コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~

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風とケーナ

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kopanda06 @ Re:コンドルの系譜 第十話(151) 遥かなる虹の民(07/24) New! こんばんは。 いつもありがとうございま…
紅子08 @ Re:コンドルの系譜 第十話(151) 遥かなる虹の民(07/24) New! おはようございます! いつもありがとうご…

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これまでの主な登場人物


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物 語 目 次


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これまでのストーリー


第一話 ビラコチャの神殿


第二話 邂逅(1)


第二話 邂逅(2)


第三話 反乱前夜(1)


第三話 反乱前夜(2)


第三話 反乱前夜(3)


第三話 反乱前夜(4)


第三話 反乱前夜(5)


第三話 反乱前夜(6)


第四話 皇帝光臨(1)


第四話 皇帝光臨(2)


第四話 皇帝光臨(3)


第四話 皇帝光臨(4)


第五話 サンガララの戦(1)


第五話 サンガララの戦(2)


第五話 サンガララの戦(3)


第五話 サンガララの戦(4)


第六話 牙城クスコ(1)


第六話 牙城クスコ(2)


第六話 牙城クスコ(3)


第六話 牙城クスコ(4)


第六話 牙城クスコ(5)


第六話 牙城クスコ(6)


第六話 牙城クスコ(7)


第六話 牙城クスコ(8)


第六話 牙城クスコ(9)


第六話 牙城クスコ(10)


第六話 牙城クスコ(11)


第六話 牙城クスコ(12)


第六話 牙城クスコ(13)


第七話 黄金の雷(1)


第七話 黄金の雷(2)


第七話 黄金の雷(3)


第七話 黄金の雷(4)


第七話 黄金の雷(5)


第七話 黄金の雷(6)


第七話 黄金の雷(7)


第七話 黄金の雷(8)


第七話 黄金の雷(9)


第七話 黄金の雷(10)


第七話 黄金の雷(11)


第七話 黄金の雷(12)


第七話 黄金の雷(13)


第七話 黄金の雷(14)


第八話 青年インカ(1)


第八話 青年インカ(2)


第八話 青年インカ(3)


第八話 青年インカ(4)


第八話 青年インカ(5)


第八話 青年インカ(6)


第八話 青年インカ(7)


第八話 青年インカ(8)


第八話 青年インカ(9)


第八話 青年インカ(10)


第八話 青年インカ(11)


第八話 青年インカ(12)


第八話 青年インカ(13)


第八話 青年インカ(14)


第八話 青年インカ(15)


第八話 青年インカ(16)


第八話 青年インカ(17)


第八話 青年インカ(18)


第八話 青年インカ(19)


第八話 青年インカ(20)


第八話 青年インカ(21)


第九話 碧海の彼方(1)


第九話 碧海の彼方(2)


第九話 碧海の彼方(3)


第九話 碧海の彼方(4)


第九話 碧海の彼方(5)


第九話 碧海の彼方(6)


第九話 碧海の彼方(7)


第九話 碧海の彼方(8)


第九話 碧海の彼方(9)


第九話 碧海の彼方(10)


第九話 碧海の彼方(11)


第九話 碧海の彼方(12)


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2006.03.23
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カテゴリ: 第3話 反乱前夜



教会の傍のアンドレスの館の前を通りかかると、そろそろ暮れかけの夕闇の中に、ニ階のアンドレスの部屋の窓から柔らかな灯りがこぼれている。
まだ休暇中のアンドレスが、自室にいるのだろうか。
(何をしているのかしら…。)
窓を見上げてそんなことを思いながら、しかし、今日はそのまま館の前を通り過ぎ、コイユールは家路を急いだ。

間もなく夜の帳が下りてくる。
彼女の住む貧しい農民たちの住まいは、ここからかなり先の辺鄙な地にある。
ますます年老いた祖母を、長時間一人で残しておくことが心配だった。
コイユールは半ば駆け足で、道を急いだ。

ちょうど露店の並ぶ繁華街も終わりにさしかかった辺りだった。
鮮やかな刺繍の布が並べられた露店の陰から、ふいに小さな男の子が飛び出してきた。
コイユールが駆けてきたのとちょうど鉢合わせになってしまい、男の子はステンと前に転んでしまった。

コイユールが「あっ!」と思った時には、既に子どもは地面に腹ばいに倒れていた。
まだ4~5歳の、とても幼い少年である。
コイユールは慌ててその場に跪いた。
「ごめんね!私が…。」

コイユールが助け起こそうとすると、少年はゆっくりと自分で身を起こした。
少年は顔を下向き加減にしたまま、口をギュッと結んで、健気にも泣くのをこらえている。
見ると少年の膝のあたりがすりむけて、血が滲んでいる。
相当痛みがあるに違いないのに、その幼い子どもは黙って痛みを我慢していた。

コイユールは息を呑んで、切ない思いと申し訳なさから、改めて謝罪の目で少年を見た。
褐色の肌をしたインカ族のその少年は、あどけないながらも気品ある風貌をしており、身なりもかなり高貴な衣を着せられている。
どこかの貴族の子どもかしら…。

少女のようなサラサラの綺麗な黒髪と澄んだ黒い瞳、そして、年齢に似合わぬ、すっと切れ長の目元が印象的だった。
(この男の子、どこかで見たことがあるような…。)
ふとそんな気がしたが、それよりも、とにかく手当てをしないといけない。

コイユールは急いで懐からハンカチを取り出して、少年に「ちょっとだけ、ね、触ってもいい?」と、少年の目の高さから優しく問いかけた。
少年は泣くのをこらえてはいるものの、涙を潤ませた瞳で、少し驚いたようにコイユールを見た。
が、コイユールの眼差しに安堵したのか、小さくコクンと頷いた。





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Last updated  2006.03.23 21:03:12
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