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今日のまとめ 1. ロシア株式市場は悪材料が重なり急落した 2. ロシアの外貨準備は減り始めた 3. ロシア株は割安だが原油価格が確実に底打ちするのを待ちたい ■悪材料が重なるロシア ロシアの株式市場の下げがきついです。8月22日までの過去3ヶ月の間にロシアの主要大型株10銘柄で構成されるDJロシア・タイタンズ10指数は ▼28%も下げました。世界経済の減速が先進国のみならず新興国にも波及することを心配する資金がBRICsをはじめとするエマージング・マーケットから撤退していることがその一因です。しかし、ロシアの場合は、それに加えて幾つかのロシア固有の悪材料が指摘できます。先ず原油価格が7月に天井をつけ、反落に転じていることが挙げられます。下のグラフはDJロシア・タイタンズ10指数をインドのボンベイ・センセックス指数と比較したものです。原油価格が反転して暫くした後にボンベイ・センセックス指数が底打ちしているのに対して、ロシア株は下げ足を速めていることがわかると思います。(出典:ウォール・ストリート・ジャーナル)原油価格の調整は未だ始まったばかりだし、世界経済の減速傾向はここへきて一層鮮明になっていますから、原油価格の下落局面は長引くと考えるのが順当でしょう。 次に7月下旬にプーチン首相が鉄鋼会社メチェル(ティッカー:MTL)に対し「ロシア国内での販売価格を不当に高くした」とコメントし、同社株が暴落しました。メチェルの価格政策に問題が無かったかどうかは議論する余地があると思いますが、しかるべき手続きを踏まえて企業活動を規制、監視してゆくのではなく、首相の「鶴の一声」で個別企業に懲罰を加える姿勢は国際機関投資家の多くにユコス事件を思い出させました。これにロシアによるグルシア侵攻が重なり、「ロシアへの投資はリスクが大き過ぎる」という感想を持った投資家は多かったと思います。 ■急激に悪化する外貨準備 こうした海外資金の動揺を反映して、今までは「鉄壁だ」と思われてきたロシアの外貨準備に早くも綻びが見え始めました。8月22日に発表された統計では先月に比べ164億ドル外貨準備が減り、5810億ドルとなっています。このことは海外の投資家の資金がロシアから逃避し始めたことを示唆しています。 ■割安株がゴロゴロあるロシアだが いま、ロシアの代表的な銘柄の株価収益率(PER)を見ると下のグラフのように極めて低い数字になっています。ロシアの株式市場全体では8倍程度です。 問題はロシアの石油会社、天然ガス会社の大半は生産量が頭打ちであり、EPSが伸びるためには石油価格の上昇に依存する形になっている点です。若し来年の原油価格の平均が今年より低いようだとこれらの企業の収益成長はマイナスになることは避けられません。一般にEPS成長がマイナスの株は、それがたとえどんなに安くても、なかなか投資家からは顧みられないものです。ですからロシア株に投資するのは確実に原油価格が底打ちした事が確認されてからでも遅くはないと思います。
2008年08月25日

今日のまとめ 1. 世界の景気は急に減速している 2. 原油価格の下落は様々な商品の価格プレッシャーを和らげる 3. 素材、エネルギー株の市場予想数字は原油価格下落を十分織り込んでない 4. 日用品・食品、ITなどのセクターに投資対象を絞り込みたい ■原油価格の下落と世界経済の減速 原油価格が一本調子で下げています。高値からの調整幅は約22%です。世界の景気が急に悪くなっているという認識の広まりが原油安の主な原因だと思われます。事実、8月14日にユーロスタットは第2四半期のEU地域のGDPが年率▼0.8%のペースでマイナス成長したと発表しました。原油価格の下落は石油を原料とするさまざまな製品の価格のみならず、穀物や運輸部門などのサービス業に至るまで、幅広い分野における価格上昇圧力を和らげる効果があります。その反面、素材産業やエネルギー産業などにとっては急激に企業収益の見通しが暗転する危険をもたらします。 ■アナリストの予想数字は大丈夫か? いま、新興国のセクターの今年のコンセンサスEPS成長予想を見るとエネルギーが約50%成長、素材が約30%成長など、商品価格が高止まりすることを前提とした予想になっています。今後、これらの予想数字はどんどん下がってくる可能性があります。 ■セクター別年初来パフォーマンス いまBRICs各国のセクター別年初来パフォーマンスを示すと下のグラフのようになります。先ずブラジルですが今年は同国の株式市場のパフォーマンスが比較的良かったこともあって、エネルギーや素材のセクターの下げ幅は他国に比べるとまだまだ少ないです。下値リスクが十分に織り込まれているとは言えない水準です。 ロシアの場合、日用品・食品などの、本来であれば景気後退局面では強い筈のセクターの下落が激しかったです。これは同セクターが去年まで余りに人気になり過ぎ、株価評価が極端に割高になっていた事の反動が来たためです。従って収益見通しが急激に悪化したという事ではありません。金融セクターの下げがきついのはロシアのインフレ率の上昇が嫌気されたためです。また、エネルギーのセクターの下げ幅が比較的少ないのは、そもそもロシアのエネルギー関連株が世界のエネルギー関連株より大幅に出遅れていて、株価水準がもともと低かったことが関係しています。 インドの場合、人気の高かった通信のセクターの下げがきついほかは、ほぼ投資の教科書通りに、日用品・食品といったディフェンシブなセクターが比較的健闘しています。 中国の素材セクターはBRICsの他の国の素材企業ほど寡占化が進んでいないため、逆に過当競争のあおりを受けて大きく売られています。その他では日用品・食品のセクターの下値抵抗が強いことが目を引きます。 ■激しいセクター・ローテーションが予想される 経済の話に戻ると、EU15カ国のGDP成長がマイナスを記録したのは1990年代初頭以来の出来事です。サブプライム問題に苦しんでいる米国の経済も冴えません。つまり現在の世界経済の置かれた状況は10年に一度あるか、ないかという、極めて厳しい環境なのです。ところが石油や非鉄金属や鉄鋼などのセクターの株価水準は過去5年の世界経済の好調の余韻を残して、まだまだ高値に近い水準で取引されています。これらのセクターはもともとボリューム成長ではなく、商品価格の高騰に売上成長や利益成長の大部分を依存する収益構造となっていますから、ひとたび商品価格が下落トレンドに転じると1年以上に渡って売上、利益成長がマイナス成長になる可能性が高いです。ですから当面の投資戦略としては景気後退局面に強いと言われる日用品・食品に代表されるディフェンシブ・セクター、ならびに、出遅れて休養十分なITセクターなどに投資対象を限定した方が無難でしょう。
2008年08月18日
今日のまとめ 1. 連立与党が不信任投票を切り抜けた 2. 国際原子力機関(IAEA)が米印原子力協力協定を承認 3. 原油価格が下落すればインドの株式市場には好材料 ■連立与党が政権を維持 インドの連立与党、統一進歩同盟(United Progress Alliance)は野党から不信任投票(No-confidence vote)の挑戦を受けていましたが、7月22日にこの投票に勝ち、政権を維持することが決まりました。統一進歩同盟の中核をなすのはインド国民会議(コングレス党)です。今回の勝利でマンモハン・シン首相と彼の出身政党であるインド国民会議は米国との間で2006年の1月の基本合意以来、交渉が続けてきた米印原子力協力協定の交渉をいよいよ締結に持ち込むために必要な時間を何とか稼ぐことが出来ました。 ■国際原子力機関(IAEA)は原発協定を承認 米印原子力協力協定は、その前に先ず国際原子力機関の承認を取り付けることが必要になります。これについては8月1日に国際原子力機関とインド政府との間でインドの民生用核施設を国際原子力機関の監視下に置く保障措置協定が調印され、国際原子力機関は米印原子力協力協定を承認することが確認されました。 ■今後のハードル 次は原子力供給グループ(NSG)と呼ばれる45カ国がこの保障措置協定を承認する必要があります。これは或る程度難航することが予想されます。そしてそれが承認されれば、いよいよ米国議会がこの協定を批准する必要があります。しかし米国では11月に大統領選挙があるため、米国側の審議は来年1月に持ち越される可能性が高いです。一方、インドでは来年の春には議会の総選挙が控えています。このようにまだまだ超えなければいけないハードルが幾つか存在します。 ■株式市場への影響 原発協定がインドにとって重要な理由は、現在、インドでは電力が不足しており、インフラストラクチャーの整備無くしては安定的な経済成長が出来ないところまで来ているからです。またシン政権が不信任投票を乗り切ったという事は政局の混迷を避けることが出来たという点で投資家は安堵しました。 ■インド経済の近況 インドの卸売物価指数は12%に迫ろうとしています。これは当然、懸念すべき材料です。このためインド準備銀行は7月29日にレポ・レートを50bp引き上げ9%としました。またキャッシュ・リザーブ・レシオは25bp引き上げられ、9%となっています。さらにインド政府は今年度のGDP成長予想をこれまでの8~8.5%成長から8%成長へと引き下げました。インフレ予想の方はこれまでの5.5%から7%へと引き上げられています。 ■原油価格はインドにとって重要 インドの場合、原油を海外からの輸入に頼っていること、そして石油製品に対して補助金を政府が出していることから原油価格が上昇すると貿易収支と財政収支にダブルパンチを喰らいます。最近、原油価格が下落しはじめていることは、見方を変えればインドにとってダブルでプラスであると言う風にも取れます。原油価格の先行きに関しては未だ予断を許しませんが、原油価格の下落が続けばインド株式市場に思わぬサマー・ラリーが到来することも考えられます。 ■インド株式市場のバリュエーションについて インド株式市場は株価収益率で約15.5倍、株価純資産倍率では約2.9倍で取引されています。これは過去の同市場のバリュエーションに照らすと、大体、中間くらいの水準で割高感はきれいに払拭されています。先月、世界の投資家はインドから30億ドル程度資金を引き揚げました。これは近年に無い大幅な処分売りです。過去の経験則ではこういう慌てた売り物が出た後はマーケットが急角度で戻す例が多かったです。
2008年08月04日
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