勝手に映画批評

勝手に映画批評

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

クロサウルス

クロサウルス

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

あのですね@ Re[1]:スター・ウォーズ/最後のジェダイ(12/29) 王島将春さんへ エゼキエル書が書かれた当…
池永真義@ Re:バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(04/04) 映画批評、拝読しました。 私も学生時代…
仲嶺亜也菜@ Re:許されざる者(01/15) 仲嶺亜也菜 鶴田葵
今更ブログを見に来た男@ Re:宇宙兄弟(03/17) めちゃくちゃ同意しますね。本当に映画は…
背番号のないエースG @ Re:チャーリーとチョコレート工場(05/31) 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
2013.01.13
XML
カテゴリ: ドラマ
ショコラ1



監督 ラッセ・ハルストレム
出演 ジュリエット・ビノシュ ジョニー・デップ ジョディ・デンチ
 キャリー=アン・モス アルフレッド・モリーナ

 年末年始に、地上波で夜中に映画がいっぱい放映されていました。そのうちのひとつです。確か、まだ、売れていないころのジョニー・デップが出ているヤツだなあ、と思い、どんな映画かはよく考えず、録画しておきました。

 フランスのある村に一組の親子が北風とともにやってきました。その親子・ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)とアヌークは、マヤから受け継がれるチョコレートの効能を広めるため世界中を旅していて、この村でも老女・アルマンド(ジョディ・デンチ)から借りた物件でチョコレート店の開店準備を始めます。
 ヴィアンヌは、一人一人の希望にぴったりと合うチョコレートを差し出し、その不思議なチョコレートの作用から村人達を惹きつけていきます。とりわけ、夫の暴力に悩むジョセフィーヌや、その奔放な性格のせいで厳格な娘カロリーヌ(キャリー=アン・モス)から絶縁されているアルマンドにとっては、ヴィアンヌの明るく朗らかな人柄やチョコレートの美味しさと不思議な効果は、ひとときの安らぎとなるのです。
 しかしミサにも参加しようとせず、私生児であるアヌークを連れたヴィアンヌの存在は、敬虔な信仰の体現者で村人にもそれを望む村長のレノ伯爵(アルフレッド・モリーナ)の反感を買ってしまいます。レノは村人たちに、ヴィアンヌのチョコレート店を悪魔的で堕落したものだと説いて出入りを禁じるのです。
 そんなある日、村にジプシーの一団が流れ着きます。レノによって村人たちから「流れ者」としてボイコットされる彼らと境遇を同じくするヴィアンヌは、そのリーダーであるルー(ジョニー・デップ)と思いを交わします。そんな様子を知ったレノは、ますますヴィアンヌに対する風当たりを強めていくのでした。


 信教に敬虔な堅物の村長レノ伯爵も、奔放な母親からの反発で息子に厳しかったカロリーヌも、厳格な母親のおかげで祖母に合わせてももらえていなかった息子リュックも、娘との確執で孫に会わせてもらえなかったアルマンドも、夫からDVを受けていたジョセフィーヌも、流れ者で行く先々で歓迎されず寂しい思いを持っていたジプシーのリーダー・ルーも、そして、主人公のヴィアンヌ・アヌークの親子も、みんな救われるという、心温まるお話でした。(たったひとり、DVしていたジョセフィーヌの夫だけは救われませんでしたが。)
 まあ、ちょっと時間が空いた時に観る、心癒される佳作といった感じでしょうか。

ショコラ2

 初対面で、日曜のミサに行かない宣言をしてしまったヴィアンヌは、堅物で敬虔なクリスチャンである村長のレノ伯爵ににらまれてしまいます。また、ルーたちジプシーは、その存在自体敬遠されてしまいます。そして、村長は村人たちを煽り、ヴィアンヌ親子やジプシーたちを排除しようと動き始めます。
 僕は常々こういった異教徒や不信心者を排除しようとする、とりわけ熱心な信教家ほどみられるこの傾向が非常に気になっています。特に、キリスト教、イスラム教にその傾向が強いように見受けられますが、なぜ、自分の信じるところと違うというだけで、その人の人となりや性格など全く考えずに毛嫌いしたり、排除したり、攻撃したりするのでしょうか。
 確かに、男女関係とか、親友とかのように、深く付き合うのには宗教的な一致は必要かと思いますが、ふつうの知り合い、ご近所さんぐらいの付き合いなら、別に宗教的に一致しなくてもいいんじゃないでしょうか。あいさつ程度の表面的な付き合いにとどめておくとか、相手にしないでおくとかではいけないのでしょうか。なぜ、積極的に排除しようとしたり、嫌がらせをしたりしなければならないのでしょうか。
 魔女狩り、宗教裁判、十字軍、ナチスのユダヤ迫害、中東戦争など、人の歴史が始まって以来、宗教的な対立や支配、戦争など、人の生死に関わる争いが起こっています。
 そういった異教徒を積極的に排除しようする意識が、その一因となっているということは否めない事実でしょう。
 「信じる者は救われる」というお題目は、裏を返せば、「信じない者は救われない、排除しよう」ということになっていくわけで、人々を救うはずの宗教が、人々の争いの元になっているというのは、本末転倒ではないでしょうか。
 そんな“裏テーマ”を、この映画から感じてしまいました。

 ところで、ヴィアンヌが店を構えた家の大家アルマンドに反発するあまり、息子を厳しくしつけているカロリーヌ、何となく見覚えがあるなあ、と思っていたら、何と、「マトリックス」の主人公救世主ネオの彼女となる、戦う女トリニティーでした。
 黒いレザーファッションに身を固め、勇ましく戦う女からはかけ離れた、長い髪で、女性らしいワンピース姿でしたが、その独特の冷たさを秘めた鋭い目力は隠しようが有りませんでした。


ショコラ3

 あと、アルマンド役のジョディ・デンチというイギリスのベテラン女優さんが、偏屈な老女を装いながら、その優しさ、寂しさを密かに匂わせるというなかなか老獪な演技力を発揮し、圧倒的な存在感を出しているのが、さすがだなあ、と思ってしまいました。
 そう、あの、007シリーズで、Mを演じている大女優さんです。

 ということで、元々はギタリストだったジョニー・デップのギター演奏も観られる、お得な佳作を今回は紹介しました。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2013.01.14 06:41:46
コメント(3) | コメントを書く
[ドラマ] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: