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皆様お元気ですか・・・?
今日お話ししたいとおもっているのは、「ハワイのグルメ3」についてです。
プアア
「プアア」とは、ハワイ語で豚や豚肉を意味します。ポリネシアの島々での重要な食べ物の一つで、ハワイ諸島を始めて発見した西欧人、クック船長の航海記にも、物々交換により太平洋の島々で豚を入手した記録が多く残されています。僚船ディスカバリー号のクラーク船長は、1779年2月に米大陸を目指して出航する準備をしていたカウアイ島で、平均して百ポンド(約四十五キロ)にもなる豚を七十頭も入手出来たと、報告しています。
ハワイの伝統的な料理法では、プアアの内臓を取り去り、肉に塩(パアカイ)を振り、バナナ(マイア)やティー(キー)の葉に包み、更にマットや布のような物で被い、地面を掘って熱い石を置いた「イム」で、数時間かけて蒸し焼きにします。大きなものは、肉の中に石を入れて内側からも焼きました。そして、石が冷めた頃に取り出し、小さく切り分けて食事に供されました。「アハ アイナ」とか「ルーアウ」と呼ばれる、ハワイの祝宴には欠かせない食べ物です。
豚は大切に飼われ、人間の食料と同様に、料理されたタロ芋(カロ)や薩摩芋の類(ウアラ)、バナナ、パンの木の実(ウル)等が与えられたそうです。
プアアは食物としてのみならず、神への貴重な奉げ物でもありました。「コア」と呼ばれるハワイ固有種の艶のある木があります。海へ漕ぎ出て魚釣りや大切な交通手段として使われたカヌー(ヴァア)を造る人達は、大木の生い茂る山の奥深くに入り、良質のコアの太い幹を選び、その木の前で豚を神に奉げ、自分達も共に食べ、儀式を終えてから石の斧(ちょうな)で木を切り出しました。
山の高い峰から海岸に至るまでの、ハワイの人々の共同生活区域を「アフプアア」と呼びますが、「アフ」は祭壇を意味します。隣の生活区域との境界線となる険しい稜線には、石の祭壇が設けられ、ククイの木を使って彫り上げ、赤土を使って赤茶色に塗り上げたプアアの頭が奉げられていた事から、共同生活区域の大きな谷間や広い平野をアフプアアと云うようになったのだそうです。冬の四ヶ月ほど、豊穣と平和の祭の季節「マカヒキ」には、人々からの税とも解釈出来る奉げ物が、アフに奉げられたとか。
ところで、ハワイに多くの人々が移住した沖縄の料理にも、豚が良く使われます。戦後の困窮した沖縄の人々の生活を救おうと、ハワイ在住の沖縄にルーツを持つ人々が協力して、1948年(昭和23年)に、米国から五百頭の豚を輸送した話は、美談として今でも沖縄の人々の間に語り継がれ、感謝されています。
又、沖縄歴史教育委員会が編集した2010年の高等学校用の教科書「琉球・沖縄の歴史と文化」に、このような記載をみつけました。宮古と八重山諸島の先史時代には、土器を持たない文化と共に焼石調理法が存在したと記されています。地面に穴を掘り、真っ赤に焼いた握りこぶし大の石をつめて蒸す、とあります。ポリネシアの料理法との関連性が有ったのでしょうか。豚を食べる習慣と共に、興味をそそられる記述です。
地中のオーブンとも云えるイムからプアアを取り出すところは、戸外で行なわれるルアウ ショーで、今でもハワイを訪れる旅行者が見る事が出来ます。イムで、じっくりと時間をかけて蒸し上げた豚肉は、脂肪分が落ちて、さっぱりとした風味が楽しめます。夕暮れ時に行なわれるルアウ ショーは、ハワイらしいゆったりとした夕食の時間を過ごすのに最適の場所かもしれません。
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