バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢
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行ってきました、『三蛙展』ー 井の中の蛙大海を知らず、されど空の高さを知る ー@ギャラリー藍染さん。私は、文章を書き始めてからずっと大切にしていることが幾つかあり、その一つは恩師の教え。もう一つが、自分で決めているルールで、文章は、絵画的かつ音楽的であること、というものです。 手書きで原稿を書かなくなっても、フレーズの選び方、字の選び方、同じ表現でも硬軟のメリハリを付けたり、漢字一つも選んで、見え面にも、文意が反映されていること。楽しい文章は楽しげな文字が並び、装飾的な文体には大袈裟な文字を選ぶ。あるいは、音読した時のリズム感。日本語独特の響きだけでなく、ある時はセリフ回しのように、ある時はメロディアスに、あるときはスムースさのない凸凹があったり。自分の原稿は、必ず声に出して読むのです。 ところで、今回書に携わる気鋭の書家三人の展覧会に足を運んで、文字というものへの関わり方、自分なりのスタンスの原点に帰れた様な、とてもよい時間をいただきました。 文章に、視覚と聴覚の味わいを。それが私の大事にしている世界だとすれば、過去にご縁をいただいた根本知さん(仮名)の書は、嗅覚(や味覚)など、本来文字そのものでは表現できない感覚を想像させる、空気感や奥行、香り/薫りにあふれた作風。 山本晃一さん(篆刻)は、逆に視覚に特化した作風でしょうか、しっかりしたバックボーンをあえて背後に押しやり、見るからに格好よい「分かりやすさ」を全面に出すその塩梅は、豪放さとストイックさの奇妙な共存の成せる高等技。 唯一お目にかかれなかった鈴木猛利(漢字)さんの作品は、絵画的で音楽的。それも、静止画ではなく、動画。そしてジャズのインプロヴィゼーションを思わせる感性の躍動で強い印象に残りました。文字を/文字で表現する三者と、そして私に共通すること。それは、知らず、実は確実に触覚は使っているということ。それが筆であっても、キーボードであっても。かように、文章や文字とは、理知や感情のみならず、五感に響くきわめて身体的なメディアであることに改めて気付くのです。 それにしても、書にはその人となり、内なる世界観が、恥ずかしいほどに赤裸々に顕われるということで、しかしそれは文章を書いていても同じことが言えますし、そうした内的な発露がない創造には魅力を感じないものです。「蛙」を巡っての楽しい会話も、このあたたかく、あるいは激しい、しかし遊び心のある「場」のなせる「間」と心得、今後もこの「三匹の蛙」の道行きに注目していきたいと思います。(了)■三蛙会プロフィール(公式プロフィールより転載) 三蛙会は、漢字 鈴木猛利、仮名 根本知、篆刻 山本晃一からなる各分野を専門とする三人の書家グループです。... 書の専門学科である大東文化大学文学部書道学科四期生として共に学び、「古典を基盤とした魅力ある書」を目指し、2008年に結成。茶会やイベント等での作品提供や、食品・アパレル企業などと書を生かした製品作りなど、他分野とコラボレーション。教室やワークショップ、展覧会も各地で開催。
2011/11/09
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