全6件 (6件中 1-6件目)
1
![]()
セクハラの成立には故意過失が必要なのだろう。なんとなくそう思っていたけれど,そうでもないという裁判例に遭遇した。アカデミックハラスメント,略してアカハラも絡んでいて色々と,参考になりそうなので見ていきたい。紹介するのは,東京高裁令和元年6月26日判例タイムズ1467号54頁。問題になったのは,とある大学である。原告の大学教授は,ある学会終了後,学生たちとの慰労会に出席したのだ。慰労会が終わった後,女子院生に声をかけ,「家まで送っていく」とか言って,女子院生の家の最寄り駅まで行ったのだ。で,駅近くのファミレスで飲食後,「もう終電ないから帰れない。家に入れて欲しい」など言って女子院生の家に入れて貰い,一晩泊まったのだ。女子院生が拒否したため一線は越えなかったが,それでも「落葉の宮も3回夕霧を拒んだのですよ」と迫ったり,ブラウスのボタンをはずしたり,胸を触ったりしてる。なお,原告の教授はベットで眠り,女子院生はキッチンで一睡もせず一晩を過ごしたのだ。このあとも,色々教授からメールを送ったのが,セクハラだったりアカハラだとして,大学は懲戒処分として教授を降格させたのだが,教授側がこれを不服として地位確認と未払い賃金を求めたのがこの事件。これで,高裁が面白いのが,「セクシャル・ハラスメントに該当するかどうかという点の判断においては,行為者の主観的要件(故意・過失)は考慮に入れるべきではない」と判断しているところ。そうしたうえで,故意・過失の有無なんかは,懲戒処分をするかどうかの裁量に影響を与えるだけであるとし,降格は相当だとして原告教授を敗訴させた。一瞬,「え,そうだっけ?」と思ったが,よく考えてみたら,これは不法行為の次元ではなく,労働法の次元で,懲戒処分ができるかどうか,という問題なのである。タイムズの解説でも説明されていたけれど,セクハラというやつ,している側には故意・過失がない,つまり悪気がないというのがままある。性犯罪の弁護をたまにやるのだが,被疑者・被告人には「同意があった。被害者も俺に好意があったはずだ。」という人がそれなりにいる。彼らの頭の中では,「拒否されなかったから,同意があった」と変換されているっぽい。このあたりは非常に難しい問題で,性的な行為をする際,女性が本当に嫌がっていないのか,僕だって正確に事実認定できている自信はない。とりあえず拒否されてないから,嫌じゃないのだろう,くらいにはどうしてもなってしまう。なので,労働法上の懲戒事由としてのセクハラの成否を考えるためには,行為者に故意・過失があろうがなかろうが,使用者としては注意し,指導する義務があるわけだな。言われてみれば当たり前なのだろうが,どうしても故意・過失が要件のように考えていた。ところで,興味深かったのが教授が「落葉の宮も夕霧を3回拒んだのですよ」と言って女子院生に迫ったというところ。僕なんかは「雅だなぁ」とのんきに考えてしまったが,女子院生は「自分の研究対象である中古文学の分野,ひいては自分の学問をけがされた」と証言している。この一事を見ても,僕には正確に女心が把握できていない,ということであり日頃の言動がセクハラにならんか,注意すべきなのだろうと思う。源氏物語 あさきゆめみし(1)【電子書籍】[ 大和和紀 ]
2020.01.30
コメント(2)

唐突に登場したサタン。なんかダサいので「来週になったら何事もなかったようにデザイン変っているんじゃないの?」と先週の感想で書いたけれど何事もなく,先週と同じ格好だった。そんな今週のキン肉マンだけど,相変わらずサタンが大暴れしてる。ソルジャーも重傷っぽいし,サタンとの連戦はきつそう。思えば最近の正義超人って体力なさ過ぎじゃないですかね。今回のシリーズ,3連戦したマリキータマンを筆頭に六鎗客はけっこう連戦しているし,昭和のキン肉マンなんて1日のうちにスニゲーター,プラネットマン,アシュラマン,悪魔将軍と4連戦して4勝してたぞ。昭和の話はおいておいて,そこにジャスティスマンが乱入。数年ぶりのジャスティスマンだけど,サタン相手に「旧世代の遺物。なかでも最低の部類。」だとか「負の遺産」だのすさまじい罵倒を見せる。ジャスティスマンさん,前シリーズではアシュラマンとテリーマンという強豪を相手に戦い,なお実力の全てを見せてくれなかったけど,こんな舌戦も強かったのね。(306話17頁。黙れゴミ屑)個人的には,「黙れゴミ屑」がお気に入り。あまり感情を込めず淡々と罵倒をする感じだけど,これはこれで味のあるマイクパフォーマンスをやりそう。ただ,まぁ,そのなんですか。ここで出てきてもらっても,話の展開的にジャスティスマンは勝てるんですかね・・・?ここでジャスティスマンが勝ってしまうと,主人公であるキン肉マンの立場がないのである。ただ,ジャスティスマンには噛ませ犬役をして欲しくないなぁ・・・。それから,疑問に思ったのがこれ。「罪人の子孫は罪人ではない」とジャスティスマンは言うのです。(306話19頁。罪人の子は・・・?)これは当然のことを言っているように思えるが,ここにキン肉マン2世という問題作がある。かつての日記で書いたけれどキン肉マン2世では激しく血統が重視されており,親が悪行超人だという理由でヒカルドはどうしても正義超人になれず,アシュラマンは「汚れた悪魔超人の血」とやらのせいで息子が悪行超人になる。恐らく,この台詞はヒカルドあたりに聞かせてやると,感涙にむせぶのではあるまいか。この辺は,過去にまとめた日記をリンク先から見て欲しい(『悪行超人の血統問題』)。もともと,キン肉マンの世界観においては,仮にもともとが残虐超人だろうが悪魔超人だろうが,改心さえすればいつでも正義超人になれると設定だった。ある意味で,2世の血統を絶対視する時代こそが異端だったといえなくもないのだが・・・。キン肉マン 69【電子書籍】[ ゆでたまご ]
2020.01.27
コメント(0)
![]()
異種族レビュアーズですが,アニメの方も好調のようですね。今のところ,放映禁止になったとかBPOに苦情が入ったという話は聞かない。そんな問題ありありの異種族レビュアーズなんだけど,漫画だけじゃなくて小説の方も結構面白い。この期に感想を書いていこう。異種族レビュアーズ まりおねっと・くらいしす【電子書籍】[ 葉原鉄 ]小説版の特徴というのは,第1にサキュバス店描写の所だろう。なにせ,漫画版は大人の事情でエッチなシーンを描写できないため,基本的にサキュバス店は受付でのやりとりの後,プレイ描写は省略されてレビューでプレイ内容を想像させるという内容になっている。そのため,漫画版では受付嬢に人気が集中したりするのだけど,その最たるはフェアリー店だろう。人気投票でサキュバス嬢ではなくて,受付嬢が人気№1になってしまうのだ。そんな中,プレイシーンをしっかり描写できるのは小説版の利点だろう。しかし,個人的にはエロシーンよりむしろ,小説版の最大の面白さはサキュバス店以外のダンジョン攻略だとかスタンクたちの冒険シーンやキャラの掘り下げがされているところかな。内容だけど小説版はメインストーリーとして,漫画版2巻で登場したゴーレム専門店の外伝というか,後日談になっている。どういう話かというと,ゴーレム専門店は自作でエロ人形を作り,プレイできるという店なのだ。シロウトが行くと「抱けないブス」しか作れないが,レビュアーズのカンチャルのような手先が器用な者ならば,どんな美女でも,また知り合いでも思うさまプレイできるというのだ。レビュアーズは行きつけの酒場の看板娘,メイドリーさんゴーレムを作ってプレイしてしまったのだが,後日談としては,彼らが作ったメイドリーさんのゴーレムが自我を持ってしまうという物語。そんなメイドリーさんゴーレムの捜索なんかをしながら,情報収集だったり,スタンクの呪いを解除するためだったり,寄り道だったりしながらサキュバス店に行く・・・。というのがおおざっぱなあらすじ。個人的に,最大の見どころは新キャラ,アシュラ族のヴィルチャナだな。このヴィルチャナは「男として生まれた以上,剣の高みを目指したい」と言って,ことあるごとにスタンクに決闘を挑むのだ。ただ,スタンクの方は戦闘に興味がないから適当にあしらうのだが。それでも,6本腕の特性を活用した剣術と戦うスタンクはかっこいいですね。興味深いのが,「6本の腕があっても,互いの肩が干渉をしあって間合いは狭い」とスタンクが戦闘中に見破るシーンですね。なんとなく,説得力がある。この小説が異種族レビュアーズだということを忘れてしまいそう。そして,普通の漫画ならともかく,この作品は異種族レビュアーズである。ヴィルチャナは武術ばっかりやっていて童貞だったので,スタンクたちに汚されてしまうのだ・・・。このあたりも爆笑である。本当に,小説版というのはスタンクというキャラをかなり掘り下げていると思う。主人公でありながら,他のキャラの個性が強すぎて,スタンクってあんまり個性がないんだよね。だいたい,「性欲が強い」というのが個性でもなんでもない世界観がヤバい。この小説版ではスタンク視点が多いせいか,戦闘にも長けているところだとか。そして,小説版1巻の話だけど,寝取り専門店で細かな台本を作ってプレイするのだけど,シチュエーションプレイに没頭してしまって精神を病んでしまうのだ。こういう馬鹿なところ,本当に好きである。異種族レビュアーズ まりおねっと・くらいしす【電子書籍】[ 葉原鉄 ]
2020.01.22
コメント(0)
![]()
唐突に弁護士やってる友達(アニメ好き)から異種族レビュアーズについてのラインが来た。そういえば,アニメ化したもんなぁ,と感慨に耽ってしまう。こう,場末のインディーズを「俺が応援しなきゃ」という使命感からCDなんかは欠かさず買っていたが,なんかメジャーになっちゃうと「もう俺が応援しなくてもいいじゃん」という気持ちになるアレである。異種族レビュアーズ 4【電子書籍】[ 天原 ]それはそれとして,漫画の4巻が出たので感想を書いていく。目的としては感想を残しておくというのもあるけれど,備忘的なメモとして各話のおおざっぱな内容も残しておく。この作品,サブタイトルがなく,そっけなく「29話」としか書いてないから,あとで目次を見て,どんな話だったか探すのが一苦労なのだ。なので,簡単に記録を残しておくのも悪くはあるまい。4巻に収録されている29話~35話に俺がサブタイトルをつけるとこんな感じか。29話 異種族結婚奇跡の村(後編)30話 けもの道編31話 サキュバスムービー編32話 ドワーフ編(前半でギルド紹介)33話 こげつき依頼編34話 レビューなし(勇者の紹介)35話 ミミック編例によって,すべての話に感想を書く余裕はないので,2つにしぼろう。1つは30話,「けもの道編」だ。これは,レビュアーズのみなさんが獣人系専門のサキュバス店に行くという話。何が面白いかというと,獣人にも色々いて,人間成分が99%でかるく猫耳がある程度のものから,人間成分が薄くて「しゃべる獣」くらいのものまでいるところ。そんななかケモ度が高い嬢に対してスタンクが「が,頑張ればなんとか・・・」と言って嬢をキレさせるシーンは爆笑した。性豪スタンクさんも,やはり人間なんだな・・・。この世には,「イーブイを性の対象として見られる」というケモナーもいるんだけどね,いや関係ないね。(26ページ。頑張ればなんとか・・・)次に34話,「こげつき依頼編」。この世には,冒険者が誰もやらないという「こげつき依頼」というものがある。どうしても処理したいので,ギルドとしては酒場の看板娘とのプレイを報酬にしているのだけれど,スタンクたちがそんなこげつき依頼に挑戦するという話である。スタンクたちレビュアーは,設定上,いずれも腕のしれた冒険者である。一応,小説版ではダンジョン攻略をするシーンなどはあるのだけど,漫画版でそんな冒険シーンがあると新鮮だ。それにしても,スタンクって英雄クラスの実力だったのか・・・。で,ブルーズもライオン獣人なみなのね。個人的に,このコマはいつもレビューしてるスタンクたちのレビューのようで面白い。(82ページ。各レビュアーズに対する冒険者としてのレビュー)なお,小説版も読んでるから,そのうち感想書くよ。異種族レビュアーズ 4【電子書籍】[ 天原 ]
2020.01.15
コメント(0)

新年はじめのキン肉マンが更新された。ちょうど13日は成人の日だと思ってのんびりしていたら,Twitterで容赦ないネタバレが展開されていたものの,それはそれとして感想を書いていく。前回までのあらすじだけど,ようやくソルジャーたちフルメタルジャケッツとアリステラ率いるオメガグロシアスのタッグマッチも決着し,色々と舞台裏の話がはじまったのだ。それによると,オメガ六鎗客が攻めてきたのは,サタンが背後で糸を引いていて,アリステラを成長させて体を奪うためだったという。で,サタンが姿を現してマリキータマンを串刺しにしたところが先週まで。今週になってサタンが姿を現すのだけど,それがこんな感じ。なんかダサい・・・。どこがどうダサいのか説明は難しいが,なんか獣神サンダーライガーっぽい。これもオーバーボディかもしれないし,来週には何事も無かったかのようにデザインが変っているかもしれない。過去,悪魔将軍だとかガンマンのデザインは予告なく,突然変ったりしていたからな。あと「勘違いするなよ。依り代などいなくても実体化できる」とか言い始めるんだけど,ソードマスターヤマトの最後の方で突然を思い出した。つじつま合わせですね。舞台裏を想像するに,もしかするとゆで先生は六鎗客編を始めた時点で,六鎗客の戦う理由なんかの設定を固めていなかったのではないか,と思わせる急展開である。で,サタンが大暴れしてマリキータマン,ブロッケンをKOし,アリステラとソルジャーにも大ダメージを与えて今週は終わり。さて,このあとどうなるんだろうか。もう,正義超人は傷だらけで,戦える超人はそんなにいない。おさらいをしてみると,キン肉マンはパイレートマンとの戦いで重傷だし,テリーマンは片足を失ってしまっている状態。ロビンは行方不明でラーメンマンはどうだったけ,ネメシス戦の傷が治ってないんだっけ。バッファローマンはもう悪魔超人みたいだし・・・。仕切り直して,回復のためある程度の日数を置かなければならん気もする。それから,そもそもサタンって強いのかな?あやつマンことザ・マンよりは弱いのだろう。そうすると,ザ・マンより強い悪魔将軍よりも弱いのだろう。そんなキャラがボスと言われても今更感はあるんだよね。あとは魔界のプリンス・アシュラマンとかサタンクロスなんかとの関係もどうなんだろう。長期連載のためか整合性が極めてつきにくくなってきているが,そのあたりはどうとでもなるだろう。
2020.01.14
コメント(2)
![]()
18年もの間新刊が出ていなかった十二国記,ついに新刊である『白銀の墟 玄の月』が出た。全4巻とかなり長いのだが,ようやく読み終わったので感想を書いていこう。白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫) [ 小野 不由美 ]これまでのあらすじだけど,泰国はひどく荒れていた。阿選という将軍がクーデーターを起こし,王である驍宗がは行方不明,泰麒も蓬莱に流されていったからだ。十二国記の世界観だと,王がいないと国は荒れてしまうのである。物語的には,蓬莱から帰ってきた泰麒を主人公としつつ,泰国の立て直しを図るという内容になっている。それにしても,長い・・・。全4巻というのはかなり苦しい。僕が十二国記に出会ったのは高校生のころだったか。1作目,『月の影 影の海』もまた上下巻だったのだけど,陰鬱な状態が続く上巻はひどく読むのに苦労をさせられたような記憶がある。ただ,下巻で一気に面白くなるので新刊である『白銀の墟 玄の月』もそうなるのかなと期待はしたが,それでも4巻は長い。時間がいくらでもある学生と違って,社会人になると自由に読書を楽しめる時間なんぞせいぜい1日1時間あるかないかだからね。1冊に3日程度かけるとして,半月は余裕で必要だ。で,内容なのだけど何故こんなに長いのかと言えば,ミステリーじみた仕掛けがされているからだと思う。もともと,泰国の情勢についてはよく分かっていないところが多かった。たとえば,第1にクーデターを行った阿選の動機は何なのか,第2に泰王の驍宗はどこに行ったのかという点。さらにこの巻では,泰国の支配者になったはずの阿選が政治に感心を失ってしまっているようで,国政をないがしろにしていることが明かされるが。第3の謎として,なぜクーデターまで起こした阿選が政治をないがしろにしているのか,なんていうのもあるだろう。作中,登場人物たちは延々とこれら3つの疑問について,議論をしはじめたりする。ああではないか,こうではないかと。例えば,驍宗の行方について,もう死んでいるのではないか。いや,名乗り出ると殺されるので,どこかに身を潜めているのではないか。いやいや,重傷を負って動けないのではないか。こんな話をかなりやっている。自分用の備忘録的な意味もあって,次の次の段落ではっきりネタバレをしてしまうので,未読の方は次の段落で引き返した方がいいかも。さて,色々な謎なのだけど,「もっと短くしてくれんかなぁ」というのはどうしてもある。様々な謎はあるにせよ,普通に上下巻どころか1冊で終わりそうなところもないではない。ただ,もったいぶって謎についてキャラクターが議論を繰り広げるシーンを読むことで,読者はより一層謎について考え込むことはできるだろう。また,謎が明かされたときの快感は非常に大きくなると思う。たとえば,第1作『月の影 影の海』なんかは上下巻なのだけど,上巻は読んでいて精神的につらい。主人公は延々と苦しい目にあい続ける。現代日本から十二国記の,謎の世界に飛ばされ,誰からも理解されず,信じた人には裏切られ続ける。このドン底を見たからこそ,下巻で物語が収束していくところの快感は大きくなるのだ。このあたりは,昨今はやりの「異世界転生もの」と対極にあると思う。異世界転生ものだと,主人公はたいていチート能力というか,人並み外れた能力を持っていて,たいした努力をしなくても誰からも好かれ,誰からもチヤホヤされる。だが,十二国記の世界はそうではない。主人公たちはドン底まで落ちるし,簡単にはチヤホヤされることはないのだ。しかし,繰り返しになるが,全4巻は長い。正直言って,物語が大きく動き始める3巻から読んでもそんなもんだという思いもあるかな。逆に言えば,陰惨で長い全4巻を出せるあたりが小野不由美の信頼と実績なのかもしれない。そろそろネタバラしに入るけれど,第1に阿選がクーデターを起こしたのは,まとめづらいが驍宗に対する嫉妬とか羨望とか,そんな負の感情である。そもそも,「阿選」というのは字であって本名は朴高。一方で,驍宗も朴綜。天は続けて同姓の者を王にはしないというから,阿選は驍宗の次に王になることがどうしてもできない。そういうこともあって,クーデターをするのだ。第2に驍宗の行方だけれど,落盤に巻き込まれて日の届かない穴の中にずっといた。これも何度もミスリードがあり,驍宗っぽい,重傷を負った武人が村で匿われたりとか,色々あった。第3の,クーデター後の阿選が国政をないがしろにしていたのは,いつ驍宗が帰ってくるかわからんとか,その手の事情によるのだ。このように箇条書きにしてしまうと,一瞬で終わるのだが,前半で謎を広げ,3巻ころから明かされる。ちなみに,十二国記は巻末に史書を引用したような記載で締めくくるのだが,全4巻の物語を数行で終わらせていて,なんか史書のあっさりした記述の裏には,色々あるものだという気持ちにさせられる。その他,ミステリ仕掛け以外にも,見どころは色々ある。泰麒は黒麒麟であり,慈悲深い性質の麒麟とはかけ離れているように描写されている。策謀も巡らせたりもするし,暴力行為も可能である。嘘だってバンバンとつくし,他人を陥れたりもする。泰麒はさまざまな策を実行するのだけど,そのうちの大きなものとしては「ツノを切られ,麒麟としての力を失っているフリ」をやっていたところか。結構,びっくりさせられるシーンではあった。面白かったかどうか,と言われれば面白いのだろう。ただ,長い。時間のある学生向けだし,社会人的には年末年始にでも読むしかないよ。白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫) [ 小野 不由美 ]
2020.01.06
コメント(0)
全6件 (6件中 1-6件目)
1