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管理会社に対する不満を仕事柄よく聞きますが、果たして管理会社は管理組合の要望に応えられるような業務力があるのでしょうか?数回の日記に分けて、考察してみます。まずは、会計業務。ご存知の通り国交省の管理業者登録に必要な基幹事務のひとつです。大きく三つの業務に分類されます。1.月次会計報告。毎月理事会が開催されないマンションも管理者(理事長)へ月次報告書が送付されていると思います。業務レベルはどうでしょうか?Cは最低限のレベル、Bは通常の対応、Aは丁寧な対応になります。Aの対応を行うことで管理組合は「しっかり業務をやっている」なと受け取ると思います。 Cランク:資料配布のみ→理事会資料として月次会計報告を配布する。読み合わせは行わない( 理事会のない月は理事長へ送付)Bランク:資料配布+説明理事会で月次会計報告の説明を行う。質問があれば簡単なことはその場で回答、専門的なことは持ち帰って次回理事会で回答を行う。Aランク:レクチャー+資料配布+説明+中間監査新役員に対してマニュアル等を併用して月次会計報告の読み方をレクチャーする。半期に監事へ中間監査を行ってもらう。帳票類を準備し、管理組合に対して質問があったことは即答する皆さんのマンションはどうですか?2.年次会計報告会計年度を締めたら、定期総会に提案する年次会計報告案を提出します。Cランク:資料配布+監事に監査依頼→年次会計報告を理事会に配布するが月次で毎月報告しているからと読み合わせを行わない。監事には領収書類等を渡し、いついつまでに監査するよう依頼Bランク:資料配布+理事会説明+監事に監査依頼→年次会計報告を監査同席の理事会で読み合わせを行う。質問があれば簡単なことはその場で回答、専門的なことは持ち帰って書面等で回答を行うAランク:資料配布+理事会説明+理事会と別に監事に説明+質疑応答は専門的なことを即答できる方を同席→理事会とは別に、監事へ監査方法等の説明を行う。また、時期的に理事会で質問したことへ管理会社は即答できなければこまるので、会計に詳しい会計部署やフロントマン上席者を同席する3.年次予算会計年度前または決算時に合わせて予算案を提示します。 Cランク:資料配布+簡単な説明→昨年の収支状況を踏襲した予算案を作成。昨年のままであるからと十分な説明を行わないBランク:資料配布+物価変動や駐車場等契約率等を反映+説明→電気料の上昇、消費税値上げ、駐車場契約率等を反映した予算案を作成。読み合わせを行うAランク:Aランク+長期修繕計画の反映+赤字が生じた場合の改善提案→長期修繕計画に計上されている工事項目を予算に含めるか検討、また、収支に赤字が生じた場合、改善策を提案。これらの議論は、短時間でできることではないので、暫定予算案の検討は会計年度を締める前に行うことになる現実的にフロントマンの能力に依存している部分があり、不慣れや面倒くさがりのフロントマンはCランク、通常のフロントマンはBランクくらいの対応になります。Aランクはエースクラスのフロントマンやよほど会社のバックアップ体制ができている管理業者であれば対応してもらえるかなというところです。(管理会社が自発的にAランクの対応をすることは少ないでしょう)次回は収納業務について考察したいと思います。 にほんブログ村
2013.12.31
前回の日記の続きです。理事会が私物化された時に、理事を解任するためにはどうすればよいのでしょうか?大きく二つの方法があります。1.裁判による解任請求2.区分所有法による組合員および議決権数5分の1以上の総会招集請求です。裁判による請求は、お金もかかるし、時間もかかります。また理事会が弁護士を擁立することが考えられます。ただ単に個人的に気に食わないや、証拠不十分(憶測での理事会批判)では、解任は認められることは難しいでしょう。5分の1以上の総会招集請求は手続きをきちんと踏まなければ、解任の有効性について揉めることが予想されます。流れとしては・・1)臨時総会請求の代表者を立て、新役員候補を選び(解任しても新役員が選任されなければ、引き続き解任された役員が理事を務めるため)、総会議案を作ります。2)1)について組合員および議決権名の5分の1(20%)以上の同意を得ます。一般組合員は組合員名簿をもっていないため、大変な作業になります。同意は口頭ではなく、署名と押印をもらっておく必要があります。3)内容証明郵便で解任する理事会の理事長あてに、臨時総会開催を請求すると同時に、請求する議案詳細書および2)の同意書を郵送します。4)3)開催後2週間以内に総会請求がない場合は、2)の同意者は総会を招集することができます。総会で決めた役員を解任するわけですから、管理組合内部は混乱しますし、新旧役員の人間関係はしばらくの間は悪化することを覚悟しなくてはなりません。 【年末年始の営業】2013年も大変お世話になりました。イダケンは1月4日が仕事始めです(事務所のスタッフによっては1月6日から)2014年も管理組合運営をよりよくするお手伝いができるよう尽力しますのでよろしくお願いします♪ にほんブログ村
2013.12.30
理事会と意見が対立する組合員が、輪番制(持ち回り制)で来期の順番が回ってくる、また、立候補で役員候補になるとします。どんなことが起きるのでしょうか?事例から考えてみます。エントランス扉を自動扉化にしようと今期理事会が検討していますが、意見対立し役員候補になる方は反対派であるとします。期中には総会上程まで準備が進まないため、役員が代替わりしたら、これまで検討したことがリセットされる懸念を今期役員は心配しています。1.輪番制の役員の場合、声の大きい役員の意見になびき易い。また、声の大きく自分の意見を通したい方が理事長になると、強引に意見を通す可能性がある2.最終決定は総会決議であるが、そもそも理事会で否決されると、総会に上程されることがなくなる今期理事会の役員の定足数の過半数が留任し、来年も役員へ再任する方法が考えられます。原則役員候補は輪番制や立候補と決まっていても、総会上程議案は理事会で決められることから、規約の「再任を妨げない」規定を使うことができます。総会が白紙委任(委任者を記載しないと議長一任になる)や議決権行使書の書面提出で済ませる方が多くなると、ほぼ理事会の意思で総会決議ができてしまいます。理事会の考え方が、あらぬ方向に進み、管理組合を代表しているはずが、組合員の意見に耳を傾けないような、偏った運営方針を持つようになると、再任による役員の固定化は危険な要素があります。長期固定化を防ぐために、任期上限(例えば、再任しても4年までしか役員ができない等)を設けることが考えられますが、戸数の少ないマンションで、制約を設けると、任期上限があだとなり、役員の成り手がいなくなることが考えられます。総会で組合員がしっかり考えて議決権を行使したり、監査機能がしっかりしたりすることで抑止できる問題とはいえますが、分譲マンション管理の実態は、組合員の無関心、名前だけの監事というケースが大半です。さて、 役員が固定化し、組合員の意見に耳を傾けず、管理組合の私物化が始まった場合はどうすればよいのでしょうか?次回に続きます! にほんブログ村
2013.12.25
前回の日記の続きです。持ち回り制、立候補で役員候補を決める場合は、管理費等滞納等規約違反組合員が候補に選ばれる場合があります。役員は総会決議で選任されるとは言え、選挙(投票)方式ではなく、定足数分一斉に決議されることとなるので、ひとりだけを不信任にするという選択肢がありません。総会でこの人は不適任だ!と大きな声では言えなさそうですし・・ 総会上程案作成が理事会に委ねられる以上、理事会が候補者を選ぶことになります。過去の総会決議や理事会運営細則で、役員候補選出方法がきまっており、規約違反組合員の取り扱いを明記していない場合、判断基準が難しくなります。標準管理規約に準拠していれば (規約及び総会の決議の遵守義務)区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び総会の決議を誠実に遵守しなければならない。(役員の誠実義務等)役員は、法令、規約及び使用細則その他細則(以下「使用細則等という。)並びに総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする。以上の内容が記載されています。規約に定めれられた区分所有者(=組合員)の義務を果たさず、役員の誠実義務は果たすことに疑問がある。これは、総会・細則で定められていなくとも選任対象から外すことの理由付けになるとは思います。 但し、立候補・持ち回りで、規約違反組合員が候補者となり、総会説明で名前を挙げて選任対象から外したことを説明するのには勇気がいります。イダケンの考察。1.総会決議や細則で、立候補・持ち回り制の候補者選定基準があり、資格要件が規約で組合員のみとしている場合でも、規約に照らし合わせて適任者かを理事会で判断したという考え方は理由付けとして成立する可能性はあります。2.規約違反組合員が候補者となった時に、どのような対応をすべきかは、総会で話し合い、取り決めしておく必要があります。さて・・規約違反組合員の役員選任から外すことは理由付けができたとして・・理事会の方針に全うから意見対立する組合員が、持ち回りや立候補で役員候補になった場合、理事会で排除することは可能でしょうか?例えば・・修繕積立金改定の検討を進めており、1期中に結論が出ません。理事会で値上げの方向性で次期役員へ先送りするものの、次期役員候補に、値上げの反対派がいます。決議は総会で行なうとしても、総会上程議案を決めるのは理事会。これまで理事会や組合内で話していたことがリセットされ、反対の方向に進むことがあります。白紙委任状で総会決議がほぼ確定する管理組合では、理事会の考え方が、規定路線になります。さて・・どうすればいいでしょうか?次回に続く! にほんブログ村
2013.12.17
12月は平日を含めて第3週まで予定がびっしりで、ブログの更新が滞っているイダケンです。12月12日は月例のセミナーを新宿事務所で開催。7名の参加を頂きました!ありがとうございます☆7月から定例化したセミナー。来年も継続的に開催したいと思います♪さて、本題です。役員(理事と監事)の資格要件は、規約で定めることになります。マンションの組合員(区分所有者本人)のみと定めているケースがほとんどです。役員候補者の選任方法については、規約に明記していることは少なく、総会や細則で定めているか、定めていない場合は、総会議案の作成者である理事会が決めます。輪番制(持ち回り)、立候補、推薦・・いろいろな方法がありますが、管理規約違反組合員が対象になった場合はどのようにするかです。規約に「組合員」と定めていれば、規約違反組合員にも当然権利はあります。権利はあるものの、規約・総会決議に基づき管理組合運営の執行をつかさどる役員に、規約・総会決議を守らない規約違反組合員は適任であるとは言えません。総会・細則で、輪番制又は立候補と定めた場合、規約違反組合員が役員候補になった時は、不適任だという理由で、理事会判断で対象からはずすことはできるのでしょうか?基準がない中、総会・細則の原則に従わず、対象からはずす事は、理事会が総会・細則の規定を遵守してないではないかといわれてしまいそうです。 続きは次回! にほんブログ村
2013.12.15
長期修繕計画が国交省標準様式に準拠している言っても、様式に含まれる頁は複数あるため会社によって管理組合に提出する成果物のボリュームがまちまちであること、また、修繕項目が細かかったり、わらりやすかったりと違いはあり、各社長期修繕計画の「出来」はばらばらです。(←国交省標準様式だからどこも同じと思った大間違いです)過去の修繕履歴の反映や、蓄積されたデータに基づく経験的観測による修正や、コストダウンするための提案が全くもり込められていない。その結果実際行う修繕と大きく乖離しています。 「こういう風に計画を工夫すれば管理組合が喜んでもらえる」「こういう風に調整すれば管理組合内の剛毅形成がとりやすい」という努力は全く見られません。事例をあげます。築14年。機械式駐車場が約100戸のマンション。管理受託戸数TOP10に入る大手管理会社が作成し、提示した長期修繕計画で、補修・修繕に架かる累計工事費は30年トトータルで3億円強。これまで日常保守点検を除き、必要となった金額はパレットの鉄部塗装を含めても1000万円強。交換は25年目に予定されており、約1億円。交換以外の修繕費がなんと2億円以上も必要という提案なのです。これなら15年に1度交換した方が修繕コストは割安です。メーカーの修繕計画を参考にしたとのことですが、メーカーの計画と実態の乖離がどれくらいあるのかは、大手管理会社であれば十分データがあるはずです。それが全く反映されていません。フロントマンは「うちの会社の長期修繕計画書は、国交省に準じており、専門部署がつくっているので自信を持って提出できます」と信じて疑わない・・そうでなければ、他人の部署がやったことで自分で読み深めようとしないのです。管理会社作成の長期修繕計画書はあくまでも素案で、中身は管理組合と作成者が話し合いを行い、最適化を計っていかなければなりません。管理会社の精度が低ければ全体の金額が高くなることも考えられますし、逆にメーカー推奨や保証等にこだわりすぎた計画だと、割高になります。一般的な長計はこうだだが、こんな考え方もあるのでは代替案の検証も必要だと考えます。管理会社提案以外の計画はリスキーだと考える方。リスクだという根拠を示せますか? 精度の低い計画の下、高すぎる修繕積立金や安すぎる修繕積立金を納め続けることもリスクではありませんか?長期修繕計画は専門的すぎてわからない。そんな皆様のために2013年12月12日(木)19時30分からイダケン事務所で「長期修繕計画」をテーマにしたセミナーを開催します。会場は当事務所新宿支社で、会費は無料。定員は8名です(本日現在5名の申し込みあり)興味のある方、参加希望の方は下の画像をクリックして案内頁をご確認ください。 にほんブログ村
2013.12.03
長期修繕計画はある。でも、その計画書が活かされていない理由のひとつは、その中身を理解していないことにあると思います。トータル数億円におよぶ計画書を管理組合に理解されないのは・・・1)国交省標準様式通りという説明を受け、国交省のガイドラインに作成されていれば問題ないという思い込み2)プロ(管理会社等)が作成しているのだから、問題がないという思い込み3)プロ(管理会社等)は、説明しても管理組合はわからないだろうと決め付け、わかりやすい解説や、時間をかけた説明をしようとしない4)計画を作成しているものは建築関係の部署であるが、説明しているものはフロントマンが多い。建築関係に明るいフロントマンは少ない。また、長計の構成を詳しく理解していないので、内容詳細や管理組合の質問に対して、適切な回答ができない5)管理組合が長計の位置付け、重要な役割を理解していない大きく5つの理由が考えられます。また、国交省の標準様式は複数の頁で構成されていますが、数字を羅列している様式第4-1総括表、4-2収支計画グラフ、4-3修繕項目別・年度別修繕計画表、4-4修繕工事費内訳書、様式第5修繕積立金の額の設定のみしか組合に提示されていないことが多いのです。(管理会社によっては、この書式の一部しか提示しない会社もある)長期修繕計画は何か?具体的にどのようなことが書いてあるかを記載した様式第3-1号長期修繕計画の作成・修繕積立金の額の設定の考え方、様式第3-2号推定修繕工事項目、修繕周期等の設定内容を知ることが重要です。様式第3には(1)長期修繕計画の目的(2)計画の前提等(3)計画期間の設定(4)推定修繕工事項目の設定(5)修繕周期の設定(6)推定修繕工事費の算定(7)収支計画の検討(8)計画の見直し(9)修繕積立金の額の設定が記載され、管理組合に説明資料として配布される別表第4の成り立ちを説明しています。数字(別表第4・5)を成り立たせる根拠(別表第3)がわからなければ、深く計画をすることは難しいでしょう。イダケン事務所では12月12日(木)19時より長期修繕計画をテーマにした勉強会を開催します。会場は当事務所、新宿支店。会費は無料です。定員は8名になります。通常、管理会社が掘り下げて説明してくれないような内容を、簡潔に説明すると共に、皆様の質問にお答えします。勉強会終了後は、管理組合の情報交換会として懇親会を開催します。こちらは会費は2千円。もちろん勉強会のみの参加も可能です。 詳細・申し込みは下記バナーをクリックして専用頁で確認ください。 にほんブログ村
2013.12.02
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