・ギングリッチ、ミット・ロムニー、リック・サントラムが訪れている敷地に入ることも法律違反になる。つまり、こうした次期大統領候補に抗議することも厳しく制限されるわけだ。 憲法が保障した権利を否定する法律だとして批判されているが、アメリカでは1980年代、ロナルド・レーガン大統領の時代に憲法を無力化する企てがスタートしている。そのプロジェクトがCOG。「国家存亡の懸かった緊急事態」には憲法の機能を停止、「秘密政府」が国を動かす仕組みを作ることが目的だとされているが、「国家存亡の懸かった緊急事態」を演出できれば憲法の機能を停止することができるということでもある。(次の本で詳しく説明する予定) そして2001年9月11日、憲法が定める諸権利を無効化したい人々にとり、願ってもない出来事が起こる。ニューヨークの世界貿易センタの超高層ビルに航空機が突入、ペンタゴンも攻撃されたのである。そして「愛国者法」が姿を現した。そのベースがCOGだということは言うまでもない。この瞬間、アメリカは「民主国家」という看板を下ろしたのである。 ジョージ・W・ブッシュ政権以来、アメリカはファシズム化が急速に進んでいる。大統領の前庭に入って接近したなら拘束され、国家から危険だと判断されたなら暗殺されるかもしれず、テロリストだと見なされたなら法的手続きを経ずに生涯、刑務所に入れられる可能性があるのがアメリカ。 日本の支配層はアメリカの尻を追いかけてきた。最近、憲法に「非常事態条項」を入れるべきだという議論があるようだが、これはCOGから派生している可能性が高い。このところ人気だという橋下徹大阪市長を看板にした「大阪維新の会」のブレーン、堺屋太一は日本で新自由主義化を促進するために設置された「日米21世紀委員会」で委員長を務めた人物であり、「大阪維新の会」はアメリカ流の「チェンジ」を目指している。 つまりこの会は、日米同盟を基軸とし、競争原理を重視、TPPにも賛成、労働組合を敵視、思想統制しようとしているわけで、小泉純一郎の延長線上にある。アメリカで巨大資本の主張を代弁している「ティー・パーティー」とも似ている。日本でもファシズム化が進んでいるとしているということだ。2011年8月に「有識者会議」が「秘密保全法案」に関する報告書をまとめたのも偶然ではない。勿論、最高裁をはじめとする司法システムもファシズム化促進の仲間だと見なければならない。
2012.03.20
リビアの市民を助けるためだと称し、NATO軍はアル・カイダ系の武装集団と手を組んでムアンマル・アル・カダフィ体制を武力で倒した。その際、「人権団体」も旗振り役を演じていたが、実際のところ、NATO軍/アルカイダ系武装集団は市民を殺し、「民族浄化」的な行為を繰り返し始める。これは本ブログで何度も書いたことだ。 「西側」、特にアメリカや日本のメディアはこうした現実を無視しているが、アムネスティ・インターナショナルにしろ、ヒューマン・ライツ・ウォッチにしろ、こうした現実も取り上げている。人権団体を名乗るなら当然のことだが、NATO軍は市民を殺害した責任を感じていないようで、調査をする姿勢を見せていない。アムネスティ・インターナショナルから批判されるのは当然。この団体はこの件で報告書を出した。 市民を助けるという名目で戦争を始め、市民の犠牲を厭わずにターゲット国の体制転覆を謀るというパターンをNATO軍は1999年3月に始めている。ユーゴスラビア攻撃だ。 ユーゴスラビア政府は残虐だというプロパガンダを展開していたひとりは、エルサルバドル駐在のアメリカ大使だったウィリアム・ウォーカー。1999年1月のことだ。彼の話は、コソボにあるユーゴスラビアの警察署で45名が虐殺されたというもの。 この話が嘘だということはすぐに判明する。現場にAPのテレビ・クルーがいて、実際は警察とKLA(コソボ解放軍、UCKとも表記)の戦闘によって死者がでたことを撮影していた。そのそばにはウォーカーもいて、事情を熟知していたはずだ。つまり、意図的に嘘を流した可能性が高い。 ウォーカーがエルサルバドル駐在大使だった1989年、この国の政府軍はカトリックの指導的立場にあった司祭6名とハウスキーパーやその娘を殺害しているのだが、この事件に関する調査をウォーカーは妨害している。ウォーカーは残虐行為に「寛容」なタイプの人間だということだ。こうした過去を知る人が少なくなことをアメリカ政府なりNATOなりは認識していたはず。 その前、好戦派は「ジャーナリスト」を使ってプロパガンダを展開していた。そのひとりがニューズデーのロイ・ガットマンである。1992年8月にボスニアで16歳の女性がセルビア兵にレイプされたと報道している。 ドイツのボン支局長だったガットマンはヤドランカ・シゲリなる人物の情報を垂れ流していたのだが、シゲリはセルビア人を敵視していたクロアチアの与党、HDZ(クロアチア民主団)の副党首を務めていた。しかも、クロアチアの亡命者が創設したプロパガンダ組織CIC(クロアチア情報センター)のザグレブ事務所の責任者でもあった。CICはCIAと密接な関係にあることが知られている。 こうした「偽情報を流した功績」により、1993年にガットマンはピューリッツァー賞を贈られ、1996年にヒューマン・ライツ・ウォッチはシゲリを主人公にしたドキュメント映画を発表した。 こうした下準備をしたのち、1998年にアメリカのマデリーン・オルブライト国務長官は空爆の支持を表明、NATO軍のウェズリー・クラーク司令官も賛成する。そしてウォーカーの一押しだ。 2001年9月11日に世界貿易センターやペンタゴンが攻撃された直後、ホワイトハウスの好戦派から攻撃リストを見せられたと語った人物だ。そのリストはイラクから始まり、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが載っていたという。 アメリカ政府の好戦的な姿勢に対し、セルビアのスロボダン・ミロシェビッチ大統領はコソボからの撤退という条件を呑んだ。つまり、コソボのセルビア系住民を見捨てるという決断を下したのである。 和平に反対したのはKLA。NATO軍を引きずり込むため、挑発的行為を繰り返す。ヘンリー・キッシンジャーに言わせると、1998年10月から99年2月までの期間で停戦違反する行為の80%はKLAによるものだった。 その後の交渉でセルビア政府はコソボの自治権を認め、弾圧もやめることで合意したのだが、車両、艦船、航空機、そして装備を伴ってNATOの人間はセルビアを自由に移動できるという項目、つまりNATOが事実上、セルビアを占領するという条件をセルビア政府は受け入れられなかった。要するに、NATOやKLAは和平を望んでいなかった。リビア、シリア、イランでも似たことが行われている。 そして1999年3月にNATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃し、多くの市民が犠牲になる。5月には中国大使館も爆撃された。攻撃目標を設定したのはCIAで、3基のミサイルが別々の方向から大使館の主要部分に直撃している。「計画的な爆撃」だった可能性が高い。 1999年当時、コソボ紛争の最中にアメリカ陸軍の第4心理作戦グループの人間が2週間ほどCNNの本部で活動していたこともわかっている。アメリカ軍の広報担当によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。 この前年、CNNとアメリカ軍は激しく対立していた。ラオスでアメリカの特殊部隊がサリンを自国の捕虜に対して使用したとする報道が原因。その結果、サリン問題を追及したふたりのプロデューサー、ジャック・スミスとエイプリル・オリバーは辞任に追い込まれている。この出来事を契機に、CNNとアメリカ軍は親密度を増したようだ。
2012.03.19
内部告発を支援しているウィキリークス。このサイトに情報を提供したとされているブラドリー・マニング特技兵の裁判が始まっているが、その中でアメリカ軍は情報の流出が間接的にアル・カイダを助けることになったと主張しているらしい。 言うまでもなく、この主張は自分たちの行動と矛盾している。リビアでムアンマル・アル・カダフィ体制を転覆させるため、アル・カイダ系の武装集団「LIFG(リビア・イスラム戦闘団)」と自分たちが手を組み、シリアでアル・カイダ系の武装集団を助けていることを忘れたのだろうか?ヒラリー・クリントン国務長官もこの現実を認識しているはずだ。 シリアの反政府軍はイラクから武器や兵士を集めているような発言もあるが、NATO軍がリビアから武器を大量に運び込んでいる疑いがあり、イギリスとカタールの特殊部隊が潜入しているとイスラエルのメディアが報道したほか、ウィキリークスが公表した民間情報会社ストラトフォーの電子メールにはアメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコの特殊部隊が入っているという推測も書かれている。 また、アメリカの情報機関や特殊部隊、イギリスやフランスの特殊部隊がトルコにある米空軍インシルリク基地で反シリア政府軍の中核、「SFA(シリア自由軍)」の将兵を訓練しているとも言われている。 サウジアラビアやカタールといった湾岸の独裁産油国はシリアへ軍事介入するべきだと主張しているが、カタールはプロパガンダでも重要な役割を果たしている。その道具がアル・ジャジーラ。カタール体制を批判しない限り、「言論の自由」は認められているようだが、リビアのケースもシリアのケースもカタール政府は明確に攻撃姿勢を見せている。 つまり、リビアやシリアの件でアル・ジャジーラは「報道の自由」が認められていないわけで、内部でも不満が高まっているようだ。退職するスタッフもいるようだが、先週にはベイルート支局の幹部ディレクターだったハッサン・シャーバンも辞めたという。 リビアのカダフィ体制を倒した目的は同国の石油利権を確保するだけでなく、サハラ以南のアフリカに自立させないことでもあった。カダフィは貿易の決済にドルやユーロでなく、「金貨ディナール」を使おうとしていた。アフリカを軍事的に支配しようとしてきたアメリカとしては、許し難い政策だと言えるだろう。 2007年にアメリカ政府は「米国アフリカ軍」の設立を宣言している。エジプトを除くアフリカ全土をこの新統合軍に担当させる計画だったのだが、アフリカ諸国はアメリカ軍の駐留を拒否、司令部はドイツにおかれた。 リビアのカダフィ体制を潰した現在、アメリカは「人道」を口実にして軍事介入を狙っている。そのターゲットのひとつがウガンダ。ジョセフ・コニーなる反政府軍の残虐行為が強調されている。昨年10月にバラク・オバマ米大統領はウガンダへの派兵を決定、この決定に合わせた反コニー・キャンペーンのようだ。 コニーが率いる部隊は「LRA(神の抵抗軍)」と呼ばれている。神憑った人物のようで、神の言葉を伝えている、つまり自分は「預言者」だと言っているようだ。子どもを誘拐して兵士にしているとも言われ、ろくでもない人物らしい。 このカルト集団を倒すため、数年前から米国アフリカ軍は軍事行動を始めているようなのだが、今回はこれまでと違うかもしれない。何しろ、2009年にウガンダで石油が見つかったらしいのだ。 利権のためなら残虐な独裁者と手を組むのがアメリカの支配層。「人道」や「民主主義」など何とも思っていない人たちだが、石油利権が関わってくると必死になるだろう。BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)がアフリカ諸国と手を組むことも阻止したいはずだ。
2012.03.16
一部の人間に富が集中する不公正なシステムに抗議する声がアメリカや西ヨーロッパで高まっている。その象徴的な運動がウォール街で始まった「占拠運動」。マイアミでも行われているのだが、運動の拠点になっているアパートをSWAT(特殊武器攻撃チーム)と見られる警官が襲撃した。 襲撃の口実は武器を集めている疑いがあるということのようだが、このグループはこれまで平和的に活動、武器を集めている事実もない。アメリカの支配層はこうした平和的な運動を最も恐れているようだ。 マイアミに限らず、アメリカの治安当局は不公正な政治経済システムに抗議する運動を暴力的に弾圧している。この運動の背後に庶民の怒りがあることを支配層は認識、運動が広がれば支配システムが揺らぐ可能性があると考えているのだろう。強者総取りのシステムに異を唱えることは許さないということだ。 こうした運動を鎮圧するための新兵器も開発中で、音を使ったLRAD(長距離音響発生装置)はすでに使われているようだが、ここに来てアメリカ軍はマイクロ波を使い、皮膚の表面温度を上昇させるADSなる兵器を開発している。基本原理は電子レンジと同じで、「熱線」とも呼ばれている。ただ、周波数はADSが95ギガヘルツなのに対し、電子レンジは2.45ギガヘルツ。米軍では安全だとしているが、実際のところはわからない。 勿論、周波数を変えることも可能なわけで、95ギガヘルツが安全だとしても、殺傷能力のあるADSを作ることは可能だろう。このシステムを巨大化すれば気候に影響を与えることも可能・・・あ、かの有名なHAARPはそんな装置だとか。
2012.03.15
アメリカ政府がイラン政府に対して「最後通牒」を出した。3月12日、ヒラリー・クリントン国務長官はロシアのセルゲイ・ラブロフ外相に対し、平和的に解決するチャンスは1度だけだとイラン政府へ伝えるように頼んだというのだが、全面降伏を要求しているようにしか聞こえない。 イスラエルとアメリカのネオコン(親イスラエル派)はイランやシリアを攻撃するべきだと主張し続けてきた。そうしたネオコンの象徴的な人物はジョセフ・リーバーマン、リンゼイ・グラハム、そしてジョン・マケインだろう。 2008年に行われた米大統領選でマケインを支援した大富豪のひとりにリン・フォレスター・ド・ロスチャイルドという人物がいる。エベリン・ロバート・ド・ロスチャイルドの妻で、ジョン・ケネス・フォレスターの娘だ。 当初、リンはヒラリー・クリントンを応援していたのだが、民主党の候補がバラク・オバマに決まったため、共和党のマケインに鞍替えしたのである。理由はオバマが軍事行動に消極的だったからだという。 そのオバマ政権がイランを攻撃するのではないかと懸念する声が広がっている。オバマ大統領の周辺からはこれまでイラン攻撃に否定的な発言が発信されていたが、イランを攻撃するか、イスラエル・ロビーを敵に回すかという選択を迫られているようなのだ。勿論、政権の内部にはクリントン国務長官のような好戦派もいる。オバマは好戦派の脅迫に屈した可能性がある。 イスラエルやネオコンにとって、イランが核兵器を開発しているかどうかは大きな問題でない。核兵器の配備が迫っているような状態でないことは彼らも熟知しているはずだ。攻撃の目的は「潜在的なライバル」を潰すこと。これはネオコンが1990年代の初頭から描いていた戦略だ。(日本もターゲットのひとつだ。) 当然、そうした潜在力を維持するような平和的な解決をイスラエルやネオコンは望んでいない。今回、クリントン長官はイランに対し、主権国家としての権利を放棄するように求めているように聞こえる。ロシアに対する通告という側面もあるだろう。 そうした中、アメリカの空母「エンタープライズ」が3月11日に母港のバージニア州ノーホークを出港、ホルムズ海峡へ向かっている。20日には到着する予定だが、この空母の配備を懸念する声もあった。 エンタープライズは1961年11月に就役した老朽空母で、今年12月に退役の予定。つまり、すぐスクラップにするわけで、沈没させてもダメージは少ない。「偽旗作戦」、つまり敵に攻撃されたように装い、沈めるためには恰好の軍艦だということだ。「敵に攻撃されたので報復する」という筋書きをアメリカやイスラエルはしばしば使う。エンタープライズの配備にはそうした意味があるのではないか、と懸念しているのである。 いずれにしろ、イランを巡る情勢は緊迫している。イスラエルやネオコンの工作、例えばイラン人科学者の連続暗殺やシリアでの偽情報発信などが明らかにされつつあり、のんびりしていられないのかもしれない。 アメリカ政府はサウジアラビアに対して石油の増産を要求しているようだが、イラン攻撃が実行された場合、イスラム世界の反米感情を考えると、戦乱は一気に中東/北アフリカの全域へ広がる可能性があり、湾岸の独裁産油国も無傷ではいられないだろう。勿論、日本にとっても深刻な問題である。
2012.03.14
CNNなど「西側」のメディアはシリア政府が「市民を弾圧している」と宣伝してきたが、その「情報源」は「活動家」や「人権団体」。本ブログでは「人権団体」の胡散臭さを何度も書いてきた。そして現在、「活動家」の正体を明らかにする映像がインターネットに流れ、話題になっている。 その活動家とは、シリア系イギリス人のダニー・デイエム。CNNのほか、イギリスのBBCやテレグラフなど多くの有力メディアに「証人」として登場、外国勢力の介入を求める発言を続けてきた。彼を「英雄」と見なす人も少なくないようだが、「シリア軍の攻撃」をダニーや仲間が演出する様子を移した部分も含めた映像が流出、CNNは赤っ恥をかくことになったのである。 シリアのバシャール・アル・アサド政権を民主的だとは言えないだろうが、現在のような殺戮が行われてきたわけではない。2000年代の半ばからアメリカ政府がシリアの体制転覆工作を開始、今ではイギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタールなどの国々、そしてアル・カイダ系の武装集団などがシリアの体制転覆を目指す仲間に加わっている。現在の内乱は「西側」が仕掛けたということだ。 しかし、こうした国々や武装勢力の思惑通りに事は進んでいないようだ。リビアではNATO(英仏米)軍が大規模な空爆を実行したほか、部族/地域間の対立を利用できたのだが、こうしたことがシリアではできない。トルコなどに拠点を作って支援、シリア領内に特殊部隊を潜入させ、アル・カイダ系武装集団も戦闘に参加しているのだが、体制転覆の見通しは立っていないようだ。 ところで、NATOによってムアンマル・アル・カダフィ体制が崩壊したリビアでは、予想通り、新たな内戦の危機が高まっている。こうした展開は英仏米も見通していたはずだが、これからどうするつもりだろうか?
2012.03.13
橋下徹大阪市長を看板にした「大阪維新の会」が人気らしい。マスコミの支援もあり、既存政党に対する不満を吸収しているようだが、このグループ、アメリカの手先にしか見えない。日米同盟を基軸とし、競争原理を重視、TPPにも賛成、労働組合を敵視、思想統制しようとしているようだ。小泉純一郎の延長線上にあることは間違いないだろう。アメリカの「ティー・パーティー」に似ているとも言える。要するに、日米巨大資本の代弁者だ。 日本を改造するため、アメリカ支配層は「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書(年次改革要望書)を2001年から作成していることは広く知られているが、その要望書と同じ内容の議論をするため、日本とアメリカのエリートが会議を開いていたことはあまり知られていないようだ。 その会議とは「日米21世紀委員会」。CSIS(戦略国際研究センター)のプロジェクトで、最初の会合は1996年12月にアメリカのメリーランド州で開かれている。CSISとCIAの深い関係は有名だ。ところで、委員会のメンバーは次の通り。【アメリカ】名誉委員長:ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領委 員 長:ウィリアム・ブロック元労働長官副 委員長:ハロルド・ブラウン元国防長官委 員:レスター・アルバーサル、ウィリアム・ブリーア、ウィリアム・クラーク、リチャード・フェアバンクス、ロバート・ホーマッツ、カレン・ハウス、フランク・ムルコースキー、ジョン・ナイスビット【日本】名誉委員長:宮沢喜一元首相委 員 長:堺屋太一(後に経済企画庁長官)副 委員長:田中直毅委 員:土井定包(大和証券)、福川伸次(電通、元通産事務次官)、稲盛和夫(京セラ)、猪口邦子(上智大学教授、防衛問題懇談会委員)、小林陽太郎(富士ゼロックス)、中谷巌(竹中平蔵の『兄貴分」)、奥山雄材(第二電電、元郵政事務次官)、山本貞雄(京セラ・マルチメディア)、速水優(後に日銀総裁)顧 問:小島明(日本経済新聞) 日本側の委員長を務めた堺屋太一は現在、大阪市の特別顧問を務めている。田中直樹は財界と深い関係にある人物で、「21世紀政策研究所理事長」を経て2007年から「国際公共政策研究センター理事長」を務めているが、郵政民営化委員会の委員長でもあった。郵政民営化委員の中には大阪市特別顧問の野村修也も含まれている。 野村修也がメンバーに名を連ねる「ポリシーウォッチ」なる「チーム」も興味深い。代表は竹中平蔵で、中曽根時代に私有化を推進した加藤寛もメンバーだ。以前は木村剛も参加していたようだ。 大阪市では、この野村を中心にして「思想調査」が実行されている。こうした「調査」によって市役所の内部からコミュニケーションをなくそうとしているように見える。つまり、職員の間に疑心暗鬼、相互監視の雰囲気を作り上げ、3人以上が集まると誰も本音を言わない・・・というような状態にしようとしているのではないだろうか?ファシズム化の促進である。 今年1月に委嘱された山田宏前杉並区長は「南京虐殺」を否定したようだが、本ブログでも指摘したように、虐殺があったことは間違いない。この人物、区長時代に日本軍のアジア侵略を正当化する教科書を採用したこともある。日中関係を悪化させたいアメリカにとって好ましい人物だと言える。
2012.03.12
1年前の3月11日、三陸沖で発生した巨大地震が東北地方を襲った。揺れと津波で甚大な被害をもたらしたが、その際、東電福島第一原発は「過酷事故」を引き起こし、日本だけでなく全世界に放射性物質を撒き散らしている。 日本ではチェルノブイリ原発の事故より規模ははるかに小さいという宣伝がなされているが、潜在的な要因を含めれば福島第一原発の事故の方が深刻だろう。いや、すでにチェルノブイリ原発事故よりも放出した放射性物質は多いという説もある。 事故を起こした施設を処理するまで何十年を必要とするのかわからないが、人間を含む生態系への悪影響はそのころから本格化するのだろう。チェルノブイリ原発の事故では避難対象になったような汚染地域にも福島第一原発事故のケースでは人が住んでいるようなので、深刻な事態が予想されている。 昨年の原発事故が日本列島の生態系に大きなダメージを与えつつあることは間違いないが、信じがたい幸運に恵まれたことも事実。当初、風が太平洋側に吹いていたため、日本人の立場からすれば放出された放射性物質の大半が太平洋へ流れて助かったこと、原子炉の内部で水蒸気爆発や水素爆発が起こらなかったこと、定期点検中だった4号機で行われていた炉内の大型構造物の取り替え工事でミスがあったおかげで使用済み核燃料プールの水がなくならなかったことなどだ。 アメリカの当局は4号機のプールから水がなくなっていると判断していたようだが、この工事ミスがなければ、つまり予定通りに工事が進んでいたならプールの水は蒸発して燃料棒は露出、大量の放射線と放射性物質を放出することになり、首都圏も全滅していた可能性がある。プール内の燃料棒が水に浸かり続けていたのかどうかは不明だが、ともかく予定外の水が存在していたことで東日本の人びとは奇跡的に助かった。 ところが、日本政府が幸運に感謝しているようには見えない。例えば昨年9月、フジテレビの「新報道2001」に出演した内閣府特命担当大臣の細野豪志は次のように語ったようである。「最終的には4号機のプールはずっと水があってですね、干上がってなかったんですね。ですから、そこは日本の認識のほうが正しかった。」 つまり、「4号機プールは危ないんじゃないかというふうにアメリカは言ってくれた」のだが、この認識は間違っていたと言いたいようだ。細野はプールが干上がる場合を「万万が一」と言っているのだが、工事ミスがなければ干上がるのが必然であり、首都圏を含む東日本が全滅していた可能性が高かった。もし、予定外の水を計算に入れていたのならば、そのように説明するべきだった。 細野に限らず、日本では閣僚も官僚も東電の経営者たちも嘘をつき続け、その嘘を嘘と承知でマスコミは垂れ流し、その嘘を受け入れている国民が存在する。そうした嘘を広める報道も多い。少なからぬ日本人は嘘で築き上げた妄想の世界に生きているのだ。 昨年3月11日の前から、電力会社が事故を隠すことはわかっていた。例えば、1973年3月に関西電力美浜原発1号機で起こった燃料棒の折損事故が発覚したのは事故の4年近く後であり、日本原子力発電敦賀原発で1981年1月に起こった冷却水漏れ事故がばれたのは4月になってから、また3月の放射性廃液流出事故も隠されていた。1999年6月には北陸電力志賀原発1号機では誤って制御棒が3本引き抜かれ、15分にわたって臨界になるという事故があったが、この事故が明るみに出たのは2007年3月だ。明らかになっていない事故があるかもしれない。 1995年12月には動燃(現在は日本原子力研究開発機構)の高速増殖炉「もんじゅ」でも事故隠しがあった。出力上昇の試験中に温度計が折れ、そこからナトリウムが漏れるという事故が発生、動燃は事故直後に現場をビデオ撮影しているのだが、このビデオは公開されず、12時間後に撮影されたビデオを編集した映像が公開されたのである。この件で調査を担当した、つまり事実関係を最も詳しく知っているはずの西村成生総務部次長は翌年の1月13日、ホテルの駐車で遺体となって発見された。 要するに「原子力ムラ」のメンバーは嘘をつくのである。情報を公開する意志はない。そんなことはマスコミも承知しているはずで、原子力ムラの情報を垂れ流す意味も十分に理解しているはずだ。つまり、情報を垂れ流した時点で「共犯」ということになる。 福島第一原発の事故後、原子力ムラの住民、その中にはマスコミ社員も含まれているわけだが、そうした人びとが突然、正直になったはずはない。今でも嘘をつき続けている。せいぜい、「アリバイ工作」的な報道を目立たないようにするだけのことだ。 勿論、マスコミは原子力の分野だけで嘘をついているわけでもない。例えば、中東/北アフリカの状況、アメリカなどで展開されている公平なシステムを求める抗議活動、ギリシャなどでの債務問題、沖縄の基地問題等々では米英の支配層にとって都合の悪い話は伝えず、嘘をついている。日本の経済問題でも支配層のプロパガンダ機関として機能してきた。 福島第一原発の事故から1年、日本のマスコミを信頼する人は大幅に減少しただろう。もっとも、報道の問題に多少でも興味がある人には「昔からわかっている」と言われそうだが。
2012.03.11
シリアの内戦を終わらせるため、コフィー・アナン元国連事務総長が国連とアラブ連盟の合同特使として交渉に乗り出し、バシャール・アル・アサド大統領と会談した。特使に任命されたのは2月23日。それから1週間もすると反政府軍は拠点のホムスから撤退、その一方で話し合いを呼びかけているアナン特使を反政府派は非難していると伝えられている。戦争/殺戮を望んでいるのは反政府派ということだ。 日本ではいまだに「デモ弾圧の続くシリア」という表現をするマスコミが存在しているようだが、実際は早い段階(恐らく最初)から武装蜂起であり、内戦。当初から反政府軍が市民を射殺しているという情報も伝わっていた。「西側」のメディアが取り上げなかっただけである。 昨年の春からアメリカの情報機関や特殊部隊、またイギリスやフランスの特殊部隊がトルコにある米空軍インシルリク基地でシリアの反政府軍、「SFA(シリア自由軍)」の将兵を訓練しているだけでなく、シリアの体制転覆を目指す外国の勢力が特殊部隊をシリア領内へ潜入させている可能性が高い。 外国の特殊部隊がシリアで活動していると最初に伝えたのはイスラエルのメディア。イギリスとカタールの特殊部隊が潜入しているとしていた。その話と符合する情報を民間情報会社ストラトフォーの電子メールに登場する。 この電子メールはハッカー集団のアノニマスがストラトフォーのサーバーから盗み出したもの。特殊部隊を送り込んでいる国として、そのメールを書いた人物はアメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコだと推測している。 また、反政府軍が撤退する際にフランスの将校が拘束されたとも伝えられている。レバノンのデイリー・スター紙によるとその数は約13名、レバノンのアセム・コンソア議員によるとフランスの将校18名と兵士100名が拘束されたという。 カダフィ体制が崩壊してから、大量の武器をNATO軍機がトルコへ運び込んでいるとも伝えられている。つまり、外国勢力が軍事介入していないと断言する「報道」は正しくないということだ。 シリアの内戦にはリビアで体制転覆に成功したアル・カイダ系の武装集団、リビア・イスラム戦闘団(LIFG)も参加している。アメリカ政府もシリアの内戦でアル・カイダがシリア政府打倒を支持し、戦闘に加わっていることを認めている。 国連事務総長が2007年にガーナのアナンから韓国の潘基文に、またIAEA事務局長が2009年にエジプトのモハメド・エルバラダイから日本の天野之弥に交代しているが、これらの交代は欧米の好戦派にとっては願ってもないことだったようだ。天野がアメリカに従属していることはウィキリークスが明らかにした文書でも確認されている。そこにアナンが再登場したわけである。NATOやイスラエルにとっては好ましくない方向に流れがかわりつつあるようだ。
2012.03.10
ヒラリー・クリントン米国務長官はイランからパキスタンやインドへ天然ガスを運ぶパイプラインの建設に強く反発している。このパイプライン計画に関し、パキスタンの大統領や外相はアメリカの圧力には関係なく完成させると発言している。パイプラインの距離は2775キロメートル、1日に2150万立方メートルの天然ガスを運ぶ計画。2013年に完成する予定だ。 インドもイランから石油を輸入し続けると宣言していたが、ここに来て保険会社が圧力をかけてきた。ヨーロッパの保険会社が保険の適用を拒否したため、インド最大に海運会社インド海運はイラン産原油の輸送を2月に断念したのだという。 南アジア、中東、北アフリカの戦乱はますますエネルギー戦争の様相を呈してきたと言えるだろう。それだけ欧米の支配構造は危機に瀕しているということだ。
2012.03.07
ハッカー集団「ラルズセック」のメンバー5名がアメリカで逮捕されたと伝えられている。幹部メンバーのヘクター・ザビエル・モンセガー(サブ)が昨年6月から当局に協力し、今回の逮捕につながったという。 昨年12月にストラトフォーのサーバーが侵入され、500万件以上の電子メールが盗まれる事件があった。この事件で中心的な役割を果たしたとされているジェレミー・ハモンド(アナーケイアス)も逮捕されているが、この件には当局に協力していたモンセガーも関与しているという。このハッキングが逮捕を決断させたのかもしれない。 ストラトフォーとはアメリカの民間情報会社で、情報機関などにもネットワークを持っている。そのため、同社の電子メールでは国家レベルの機密情報に触れる話も出てくる。そうした情報のひとつがシリアに侵入している特殊部隊の話。 アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、ヨルダンなどがアル・カイダ系の武装集団と手を組んでシリアの体制転覆を目指して暗躍していることは本ブログで何度も書いた。 イスラエルではイギリスとカタールの特殊部隊が参加しているという情報も伝えられているのだが、その話と符合する情報がストラトフォーの電子メールにも登場する。その電子メールを書いた人物は、特殊部隊を送り込んでいる国をアメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコと推測している。フランスの将校がシリアで拘束されたとも伝えられているが、十分にありえる話だ。 現在、こうした国々の支援を受けてシリア軍と戦っている主力は「SFA(シリア自由軍)」。昨年の春からトルコにある米空軍インシルリク基地で訓練をうけ、シリア領内への越境攻撃を繰り返してきた。訓練の教官はアメリカのCIAや特殊部隊、そしてイギリスとフランスの特殊部隊員だとも伝えられている。アル・カイダ系の武装集団はSFAと同じ側で戦っている。 ここにきてバラク・オバマ政権はシリアの反政府軍を公然と直接的に支援する動きを見せている。ジョン・マケイン上院議員などはシリア空爆を主張しているので、シリアの体制転覆に積極的だというところを見せようとしているのかもしれない。
2012.03.07
ネイチャー誌によると、2010年に朝鮮は核実験を行った可能性があるとスウェーデン国防研究局の環境学者、ラール・エリク・デ・ギーアは語っているようだ。2010年8月にこの問題を討議するために専門家がオーストリアのウィーンに集まったが、そのひとりがギーア。その後、1年間調査した結果、4月と5月に核実験を行ったという結論に達したのだという。 韓国の当局も同じ見方をしていたようだが、その実験にイランが関係しているという指摘も2010年当時からあった。その情報をドイツと日本の情報関係者が確認したという話がここにきてイスラエルで流れている。核弾頭、あるいは放射性爆弾を4月中旬と5月11日前後に爆破させ、そのうちの少なくとも1回はイランに依頼された実験だったというのだ。 イスラエルもイランが核兵器を開発しているとする情報を流しているようなので、少なくとも3カ国がイランの核兵器開発を主張しているということになりそうだ。この辺からの情報を現在のIAEAは重要視しているのだろう。 このIAEAとCIAが協力関係にあることをハンス・ブリックス元IAEA事務局長は明らかにしているが、この機関の背景を考えれば当然だろう。つまり、IAEAは原子力業界の機関であり、原子力業界は軍事と深く結びついているということだ。 ただ、CIAの分析部門はイランが核兵器を開発したという見方に否定的で、2010年の件に関しても異論がある。イラク攻撃前、アメリカの親イスラエル派はイタリアの情報機関SISMIを使ってイラクが「大量破壊兵器」を保有、あるいは開発中だと宣伝していた。このSISMIと同様、歴史的にドイツや日本の情報機関はアメリカの好戦派から強い影響を受けている。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を) ドイツや日本の話にしても怪しげな「状況証拠」の次元にすぎないようで、今のところ、真偽のほどは不明だ。CIAにしろモサドにしろ、情報機関の流す情報には事実もあれば、偽情報もあることを忘れてはならない。
2012.03.05
ギリシャの債務危機、シリアの内乱、イスラエルのガザに対する攻撃・・・こうした出来事を結びつけるキーワードは「エネルギー資源」だとする見方がある。2000年代に入ると地中海の東側に湾岸なみの天然ガスや石油が存在していることが明らかになり、この地域の支配を目論む動きが活発化しているということだ。勿論、目的はエネルギー利権。 イスラエルの沖、タマルでの調査がスタートしたのは2001年のこと。この海域でBG(ブリティッシュ・ガス)、そしてイスラエルのイスラムコ関連の企業群が共同で始めたのだが、2005年にBGは離脱し、翌年にアメリカのノーブル社がオペレーターとして参加、2009年に天然ガスを発見している。 発見した天然ガスの埋蔵量は2400億立方メートルだと言われ、今年には生産を開始するようだ。ちなみにビル・クリントン元大統領、つまりヒラリー・クリントン国務長官の夫はノーブル社のロビイストである。 USGS(アメリカ地質調査所)の推定では、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。イスラエルやガザだけでなく、ギリシャ、トルコ、キプロス、レバノン、シリア、エジプトがこうしたエネルギー利権に関係してくる可能性が高い。 ギリシャ、トルコ、キプロスの周辺でもノーブル社はエネルギー資源を開発している。湾岸の独裁産油国としても新たなライバルの出現は阻止したい、つまり自分たちの利権にしたいところだろう。 石油の探査/掘削技術を持つ人間が2001年にイスラエルへ入っている。その前年、ロシアでウラジミール・プーチンが大統領に就任したことが原因だ。 ボリス・エリツィン時代、ロシアはオリガルヒ(寡占支配者)と呼ばれる富豪に支配されていた。「規制緩和」や「私有化」の促進で国民の資産を格安の値段で手に入れ、巨万の富を築き、ロシア政府も手を出せない存在になっていた。 そのオリガルヒと対決したのがプーチン。政府の管理下に入ることを拒んだ富豪がロシアを脱出、イスラエルやイギリスへ逃げ込んだのである。その中にはロシアの巨大石油企業だったユーコスの幹部もいた。 ロンドンへ亡命したオルガルヒの代表格はボリス・ベレゾフスキー(亡命してからプラトン・エレーニンに改名)だが、この人物も少なくとも一時期はイスラエルの市民権を保有していた。 一方、イスラエルへ逃げたオルガルヒの代表格はアルカディ・ガイダマクだろう。2007年にガイダマクはイスラエルで「社会正義党」を結成、リクードのベンジャミン・ネタニヤフとは同盟関係にある。 振り返ってみると、アメリカ政府がシリアの体制転覆に乗り出したのは2005年頃であり、ギリシャの財政状況が急速に悪化したのは2009年。ギリシャの場合、財政を悪化させた原因は2001年に作られている。この年、ギリシャの通貨がユーロに切り替えられたのである。 通貨を切り替える際、ギリシャは債務の実態を隠す必要があった。その手法を教えたのがアメリカの巨大金融機関、ゴールドマン・サックス。ギリシャ国内の腐敗したエリートと手を組み、ギリシャを借金漬けにしたのである。借金の急増を国民やEUに知られないようにしつつ、投機集団からカネを受け取り、その代償として公共部門の収入を差し出すということが行われていたと言われている。 エネルギー利権を考えると、ギリシャは今が「買い時」だと考える人も少なくないだろう。絶妙のタイミングで「債務危機」が起こったとも言える。 借金を隠す手法としてCDS(Credit Default Swap/クレジット・デフォルト・スワップ)が利用されているのだが、この手法を可能にした法律「CFMA(商品先物現代化法)」がアメリカの議会を通過したのは2000年12月のことだ。 イスラエルは2008年12月から1月にかけてガザに軍事侵攻、経済的、あるいは社会的な基盤になる施設を破壊しただけでなく、国連施設や医療関係者や医療施設を攻撃、住民の住まいを破壊している。その際に化学兵器とも見なされている白リン弾も使用、1300名以上の住民を殺し、4000名以上を負傷させた。この軍事作戦でイスラエルの評判は一段と下がったのだが、それでも実行した理由のひとつはエネルギー利権だったのではないだろうか?
2012.03.05
内戦が続くシリアでホムスのババアムル地区は反政府軍の拠点になっていたが、この地域から反政府軍が撤退したと伝えられている。エジプトのアーラム紙によると、その際にフランスの将校18名と兵士100名が拘束されたとレバノンのアセム・コンソア議員は語っているようだ。 イスラエルでは、イギリスとカタールの特殊部隊がシリアの内戦に参加しているという情報も流れているわけで、驚きではない。が、フランスの将兵が実際に拘束されたとなると、フランス政府の立場は悪くなるだろう。 本ブログでは何度も指摘していることだが、反政府軍の主力と言われる「SFA(シリア自由軍)」はトルコ政府から守られながら越境攻撃を繰り返してきた。昨年の4月下旬から5月の上旬には将兵の訓練が始まり、教官はアメリカのCIAや特殊部隊のメンバー、そしてイギリスとフランスの特殊部隊員だとも伝えられている。アメリカ軍はヨルダンにもシリア攻撃の拠点を築いているとする情報もある。 ホムスでの戦闘激化はリビア情勢とも深く結びついている可能性が高い。つまり、リビアでムアンマル・アル・カダフィ体制が崩壊した後、アル・カイダ系のリビア・イスラム戦闘団(LIFG)がシリアへ兵士と武器を送り込んでいるのだ。反カダフィ軍は昨年11月下旬の段階で、数週間もすればシリアで自分たちの軍事行動が目に見える形になるとリビアの武装集団は語っていたのだが、その言葉通りにホムスで戦闘が激しくなっている。 ホムスでの戦闘が激しくなった直後から、反政府軍が市民を無差別攻撃しているという話が流れていた。ラテン・アメリカでアメリカの情報機関は「死の部隊」を編成して独裁政権を助けていたが、シリアでは反政府活動に「死の部隊」を導入したと言う人もいる。
2012.03.04
リビアではサハラ以南出身の人びとが手当たり次第に拘束され、収容所内では拷問と虐殺が横行していると報告されている。先月の下旬には、そうした人びとが動物園のオリに入れられ、旗を食べさせられている映像がインターネット上で流れ始めた。国際連合にはこの映像に関して調査し、説明する義務がある。 昨年3月17日、国連安全保障理事会はリビア上空への飛行禁止区域設定を盛り込んだ決議案を賛成多数で採択、市民を守るために「あらゆる必要な措置」を講じると表明した。賛成した国はアメリカ、イギリス、フランスのほか、レバノン、南アフリカ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コロンビア、ポルトガル、ナイジェリア、ガボンだった。 イギリス、フランス、そしてアメリカは「あらゆる必要な措置」として空爆を開始、多くの市民が殺された。4月の段階で「西側」の軍事顧問団がベンガジで目撃されたという報道があり、5月になるとSAS(イギリスの特殊部隊)が潜入している疑いが強まり、7月には、地上軍を派遣する動きが出ているとロシアのドミトリー・ロゴジンNATO特使が発言している。 NATO軍(英仏米軍)によるリビアの体制転覆作戦が最終局面を迎えた頃、イギリスの軍や情報機関は首都攻撃で「指揮官」として機能していた。例えば、暫定国民評議会が作成した攻撃プランをMI6のオフィサーが添削して整え、状況に応じてアドバイスを与えていたという。 その一方、イギリスは武器、通信機器、そして精鋭部隊をトリポリに送り込んで反乱軍を支援していたのだが、その反乱軍の中核がアル・カイダ系のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)。ムアンマル・アル・カダフィが惨殺された後、LIFGは兵士をシリアへ送り込んでいるようだ。ヒラリー・クリントン米国務長官も、当然、シリアの反政府軍を支援すればアル・カイダを助けることになると認識している。 昔、孫子という人物は「兵者詭道也」(兵とは詭道なり)と主張している。戦争は敵を欺かなければならないということのようだ。強者総取りの新自由主義経済を信奉する人にとって、庶民は略奪の対象でしかない。仲間などではなく、一種の敵だ。その敵を騙すことは強者にとって当然のことであり、リビアへ軍事介入する理由として「人道」を掲げたのも詭道なのだろう。 現在、中東/北アフリカは戦乱の中にあるわけだが、その切っ掛けは2001年9月11日の出来事。言うまでもなく、ニューヨークの世界貿易センターに立っていたタワーに航空機が突入、ビルは崩壊、同時に国防総省が攻撃されたわけである。犯人はアル・カイダだとジョージ・W・ブッシュ政権はすぐに断定、アフガニスタンを攻撃したのに続き、イラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを攻撃リストに載せたという。 所詮、石油利権の獲得にしろ、アフリカ諸国の自立阻止にしろ、リビア攻撃の目的は強欲なものであり、「人道」は口実にすぎなかった。その結果がサハラ以南出身者を動物のように扱うという人道に反する行為。シリアでも反政府軍が市民を虐殺していたという話が広がりはじめており、「西側」や国連の責任が問われることになるかもしれない。
2012.03.02
「国防権限法(NSAA)」は2012年のキーワードかもしれない。昨年12月31日にバラク・オバマ米大統領がサインしたこの法律によって、アメリカ政府は誰でも令状なしに逮捕し、無期限拘留することが可能になった。つまり、愛国者法を強化する法律なのだ。政府の政策に抗議する活動、戦争であろうと経済政策であろうと政府の方針に逆らう人びとや団体を弾圧できるようになったのである。国外では自国民の暗殺も実行済みだ。 要するに、シリアやイランと戦争する準備は整い、OWS(ウォール街占拠運動)を弾圧することも容易になった。在沖縄海兵隊のグアム移転関連費の全額削除をNSAAの本質であるかのように伝えることは間違っている。この法律の目的は戒厳令(愛国者法)を強化し、アメリカのファシズム化を促進することだと言うべきなのだ。 シリアの体制転覆を目指す工作はジョージ・W・ブッシュ政権が始めている。内部告発支援サイト、ウィキリークスが公表したアメリカ政府の外交文書によると、米国務省はシリアの反政府派へ2005年頃には資金援助を開始、ロンドンに拠点を持つ衛星放送のバラダTVを創設、プロパガンダを始めている。こうした流れの中で築かれたネットワークが現在、シリアにおける「政府軍の残虐行為」の情報源になっている。 イスラエルやアメリカの親イスラエル派(ネオコンなど)はイランやシリアへの攻撃を主張、国防総省もオバマ大統領が開戦を決断したときに備え、シリアとの戦争の「詳細なプラン」を作成したとも伝えられ、イスラエルがイランを攻撃する際にアメリカは燃料の補給に協力するとも報道されている。昨年の4月後半から5月前半の時期にNATO軍とアメリカ軍は反シリア政府軍、SFA(シリア自由軍)の訓練をトルコの米空軍インシルリク基地で始めたとする情報が正しければ、軍事介入はすでに始めているわけだが、直接的な軍事介入となると意味は違ってくる。 外国勢力がシリアの内戦に参加していることは間違いない。中でも注目されているのがアル・カイダ系の武装グループ。この話は「西側」も否定できなくなっている。リビアで体制を転覆させた後、アル・カイダ系のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)が兵士をシリアへ移動させ、大量の武器をNATO軍機がトルコへ運び込んでいるともいう。 それだけでなく、イスラエルではイギリスとカタールの特殊部隊がシリア領内で活動しているという情報も伝えられている。カタールやサウジアラビアなど湾岸の独裁産油国もシリアへの軍事介入に積極的な姿勢を見せている。 こうした中、オバマ大統領の周辺から流れてくる情報は、軍事介入に消極的だというものも目につく。グルジアのミハイル・サーカシビリ大統領に対しては、イラン攻撃への協力を求めたと言われているが、マーティ・デンプシー統合参謀本部議長はシリアの反政府軍に武器援助を時期尚早だと語り、ズビグネフ・ブレジンスキーはイランとの戦争に反対、アメリカがイランと戦争する意志がないことをイスラエルへ明確に伝えておく必要があると語り、イラン攻撃にも消極的な話が流れてくる。チュニジアで開かれた会議でオバマ大統領はシリアへの直接的な軍事介入に反対したとも伝えられている。イスラエルやアメリカの親イスラエル派などイラン攻撃を望む勢力としては秋の大統領選より前が勝負であり、オバマ大統領への圧力は今後、さらに強まる可能性が大きい。 たとえオバマ大統領が直接的な軍事介入に消極的だとしても、戦争を望む勢力の力は小さくない。開戦になれば、NSAAは絶大な威力を発揮するだろうが、この法律は戦争にならなくても支配層にとって強力な武器になることは間違いない。何しろ、世界的に資本主義経済は行き詰まっている。つまり、富の集中が限界に近づいて貧困化した庶民の怒りが噴出しはじめ、OWS(ウォール街占拠運動)も起こった。EUでも、金融/投機グループの餌食になったギリシャをはじめとする何カ国かで庶民は激しく怒っている。 そうした怒りが「反体制運動」になる前に、NSAAで徹底的に弾圧することになるかもしれない。こうした事態を予想し、アメリカの支配層は1980年代、ロナルド・レーガン政権の時代に戒厳令の準備が本格化している。このことは本ブログでも何度か指摘した。(詳しくは次に出す予定の拙著で書くつもりだ。) 日本でも昨年8月、「有識者会議」が「秘密保全法案」に関する報告書をまとめたという。アメリカと歩調を合わせ、ファシズム化を進めていると言えるだろう。そうした意味で、橋下某、石原某、河村某は体制派の流れに乗っている。中には「反米」を売りにしている人物もいるが、これは口先だけ。むしろ中国との関係を悪化させる道具として重宝されているのではないだろうか。「右翼」と見られていたが、アメリカとは一線を画すという姿勢だった中川一郎が危険視されたのとは対照的だ。
2012.03.01
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