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月野 かぐや

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2007年04月16日
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窓から空を見上げながらマキは思った。

明日からは「フマジメ」になってやろう、と真面目に思いつめている自分に気づき、マキはふっと息を漏らした。

最近、疲れてきている。
そして、タマもそれに気づいている。

面倒を見なければならない存在がうっとうしい。
なんでもっと自分で自分のことができないのか。

・・・
タマとマキでは年齢差が大きいわけではない。

ただ、タマは出勤する仕事で、マキは在宅の仕事だ。

在宅だともっと時間が自由になると思われがちなのがマキは不満でたまらなかった。
在宅仕事ということは、何時間かけても仕事が納品できなければ、収入がないということだ。
その点、出勤していれば一定以上の収入が得られる職種はうらやましいとすらマキは思う。

もちろん、タマのこぼす愚痴を毎日聞きながらもそこに勤めたいと思うわけではない。でも、出勤形態の職種が全部そういうわけではないだろうとも思う。

勤めに出てみようか、とはマキの心のつぶやき。


・・・
タマは帰りのバスの中で、最近のマキについて考えている。
最近イライラしているのは、よくわかる。
ただ、理由がよくわからない。

「何かしたっけかな?」

「もしかして愚痴のこぼしすぎ?
それともマキの体調の変化?
・・・・。
なんだろう・・・・よくわからない。
そろそろ聞くしかないかな。」



「そば、食べに行こう」と言う。

久しぶりに機嫌の良いマキを見て、タマはちょっとほっとする。

マキは、たまに思いつめてしまうことがあることをタマは良く知っていたが、そういうときにどうすればいいかはまだ良く把握していなかった。
タマはそういうとき、そのうちわかるようになるだろうと思うと同時に、マキをよく観察して、自分のどういった行動や言動に反応しているのか気をつけて見るようにもしていた。

今のマキの機嫌の良さは一時的なような気がするけど・・・。



・・・
そば屋で大好物の月見そばをすすりながらマキは言った。
「アタシさ、外に出て働こうと思うんだ」
タマは仰天した。
「えっ、マキ・・・。だって、あんた、高校のときバイト以外で外で働いた経験ってあったっけ?」
「ないよ。でもさ、なんだか家にいるといらないことをいろいろ考えちゃってさ、あまり良くないと思うのよね。アタシにとってもタマにとっても。」
「私は別にいいんだけど・・・。マキがちょっと心配だよ・・・。それに今の仕事はどうするの?」
「一応受注した分は終わらすよ?でもさ、私の仕事って出勤形態にしてもちゃんとできるものだと思うのよね。だから、家にいるのが良くないんだったら思い切って外に出て仕事してみようと思って。」
「いいけど、それはいいけどさ・・・。でも、それじゃあ家事とかはどう分担することにしようか?二人とも家から出ちゃうと、日中に済ませなきゃならないものとかが積み重なるじゃない?」


マキの目が光った。
「今まででも、家事分担は問題だったんだけどね。」

そこでタマは気づく。
そうか、これは自分にも家事をさせようという作戦だったのか。
「・・・・マキ。・・・・これからちゃんと家事分担するようにするよ。それでもまだ外で仕事がしたいっていうならまた話し合おう。」

マキはちょっとびっくりする。
外で働こうと思ったのは、別に家事分担の不均等だけが問題ではない。
でも、それが解決されれば気分もまた変わるのだろうか。
マキはもうちょっと様子を見てみることにした。



ーーーーーーーーー

これはフィクションです。






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最終更新日  2012年04月18日 02時32分19秒
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う~ん  
N☆ さん
在宅か通勤かってとこは、自分が最近悩んだコトだったので(Plan Bというタイトルで日記に書いたけど)しみじみ読んじゃったわ。。。 (2007年04月16日 22時57分11秒)

N☆さん  
Re:う~ん

>在宅か通勤かってとこは、自分が最近悩んだコトだったので(Plan Bというタイトルで日記に書いたけど)しみじみ読んじゃったわ。。。

そうだねぇ。
多分こういうことで悩む人は多いんじゃないかと思いますよ。
まあ、たいていは子供とかもっと別の要素が入ってくる場合が多いとは思うのだけど。
N☆氏のことも考えてはいたけれど、子供云々についてまで構想は練りづらかったので、あえてそこは外して書きました。
(2007年04月16日 23時40分47秒)

Re:ずれ(04/16)  
SAKUZO2004  さん
>在宅仕事ということは、何時間かけても仕事が納品できなければ、収入がないということだ。
>その点、出勤していれば一定以上の収入が得られる職種はうらやましいとすらマキは思う。

わかるわかるわかる。
すごーくわかります、これ。
でも確かに在宅はある程度時間が自由になるのも事実です。
子供がもう少し大きくなるまではやはり在宅で、と思うのも、やはりその、自由になる時間が魅力だからです。
とはいえ、自分を律していかないと、なかなかその時間をうまくさばけない。
会社努めしていた頃は、そういう苦労はありませんでしたし、ヒマな時間ができたらお茶飲んでたってお給料は一応もらえるわけで。
うーん、ま、どっちもどっちですけどね。 (2007年04月17日 00時15分48秒)

SAKUZO2004さん  

>>在宅仕事ということは、何時間かけても仕事が納品できなければ、収入がないということだ。
>>その点、出勤していれば一定以上の収入が得られる職種はうらやましいとすらマキは思う。

>わかるわかるわかる。
>すごーくわかります、これ。

う~~ん、実際在宅ワークやってる人にそこまで激しく同意されると嬉しいなぁ。

>でも確かに在宅はある程度時間が自由になるのも事実です。
>とはいえ、自分を律していかないと、なかなかその時間をうまくさばけない。

ですよね!?

>会社努めしていた頃は、そういう苦労はありませんでしたし、ヒマな時間ができたらお茶飲んでたってお給料は一応もらえるわけで。
>うーん、ま、どっちもどっちですけどね。

会社勤めでのストレスを聞いてると一概にそっちのほうがいいとは思えませんね、私も。特に、歩合制になってる職種もあるでしょ?営業とか、不動産関係とか。ああいうのは、もう在宅の良さもないしいわゆるお勤めのメリットも割りと低いし、辛いだろうなぁと思います。ここではそれは想定外にしてるんですけどね。
(2007年04月17日 00時22分35秒)

それぞれの悩み  
moko さん
私の場合今の仕事は別に家からでもできる感じ。電話とネットさえあれば大丈夫。
逆に家にいるほうがちゃんと仕事する。メッセンジャーで連絡入ったとき、家にいる場合返事をすぐにしないと遊んでるでしょ?ってつっこまれそうで。
好きな姿勢で仕事して、窮屈なビジネススーツも靴もなく、自分のキッチンでご飯作って、しかも郵便受けたりもできる。
やはりないものネダリですかね? (2007年04月17日 01時36分57秒)

mokoさん  
Re:それぞれの悩み

>私の場合今の仕事は別に家からでもできる感じ。電話とネットさえあれば大丈夫。
>逆に家にいるほうがちゃんと仕事する。メッセンジャーで連絡入ったとき、家にいる場合返事をすぐにしないと遊んでるでしょ?ってつっこまれそうで。
>好きな姿勢で仕事して、窮屈なビジネススーツも靴もなく、自分のキッチンでご飯作って、しかも郵便受けたりもできる。
>やはりないものネダリですかね?

そっかぁ。
性格の違いって大きいと思うよね。
あとさ、他に選択肢がないと、やっぱり「隣の芝生は青く見える」わけで、環境を変えれば気分も変わるかも、ってのはあると思う。

上で書いたのは、本当に漠然と考えながら書いたもので、意図は何もないので、いろいろと考えてもらえると嬉しいのよね。タイトルも本文をほぼ書き上げたあとにそこから汲み取れることを題名にしたのよ。
もうこれを読んだことで思い起こすことを書いてもらえれば、それで私は満足です。
(2007年04月17日 12時11分13秒)

Re:ずれ(04/16)  
YURI-eyo  さん
わあ!おもしろい。
何がって、中身のことじゃないんです。
このお話が、ひとつのお話であってひとつじゃないから。
以前、はまっていたロランバルトのテクスト論を思い出しちゃいました。
かぐやさんの創るお話、好きだなあ~。
お話の中身なんですが、私が一番感じたのは、
あるあるある~~、話していてこんなふうにずれちゃうことある!ってことでした。
次もまた、楽しみにしています!
楽しんで書いてくださいね^^ (2007年04月17日 23時09分24秒)

YURI-eyoさん  

>わあ!おもしろい。
>何がって、中身のことじゃないんです。
>このお話が、ひとつのお話であってひとつじゃないから。
>以前、はまっていたロランバルトのテクスト論を思い出しちゃいました。
>かぐやさんの創るお話、好きだなあ~。
>お話の中身なんですが、私が一番感じたのは、
>あるあるある~~、話していてこんなふうにずれちゃうことある!ってことでした。
>次もまた、楽しみにしています!
>楽しんで書いてくださいね^^

嬉しくなっちゃうコメントをどうもありがとうございます♪
バルトのテクスト論・・・。YURI-eyoさん、すごいもの読んでるなぁ~。そういったものを思い出すなんて光栄です。

もっと書いてみたいことはあるので、これからもあまり力まずに書いてものをアップしてみますね。

(2007年04月18日 12時18分30秒)

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