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柳生新陰流の開祖石舟斎の生涯を、その師である神陰流の上泉伊勢守秀綱との交流を中心に描いた長編時代物です。技術を突き詰めるあまり、剣の心というものが疎かになっていた石舟斎が秀綱と立ち合うことで目覚め、秀綱に教えを請いながら日々研鑚を重ねて遂には無刀取りの極意を得るという剣術的な部分と、その腕ゆえに松永久秀、足利義昭、徳川家康と仕え、様々な争いに巻き込まれる政治的な部分がバランス良く描かれていて面白く読むことができました。山岡荘八にしては珍しく(?)1巻完結なので試しに読んでみるにはいいと思います。
2002年03月31日
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バブル崩壊で会社も金も失い、妻子とも別れて小さな問屋で飼い殺しのような生活を送っていた主人公だったが、母が心臓病でこのままでは長くないと告げられ、何とかしようと奔走するうちに鴨浦に天才的な心臓外科医が居ることを知った。見切りをつけて冷淡な兄や姉はわざわざ危険な手術をする必要は無いと言って手を貸そうとはしなかったため、主人公はただ一人、会社のバンを借りて母を百マイル離れた鴨浦まで運ぼうと決意した。落ちぶれ、母が危険な状態になって初めて金があった時には見えなかったものが見え、立ち直ろうとする主人公と、周囲の様々な人間の描写が非常に印象的で良かったです。 「鉄道員」のような短編も上手いけど長編の方が作風的に合うかも知れません。 オススメ。
2002年03月30日
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総美学園3年A組に新しく担任としてやってきた教師は鋭い目と顔の下半分を覆う髭を持つ男性であった。彼は外見のみならず言動も変わっていたため、前に勤務していた名門校で何か問題を起こしてこの学園にやって来たのではないかという噂も聞かれたが、事実はそれどころでは無かった。学校という特殊な空間の中での教師と生徒のという微妙な関係の怖さというのは題材としての新鮮味はありませんが、描写がしっかりしているので良い(?)雰囲気が出ていると思いました。最後もお約束だけど綺麗に纏まっています。
2002年03月29日
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百姓一揆の騒動に巻き込まれ、過って妻を殺してしまった岩松は、その時の咎めるような妻の目が頭から離れず、罪を償うため出家して自らに厳しい修行を課した。 呵責や煩悩に迷いながらも修行の旅を続ける岩松はある時、笠ヶ岳の山頂で虹色の光輪に包まれた妻の像を目にした。再びそれを見たい一心で山登りを続ける岩松に未踏の絶峰、槍ヶ岳開山の話が持ちかけられる。日本の山には僧や山伏によって初登攀されたものが多くあるということは知っていましたが、具体的な話は初めてで興味深く読むことが出来ました。著者得意の山岳と時代物が上手く融合した一殺。
2002年03月28日
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突然街の中に出現した全裸の男女、アダムとイブと名乗る彼等は禁断の木の実を食べて神の怒りに触れ、エデンの園から追い出されたのだと言う。売名のパフォーマンスか頭がおかしいのか、数々の検査の結果、何と本物だという結論に達した。世間は大騒ぎし、様々な学説や陰謀が飛び交い・・・という表題作の他、人類の滅亡を示唆するような題材を多く扱った短編集です。題材は暗くても、それを感じさせない柔らかな文章がふわっと読ませるのは相変わらず安定した出来です。鋭い毒が効いたものが読みたい時には向きませんが、そうでなければ安定して楽しめる一殺。
2002年03月27日
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タイトル通りです(笑)猫が大好きな爪とぎ器を捨てた男を見舞った運命「ストレインジ・フルーツ」、ホテルで売っていた避妊具の装着感が悪く、店主に苦情を言うと・・・「サムライ・ホテル」、無理をして刷った流行作家の初期作品集が全く売れず「無理心中恨返本」など、奇妙な怖さや面白さのある短編集です。雰囲気は阿刀田高に似た印象もありますが、タイトルや設定に不思議な郷愁のようなものが漂っていて独特の味わいがあります。話の幅も広く、人を選ばない一殺。
2002年03月26日
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剣術師範の息子ながら剣には一片の才能も見せず、囲碁ばかりやっていた少年が山の中で出会った謎の男に教えられ、一年後必殺の突きを会得して戻ったが、その為に平穏な人生から遠ざかってゆく表題作の他、主君が果し合いで討たれたもののその息子は体が弱く、学問を好んだ為彼を助けて仇討ちの旅に出た「助太刀佐兵次」など、剣の道について考えさせられる短編集です。ただ強いというだけではいけないという内容は爽快感には欠けますが、剣術を中心とした様々な人間模様は興味深いものがありました。勧善懲悪やチャンバラに飽きた人向き。
2002年03月25日
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「新宿鮫」シリーズの4冊目です。クールな外見と低価格で新宿の若者を中心に急速に広がっている新しいドラッグ“アイスキャンディ”、ところがその実体は睡眠薬などとは一線を画する本物のヤク、覚醒剤であった。新宿鮫は製造元が国内であると見当をつけ、販売ルートから手繰り始めるが、予想以上に大掛かりで周到な相手が姿を現してくる。大沢在昌というと、ハズレも無いけど目の覚めるような当たりも無い、無難なハードボイルド作家という印象が強いのですが、このシリーズだけは別格です。 きちんと性格の立っているキャラ、ぐいぐい先を読ませる緊迫の展開、事件の裏に隠された複雑な人間関係など、どれも高い水準で引き込まれます。 直木賞受賞も納得の一殺。
2002年03月24日
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人体を街に見立て、肝硬変末期の会社員に検査を受けるよう危機感を抱かせるため延髄末端を目指して旅をする情報細胞を描いた表題作の他、完全に死ぬまで9回の生を生きる虫の意識を描いた「九死虫」、自分が死んだことに気付かず、投身自殺の後も暫く歩き回った「二度死んだ少年の記録」など、死というものやその周囲を多く使った短編集です。題材的に得意な展開に持って行きやすいせいか(?)設定や描写が良く作り込まれています。相変わらずの理解不能な作品もありますが、筒井康隆が好きならあまり気にせず読める一殺。
2002年03月23日
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勉学が好きだったが家が貧しい為に進学出来ず、幼くして奉公に出されたものの夢を諦めずに母の死を機に上京して苦しい生活を送りながらも少しずつ成長してゆく様を描いた長編です。「次郎物語」や「しろばんば」のように素朴な地方の情景や人物が伝わってくる文章は非常に穏やかに読めました。 残念なことにこの話は途中、思想的な題材を含む部分があったせいで圧力が掛かり完結していませんが、そのことに関する著者の心境や当時の状況を綴ったものが新版で追加されており、小説部分とはまた違った感慨のある一殺です。
2002年03月22日
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人的ミスにより地震による津波警報が遅れるという事故が起こった。 ミスをして鹿児島へ飛ばされた所員の同僚であった主人公は観測で鹿児島へ行った機会に彼を訪ねてみたが、彼は既に退職していた。納得がいかない主人公は彼の足取りを追うが、その途中で彼と同窓である桜島研究室の教授も休職していることが分かった。 更に調査を続ける主人公の前に国家規模の恐るべき陰謀が姿を現す。裏の裏の裏をかくような展開と大掛かりな設定は読み応えがありますが、話が大きすぎて逆に把握し辛い印象を受けました。 面白くはあるけど複雑な話が苦手なら避けた方がいいかも?
2002年03月21日
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辛うじて入社した広告代理店だが希望していた制作ではなく総務に回されて仕事に熱意が持てず、左遷か退職かを迫られている主人公の唯一の趣味はインターネットで知り合った少女とのメール交換であった。 ところが「タスケテ」というメールを最後に彼女からの連絡が途絶え、主人公は事情を調べ始めるが・・・ちょっと陳腐なタイトル通り(?)、サエないけど実は凄いという主人公が活躍するベタベタな展開ですが、開き直っている分気持ち良く読めました。ノリとしては時代物に近いものがあるかも?
2002年03月20日
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Airport、Bowling、Camp、Disco、Express・・・AからZまで、それぞれのアルファベットで始まる単語にまつわるおマヌケな話を綴ったエッセイ集です。はっきり言って面白いです。どうやったらこんなネタのような困惑体験ばかり出来るのか不思議なくらいの内容もさることながら、文体がまた内容に良く合っていて思わず吹き出してしまうこともしばしば。 タイトルにセンスを感じた人は迷わず読みましょう(笑)
2002年03月19日
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古風な母親と2人暮らしで37歳にして未だ独身、夢はジャーナリストだったが辛うじて入った出版社がつぶれてしまい、製薬会社で情熱の持てない仕事を続けている主人公は不思議な病気の持ち主であった。歩き始めると4歩ごとにピョコリとのび上がってしまうのである。 そんな彼に1人の男が訪ねてきた。男は“奇病連盟”という組織のスカウトだと名乗り、主人公も入らないかと持ちかけてきた。 日常に飽き飽きしていた主人公は承知し、奇病連盟の会合に出掛けて行ったその日から彼の人生が変わり始めた。人間は皆どこか病んでいると感じさせる内容は私が生まれる前に書かれたものとは思えない出来で色々と考えさせられますが、話そのものは周囲に流される主人公が面白く読めました。他のキャラクターも良く立っています。 オススメ。
2002年03月18日
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恋人に振られ、会社からは馘を言い渡され、自暴自棄になって送別会で泥酔した主人公が翌朝目を覚ますと見知らぬ部屋、そして隣には見知らぬ女が寝ていた・・・彼女は主人公が良く行っていたピンサロの風俗嬢だということが判明したが、ちょっとしたやりとりの後何故か主人公は彼女と北海道へ旅することになった。人生を諦めていた2人が旅を続けるうちに少しずつ何かを取り戻してゆく展開が気持ち良く読めました。ドラマ向きの内容だと思ったら映画化されているようなので機会があれば観てみたいですね。
2002年03月17日
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“向こう側”と呼ばれる異世界の生物との戦いのため特殊な訓練を積む“闇ガード”、その1人である主人公に召集がかかった。 任務は伝説の闇ガードの子供2人を八ヶ岳まで連れて行って欲しいという。凄まじいまでの素質をまだ制御出来ない兄妹を抱え、襲いくる魔物と闘いながらの道中は困難を極める。まあ・・・良くも悪くも菊地秀行です。美形でクールでイカサマのように強い主人公、想像すると気持ち悪くなる闘いの描写、とりあえず結果オーライな展開、軽く読むにはいいけど他の作品と区別つかないかも(笑)
2002年03月16日
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昼飯を食べに行く時の小市民的な迷いを語る表題作の他、著者が体験したり考えた様々な事柄を描いたエッセイ集です。表題作は昼飯ですが、特に食べ物の話題中心ということは無く、1つの作品の中でも話題が飛んだりと統一性は無いものの、それがある意味エッセイらしいとも言えますね。 気軽に楽しめる一殺。
2002年03月15日
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鍼医者を営む裏で仕掛人として殺しを請け負っている梅安はある晩、闇討ちの現場に遭遇し、重傷を負った若い侍を助け出した。 侍はすんでのところで命を取り留めたが、記憶を喪っており、梅安は暫くの間彼を匿うことにした。 時を同じくしてある旗本の奥方を殺して欲しいという依頼が入り、調査を始めた梅安だったが助けた侍が実はその家中の者であることが判明し・・・2つの事件が最終的に絡んでいるという設定は時代物でなくてもかなり常套手段で目を引くところはありませんが、人物、そして食べ物の描写が細かいのが池波正太郎らしいですね(笑)シリーズ物ということもあり、安定して読める一殺。
2002年03月14日
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著者の初期短編である「艶歌」の続編です。曲作りをシステム化し、効率良く世に合わせたヒット曲を生み出そうとするディレクターと対立し、頑なに艶歌の心で曲を作り続けるも売り上げで及ばず業界を去った老ディレクターを函館で見かけ、カムバックさせると同時に自分も意欲を失っていたマスコミへの復帰を賭けるジャーナリストを中心に曲作りやその背景が重厚な筆で描かれており、それぞれの信念のようなものが伝わってきました。厚さの割に読み応えのある一殺ですね。出来れば「艶歌」を先に読んだ方が吉。
2002年03月13日
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主人公が勤める薬物中毒患者の更正施設に1人の男が入所してきた。 彼は薬物中毒に加え放火癖もあり、自分のことを“ホタル”と紹介した以外は殆ど口をきかず心を開こうとしなかった。 彼への対応に苦慮する主人公に更に裏の仕事として大女優の失踪した娘を探し出して欲しいという依頼が入った。2つの問題に取り組んだ主人公だったがどちらも根は深く、調査は難航を極める。 そして・・・2つの題材が絡み合っているのかと思わせておいて実は何も関係ありません(笑) 表面的には。様々な出来事の裏に隠された感情の絡み合いが人間の業のようなものを感じさせて興味深く読むことが出来ました。 愚かしいけど人間らしい、そんな印象を受ける一殺です。
2002年03月12日
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好みの少女を誘拐した挙句に惨殺し、驚くべき方法で死体を公開する殺人鬼“蜘蛛男”、犯罪学者である畔柳博士が総力をあげて事件に取り組むが、犯人は博士を嘲笑うかのように犯行を重ねていった。世間は怯え、警察は頭を抱えていたその時、外国へ旅行中だった明智小五郎が帰国し、事件の謎に挑む。犯人やトリックに関してはミステリィの氾濫する今では子供騙し的なものですが、人物や事件の描写、しっかりした展開など引き込まれる内容は今でも色褪せない完成度で楽しく読めました。清く正しい推理物ですね。
2002年03月11日
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痒さで目を覚ますと部屋中が蚊で埋め尽くされていたという表題作、全てが占いによって左右される世界を描いた「よろこびの渦巻」、電車の中に乗ってきた野良犬から呼び起こされる回想「山田の犬」など、不思議な雰囲気の短編集です。椎名誠と言うと紀行文やエッセイばかり書いている印象が強かったのですが、こういうSFっぽい短編も面白いものを書いているので驚きました。筒井康隆を思わせる皮肉の効いた作品や、阿刀田高のような静かな狂気を描いた作品など、内容も多彩でお得感のある一殺ですね。
2002年03月10日
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ホラー、では無いですね。 どちらかと言えばファンタジー小説という感じの作品です。小説を書くために那須の別荘を借りて移り住んだ主人公は仕事の合間にサンルームで花を育ててみることにした。すると花の妖精が現れてもっと花を増やせと言い出し、更には火や水の妖精まで見えるようになった。その一方でワープロから怪現象が起きるようになり・・・一応、ホラーらしき背景も設定されているものの、終わり方も明るく、怖いのが苦手な人でも普通に読むことが出来ると思います。 逆に、ホラーを期待して読むと肩透かしを食うかも知れませんが。個人的には好きですね。
2002年03月09日
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程々の金と才能に恵まれながらも得体の知れない脱力感からふらふらと遊び暮らし、夜の女たちの相談相手などをしている主人公はある画廊喫茶の女主人から相談を持ち込まれた。店に飾ってある高価な絵が客の少女に切り裂かれてしまい、しかも彼女はその絵の作者の非認知の娘だと言うのである。 とりあえず少女を家に送り届けた主人公はそこで出会った少女の姉にある才能を感じ取り、絵の弁償代を稼ぐために水の世界へ誘った。彼女は見る間に才能を現し・・・主人公が傍観者のような視点で様々な人間関係を見つめる展開が変わった読み心地を楽しめました。短くて少し物足りない感があるのと、悪役にも悪役なりの哲学があって最終的に大団円なのが鼻につくかも知れないけど悪くないですね。
2002年03月08日
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モンゴル人は蒼き狼と惨白き牝鹿の子孫であるという伝説を信じ、それを誇りに思いながら狼たろうと大陸を駈け巡った男、チンギスカンこと鉄木真の生涯を描いた長編です。雄大な英雄物語でも残虐な侵略者の遠征史でもなく、彼の底知れぬ征服欲はどこから生じたのかを書きたかったと著者が後書きで綴っているようにチンギスカンの心情に焦点を当てた内容が興味深く読めました。 歴史物でもあり小説でもある一殺。
2002年03月07日
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叔父の経営する不動産会社のビルに新しく入った店子は何と名探偵であった。 《名探偵》というのは行為や結果ではなく存在であり意志である、という彼に興味を持った主人公はワトソン役として名探偵の助手兼記録者となることを申し出た。著者の代表作である“師匠と私”シリーズのよりも若干事件という感じがありますが、柔らかいやりとりを通した解決までの展開は相変わらずの雰囲気で心地よく読めました。 設定で萎えなければどうぞ(笑)
2002年03月06日
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ある日見つけた不思議な小石、それは主人公が持つと重く冷たいのに友人が持つと軽く熱く、そして全ての悩みを忘れるという。 ところがその友人は数日後、石を握りしめたまま自殺してしまった。主人公は小石の謎を調べ始めたが・・・という表題作の他、恐ろしい勢いで繁殖する「黴」、朝起きると生き物の影は無く、紫色の太陽が昇る世界になっていたという「BURN」の3編を収めた短~中編集です。基本的な部分はSFですが、人物描写が深いのが独特の雰囲気を出していて良かったです。あまり明るい話ではないけどオススメ。
2002年03月05日
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県立高校の受験に失敗し、落ちこぼれ救済的な学校へ通うことになった主人公は最初、「どうでもいいや」という奇妙に冷めた気持ちで日々を送っていたが、喧嘩や友人、部活、恋愛などを通して徐々に生活が色彩を帯びてゆく。著者の自伝的小説ということで多少世代の違いは感じるものの、主人公の生き生きとした描写が気持ち良く読めました。今の高校ではこんな生活は無理でしょうが・・・
2002年03月04日
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もし未来を3つの中から自由に選べるとしたら・・・という表題作の他、時間に追われ加速化してゆく未来を描いた「時魔神」、車が支配する世界を描いた「TDSとSDの不吉な夜」など、破滅的(?)な内容が多いSF短編集です。SF作家にしては珍しく(?)「日本沈没」のような長編で筆の冴えを見せる作者ですが、短編も良く纏まっていて面白かったです。 安定して読める一殺。
2002年03月03日
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エリートサラリーマンとして順調に昇進を続けていた主人公は家族旅行の帰りに人身事故を起こし、相手は植物人間になってしまった。 保険には入っていたものの莫大な医療費に加え、付添料、補償費と信じられない金額が定期的に消えてゆき、追い詰められた主人公は被害者をに殺意を抱くようになる。加害者側も被害者側も苦しい現場が伝わってくる内容はかなり重いのですが、奇妙に吹っ切れたような印象の終わり方は悪くなかったですね。 医学小説というよりその周囲の人々の悲喜こもごもに焦点を当てた一殺。
2002年03月02日
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数々の手柄をあげ、捕物の神様と呼ばれた塙江漢も今は引退し、間もなく長崎から医学の勉強を終えて帰ってくる息子の婚礼を楽しみにしながら幸せな余生を送っていた。 ところがある殺人事件の捜査中に許嫁が不審人物として浮かび上がり、息子は容疑者として獄舎に繋がれることになってしまった。息子の無実の罪を晴らすべく老与力は立ち上がるが、事件は巧妙を極め解決の糸口の見えないまま息子の処刑の日は刻々と迫ってくる・・・いかにも講談という文体や展開は小説というより時代劇でも観ているような独特の雰囲気があって良かったです。 小説という意味では評価が難しいかも知れませんが、時代物好きなら読んでみて損は無いと思います。 珍しく1殺完結だし(笑)
2002年03月01日
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