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江戸っ子は、「ひ」を「し」と発音する。 その一例。「お日様(おしさま)」「秘密(しみつ)」「必死(しっし)」「紐(しも)」...。 ところがどっこい。江戸っ子ばかりではなく、信州人にも「ひ」を「し」と発音する人がけっこういる。年配の方々は、特にその傾向が強い。それどころか、近所のおばあちゃんの中には「し」を「ひ」と発音する離れ技を身に付けた大先生もいる。さすがの江戸っ子も顔負けだぞ。 その一例。「お星様(おほひさま)」「焼酎(ひょうちゅう)」「新聞紙(ひんぶんひ)」「小心者(ひょうひんもの)」...って、実は歯が無いのだ。 話を戻そう。「ひ」を「し」に発音するばかりではなく、信州人はそれを文字にまで発展させてしまうこともある。形の無い言葉が、形を持った文字に変わるという実に興味深い行動である。 その一例。 正確には「お浸し(おひたし)」のことであろう。が、ここまで徹底していれば立派、立派。非...じゃなくって、「し」の打ち所が無い。
2007.04.30
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同級生D君の居酒屋に、怪しく並ぶ瓶が数十本ある。茶色く変色した瓶の中には、植物のような動物のようなものが艶めかしく沈んでいる。その物体が何なのか、何の効能があるのかは知らない。ただ、いずれも「効く」という単語で共通する品々であろう。 じーっと見つめていたら、奥様が「かっちゃんさん、飲んでみます?」とニヤリ。それで、特製「薬草酒」を持ってきてくれた。 マタタビ、サルナシ、朝鮮人参、イカリ草、地梨、杏仁の種の6種類の薬草が入っていて、アルコール度数にすると35度。「3年寝かせたものをお出ししているんですよ。かっちゃんさんみたいな飲兵衛には持ってこい」だそうな。見るからに効きそう。「これ飲んでも、夜眠れる?」「大丈夫。ぐっすり眠れますから」 半信半疑で飲んでみると、昔おじいちゃんの目をくすねて飲んだ「養命酒」の味に似ている。アルコールという感じではない。 あわてて、壁に貼りだしたメニューを見回したら、「マツタケ酒」というものがあった。 「これ飲んでも、夜眠れる?」 「そんなに飲んで大丈夫?でも、どんなに飲み過ぎても眠れるんでしょうけど」
2007.04.29
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信州では、クロスズメバチ(地蜂)を独特の手法で追いかける風習が残っている。狙うのは土の中に潜む巣。この蜂の子(幼虫)を食べるのだ。味は「いたって蜂の子」としか言いようがない。 方法は単純。地蜂に目印を付けて後を追う。彼らが戻る巣を突き止めて、煙にまいて捕獲するのだ。 僕の知り合いのおじさんも、この「蜂追い」「すがれ追い」の愛好者。しかし、最近は自然環境の悪化にはじまり野山の荒廃などが進んで、「地蜂の数が極端に減ったわい」と悲しんでいる。 が、このおじさんはヘコタレない。自ら蜂を育てて野に放しているのだ。「今年はずいぶん育てたよ」「どのくらい?」「聞いてビックリだぞ。7千匹まで数えたが、残りは面倒くさくなってやめた」 小さな木箱で越冬させて、これだけの女王蜂をかえしてしまった。 ところで、信州で激減しているのはお嫁さんも同じ。こんなことを言ったら女性に怒られるかもしれないけど、お嫁さんの自然繁殖は厳しいので、蜂のように増殖するのが手っ取り早いかも。 おじさんは、育てた蜂のほんの一部を食べている。僕も、ほんの一部を失敬して…。 「けどよ、養殖するのは大変だぜ。間違って攻撃される場合もある。蜂の一刺しは、そりゃあ痛いぜ」と、おじさんは言う。それは困る。第一、お嫁さんを養殖しようという淫らな考えはイケナイ。もう、世間の蜂の巣をつつくような考えは起こすまい。
2007.04.28
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●カツ丼「僕はいつも『かつドン』君と呼び捨てにされていて、イケメンの君がうらやましいよ」●ラーメン「何を言っているんだい?メンはメンでも僕はしがないラーメンさ。最近はちょっとばかり格好つけているヤツもいるようだけど、僕なんか昔ながらのスタイルなんだよ」●カツ丼「へえ、そうなんだ。やっぱり僕は衣をかぶっているぶん、世間が見えにくくなっているんだな」●ラーメン「そういう僕だって、ナルトのように目を回しているだけ。世間の動きが速すぎて、とても着いていけないや」●カツ丼「ねえ、どうだろう?そんな僕らで何かコラボレーションしてみない?」●ラーメン「いいねえ。かと言って、あまり大げさな真似はできないけれども…」●カツ丼「つべこべ考えずに、とりあえずやってみようよ!せーの、変身!」●ラーメン「なんだこりゃ?」●カツ丼「味の方も、大したことなさそうだね」●ラーメン「あれっ?誰か僕らのことを注文しているヤツがいるよ」●カツ丼「僕ら以上に変わったヤツだね!あれっ、なーんだ、かっちゃんじゃないか!」(割烹食堂Fにて)
2007.04.27
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「タコさんウインナー」は、以前にも紹介させていただいたが、僕の大好物である。しかも、まっ赤な着色料モノがいい。不自然な食品であっても、好きなものは好きなのだ。それで、できればカットを刻んだりするよりも、「足」を付けてほしい。タコさんのほかにカニさんなんかもいるが、僕は形状的な理由から、タコさんが好みだ。 夜の宴会に、ほっかほか亭のMちゃんにオードブルを注文した。テーブルに運ばれるオードブルのケースの中に、「かっちゃん用」とメモが貼られた器があって、まさかと思い確認すると、これだった。 僕は前もって「タコさんウインナー大盛りねっ!」とお願いしていたんだけど、まさか、本当に大盛りだった。うれしい。 ちなみに、上方にある携帯は僕のもので、このストラップは何を隠そう「タコさんウインナー」である。そっくり。 大盛りの「タコさん」を食べた後、そっと鏡の前で舌を出した。まっ赤だった。
2007.04.26
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最近、営業しているのか、はたまた店の看板を外し忘れているのか…という食堂を、こよなく愛するようになってしまった。荒んだ外観であっても、営業を続けている店には、必ず何かがある。 で、今日立ち寄ったのは、「そば・ラーメン・定食」という看板が掲げられている食堂Kである。店の入口に、大挙して出迎えてくれたのは、いくつもの石に描かれた顔だった。 恐る恐る店内に進むと、「いらっしゃいませー」の声。だがしかし、文字による精一杯の表現に代えると「イラッシャイマセー」になる。おそらく、タイ方面の異国から嫁いだお姉さんだろう。 さて、テーブルにつくと、厨房からおじいさんがニコニコ出てきて、「よかったらコレ、食べないかい?」と流暢な日本語で話しかけられた。おじいさんは日本人だ。でも、耳が遠いらしく、店内では窓が震えるくらいにラジオ番組が響き渡っている。 おじいさんがサービスしてくれたのは、よく煮込んであるモツである。なかなか美味しい。僕と後輩A君は、「今日から始めました」と壁に貼られていた「そば定食」を注文した。 そばは手打ち。しかも、かなり太い。でも、なかなかの歯ごたえでイケる。横にある玉状のフライは、「ミンチボール」。どことなく、タイ風だ。と、おじいさんがやって来る。「よかったらコレ、食べないかい?」。今度は美味しそうなコロッケが出された。これもなかなか。「ありがとうございます」と感謝すると、ニコリとだけして厨房に消えていった。 たぶんこの店は、気の良いおじいさんと、その息子に嫁いだ異国出身のお姉さんで切り盛りしているのだろう。店の中は肌寒かったけど、人間同士の温かな絆がこの店のウリなんだな。店を出ると、先程の石ころ顔が「また来てね」と見送ってくれた。
2007.04.25
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信州の漬け物といえば、何と言っても野沢菜だ。どこの家庭でも漬けるし、それぞれに「我が家の味」があって面白い。 秋に収穫した野沢菜は、新鮮なうちはきれいな緑色でシャキシャキしているけど、古漬けっぽくなればグニャリ感が出て酸っぱくなる。これを細かく刻んだり、油で炒めたり、ほかの具と混ぜたりする工夫もあって、実に奥深いものがあるのだ。 昼食をとった食堂Iで、こんな野沢菜が出てきた。 野沢菜とネギを刻んだ一品。かなり塩辛いが、ネギの風味と一体となって、なかなかのツマミになりそう。できれば、ビールのお供として活用したい。 …と、思っていた矢先。こんな裏メニューを発見。 実に興味深い。飲酒運転がうるさい昨今なので、おばちゃんによると「このメニューは現在使われておりません」。
2007.04.24
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新潟県の上越地方に、能生(のう)というまちがある。実に芸術的なネーミング。僕は、新潟や富山に遊びに行く時、必ずこのまちの道の駅に立ち寄っている。 道の駅は海辺にあって、施設を抜けると公園が広がっている。ここに佇む様々なオブジェが、来場者を戸惑わせている。 この作品は、「海に向かって」みたいなタイトルが付けられている。コンクリートのような石で、悲しいような苦しいような人の顔が覗いている。実に芸術的。 こんなのもある。 心臓のような器官の上には、象が鎮座している。「ぞう」が取り持つ、実に興味深い、芸術的な組み合わせである。 で、このまちを走る海沿いの道に、「こりゃ、たまらん」級の立て看板が設置されている。「飲酒運転Oh能生!」。物事を肯定するよりも、否定する場合にしか用いられない地名の響きが、どこか退廃的な物悲しさを漂わせている。
2007.04.23
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上田市にそば店を構えるM君に、久しぶりに会いに行く。 M君のそば屋は、最近あちこちのマスコミに取り上げられ始めたので、結構忙しくなりつつあるという。よしよし。 本格的なのは、そばだけではない。僕はどちらかというと、そば音痴。なので、M君の店の売りは、酒の肴だと思っている。今日は「フグの子糠漬け」をいただいた。 フグの卵巣は猛毒である。が、この糠漬けは塩水に1年間浸ける作業を経て毒を消し、3年目にしてようやく食べることができるという。金沢産。ちょっと舌がしびれるようなピリッという食感がたまらない。 ところで、M君の店では、陶芸家Sさんの作品を展示販売していた。Sさんは元教師で、この道に入って10年ほど。今では陶芸教室を開いていて、M君はその教え子である。おおらかな中にもピリッとした作風で、フグの卵巣にも通じる珍味。 僕は、手前のぐい呑みを購入。なんと500円。さっそく、このぐい呑みで熱燗をしこたまいただき、飲酒後10時間以上経過した今現在、まだピリッとしないでいる。フグの毒よりも、酒の毒がまわってしまった。
2007.04.22
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僕は、俗に言う「目ざとい」人間で、ちょっとした植物や生き物が、パッと目に入る。だから、子どもの頃からカブトムシ捕りなんかは得意だったし、釣りを始めてからも何かと役に立っている。 これまだって、川に落ちている釣り道具だとか、めずらしい鳥だとか、ポッカリと開いた落とし穴なんかを見つけ出してきた。いつも目を凝らしているのではない。たまたま目に飛び込んでくるのだ。ただ、残念なことに、お金には縁が無い。 今日は、こんなものが目に飛び込んできた。 5mも離れたところから、何となくそこにヘビがいる気配がしていたのだ。 ヘビの夢を見たり、ヘビ自体を見たりすると、お金が飛び込んでくると言われている。 ヘビは立派な縁起物ではあるのだけれど、僕の場合、何度ヘビを見ても、お金につながるような縁が結べないでいる。
2007.04.21
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富山県は、豊かな県である。標高3000m級の山々から、日本海までの幸を丸ごと楽しめる。食にしても自然にしても、これだけ変化にとんだフィールドを持っているのは富山県ぐらいだろう。 この某河川は、富山県内でもあまり名が知られていない川だが、時折大物が顔を出すので油断できない。1年ぶりに竿を出してみた。 川では先ほどから盛んに魚が「バシャッ、バシャッ」と跳ねている。で、かなり大きい。釣り始めると、すかさず食いついてきた。 マルタである。河口付近から川を遡ってきたハヤである。しかも、4、50cmクラスを連発。本当は、ヤマメを狙っていたので、僕にとっては外道である。あまりうれしくない魚なのだ。まあ、海から、ダムみたいな障害もなくマルタがここまで遡ってくるんだから、この河川の健康状態だけは確認できる。川を覗くと、マルタがうようよしているので、そそくさとこの場を引き上げる。 で、川の沿道を移動中、実に興味深い事実に遭遇。集落のいたるところに「丸田」さんの表札。「マルタ電気」とか「丸田商店」なんかもある。恐ろしや。この集落は、マルタの里だったのだ。
2007.04.20
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江戸の後ろを流れる利根川なんかで捕れるウナギは「江戸後ろ」という。東京湾で捕れる魚介類を「江戸前」というけど、「後ろ」という響きが、いかにも「江戸の裏技」のようで心地良い。 信州には「信州前」「信州後ろ」なんていう言葉はないが、そんなことを考えているうちにウナギが食べたくなる。後輩S君を誘い、わがまちの老舗Hに向かう。この店の「裏技」は、なんと言っても焼き鳥である。店員さんに「塩、タレどちらにしましょう?」と聞かれたら、迷わず「タレ!」と言ってほしい。 この照り具合は、正にウナギの蒲焼きに通じる。秘伝のタレで焼く蒲焼きがあるのだから、焼き鳥だって美味しくないわけがないのだ。S君は「焼き鳥があるなんて知らなかったっすわ」とほっぺを赤くしているが、意外に知られていないのがこのメニューなのだ。 さて、瓶ビールが空になったところ見計らって、うな重を食べよう。「特上」は蒲焼きの面積が大きいだけなので、ここはひとつ「上」で行きたい。 「江戸後ろ」も真っ青な味。ちなみに、蒲焼きの上にサンショウを降ってはならぬ。蒲焼きの風味が薄れる。タレの染み込んだご飯の上、つまり、「ウナギ後ろ」にかけるのが、江戸でも信州でも共通する「裏技」。
2007.04.19
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髪結いMちゃんが誕生日を迎え、さっそく仲間とお祝いに駆けつけた。 「Mちゃん、いくつになった?」 「22」 「僕より1つ年上なのに?」 「そう、だから22」 いずれにせよ、頑固者である。バースデーケーキにろうそくを立ててあげても、22本までしか数えられない。ちなみに、体重にしても体脂肪率にしても同様だ。 僕は、Mちゃんに「感謝のことば」という本をプレゼントした。僕はMちゃんに感謝することがたくさんあるからだ。でも、どんなに感謝しても、Mちゃんの場合は22までしか数えられないんだろうな。
2007.04.18
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恒例の「ふれあい場末飲み屋ツアー2007春~お宅営業してますか?~」の昼間編として、今回は割烹食堂Fに潜入することにした。同行の後輩A君が、「かっちゃんさん、攻めますねぇ」と関心するランクである。 まずは入口。表の扉を開けると、1畳ほどのスペースがあり、なぜかテーブルとイスが置かれている。テーブルの上にはピンク電話が鎮座している。 自動ドアが開くと、牛乳瓶の底メガネをかけたお姉さんの「いらっしゃいませぇ」の低い声と、招き猫の集団が出迎える。ここで怯んではいけない。小あがりに席をとる。 店内はこんな感じ。決して明るくはなく、かと言って暗すぎない。ベッタリとした茶色い空間が、実にいい味を出している。 さて、注文したのは「カツ丼中華セット」。950円。実に懐かしいというか、大味である。漬け物はあくまで塩辛く、お茶が進む。 テレビからは連続テレビドラマが流れている。不思議なことに、非常に落ち着きを覚える。ふと後を見ると、バスクリンの中に巨大な金魚がユラユラと泳いでいた。
2007.04.17
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信州の居酒屋市場であまり見かけない魚を食べさせてくれるのが、僕の行きつけのIちゃんの店だ。これまでも大間の本マグロをはじめサメの心臓など、数々の絶品と対面してきた。が、今回いただいたヤイトカツオも、これらのお歴々に勝るとも劣らない強者だった。 味は、カツオというよりはマグロのトロに近い。口も心もとろけるのでご用心。 初物好きな江戸っ子は、初物を食べると75日も長生きすると考えていたらしい。初鰹を食べんが為に、女房を質に入れてまで…なんていう話もあるけれど、僕にとっても初ヤイトカツオは、肝臓を質に入れてでも食べたくなる味。かるく、75日は長生きしたぞ。
2007.04.16
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本日のはしごの宴お品書き (同行者:塾講師Mちゃん、「同じく伊坂重蔵」ことYちゃん)一、 アワビの肝和え一、 刺身盛り合わせ一、 タケノコ焼き木の芽味噌一、 春の天ぷら盛り合わせ一、 お飲み物温燗(以上、郷土料理H亭)一、 ワカサギ塩焼き一、 春の山菜天ぷら一、 お飲み物温燗(以上、小料理A)一、 お飲み物サクラのカクテル(以上、バーZ)
2007.04.15
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小さな湖をたたえる公園に、これまた小さな桜並木がある。人目をはばかるように植えてあるので、市街地からは見えにくい。車も入り込めないので、「通」にしか知られていない桜なのだ。 なので、あやしいカップルに独り占めされている。場所が場所だけに、好きな夜桜はガマンして、真昼間から一人そっと足を向けた。 ソメイヨシノは満開。湖の水面の上で、震えるように風に揺れる。花びらは小さくても、どっこい大きく咲いている。 その隣にシダレザクラがあるが、こちらはまだ3分咲きといった感じ。時折メジロみたいな小鳥が来ては、蕾をついばんでいる。この桜の向こうに見えるのは、たぶんアイガモだろう。寒さの残るこの時期でも、元気に「グワッグワッ」とか言いながら泳いでいる。 田舎の集合体・信州には公園が少ない。緑はそこかしこにあるけど、人が緑の空間を育むことはない。どちらかと言えば、庭先や畑に生える緑さえ、「農作のジャマ」と嫌われる始末。 それだけに、この公園は貴重なのだ。桜にとっても、鳥たちにとっても、あやしいカップルにとっても。
2007.04.14
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日本一の長さを誇る信濃川は、信州の中を流れている間は千曲川と呼ぶ。かつては鮭が遡上したこともあったらしい。今ではいくつものダムで寸断されているので、魚たちは海との往来ができないでいる。 山間に隔離された川にはイワナやヤマメが生息するが、漁協の放流事業もあって、天然の渓流魚はほとんどいない。多くが、成魚か稚魚放流により細い命をつないでいる。 千曲川の上流域の一部には、こうした人の手が入っていないので、僕は時折天然色に包まれた魚を釣りに行く。ところが今日、こともあろうにアマゴを釣ってしまった。 千曲川は日本海に注ぐ川なので、本来はヤマメの生息圏なのだ。これがそのヤマメである。 手っ取り早く言うと、ヤマメに赤い斑点を散りばめたものがアマゴ。姿も味も瓜二つだけど、ちょっと調子がくるっちゃうな。 漁協の放流事業が招いた思わぬ副産物。例えて言うなら、日本の山でアライグマに出会うようなもの。きょとんとした顔で釣られたアマゴが、なんだか可哀想になってしまった。
2007.04.13
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自販機で缶ビールを買ったのは久しぶりである。というか、缶ビール自体が久しい。なぜかというと、夜桜見物をしようと思いついたからだ。 ついに僕の住むまちにも桜前線がやって来た。桜の名所となっている公園には、観光客ご一行様が押し寄せている。車のナンバーを見ると、比較的近い関東方面や、奈良の皆さんもいらっしゃっていた。で、昼間の桜は観光客に譲って、人影が薄らいだ夜に花見をしてやろうと思いついたのだった。 シダレザクラはほぼ満開。ソメイヨシノは7分咲きといった具合だ。ヤエベニシダレだとか表札に記してあるが、僕は桜の品種はともかく、花見の宴席が好きなので、種類で言うと「夜桜」が好きである。 ライトアップされているので、なかなかに幻想的。さっそく缶ビールをあおる。春暖の頃合でも、夜になればさすがに肌寒い。計画的に行った夜桜見物は、缶ビールの必要以上の冷たさも手伝って、ものの3分で終了と相成った。
2007.04.12
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ロシアの文豪・チェーホフの作品に「すぐり」がある。富や幸福を考えさせる作品で、ここで主人公が貪り食うのがスグリである。青臭く、酸味のあるこの果実が、人の生き様として映し出されている。 子どもの頃、近所に植えてあるスグリを食べたことがある。食べ物に困っていたわけではないけど、食べられるものは手を出すというクセが、この頃芽生えた。 とある料亭に、このスグリを使った「スグリサワー」を見つけた。スグリは加工してジャムなんかにするらしいが、このオリジナルサワーは、スグリ酒を炭酸で割ったそうだ。飲めるものには遠慮なく手を出そう。 ?...1口、2口飲んでも、スグリの味わいは感じられない。酸味もなければ香りもない。子どもの頃に出会った味よりも、その後覚えた酒の味の方が前に出てくる。チェーホフが問いかけたように、富や幸福を考えさせられるスグリのドリンクだ。630円也。
2007.04.11
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東京は国分寺に住むOさんが、花見がてら遊びに来た。Oさんは、ラーメン激戦地の荻窪で「佐久信」という店を経営していた。店の奮闘記がTVで放映され、伊丹十蔵さんの映画「タンポポ」のモデルになった御仁である。既に70歳を超えているが、これまでも何度か遊びに来てくれている。 ラーメン店を引退した後のOさんは、歴史の研究をしながら執筆活動も進め、これまでに何冊かの本を出版。本人が言うには「大変な歴史的事実だぞ、すごいんだぞ!」という内容らしいが、中世の人物は名前も読み方も難しくて、覚えるだけでも大変。吟醸酒の銘柄を覚えるようで非常にツライものがある。 今回は、足利氏とOさんの関係についての研究をまとめた本を出版し、「栃木県の足利市で開いた足利氏のイベントに招待されたので、そのお返しに関係者を連れて行く」とのことだった。 僕はというと、風邪が完治せずにツライ状態だったけど、ほかならぬOさんと会えるとあって咳き込みながらも迎えに出た。足利市教育委員会に務める方と「1日中、この周辺の歴史探索をしてきた」とOさんはご満悦。で、「そうそう、かっちゃん君。風邪気味だと聞いていたので、これを持ってきたぞ」とペットボトルを差し出してくれた。 Oさん自家製のカリン酒だ。喉にも効くが風邪薬にもなる。Oさんは、「かっちゃん君用に焼酎も入れておいた」と自慢している。カリンは、華やかで甘酸っぱい香りが印象的な果実だ。小さな頃、うちのお婆ちゃんも風邪薬と言ってはこれを飲ませてくれたっけ。喉を通すとほんわりとした温かさを感じる。胸もジーンと熱くなった。カリン酒の効能は、実に幅広いのだ。 さて、Oさんたちとの夕食は、郷土料理のフルコースにした。山菜天ぷらや信州牛しゃぶしゃぶなどの料理に混じり、コンガリと焼かれたヤマメが運ばれてくる。これは、僕が先日釣ったもので、そっと料理長に調理を頼んでおいたもの。Oさんは大層喜んでくれたが、「さあ、かっちゃん君どんどん行こう」と生ビールを大量に注文。Oさんは飲まない人なので、すべて僕が飲むことに。飲んでも飲んでも消えないビールの泡が、カリン酒の効能を吹き飛ばしてしまった。
2007.04.10
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ちょっと目を離していた隙に、庭のあちこちに雑草が繁茂しはじめ、草むしりシーズンの到来を告げている。草むしりは苦手ではないけど、一通りに仕上げるまでは結構大変だ。 とりあえず、目だったところから始めようとすると、草のクキに密着する生物を発見。記念写真に収めてみた。 調べてみたら、ツマグロヨコバイという虫で、稲の害虫であるそうな。吹き飛ばされてしまいそうな風から身を守ろうと、いたるところでギッシリと身を寄せ合っている。ざっと目についたところで30匹はいるぞ。 昔は、発生する虫の数で天候を占っていたらしい。こんなに多くのツマグロヨコバイを見たのは初めてだったので、稲の作況に影響しそうでちょっと心配。日本の食糧事情を憂慮するに至り、心ならずも本日の草むしりは中止と決める。
2007.04.09
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温泉宿N荘に、ちょいと遊びに行く。女将のY子さんがきれいな着物姿で出迎えてくれたので戦慄が走る。 どうしたの?何?結婚式やってるんだ。 この宿の別館H亭は、江戸時代の建物を移築。普段は食事処だが、最近は「古民家ウェディング」と銘打って、小規模な結婚披露宴の会場としても利用されているらしい。 「かっちゃん、せっかくだから披露宴を覗いてみない?」。背中を押されて土間に入ると、大きな水瓶に高さ2m近い生け花が置かれていた。 圧巻。これじゃ、花嫁さんの影が薄くなっちゃうぞ。 この日の披露宴は、国際結婚だった。新郎はマレーシア人、新婦は東京在住の「美しい」女性だったそうである。 「そうである」というのは、僕がせっかく花嫁を見ようと思ったのに、女将が英語でスピーチをするというので、発音を教えてほしいとせがまれ、駅前留学ならぬ「古民家留学」で時間をとられてしまったからだ。 この宿は、外国人の宿泊客が多いだけに、英会話は必要最小限のもてなしだ。なのに、女将のY子さんは英語がからきし苦手である。努力はしているが、なかなか芽が出ない。 以前、Y子さんの車で仲間と旅行した時のこと。Y子さんが普段聴いている昔の歌謡曲CDにウンザリした僕らは、「ほかに何かないの?」と聞くと、「あとは英語のヤツしかないけど」とY子さん。僕らは「英語?いいねぇ!ムード歌謡よりは断然いい」と、さっそくCDを挿入したものの、車内に流れたのは「レッスンワン。リピートアフタミー...」。英会話のCDだったという悲しい思い出がある。 さて、披露宴会場へと話を戻そう。出席者の半数が外国人なので、英語のスピーチは避けて通れない。僕は、Y子さんのスピーチ原稿に読み仮名をふる。ほとんど読み仮名をふったものの、これだけ読んでいけば何とかなりそうだ。マレーシアが英語圏なのかどうかは関係ない。ワールドワイドなスピーチであれば、とりあえず急場はしのげるのだ。 よしっ。Y子さん、もう1度練習するよ。では、リピートアフタミー!
2007.04.08
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ようやく釣りに行く時間ができた。ちょっと風邪気味だけど、釣りをしているうちに治ったケースはままある。朝7時に家を出発。向かうは、千曲川の上流域だ。コンビニで買ったサンドイッチをほおばりながら、片道40分のA川に到着する。 この川で釣るのは久しぶりだけど、ほどなくアタリ。きれいなヤマメが水面を切る。ありがたや、ありがたや。ヤマメは僕を忘れずに待っていてくれた。昼まで釣って、ヤマメ20匹、イワナ2匹の釣果。上出来、上出来。 帰り道。道路の脇に不思議な人形を発見。 木の断面にペンキで顔を描いている。きっと小学生が作ったものだろう。釣りも良かったけど、この人形も上出来、上出来。
2007.04.07
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軽井沢の隣にある御代田町は、「みよた」と読む。「およた」ではない。年中にぎわう軽井沢と違い、この町はどこかゆったりとした時間が流れている。そんなこともあって、首都圏リタイア族や若い夫婦層に、この町は人気がある。その証拠に、信州の中でもトップクラスの人口増加率を誇っているのだ。 ゆったりとしたこの町に、近頃できたレストランで昼食をとる。 県道沿いに居を構えたこの店は、浅間山を一望できる。テーブル同士の距離も適度に離れ、カップルには持って来いの店かも。で、僕は「和風ハンバーグランチ」を注文する。 入店したのは正午過ぎ。店のガーデンで、犬が道行く車にほえている。「昼時に、そんなに急いで何処へ行く?」とでも言いたいのだろうか。 ふと気がつくと、入店から30分以上も経過。ほかに客はいないが、厨房で調理をしている気配はある。ちょっと遅いな。 で、かれこれ1時間も経とうとした時に、「お待たせいたしました」の声が届く。 味は悪くないが、かなり待たされたので空腹感が募り、味覚の邪魔をする。ゆったりとした時間が流れる御代田町らしい、御代田町ならではのレストランTは、あくまでも「ゆったり」と訪れたい店なのであった。
2007.04.06
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桜の開花が、信州でも遅いのが僕の住むまち。ようやくつぼみが膨らんできたという報せが届いたので、「それは、それは何より」とバーへ向かう。 そんな僕の強引な言い訳を知ってか知らずか、バーテンダーのKさんは桜の香りを放つ2種類のカクテルを作ってくれた。 和菓子のような、桜茶のような感覚。桜の風味って、なんて上品なのだろう。名前は聞いたが、忘れてしまった。きっと僕の頭は、桜で満開だったんだろう。 隣の席で、2人の女性が飲んでいる。会話の内容に耳を向けると、ほか弁屋経営の低気圧ガールMちゃんの話をしているようだ。「また会いたい」「今夜も来るんですか?」と、Kさんに聞いている。 そこへMちゃん、「ブヒブヒ」と登場。2人の女性は大喜びでMちゃんに飛びついている。女性の心理はわからない。僕からすればこの2人の女性は、低気圧ガールMちゃんの、景気づけのサクラにしか見えないな。
2007.04.05
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見た目が悪い魚は美味しいという。人間でも同様な部分もあるけど、見た目がお茶目で華やでいて、それでいて美味しい魚の代表がホウボウだ。 飲み仲間と怪しい打ち合わせ会議をしたついでに、ちょいと一杯のつもりで飲みに行き、お品書きにあった「ホウボウ刺し」を、たまらず注文する。 赤みを帯びた肌の中に青っぽい星をちりばめている。顔はちょっぴりひょうきんだが、味の方は脂の乗り具合といい、身の締まり具合といい絶品だ。 マスターが、刺身のツマに小さな傘をつけてくれたのが気になった。美味しいものに花ならぬ傘を添えているのがいい。「せっかくだから」と、悪ノリで生グレープフルーツサワーのジョッキにも添えてみた。 案の定、美しくない。が、このサワーも絶品である。見た目と味は違うのだという一例ということでご勘弁願いたい。大の男連中が、こんな作業をしながら飲んでいる光景も、決して美しくないけれど。
2007.04.04
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ふと立ち寄った長野県小海町の町外れに、こんな遺物が佇んでいた。 石に刻まれた「小海村」は今では「小海町」となっている。と言っても、町になったのは昭和三十年代。「小海村役場」が歴史から消えた今でも、石柱に刻まれている文字は風化していない。役場正門だったと思われるこの先の風景は、なだらかに続く畑の波だけである。 市町村合併の波もひと段落。消えた市町村名もあれば、新しくできた自治体名もある中で、小海町は合併を選ばずに自立の道を進んでいる。村から町になっても残された石柱は、旧村民のプライドを示すかのような存在感がある。人間の意地も、ここまでくっきりと刻んであれば文化財級だ。
2007.04.03
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「週に1度はとんかつを食える人生」という、映画かドラマのセリフを聞いたことがある。ここで言うとんかつは、贅沢品の代名詞であろう。贅沢な食べ物を、週に1度は食べられるような生活をしろという訓示だ。 僕の友人は、メタボリックなヤツが多いので、とんかつは贅沢品ではなく絶縁品になっている。でも、「週に1度はとんかつを食える人生」ならぬ「週に1度はとんかつを食べても良い食生活」という点で、怪しい共通点が見出せる。 そんなこととは関係なく、「とんかつの店」で勝負しているN屋に入る。僕はヒレよりもロース派だ。上とんかつ定食を食べる。 とんかつの決め手の1つは、ソースだと思っている。この店のソースはケチャップがふんだんに使ってあるので、ソースをかけると、フランクフルトのような錯覚にとらわれる。僕は、ケチャッぽいのは好きではない。 ところで、この店の特徴としてあげられるのは、洗面所に飾られた食玩の山である。とんかつの肉の厚さよりも、店主の趣味の懐の深さに関心が向いてしまうのである。
2007.04.02
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魚へんに春と書くと「鰆」。サワラである。信州では白ゴマをふりかけた干物として出回っていて、遠い海から春の訪れを告げる魚だった。最近では鮮魚として流通するようになったので、子どもの頃では思いもしない食べ方ができるようになった。 その一例、「サワラのたたき」。 身が柔らかくて、適度な脂の乗りがいい感じ。ネギを乗せて刺身醤油でいただく。お酒が進む。 今夜は、同年代のG君と年下のK君の3人で飲む。3人ともメタボリックな生活をしているので、比較的低カロリーと思われる肴だけを注文。思いのほか、ヘルシーメニューの味わいが深く、かえって酒の量が増えるという事態に発展。春を告げる魚は、メタボリックな将来も背負っていたことに気がつく。
2007.04.01
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