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元ミュージシャンとその仲間が殺される話。音というものを文学的に表現しようとする試みは理解できるけれど、そのための方法論もストーリーも物足りない。君という二人称を使った描写やポエジーな描写に工夫しているものの、この作品ならではの魅力とまではいいきれない。カタカナで表記される登場人物にリアリティがなく、人物の書き分けもできていないので登場人物同士の会話が面白くない。サブカルチャーを扱っておきながら会話が面白くないのは作品にとって致命的欠陥であり、ロックのうんちくを語るマニアックな自己陶酔で終わっている。第14回すばる文学賞受賞作という肩書きがなければ本屋で手にとっても読まなかっただろう。★★☆☆☆
2007.03.27
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あまり仲のよくない友達を居候させるという青春の話。物語の構成や必要以上に行を開ける会話文に未熟さを感じる。作者がただ単にノスタルジックな青春物語を書こうとしたのではなく、仕事や学校を含めて若者の日常生活やその先にある夢を捉えようとしている姿勢は評価できる。★★☆☆☆ 『ロックンロールミシン』は若者が服を作る話で、デビュー作から進歩が見られる。会話文を多用してリアルタイムの状況を描く文体はテンポがよくて読みやすいものの、ストーリーテリングだけで描写が終わってしまうことに物足りなさを感じる。会話の中から人間関係の葛藤や感情の微妙な推移が浮かび上がってくるのは評価できるけれど、地の文は平坦でつまらなく感じる。★★★☆☆
2007.03.21
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となり町と戦争をすることになり、主人公が実感がないままに偵察として戦争に参加するという話。ビジネスとしての戦争、違法な殺人と合法な戦争との違い、役所の画一的な対応に対して社会批判を盛り込んでいるが、そのぶんリアリティがなくなりつまらなくなっている部分もある。役所の文書などを表示することで戦争が日常的になっているという物語の状況にリアリティを出そうとしているものの、戦争マニアなどの人物描写がステレオタイプでリアリティを損なっている。もともと周囲に無関心な主人公の一人称によって物語が語られることもリアリティがなくなる一因だろう。主人公と役所の女性が結婚することになる際には彼女が公務か本心かで揺れ動くあたりはやっぱりこういう展開になるのかと先が読めてしまい、興ざめした。しかしながらスパイだのFBIだのが人を殺しまくるハリウッド映画があふれる現在では、死体がでてこない戦争というのは新鮮である。★★★☆☆
2007.03.20
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芥川賞を受賞した当初はマリファナでブリブリになったラップ口調の文体が注目されていたが、それはむしろ周辺的な要素である。物語の本質には家族がボケるという老人介護の問題と、それを支える家族はつきっきりで介護をするために仕事ができないという問題がある。小説でありながらも介護した人間しかわからない苦悩を描いたリアリティのある内容で、タイトルどおり介護の入門書としても役に立つ。★★★☆☆
2007.03.18
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ロシア語の日記の翻訳を通して、言葉遊びや連想ゲームのように物語が展開していく様子は日本語表現の豊かさを感じさせる。しかし一人称による回想でかかれているために脱線も多くてストーリーに臨場感がなくなり、小説としてストーリーに感動することはないだろう。作者が博識であるせいか、小説というよりも評論を読んでいるような感じに近い。それにカフカのオドラデクを知っていなければ「おどるでく」の面白さも伝わらず、読者に小説の知識がないと理解できない内容になっている。あとがきでは作者が「読者を選ぶ小説」だと自認しているが、選ばれた読者こそ読んでみるべき本だと思う。★★★★☆
2007.03.17
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若い男が恋人の姉にほれてしまう話。すったもんだの末に死んでしまうというありきたりな展開で、先の展開が予想できるうえに、文章構成や描写も拙い。作者の妄想を書き綴っただけで完結してしまっていて、ストーリーからは人間や社会について作者の視点が見えてこない。いかにも若い女性が作家になりました、という感じの本。★★☆☆☆
2007.03.14
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父上の本棚にあったので読んでみた。多くの政治家が師事したという安岡正篤の思想を解説する本で、安岡の思想だけでなくさまざまな古典からの引用も面白い。目先の金だけを追う昨今の世の中だからこそ、古典から学んで人間のありかたの根本にたちかえろうとする思想がひきたってみえる。★★★★☆
2007.03.13
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ユダヤ人の大富豪ゲラー氏の教えを聞いた本田氏が成功の秘訣を書いた本。しかし人生にはツキがあるとか、ポジティブに考えるとか、中身は自己啓発本にありがちなことばかり。具体的な「教え」や方法論を探している人は物足りない内容で、ゲラー氏の教えが著者を通じて薄まっているような感じさえする。いっそのことゲラー氏の伝記にでもしてくれたほうが面白いよ。★★☆☆☆
2007.03.13
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スプリットタンにあこがれた主人公ルイは、アマと同性しながら彫り師のシバと寝る話。殺すか殺されるかという少年少女の不器用な恋愛話だけれど、そもそも破壊衝動を持っている時点でどう転んでもハッピーエンドがありえなくて、ボロボロになるのが本人が望んだことにもかかわらず傷ついているという逆説が面白かった。★★★☆☆『蛇にピアス』に続けて『アッシュベイビー』を読んだ。キャバクラの女は変わった客に恋をして、同居人のホクトは親戚から預かったという乳児相手に性交をしているという話。やはり物語の根底にあるのは性衝動と破壊衝動であるけれど、前作よりも性描写が多い。ペドフィリアが出てくるあたりはただのポルノとは違う点だけれど、登場人物がキャバクラ嬢と出版社の人間という点は内輪ネタのような内容の薄さも感じる。芥川賞受賞第一作ということで進歩したところを見せようとしたのか文体にも個性を出す工夫をしているが、小手先だけという印象をぬぐえない。それよりも『蛇にピアス』よりも『アッシュベイビー』のほうがページが多いのに安いのはなんでなのか気になる。★★★☆☆
2007.03.12
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