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今日のまとめ 1. 「ドル不足」というのは経済用語ではなく造語である 2. 「ドル不足」は証券取引・財務取引の巻き戻しから生じる 3. 加えて「ドル不足」は米国経済の減速の結果として生じる 4. 「ドル不足」は新興国経済の急激な鈍化のリスクを高める ■「ドル不足」とは 最近、よく聞く言葉に「ドル不足」という表現があります。この「ドル不足」というのは昔から金融市場で日常的に使用されている経済用語ではなく、新しい流行語です。造語である以上、その定義は未だ定着していない観がありますが、私の考えでは現在の「ドル不足」とは次のような状況を指していると思います。 【証券取引・企業の財務取引などに起因するもの】 これは極めて短期の、今、起こっている状況です。先ず世界のマーケットが混乱しているので投資家は不案内な遠い外国への投資を減らし、自国に資金を呼び戻し(=これをリパトリエーションといいます)ています。たとえば外貨建て投信を解約する行為というのはリパトリエーションの一例に他なりません。その場合、実際に投資家の要求に応えて運用会社がやることはそのファンドで持っていた外国の債券や株式を市場で売却し、現地通貨を売り、日本の投資家にお金を返す場合は円に転換、またアメリカの投資家の解約に応じる場合はドルに転換するわけです。これは円買い、またはドル買いの需要を増やします。 そういう証券投資からくるドル買いのニーズに加えて金融機関の信用供与の打ち切りという問題があります。つまりサブプライム問題により大量の価値の毀損した流動性に欠ける資産を抱え込んでしまった米国の金融機関はこれ以上リスクを増やすわけにはいきませんから外国での融資の打ち切りなどの措置を講じます。するとこれまでなんの不自由もなくドルでお金を借りられていた企業が突然、資金繰りに困ったりする事態が発生するのです。「借り換えができない!」この「寝耳に水」の事態に直面して企業の財務担当者は「ドル不足」を実感しているわけです。 これらの「ドル不足」の事態を一層深刻にしている要因が新興国の銀行や事業会社が「世界で最も有利な金利の国から資金を借りよう」という発想で有利な条件を求めた結果、日本円や米ドルでの調達を増やしていたことが裏目に出たということが挙げられます。国際的に評判の高い、信用力のある企業ほど資金政策の高度化、国際化を進めていましたから突然、資金を引き揚げられて「立つ瀬が無い」状況に陥ったのです。 【米国経済の減速に起因するもの】 これから米国経済は減速すると考えられています。過去の経験では米国の経済が後退すると消費は低迷します。これが輸入の減速につながり、結果として米国の貿易収支は改善に向かう場合が多いです。米国で景気後退があった年は1970年、1975年、1980年、1982年、1990年、2000年ですが、下の米国の貿易収支のチャートを見ると景気後退に大体呼応する形で貿易収支が改善しているのがわかります。(唯一の例外は2000年です。)アラクルーズの株価チャート(出典:データ360ドット・オーグ) 米国の貿易赤字が減るということはすなわち新興国など、米国への輸出で外貨を稼いでいる国の外貨の積みあがりのペースが鈍化することを意味します。つまり全体の量として米国国外に蓄積されるドルの増え方が減速したように見えるわけです。これがドルの「不足感」を醸成するのだと考えます。 ■「ドル不足」が意味するもの さて、それでは「ドル不足」は世界の経済にとってどういう影響を持つのでしょうか?現在のように世界の投資家や事業家が経済の先行きに不安をもっている場合、「国際化なんて、ろくなことは無いな」という消極的な発想がどうしても台頭します。すると経済政策が内向きになります。1930年代のアメリカの大恐慌はスムート・ホーレイ法に代表される国内優先政策があだとなって逆に世界経済の混迷を深める結果となったと今では広く理解されています。従って世界のリーダーはその過ちを繰り返さないよう、一致団結して問題解決に取り組もうとしている態度がみられます。これは大変心強いことです。しかしひとたび国のレベルから金融機関、ないし事業会社のレベルに降りてくると事態は深刻です。つまりビジネスのレベルでは世界のいたるところに自由な資本取引の断絶が既に起き始めているのです。これまで好調だったBRICsなどの新興国ほど資本調達コストの下落の恩恵を大きく蒙ってきました。それが突然、奪い去られると新興国ではモノが生産できなくなるばかりではなく新しく開花した消費セクターにも深刻な打撃を与えます。すると新興国の経済成長が大きく減速するリスクが出るのです。
2008年10月27日

今日のまとめ 1. ブラジルの輸出企業が相次いで巨額の為替ヘッジ損を発表 2. 大幅なブラジル・レアルの下落は長い目でみればプラス 3. 株価純資産倍率で1倍を割り込む銘柄が増えた ■相次いで巨額の為替ヘッジ損を発表するブラジル企業 食肉加工業者のサディア(ティッカー:SDA)、工業コングロマリットのヴォトランチン・グループ、ユーカリの木からパルプを生産しているアラクルーズ(ティッカー:ARA)など、このところブラジルを代表する優良企業が相次いで巨額の為替ヘッジ損を発表し市場関係者を震撼させています。 ブラジル・レアルは去年20%上昇した後、今年の年初から8月までに更に14%上昇しました。ブラジルの輸出企業はこのすさまじい通貨高に苦しめられてきました。少しでも国際競争力の減退を防ぐため、各社必死の思いで為替ヘッジを多用してきました。 しかしこの夏、原油価格が天井を打ったあたりから資源国の通貨は逆に急落しはじめました。ブラジル・レアルの場合、8月から3割ほど下落したのですが、この想定外のレアル急落で1年分の利益を全部吹き飛ばすような巨額の含み損を抱える企業が続出したのです。 ■アラクルーズの決算 その一例として10月17日に発表されたアラクルーズの第3四半期決算は赤字の7.65億ドルでした。同社は工場の拡張計画を凍結し、植林のための土地の取得を半減させ、減配すると発表しています。今期の為替ヘッジからくる特別損は12.6億ドルでした。アラクルーズの為替予約契約はストライク価格が1.76レアルで、予約期間は平均12ヶ月です。ちなみに2008年10月20日現在の為替は1ドル=2.12レアルです。アラクルーズの用いた為替ヘッジ契約はレアル安になった場合、実際に動いた差額の2倍を支払うような契約となっていたことも傷口を広げる原因になりました。このヘッジ契約がもとでアラクルーズの財務部長は解雇されています。アラクルーズの株価チャート(チャート出典:ビッグチャーツ・ドットコム)アラクルーズのADRは6月の高値の92ドルから10月17日の引け値$15.67迄、▼83%も急落しました。 アラクルーズの主力製品はユーカリの木から加工されるマーケット・パルプ(紙の原料)です。同社の製品の大半は輸出市場に回されます。マーケット・パルプはグローバルなコモディティーですから世界的な商品相場に影響されます。アラクルーズの得意とするハードウッド・パルプ(ユーカリの木から採れます=繊維が柔らかい点が特徴です)はとりわけティッシュペーパーに適しています。ティッシュペーパーは比較的景気に左右されません。 今後は世界の景気が減速しているためマーケット・パルプの市況も下がってくると予想されます。しかし燃料費の下落などで操業コストが下がるのでマージンの縮小は比較的軽微だと思います。アラクルーズの株は株価純資産倍率で0.68倍の水準迄売り込まれました。同社の資産内容は極めて優良なユーカリの木のプランテーションならびに加工・輸出設備が大半を占めています。巨額の為替差損で一時的なショックが加わるとはいえ、同社の資産の長期的に見た優位性は変わらないと思います。 ■大幅なレアル安は輸出企業にとってプラス ここで忘れてはならないことは為替ヘッジ損の事件を除けば大幅なレアル安はブラジルの輸出企業の国際競争力を蘇生させるということです。また、海外の投資家の立場からするとこれまではブラジル企業の株価安とブラジル・レアル安というダブル・パンチで損を蒙ったわけですが、レアルが自律反発すると株価の戻りとダブルで上昇力がある点も忘れたくありません。 ■株価純資産倍率から見た株価水準いまブラジルの代表的な輸出企業を株価純資産倍率の点から見ると1倍、つまり簿価割れの企業が散見されるようになっています。大きな特別損を計上したアラクルーズとサディアに関しては先ずその損がバランスシートに与えるショックを乗り越えなければなりません。また今後同様の損を発表する企業も出てくる可能性はあります。しかしそれさえ切り抜ければブラジルの輸出企業の株価は一般に割安な水準にあると言えるでしょう。 株価純資産倍率(PBR)株価対売上比率(PSR)アラクルーズ(ARA)0.68倍1.02倍ヴォトランチン(VCP)0.75倍1.41倍サディア(SDA)0.35倍0.11倍ペルディゴン(PDA)2.01倍0.74倍エンブラエル(ERJ)1.41倍0.65倍
2008年10月20日
今日のまとめ 1. 今期決算は五輪終了後の経営環境を窺い知る良い機会である 2. 新興国経済がどのくらい減速しているかの感触を探ろう 3. 経営陣の言葉の選び方、ニュアンスに注意しよう ■10月下旬から決算ラッシュ 世界の株式市場が混乱しているので企業業績の事は忘れられがちですが、10月下旬からは2008年第3四半期(9月期)の決算発表が各社から相次いで発表される予定です。今期の決算に私が特に注目するのは以下の理由によります: 1. 中国企業に関しては五輪終了後の経営状況を初めて窺い知る機会だということ 2. カンファレンス・コールで新興国経済がどのくらい減速しているのかのアネクドート(伝聞情報)が得られると期待されること 3. 原油や銅などの商品価格の急落を関係企業がどう今後のガイダンスに盛り込んで行くかが注目されること 4. 米国への輸出に異変が出ているかどうか 5. BRICs国内の内需が金融市場の混乱によって影響を受けているかどうか以下に代表的な銘柄の予想数字を抜粋しておきます。なお、予想の新鮮さについては多くのアナリストが最近、予想の数字を更新している企業に関してはその予想が「新鮮」であると判断しました。銘柄ティッカー決算発表日EPS予想売上予想PER予想の新鮮さザナインNCTY 55セント6850万ドル6.63新鮮パーフェクトワールドPWRD 45セント5474万ドル10.1新鮮ジャイアントGA 18セント6691万ドル20.6新鮮シャンダSNDA 55セント1.32億ドル10.6新鮮ネットイーズNTES 38セント1.08億ドル11.6新鮮ソーフーSOHU 95セント1.15億ドル13.3新鮮シナSINA 41セント1.03億ドル18.9古いバイドゥBIDU10月22日$1.251.35億ドル49新鮮フォーカス・メディアFMCN 53セント2.32億ドル10.5新鮮エアメディアAMCN 12セント3065万ドル30.7新鮮ビジョンチャイナVISN10月30日22セント3548万ドル17.8古いニューオリエンタルEDU10月30日$1.111.08億ドル30.1古いホーム・インズHMIN 13セント7521万ドル33.3古いグーシャンGU 23セント6293万ドル2.92古いアグリアGRO 6セント1130万ドル6.33古いウーシーWX 10セント7384万ドル11.3新鮮チャイナ・メディカルCMED 51セント4128万ドル13.6新鮮マインドレイMR 23セント1.52億ドル29.8新鮮スリーエスSSRX 14セント943万ドル11.4古いCTCメディアCTCM 18セント1.32億ドル7.27古いメチェルMTL $1.1829.6億ドル1.33古いウインビルダンWBD 83セント7.6億ドル9.77新鮮ヴィンペルVIP 53セント28.7億ドル11.6新鮮予想は08年9月期、PERは08年EPSに基づく、株価は10月10日引け値を使用出典:ヤフー・ファイナンス ■決算の数字以外にどこを見るか? さて、決算発表に際しては今期の数字がEPSと売上高の両方の面でコンセンサスを上回ったかどうかをチェックしてください。それと同時に来期以降のガイダンス(会社側予想)が引き下げられていないかどうかにも注意する必要があります。 さらに決算のカンファレンス・コールを聞かれる方は次のような独特の言い回しに気をつけるとよいと思います:「セールス・サイクルが長くなっている」→セールス・サイクル(sales cycle)とは見込み顧客へアプローチをはじめてから、商談が成立するまでに要する時間です。これが長くなるのは、普通、需要が落ち込む前兆だとされています。「バックエンド・ローデッドになっている」→バックエンド・ローデッド(backend loaded)というのは四半期の決算の〆の直前に多くの商談が駆け込みで成立する状況を指しています。そのように売上高が期末に集中する様子を「ランピーだ(lumpy)」という風に表現する場合もあります。或いはちょうどアイスホッケーのスティックのように先端だけが跳ね上がっていることに例えて、「ホッケー・スティック(Hockey stick)型だ」と形容する場合もあります。これらは全てムリして数字を達成しようとする企業側の努力の形跡です。その努力自体は良いのですが、そもそも営業環境自体が厳しくなっていることを暗示しているわけで、これらは全て悪い兆候であると理解されています。「売掛金が増えている」→売掛金は通常、DSO(Days Sales Outstanding)で計られます。これは売掛金の回収に要する日数で:DSO = (売掛金 ÷ 売上高)× 日数(四半期ならほぼ90日)で計算されます。これが増えていると売掛金の回収に要する日数が増えていることになります。その場合、2つの懸念が生じます。先ず上のバックエンド・ローデッドの議論と関連して、その期の期末にかけて駆け込みの売上高の計上が大量にあったことが疑われます。またそうでない場合は顧客が買った製品やサービスに対して何らかの不満を持ち、支払いを遅らせているケースも想定しないといけません。「ビジビリティー(visibility)が下がっている」→ビジビリティーというのは日本語で言えば「視界」です。視界が悪くなっているというのは、つまり数字が読みにくくなっているということに他なりません。経営陣の漠然とした売上に対する不安を表す表現として決算のカンファレンス・コールでしばしば登場する言い回しです。
2008年10月14日

今日のまとめ 1. 中国を除く新興国の銀行は一般にコア・デポジットが貧弱である 2. 金利の変動は利鞘縮小リスクを招来する 3. 景気後退はローンの焦げ付きリスクを高める■過去の新興国の危機との違いいまアメリカの金融界は金融システムに対する不安で揺れています。アメリカの金融不安は新興国へ飛び火するでしょうか? 今日はその可能性について考えてみたいと思います。その前に指摘しておきたいのですが、金融不安がアメリカから新興国へ飛び火するというパターンは、実は過去とは違う順番です。昔なら、先ず新興国がおかしくなって、それが先進国の金融機関を脅かすという順番だったのです。これは1980年代のラテンアメリカの債務危機の場合もそうですし、1998年のルーブル危機もそうでした。新興国の金融機関は住宅ローン関連の証券化商品への関与も限定的であり、その意味では一見、今回の危機には巻き込まれていないように見えます。しかしもう少し詳しく見ると、実はリスクと背中合わせであることがわかるのです。■リスクその1 ファンディングの問題皆さんは「コア・デポジット」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは小口預金のような、銀行員の方がコツコツ集金して積み上げた預金のことを指します。日本の銀行はこの小口預金がファンディング(=貸し付けを行う際の原資の調達のことを指します)の大半を占めています。コア・デポジットの比率が高いことは良いことです。なぜなら往々にしてそのコストは低いし(=これは預金金利が低いことを意味します)、市場の状態に左右されにくい、安定的な資金だからです。翻って世界の銀行、とりわけ新興国の銀行を見るとこのコア・デポジットの比率が非常に低い場合が多いです。我々日本人の感覚だと社会人になって自分の銀行の口座を開くと、先ず給与の振込みなど、貯金の面で銀行のお世話になり、住宅ローンなど借りる方で銀行にお世話になるのは、人生のもう少し後の局面であるということが一般的だと思います。新興国の場合、庶民と銀行の「お付き合い」は必ずしも上のような順序を取りません。そもそも銀行に対する信頼感が低いので、銀行にお金を預けるという習慣自体がつい最近始まったばかりなのです。もちろん、コア・デポジットを積み上げることが好ましいことは新興国の銀行の経営者も皆、理解しています。しかし全般的に言えばコア・デポジットの充実は遅々として立ち遅れてきたと言わざるを得ません。例えばインドの銀行の場合、コア・デポジット対融資比率は 3割程度です。この一方で融資に対する需要は近年の新興国の好景気でどんどん増えました。ロシア、インド、ブラジルなどの国では融資残高は年々20%から35%程度も成長してきたのです。すると足らない差額は資本市場から調達してくるということが常態化します。ロシアの銀行業界は去年、総額にして700億ドル以上のファンディングを海外の市場から資金を引っ張ってくることで間に合わせました。市場から資金を調達してくると、資本市場が現在のように機能不全を起こしてしまうと借り換えがしにくくなります。また、為替市場が変動し、新興国の通貨の価値が下落すると調達した資金を返す際に返済負担が増えてしまうリスクもあります。今回の危機でも既にロシアではこうした問題が生じ、ロシア政府がズベルバンク、VTBなど主要銀行に資金を用立てるなどの救済策が発表されました。なお、中国の銀行は潤沢な預金を抱えているのでファンディングの問題はありません。■リスクその2 インフレと金利の問題原油高からくるインフレ・プレッシャーを受けて、新興国ではこのところ各国とも金利の引き上げ局面にありました。インドでは8月の卸売物価指数は12.3%と、過去13年で最も高くなっています。インド準備銀行は6月と7月に都合3回にわたってレポ・レートを引き上げ、9%にしています。高インフレは金利の上昇を招き、金利が上昇すると借り手は利払いに苦しみます。また新規の借り入れ需要も減ります。さらに預金の期日が短い場合、金利上昇に合わせてどんどん預金の金利を上げないと預金が逃げてしまうリスクもあります。インドのICICI銀行の場合、下のグラフのように、定期預金の期日は1年以内の短期のものが殆どで、コア・デポジットのリプライシング(=ここでは金利が上昇すること)がどんどん進行しています。一方、同行の融資のポートフォリオを見ると、住宅ローンにせよ、プロジェクト・ファイナンスにせよ、長期の貸付の方が多いのです。つまり貸し付けの側の平均的な融資期間と調達の側の期限がミスマッチを起こしている場合が多いのです。すると上手にリスクを管理しないと金利上昇局面では貸付利鞘がどんどん縮小しかねません。なおブラジルは昔からハイパー・インフレを経験してきたのでブラデスコやイタウ銀行、ウニバンコなどの現地主要行は、この手のリスク管理にかけては他の新興国の銀行より洗練されています。■リスクその3 景気の減速インドでは過去3年間は毎年GDP成長率が9%を越えていました。しかし今年の第2四半期(6月期)は7.9%へと減速しています。住宅、自動車向けのローンも減速しています。このように景気が減速した場合、それが新興国の貸付ポートフォリオにどういう影響を与えるかはこれから細心の注意を払う必要があります。インドの場合、顧客の信用データ・ベースが未熟であり、信用リスクは一般に先進国より高いです。さらにそもそも消費者への貸付という事自体の歴史が浅いため、景気後退期にどのくらい焦げ付きが出るかという予測自体がたいへん困難な状態です。ロシアの場合、不動産開発業者への貸付は既に一部焦げ付きはじめているという報道があります。中国の銀行は歴史的に法人や国有企業への貸付の比率が高く、個人への貸付の比率が低いです。このことは不動産開発や建設など、景気に敏感な貸付先が焦げ付くリスクが高いことを示唆していると思います。
2008年10月06日
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