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2023年07月13日
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テーマ: 読書(8636)
カテゴリ: 読書


​​ 「この父ありて 娘たちの歳月」梯久美子


父を憎み、父を愛し、娘たちは書いた
石牟礼道子、茨木のり子、島尾ミホ、田辺聖子、辺見じゅん……。
不朽の名作を生んだ9人の女性作家たち。
唯一無二の父娘(おやこ)関係が生んだ、彼女たちの強く、しなやかな生涯。

『狂うひと』『原民喜』『サガレン』など、話題作を発表し続けるノンフィクション作家が紡ぐ、豊穣たる父娘の物語(ナイン・ストーリーズ)。

目次

・渡辺和子
  目の前で父を惨殺された娘はなぜ、「あの場にいられてよかった」と語ったのか?

  二・二六事件で父は投獄された。その死後、天皇と対面した娘が抱いた感慨とは――。
・島尾ミホ
  慈愛に満ちた父を捨て、娘は幸薄い結婚を選んでしまい、それを悔い続けた……。
・石垣りん
  四人目の妻に甘えて暮らす、老いた父。嫌悪の中で、それでも娘は家族を養い続けた。
・茨木のり子
  時代に先駆けて「女の自立」を説いた父の教えを、娘は生涯貫いた。
・田辺聖子
  終戦後の混乱と窮乏のなかで病み衰えた父の弱さを、娘は受け入れられなかった。
・辺見じゅん
  父の望む人生を捨てた娘は、父の時代――戦争の物語を語り継ぐことを仕事とした。
・萩原葉子
  私は、父・朔太郎の犠牲者だった――。書かずには死ねないとの一念が、娘を作家にした。
・石牟礼道子
  貧しく苦しい生活の中でも自前の哲学を生きた父を、娘は生涯の範とした。 
・「書く女」とその父 あとがきにかえて




どの父と娘の物語もとても興味深かった。
子にとって父と母がどのような人でどのような時代に育ったのかは、その人の人生を大きく作用する。
昨今「親ガチャ」なんて言葉もあるけれど、子どもは親を選ぶことはできない。
良くも悪くも、その環境の中で育ち、その過程で育んだ個性や価値観で自分の道を歩いてゆくしかない。
それは、どんな国、どんな時代に生まれようが同じだろう。
通読して、「子の親ありてこの子あり」という思いを強くした。
概して、娘にとって直接的な影響が強いのは母親のような気がするが、
父親もまた娘の価値観や生き方に強い影響を与えているし、
社会的に認めらる業績を残す女性には、父親の影響が強いのかもしれないとも感じた。


私はこの二人の詩は、さほど読んでいるわけではないのだが好きである。
お二人とも生活に根差した凛とした詩が多い印象で、何となく両者を混同するくらいである。
しかし、この本を読むとお二人の成育環境は真逆ともいえる。
それを改めて知り、人の個性はやはり生まれ持ったものが土台であり、
そこに成育環境の影響を受けてゆくのだが、
本来的な個性はよほどのことがない限り根本的に変わることはないのだろう。
そんなことを感じながら、もっと色々なことも書きたいけれど、ここまでにしよう。





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最終更新日  2023年07月14日 08時11分53秒
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