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「敵兵どもがマルセラ殿や脱獄した仲間たちを見つけてしまう前に、我らが何としても先に見つけ出し、上階のインカ軍に安全に合流できるよう加勢せねばならん」
冷静さを取り戻して語るロレンソの周囲では、部下たちが頷きながら、顔を見合わせている。
それにしても、一体、どこに身を隠しているのか――皆、心配そうに眉根を寄せた。
マルセラ本人と、彼女が解放した捕虜とを合わせれば、数十名規模の集団になっているはずだった。
それだけの集団が、このような場所を移動していれば、それなりに目立つはず。
しかし、この地下道に降りてくるまでにも神経を研ぎ澄ませて彼らの気配を探してきたが、今までのところ、その気配は微塵も感じられなかった。
(この地下道も、奥深くへ進むほど、人気(ひとけ)が無くなっていく。
恐らく、マルセラ殿は、敵兵の目を逃れるために、この地下道のもっと奥まった場所まで入り込んでいるに違いない)
何かの見えざる手に引き寄せられるように、ロレンソたちは、足音を忍ばせつつも、疾走速度を上げながら、さらに地下道の深部まで踏み込んでいく。
敵の番兵たちさえも殆ど見当たらぬような地下道の深所は、まるで悪魔の喉笛の中にでも彷徨い込んでしまったかのような、おどろおどろしさである。
ツーッと、暗黒の天井から滴り落ちる水雫が、不意に頬や首筋をかすめ、ゾクッと身の毛がそそけ立つ。
【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆
≪アンドレス≫(インカ軍)
トゥパク・アマルの甥で、インカ皇族の青年。
若くして剣術の達人であり、若くしてインカ軍を統率する立場にある。
スペイン人神父の父とインカ皇族の母との間に生まれた。混血の美青年(史実どおり)。
ラ・プラタ副王領への遠征から帰還し、現在は、英国艦隊及びスペイン軍との決戦において、沿岸に布陣するトゥパク・アマルのインカ軍主力部隊にて副指揮官を務める。
≪ロレンソ≫(インカ軍)
アンドレスが学生時代を過ごしたクスコ神学校時代の朋友。生粋のインカ族。反乱幕開けと共に、インカ軍に参戦した。
アンドレスに比して大人びた風貌と冷静な性格を有し、公私に渡ってアンドレスを助けてきた。
≪マルセラ≫(インカ軍)
トゥパク・アマルの最も傍近い護衛官である重臣ビルカパサの姪。
アンドレスやロレンソと同年代の年若い女性だが、青年のように闊達で勇敢な武人。
女性ながらもインカ軍をまとめる連隊長の一人で、ロレンソの恋人でもある。
砦の敵中に囚われ捕虜の身となっていたが、脱出をはかった。
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