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廊下。二年B組と記されたプレートの下で深呼吸をする。「・・・というわけで、今日は転校生がいる。ほーら、騒ぐなー」教室の中ではボクを紹介する前フリが始まっていた。胸の前で頼りない拳をぎゅっと握りこむ。大丈夫・・・大丈夫。普通にすればいいんだ。前の学校とは・・・違うのだから。目を瞑る。今までのことを思い出す。ボクの人生。ボクの高校生活。すると、なぜだろう。明るいことなど何一つ無かったその回想で・・・逆にボクは落ち着きを取り戻した。(そうだよ・・・辛いことが沢山あったけど・・・。でもだからこそ、これ以上悪くなることなんて・・・無いはずだ。もしそうなっても、それがボクの限界)先生の前フリが終わり「いいぞー」と声がかかった。ボクは思い切って戸を引く。広がる視界。飛び込んでくる声。眩しさに目を細める。「・・・」気づくと、約八十弱の瞳がボクを映していた。少しだけ怯えてしまう。だけど・・・すぐに気づいた。それは好奇心の目ではあるけれど。ボクを苦しめ続けて来た侮蔑や悪意の目じゃない。「ほら、こっち来て自己紹介しな」先生が緊張気味のボクを優しく促してくれる。「は、初めまして。中目黒善樹と言います」腐女子・椎名真冬の妄想から生まれたBLキャラと同姓同名の転校生が現実に出現して・・・。 「生徒会」シリーズは、私立碧陽学園の生徒会メンバーたちが生徒会室で限りない妄想と暴走しまくった会話を毎回繰り広げることになるというストーリーです。美少女揃いの生徒会メンバーたちの全攻略を狙うためエロパワーで勉強を頑張り生徒会入りした主人公の生徒会副会長・杉崎鍵、見た目・言動・思考・生き様全てにおいてお子様だが何事にも必要以上に一生懸命な生徒会長・桜野くりむ、クールでありながら優しさも持ち合わせている参謀的役割の超ドSな美女書記・紅葉知弦、運動神経抜群で女子人気の高い若干百合気味なボーイッシュツンデレ美少女副会長・椎名深夏、儚げな容姿で男性と接するのは苦手なBL(ボーイズラブ)をこよなく愛する美少女書記・椎名真冬(深夏の妹)。学業優秀の特別枠で選ばれた杉崎以外は見た目重視の人気投票で選ばれたこれら生徒会メンバーたち。本編では基本的に生徒会室を出ることなくゆるくて笑いあふれる生徒会活動?を行うことになります。「ものすごい大事件は起こらない」という一般的なライトノベルではありえないストーリー展開ですが、面白登場人物たちのとにかく楽しい学校生活の一場面が魅力です。 この「生徒会の日常」は「生徒会」シリーズの短編集1巻です。本編自体が元々短編集なのでものすごく奇妙な感じがしますが、実際本編も短編集も「短編集」の形式になっています。富士見ファンタジア文庫では、本編が長編で番外編的なストーリーが短編集になっていることが多いです。「スレイヤーズ」シリーズや「伝説の勇者の伝説」シリーズなどはそうなっています。一方、本編が短編集で番外編が長編になっているものは、「まぶらほ」シリーズしか思い当たりません。閑話休題、今回は番外編らしく杉崎と深夏のクラスでのエピソード(二人はクラスメイトです)や杉崎の自宅での話などほとんど「生徒会室の中」だけで進行している本編の内容にくらべて、非常にバラエティあふれるストーリーが満載になっています。登場人物も二年B組の中目黒善樹や宇宙姉弟(姉はアイドル、弟は超能力者です)、ブラコンな杉崎の妹・林檎や破天荒な杉崎の幼馴染み・飛鳥といった今のところ本編では登場機会のないキャラクターたちがいっぱい出てきます。本編とは異なる視点からのエピソードや生徒会室以外で過ごしている生徒会メンバーたちの日常など本編では味わえない雰囲気がとても面白かったです。 ジャンルは生徒会学園コメディ。コメディが好きな人にお薦めです。<終>生徒会シリーズコミックもありますマテリアルゴーストシリーズ「生徒会」シリーズには、「マテリアルゴースト」シリーズに関連した登場人物が出てきます。あらかじめ「マテリアルゴースト」シリーズを読んでから読むといっそう楽しめます。
2009年05月25日
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カールトン家の応接間でリディアは久しぶりに二人の友人とお茶の時間を楽しんでいた。この家の娘であるリディアは、先頃婚約を発表したばかりだ。「そうだわロタ、見てくれる?ウエディングドレスのデザインが届いたの」興味津々でデザインを受け取ったロタはリディアの親友だ。「いいんじゃないか。清楚であんたに似合いそうだなぁ」ロタやニコとおしゃべりするリディア。そんな時、リディアはどこからかやって来た家庭教師風の雰囲気の妖精を見つけます。フェアリー・ゴッドマザーと名乗るその妖精は、将来結ばれる相手に運命の赤い糸を結びつける妖精です。そして、その妖精に魔法をかけられたリディアとロタは人間には見えないはずの運命の赤い糸が見えるようになってしまうのです。驚くリディアとロタ。結婚相手のエドガーの赤い糸を確かめようとエドガーの小指を見たリディアは、エドガーの指から複数の赤い糸が出ているのを見てしまい・・・。 「伯爵と妖精」シリーズは、妖精を操る敵・プリンスに対抗するため妖精国伯爵の地位を得たエドガーが主人公の妖精博士(フェアリー・ドクター)の少女リディアに助けられ愛と勝利を手にするというストーリーです。生まれつき妖精が見えるリディアは、人間と妖精のトラブルを防ぐ職業・妖精博士を目指しています。しかし、科学文明が発展しつつある19世紀イギリスでは妖精を信じる人々も少なくなっていてリディアは変人扱いされてしまうのです。一方、妖精を操る敵と戦わなければならないエドガーは自分では妖精を見ることができず、妖精の知識もないので困っていました。そうした中でエドガーはリディアを妖精博士として雇うことになるのですが、お人良しで優しいリディアに惹かれていきます。リディアは複数の女性と交際していたエドガーに最初警戒しますが、二人でプリンスとの戦いを乗り越えく中で「エドガーは自分を本当に愛してくれている」ことを知り、エドガーの愛を受け入れて結婚することになるのです。 結婚を間近に控えたリディアとエドガー。人間や妖精たちからお祝いの品が届けられたり、ウエディングドレスのデザインを決めたり、貴族の行儀作法を学んだり、仕事やおしゃれを頑張ったり、そして決闘したり、二人とも忙しくて大変だけれども幸せいっぱいの生活を送っています。しかし、従者レイヴンが妖精の魔法でエドガーに近づくことができなくなってしまったり、運命の赤い糸が見えるようになってエドガーに浮気の嫌疑がかけられたり、魔法の武器を持つ変態ストーカーにリディアの下着が盗まれたり、妖精の魔法が原因でとんでもない事件に巻き込まれることにもなってしまいます。今回の短編集は結婚前の二人のあまい愛の出来事を綴ったものです。結婚という人生の一大事を前にちょっと不安になるリディアととにかく早く結婚してイチャイチャしたいエドガー。結婚前ならではの甘くて幸せいっぱいのエピソードがとても面白かったです。 ジャンルは妖精トラブル・ラブストーリー・ファンタジー。ラブストーリーやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終。伯爵と妖精シリーズ(一部紹介)
2009年05月18日
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世に「解放王アルスラーンの十六翼将」と称されるが、十六翼将という職制があったわけではない。パルス暦 三二五年 八月二十二日、アルスラーンによって将軍の印綬を国王手ずから授けられた十六名の騎士がそう呼ばれるようになったのである。しかも十六名のうち最新参のパラフーダをのぞく十五名は、パルス暦三二一年九月にアルスラーンが即位した時点ですでに顔をそろえていた。「十五翼将」の期間のほうが長いのだ。それでも「十六翼将」の名が永くパルスに伝えられたのは、人々がアルスラーンの治世を懐かしんだから、また武の面で最後まで彼を支えた騎士たちが後世の吟遊詩人に愛されたゆえであろうか。十六名の内訳はパルス人男性11名、パルス人女性2名、シンドゥラ人男性1名、トゥラーン人男性1名、ルシタニア人男性1名である。最年長がクバードの36歳、最年少がエラムの18歳。この年19歳になるアルスラーンよりも年少なのはエラムだけで、若い武将たちがさらに若い国王を盛り立ててパルス再興の大業を成し遂げたことが分かる。ついに十六翼将が並び立ち蛇王との戦いが始まって・・・。 「アルスラーン戦記」シリーズは、主人公のパルス王国の国王アルスラーンが優秀な武将や軍師など英雄達に支えられて王国を数々の侵略や苦難から救うことになるというストーリーです。他国に侵略され絶体絶命の中、当時王太子のアルスラーンは一騎当千の黒衣の騎士ダリューンに救われて故国奪還の戦いを始めることになります。そして、宮廷画家として雇った軍師ナルサス(彼は画家の才能があるわけではありませんが、どうしても画家になりたいと主張したので実質は軍師でも宮廷画家ということになっています。いちおう絵も描いているようです)らの活躍で長い戦いの末、何とか国を取り戻すことに成功するのです。アルスラーン本人は頭が特別良かったり武芸に優れているわけでもない普通の少年なのですが、不思議な人望人徳を備えていて様々な英雄たちが彼の味方として現われアルスラーンとパルス王国を救うことになっていきます。 刺客として放たれたチュルク国の青年ジャライルを捕らえ、蛇王ザッハークを復活させようとするイルテリシュと魔道士ガズダルム。恐るべき伝説の魔物ザッハークが甦ってしまえば魔物たちの軍団の勢いが増し手に負えなくなってしまいます。一方、ミスル国では客将軍となったアルスラーンのライバルでパルス王位継承者のヒルメスがリベンジを果たすため着々と勢力を拡大。シンドゥラ王国の自称・苦労王ラジェンドラ二世は、無難に自国を統治しつつ隣国の様子を警戒。そんな中、アルスラーンに会うためにやって来た女騎士エステルは負傷した左脚が酷く悪化し生命の危機が迫ることになります。また、ザッハークの眷族を討伐する戦いでも思いもかけない犠牲者を出すことになり、アルスラーンは立て続けの悲しみに襲われることになるのです。この巻はストーリーの重要人物たちが次々と退場することになってしまい、非常に衝撃的な展開でした。「誰が死んでしまうのか?」スリリングで気の抜けない激動の内容がとても面白かったです。ところで「ラジェンドラの存在が心のオアシス」と編集者の人が語っているようですが、シンドゥラ王国は他の国々とは違いいたって平和ですね。 ジャンルは、ヒロイック・アクション・ファンタジー。ファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>アルスラーン戦記シリーズDVDもあります
2009年05月11日
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違和感ある光景だった。薄闇に沈んだキャンパスは、広く、清潔で、豊かに緑と静寂に包まれている。その中に無骨なパトカーが幾台も赤色灯を回しながら停車していたのだ。市を騒がせた、十代若者による新ドラッグ「アロマ」の一大ムーブメント。その顛末にしては、あまりにそぐわない光景だった。電撃的とも言える今回の一斉摘発。結果は、「パーティ」のスタッフをほぼ全員押さえながら肝心の首謀者数名は取り逃がすという画竜点睛を欠く幕切れとなった。「ともあれアロマの件はこれにて一件落着だ。ご苦労だったなミスホームズ」「一件落着ですって?とんでもない。この事件は主催者を捕らえるまで本当の意味で解決はしませんよ」2007年、冬。アメリカ、ロサンゼルス。元実践捜査研究会のメンバーである千絵と梓は、外国で「アロマ」と呼ばれる新ドラッグを追っていました。事件の裏には、一つの体に三つの心を持つ旧敵・車椅子の男の暗躍。そして、再び葛根市に集うことになった元実践捜査研究会のメンバーたちは、「アロマ」を第二の「カプセル」にしようと画策する陰謀に立ち向かうことになって・・・。 「Dクラッカーズ」シリーズは、海外へ転校してしまった傍若無人な少女・姫木梓に恋する主人公の少年・物部景が梓を想うあまり、梓の代わりとなる悪魔「無慈悲な女王」を召喚してしまい、飲むと悪魔が出てきて願いを叶えてくれるというドラッグ「カプセル」を中心としたアンダーグラウンドの争いに身を投じていくことになるというストーリーです。多数の悪魔持ち(オーナー)が在席する「カプセル」密売の最大組織「セルネット」。「非常に優れた秘密保持」と「強力な悪魔を戦力とする」という特徴を持つ「セルネット」は、構成員ですら組織の全容を把握できないという謎の巨大組織です。景は、この「セルネット」が「無慈悲な女王」と何らかの関わりがあると考え、自身が麻薬中毒者となってまで悪魔の力を手にいれ、単身巨大組織に戦いを挑むことになります。その後数年、アンダーグラウンドで「悪魔狩り」のウィザードと恐れられるほど成長?した景は、帰国したかつての想い人・姫木梓と再会することになり、今まで沈黙を守ってきた「無慈悲な女王」もオリジナルである梓の出現で大きく動き出します。悪魔として召喚者である景の願いを叶えるべく存在する景の理想の女王、精神的にも肉体的にも大きく成長して帰ってきた最愛の人・梓。二人の女性と謎の組織・謎のドラッグをめぐる景たちの戦いが本格的に始まることになっていきます。 今回の「Dクラッカーズ+ プラス」は特別編で本編直前のストーリーと本編完結から4年後のストーリーが収録されています。ちょっとはましになったとは言え相変わらず人付き合いが苦手な景、景の心をしっかりと捕まえているものの恋愛の進展はさっぱりな梓、探偵として海外でも大活躍している千絵、皆のサポートに追われる水原。「Dクラッカーズ」を読むのはかなり久しぶりなのですが、大学生になってたり海外進出していたりしても本質的にはさほど変わっていない実践捜査研究会のメンバーたちの様子にすぐに自然とストーリーの中に入っていくことが出来ました。敵である3Bの人?たちも健在。恋人同士だった甲斐氷太と皆見茜は、マフィアと警察幹部候補生という商売敵になっていても相変わらず仲良しです。それにしても最初と完結後を通して読むと、登場人物たちそれぞれの成長やストーリーの流れ、何より景にとって梓という存在が悪魔を召喚するドラッグをはるかに超える影響力を持っていることがよく分かって大変面白かったです。 ジャンルは悪魔召喚ドラッグ・アクション・ラブストーリー。アクションやラブストーリーが好きな人にお薦めです。<終>Dクラッカーズシリーズ短編集もありますドラマCDも出てます
2009年05月04日
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