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去る7月16日、『抹茶をたのしむ うつわ展』@江戸川橋ギャラリー・酢飯屋、行ってきました。茶事初日一発目切り込み(w)。 味覚、触覚、視覚に楽しい入?念な企画と、和やかな雰囲気、何より、おもてなし下さる皆さん一人一人の、一つの目的に向?かった、しかし各々多様な思いが込められた茶事、大変贅沢な時間?を頂戴しました。 初日ということもあってか、あるいは初日なのに、か。大勢の作家さんが顔を出して下さり、ご自慢の作品を披露してくださいました。ひょっこり現れる風なのも、気取らず、飾らず、当たり前のように作家同士が切磋琢磨している空気が感じられました。 酢飯屋さん入魂の特製ばらちらし寿司を作家もののうつわで。五種の海の幸を楽しめる、口当たり爽やかなちらし寿司は、特別暑かった当日、最高のお食事でのおもてなしでした。まさに一口一口に発見と感動があるお寿司、堪能させていただきました。 wagashi asobiさんによる、レモンの香りもほのかな菓子、大変美味でした。餡が、ちょっと洋風に感じられるような、一粒で二度美味しい。そんな、口に運び、噛むたびに、味わいの広がる素敵な作品でした。 イベントの最後を締めた、茶会スタイリストの岡田和弘さんによるテーマと提案を感じる茶事も堪能。片口茶碗を使って、氷水点前なんて、最高じゃないですか。 こうした機会に恵まれる中で、眠っていた好奇心、新鮮な感性の発見があり、「次」が見えてきます。その瞬間を「点」で味わい、捉え、過去と現在をつないできた「線」の先に結びつけることで、ともすれば軌道が拡散していきそうな私の世界も体系化されていきます。 やがて来る夏本番前に、夏の思い出を先取りした様な、いい時間をいただきました。企画に携わられた皆さん、ありがとうございました!!予定を繰り合わせて参加した甲斐がありました!!(了)
2011/07/19
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和菓子をいただく時使っていた楊枝や菓子切りが、通り一遍の品でもう一つ雰囲気に欠けるなぁと常々思って、長いこと理想の菓子切りを探し続けていてようやく「これだ!!」と思ったのが、京都はギャラリー直向(ひたむき)さんで扱っている、稲垣大さんによる真鍮製の和菓子ナイフ。こちら、ナイフですので、持ち歩くにはほんの少々長いのですが、十分懐紙に挟んでお茶事に携行できます。 有機的にさえ感じさせる、素材の放つ、鈍くて温かい輝きと、まるで長刀のようなフォルム&機能性(=切れ味)がとにかく素晴らしいのです。 菓子切りという作品で、和菓子という作品を味わう。これはもう、アートを食するのと等しいですね。(了)
2011/07/19
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白金ダンステリアが、2011年6月26日をもって、27年の歴史に幕を下ろしたという。日本のディスコ史のみならず、音楽史にも偉大な足跡を残した聖地のひとつであった。 あまりお金があるとは言えない学生時代、友達とワイワイ飲むより、ちょっと背伸びして、R&Bやソウル・ミュージックの好きな少数の仲間だけで、少しでも憧れの世界に浸り学ぼうと、六本木TEMPSを拠点に、所謂ソウル・バーやディスコめぐりをしていた。 その中でも、特に“タイムカプセル感”が強く、ディスコ全盛時代の空気感を感じさせていただいたのが、白金ダンステリアだった。この頃はまだ原稿書きとしてデビューする前だから、完全にこの世界でも「学生」。音楽に合わせて、バシッとステップを合わせてくる大人の皆さんに、ただただ羨望と尊敬の視線を投げかけるしかない。 当時は、ニックさん(日本に数々のステップを紹介するのみならず、ご自身でも新しい踊りを生み出してきた、これまた伝説の人物です!!)もお元気で、ときどきお店に顔を出されていた。業界で知らぬ人なし、ドン勝本さんとは、お店ではお目にかかれなかったけれど、渋谷の音楽イベントでご挨拶させていただいた。「学生」にとっては、皆大先輩であると同時に、師匠とでもお呼びしたい方々である。 さて、お店の熱い活気を吸い込みながら、あるいは格好イイ先輩たちのダンスに胸躍らせながら、眼の端でいつもいつも熱い視線で見ていたのは、実はお店の壁に描かれたエモリアイさんによるイラスト。緑のニット帽をかぶったマーヴィン・ゲイの絵が好き(確か、ウィルソン・ピケットやJBの絵もあったような…とにかく、伝説のシンガーやミュージシャンがたくさん描かれた、とてもハッピーな絵であった)で、いつか剥がして帰りたい…(それは嘘ですが)…くらいインスピレーションを受けまくっていたことを覚えている。 「50年は使える」と言われて買ったPowerMacで、もうすでに砂時計出しながらマウスでCGイラストを描いていた私は、エモリアイさんに触発されて、ソウルの巨人たちを描くようになっていた(その作品を、時々店長の心配りで、TEMPSさんがお店に飾って下さったり、感想を下さったりしたのも懐かしい)。エモリさんとは、その後台場にSOUL TRAIN CAFEがオープンし、こけら落としにトニーズ(ただしラファエル抜き…苦笑)が来日した際、会場でお目にかかって、はじめてお話しをしたが、緊張してしまって支離滅裂なことしか話せなかった記憶がある。あの頃は、思えばもう音楽の原稿を書かせていただくようになっていたように思う。 思い出はあてもなくどこまでも拡散していくが、とにかく白金ダンステリアとはそういう場所で、お堅いコピー風にいうならば、「ポリシーと実践が両立した、ブラック・ミュージック文化の発信基地」といった趣があった。 その後、お酒をぱったりやめてしまって、お店からは足が遠のいてしまったが、「お酒を飲んでいた時代」の甘酸っぱい記憶をパックしたまま、“白金のタイムカプセル”は本当のタイムカプセルとなってしまった。 だが、だからいいのだ。たくさん素敵な音楽を聞かせていただき、たくさんダンスを教えていただき、たくさんの思い出をくれた伝説は私の思い出をまるごと預かって、いつの日か、忘れかけた頃に大事な何かを思い出させてくれる、そんな気がするのだ。 いまはただ、感謝の言葉を送りたい。ありがとうございました!!(了)
2011/07/19
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これまた先週末のお話。やっと涼しくなった夕方の京橋。目下、地域を揚げてのアート・イベント『京橋界隈』の真っ最中。月末からは、『アートフェア東京』も控えている『四季彩舎』さん、ご挨拶してきました?。 先があったので、まだまだ熱気さめやらぬ?夕べ、中座は残念でしたが、素敵な作品に囲まれ、しばし涼をいた?だきました。あ、ノベルティの穴空き団扇いただくの忘れた(w)!!(了)
2011/07/13
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先週末、丸の内、銀座、と予定があったのですが、待ち切れず合間でフラリ?。行ってきました、『兼行誠吾・苫米地正樹 二人展』@ 東銀座はGallery petitluxe。白磁対決でございます(w)。 作家ご両名在廊で、少々緊張しました(w)が、素人のくせにい?っちょまえにお話聞いていただき、お二人に感謝。ご自身をして「卵の殻の手触り」と表現される作風、透過性のある釉薬で継いで採光の妙を愉しむ、潔いまでの艶と白さを表現する兼行さん、独特の彩色が目にも鮮やか、これは単にターコイズという色ではなく、作家さん自身の「色=パーソナリティ」に違いないと確信させてくれる苫米地さん。 この対照的な二?名の二人展。ある意味で、今、日本の、感度の高い方達の中の「モ?ダン」を、一番分かりやすく切り取り対比させた様な、組み?合わせの妙の楽しい企画でした。会期は16日まで。再訪予定也。(了)
2011/07/13
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相変わらず、今さらネタですが『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』、観ました。幼少時代を過ごしたブラジルでは、子供の見るテレビ番組と言えばイコールアメコミでした。無論、当時はそれがアメリカの作品だとは知らず、ブラジルのヒーローだと勘違いしていましたし、日本に帰国してからも、皆が知っているアニメなんだと思っていました。 いま思えば、スパイダーマン(あ、これは日本版の再放送を日本で見ていた気がします。まったく別物でしたけど…苦笑)、スーパーマン、などメジャーものをアニメで見ていましたが、実は実写ドラマもすごくたくさんやっていましたね。ハルク、バットマン、ワンダーウーマンなどは、実写がファーストコンタクトでした。スーパーマンは、ちょうどクリストファー・リーヴ主演の名作がちょうど公開された時期で、家族で映画館に並んだ記憶があります。そのとき、映画館の看板に立てかけられた、天を指さすスーパーマンの巨大POPに、感動した記憶があります。『スーパーマン』公開時は、とにかくフィグリーニャ(日本で言うところのキャラクターカードのようなもの)をベンダ(スタンドやキオスクのようなもの)で買い、ブックに貼ってコレクションしていました。そのブックは今も手元にあり、なかなかのレアものでないかと思うのですが。 アメコミといえば、玩具もみんなアメコミ・ヒーローばかりで、小さなゴムのフィギュアのようなもので遊んでいましたが、幼い弟が、キャプテン・アメリカのシールドを飲みこんで病院に運ばれたこともありました。今では、「アメリカを飲み込んだ男」として伝説になっていますが(w)。 そんなアメコミ歴を持つ私が、大人になってもやっぱりアメコミ・ヒーローの映画を見たいと思うのは、子供っぽいけれど、仕方がないことでして(ちなみに、素顔が露出していてコスチュームも地味なソーは、当時はあまり好きでないキャラクターでした。それが映画化されるなんて…)。 X-MEN映画化に貢献したブライアン・シンガーも復帰、監督は『キック・アス』のマシュー・ボーンということで、期待していました『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』。『キック・アス』なんて、もうアメコミ馬鹿によるアメコミ馬鹿のための映画でしかないのですが、ブラックユーモア溢れるB級映画と青春映画をうまくミックスさせた『キック・アス』もまた、爽快な映画でした(ま、ニコラス・“ゴーストライダー”ケイジの悪ノリ出演自体、とんでもないアメコミ馬鹿な映画なんですけど)ので、比較的ダークでシリアスな描き方をして評価されたブライアンと、もっとキッチュでスピード感ある描き方で頭角を顕わしたマシューがどんな作品を作るのか、と思っていたら、こう来たか…。 とにかく、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』は様々な映画へのオマージュに溢れた、スタイリッシュなアメコミ映画です。別に解説など読まなくともすぐにそれと分かる、ショーン・コネリー版ジェームス・ボンドへのオマージュ、作品自体の時代背景に合わせた60年代のアメリカの文化を多分に感じさせるファッションやライフスタイルへのオマージュ、同じスパイものでも、007ではなくむしろ『スパイ大作戦』的な、レトロ・ゴージャスなニュアンス。あるいは、冷戦時代を描いた米ソ対決をモチーフにした戦争映画のスキームの援用。 やりたいことやったなぁ、というのが正直な感想。オタクっぽいのにオシャレなのは、やっぱりマシュー・ボーンの力量によるところが大きいですね。 キャスティングについては、『ウォンテッド』も印象的だったジェームス・マカヴォイに期待大だったのですが、イアン御大の知的で、哲学的で、色気あるダンディズムでキャラクター造形されたマグニートー(好き嫌いがあるだろうことは措くとして)の若き日を演じたマイケル・ファスベンダー(なんか、スタイルがあんまりよくなくて、それこそ40年前の体型なんですけど)のやんちゃでワイルドな男っぷりがめちゃくちゃ格好いいんですよ。また、過去のW-MEN関連作品では、どうしても脇キャラクターの描き方が、チラ見せレベルで厚みがなかったのに対し、少なくともジェームス・マカヴォイ演じるチャールズ・エグゼビア側のキャラクターは、皆丁寧に描かれていましたし、魅力が出ていました。 敵対勢力はですね…これは、脇キャラが印象薄くても仕方ないよなぁ。だってボスが…主人公のトラウマの陰にこの人あり、ミスター・トラウマ(苦笑)ことケビン・ベーコンだもん。ケビンにゃ勝てない!!これがまたいやなヤツなんだ(あ、演じた役のことですけど)。個人的には、アザゼル(ちなみにアザゼルには、ビーストとの対決シーンがありまして、空中で両者が絡み合う様は、赤膚と青膚=「米ソの直接対決」を暗示していて洒落てますね)やリップタイドにももうちょっと活躍の場を与えて欲しかったですけど、まぁ、ケビン様の濃厚粘着悪質演技でお腹いっぱいというのも事実(白いタキシード着て海上でパーティ開いちゃう感じもまた、スカ―フェイス(?)なアル・パチーノへのオマージュ風なんですよね)。 今後、MARVEL作品が次々と映画化される(探偵小説のラジオドラマ直系DCに比べて、国威発揚的なスタンスで人気を博してきたMRAVELが、今勢いをつけているというのも、なんとなく頷ける気がします)わけですが、その圧倒的なお祭り感に、ファンはもう、キャラクター登場の時系列の乱れや設定の改編、クロニクルの辻褄合わせに異議申し立てをする暇もない有様ですが、映画はあくまで映画、でいいんじゃないでしょうか。。。そういう意味で、意外なあの方が意外なシーンでカメオ出演していたりするのもチェックです。 ストーリーの設定もまた巧妙。キューバ危機をクライマックスの軸に据えて、そこに虚構のヒーローが絡む。歴史的事実とコミックのキャラクターを上手にドッキングしました。でも、虚実綯い交ぜのストーリーの中で、最大のヒーローはやっぱり…今もケネディ大統領なんでしょうか???少なくとも、当時は全世界、反共産主義の世界において、ケネディはスーパーヒーローに見えていたんですよね(もともと、公民権運動とX-MENのミュータントという発想は親密な関係にあり、しばしば共存主義のチャールズはキング牧師、分離主義のマグニートーはマルコムXに喩えられて来ましたよね。その前触れとしてのケネディ登場は、コアなファンにも歓迎されたのではないでしょうか)。 そういう甘酸っぱさも含めて、やがて敵対し合う親友と、まだ行き場を見つけられない超能力を持って生まれた若者たちの希望と苦悩が、鮮やかに描かれた、意外なほど健全で爽やかな映画となっておりました。。。(了)[15%OFF] X-MEN Marvel Selects Magneto (北米版/08993)★先行告知用ポスター★■マグニートVer■ [映画ポスター] X-MEN ファースト・ジェネレーション [Magneto ADV-DS]★先行告知用ポスター★■プロフェッサーX版■ [映画ポスター] X-MEN ファースト・ジェネレーション [professor X ADV-DS]
2011/07/06
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『市村しげの―親密さの相対性―』展@BASE GALLERY、行ってきました。市村さんとは面識がないのですが、この方、実は仕事で一緒に組んでいるデザイナーの学友で、主に海外でご活躍されているアーティスト。「あ、今日までだ!!」と、雷雨の中事務所から歩いて行ってきましたが、素敵な作品でした。 エレガンスという、情緒的な要素と、無機質さが共存したような作風は、まさに相対化された親密さがなし得る芸術世界。若い頃に傾倒したこのジャンルのアートから離れて、干支一回り以上経ちますが、が、久しぶりにシビれました。 プロダクト・デザインにすごくコンシャスにも受け取れた色使いもまた素敵でした。赤、がイイんだ。そこに、立体的なドットで、レースの様な模様。観に行って良かった!!(了)
2011/07/01
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我が家に来てほぼ一ヶ月になるヤマ苔by品品さん。通称コケっち(誰か呼んでたっけ?爆)。乾燥してくると、表面が白くなるそうで、シラガゴケとも言われるとか。暮らしの中に、苔。 ま、横にティッシュなど措いてありましたら、「苔ティッシュなヤツ」ということで、かわいさも一層増します。。。 最近、素材としては錫が気になっていますが、実は好きなのは真鍮。家中真鍮だらけ(w)。真鍮は洋風な趣きがあり、経年変化も楽しく、こうした和物と合わせると、洋風かぶれが粋だった大正モダンへのノスタルジーへ誘ってくれます。(了)モダン盆栽 ヤマゴケ 丸黒豆鉢【品品 小林健二 景色盆栽】
2011/07/01
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過日、世界を舞台に気軽にお茶の世界に親しんでもらうことを目的に活動されている世界茶会主催の『美しきマイ花押づくりワークショップ』、に参加してきました。 お茶の世界と花押は無縁ではありませんが、よほどのことがない限り、自分で花押を書き付ける機会もありませんし、また自分だけの花押を持つということもなかなかありません。 それでも、このワークショップに参加したいと思ったのは、昨年の茶杓作りが楽しかったこと、そしてそれに参加したことで、お稽古をストップして以来しばらく没頭することのできなかったお茶の世界に、お稽古まではまだ余裕がないのですが、少なくとも日常何気ない意識の部分で、かなり立ち返ることができたことがあって、また刺激をいただきに参加したのです。 もともと、神社仏閣好きな子供でしたが、私の場合は、建築や仏像が好き、というのではなく、むしろ朱印集めが趣味になっていて、子供のころに「朱印帖が欲しい!!」と珍しく祖母にねだって以来、どこに行くにも朱印帖を持ち歩いて、せっせと朱印をいただいて歩いたものでした。中学時代に、修学旅行で朱印をいただいていたら、友人たちからは驚かれましたが、あの筆で書かれた、時に不可思議で象形のような文字は、子供の私を魅了してやまなかったのです。 そうして大人になって、文章を書く仕事に携わっても、文字の持つ無限の可能性に相変わらずとり憑かれていまして、その延長としてマイ花押を作りたいと思うようになるのはもはや必然と言えるのです。 もう一点、カナダに住む叔父が、これがかなりの風流人と言うか、洒落者なのですが、彼がよく誕生カードなどに、変わったサインを書いてくるんですね。海外では、日本語の署名は真似がしやすいため複雑なサインにしただけだ、と無頼を気取る叔父なら塩辛声で言いそうですが、あのご仁のこと、絶対に花押スキームを採り入れているに違いないと踏んでいるのです。それが格好いいんです、単純に。あんな花押風サイン書きたいなぁ、なんて思いまして。ちなみに、ブラジルに住んだ時、四歳の私でさえサインを自分で考え作りました。思えばこれが、マイ花押の原体験。次が、本を出した時に、漢字とローマ字を組み合わせたサインを作りましたが、第二のマイ花押・原体験ではないでしょうか。 ところで、現在市販されているものでは、花押に関する文献は非常に少なく、あとは専門書になってしまうのでしょうけれど、私は望月鶴川『花押のせかい』(朝陽会)、佐藤進一『花押を読む』(平凡社ライブラリー)を事前に読み倒して、くずし字事典に毎夜くびっぴきになって前知識とイメージを固めてワークショップに臨みました(ちなみに、個人的には学術的な考察がスリリングな佐藤進一『花押を読む』は、著者のひたむきさと該博な知識、昔堅気な専門家風の誠実な記述に感服し、再読を重ねました)。 さて、ワークショップ。書家でありながら、どちらかといえば学術的な観点から書と字を研究されている根本知先生のご指導のものと、茶会スタイリストで、お付き合いも長くなった岡田和弘さんのリードで進みます。 この午前の会の出席者は10名程度ですが、岡田氏事前に曰く「かなりマニアックなので席数は多くないけれど」…、なんとすぐに満席になってしまったという。で、女子率高し。しかも、皆さんすでに素晴らしい知識をお持ちだし、日ごろからお茶のお稽古もされちるような方々。織田信長や伊達政宗ならまだしも、マニアックな武将の名前がポンポン会話から飛び出し「●●みたいな花押にしたいけど、▲▲の方が武将としては上だよね」などというマニアックぶりに、思わず感動をおぼえ嬉しくなりました。 この日は、きちんと資料も配られ、それぞれ三名程度で一つの机に向かい、まずは自分が使いたい字と、そのくずした形を筆ペンでメモ書き。その中の好きな形や箇所をアレンジしたり組み合わせたり、事前に苦労して準備してくださった花押のサンプル集からお気に入りの形状を洗い出したりしながら、イメージを固めていきます。 それに対して、字の美しさや意味の解説を添えながら、根本先生がアドバイスを下さいますが、基本は、「自分がカッコイイ」と思う形を尊重してくれます。だからマイ花押なんです!! 私の花押は、実名の画数が少なかったり、氏名すべて見事なシンメトリーだったりするので苦心しましたが、結構トガった、それもあえて鎌倉武士風のものになりました。「ロックな感じですね~」と言われましたが、「いや、私全然マイルドなんですよ」と苦笑交じりに答えつつ、そのブラッシュアップに没頭。 最後は、その時点でのマイ花押を清書し、お茶と和菓子(食感と酸味が美味でした!!)をいただいて終了。 いやはや、小学校以来でしょうか、ペンとはいえ筆を真面目に持ったのは…。久しぶりに筆で文字を書くというのも楽しいことでした。その後は、清書したマイ花押を、毎晩一回は見直して、より自分のイメージする形状、筆の運びのスムーズ感を求めて、さらに研磨中であります。(了)【送料無料】花押のせかい
2011/07/01
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