これやこの 蝶 も 蜻蛉 も 冬なれば 知るも知らぬも あの世での咳 (虫丸)
(本歌)これやこの ゆくもかへるも わかれては
しるもしらぬも 逢坂の関
(蝉丸 後撰集 1090
小倉百人一首 10
)
先ずは、蝶とトンボ。
(ウラギンシジミ)
翅を閉じていると白銀色の蝶であるが、翅を開くと茶色の中に白い斑紋のあるオモテの姿が見てとれる。時に黄色い斑紋の奴もいる。
蝶の翅の裏表などはどうでもいいのであるが、この蝶の名前から考えると、蝶の翅は開いた時に上になる側をオモテ、下になる側をウラとするようだ。しかし、本当のところ、どちらがオモテかウラかは蝶の意見をきかねば分からないというものである。
ヤカモチ的感覚に照らすと、開いた時に上になる側はウラというべきではないかと思っている。
そもそも「ウラ」とは内側、通常は他者に見せない内側のこと。心のことを「ウラ」というのもそれゆえであろう
(うら悲しい、うらさびれてetc)
と思う。
蝶が翅を閉じている時は、警戒態勢を解いていない状態、開いている時は安心してリラックスしている状態というのがヤカモチ説。
してみれば、無警戒に翅を開いて見せているのは、他者には通常見せない内側、心の内、プライバシーを油断して人目にさらしているということではないのか。そのように考えるなら、写真で見せている斑紋のある側はウラ、反対側はオモテと言うべきではないのか、という訳である。
まあ、蝶を標本に仕上げる友人蝶麻呂氏などの蝶愛好家からすれば、標本にした状態で「見せる側」をオモテとしない訳にはいかないから、翅を開いて上となる側をオモテと言っているのだろうが、これは蝶を採取する側の視点からの命名に過ぎないのである。
よって、この蝶の名も、本来は「ウラギンシジミ」ではなく「オモテギンシジミ」とすべきなのである(笑)。
(同上)
<参考>ウラギンシジミの写真掲載記事は次の通り。
墓参・門前ならぬ門払い
2019.10.1.
次はトンボ。
(アキアカネ)
トンボの語源については諸説あるらしい。
ウィキペディアによると次のような説があるとのこと。
飛羽説
トビハ→トンバウ→トンボ
飛ぶ穂説
トブホ→トンボ
飛ぶ棒説
トブボウ→トンボウ→トンボ
ダンブリ説
(湿地や沼を意味する言葉「ダンブリ」由来とする説)
ダンブリ→ドンブまたはタンブ→トンボ
東方説
(秋津島が東方の地にあることに由来するという説)
トウホウ→トンボ
宙返り説
(高い所から落下しての宙返りを意味する言葉「ツブリ」由来とする説)
ツブリ→トブリ→トンブリ→トンボリ→トンボ
ウィキペディアの記事を見る前に思い浮かんだのは「飛ぶ棒」であったから、ヤカモチは飛ぶ棒説に1票であります。
次は、カマキリ。
(カマキリ)
カマキリは、カメラを向けると必ずカメラ目線になるところが面白い。
(同上)
カマキリとカマタリ。似て非なるもの。
狙った獲物は外さない。藤原鎌足と鎌切とはこの点では共通するものがあるかもしれない(笑)。
今年逢ひし出そびれの虫ときじくに
ならべ師走の虫干しとせむ (藤原鎌切)
ということで、藤原鎌切さんの歌を作ってみました(笑)。
次は、蛾の腰痛、いや違った。蛾の幼虫であります。
(セスジスズメの幼虫)
<参考>セスジスズメの写真掲載の過去記事は次の通り。
セスジスズメとミノムシ
2020.7.18.
セスジスズメと再会
2020.6.23.
銀輪虫散歩・蛾と蝶と超小型の蝉
2020.6.15.
これは、大津市の坂本城址公園で見かけた奴であるが、蛹の状態で冬を越すつもりであるのか、それとも既に羽化して蛾となって、子孫を残して天国へと旅立ったものか、その辺のところはセスジスズメの生態には疎いヤカモチの知るところではない。
最後は、クダマキモドキ。
(クダマキモドキ)
<参考>クダマキモドキの写真掲載の過去記事は次の通り。
裏磐梯銀輪散歩余録・猪苗代駅・SLとの遭遇
2012.10.6.
(同上)
こいつは、多分オス。
メスなら、卵管が細い棒状の尻尾のように翅よりも先に飛び出している筈だから。
銀輪散歩の途中、車道に出ていたので歩道に戻し、撮影。その後道端の草むらに放してあげたのだが、かなり弱っている感じであったから、その草むらが彼の死に場所となったかもしれない。車道で車に轢かれてペシャンコという死に方よりはいいだろう。
モドキは漢字では「擬」であるから「偐」とは親和性のある字。
従って、偐家持は家持擬と同義である。となれば同名のよしみで介助・手助けもいとわずにというのが人倫の道、いや虫倫の道か。
以上で、季節外れ、ときじくの「虫干し」完了であります。
<参考>虫関連の過去記事は コチラ
。
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