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坂の町,尾道観光だ。-----------尾道のやや西側で,県営上屋の近くにあったホテルから,まずは駅まで出て荷物を預けた。駅は建て替え中だったが,コインロッカーは運営していたので助かった。ロープウェイの駅を目指して,本通りを歩いた。昔ながらのアーケード商店街で,七夕の飾り付けがしてあり,幼稚園児たちの願い事が書いてあって可愛らしかった。本通りで〈アド街ック天国〉で紹介されていた場所を複数発見。姉は〈林芙美子記念館〉に喜んでいた。-----------ロープウェイで千光寺公園に上り,目指すのは尾道市立美術館。なにしろここは安藤忠雄が再設計して改修した建物だ。少し迷路のようになっていたり,代名詞となっているコンクリート打ちっ放しがあったり,となるほど,という感じ。ただし企画展は〈忍たま乱太郎ミュージアム〉が開催されており,そっち系の女性ファンも訪れていて,まったく別の雰囲気だった。とはいえ,きちんと楽しんだ。「あなたはどのキャラに似ているかな?」というプリクラのような機械があり,女子高生の姪は〈食堂のおばちゃん〉に似ている率84%となっており,ショックを受けていた。-----------ここから千光寺を経ながら,町まで階段を下りる。途中,中村憲吉の家,志賀直哉の家,などもあり,旧家屋を改修したゲストハウスなどもあり,趣がある。炎天下のためか,猫はあまりいなかった。警報機だけの踏切を渡ると,町に戻った。-----------だいぶ足に来ていたけれど,頑張って〈おのみち映画資料館〉まで行った。資料館は市役所の近くにある。今となっては,駅からもフェリー乗り場からも離れてしまっているが,ここがかつての町の中心地らしく,繁華街がある。〈映画資料館〉では,小津安二郎監督の『東京物語』と,新藤兼人監督の一連の作品が扱われている。僕らが期待した大林宣彦監督の作品は全く紹介されていなかった。不思議に思った姉が質問したら,「許可が下りなかった」とのこと。ひじょうに残念だ。すぐ近くの〈歴史博物館〉は展示入れ替え中で閉まっていた。うーん,夏休みの日曜日なのに。-----------本通りをのんびりと戻った。〈尾道帆布〉でショルダーバッグを買い,〈Tranquillo〉でピッツァを食べた。町がそのまま観光スポットになっているって,住んでいる人の気持ちはわからないけれど,素晴らしいと思った。
2017.07.31
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尾道からしまなみ海道を通って今治まで行った。----------早めに夏休みを取って,新幹線で広島県の福山に行った。福山でレンタカーを借りて国道2号線を尾道に向けて走る。そこからしまなみ海道に乗り,芸予諸島をめぐる旅を始めた。同行は姉と高校生の姪だ。----------尾道からはあっという間に向島に渡ってしまう。そのまま因島まで来たところで,パーキングエリアに入ってこれからの計画を立てる。この島に村上海賊の資料を集めた〈因島水軍城〉があることが分かり,まずはそこを目指す。お寺がお城も経営しているような施設だ。駐車場に車を止め,お墓を見下ろす位置に建てられたお城を目指し,つづら折りの道を上る。お城を模した施設では,因島水軍の甲冑武具そして現代まで続くお祭りの資料が展示してあった。それにしても足腰鍛えられる。----------お隣の生口島に渡り,再びしまなみ海道から降りる。島をぐるっと回って目指すのは〈平山郁夫美術館〉だ。と,ここで昼時になったので,〈カフェ・テラス〉という店でパスタを食べた。きちんと美味しかった。〈平山郁夫美術館〉は,スペースをたっぷりと取った豊かな建物だった。平山郁夫の幼少の頃からの作品が展示されていて,彼の生涯が伝わってくる。数か所ビデオも上映されていて,飽きが来ない展示になっている。これだけでも来る価値があるかも知れない。とにかく必見だ。サンセットビーチ沿いを走りながら〈ひょっこりひょうたん島〉のモデルを観た。----------さすがに全部の島で降りることは出来ないので,大三島と伯方島は素通りして,大島の〈村上水軍博物館〉を訪れた。立派な施設なので驚いた。船の模型,甲冑,村上海賊の三家族のその後など,きちんと調べて展示してあり,姉は大興奮だ。施設からは景たちの本拠地・能島が見渡せる。本当に小さい。----------午後もだいぶ経ったので,今治には北インターで降りただけで,愛媛県に来たというアリバイ作りだけをして,トンボ帰りとなった。瀬戸内海の夕日を見たかったが,曇り始めてなんとなく日が暮れただけだった。残念。尾道のホテルまで1時間強を一気に走り,チェックインは姉に任せた。車は福山で借りたが,返すのは新尾道駅なので,そこから路線バスで尾道中心まで戻ってきた。----------夜は〈天華〉という店でラーメンを食べた。丁寧に作ってあって優しい味だった。気温とドライブで疲れたので,9時頃に寝てしまった。
2017.07.30
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恩田陸の直木賞と本屋大賞の受賞を記念して刊行された特集本を読んだ。〇内容恩田陸の作品をX-Yチャートで一覧にし,どの作品がどのような傾向にあるかを表示。様々な文学賞受賞作品を紹介し,それと同じタイプの作品を紹介。恩田陸がインスパイアされた作品と,その影響を受けた作品は何か?恩田陸の本棚を紹介。恩田陸作品年表。----------書店に行ったら恩田陸を特集した冊子があり,無料配布ということでもらってきた。確認してみると講談社で出版しているのだが,出版社の関係なく恩田陸の作品を紹介しているという,ひじょうに太っ腹な冊子だ。タイトルの通り,1992年から25年間もプロである作家だと,出版社の編集者たちも仲良くなって協力体制が出来るのだろうか?・・・まあ,それは半分ファンタジーとして,受賞によって恩田陸を読もうと思った人たちが25年間の作品の多さに圧倒されて委縮してしまうのを避けるためのガイド本だろう。現代でもかろうじてミステリーのランキング本,解説本などはあるが,かつてはSFやファンタジーをいろんなレベルで紹介する特集本があり,それを購入するという時代があった。この恩田陸特集冊子は,その時代を思い出させてくれた。----------調べてみると,講談社の200円冊子(かつては100円のワンコインだった)『In Pocket』の特集記事をベースにしているらしい。恩田陸と講談社の結びつきも強いので,責任を感じて(?)特集冊子を無料配布したというところだろうか?きちんとした1,000円のムック本を出版しろよ,とも思うが,昨年の2016年夏の直木賞受賞後に5冊も作品が刊行される現役作家なので,全体像を捉え続けることは不可能なのかも知れない。----------年表の最期は「錆びた太陽」で終わっているけれど,当然これからも作品が追加されていく。それにしてもエッセイなど一部を除き,全作品を読破している自分がちょっと怖い。無くなり次第消滅だろうから,ファンは今のうちに入手をオススメする。
2017.07.29
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「カメレオンのレオン」に連なる〈桜若葉小学校〉を舞台にしたシリーズの最新作を読んだ。〇ストーリー転校生のシュンは,同級生たちが捕えようとしていた〈お化け猫〉を救う。その猫はエリという少女に姿を変え,シュンを小学校からつながる異世界へと案内をする。だがそこでは〈森の石〉をめぐって騒動が起きており,シュンとエリは,世界を守るための冒険へと導かれるのだった。------------岡田淳には「カメレオンのレオン」「小学校の秘密の通路」「夜の小学校で」と桜若葉小学校という共通の学校を舞台にしたファンタジー作品がある。この作品は,ゆるくつながっているこのシリーズの最新作だ。しかもこれまでのユーモアファンタジーと異なり,異世界冒険譚となっている。シリーズの方向性を変える小学校高学年向けの作品だ。------------この作品の主人公は小学校6年生にして,中2病,あるいはコミュニケーション障害的なよそよそしい話し方をする転校生のシュンだ。幸いに,岡田淳作品の優しい世界なので,周りの人々は彼を面白がって,何かとちょっかいを出す,という親切全開で迫る。カメレオンのレオンの姪・エリを助けたことで,シュンは桜若葉小学校と並行して存在する異世界へ行くことが出来るようになる。残念なのは,シュンはこうした環境の変化によって,話し方や接し方がほぐれてくるのだが,最後までどこか受け身の体制のままということだ。------------また〈光の島〉が集めようとしている〈森の石〉は,どうやらこちらの世界から遺棄された遺物らしいのだが,それがどうして森を育て,一方で機械の原動力となっているのかが分からない。シュンが,過去の主人公のトモローを読んでまで行った「〈森の石〉の覚醒」についても,なにがその必須条件だったのか分からない。また使用しているとだんだんと〈森の石〉のチカラが摩耗していくようだが,それがどれくらいの速度で進行するのかも分からなかった。いろんな意味で,作者だけが理解している設定で固められた世界で,読み進めるほどに疑問ばかり増えてしまった。この間読んだ恩田陸も原発への批判が色濃かったが,この作品も原子力発電を批判するためのものなのだろうか?それならそうとハッキリ行ってもらった方がいいと思う。------------このシリーズで語られる不思議な出来事は,ひょっとしたらどこの小学校でもこっそりと起きているのかも知れない,と思わせる語り口だった。ところがこの作品の発表で,桜若葉小学校は,カメレオンのレオンたちの住む,〈あちら側の世界〉と密接な関係にある特別な場所であることが語られた。今回の作品の物語を際立たせるという意義はあるのだろうけれど,どこにでもある小学校だったはずの桜若葉が,選ばれた小学校に変わってしまったことで,日常からふっと半歩で行けるファンタジーという設定のゆるさは失われてしまった。これがこの作品で一番残念だったことだ。------------〈森の石〉の能力も分からない,謎の男・ロメオの正体も分からない,今後どちらへ進めば良いのか分からない,伏線が回収されないまま,物語は終わってしまった。岡田淳の作品なので,読んでいる最中は全く不満を感じさせないのもさすがだ。ページを閉じてしばらくすると,「あれ?」と疑問点が湧いてくる。築いてきたシリーズが全く別の方向へと進んでしまった,という不思議な転換点を確認したい人にはオススメだ。
2017.07.28
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木下半太のホラー〈GPSシリーズ〉の第2作を読んだ。○ストーリー鎌倉へ出張することになった京都市役所心霊相談課(GPS)の石松凛花と柳楽大吉は,鎌倉市役所GPSと協力して連続している不審な事故の調査にとりかかる。だが開始の翌日,鎌倉GPSの担当は交通事故で入院する羽目になる。凜花と大吉は,京都から駆け付けた長坂の協力を得ながら,鎌倉に巣食う鬼を退治することになる。だが?----------------このシリーズは,木下半太作品としてはひじょうに異質な印象を受ける。舞台劇的な掛け合いの面白さ,そして意外性に満ちた展開のサスペンス,これが木下半太の魅力だと思う。それなのに,この作品にはどちらも欠けている。主人公の石松凜花と柳楽大吉の2人には,コンビ的な相性の良さはあるはずなのだが,大吉は凜花に片思いをしていて,凜花には長坂という同棲相手がいる,という設定のおかげで,この2人の関係はどこかギクシャクしている。おかげで会話が転がっていかない。また幽霊,鬼,超能力者と,超常現象が平気で続き,またその現象をロジカルに説明することがされないので,フツーの意味のサスペンス要素が消えてしまう。ピンチに陥っても,読者は主人公と一緒にハラハラすることはない,良く分からない現象で救われるか,救われないかなので,共感する部分がないのだ。まるで木下半太の名前を借りて別人が書いているような,そんな違和感を感じる。----------------シリーズ第1作の「GPS: 京都市役所 魔性の花嫁」を読んでから1年が経過していたので,あまり内容を覚えていなかった。それなのに,京都のバーや,謎の宗教集団が,解説もなしに登場するので,ひどく混乱してしまった。その不親切の上に,今回の物語は大吉たちの鎌倉市役所への協力,鎌倉の鬼退治一族の少女の冒険,謎の宗教集団の暗躍と,複数のストーリーラインが交互に語られ,物語が分断されるので,物語世界への集中力が途切れ,共感が生まれない。さらに鎌倉市役所GPSは崩壊,鬼退治少女は家族を失う,宗教集団は謎のまま,と,スッキリするポイントが1つもないので,読んでいて喜びは感じられなかった。何を目指している作品なのだろう?まるで同人誌作品だ。----------------せめて表紙が普通なら救われるのだけれど,「ちゃお」のような作風のアニメ的なイラスト。木下半太ファンの信念を試そうというかのような,良いところが1つもない作品だ。ある意味スゴイ。
2017.07.27
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恩田陸の近未来小説を読んだ。〇ストーリー21世紀に甚大な原発事故が起き,日本の国土の2割が立入制限の汚染地域になってしまう。広大なエリアを維持管理するのは,人型のロボットたち〈ウルトラ・エイト〉だった。だが突然,国税庁から財護徳子という調査員が派遣される。ロボットたちはいつもの計画を変更し,彼女の調査に協力し,汚染地域に生息する生ける屍たちに接触を試みる。その一方で,エリアの一部に謎の施設が建設されており,彼らは大きな事件に巻き込まれていく。そして?----------週刊朝日に連載されていただけあって,どちらかと言えば左翼的,あるいはパヨク的な思想が見え隠れする作品だ。萩尾望都の最近の作品もそうなのだけれど,福島の原発事故から3年ほど経ち,事故の被害が落ち着きを見せたという報道が流れ出してから,それを否定するような作品が発表されるようになった気がする。ただ,反対するのは簡単だが,それが現実的な解決に結び付くわけではない。この作品もある事件をロボットと協力者たちが阻止しつつも,その経済効果を無視し,ひょっとしたら汚染地域の復興を阻害したかも知れない,という可能性についてはあいまいなまま終わっている。----------この作品を読む前は,ロボットは〈ジェイムソン型〉で,ピクサー映画の『ウォーリー』のような状況をイメージしていた。それでも全体的に寂しさや,孤独感を表現することは可能なはずだ。けれどもフタを開けてみれば,この作品のロボットたちは完全なヒューマロイドで,その上,全員が『太陽にほえろ!』をベースとしたあだ名が付けられている。ラジオ体操をして,指差し喚呼をするロボットたちは人間に教えられたルーティンを繰り返しているということで悲哀で処理できるが,彼らの前に侵入者として登場する国税庁の女性職員・財護が繰り返す,アニメ的な天然ギャグの言動は共感できる部分が皆無だ。彼女が指摘する『太陽にほえろ!』以外の昭和レトロテイストは,恩田陸と1才違いの僕は完全に理解できるが,別に面白くなかった。ネタが分からない世代にとっては,分からない,面白くないのダブルパンチだ。そうした世代の人が読むと,この作品への評価はキツイと思う。僕でさえ,ちょろちょろするマンガ的な女性職員にはイライラさせられた。----------唐突なゾンビの登場には困惑した。放射能汚染地域を語るにはひじょうに失礼な展開だと思うし,ニート・フリーターを体現するには合っていないと思った。ゾンビの中に平然と入って行こうとする女性キャラの設定は,マンガ的だけでは説明できない寒さだった。----------少し作品世界を掘り下げるけれど,そこでの大きな問題は,汚染を除去して人間が生活可能なように復興させるか,それとも汚染地域としての存在意義をベースにビジネスを成立させるか,ということだ。ロボットたちは,生ける屍からも徴税しようとする国税庁に驚きつつ,一方で汚染地域を利用して新規産業を興そうとする政府の動きも阻害しようとする。けれども,彼らの除染作業はまだ数パーセントしか進捗していないらしい。果たして汚染が除去できた時点で,人間は生き残っているのか?情報リークスで,新規産業はつぶそうとしているようだが,じゃあ彼らに解決策はあるのか?ロボットが主人公ということもあり,どこのどのレベル視点での物語なのかがあまりハッキリしない。国税庁の財護や我々にとっては,汚染地域は恐ろしい絶望的なエリアだが,一方で翌日には現実世界に戻れるという,安心できる,都合の良いディストピアだ。もっとこちらで成功するしかない,とした縛りのある人物設定の方が,物語をきちんと動かしたのではないだろうか?----------この作品は,恐ろしいことに帯ではなく,表紙に「直木賞受賞後長編第一作」とプリントされている。そんな下劣なことが出来たのは当然,朝日新聞出版だ。直木賞受賞作品「蜜蜂と遠雷」の読者は呼び込みたい,けれども全く異なる作風にどうしよう?ということを会議で延々と議論して,採用された方策がこれなんだと思う。なるほど,日本はディストピアに向かっているワケだ。
2017.07.26
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お気に入りの児童文学作家の1人・藤江じゅんの作品を読んだ。〇ストーリー図書館のオバケ・ぱらぱらと,時計塔のオバケ・ぐるぐるは,夜中過ぎまで起きている少年・ダイをみつけ,おどかそうとする。だが,ダイにはもっと深刻な悩みがあり,彼らを相手にしなかった。不思議に思ったぱらぱらとぐるぐるはダイに話しかけ,彼が不思議に思っていることを一緒に捜査することにする。それは?----------「冬の龍」「タイムチケット」など存在感のある見事な世界を構築して,ちょっとした寂しさと共に作品に仕上げてくれる,というのが藤江じゅんの評価だ。この作品はそうした高学年向けとは異なり,低学年向けに書かれており,楽しい味わいが前面に出ている。いきなりオバケが登場し,しかも主人公・ダイと協力して事件の調査を行うとなると,なかなかのファンタジーだ。オバケが登場するファンタジー,ダイの家で起きている謎の事件,ダイが置かれている困った状況,それらを全て解決しようというのだから,なかなか意欲的だ。----------この作品を通じて,一番の疑問点は,「ダイが悩んでいた〇〇の〇ー〇は,解決していないじゃない?」ということだ。ダイのお母さんの反応を見たかったよ。けれどもそれも含めて,ダイの成長エピソードの1つとされ,物語は順調にエンディングへ向かって進む。----------もう一捻り欲しかったとは思うけれど,なかなかの佳作だと思う。ジュブナイル作品として十分オススメ出来る。
2017.07.25
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東野圭吾の初期長編を読んだ。〇ストーリー高校・大学と付き合った女性・沙也加から7年ぶりに連絡が来て,〈私〉は彼女の話を聞く。そして幼少の記憶がないという彼女の問題を解決するため,2人は彼女の父親が地図を残した長野の別荘へと向かう。だがその家に残っていたのは,ある家族の悲しい歴史だった。この家の意味は?そして沙也加の消えた記憶の真相は?----------とにかく最初に書いておきたいのが,語り手〈私〉の人の良さだ。元恋人・沙也加と〈私〉はひじょうに相性が良く,〈私〉ははっきりとは言わないけれど未練があるのは明らかだ。それであっても,〈私〉を捨てて,結婚し,子供も設けた人物に,自分の過去を探るための調査を手伝え,と言われ,それを手伝うというのは,どう考えても〈私〉にとって良い話ではない。必要以上に優等生ぶる東野圭吾の登場人物とは言え,今回ばかりは〈私〉が沙也加の様々なワガママに付き合う意義が感じられない。----------・・・というワケで,フツーのレビューにシフトする。登場人物が2人,展開する舞台が別荘の数部屋だけ,というミニマル的な設定なのに,文庫版300ページをだれることなく読ませるテクニックは見事だ。冒頭に書いたように,〈私〉の異様な従順さだけが気になるが,沙也加と〈私〉の2人が謎の家を訪れ,そして家に残っていた資料を元に過去の事件に迫って行く流れは,読むほどにぐいぐいと引き込まれる。家の謎とは何なのか?それと元恋人・沙也加の記憶の欠落の関係は?大傑作というワケではないが,ドライブ感という点ではなかなか類を見ない作品だと思った。----------とは言え,ストーリーテリングをスムーズにさせるために,いくつかの不自然な点が生まれている。まずは先に述べた〈私〉の従順さ。これはちょっとした理由付けを付加すれば解決出来たはずなので,残念だ。あとは読んでいる中での伏線だ。きちんと述べてあるのだけれど,毎回別の伏線のことが語られるので,いろいろな点が未消化のまま結末まで流れる。確かに結末には驚きがあるのだけれど,途中の〈おや?〉を,別の〈はてな?〉で引っ掻き回されて,うやむやにされたので,あまりフェアな印象を受けなかった。----------いろいろと状況を絞り,過去の資料と失われた記憶を探る。設定に負けない見事なストーリーテリングになっている。結末のなんとも言えないアンハッピーな感じを除けば,なかなかの秀作だと思う。
2017.07.24
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〈勇者ヨシヒコシリーズ〉の第3シーズンを観た。〇ストーリー勇者ヨシヒコと仲間たちは,魔王バルザスを倒す。だがバルザスを部下としていた真の魔王がいたのだった。真の魔王を倒すためには,伝説の〈玉〉を持つ7人の〈玉人〉を仲間にしなければならない。ヨシヒコたちは〈玉人〉捜しの冒険に出る。----------『勇者ヨシヒコと魔王の城』『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』に続く,第3シリーズだ。とは言え,なぜか前作から4年が空いたらしい。さらに言えば作品世界では100年以上が経過しているとのこと。けれどもキャストも設定も,大して強くないところも第1シーズンから少しも変わっていない。なぜか100年経過しても4人の冒険の仲間だけでなく,妹・ヒサもそのままだ。4人のキャストが見事にバランスが取れていて,安定の面白さだ。----------第2シーズンでは,RPGで言うところの”お使いイベント”が空振りの連続なのが,問題である気がしていた。今回も物語の流れは基本的に同じなのだけれど,〈7つの玉〉を集めるという”お使い”が明確で,順番に進んでいくので,満足感がある。----------第2話では,村中がゾンビー化し,ヨシヒコたちもゾンビーとなる。第3話では〈FF〉っぽい,おしゃれなキャラの仲間になる。第7話では,有名なミュージカル俳優たちが4人も登場し,ミュージカル仕立てで展開される。第10話では小堺一機が〈ごちそうさま〉のパロディを行う。などなど,本当に低予算なの?と疑問に思うほどサービス精神にあふれたシーズンだった。----------〈勇者ヨシヒコシリーズ〉は,今年の8月にライブイベントがあって,それで終了との告知がされている。ドラマシリーズは本当にもう無いのだろうか?実に残念だ。オープニングの歌はちょっと元気が良すぎた。もっと脱力でいい。
2017.07.23
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北森鴻の凝りに凝ったミステリーを読んだ。〇ストーリー流行作家・阿坂龍一郎の周辺で不思議な事件が起きるようになる。阿坂の元に,過去の高校生殺人事件の犯人を糾弾する手紙が届く。事務所の周辺では放火事件が続き,担当編集者は公園で襲われて死亡する。さらに事務所の隣人の女性からはストーカーのような行為を受ける。一連の事件の真相は,ストーカーのエスカレートした行動なのか?阿坂の自演なのか?過去の事件の関係者の復讐なのか?-----------この作品は本来は北森鴻のデビュー2作目になる予定だったらしい。それを後から知って納得した。主人公・阿坂には他人に隠したい過去があるらしいのだが,読者にはギリギリまで明かされない。手紙の語り手〈ぼく〉は,なかなか殺人事件の犯人に到達しない。ストーカーに対して阿坂は強く出ないので相手は図に乗ってしまう。どの事件もクリアにならないまま最後まで進む。そして読者を騙すための二重三重の仕掛けが発動する。発動した時は,「騙された」と思うより,「ようやく決着が付いた」という感想の方が強かった。ミステリーとしての構成に気持ちが行っており,読者を楽しませるというところまで気持ちの余裕がない,そんな印象を受けた。北森鴻としては気負い過ぎで,慣れていない気がする。-----------それ以外にも,複数の人物が他人を欺くための偽装をしている。中にはひどく強引なものがあり,どうしても不自然さが拭えない。また,彼らの動機ももう1つ説得力がない。過去を隠すために犯行を重ねるのは必要なのか?むしろじっとして何もしないべきではないのか?作者の作為がどうしても目立ってしまう作品だった。今となっては,あの北森鴻もこういう時代があった,と懐かしく思えば良いのだろう。-----------街の図書館の所蔵にないので,隣り街の図書館の保管庫から出してもらって借り出してきた。そこまでしたのに,この内容!という落胆はどうしてもあった。一般の人どころか,北森鴻ファンにもあまりオススメは出来ない。北森鴻コンプリートを目指す人だけが読むべき作品だろう(涙)。
2017.07.22
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初期の東野圭吾に多かった大富豪の遺産をめぐるミステリー長編を読んだ。〇ストーリー大富豪・一ヶ原高顕の遺産の相続が発表されるために,一族が集められ遺言状が公開される。そのためにかつて事故があった旅館〈回廊亭〉が選ばれる。そこには遺産を狙う者,復讐を計画する者,殺されたはずの者など,複雑な思惑を抱えた人々が集う。自分の望むものを掴むのは誰なのか?-----------冒頭には〈回廊亭〉の平面図がある。物語は大富豪・一ヶ原家の遺産相続争いをめぐる殺人事件だ。否が応でも本格ミステリーとしての展開が期待される。ところが始まってみると,語り手の桐生枝梨子は実際は30才くらいなのに,70才の別の女性に扮装をしている。そうして別人になりすますことで遺産分配の遺書の公開に立ち会い,自分が殺された事故の犯人を探そうとする。本格ミステリーとしての,セオリーに沿った展開かと思いきや,いくつもの変化球で進むのがこの作品だ。-----------枝梨子は,自分が別の老女になり,告発文の存在を述べることで,犯人があぶり出されると思ったのだが,それがきっかけで別の殺人が起きてしまう。読者に対しては,枝梨子がある計画を持ってこの会合に参加したことは知らされるのだが,過去の事件についてはギリギリまで語られない。一方で,連鎖的に発生した事件については,枝梨子も予測していなかったところなので,読者には犯人が分からない。このように自分が計画をしながら,ある状況に参加した語り手を用いつつ,早々に語り手では制御できない状況が生まれる。巻き込まれ型のストーリーとしては面白いかも知れないが,本来は計画があったはずの語り手が,結局なすがままで翻弄されている状況が続くのは,あまり気持ちの良いものではなかった。いっそ最初から無害で無力な語り手を設定すれば良いのに,知能が高く行動力があるはずの語り手が,おろおろとしているだけ,というのでは設定を活かし切れていないと思った。-----------そうしたストーリーの枠組みへの不満とは別に,あちこちに設定上の不自然さがあって,読んでいて気持ちが萎えてしまった。まずは全身火傷を負った主人公が3か月後に一族の元に戻り,かつ高齢の女性に見えるように厚化粧で他人を騙すという基本設定がダメだ。皮膚が弱っていたら,厚化粧出来ないってことを知らない健康な男性の発想だよなあ。そして語り手が徐々に語る過去の恋愛物語がどうしても不自然。そこがミステリーの1つの要素とは言え,疑念を抱かないのも二重に不自然だと思う。女性の設定が3つ位しかないこの頃の東野圭吾だから仕方がないのか?そしてあちこちで批判されている,謎の叙述トリック。アンフェアの極みだと思う。-----------これまで読んだ東野圭吾作品の中では,ミステリーとしての仕込みが一番多かった作品だ。その分,作り物臭さが目立つばかりで,作品としての完成度は下がるばかりだった,というのが印象だ。東野圭吾作品ならば,いくらでもこの作品以上のものがある。パスしてよいと思う。
2017.07.21
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木下半太の〈ブンノイチ・シリーズ〉を読んだ。○ストーリー〈川崎の帝王〉破魔翔を出し抜いて大金を手にし,逃亡をしていたシュウ,コジ,健さんの3人は,破魔翔に見つかり川崎に連れ戻される。彼らが命じられたのは,〈川崎の魔女〉渋柿の現金輸送車の奪取だった。だが川崎の覇権を狙い,札幌から名取という男が現れる。名取は佐々木努を,シュウはスリの銀爺を助っ人に呼ぶ。悪党たちが勢ぞろいした川崎の行方は?そして生き残るのは?------------木下半太の最近のヒットシリーズとして「サンブンノイチ」「ゴブンノイチ」「ナナブンノイチ」と別々の長編でありながら,裏切りだらけのコンゲームのシリーズが展開されてきた。ここに来て,「サンブンノイチ」の直系の続編でありつつ,「ゴブン」と「ナナブン」で重要な役割を果たしたキャラクターが登場する,3つの長編それぞれの続編のような作品が発表された。「サンブンノイチ」は映画化かまでされたので,その続編をという大人の事情があったのだろう。けれどもこのシリーズでダントツに面白かった「サンブン」の続編の発表は素直にうれしい。------------「サンブン」の面白さは,木下半太作品の多くのように,舞台劇のように限定的な状況にありながら,だんだんと登場人物の裏の顔が見えて来て,静的な場面だけなのに,物語としてはひじょうにエキサイティングな流れが展開されるということだった。以前にも書いたが,「ゴブン」「ナナブン」と,主人公の仲間が3人から,5人,7人と増えるに従って,個々人の描写に与えられる行数は減り,どうしても求心力が減っていくのは否めなかった。「サンブンノニ」は,主人公の仲間を3人に戻すことで,最初の緊迫感を取り戻そうという挑戦だ。------------その挑戦の結果は,残念ながら失敗していると感じた。シュウが率いる3人組意外に,他のシリーズの登場人物も登場するので,「ナナブン」に近いレベルで登場人物は多い。木下半太は頑張ってそれぞれの過去・現在・未来を描いているが,人数が増えてしまえばどうしても描き切れない部分が増える。木下半太作品のもう1つの魅力は,裏切りなど当たり前,下手をすると一番危険と思われる女性キャラの存在があった。今回の作品にも強い女性キャラクターは登場するのだけれど,男全員を手玉に取るような悪女ではなかった。むしろこの作品では女性が包容力があったり,一芸に秀でていたり,そしてまっとうな性格であったり,ということの方が多かった。男はバカなことが仕事で,女は偽るのが仕事,くらいのベタな展開を期待してしまっていた。------------今回はシリーズの各長編からのキャラクターが登場し,バトルロイヤル的な展開となっていた。そうしたことから,可能であればシリーズの順番での読書をオススメする。せっかくデビュー当時並みのイキオイを感じさせた「サンブンノイチ」の続編がこれでは残念だ。もっと作品をスリムにして投げつけて来てもらいたい
2017.07.20
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中山七里の医療ミステリーの続編を読んだ。○ストーリー埼玉県で発生した事故死や自殺への判断に対して,内情を踏まえつつ異議をネットで発言をする〈修正者・コレクター〉が現れた。そうした事件や事故の死体を解剖すると,確かに当初とは異なる状況が見えてきた。より正しい司法判断が下される一方で,埼玉県で主に司法解剖を担当する浦和医大法医学教室はパンク状態にあった。それでも解剖の依頼を持ち込む捜査一課の刑事・古手川に対し,教室の主・光崎,そして新米助教の栂野真琴は・・・?------------浦和医大法医学研究室の栂野真琴,埼玉県警の古手川刑事の2人を軸に,徐々に連鎖する事件が語られる。この法医学研究室は,警察に依頼されて司法解剖を担当するので,どうしても起きている事件について関わっていくことになる。県警のホームページに記入をする謎の人物〈修正者・コレクター〉は,警察の調査の不備を指摘する。それが正鵠を得ていたために,解剖の依頼件数は急増し,また刑事たちの業務も増加する。------------海堂尊じゃないの?!と第1作で語ったテーマはそのまま踏襲され,予算と人手不足による日本の司法解剖の割合の低さについての批判は相変わらずだ。前作同様に,連作短編集を通じて,この問題に乗じた犯人が生まれている。社会の事情をベースにミステリーを書き続ける中山七里の才能は素晴らしいと思う。社会の不正,不平等,至らない点を元に作品を展開することで,読者の共感を得やすいし,悲しいけれどいくらでもテーマは転がっている。------------この作品の第1作は,中山七里の作品のジャンルでは,主人公が師匠に仕事を叩き込まれるという〈お仕事ミステリー〉だった。主人公・栂野真琴は監察医としては一人前になりつつあるので,〈お仕事ミステリー〉の要素は薄れ,〈通常ミステリー〉へのシフトを,迷いつつ進めていることが読んでいてうかがえる。そのため彼女自身の物語は少なくなり,補うように県警の古手川刑事,そして2人の距離感が縮まる過程が描かれる。この2人の恋愛エピソードって,本編でも書かれているように,他に出会いがないから互いに意識しているだけなので,ちょっとパスしたい。中山七里ファンとしては,古手川の上司・県警の鬼刑事・渡瀬の登場の方がはるかにうれしい。それなりに存在感は示しているものの,この作品の刑事役は古手川ということで,彼に花を持たせるために暗躍しているだけのようだ。シリーズ第2作目となったが,フツーの展開は使い切ってしまった気がする。決して悪くないのだけれど,連作短編にするまでの魅力は薄かった。中山七里ワールドの厚みを増すという意義はあったけれど,今後は別シリーズのゲストとして登場してくれればよい気がする。------------各編について簡単に感想を述べる。「一 堕ちる」:単体アイドルとして人気を博していた佐倉亜由美は,コンサートの最中に転倒しステージの上から転落死をした。誰もが事故とみなしていた件は,〈修正者・コレクター〉の書き込みがきっかけで別の様相を見せ始める。それは?・・・特殊な人にフォーカスをしていて,連作短編集としては変わったスタートだ。事件は急に曲がった性根の人物をあぶりだすのだが,あまりにもセキュリティがザルではない?「二 熱中(のぼ)せる」:若いカップルの娘がベランダで熱中症で死んでしまった。だがその時間,2人は近くのパチンコ店に行っていた。事件の真相は?・・・小説としてもひじょうに腹立たしい事件だが,こうした事件あるいは事故が現実に起きていることに怒りを抑えられない。なかなか心をつかむ短編だった。「三 焼ける」:新興宗教の教祖が焼死体で発見された。司法解剖を進めようとする美琴たちを,教祖の復活を信じる信者たちが押しかけて妨害しようとする。騒然とする警察署では?・・・「連続殺人鬼カエル男」を思い出す緊迫の状況で,しかも担当刑事が古手川というシナジー。焼死体の解剖の描写はかなり胃袋に来る。「四 停まる」:家の近くの電線に止まっている鳩を追い払うために翔太が大声を出したところ,道を歩いていた老人が倒れ死亡したた。老人の死亡の原因は翔太にあるのか?・・・刑事・古手川の心優しい面が発揮されるのだが,全体的にはやるせない物語の印象が強い。「五 吊るす」:若宮茜の自慢の姉・涼音が首吊り死体で発見された。姉は勤めていた銀行から金を横領していた履歴が残っており,それを苦に自殺をしたというシナリオで全てが処理された。それから半年後,〈修正者・コレクター〉のおかげで県警は再捜査を始めたのだが,涼音の死体はとうに荼毘に付されていた。・・・死体がない状態から解剖医は何を導き出すか,というミステリー展開が語られ,かなり強引なものの短編としてまとまったと思いきや!驚きの流れが!!!「六 暴く」:県警の女性警官が複数の人が見ている中,女子寮の屋上から投身自殺をした。不祥事として内々に処理をしたい県警の流れに,断固として反対をする刑事がいた。彼はこの事故の裏に潜む悪意をあぶりだすことが出来るのか?・・・女性が死亡,解剖により〇〇が分かり,ってまた同じ展開ってのにちょっと引く。さらに短編集を通じて県警を翻弄していた人物の正体に,ちょっと落胆だ。なんだか盛り上がらずに終わった。
2017.07.19
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会社の帰りに本を忘れてしまった。----------僕は会社の行き帰りの電車の中と,会社の休み時間を利用して本を読む。電車の通勤時間は1時間ほどで,読書を出来るのは30分程度ずつだと思う。会社では始業前と昼休みに1時間半くらい時間を取れると思う。最近の例でいうと,友人と競い合っているネットゲームがあるので,ついついそれに時間を費やしてしまって,読書がおろそかになってしまうことが多い。だから上手く時間がフルに取れて,本を1冊読み切ることが出来るのととてもうれしい。----------今日読んでいた本は連作短編集風で読み易かった。始業前で4割くらいは読めたので,昼休みと帰宅通勤で読破できる期待が生まれた。ところが日中は,業者に頼まれての打合せが2件あり,本来のレポート2件が遅れに遅れてしまった。会社のバスに間に合うように慌てていたら,やってしまった。帰りに読もうと思っていた本を,会社に置いて来てしまった。----------本がない状態の通勤電車はツライものだとつくづく思った。この非人道的な時間と空間から精神を守るためのツールが読書なんだと再確認できた。明日からは毎日2冊ずつ持っていようと思う。
2017.07.18
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夏休み映画として話題になっている小栗旬主演の実写版『銀魂』を観た。〇ストーリー江戸に現れて開国を迫ったのは黒船ではなく,天人(あまんと)たちの乗る宇宙船だった。一度は天人に対して地球人は攘夷戦争を行ったが大敗北を喫し,幕府は天人の傀儡政権となっていた。平和になった江戸で,便利屋〈万事屋〉では,坂田銀時,志村新八,神楽の3人が働いていた。彼らは,刀鍛冶の村田兄妹に依頼され,盗まれた妖刀〈紅桜〉を追う。だがそこに隠されていた陰謀とは?-----------実写版の『銀魂』は,〈紅桜編〉をベースにしていた。状況説明は軽めにして,ギャグを交えつつ,ストーリーがさくさく進む。辻斬りの物語かと見せかけて,高杉晋助の謀略を,銀時たちと桂小太郎,そして真選組が防ごうとするスケールの大きい物語だ。ただ,『るろうに剣心』に似ていると思ってしまった。-----------映画版なので,少し抑え気味かと思えば,ギャグはジャンプネタ,時事ネタ,「ガン〇ム」「ナ〇シカ」のパロディと,全開だった。同じ監督の〈勇者ヨシヒコシリーズ〉のノリをさらに強くしたような印象だった。小栗旬に鼻をほじらせたり,橋本環奈にゲ〇を吐かせたり,菜々緒にパンツネタを言わせたり,と驚かせるけれど,小学生レベルのギャグも多かった。日曜日の遅い上映の回に行ったが,前の数列以外は人が入っていた。連休と言うことで若い人も多く,映画のギャグに小気味よく反応していた。そのおかげもあり,一緒に笑うことが出来た。これはレンタルビデオを1人で観るのでは楽しめないタイプの映画だ。-----------この映画の魅力は,豪華なキャストだろう。原作に似たキャスティングを行っているし,有名俳優が積極的に変な演技をしているのが驚きだし楽しめる。製作側の都合で原作を改変して新人女優を登場させたりしていたないので,『銀魂』としてのお祭りを楽しむことが出来る。-----------CGは下手だし,天人のメークも安っぽいけれど,場の雰囲気もあり,なぜかすべて許せてしまう気になった。友人と映画館に行って観ることをオススメする。幕末ファンの姉と行ったので,姉も楽しめた。
2017.07.17
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自由が丘で用事のあった姉と真昼の広尾で待ち合わせをした。まずは広尾ガーデンの〈シェ・モルチェ〉に行き,庭を眺めながらランチにした。それからタクシーで山種美術館に行った。開催されているのは(一応)日本画家・川端龍子の展覧会だ。-----------今朝のNHK〈日曜美術館〉で川端龍子を特集していたが,『愛染』が一番好きで,『火生』『金閣炎上』ぐらいしか知らない,という程度で詳しくない。連休になると美術展に行く,という行動パターンが強く働いたのだと思う。行ってみると横山大観の同時代とは思えない現代的な作風に驚いた。伝統的な日本画や屏風もあるのだけれど,石田徹也か?と思うほどの作品もあった。圧巻だったのは,『鳴門』(1929年),『香炉峰』(1939年),『草の実』(1931年)だ。日本画としては大きいということがまずあり,『鳴門』はその鮮やかな青色,『香炉峰』は大きく描かれている戦闘機が半透明という不思議な表現,そして『草の実』は黒地に金泥・銀泥で描いているという強い印象で,3つとも驚きの作品だ。しかしこれが明治の日本画家だろうか?横山大観と方向性の違いから袂を分かったというのも納得だ。-----------それ以外にも『慈悲光礼賛』『龍巻』などは,素晴らしかった。ひじょうに惹きつけられるのだが,これは日本画?西洋画?と迷ってしまう。表現力,色の使い方,題材,どれをとってもジャンルを超えたチカラがあった。新聞や雑誌に親しみやすいイラストを描くなど,俗っぽい過去もあるのだけれど,様々な枠組みを軽々と超える才能のきらめきに驚いた。-----------展示としては,説明のパネルは読みにくい高さにあったし,作品の順番に一貫性が感じられなかったのは残念だった。まあ,その辺りは公立美術館でも出来ていないので仕方ないだろう。全体的には展示の体験は快適で,現代的な配慮を感じた。それよりも山種美術館の建物は大きいのに,上階はオフィスで,美術館は地下1階でしかなく,スペースが狭いのが肩透かしだった。所蔵作品も多いのだから,常設展示をしてくれてもよいと思う。-----------最近,こうした都心のマイナーな美術館にも出かけているが,食事を併せればデートコースとしては悪くないと思う。頑張れ,若者!!???
2017.07.16
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キアヌ・リーブス主演で続編が公開中のアクション映画を観た。〇ストーリー妻を病気で失ったジョン・ウィックの元に,妻が生前に予約をしていた子犬が届けられる。子犬に孤独を癒されていたジョンだが,強盗に入ったロシアン・マフィアたちに愛車を奪われ,子犬を殺されてしまう。彼は床下に埋めていたトランクを掘り出し,ニューヨークへ戻り,5年ぶりに殺し屋に復帰し,マフィアへの復讐を目指す。だが彼の前には・・・-----------ガンアクションとカンフーの合体技〈ガンフー〉を駆使して,というような解説があったので,『マトリックス』のようなカンフー系アクションではないかと懸念していたかれども,それは杞憂だった。長いカットでありながら,小気味よくマフィアを倒しつつ,先へと進む姿は,静と動のリズムがあり,日本の時代劇を観ているようだ。それほど様式にははまっておらず,そこそこ反撃も受け,主人公も傷付くので,「大丈夫かな?」と心配をさせるあたりもバランスが良い。-----------ストーリーだけを見ると,車1台,犬1匹のために,ロシアン・マフィアを壊滅させるという無茶苦茶な設定だ。そのアホらしさを感じさせないのが,キアヌ・リーブスの演技だろう。妻と子犬への優しさ,プロらしい無駄のないアクション,抑えた感情表現など,彼だけでこのファンタジーを成立させているのは,考えてみると驚異的なことだ。敵側のマフィアもそれほど間抜けではなく,ジョンの襲撃に組織的に備えるし,何回かは彼を追い詰める。それをいかに切り抜けるか,という部分もこの作品の脚本の面白みだ。ワン・アイディアをいかに映画1本に仕上げるか,というお手本のような作品だ。-----------ジョン・ウィックとロシアン・マフィアとの抗争の中で,殺し屋たちが利用する中立地帯〈コンチネンタル・ホテル〉が登場する。ここはホテルであり,情報交換の場であり,裏社会の医者も呼べる。けれどもここで”殺しの仕事”をすることは禁じられており,その掟を破る者は消されてしまう。一連の〈コンチネンタル〉の場面は,レトロでスタイリッシュとなっており,マフィアとの抗争とは異なる空気が流れていて,この映画の殺伐とした雰囲気を引き締めている。ちょっと,コミックのような世界観だった。-----------アクション映画なのに,観客の心をぐっとつかむ。リアリティとは無縁だが,映画作品としてはひじょうに良く出来ていると思う。観る前は懐疑的だったが,納得した。なるほど続編が製作されるワケだ。オススメだ。
2017.07.15
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日本ハードボイルドの傑作と評判の長編を読んだ。〇ストーリー元外交官の中西の長女・中西伶子がいなくなった。だが彼女はシャンソン歌手として売れつつある中であり,恋愛関係も問題なく,失踪する理由はないようだった。探偵の真木は伶子の母親に依頼をされ,銀座のシャンソン喫茶,新宿のジャズ喫茶,六本木のスナックを回る。そして真木が,中西家の軽井沢の別荘で発見したものとは?悲しい運命が回り始める。-----------いろいろなジャンルで傑作とされている作品のほとんどは,何十年も前に発表されていることが多いので,今読むと語られている社会情勢,技術,また作品のトリックや文体に時代を感じる。けれども新しさを生々しく伝えるのは小説ではなく,他のメディアの役割だと思う。小説は登場人物と共に,読者が作品世界を疑似的に体験し,いつもとは異なる世界を知ることが意義の1つだと思う。この作品は1967年発表なのに少しも古さを感じさせないことに驚いた。その当時の人々が登場するのだけれど,言動に流行を取り込むことを控えているので,逆に今読んでも褪せていないことになっている。元外交官の邸宅が南麻布にあり,シャンソン喫茶が銀座にある,という状況もむしろ憧れてしまうほのぼのとした状況だ。-----------主人公の真木は元警官の探偵で,ハードボイルド小説の主人公の1つの典型だ。その頃の作品なのか,そもそも人々が素直な時代なのか,かなりスピーディーに事件の真相へと迫る。真木は,深夜営業の喫茶店で若者から情報を聞き出し,一方で警察に対しても,変に距離を置かず,きちんと協力するときはする,大人の対応を見せている。1960年の安保闘争,64年の東京オリンピックは過ぎているものの,大人と若者が断絶を見せる前の時代なのだと思う。-----------主人公が探偵の立場を超えて,正しさのために事件を追い続けるのが,この作品の背骨のようになっている。それゆえに,ラストで見えてくる真相には,ひじょうに納得がいくのに,どこにも救いが無いのは不幸だ。50年前の作品なのにひじょうに読みやすい。事件の捜査がそこそこ順調に進むように思えるのは,定期的に主人公の考察を通じて,状況が整理されるからだと思う。その点,結城昌治のストーリーテリングはさりげなく親切だ。ハードボイルド小説は探偵の行動だけを描けばよいと勘違いしている作家が多い中,この頃からフェアさを感じさせる書き方をしていることに感心をした。-----------やはり残る作品は違う。結城昌治のハードボイルド,オススメだ。
2017.07.14
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東野圭吾の倒述ミステリー長編を読んだ。〇ストーリーMM重工で人工知能ロボットの開発を勧める末永拓也は,オーナー仁科の娘・星子に気に入られる。だが彼の前に大きな障害が立ちはだかる。それを殺害して排除するために,末永は仁科直樹,橋本敦司と協力し,完全犯罪を計画する。だが順調に思えた計画は,途中から全く別の方向へと動き始め,彼らを欺き続ける。計画を利用して,彼らを消そうとしている謎の人物の正体は?----------犯人の視点から語るという意味で,倒述と言われるミステリー作品だ。謎を手探りで捜査していく通常のミステリーと異なり,読者は犯人と視線を同化させ,警察に謎は解かれるのか,という逆のハラハラを体験することができる。名探偵モノが非現実的と批判されている現在では,倒述ミステリーは現実路線もサスペンスも満足させる秀逸なジャンルとされている。この作品でもその効果により,前半は圧倒的な迫力で読者を惹きつける。久々に読んだ倒述ミステリーだが,なかなか面白かった。----------ストーリーは末永,仁科直樹,橋本の3人の殺人計画を1つめのラインとすると,それが狂って予想外の流れとなる2つめのライン,そして過去の事故が関連する3つめのラインと,順番に推移する。倒述作品らしく,1つめのラインはとんとん拍子に進む。それぞれ頭の良い3人の人物は,ある殺人計画に合意し,それを完全なものにするために協力をする。だがその終盤で驚きの事態が発覚し,彼らは計画変更を余儀なくされる。この辺りは読んでいて,ページを繰るのが止まらなかった。倒述なのに予定通りに行かない,ハラハラするパターンだ。----------これは大傑作では?と期待を胸に読み進めたのだが,終盤に失速し,ラストは不完全燃焼の気分となってしまった。3つめのストーリーラインが,どうしてもそれ以前のラインと噛み合わない。事前にそれを知っていて利用しようとしていた〇〇の意図が分からないし,〇〇であれば十分に対策を練って計画を進めたと思う。そして一番重要なのが,それまではどんな障害でも自分の努力で排除をしてきた主人公・末永が,ラストにおいては切れ味がないということも尻すぼみの理由の1つだ。----------傑作になりかけて凡作という悲しい結末だが,東野圭吾の様々な傑作に見られる要素は散りばめられていて,この時代の後に大ベストセラー作家になることを知っていると不思議な感慨がある。”クズ”が得意な藤原竜也主演でドラマ化がされていたことから分かるように,”クズ”ばかり登場するミステリーだが,なかなか楽しめた。
2017.07.13
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以前にも書いたが,今の町の図書館の蔵書に満足できず,隣町の図書館まで足を延ばした。住んでいる町は人口も多いし,更生施設にもチカラを入れていて,美術館,文学館,市民ホールもある。日常的には不満は無いのだけれど,何年かに一度,ある作者の作品を読破しようと思い立った時だけ,いくつかの作品が歯抜けになっていることに気付き困る。幸いに,隣町も誤解を恐れずに言えば,”民度が高い”系の土地なので,そちらの図書館まで足を伸ばせば,見つからない本はほぼない。そっちの町は以前住んでいたし,今の家から1回乗り換えて,30分ほどで図書館の最寄り駅まで行くことができる。今回も,ネットで調べてからそこに向かった。----------5年ぶりの隣町の図書館では,利用者用カードやネット接続など,いろいろな設定を更新する必要があったけれど,そこからはスムーズだった。またここに時々来ることになるんだと思うと,ちょっと嬉しくなった僕は出張先の町で本屋に入るのが好きだ。町にいくつ本屋があって,それぞれがどんな品揃えで個性を出そうとしているかを考えるのも楽しい。さらに品揃えを見ることで,その町の人々の読書への興味が分かるというのも面白い。それとはちょっと違うけれど,隣町の図書館に行って,そこの人のふりをして利用しているのは,微妙にスリリングな気持にもなれて楽しい。オススメだ。
2017.07.12
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森博嗣のSF大河ドラマ〈Wシリーズ〉の第5巻を読んだ。〇ストーリーアフリカの南端に脱走した人造人間ウォーカロンたちの町があると聞き,ハギリたちは調査に向かう。彼らは〈富の谷〉と呼ばれる地下都市にたどり着く。そこではウォーカロンと人間が共存していた。さらに彼らはソフトウェア開発のために身体を離れてヴァーチャルな〈テルグの村〉を構築していた。謎の男のトラップにより〈テルグ〉に囚われてしまうハギリたち。彼らの運命は?-------------シリーズ開始の段階では研究室にこもっている学者だったハギリだが,現在はインディ・ジョーンズのように世界中を股にかける冒険家のようになってしまっている。物理的な移動,命がけのアクション,いずれもこれまでの森博嗣作品では少なかった傾向だ。未来世界の方が,行動に制約が少ないのだろうか?-------------人造人間の”ウォーカロン”が脱走して作った町や,身体改造をしていない人間が住む町などを調査するのが,いつの間にか主人公・ハギリの仕事になっているので,毎回世界の辺境に出かけ冒険をすることになる。ハギリには,女性のウグイ,男性のアネバネという2人の優秀な護衛がいるのだが,それにしても無防備過ぎると思う。案の定,毎回反政府組織などに襲撃を受けている。小説としては面白いけれど,森博嗣の作品にしてはリスクとゲインのバランスが取れていないような気がする。シリーズではウォーカロンと人間の差異についての考察が続いてきたが,この巻ではもうそれを離れ,身体を伴って生きることの意味,他社との交流の意義などが考察されている。良くも悪くも欲得の観念の薄い森博嗣の登場人物たちからすると,生きることは考えることとイコールなのだろうか?それでもノイズのような(これも悲しいが),他社との交流に一応の意義を認めてくれているらしい。-------------ヴァーチャルな〈テルグの村〉に3人とも囚われてしまうというのは,これまでにない危機だった。ウグイとアネバネは優秀な護衛だったが,今回は完全にミスだ。油断をしているとしか思えない。しかも〈富の谷〉そのものが地下にあるために,ネットワークから断絶されている。完全に手詰まりだ。果たして???それは読んでみてのお楽しみだ。〈テルグの村〉の妙なのどかさは,ちょっと笑えた。主人公・ハギリは性格が丸くて良いなあ。-------------森博嗣の作品はいくつものシリーズがあり,その多くで登場人物が重なっている。このシリーズも〈四季シリーズ〉〈百年シリーズ〉との関連が指摘されているが,その両方とも読んだのが何年も前でピンと来ない。その辺りもう少し分かりやすいと助かるなあ。
2017.07.11
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小栗旬主演のサスペンス映画を観た。〇ストーリー仕事熱心だが,妻と息子をおろそかにする刑事・沢村は〈カエル男〉による雨の日に起きる猟奇連続殺人事件を追う。その被害者たちの共通点は,10年前の〈幼女樹脂詰め殺人事件〉の裁判員・裁判官だったということだった。それを知った沢村は,必死に妻と連絡を取ろうとする。何故ならば彼女もその裁判員の1人だったからだ。だが一歩遅く,妻と息子も〈カエル男〉に誘拐されてしまった。沢村は,ある特徴に気付き,〈カエル男〉に1人迫って行く。果たして彼は,家族を取り返すことが出来るのか?----------小栗旬,妻夫木聡,尾野真千子を始め,なかなかの俳優で出来ている映画だ。『セブン』『ソウ』などの影響を受けて作られていると思われるマンガが原作だが,ひじょうに丁寧に映画化されている。劇場映画なので,グロいシーンもあるし,犯人が被害者を追い詰めるシーンもあるのだが,一歩間違うとこうしたシーンは失笑を買うレベルとなってしまう。それがきちんと製作者の狙い通りに仕上がっているのは,地味に頑張って作り上げているからだろう。----------連続殺人事件を追っていた沢村刑事が,犯人のターゲットに妻が入っていることを知り,一気に危機感を募らせる展開は,お約束とは言え,やはり盛り上がる。これがなければただのお仕事で終わってしまうところだが,このおかげで観客にとっても事件が解決されることが重要になってくる。この辺りの流れは見事だ。解けたパズルの衝撃も,もう少し引っ張っても良かったと思う。----------とは言え,この手の連続殺人事件でありがちだが,途中から犯人の手際の良さに違和感を感じてしまうのは事実だ。裁判員と裁判官の生活に密着して,彼らの職場,出回り先,家庭を監視して,それぞれにふさわしい(と犯人が思っている)方法で殺害をする。いくらなんでも半分引き籠りの犯人が,1人でこれまでの調査を行い,相手をおびき出し,次々と処刑をする,というのは不自然だ。訓練された破壊活動の組織でなければ出来ないだろう。最近の作品では,実は警察側に協力者がいました,とかで,こうした不自然さをカバーする努力があるのだけれど,この作品ではそれもなし。ただただ〈カエル男〉が優秀でした。妻夫木聡だし。----------てっきり中山七里の「連続殺人鬼カエル男」の映画化だと思っていたのだけれど,巴亮介という人のマンガが原作だった。イメージ的にはだいぶ重なるね。映画版のラストもなかなか不気味だった。
2017.07.10
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7月になってしまったので,ずっと気になっていた定植を行った。5月になるとあたふたと種蒔きをして,7月の声を聞くとそわそわと定植をする,毎年なんとももたもたのガーデニングだ。始めて見ると,ヒントはネット,店頭,他の家の庭と大量にあるので,なんとか刺激を受けて,時期に遅れないように動くようになる。その結果,これまで気にならなかった街角や他人の庭先のグリーンをジロジロ見るのが癖になっていて完全に怪しいオジサンである。---------今日は朝から庭仕事のつもりだったけれど,姉が丸の内に行く気になっていたので,そっちに付き合った。美術展に行き,おしゃれなランチをして,その後,帰宅してから帽子,短パン,長靴姿で庭仕事だ。---------定植に先立ち,先週その場所の雑草を刈り取って,地面を頻繁に水やりをして準備をしておいた。今日は剣先スコップで地面を掘り返し,根伐りをして,植え付ける場所を作った。そして5月から育てていた,グラジオラス,デイジー,そしてもらったカンナを移植した。デイジーは根が浅く,植え替えるのが大変だった。カンナはすぽっと根ごと抜けたので一番簡単だった。その後,だいぶ育ったトマトとナスも,去年のゴーヤの場所に植え替えた。トマトは場所が足りなくなり,2つの大鉢のうち,1つはそのままとした。4時から1時間以上かかったけれど,さすがにびっしりと汗をかいたので,そのまま風呂に入り,着ていた服も洗濯をした。でもようやく仕事を片付けることが出来て大満足。---------その後,自慢がてら姉に状況を見せたのだけれど,全体的に元気がないのは仕方がないとして,植え替えたトマトが完全にくたんとしていた。去年のゴーヤ用の網があるので,そこにもたれかかっている感じなのでまだいいけれど,さっきまで元気いっぱいだったので,心配だ。という心配も楽しいのがガーデニングだ,たぶん。
2017.07.09
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会社が従業員慰労のイベントを行っていて,各部署でポスターを貼ったり,飾りつけをしていたりする。隣の部署は,七夕飾り風のきらびやかな吹き流しを吊るしている。それを1ヶ月近く見ていたら,七夕まつりに行きたくなってきた。以前,阿佐ヶ谷の七夕まつりに行ったことがあったので,姉に「あれに行こう」と連絡をしたら,「8月開催だよ」との返信が戻ってきた。調べてみたら,阿佐ヶ谷だけでなく,本場の仙台も月遅れの8月開催だ。一方で,浅草かっぱ橋,平塚の七夕まつりは今週のようだ。幼稚園とか学校の七夕は7月で固定だったが,旧暦での七夕は8月のために地域によってどちらかを選んで開催しているらしい。仙台はちっと遠いので,8月になったら阿佐ヶ谷に行くかなあ?
2017.07.08
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東野圭吾の意外性に満ちた〈孤立した状態〉ミステリーを読んだ。〇ストーリー企業を経営する森崎の山荘に8人の男女が集まる。くつろいだ空気を破り,参加者の1人が交通事故死をした森崎の娘・朋美は殺人事件だったと主張し,緊張感が走る。さらにそんな中,銀行強盗犯の2人組が山荘に侵入する。人質に取られた彼らを,強盗犯はからかうように朋美の事件の推理をさせる。その上,人質の1人が殺され,人質も強盗犯も大混乱となる。殺人犯の目的は?そして朋美の事件の真相は?-----------〈雪の山荘〉〈嵐の孤島〉など,孤立した状況で事件が発生する。そこにいる人々は外部の支援を得ることが出来ず,戸惑いながら自分たちで事件を捜査しようとする。だが孤立した状況ということは,彼らの中に犯人もいるということになる。ミステリー作品としては,なぜ素人たちが事件の捜査を行うのかという不自然さをカバーでき,限られた人間の中に犯人がいるという状況を作り出せるので,人気のシチュエーションだ。ミステリーファンとしては,またか,と思いつつも,一方で今回はどんなアレンジだろう?とワクワクしつつ読む。さて東野圭吾はどんなアプローチで来たか?-----------登場人物は多いのだが,見事に分かりやすく描き分けられている。朋美の婚約者だった樫間高之,森崎夫婦と長男・利明,森崎の秘書・下条玲子,朋美の従妹・篠雪絵,朋美の親友・阿川桂子,医者の木戸。ここに銀行強盗のジンとタグが加わる。作品はとにかくスピーディで,山荘に人が集まったと思ったら,銀行強盗が侵入してきて人質たちの攻防が始まり,謎が深まった所で殺人事件が起きる,そして強盗のボスが現れ,と読み始めたらやめられない。そして結末はまさかまさかの驚きの展開だ。-----------ミステリーのいわゆる”お約束”があるので,人質がみょうに物分かりが良かったり,逃亡犯も一緒に謎解きに加わったり,と都合の良い部分はあるものの,ひじょうにキレイに仕上がっている作品だ。昨今の東野圭吾のような,情感たっぷりな小説というワケではないが,ミステリーとしてかっちりと仕上がっているし,ところどころにホロリとさせられる部分はある。クリーンヒットというところか?楽しめた。
2017.07.07
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北森鴻の未発表作品と解説で構成された短編集を読んだ。(加筆修正)〇ストーリー大阪府警とマスコミに送られてきた告白文には,女子高生を殺して死体をY塚山御陵古墳に埋めたことが語られていた。だが御陵は宮内庁の管轄で,捜査を始める前に,専門家の調査が必要とされた。大阪府警の加藤は,研究者・西野に調査を依頼し,2人の交流は始まる。遺跡調査と並行して,大阪府警の捜査も進められるが,その結果??---------何度も書いているが,基本的に僕は小説家本人には興味が薄い。作者がどんな人物かではなく,作者がどんな作品を書いたかでで判断をしようと思っている。この作品は,北森鴻の(当時)単行本未収録短編と,その頃の思い出を混ぜたライナーノートで構成されている。エッセイ本は読まないけれど,これで北森鴻のデビューとその後の流れが把握は出来る。亡くなってしまった人だけに,こうした機会でしか当人の声を聴くことは出来ないことを考えると,貴重な記録なのかも知れない。---------初期の習作のような短編も収録されているが,とにかく驚くのがデビュー直後から完成されていた人だということだ。都会的な洒脱な大人向け,小学生向けの可愛らしいもの,落語風,捕物帖,ひじょうにバラエティに富んでいて,文体がそれぞれ異なるのにきちんと書けている。本当に隙のない作家だ。---------各編について簡単に感想を述べる。「仮面の遺書」:イラストレーターの天沼依子のデスクからは,向かいのビルの壁のモザイク画が見えた。それは自殺した画家・城島真一の作品のレプリカだったが,それを毎日眺めている美青年がいた。依子は青年に話しかけてみると,青年・尾形は城島の大ファンで,城島に関する研究の成果を語り始める。そして・・・驚きの結末だ。最後の謎解きの部分が省略されているは残念だけど,デビュー作がこのレベルとは恐ろしいばかりだ。さすがはライター経験者。「踊る警官」:大阪府警とマスコミに送られてきた告白文には,女子高生を殺して古墳に埋めたことが語られていた。捜査のために,府警の加藤は,研究者・西野に古墳の調査を依頼する。手続きの煩雑さと調査期間の長さに驚きぼやく加藤だが・・・他でも書かれていたが〈冬孤堂シリーズ〉〈蓮丈那智シリーズ〉の原型の要素を秘めつつ,大阪弁の口語で語られる落語風の味付けという,大傑作だ。素晴らしい。「無残絵の男」:彫り師・柾五郎の長屋で,死体が見つかり,柾五郎の弟子・直助が疑われる。元御家人の水無瀬源三郎は,ひょんなことから事件の捜査を手伝うことになる。そして・・・「狂乱廿四考」のキャラクターが再登場する短編だ。残念ながらシリーズ化は無かったようだが,いい味を出している。「ちあき電脳探てい社」:コウスケとちあきは,小学校の怪談を探るためにコンピュータの仮想現実へと旅立つ。・・・後日この短編は文庫化されたので,読んで感想も述べた。ジュブナイルも書けるんだね。「鬼子母神の選択肢」:京都嵐山の大悲閣千光寺は,ある新聞の投書がきっかけで,急に参拝客が押しかけるようになっていた。だが一方で,謎の男たちも姿を見せるようになり,寺男の有馬次郎はある才能を用いて,謎解きをする。・・・〈裏京都シリーズ〉の原型となっている短編だ。もう読んだのではないかと思って,〈裏京都〉の短編を再度あたってしまった。やや解決の部分が急ぎ過ぎという印象を受ける。「ランチタイムの小悪魔」:職場の同僚が倒れ,彼女に毒を盛ったという疑いが〈わたし〉にかけられてしまう。〈わたし〉はある人物を屋上に呼び出し・・・「女性自身」に掲載されたという異色の短編で,そのためオシャレな流れとなっているのだが,どう考えても作り込み過ぎだ。今から見るとコミカルだ。「幇間二人羽織」:上尾から江戸に品物を納めに来た利助は,商売の成功を祝い,幇間の市松の差配で吉原遊びと洒落こんでいた。だが,その晩,利助が商いをした先が襲われた。この事件を解き明かすために,北町と南町の奉行所の名誉を賭けて顎十郎と藤波友衛が競い合う。・・・個人的には楽しめるのだけれど,時代劇ミステリーということで敬遠する人もいると思う。もう少し派手さがあればよかった。
2017.07.06
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打海文三のデビュー作にして横溝正史賞優秀作作品を読んだ。〇ストーリー外務省の調査員OBを中心に形成される〈東亜調査会〉は,公的機関では成しえない情報収集を進め,発行する〈極東レポート〉は企業や政府からも評価されていた。だがその情報源は〈灰姫〉と呼ばれる北朝鮮の情報機関の人物だとされていた。情報の正確さゆえに,〈東亜調査会〉も北の下部組織と疑われ始め,ついに残酷な犠牲者が生まれる。組織の生き残りを図るために〈調査会〉は?----------ジョン・ル・カレのスパイ小説を思わせる乾いた作品だ。言うまでもなくル・カレの東ドイツが北朝鮮,ソ連が中国に置き換えられて語られている。主人公の属する国はイギリスから日本へと置き換えられているが,アメリカはアメリカのままだ。調査会社〈東亜調査会〉は〈極東レポート〉で景気は良いものの,内部では互いに足を引っ張り合うダメな組織だ,と読者に思わせる。それなので最初は様々な諜報活動さえもフェイクや幻想かと考えてしまう。巻き込まれ型の主人公のように振る舞う小林も,きちんきちんと情報を調査し分析して,相手を追い詰めていく。こうしてフツーの会社の話かのように始まった物語は,東アジアの命運を左右する物語へと広がっていく。----------ル・カレ風のリアルな諜報劇,主人公たちのひじょうに微妙な心の動き,運命に翻弄される男女,など,読み終わってみれば,魅力があるのは分かる。けれども,登場人物が多いこと,主人公が小林になり,小林が動き出すまで時間がかかること,そして全体に流れる厭世観などで,とにかくページが進まない。これ以降の打海文三の作品が,話の流れは冒頭と終盤でズレていることがあっても,不思議と読みやすいテンポがあるのと比べると,ひじょうに異なる。デビュー作らしい頭でっかち,固さを感じてしまう。----------題名に「鏡の国のアリス」「シンデレラ(灰かぶり姫)」を並べているのもあまりセンスを感じないが,設定には活かされているので良しとしよう。それにしても驚くのが,よく横溝正史賞の選考委員たちが,この作品を評価したことだ。作家・打海文三がここから生まれたと考えると,この作品から本人の才能を見抜いた選考委員たちの眼力に平伏する。----------この作品だけが町の図書館になくて,隣町の図書館に数年ぶりに行き保管庫から出してもらって借り出した。そこまでする価値があったかどうか微妙な品質だったが,いろんなことを考えることは出来た。熱狂的なファン以外はパスで大丈夫だ。
2017.07.05
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〈東京バンドワゴン〉の小路幸也の〈花咲小路シリーズ〉の第1巻を読んだ。〇ストーリー東京から2時間近くかかる地方都市の〈花咲小路商店街〉は,郊外の大型店舗に客を奪われ,商店主たちの高齢化も進んでいた。そんな中に,世界大手の〈マッシュ・グループ〉による町全体の買収と大型再開発の提案があった。町を守るために立ち上がったのは,英語塾経営者・亜弥の老いた父親・矢車聖人だった。亜弥の母親と結婚して40年間〈花咲小路〉に住む彼は,元々はイギリス人で,〈紳士怪盗・セイント〉として世の中を騒がした過去があるのだった。果たして〈セイント〉が打つ手とは?----------かつてのチカラを無くしつつも,まだ魅力がある〈花咲小路商店街〉を舞台にしたシリーズを読み始めた。なぜか四丁目から始まり,この後は一丁目,二丁目,三丁目となる。それぞれの作品がどのようにつながるのか,時代は同じなのか,先が楽しみだ。----------とは言え,いきなり商店街全体が買収として再開発されるという危機が来ていて驚いた。フツーは最終回に来るパターンだろうに。最初は不審な新規開店店主たち,そして謎の連続浮気事件からと,日常ミステリー風に始まる。父・聖人は〈セイント〉として,亜弥の幼馴染の克己と北斗を使って,調査を行い,どうやら世界最大手の販売業〈マッシュ・グループ〉が〈花咲小路商店街〉を丸ごと買収しようとしていることを探り当てる。だが彼らが起こした妨害に対し,〈マッシュ〉は正面から大々的に再開発事業として,マスコミや自治体に働き掛けて大ニュースとする。そこで〈セイント〉が繰り出した手とは?うーん,禁じ手・・・涙。----------主人公・亜弥が,父親にも年下の幼馴染たちにも秘密を教えてもらえない状況なので,読者も状況が分からず,中盤以降が中だるみしてしまう。しかも禁じ手の結末であれば,〈セイント〉のチームは何を準備していたのだろう?無駄に秘密めかしていただけ???ここまで主人公が何もしない長編というのも珍しいと思う。父親が〈紳士怪盗〉,家は大地主,幼馴染はリーダーシップがある青年,天才ハッカーの青年,記憶力抜群でグラマラスな美人・・・たしかにここまで周りがアニメキャラならば,本人は何もしなくても良いかも知れないけれど,読んでいて楽しくはない。最後の最後に,何から何まで実は・・・というのもアンフェアな印象だ。〈マッシュ〉が狙っていることも二転三転していてワケ分からないしなあ。----------シリーズ第1巻を大批判してしまっているが,ダメなものはダメだろう。魅力的なフォーマットなのでシリーズは読むつもりだ。次巻に期待だ。
2017.07.04
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〈探偵倶楽部〉という名の探偵社が登場する東野圭吾の不思議な連作短編集を読んだ。〇ストーリー大手スーパーマーケットの経営者・正木は,経営陣でもある親族たちを集めて食事会を開催するが,その夜,彼は自殺した姿で発見された。それを発見した3人は,それぞれの理由で正木の死亡日を偽装するために彼が旅行に出たことにしようとする。だが翌朝,車に乗せて別荘に運ぶはずの正木の死体は消えていた。果たしてその真相は?-----------例によって事前情報を入れずに本を手に取った。読む前は,学生の探偵サークルの話でライトな傾向かと思っていたが,毎回殺人事件が起きるし,ドロドロした展開は多いし,とヘビーな内容だったので驚いた。ハンサムと美女の探偵コンビが事件を解決するのだけれど,この2人はまるで死神のように黒づくめで無口だ。本来は当たり前なのだけれど,関係者を集めて「さて皆さん」ということはしないで,依頼者のみに真相を告げて,その後の処理は判断を任せて去っていく。謎めいた状況にロジカルな光明を当てるというヒーロー的な活躍はしない,不思議な探偵たちだ。-----------作品には5つの短編が収録されている。この作品の設定では〈探偵倶楽部〉とは,富裕層向けの会員制の探偵サービスということらしい。名探偵の存在も大きなお約束事なので,こうした新しいパターンもありだろう。事件が起き,家族たちは謎を解こうとするが分からない,誰かが〈探偵倶楽部〉の存在を思い出し依頼をすると,真相が分かる,という流れになっている。コンパクトにまとまっているので,1話50分のドラマにぴったりだ。東野圭吾も小説づくりが巧くなってきた。-----------黒づくめの死神のような探偵たちは,もっとシリーズ化をしても面白いと思うけれど,どうやらこの1冊だけのようだ。東野圭吾本人としては,気に入らなかったということなのだろうか?残念。-----------各編について簡単に感想を述べる。「偽装の夜」:大手スーパーマーケットの経営者・正木は,経営陣である親族を集めて食事会を開催する。だがその夜,彼は自殺した姿で発見された。発見した3人は,正木の死亡日を胡麻化すために彼が旅行に出たことに偽装する。だが翌朝,正木の死体は消えていた。正木の長女は〈探偵倶楽部〉に助けを求める。・・・ミステリーとしてはあまりにもありがちな状況で始まる。その後,少し意外な展開となり〈探偵倶楽部〉によって解決がもたらされる。ただ残念ながら,登場人物が多過ぎて未整理なまま終わってしまう。「罠の中」:資産家の山上が風呂場で心臓麻痺を起こしていた。これは事故死と判断されるが,妻の道代は不審に思い,〈探偵倶楽部〉を呼ぶ。そこから明らかになったこととは?・・・冒頭に犯人の会話があり,途中それがある人物かと思われるのだが,最後にそれが別の者だったと分かる。ちょっとしゃれたミスリーディングだ。この作品では警察はあまり優秀ではないことになっているのね。「依頼人の娘」:美幸が学校から帰ると母がナイフで刺されて死んでいた。美幸は不自然なところがあった父親が母を殺したのではないかと疑い,〈探偵倶楽部〉に連絡を取る。・・・これまでの2つの短編と異なり,若い人が主人公なので,だいぶ雰囲気が変わる。結末は,なんだかやりきれない。「探偵の使い方」:夫・阿部の浮気調査を〈探偵倶楽部〉に依頼した妻・芙美子は,浮気相手の写真を親友の真鍋秋子だと断ずる。その後,ゴルフに行ったはずの阿部が死体で発見され,真鍋は秋子の目の前で毒入りビールを飲んで死ぬ。警察は真鍋が阿部と秋子を無理心中に見せかけて殺そうとして失敗したと結論を出す。だが・・・〈探偵倶楽部〉は正義の味方なのか?あまりそういう流れでは無かったけどなあ。「薔薇とナイフ」:大学教授の長女・直子は,次女・由理子の部屋のベッドで刺殺される。犯人は,由理子を狙って,間違って直子を殺してしまったと判断されるのだが・・・さすがにこの犯人は悪人だろう。ひじょうに後味の悪い短編だ。
2017.07.03
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週末は出かけることが多いので,なかなか庭仕事に時間を取れない。それでも6月のひと月で,植えた植物は順調に育ってくれた。アサガオは,芽が出ても次から次へとたぶん鳥についばまれたのだと思う。それでも3つ生き残って3対目の葉が出つつある。入谷ではアサガオ市なのに,ひじょうに出遅れている。かすみ草はなぜか鉢の半分に片寄って芽吹いている。なぜ残りの半分に育たないのかは謎だ。デイジーの鉢はびっしりと育ちつつあるのだけれど,どれがデイジーでどれが雑草か分からない。グラジオラスは真っ直ぐにぐんぐんと育っていて,もうそろそろ球根を植え変えてもよいと思う。そして心配したトマトとナスも元気が出て来た。最初の花が咲いたら定植しようと思う。ここで失敗したくない。去年の花から自生したヒマワリは,1.6mの支柱では足りず,2.4mのものを買ってきて差し替えた。巨大になりつつある。姉が友人から花の苗をもらってきた。カンナだそうだ。他と色が合わないんだけれど・・・大事にしないといけないよなあ。(笑)あまり雨が降らないので,梅雨時だけれど,水やりに忙しい毎日だ。
2017.07.02
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高楼方子のファンタジーを読んだ。〇ストーリー哲学者を目指しているトランプさんは,村はずれに犬と暮らしている。トランプさんの特技は新聞をいっぱい読むことと,動物の言葉をしゃべることだ。購読しているモグラの新聞が数日間白紙となっていることに対し,トランプさんはモグラの町に乗り込んで抗議をするつもりだ。だが,そこでは怪物・ペロンジによる被害が問題となっていて?----------高楼方子(たかどのほうこ)は,姉に勧められて読み始めたのだが,読むほどにその魅力にとりつかれている。子供向けのシンプルな絵本や絵物語,小学校高学年・中学生向けの奥行きのあるファンタジー,どちらも同じペースで書いているのが面白い。児童文学の作家は,最初は低学年向けの作品を書き,売れてくるとジュブナイル向け,大人向けの作品を書くというパターンが多い。それをしないでいつまでも絵本も出しているということは,本当に児童文学を書くことが好きなんだと思う。----------この物語の魅力はとぼけた味わいだろう。まずは主人公が哲学者プラトンを目指して,でもトランプと名付けられた,というのが出落ち的だ。そのトランプおじさんがしていることは,新聞を読んでいることだけだ。トランプおじさんが飼っている犬の名前はイルカーネポポラーネ。トランプおじさんの冒険癖にボヤキやツッコミを入れる相棒だ。さらに事件に巻き込まれいる新聞社のモグラたちも,会社が傾く大ピンチなのに小市民的なことばかりを気にしていておかしい。そうした最後に,新聞に対するあるモグラたちの気持ちが語られてしんみりする。最後にハートウォーミングな展開になるのは,高楼方子の低学年向け作品のいつもの流れだ。----------モグラの町のお菓子,モングラン,モグロールケーキ,マロンモグラッセ・・・美味しそうだ。
2017.07.01
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