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離れに住んでいた姑が脳内出血で急死した。その時から舅の言動が少しおかしくなり始め、異様な食欲や親戚知人の顔の忘却、徘徊など徐々にその異常は進行していった。舅の世話を一手に押し付けられた主人公は肉体だけは健康だが目の離せない彼を重荷に感じ、それと同時に自分たち夫婦の行く末を考えて暗澹とした気持ちになる・・・老人福祉の現状や周囲の人間を細かに描きあげ、誰もが直面することになる“老い”について考えさせられる作品です。 現代医学では治癒の手段は無く、収容施設や人手の絶対的な不足、核家族化など多くの問題を抱え、これから益々深刻化していくであろう高齢化社会の見通しが明るくないのはこの作品が書かれた30年近い前から改善されていないような気がします。重い気持ちになるけど小説としては出色の一殺。
2002年05月31日
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死刑を無くすかわりに罪人は電圧線と自動砲塔に囲まれた廃墟へ追いやり、結局は餓死あるいは野犬の牙にかかって倒れてしまう中で、何と屑鉄を食って自分の身体を金属化させて生き延びる人々が現れた。彼等は“アパッチ”と名乗り、1人の大酋長を中心に少しずつその数を増やし、ついに政府に対して居住地を求める闘いを起こして立ち上がった。無茶苦茶な設定ですが人間として死ぬかアパッチとして生きるかという問題や、日本の首脳陣の行き着く先など楽しみながらも色々と考えさせられました。処女長編らしいですが十分な完成度でオススメ。
2002年05月30日
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筋肉少女隊のヴォーカルである大槻ケンヂが日々の体験、プロレス、人生観、追っかけなどそれぞれ章ごとにテーマを決め、考えたことを綴ったエッセイ集です。基本的に二足の草鞋は履けないというのが私の考えなのですが、大槻ケンヂは稀に居る例外の1人ですね。作詞もエッセイも物書きという意味では共通しているものの、どちらも面白いというのはやはり凄いことではないかと思います。 あとがきで自分のことを野狐禅と言っていますが納得できる内容ときちんと纏まった出来はかなりのものです。ファンでなくてもエッセイに抵抗が無ければオススメ。
2002年05月29日
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良い養子縁組を持ちかけられ、喜んで婿に行ってはみたが、妻の粗暴さや閨の激しさに閉口していた男が初めて連れて行かれた茶屋の女に惹かれ、家を捨てて彼女と暮らしていく決意をする表題作の他、役人の妨害にあって荒地の立て直し半ばで行き詰まった二宮尊徳がある女と出会ったことで立ち直る「尊徳雲がくれ」、殺さず犯さずを誇りにしていた盗賊が、過去の失点を知り始末をつける「看板」など、男女の出会いの妙を多く描いた短編集です。二宮尊徳や大石内蔵助、そして著者の名シリーズ鬼平犯科帖の裏話的なものなどが収録されていて面白く読むことが出来ました。 読んだ記憶のある短編もあったのでひょっとしたら傑作集のようなものかも知れません。 オススメ。
2002年05月28日
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愛人と割り切りながらもどこか満たされず、自分のあるべき形を求めてもがき苦しむ主人公を描いた表題作を中心とする連作と、夫や子供と別、他の男のもとへ走った主人公の短編を収録した作品集です。女性の視点から見た女性主人公というのはなかなか興味深く読めましたが、内容のせいか雰囲気はかなり重いです。 気分が滅入ってる時は避けた方がいいかも?
2002年05月27日
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横断歩道に落ちていた鶏の足、入れ替えたつもりがどこかへ消えてしまったカミソリの刃、わずかに先端の欠けた中指、あるべきでない場所にあるもの、あるべき場所にないものの不安定さを描いた表題作の他、ある不動産屋での出来事「空室なし」、子供が生まれたという連絡を受け実家へ向かう列車の中で出会った男「北へ帰る」など、不思議な雰囲気の短編集です。軽妙でお間抜けなエッセイとは一転した内容ですが、微妙な重さと読み易さを兼ね備えていて比較的相手を問わず薦められる一殺です。
2002年05月26日
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“天使”と書いて“カタギ”と読むタイトルの前に著者名で分かる通り、ヤクザな小説です(笑)ムショを出てまっとうな仕事を始めた3人の前科者だったが、悪徳地揚げ屋やインチキ宗教、校則を盾に生徒を押さえつける教師など、世の中には黙っていられないことが多すぎ、彼等は実力行使でそれを豪快に粉砕してゆく、という連作集です。ヤクザだけに無茶苦茶なことをやっていますがやられる側がやられる側なのでいい気味だと思えれば楽しく読むことができます。堅い人にはあまりオススメできないかも。
2002年05月25日
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山田風太郎の代表作、忍法帖シリーズの筆頭です。長男だが愚鈍な竹千代、利発だが総領ではない国千代、どちらを徳川家の三代目将軍にするか決めかねた家康は、憎み合いながらもある約定によって争いを封じられていた伊賀、甲賀の約定を解き放ち、それぞれ選び抜いた10人を戦わせてどちらの者が最後に生き残るかによって世継ぎを決めることにした。ここに於いて、両家の秘術の限りを尽くしたこの世のものとは思われぬ戦いが開始された・・・時代物の中でも真田十勇士や眠狂四郎など、講談色の強い部類に属する・・・と言うか代表的な講談作品で童心に戻ったうような感じで楽しめました。様々な資料を背景に実在の人物像を作り上げていくという時代物も良いですが、破綻を来たさない程度の設定以外は自由に想像をはばたかせるような作品もこれはこれでアリだと思います。そういう作品が好きな人にはオススメ。
2002年05月24日
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主に著者とその配偶者を中心とした生活の出来事を集めた「<女が男>をみつめる時」、著者の出会った様々な女性について綴った「妖精と魔女の間」、著者の心理を中心とした「イメージの中の旅」と3部に分かれたエッセイ集です。既に出版された作品の中から選び出し、再編集したということでエッセイそのものもさることながら構成や纏まりがしっかりしていて良いです。ただ、新規の作品は無いらしいのであまり五木寛之を読んだことが無い人の方が楽しめるかも?
2002年05月23日
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新宿鮫シリーズの第6弾です。あるカード偽造グループのメンバーを追っていた主人公は、そのメンバーの関係していたと思われる男が射殺されるという事件にぶつかった。主人公が2つの事件の関連性について捜査を進めようとした矢先、外事から横槍が入り捜査は打ち切られた。納得のいかない主人公は独断で事件の背後を追うが、外事だけではなく公安総務も動き始め・・・小さな事件をきっかけに背後の巨大な謎が姿を現すという展開は相変わらずですが、出来の方も相変わらず安定していて緊迫した雰囲気が楽しめました。ただ、話を大きくし過ぎたせいか序盤の布石が幾らか忘れられているようなのが気になりました。それでもこのシリーズが好きなら無難に楽しめる一殺。
2002年05月22日
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豪華客船ルシタニア号の沈没やイタリア人間魚雷、レイテ海戦、ソマーズ号の叛乱、六号潜水艇沈没などタイトル通り古今東西の大きな海戦と海難について事件の詳細や背景を綴った作品です。タイタニックや戦艦大和、後はマリー・セレストくらいしか知らなかった私は非常に興味深く読むことができました。 若干、教訓ぶった色があって中高生辺りがターゲットのような感じも受けましたが、資料的には充実していると思います。発行が古いのとハードカバーなのが泣き所。
2002年05月21日
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友人に重症を負わせた男に復讐して以来、自分の中の獣に気付いた主人公はある喧嘩がもとで勤めていたクラブを馘になった。 喧嘩の原因になった男に誘われて彼と組み、仕事をすることにした主人公だったが、ある大きな仕事で相棒が殺されてしまった。主人公は1人でその仕事にカタをつけるが・・・あらすじだけ追うと馬鹿みたいな話ですが、その馬鹿さが男だと感じられる作品です。感じられない人には多分面白くないです(笑)ハードボイルドというか北方謙三好きならどうぞ。
2002年05月20日
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時の流れが逆になってしまった世界を描く表題作の他、ある事故以来、心の中で考えていることが時々漏れてしまうようになった「もれパス係長」、日本国憲法に関する驚くべき考察「神々の歌」など、清水義範にしては珍しく(?)、SF色の強い短編集です。着眼点もさることながら話の展開が上手く、程良いタイミングで内容が掴めるので楽しく読み進めることが出来ました。派手さはないけど安定して薦められる一殺。
2002年05月19日
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ヒグマに始まりキタギツネ、トナカイ、タラバガニからサケ、ニシン、果てはデスモスチルスにマンモスなど、北海道近辺で見られる動物や鳥、魚たち約60種について人間との関わりを中心に描いた作品です。取材したのが40年近く前ということで生物学的には目を引くものはありませんが、地元の人々が語った動物と人との歴史を感じさせる内容は非常に興味深く読めました。 動物好きでなくてもオススメ。
2002年05月18日
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金で殺しを請け負う仕掛人である主人公・梅安はある出来事がもとで昔の元締と対立していた。その対立がぬきさしならなくなり、ついに元締は必殺の刺客を送り込んできた。 梅安も元締と刺し違える覚悟で単身、敵地へ乗り込む。という表題作の他1編を収録した作品集です。何らかの理由があるとは言え、人を殺し続けることに抵抗を感じていた主人公が周囲の人間にまで刺客の被害が出るに及んで決意を固める一方で、主人公の身を案じる友人や手下がある仕掛を進めるという展開はややタイミング良すぎる感もありますが、様々な人間の思惑が絡み合う様は興味深く読めました。 ただ、前後から察するとやはりシリーズは最初から順に読むべきですね。
2002年05月17日
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“奴隷”と呼ばれる一番の下っ端劇団員として働きながら、生活を補うためにバイトにも精を出している主人公を中心に、舞台に夢を託す人々を描いた短編連作集です。劇とは言っても華やかな描写は殆ど無く、舞台裏の人間模様や生活の風景を題材とした内容は明るくはないものの、微かな暖かさが心地良いです。あまり人を選ばず薦められる一殺。
2002年05月16日
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若い人々は他の星へ移住し、老人ばかりが暮らす地球に異星人が現れた。 地球に居たハチを捕えて巨大化させ、乗り物として飛び回る彼等と戦うため、老人達は昔の記憶からアルファルファを巨大化させて対抗することを思い付く。 という表題作の他、大学生と予備校生のエスカレートする対立を描いた「慶安大変記」、1粒飲むと寿命が1年延びるという新薬のテスターに選ばれた主人公の周囲の大騒動「一万二千粒の錠剤」など、相変わらずの極端な設定が面白い短編集です。確かに極端ですが、誇張のツボを押さえていて、ひょっとしたら有り得えないとも言い切れないというような人間らしさが強烈に出ている展開が面白く読めました。 毒はあるけどオススメ。
2002年05月15日
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友人の妾を彼の死後、自分で囲うことにした和尚と、女乞食の捨て子として預けられ、その寺で小僧として働く少年の心理を描いた直木賞受賞作「雁の寺」、竹細工師であった父の墓参りに来た女性に母としての慕情を感じ、彼女が持っていた父の作品という竹人形を作り始めた男を描く「越前竹人形」の2編を収録した作品集です。何か思い入れでもあるのか、どちらの作品も主人公格の男が矮小で鉢頭で両親に恵まれないという設定のため独特の情念や狂気のようなものが漂う雰囲気は明るくはありませんが、時代や場所の鄙び具合と上手く合っていて読み心地は悪くないです。良くも悪くも時代を感じさせる一殺。
2002年05月14日
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将棋連盟が認めるプロとは別の世界に属するもう1つのプロ、真剣師。 定職を持たず賭け将棋のみで生計を立てるその真剣師である主人公を中心に、将棋にかける様々な思いや人間模様を描いた短編連作集です。将棋に限りませんが、何かで頂点を目指す人間の凄まじさやその世界の不条理さなどが感じられて興味深く読めました。 題材が将棋というのも独特で良いです。 オススメ。
2002年05月13日
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何の間違いかアポロ11号打ち上げの取材で渡米することになってしまった筆者はふと閃いた“月乞食”なる計画に熱中し始めた。自分はかぐや姫の子孫であるという触れ込みで短冊を書き、1ドルで売ろうというのである。パンフレットを刷り、それらしき着物や草履、矢立なども揃えて自信満々で挑んだ結果は無理矢理売り付けたパンフレット代10セントだけであった。その前の渡米記録も含め、月着陸に沸く世間の様子やロケット打ち上げの裏側、人間模様、そして筆者の躁鬱気味の行動などが独特の文体で綴られており、楽しく読むことが出来ました。厚いので時間は掛かるけどオススメ。
2002年05月12日
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日本の柱たらんと国内の技術や材料を中心とする電気化学工業を興し、走り出したら決して振り向かないという信念で様々な苦労や障害を乗り越えて主人公が育て上げた硫安やアルミの製造技術、しかしそれは尽くしてきた国の統制経済政策により公開を迫られ、主人公自身は何の権限も持たない国策会社の社長へ祭り上げられる。 国家の為に働き続けながら国家から報いられることのなかった男の生涯を描いた作品です。会社内や会社対会社の描写よりも会社対国家に主眼が置かれ、経済小説としては異色の部類に入りますが、国家への忠誠を会社へのそれと置き換えても違和感の無い展開はやはり経済小説ですね。 明るい話ではありませんが男の生き様としては魅力的な一殺。
2002年05月11日
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盲腸炎で入院した名探偵、神津恭介は動けない間の頭の体操代わりに源義経が衣川で死亡しておらず、大陸へ逃れてジンギス汗となったという風説を立証出来るか調べてみることにした。軽い気持ちで始めた研究だったが、思いがけない事実が次々に発見され、恭介は得意の推理を働かせてジンギス汗の謎に迫るが・・・常識と思われている史実のセキュリティホール(違)を見つけ出し、全く違う事実を浮き彫りにするという内容に小説的な展開を巧く加えた作品で面白くためになります。 興味が無い人にとってはアレですが推理の手順なども感心させられる一殺。
2002年05月10日
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新宿で痛飲し、酔い潰れた主人公が目を覚ますとそこは伊豆のホテルであった。 ポケットには覚えの無いGODと書かれたカードが入っており、主人公は前夜の行動を調べ始めるが、その途中で尻尾の生えた人間を見かける。 どうやらその尻尾は悪魔の証拠らしく、それを目にすると強烈な殺意と使命感に襲われる主人公は次々と有尾人間たちを殺してゆくが・・・神=正義、絶対という図式を覆す展開は新鮮で興味深く読むことが出来ました。 設定はかなり無茶やってますが内容と上手くかみ合っていて違和感は感じませんでした。 終わり方は暗いけど「○○伝説」の中では面白い一殺。
2002年05月09日
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織田信忠の危機を救い、“槍の勘兵衛”として将来が開けたかに見えた渡辺勘兵衛だったが本能寺の変により信長、信忠が倒れてしまい、取り立てられる機会を失った。 それでも信忠が忘れられない勘兵衛は主君のもとを飛び出し、名君を求めて流浪の旅に出る。 槍一本で立身出世を狙い、気に食わない主君には仕えないという戦国武将らしい生き様を描いた長編です。順調な立身出世物語ではなく波乱に満ちた人生や豊臣家に対する忠誠心などは後藤又兵衛や真田幸村に通じるものもありますが、最終的な立場は全く逆になっているのが戦国の世の面白さですね。様々な武将が生き生きと描かれていて読み応えもあるオススメの一殺。
2002年05月08日
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ろくに働かなくても生活できるようになった代わり、街にも公共放送にも、至るところにCMが氾濫するようになった表題作の他、便が出なくなったのに食欲は旺盛、体調も良好という「腸はどこへいった」、ジェームス・ボンドそっくりの社員が配属された顛末「007入社す」など、筒井康隆にしては内容も長さも軽いショートショート集です。毒が弱いかわりに読み易く、星新一なんかが好きな人にはすんなり受け入れられそうですが、その分強烈で破天荒なノリが好きな人にはやや物足りない感じもあるかも知れません。 ある意味無難な一殺。
2002年05月07日
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三浪中の冴えない青年である主人公がふと始めたパソコン通信でそのハンドルや語り口から女性と間違われ、チャットでの人気者になった。現実を見なくて済むオンラインの世界にのめり込む主人公だったが、彼と親しくなった人間が次々と殺されてゆき・・・パソコン通信を使ったミステリィということで興味を持って読んでみたのですが、素材の古さとパソコン通信未経験者の偏見をそのまま形にしたようなキャラクタ設定が鼻について楽しめませんでした。ミステリィ的にも中途半端などんでん返しで特に目を引く部分もありません。 好みや感じ方の問題もあるでしょうが、個人的にはイマイチかな。
2002年05月06日
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七つの燭台の間に立つ、七つの星を掲げた天使の星座。前世の記憶らしい夢に出てくるその星座を探し続ける主人公の不思議な体験を描いた表題作の他、可視電波による幻影と虚構ばかりの世界になってしまった未来での「まじりけのない光」、悪の精霊が封じ込められたお菓子を食べて性格の変わってしまった王女を戻す「王女さまの砂糖菓子」など、SFメルヘンという分類がぴったりくる短編集です。秋山完の作品は長編しか読んだことが無かったのですが短編でも優しく暖かい雰囲気は損なわれておらず、心地良く読むことが出来ました。 長さも手頃だし様々な作品が楽しめるのでオススメ。
2002年05月05日
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東洋では王や聖なる存在、西洋では悪魔や邪悪な存在の象徴とされる竜。 しかし、象徴である筈の竜が世界中で共通の描写をされているのは何故か、そして文化の違いで見方が180度変わるのは何故かという謎に挑んでいたTVディレクターの主人公は驚くべき結論に達した。 竜とはロケットであり神々とは偉人や擬人化された自然現象などではなく宇宙人だというのである。 インド、パキスタン、そしてノアの方舟が漂着したというアララト山と検証を続ける主人公の一行に神の存在を守ろうとするキリスト教ローマ・ヴァチカンの妨害が立ち塞がり・・・大胆な仮説とそれを導く様々な資料や考察など興味深い内容で厚さを気にせず読めました。ただ、人物描写にややわざとらしさがあるのが個人的にはマイナスかな。 それでも神話や伝承が好きで頭の固くない人なら十分に楽しめるでしょう。
2002年05月04日
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失恋の傷を癒すため東京を離れて北海道の病院へ心理療法士として勤務することにした主人公はそこである一家と知り合った。 漁業不振からくる生活の苦しさで躁と鬱の間を行き来する父を支える3人の子供の中でも物静かで思慮深い長男に主人公は少しずつ惹かれてゆく。 しかし生活は好転せず、悪いことが重なる中で・・・主人公の恋だけでなく、小さく貧しい町で暮らす人々の喜怒哀楽が描き込まれており、ページ数の割に重厚な印象を受けました。 全体的に寂しく暗い雰囲気で気軽に読むには向きませんが、ちょっと人間について考えてみたくなった時などはいいかも?
2002年05月03日
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マンションの下で雨やどりをしていて出会った男女の関係を通して感情というものの不思議さを描いた直木賞受賞の表題作の他、金の力で強引に新宿へ進出してこようとする関西資本に長年培ってきた繋がりや熟練の技で対抗する「昔ごっこ」、新宿の水商売に関してはわからぬことが無いとまで言われた男の行く末「新宿の名人」など、新宿の場末で生きる人々の人間模様を描いた短編集です。適度にうらぶれ、落ちぶれながら適度に開き直ったような人々の描写が内容に良く合っています。書かれたのは30年近くも前ながら、今でも歌舞伎町の奥に行けば何となく感じられるような雰囲気が伝わってくるような気がする一殺。
2002年05月02日
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白人の乱獲による食糧不足や疫病によって滅亡に瀕したエスキモーたちを内陸へと導き、海沿いの自然が回復するまでの居住地や生活手段を与え、アラスカのモーゼとも呼ばれたフランク安田の生涯を描いた長編です。医者への道を歩んでいた主人公だったが15にして両親を相次いで失い、その前途を閉ざされた。失意のうちに外国航路の船員となって流れ着いた先のアラスカで主人公は日本人と良く似た顔をしているエスキモーたちの中に融け込み、彼等と共に生きてゆくことを決意する。明治初期にこんな人物が居たということも驚きですがそれがきちんとアメリカ国内でも評価され、記録として残っているのも何か感慨深いものがあります。新田次郎の作品としては異色ですが興味深い一殺。
2002年05月01日
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