コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~

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風とケーナ

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これまでの主な登場人物


登場人物イメージイラスト


物 語 目 次


頂き物のイメージイラスト


これまでのストーリー


第一話 ビラコチャの神殿


第二話 邂逅(1)


第二話 邂逅(2)


第三話 反乱前夜(1)


第三話 反乱前夜(2)


第三話 反乱前夜(3)


第三話 反乱前夜(4)


第三話 反乱前夜(5)


第三話 反乱前夜(6)


第四話 皇帝光臨(1)


第四話 皇帝光臨(2)


第四話 皇帝光臨(3)


第四話 皇帝光臨(4)


第五話 サンガララの戦(1)


第五話 サンガララの戦(2)


第五話 サンガララの戦(3)


第五話 サンガララの戦(4)


第六話 牙城クスコ(1)


第六話 牙城クスコ(2)


第六話 牙城クスコ(3)


第六話 牙城クスコ(4)


第六話 牙城クスコ(5)


第六話 牙城クスコ(6)


第六話 牙城クスコ(7)


第六話 牙城クスコ(8)


第六話 牙城クスコ(9)


第六話 牙城クスコ(10)


第六話 牙城クスコ(11)


第六話 牙城クスコ(12)


第六話 牙城クスコ(13)


第七話 黄金の雷(1)


第七話 黄金の雷(2)


第七話 黄金の雷(3)


第七話 黄金の雷(4)


第七話 黄金の雷(5)


第七話 黄金の雷(6)


第七話 黄金の雷(7)


第七話 黄金の雷(8)


第七話 黄金の雷(9)


第七話 黄金の雷(10)


第七話 黄金の雷(11)


第七話 黄金の雷(12)


第七話 黄金の雷(13)


第七話 黄金の雷(14)


第八話 青年インカ(1)


第八話 青年インカ(2)


第八話 青年インカ(3)


第八話 青年インカ(4)


第八話 青年インカ(5)


第八話 青年インカ(6)


第八話 青年インカ(7)


第八話 青年インカ(8)


第八話 青年インカ(9)


第八話 青年インカ(10)


第八話 青年インカ(11)


第八話 青年インカ(12)


第八話 青年インカ(13)


第八話 青年インカ(14)


第八話 青年インカ(15)


第八話 青年インカ(16)


第八話 青年インカ(17)


第八話 青年インカ(18)


第八話 青年インカ(19)


第八話 青年インカ(20)


第八話 青年インカ(21)


第九話 碧海の彼方(1)


第九話 碧海の彼方(2)


第九話 碧海の彼方(3)


第九話 碧海の彼方(4)


第九話 碧海の彼方(5)


第九話 碧海の彼方(6)


第九話 碧海の彼方(7)


第九話 碧海の彼方(8)


第九話 碧海の彼方(9)


第九話 碧海の彼方(10)


第九話 碧海の彼方(11)


第九話 碧海の彼方(12)


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2006.01.28
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カテゴリ: 第2話 邂逅

中央の右に座していた初老のインカ族の紳士が、コイユールたちに気付いて声をかけてきた。
白髪の混じり始めたその紳士は、どこかアンドレスと似た柔らかい雰囲気と風格があった。
「アンドレス様のご友人だそうです、ブラス様。」
先ほどアンドレスと叔父の仲介をした鷲鼻の男が説明をする。
他の男たちもテーブルに広げた書類から顔を上げ、アンドレスとコイユールの方に目を向けた。

「駄目だと言ったんですが…。」
アンドレスの叔父は、また気難しい顔をつくった。
そして、中央に座している人物、それはコイユールが神殿で見たその人だが、そちらの方にうかがうように軽く頭を下げた。
中央に座したその人は、穏やかな声で言った。
「かまわん。アンドレスがそこまで信頼している友人ならば、怪しい者ではあるまい。」
その言葉にアンドレスの叔父も、やっと安堵した様子で文句をやめた。

コイユールは声がかすれて言葉にならず、ただ深々と頭を下げた。
アンドレスは立ち尽くしている彼女をテーブル近くのソファに座らせ、自分もそのそばに座った。
フェリパ夫人も、コイユールを守るようにして彼女の近くに座った。

「コイユールは両親を鉱山のミタ(強制労働)で、たった6歳の時に亡くしているんです。」
アンドレスは大勢のいかめし男たちを前にしても、全く物怖じしない堂々とした声で言った。
「ご両親はどちらの鉱山に行かされたのですか。」
ひょろりとして細面の繊細そうな、というか、やや神経質そうな面持ちをした別の男が、コイユールに尋ねる。
その男も、アンドレスと同様、インカ族とスペイン人との混血のようだった。
「ポトシの鉱山だと聞きました。」
緊張の混じった少し震える声で、コイユールは何とか答えることができた。

再び、男たちは深い溜息にも似た声を漏らした。
「標高5000メートルもの高所に坑道が掘られ、火口は赤黒く燃え…あの鉱山での労働は、まるで地獄絵さながらだ。無期限の過酷な労働、虐待、食べ物もろくに与えられない…!」
アンドレスの叔父は巨人のような拳を握り締め、テーブルをダンッと激しく叩いた。
「畜生め…!」
大男が唸る。
それぞれの男たちの表情にも、強い憤りの色が滲んだ。

「今、ちょうど、ポトシの鉱山の話をしていたところなのだよ。」
神殿で見たのと同じ、あの中央に座した人物が、コイユールに視線を向けて言った。
「ご両親のことは、本当に辛かっただろうね。」
その目は憤りよりも、むしろ、深い悲しみを湛えていた。
コイユールは言葉も出ず、小さく頷いた。
他の男たちも頷き、そして、再び書類を広げて何かの相談に移っていった。





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Last updated  2006.01.28 21:58:28
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Re:コンドルの系譜 第二話(15) 邂逅(01/28)  
コタロン  さん
いまもポトシ鉱山で働くひと、働きたいひとは大勢いて、それは月に100ドル稼げるからなのだというけれど、粉塵まう命をけずる重労働だとききました。

コイユールの生きていた頃であれば想像を絶しますね。

小説の醍醐味のひとつにこのような会合や会議のシーンがありますね。

コタはこんなシーンが大好きで
学生のころから勝手にいろんな武将を頭に思い浮かべていろんなことをいわせあって楽しんでいました。

ひとりひとりを動かすにはその一人の人物の背後関係や生い立ちを詳細に調べなくてはならないので大変な作業だと思います。

でもね、そういうの楽しんで調べて登場させているひとの書き物ってひとあじちがって読んでいる方もわくわくするんだヨね。

たったひとことしゃべらせるにしても万巻の書籍に目を通す必要もある。けれどそれにまして必要なのはその人物への思い込みというか情熱だよね。

デリケーナンからはそれが伝わってくるので最後まで楽しんで読ませてもらおうと思います☆ (2006.08.13 13:12:11)

Re[1]:コンドルの系譜 第二話(15) 邂逅(01/28)  
風とケーナ  さん
>ポトシ鉱山
今でも南米は政治的にも経済的にも、不安定で厳しい側面が残りますね。
植民地時代の爪跡は、まだまだ癒えてはいないように感じます。

コタロンさんは、とても丁寧に歴史上の人物たちの背景を追い、正確な描写をされることと推察できます。
自分の場合は、どちらかと言えば、コタロンさんが気付かれているように、思い込みと情熱で走っているかも。
彼らの生きざまの輝きを際立たせるために、いろいろな意味で、敢えて自由度の振れ幅を大きくしています。
その分、精度は欠けるかもしれませんが、大目に見て頂ければ幸いです。     (2006.08.15 02:35:32)

四十八手。  
四草めぐる  さん
( ̄Λ ̄)ゞ んむっ

風とケーナさん、ちょっと遊んでみてもいいですかw
四草めぐるです。

この場面は、緊迫した場面だとは思うんですが。

だからこそむしろ壊したいw
自分自身で客観的にこの場面を読む為に。
ま、思い入れを排し、いったん冷静に読みたいという事ですな^^
何をやるかと言いますと、ウソコイーユル四草めぐる風味、劇場ですw
では始まり始まりw

※注、風とケーナさん、ジョークなので気を悪くしないで下さいね。

*****

「あんたがトゥパク・アマル? 何だか思ったよりしょぼいんですけど?」

「う、うむ」

「そうね。私が勝手に大人物だと思い込んだだけの事ね」

「う、う、うむ」

「そうなのね。よく分かったわ」

「う、う、う、うむ」

と、コイーユルは心の中で思った。
そして、結局、気持ちを言葉にせず黙っていた。
当然、トゥパク・アマルたちは、コイーユルの内心などには気づかず。
書類に目を通していた。

難しい事が書いてある書類にだ。

思わず、う、うむという言葉が漏れてしまうような。
そこには、あのロペス提督も混じっていたとか、いないとか。
と、オチたかな? オチたとおもうけどw
即興ですからw、スンマソン。

マリリンマンソン。

*****

ここから真面目にです^^

というか言葉が出ないほどに緊張して、
本当は、何も考えられなかったんでしょうね。コイーユルは。
それは神殿で、初めて見た神々しい彼を知っているからだと思います。

そして彼は、これから先に世を変える何かをしてくれる。

同時に自分たちも立ち上がらなければと期待しまくったんでしょう。
だからこそ余計に緊張するのでしょう。でもアンドレスも格好いいですねw
コイーユルが惚れるのも分かります。

風とケーナさん、神殿の彼はやっと登頂しましたぞ?

今度はロペスを目指すぞ!
おーえす! おーえす! では、では。
草々。 (2012.08.22 22:34:27)

四草めぐるさま☆:゜*  
風とケーナ  さん
ぷははは(≧∇≦)
コイユール、
こちこちに緊張して言葉も出ないのかと思いきや、
内心、こんなこと思ってたんですね~☆:゜*

確かに、今のコイユールの中では、
期待やら希望やら、いっぱいいっぱい膨らんでいそうだから、
それこそ、神殿で見たみたいに、
インカ皇帝が、太陽神が、
甦ったに違いない!!くらいの勢いで☆
なので、四草めぐるさまのコイユール心境は、
案外、真相だったりして?!(*´艸`*)

そ、それに、
「う、う、う、うむ」って、、、トゥパク・アマル~(爆☆)
いきなりトゥパク・アマルまで、いじって頂けるとは、
さぞやトゥパク・アマルも真っ青になってることでしょう(((((。≧艸≦)ウクク…
あう☆うむ! ロペスもいそうですよね(笑) 
ひ~まいったなぁ^ ^;ゝ

それにしても、
やっぱり、四草めぐるさまの書くコイユールは、
何言ってても、かわいいんですよね~^ ^
コイーユル四草めぐるさま風味、劇場♪
大変ご馳走さまでしたww

*****

真面目なご感想も、どうもありがとうございます!
まさしく四草めぐるさまのご高察の通りです。
コイユールの思いや緊張、期待、希望、
ズバリ読み取って頂けて、とても嬉しく思います。

それに、アンドレスにまで!☆:゜*
トゥパク・アマルが出てきて、
影が薄くならないよう頑張りたい彼ですので、
四草めぐるさまのお言葉に、
大きな味方を得た思いで、歓喜していることでしょうw

>おーえす! おーえす!

よくわからないけど、なんだか可笑しい(笑)
おーえす! おーえす!

(2012.08.23 00:14:58)

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