全118件 (118件中 51-100件目)
『異教徒の大地』 ウォーターボーイズ 「A Pagan Place」 The Waterboys (84) 流浪の失踪を続けるロック・シーンの異教徒、 マイク・スコット――ウォーターボーイズ、デビュー! パティ・スミス、ボブ・ディランに影響を受け、突き放すほどに力強いマイク・スコットの “詩” (うた)が僕らを打つ!!A面 1. 怒りの鐘を鳴らせ - Church Not Made With Hands 2. 彼女の捧げもの - All The Things She Gave Me 3. ザ・スリル・イズ・ゴーン - The Thrill Is Gone 4. ラッグス - RagsB面 1. 誰かが誰かに別れを… - Somebody Might Wave Back 2. ザ・ビッグ・ミュージック - The Big Music 3. レッド・アーミー・スター・ブルース - Red Army Blues 4. 異教徒の大地 - A Pagan Place 83年にスコットランドで結成されたウォーターボーイズ(The Waterboys)。このバンド名はルー・リード(Lou Reed)の曲の歌詞から名付けられたのだとか。でもまぁ「ウォーターボーイズ」と聞いて大半の方が思い浮かべるのは、シンクロナイズドスイミングをする男子高校生達の物語だわな。あれは面白かったもの。 今回取り上げた84年にリリースされた2ndアルバム「異教徒の大地(A Pagan Place)」の頃のウォーターボーイズのメンバーはというと、ヴォーカル兼ソングライターで数々の楽器もこなし、そのうえプロデュースまで手掛ける多才なマイク・スコット(Mike Scott)を筆頭に、サックスのアンソニー・シッスルスウェイト(Anthony Thistlethwaite)、キーボードのカール・ウォリンガー(Karl Wallinger)、そしてドラムスのケヴィン・ウィルキンソン(Kevin Wilkinson)。 ケヴィンは85年に英国のNWバンド、チャイナ・クライシス(China Crisis)に参加するため脱退。しかし99年に41歳にして自死してしまった…。 カールも、3rdアルバム「自由への航海(This Is the Sea)」をリリースした85年にバンドを去り、ワールド・パーティー(World Party)を結成。 その「自由への航海」のレコーディングに参加したロック・フィドル奏者(ヴァイオリニスト)のスティーヴ・ウィッカム(Steve Wickham)が85年から正式メンバーに加わり、バンドはアイルランド伝統音楽へと傾倒していき、高い評価を得たのであった。 さて、バンドの要であるマイク・スコットであるが、今回の駄記事を書くにあたりWikiさんを見ていて驚いたのだが、16年に日本人女性と結婚して男児を授かっていた。おめでたいことだけど、お相手の方にちょっと――いや、かなり引いた。小野洋子さんが苦手すぎてジョン・レノン(John Lennon)を受け付けなくなったのと同様な感じである。だけどジョンもマイクも音楽は素晴らしいと思うし、彼女たちの賛同者も大勢いるわけで…。ま、みんな違ってみんないい、ということで。って何のこっちゃ。 このアルバムはどことなくU2っぽくて取っ付きやすく、彼らの音楽にまだ触れたことがない方は試しに聴いてみてほしい。80年代の音楽ってこんな感じだったよなぁ。 そんなウォーターボーイズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ラッグス 誰かが誰かに別れを… 怒りの鐘を鳴らせ
2023.01.16
コメント(0)
『こわれもの』 イエス 「Fragile」 Yes (71) 72年、世界のスーパー・グループに飛躍したブリティシュ・ロック界最大のホープ!A面 1. ラウンドアバウト - Roundabout 2. キャンズ・アンド・ブラームス - Cans and Brahms 3. 天国への架け橋 - We Have Heaven 4. 南の空 - South Side of the SkyB面 1. 無益の5% - Five Per Cent for Nothing 2. 遥かなる思い出 - Long Distance Runaround 3. フィッシュ - Fish 4. ムード・フォア・ア・デイ - Mood for a Day 5. 燃える朝焼け - Heart of the Sunrise 前回取り上げたバングルス(The Bangles)の “エジプシャン(Walk Like an Egyptian)” は「ジョジョの奇妙な冒険」のアニメ第3期のEDテーマ曲であったが、今回はそのジョジョつながりということで、イエス(Yes)が71年にリリースした名盤「こわれもの(Fragile)」を取り上げてみる次第であーる。 ブログではさも洋楽に詳しいかのようにあれこれと綴ってはいるけれども、実は80年代半ばに観ていた洋楽番組並びに読んでいた洋楽雑誌で得た知識ぐらいしか持っておらず、聴いている音楽も当時のヒット曲か美形メンバーがいたバンドの曲(大概はコレ)、もしくはノリがいい曲(HR/HMや産業ロック系)ぐらいという、かなりの知ったかぶり野郎な私。 なのでイエスに関しても、知っているのは再結成後の83年にリリースされた「90125」からシングルカットされて大ヒットした地味~な “ロンリー・ハート(Owner of a Lonely Heart)” や、メンバーが伸び縮みするPVだけが印象に残っている “リーヴ・イット(Leave It)” ぐらいで、プログレ時代のイエスについてはこの「こわれもの」や「危機(Close to the Edge)」(72年発売)が優れたアルバムだという評価を目にしたことがある程度で、きちんと聴いたことはなかった。 それが10年ほど前にBLOG仲間さんから薦められ、初めてこのアルバムを聴いた時の衝撃たるや! …えッ!? これがイエス!? っていうか、70年代のイエスはこんなに格好よかったの?( ゚д゚ )スゲェ 1曲目の “ラウンドアバウト(Roundabout)” からしてもう、言葉が出ないくらいに格好いいッ!この曲が「ジョジョの奇妙な冒険」第1期のEDテーマ曲になった時には結構話題になっていたが、流石の選曲である。 個人的にはラストナンバーの “燃える朝焼け(Heart of the Sunrise)” が圧倒的に一押しではあるけれども、最初から最後まで全く無駄のない、評判どおりの名盤だった。 薦めていただいたアルバムはリマスター盤だったらしく、ボーナストラックとして “アメリカ(America)” と “ラウンドアバウト” のEarly Rough Mixが追加されており、言うまでもなくこれまたどちらも最高にイカして(死語)いた。 68年に結成されたイエス。80年代初頭と00年代中盤に数年間活動を停止していたものの、今なお現役というモンスター・バンドである。 「こわれもの」レコーディング時のメンバーはというと、リード・ヴォーカルのジョン・アンダーソン(Jon Anderson)。ギター&バッキング・ヴォーカルのスティーヴ・ハウ(Steve Howe)。ベース&バッキング・ヴォーカルのクリス・スクワイア(Chris Squire)。このアルバムからメンバーに加わった、ハモンドオルガンやらピアノやら鍵盤担当のリック・ウェイクマン(Rick Wakeman)。そしてドラムスのビル・ブルーフォード(Bill Bruford)の5人。 度々メンバーチェンジを行っているイエスの中で、結成当初から唯一在籍し続けたクリスは15年に急性骨髄性白血病で逝去。 ジョンは80年に脱退するも83年に復帰。だが82年から加入したギタリストのトレヴァー・ラビン(Trevor Rabin)のやり方に幻滅したジョンが88年に再脱退し、イエス黄金時代(「こわれもの」「危機」リリース時)のメンバーを集めてアンダーソン・ブルーフォード・ウェイクマン・ハウ(ABWH。Anderson Bruford Wakeman Howe)を結成。しかしアルバムを1枚だけリリースしたところで、トレヴァーやクリスのイエスと90年に合体し、ジョンはまたしてもイエスに戻ったが08年にこれまた脱退。でもって10年にはアンダーソン、ラビン&ウェイクマン(ARW。Yes Featuring Jon Anderson, Trevor Rabin, Rick Wakeman)を結成するも、18年頃解散したらしい。 ビルは72年に脱退し、その直後にキング・クリムゾン(King Crimson)に加入。88年にABWHに加わるも90年に再離脱。 リックの最初の脱退は74年。76年に再加入して80年にはジョンと共に再脱退。ABWHで戻ってくるもまた脱退、ARWにも加わったが…。 スティーヴ・ハウは81年にイエスが活動停止した際、スーパーグループのエイジア(Asia)を結成して大成功を収めたが、88年にABWHに参加し、96年にはイエス再加入。スティーヴだけが今もイエスのメンバーとして頑張っている。 ――ってもう、自分で書いててもごちゃごちゃし過ぎて何が何だかよく分からないや 私が洋楽を聴いて育った80年代は、様々なジャンルにおいてほぼ完成された音楽が満ち溢れており、非常に恵まれた、素晴らしい時代だとずっと思っていた。 だが、このアルバムを聴いてみて、70年代に青春を過ごしていたらもっと面白かったのではないかと思った。レコードに針を落とす時の期待感、演奏が始まってからの興奮、聴き終えてからの充足感や幸福感は、おそらくこの時代にリアルタイムで聴いた人にしか分からないだろう。 発売から既に50年以上経っているにもかかわらず全く古さを感じさせない、非常に魅力的なアルバムである。 そんなイエスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ランドアバウト 南の空 燃える朝焼け
2023.01.15
コメント(0)
『シルバー・スクリーンの妖精』 バングルス「Different Light」 The Bangles (86) キュートでセクシー、お洒落でちょっぴり渋めのバングルス。 シルバー・スクリーンの中でキラメくバングルス・サウンドにもう首ったけ。 プリンス作 - 強力ヒット・ナンバー「マニック・マンデー」収録。A面 1. マニック・マンデー - Manic Monday 2. シルバー・スクリーンの妖精 - In A Different Light 3. ウォーキング・ダウン・ユア・ストリート - Walking Down Your Street 4. エジプシャン - Walk Like an Egyptian 5. ホールウェイに立ちすくみ - Standing in the Hallway 6. リターン・ポスト - Return PostB面 1. ホワット・シー・ウォンツ - If She Knew What She Wants 2. レット・イット・ゴー - Let It Go 3. 9月の少女 - September Gurls 4. 恋に堕ちた天使 - Angels Don't Fall in Love 5. フォローイング - Following 6. ノット・ライク・ユー - Not Like You 70~80年代は幾つもの女性バンドが活躍したが、何れも可愛さばかりが売りでロクなバンドがいなかったように思う。唯一実力で勝負していたバンドといえば、日本の女性HR/HMバンド、SHOW-YAぐらいだろう(異論は認めます)。 国内では80年代を代表する女性バンドとしてプリンセス・プリンセス(Princess Princess)が挙げられることが多いが、女性バンドに人々が求めていたのは、1にルックス2に可愛らしさ、音楽性など児戯に等しいプリプリ程度(失礼!)のもので十分だったのである。 今回取り上げるバングルス(The Bangles)も、可愛いだけで当初はあまりパッとしなかった。 メンバーは小柄でキュートなヴォーカルのスザンナ・ホフス(Susanna Hoffs)、クールそうで格好いい、おそらく女性人気は1番だったと思われるマイケル・スティール(Michael Steele)、そしてドラムスのデビー・ピーターソン(Debbi Peterson)&デビーの実姉でギタリストのヴィッキー・ピーターソン(Vicki Peterson)の4人。 81年にスザンナ、ピーターソン姉妹&ベーシストのアネット・ジリンスカス(Annette Zilinskas)の4人で結成されたが、翌年にアネットが脱退。その後マイケルが加入した。マイケルは女性バンドの草分け的存在であるランナウェイズ(The Runaways)の初代ベーシストとしても知られる。 初めて彼女らを知ったのは、84年にリリースされたデビュー・アルバム「気分はモノクローム(All Over the Place)」からシングルカットされた “ゴーイン・ダウン・トゥ・リバプール(Going Down to Liverpool)” のPVで、Mr.スポックことレナード・ニモイ(Leonard Nimoy)が出演して話題になったものの、楽曲自体はどうしようもなく印象に残らなかった。 女性バンドが好きではない私がバングルスに魅了されたのは、86年に発売されたこの2ndアルバム「シルバー・スクリーンの妖精(Different Light)」だった。 プリンス(Prince)がクリストファー(Christopher)名義で楽曲を提供して全米2位に輝いた1stシングル “マニック・マンデー(Manic Monday)” の頃はまだ然程興味もなかったが、4週連続全米1位を記録した3rdシングル “エジプシャン(Walk Like an Egyptian)” のPVの、あの手をツンツンする謎のエジプシャン踊りと親しみやすくてノリノリの楽曲にすっかりハマってしまった。後年(2014年)、“エジプシャン” はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」のED曲にもなったらしい。 エジプシャンといえば、87年に公開されたアンドリュー・マッカーシー(Andrew McCarthy)&キム・キャトラル(Kim Cattrall)主演の心温まるロマンティック・コメディ映画「マネキン(Mannepuin)」のOPアニメのバックで流れている曲とちょっと混同しそうになるが、映画の方はこれまた女性バンド・ゴーゴーズ(The Go-Go's)の元メンバーだったベリンダ・カーライル(Belinda Carlisle)が歌う “In My Wildest Dreams”。どちらの曲も聴くたびに何故か心がウキウキしてしまう♪(謎のエジプシャン踊りPVといえば、ZZトップ(ZZ Top)の “ヴェルクロ・フライ(Velcro Fly)” もバングルスのと同じくらいの時期に流行ったっけ。こちらのPVの振付はポーラ・アブドゥル(Paula Abdul)が担当している。) その後も同87年公開アンドリュー主演映画「レス・ザン・ゼロ(Less Than Zero)」の主題歌 “冬の散歩道(A Hazy Shade of Winter)” を大ヒットさせ、88年にリリースした3rdアルバム「エヴリシング(Everything)」からシングルカットされた “胸いっぱいの愛(Eternal flame)” は世界各国で1位に輝いた。しかし89年にはまさかの活動停止…。 当初はただの可愛い子ちゃんバンドかと思っていたが、後にライヴ映像等を見てみると意外とハードで格好よく、十分に実力派だったのである。4人ともヴォーカルもコーラスもいけるしね。 最初の方で女性バンドにはロクなのがいない、唯一実力で勝負していたバンドといえばSHOW-YAぐらいだと書いたが、最後に訂正したい。SHOW-YAとバングルスこそ、東西女性バンドの頂点であーる (異論は認めます) どちらのバンドも解散→再結成の道を辿り、今なお現役なのが嬉しい。ただ、バングルスで個人的に一推しだったマイケルが再度脱退したのがつくづく残念である。現在はなんと!アネット・ジリンスカスが(35年ぶりに)バンドに復帰しているそうな。 そんなバングルスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ マニック・マンデー 9月の少女 エジプシャン
2023.01.13
コメント(0)
『緊急指令N.R.』 ナイト・レンジャー 「Dawn Patrol」 Night Ranger (82) '83年の曙に姿を現わす5人の奇襲攻撃部隊。ツイン・リードで押しまくる天下無敵のロック・バンドA面 1. 炎の彼方 - Don't Tell Me You Love Me 2. シング・ミー・アウェイ - Sing Me Away 3. 彼女の夜 - At Night She Sleeps 4. コール・マイ・ネーム - Call My Name 5. エディズ・カミン・アウト・トゥナイト - Eddie's Comin' Out TonightB面 1. キャント・ファインド・ミー・ア・スリル - Can't Find Me A Thrill 2. ヤング・ガール・イン・ラヴ - Young Girl in Love 3. プレイ・ラフ - Play Rough 4. 悲しみのペニー - Penny 5. ナイト・レンジャー - Night Ranger ジャニーズ事務所が何やら揺れている。副社長が退社したり、人気グループのメンバーが複数人脱退するとか何とか。おばはんは小学生の頃にたのきんトリオのマッチが好きだったくらいで、ジャニーズ系には今も昔も興味がないのだが、今から40年ほど前にシブがき隊というジャニーズ・アイドルグループの曲にイントロをパクられてしまったのがナイト・レンジャー(Night Ranger)であった。 その、米国のハードロック・バンド、ナイト・レンジャーが82年にリリースしたデビュー・アルバムが「緊急指令N.R.(Dawn Patrol)」である。 悲しいことに今では「ドーン・パトロール」と原題そのままのカタカナタイトルになっており、さらに曲名までも全て邦題が消えてしまっていたりする。 邦題とはなんと儚いものなんだろう。邦題三十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり。 アルバムの初っ端を飾る “炎の彼方(Don't Tell Me You Love Me)” は、シブがき隊が83年に発売した “ZOKKON命” という曲にイントロのリフをそのまま使われたことでお馴染みだったが、シブがき隊の曲って何があったかなぁ。“NAI・NAI 16” とか “100%…SOかもね!” とか “スシ食いねェ!” とか…。あれッ!? 意外と覚えてる シブがき隊のことは置いといて、デビュー当時のナイト・レンジャーのメンバーはというと、ギターの二人、ブラッド・ギルス(Brad Gillis)&ジェフ・ワトソン(Jeff Watson)に、キーボードのアラン・フィッツジェラルド(Alan Fitzgerald)、そしてベース兼ヴォーカルのジャック・ブレイズ(Jack Blades)とドラムス兼ヴォーカルのケリー・ケイギー(Kelly Keagy)。ツインギター&ツインヴォーカルというWツイン体制は、ちょっと珍しかったかもしれない。 個人的には翌83年にリリースされた2ndアルバム「ミッドナイト・マッドネス(Midnight Madness)」の方が思い入れもあって断然好みなのだが、勿論このデビューアルバムも悪くない。特に1曲目の “炎の彼方” はイントロからしてインパクト大!流石、パクられただけはある。 力強く、それでいて爽やか且つキャッチー。こりゃいいバンドだなぁ…と思っていたら、2ndアルバムからシングルカットされたバラード、“シスター・クリスチャン(Sister Christian)” がビルボードチャート5位に輝く大ヒット! 続く85年リリースの3rdアルバムからシングルリリースされたバラード、“センチメンタル・ストリート(Sentimental Street)” がまたしてもビルボードチャート8位に入ってしまったため、その後はメロディアスな曲に走ってしまい、すっかりバラードバンドと成り果てて人気が下降してしまった。うーん、実に惜しい。 89年に一旦解散したものの、その数年後には復活。若干顔ぶれが変わってはいるものの(ブラッド、ジャック&ケリーは健在)、今なお活動は続けており、昨年8月には12thアルバム「ATBPO」をリリースしている。 そんなナイト・レンジャーに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 炎の彼方 彼女の夜 ナイト・レンジャー
2022.11.28
コメント(0)
『飛べ!エアロスミス』 エアロスミス 「Get Your Wings」 Aerosmith (74) 叫べ!怒れ!若者よ―――― ぶちかませ!ハードにヘビィにロックンロール!! ニューヨークからハード・ロックの超大物、噂のエアロスミス遂に日本デビューA面 1. エアロスミス離陸のテーマ - Same Old Song and Dance 2. 支配者の女 - Lord of the Thighs 3. 四次元飛行船 - Spaced 4. 黒いコートを着た女 - Women of the WorldB面 1. エアロスミスS.O.S. - S.O.S. (Too Bad) 2. ブギウギ列車夜行便 - Train Kept A Rollin' 3. 折れた翼 - Seasons of Wither 4. パンドラの箱 - Pandora's Box 07年10月21日、「死ね死ね団のうた」と共にこの駄BLOGをリスタートして早15年。斯様な辺境BLOGに足を踏み入れてくださった方々に厚く御礼申し上げます m(_ _)m 今回は15周年記念ながら、何の思い入れもないエアロスミス(Aerosmith)が74年にリリースした2ndアルバム「飛べ!エアロスミス(Get Your Wings)」を取り上げたい。 エアロスミスのアルバム邦題といえば、73年リリースのデビューアルバム「野獣生誕(Aerosmith)」や、82年発売の8thアルバム「美獣乱舞(Rock in Hadr Place)」などの方がインパクトは強いのだが、全曲ちゃんと邦題付という点で、この2ndを高く評価する次第である。2ndながら帯に「噂のエアロスミス遂に日本デビュー」と書かれているのは、当時『野獣生誕』が日本では発売されておらず、このアルバムが日本でのデビュー作だったため。 ただ、“飛べ!”ときたらどうしても真っ先にドリフターズの「飛べ!孫悟空」が頭に浮かんじゃうよね。♪ニンニキニキニキ ニンニキニキニキ ににんが三蔵~ ドリフといえば、ついに仲本工事さんまでもが今月19日に事故で他界されてしまって大ショック!ドリフはコントは勿論のこと歌も好きで、特に仲本さんのソフトな歌声がお気に入りだったため、Twitterもフォローして仲本さんの呟く優しいお言葉にいつも癒されていたのだが… グスン (結局、仲本さんを追悼したくてこのアルバムを取り上げたのがバレバレですがな) 話をエアロスミスに戻すと、浮き沈みありながらも50年以上活動を続けているエアロスミスはホンマ、偉いと思う。今現在のメンバーはこの2ndアルバム時と全く同じで、スティーヴン・タイラー(Steven Tyler)がヴォーカル、ギターはジョー・ペリー(Joe Perry)とブラッド・ウィットフォード(Brad Whitford)、ベースはトム・ハミルトン(Tom Hamilton)、そしてドラムスはジョーイ・クレイマー(Joey Kramer)である。 ジョーとブラッドは一時脱退しており、81年にブラッドが脱退したときはテッド・ニュージェント(Ted Nugent)のデレク・セント・ホルムズ(Derek St. Holmes)と組み、セルフタイトル・アルバム「Whitford/St. Holmes」をリリースしている。 デレク・セント・ホルムズといえば後年、2000年10月3日に53歳で逝去した元カーズ(The Cars)の超絶二枚目(イケメンという言葉に淘汰されてすっかり死語になってしまった)ベーシストであるベンジャミン・オール(Benjamin Orr)達とビッグ・ピープル(Big People)なるバンドを組んでいた方だよね。 でもってエアロスミスといえば、Run-D.M.C.がカヴァーした “お説教(Walk This Way)” や、98年に公開されたブルース・ウィリス(Bruce Willis)主演、スティーヴンの実娘であるリヴ・タイラー(Liv Tyler)も出演していた映画「アルマゲドン(Armageddon)」の主題歌 “ミス・ア・シング(I Don't Want to Miss a Thing)” 等がよく知られている。というか、失礼ながらその2曲ぐらいしか知らなかったりする。すんません、今も昔もエアロスミスには全く興味がないもんで…。 さて、このアルバムにちょっとだけ触れると、一押しは何といっても “ブギウギ列車夜行便(Train Kept A Rollin')” だ!邦題からして実に素晴らしい!ヤードバーズ(The Yardbirds)のカヴァーだそうだが、曲の中盤からのノリノリライヴver.がかなり格好いい。 そんなエアロスミスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ エアロスミス離陸のテーマ エアロスミスS.O.S. ブギウギ列車夜行便
2022.10.27
コメント(4)
『虹色の扉』 オリビア・ニュートン・ジョン 「Physical」 Olivia Newton-John (81) 映画「グリース」「ザナドゥ」で多彩な才能を発揮したオリビア。 クリスタルな美しさに、大人の魅力も身につけた、きらめくオリビアの、待望の3年ぶりのニュー・アルバム!!A面 1. ランドスライド - Landslide 2. ストレンジャーズ・タッチ - Stranger's Touch 3. ムーヴ・オン・ミー - Make A Move on Me 4. 貴方にフォーリング - Falling 5. 愛あればこそ - Love Make Me StrongB面 1. フィジカル - Physical 2. シルヴァリー・レイン - Silvery Rain 3. キャリード・アウェイ - Carried Away 4. 絆はふたたび - Recovery 5. 愛のプロミス - The Promise (The Dolphin Song) 前回の「BBOY」で熱く語ったように、近頃はDRAGONさんの動画ばかり視聴している。ブレイクダンスの国内大会優勝は数知れず、世界大会での優勝経験もある、日本を代表するBBOY(ブレイクダンスを踊る男性)の一人であるDRAGONさんは、オタクダンスパフォーマンスチーム・RAB(リアルアキバボーイズ)の一員であり、またFOUND NATIONというブレイクダンスチームの創設メンバーでもある。RABの動画の中ではよく上半身裸になっているが、それは見事な肉体美で、御本人が筋トレ好きらしく、常人には決して真似できないトレーニング動画(DRAGON'S BOOT CAMP)もいくつか上がっている。本当に楽しく視聴させてもらっているが、この域に至るまでには一体どれ程の努力や練習を積んだのだろう…と思わずにはいられない。 DRAGON'S BOOT CAMPといえば、80年代にもエクササイズのPVが大ヒットしたっけ。 今年8月に逝去した、英国生まれで豪州出身の歌姫・オリビア・ニュートン・ジョン(Olivia Newton-John)の大ヒット曲 “フィジカル(Physical)” である。 真っ白ヘアバンド&ぴっちりレオタードに身を包んだオリビアが、トレーニングジムで鍛えている二枚目マッチョ男達(何故か皆さんビキニパンツ)に絡んだり、デブ男達(こちらは揃ってデカパンツ)とエアロビクスをしたりしながらも、結局ビキニパンツ男達は二人ずつ仲良くお手々つないで去って行き(あれッ、皆さんゲイだったの!?)、オリビアは最後にデブさんとテニスに向かう…という、何だかよく分からない結末ながらも83年の第25回グラミー賞で見事『Video of the Year』に輝いた、80年代を代表するPVである。 当時オリビア32歳。後にユニセフ親善大使を勤めたり環境保護活動に力を入れたりして、英国OBE勲章まで受賞した彼女にとってあのPVは誇りだったのか、はたまた黒歴史として闇に葬りたかった物なのかは今更知る由もないが、まぁ今となっては何とも時代を感じさせる赤面PVだ…(/ω\) オリビアといえば、「西のオリビア、東のルミ子」と言われたように、10歳以上年下の男性と結婚して一時話題になったっけ。 お相手は賢也くん同様に、俳優兼ダンサーのマット・ラッタンジー(Matt Lattanzi)。これまたルミちゃん&賢也くんと同じく、別れちゃったけど。ちなみにルミちゃん達の結婚生活は約12年、オリビア達は約11年続いた。※小柳ルミ子さんは89年に13歳下のダンサー・大澄賢也くんと結婚。 そんな下世話な話は置いといてアルバムに話を戻すが、TOTOのギタリストであるスティーヴ・ルカサー(Steve Lukather)も参加して81年にリリースされた「虹色の扉(Physical)」は米国で6位を記録した他、英国やカナダ等では3位に輝くなど、世界中で大ヒット! シングルカットされたタイトル曲の “フィジカル” はPVが話題になったこともあり、全米ではビルボードチャート10週連続1位という快挙を成し遂げた。 続く2ndシングル “ムーヴ・オン・ミー(Make A Move On Me)” は全米5位とまずまずだったが、個人的にはこの曲が一押し♪ そして最後にシングルカットされた “ランドスライド(Landslide)” はあまりヒットしなかったものの、PVには当時まだ恋人だったマット・ラッタンジーが出演。オリビアに翻弄されっぱなしの青年役だったが、ひょっとしたら実生活が反映してたりして…!? 嗚呼、それにしてもオリビアまで鬼籍に入ってしまうとは。青春時代のスターの死というのは、否が応にも自分の年齢を感じさせる気がする。訃報に接する都度、自分もそろそろ気構えしとかなきゃ…と思ってしまう。儚いものだね、人生は。今のうちにこの世の楽しみをしっかり享受しておかなくっちゃ。 そんなオリビアに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ RIP Olivia … フィジカル ムーヴ・オン・ミー ランドスライド
2022.09.30
コメント(0)
『慈愛の輝き』 ジョージ・ハリスン 「George Harrison」 George Harrison (79) 二年以上の空白を吹き飛ばす夢の共演!! 親友エリック・クラプトン、スティーヴィー・ウィンウッド等を迎え、ジョージ・ハリソンが作り上げた待望のニュー・アルバム!!A面 1. 愛はすべての人に - Love Comes To Everyone 2. ノット・ギルティ - Not Guilty 3. ヒア・カムズ・ザ・ムーン - Here Comes The Moon 4. ソフト・ハーテッド・ハナ - Soft Hearted Hana 5. ブロー・アウェイ - Blow AwayB面 1. ファースター - Faster 2. ダーク・スウィート・レディ - Dark Sweet Lady 3. 永遠の愛 - Your Love Is Forever 4. ソフト・タッチ - Soft Touch 5. イフ・ユー・ビリーヴ - If You Believe 今月1日付で職場異動があり、慣れない環境で悪戦苦闘中の今日この頃。もうクタクタ……。 そんな時に聴きたくなるのが、ジョージ・ハリスン(George Harrison)が79年にリリースした7thアルバム「慈愛の輝き(George Harrison)」である。 セールス的にはまずまずであったが、ファンの間ではこのアルバムをジョージの最高傑作として挙げる人も多い。レコーディング中に愛息・ダーニ(Dhani)誕生。更に訴訟問題やら妻・パティ・ボイド(Pattie Boyd)との破局やらでどん底だったジョージを支え続けてくれた恋人・オリヴィア(Olivia Trinidad Arias)とも再婚し、最も人生が充実していた頃の作品だけにアルバム中に愛が溢れている まさに「慈愛の輝き」という邦題がピッタリの名盤だ。とはいえ原題はただのセルフタイトルなのだけど。 初めて好きになった外国人アーティストがジョージだった。 中学に上がる頃、姉の影響でビートルズ(The Beatles)を聴くようになった私は、ジョージの端正な顔立ちと繊細な歌声、母性本能をくすぐる末弟的な茶目っ気に魅了され、すぐさま夢中になった。その頃初めて自分の小遣いでアルバムを買った。ビートルズ主演映画第2弾「ヘルプ!4人はアイドル(Help!)」の米国盤サウンドトラックだった…と思う (ひょっとすると「マジカル・ミステリー・ツアー(Magical Mystery Tour)」のこれまた米国盤サントラの方が先だったかもしれない)。 きっかけはルックスだったが、ジョージの一癖も二癖もある音楽も好きだった。特に「ラバー・ソウル(Rubber Soul)」以降の彼の曲は、ビートルズの曲というよりもまさに “ジョージ・サウンド” だった。ビートルズ解散後の70年11月にリリースされたジョージのソロアルバム(それもいきなり3枚組!)「オール・シングス・マスト・パス(All Things Must Puss)」が各方面から絶賛され、全英で8週・全米でも7週連続1位に輝いたのも当然かと思われる。 話をこのアルバムに戻すと、1曲目の “愛はすべての人に(Love Comes To Everyone)” からすでにジョージらしい温もりと優しさがひしひしと伝わってくる。幸せ絶頂期だった彼からの、幸せおすそ分けソングだ。イントロのリードギターは親友のエリック・クラプトン(Eric Clapton)が弾いており、モーグ・シンセサイザー&バッキング・ヴォーカルでスティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)も参加している。 続く “ノット・ギルティ(Not Guilty)” はビートルズ時代の未発表曲で、その次の “ヒア・カムズ・ザ・ムーン(Here Comes The Moon)” もビートルズ時代の名曲 “ヒア・カムズ・ザ・サン(Here Comes The Sun)” の続編といえる曲だ。 “ブロー・アウェイ(Blow Away)” はこのアルバムを作るにあたり最初に書いた曲だそうで、ジョージ曰く 「ある日、庭にいたときにすごい土砂降りになって、それでがっかりしている自分に突然気付いた。天候の変化に影響されている自分にね。忘れちゃいけないのは、自分の周囲のあらゆるものが変化しても、内なる魂は変わらないということだ」。 “ファースター(Faster)” はジョージが大好きだったF1の歌だが、当時大事故から見事復活したF1ドライバー・ニキ・ラウダ(Niki Lauda)と出会い、話をする機会を得たジョージは、ニキが家でリラックスして好きな音楽を聴いている時が一番いいと聞き、“ニキが休日に楽しんでくれるような曲なら作れるかも” と思ったという。そして2年ちょいぶりに制作されたのがこのアルバムであった。 もしも天国があるのならば、きっとこのアルバムの音楽がどこからか風に乗って優雅に流れているのではなかろうか…なんてことを聴く度に思ってしまうほどに心地よい癒しアルバムだ。明日からも元気出して頑張ろうっと そんなジョージに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 愛はすべての人に ブロー・アウェイ ファースター
2022.06.09
コメント(0)
『詠時感 〜 時へのロマン』 エイジア 「Asia」 Asia (82) 嗚呼!! 時を超えて、シーンに登場! したたかな感性から放たれる音のエネルギー、あくまでも鋭く 4つの個性がドラゴンに乗った、本物の一撃!! キング・クリムゾン、イエス、EL&Pとブリティッシュの最強バンドを渡り歩いた強者4人が結成した驚異のロック・グループ、それが “詠時感(エイジア)” だ!!A面 1. ヒート・オブ・ザ・モーメント - Heat of the Moment 2. 時へのロマン - Only Time Will Tell 3. 孤独のサヴァイヴァー - Sole Survivor 4. ワン・ステップ・クローサー - One Step Closer 5. タイム・アゲイン - Time AgainB面 1. この夢の果てまで - Wildest Dreams 2. ウィズアウト・ユー - Without You 3. 流れのままに - Cutting It Fine 4. ときめきの面影 - Here Comes the Feeling 元キング・クリムゾン(King Crimson)のジョン・ウェットン(John Wetton)がリード・ヴォーカル&ベースを、そして元EL&P(Emerson, Lake & Palmer)のカール・パーマー(Carl Palmer)がドラムス&パーカッションを、でもって元イエス(Yes)のスティーヴ・ハウ(Steve Hawe)がギター&ヴォーカルを、同じく元イエスのジェフ・ダウンズ(Geoff Downes)がキーボード&ヴォーカルという、プログレ界の大御所が集まった――所謂 “プログレ名球会” メンバーが満を持して82年にリリースした1stアルバムがこの「詠時感 ~ 時へのロマン(Asia)」だ。 …なんて説明は不要かな。ちなみに邦題タイトルの「詠時感」は、無理矢理 “えいじあ” と読む。どなたが考えたのか知らないけど、もうちょっと読みやすい当て字があったでしょうに。 3歳上の姉の影響を受けて私が洋楽を聴き始めたのは、ちょうどサバイバー(Survivor)の “アイ・オブ・ザ・タイガー(Eye of the Tiger)” が流行っていた82年半ば頃のことで、エイジア(Asia)を知ったのも、翌83年にリリースされた2ndアルバム「アルファ(Alpha)」からシングルカットされた “ドント・クライ(Don't Cry)” のPVをMTVで観たのが最初だった。 当時はプログレなど全く知らなかったので、エイジアが如何に偉大なバンドであるかなんて知る由も無かったが、楽曲とヴォーカルの爽やかさだけは強く印象に残っていた。 それから暫く後に「詠時感」を初めて聴いた時は、1曲目の “ヒート・オブ・ザ・モーメント(Heat of the Moment)” の出だしからゾクゾクしっぱなし!最初から最後まで聴き惚れてしまった。2曲目の “時へのロマン(Only Time Will Tell)” のOPはしょっちゅうMTVで使われていたので馴染みはあったが、ずっとエイジアだと知らずに耳にしていたため、彼らの曲であることが分かったときには妙に納得したものだった。 82年のビルボード・年間アルバムチャート1位に輝いただけあって、流石に捨て曲なしの名盤だ。発売から40年経った今聴いても、相変わらずゾクゾクしてしまう。 バンドは85年頃に一度解散状態になったものの、89年に再始動して現在に至る。何やら途中でゴタゴタしたらしく、オリジナルメンバーの内でジェフ・ダウンズだけが結成からずっと残っており、カール・パーマーは92年に離れるも06年の再結成時に復帰。スティーヴ・ハウは出たり入ったりしていたが13年に脱退している。ジョン・ウェットンは17年1月に大腸癌により逝去。 ちなみに現在のエイジアのメンバーはというと、ジェフとカール、vo兼bにはイエスのビリー・シャーウッド(Billy Sherwood)、そして今年からvo兼gとしてEL&Pつながりのマーク・ボニーラ(Marc Bonilla)が加入している。 エイジアのアルバムタイトルは途中まで『A…A』(Aで始まりAで終わる)に統一されていたが、何故か途中からはAAしばりがなくなった。まぁ邦題には関係ないけど。 82年 「Asia」 詠時感〜時へのロマン 83年 「Alpha」 アルファ 85年 「Astra」 アストラ 86年 「Aurora」 オーロラ ※4曲入りEP、日本盤のみ 92年 「Aqua」 アクア 94年 「Aria」 天空のアリア 96年 「Arena」 アリーナ 96年 「Archiva 1」 ※未発表音源集 96年 「Archiva 2」 ※未発表音源集 01年 「Aura」 オーラ 02年 「Armada 1」 ※ファン・クラブ向け限定盤 AAしばりタイトル終了 04年 「Silent Nation」 サイレント・ネイション : そんなエイジアに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ヒート・オブ・ザ・モーメント 時へのロマン ときめきの面影
2022.05.25
コメント(0)
『ネリーさんだ象!』 トイ・ドールズ 「Nellie the Elephant」 The Toy Dolls (84)「ロック・スピリッツとユーモア・センスの共存が大好き!」という音楽評論家の大鷹俊一さん。 今月、彼が推薦するのは、オモチャ箱をブチマケタようなライブが楽しいトイ・ドールズの日本デビュー盤、イギリスで大ヒット「ネリーさんだ象!」A面 1. ネリーさんだ象! - Nellie the ElephantB面 1. フレデリック通りの殴り合い - Fisticuffs in Frederick Street 2. ネリーさんだ象!(1982 Version) - Nellie the Elephant (1982 Version) 今回はこどもの日に相応しい、英国のパンク・バンド、トイドールズ(The Toy Dolls)の12インチ・シングルを取り上げてみたい。 “ネリーさんだ象!(Nellie the Elephant)” というタイトルは知らなくても、曲はおそらく誰もが一度は耳にしたことがあるはず。…え?知らない!? 元々は英国の古典童謡だった曲を、トイドールズがパンク調にアレンジして82年のクリスマスにリリースしたところ、インディーズでそこそこヒット。 翌83年にはこの曲も収録されているデビュー・アルバム「Dig That Groove Baby」を発表し、そこそこ注目を浴びた。ちなみにこのアルバムのタイトルソングである “Dig That Groove Baby”、日本では「モヤモヤさまぁ~ず2」のOP曲としてお馴染みらしい(Wikiさん調べ)。 そして84年、再録してリリースした “ネリーさんだ象!” が、英国シングルチャートで4位に輝くまさかの大ヒットとなったのであーる。ま、こちらもTV番組のテーマ曲として使用されたことが、ヒットにつながったようだけど。 79年の結成から今現在までメンバーはちょいちょい入れ替わっているが、ヴォーカル兼ギターの “オルガ(Olga)” ことマイケル・オールガー(Michael Algar)だけは唯一のオリジナルメンバーだ。いつまでも達者でこのお馬鹿パンク・バンドを続けてほしいと切に願う。 そんなトイドールズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ネリーさんだ象! フレデリック通りの殴り合いおまけ Dig That Groove Baby モヤさまOP
2022.05.05
コメント(0)
『無敵艦隊スター・フリート!』 ブライアン・メイ&フレンズ 「Star Fleet Project」 Brian May + Friends (83) 宇宙戦士に告ぐ……ポイントF-01に集結せよ! 歴戦の勇士ブライアン・メイを中心に5人の強者がシークレット・ポイントに集結した!その名も……A面 1. 無敵艦隊スター・フリート - Star Fleet 2. 時空を超えて… - Let Me OutB面 1. ブルースの戦士 - Blues Breaker クイーン(Queen)のギタリストであるブライアン・メイ(Brian May CBE)念願の初ソロ・プロジェクトとして83年にリリースされたのが、このミニ・アルバム「無敵艦隊スター・フリート!(Star Fleet Project)」である。 アルバム・ジャケットを見てピン!ときた方もいらっしゃるだろうが、「Star Fleet(スター・フリート)」というのは80~81年に日本で放送されていた永井豪さん原作の特撮人形劇「Xボンバー」の英国放送時のタイトルで、どうやらブライアンの御子息・ジミーくんが大ファンだったらしい。(ちなみに、ジャケットのロボットはビッグダイXというそうな) そんなジミーくんの影響を受け、「スター・フリート」のテーマ曲のハードロック・バージョンを作ってみたら面白いんじゃね?とのアイデアが浮かんだブライアンが、早速仲間達を集めて制作したのがこのアルバムだ。 その仲間達の顔ぶれはというと…。 まずはギターとヴォーカルにブライアン、そしてギターとバック・ヴォーカルにヴァン・ヘイレン(Van Halen)のエディ・ヴァン・ヘイレン(Eddie Van Halen)。ベースにはセッション・ミュージシャンで、一時期ロッド・スチュワート・バンド(Rod Stewart Band)で活躍していたフィル・チェン(Phil Chen)、キーボードには同じくセッション・ミュージシャンのフレッド・マンデル(Fred Mandel)。フレッドは翌84年にクイーンがリリースしたアルバム「ザ・ワークス(The Works)」にも参加している。でもってドラムスはREOスピードワゴン(REO Speedwagon)のアラン・グラッツァ(Alan Gratzer)。 更に1曲目の “無敵艦隊スター・フリート(Star Fleet)” では、クイーンのロジャー・テイラー(Roger Taylor)がバック・ヴォーカルとして加わっている。おおッ、何と豪華なお友達連中。 しかしエディは20年6月に咽頭癌で、またフィル・チェンも昨年12月に癌で亡くなっている。 個人的には1曲目が好みだが(ロジャーも参加してるし)、聴きどころは何といってもB面の “ブルースの戦士(Blues Breaker)” だろう。 エリック・クラプトン(Eric Clapton CBE)に捧げられているこの曲は、ブライアンとエディのブルース・ギター・バトル(?)なのであーる。尤もエリック本人には全く相手にされなかったそうだけど… 全く関係ないが、このアルバム・ジャケットを見ると、ジグ・ジグ・スパトニック(Sigue Sigue Sputnik)が86年にリリースしたデビューアルバム「ラヴ・ミサイル(Flaunt It)」を思い出してしまう。 「見せびらかしましょう」と日本語で書かれている謎ジャケ さて、そんなブライアン&仲間達に興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 無敵艦隊スター・フリート ブルースの戦士
2022.05.02
コメント(2)
『ワイズ・ガイに与う』 ワー! 「A Word to the Wise Guy」 The Mighty Wah! (84) ブリティッシュ・ポップ・シーンの風雲児、ピート・ワイリー率いるワー!待望の日本デビュー!A面 1. 教書(一) - Yuh Learn I 2. ウィークエンド - Weekends 3. エバーウォナ - Everwanna 4. 17歳の青春 - The Lost Generation 5. 教書(二) - Yuh Learn II 6. アイ・ノウ・ゼア・ウォズ・サムシング - I Know There Was Something...B面 1. 教書(三) - Yuh Learn III 2. ボディ&ソウル - In The Bleak / Body 'N' Soul / Midwinter 3. パパ・クラック - Papa Crack (God's Lonely Man) 4. ホワッツ・ハプニング・ヒア - What's Happening Here 5. 教書(四) - Yuh Learn IV 6. 君にカム・バック - Come Back (The Story Of The Reds) ワー!ヒート(Wah! Heat)からワー!(Wah!)に、そしてマイティ・ワー!(The Mighty Wah!)へとバンド名を進化(?)させてきた彼等が、84年にマイティ・ワー!名義で初めてリリースしたアルバムが「ワイズ・ガイに与う(A Word to the Wise Guy)」なのであるが、残念なことに日本ではワー!のまま発売されてしまった…まぁ全く支障はなかったけれども。 (元々この記事は「Pastime Paradise Annex ―昭和の懐かし邦題アルバム館―」という当駄BLOGの別館に13年4月に綴っていたものを別館解体中につき移動させたのだが、9年間ずっとアルバム原題を「A World to the Wise Guy」と誤記していたことに今更気付いた アナガアッタラハイリタイ この当時のメンバーはというと、ヴォーカルとギターのピート・ワイリー(Pete Wylie)を中心に、ベースのワシントン(Washington)、ドラムのクリス・ジョイス(Chris Joyce)、キーボードにジェイ・ノートン(Jay Naughton)&チャーリー・グリフィス(Charlie Griffiths)、コーラスのジョシー・ジョーンズ(Josie Jones)…とかなのかな?まぁほとんど知らないけど。←知らずに書くなよ! マイティ・ワー!というバンドについてはよく知らないが、英国・リバプール生まれのこのピート・ワイリーという男、後にエコー&ザ・バニーメン(Echo & The Bunnymen)を結成するイアン・マッカロク(Ian McCulloch)や、同じくティアドロップ・エクスプローズ(The Teardrop Explodes)のジュリアン・コープ(Julian Cope)らと77年にクルーシャル・スリー(The Crucial Three)を結成。 その後、この男とジュリアンはこれまた後にデッド・オア・アライヴ(Dead or Alive)を結成するピート・バーンズ(Pete Burns)&フィル・ハースト(Phil Hurst)と共にミステリー・ガールズ(The Mystery Girls)を結成。 でもってその後はスピットファイア・ボーイズ(The Spitfire Boys)なるバンドに加わるも、数回のリハーサルに参加しただけで終わる。このバンドには後にスージー&ザ・バンシーズ(Siouxsie and the Banshees)のメンバーとなるバッジー(Budgie)ことピーター・クラーク(Peter Clarke)や、同じくフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(Frankie Goes to Hollywood)のポール・ラザフォード(Paul Ratherford)らがいたという。 更にその後、バッジーらと共にノヴァ・モブ(The Nova Mob)を結成、でもって次はバッジーやポール・ラザフォードらとオピューム・イーターズ(The Opium Eaters)を結成、そんでもってお次はクラッシュ・コース(Crash Course)というバンドを結成。そして遂に79年にワー!ヒートへと到るのであった。 ピート・ワイリーのバンド遍歴を書き連ねるだけで、70年代末のリバプールにおけるポスト・パンクが語れそうである。 さて、ピート率いるマイティ・ワー!のこのアルバムからは “君にカム・バック(Come Back (The Story Of The Reds))” が英国でギリギリTop20に入り、アルバム自体もそこそこヒットした。 01年にはこのアルバムのCDが再発売され、当初より8曲増えて全20曲となっている。うさぎ野郎たち(エコバニ)やヘアカット100(Haircut 100)などがお好きな方には結構合うかも!? そんなマイティ・ワー!に興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 17歳の青春 ウィークエンド 君にカム・バック
2022.04.30
コメント(0)
『妖女ブロンディ』 ブロンディ 「Blondie」 Blondie (76) ブロンディ――いまニューヨーク・ロック・シーンで最もセクシーな瞳。彼女をながめるだけで、まずこのグループは充分なのに!A面 1. Xオフェンダー - X Offender 2. リトル・ガール・ライズ - Little Girl Lies 3. 愛してほしい - In the Flesh 4. ブルーな気持ちで - Look Good in Blue 5. イン・ザ・サン - In the Sun 6. 暗闇のスリル - A Shark in Jets ClothingB面 1. マン・オーバーボード - Man Overboard 2. 汚れた天使 - Rip Her to Shreds 3. 射撃場の出来事 - Rifle Range 4. 戦え、カン・フー・ガールズ - Kung Fu Girls 5. 恐怖のアリ軍団 - The Attack of the Giant Ants デビューアルバムがセルフタイトルだった場合の邦題の、ちょっとだけ工夫した感というのが結構好きだったりする。 例1.単にバンド名を和訳、或いはそれに何か付け足しただけの邦題 「Black Sabbath」 → 黒い安息日 「Queen」 → 戦慄の王女 例2.バンド名にちょっとした語句を付け足しただけの邦題 「The B-52's」 → 警告!THE B-52'S来襲 「Blondie」 → 妖女ブロンディ 例3.収録曲のタイトルをそのままアルバムタイトルに拝借しただけの邦題 「The Crash」 → 白い暴動(White Riot) 「The Doors」 → ハートに火をつけて(Light My Fire) 例外.その他(意味不明、連想ゲーム的、投げやりなだけ)の邦題 「Aerosmith」 → 野獣生誕 「The Cars」 → 錯乱のドライヴ 「The J. Geils Band」 → デビュー! で、米国のパンク/ニューウェイヴバンド・ブロンディ(Blondie) が76年にリリースしたデビューアルバム「妖女ブロンディ(Blondie)」であるが、ヴォーカルのデボラ・ハリー(Deborah Harry。以下デビー)の当時の美しさたるや、まさに妖女と呼ぶに相応しい美貌であった。まぁ歯茎が気になった方もいるだろうけど… 紅一点であるデビーの美貌とは対照的に、残りの男性メンバー達が皆さん残念な感じというのも、一層彼女の魅力を引き立てていた。 そんなガッカリ男性陣(失礼!そこまでヒドくはない)はというと、ギターのクリス・ステイン(Chris Stein)を筆頭に、ベースのゲイリー・バレンタイン(Gary Valentine)にキーボードのジミー・デストリ(Jimmy Destri)、そしてドラムスのクレム・バーク(Clem Burke)の4人。この後ゲイリーは脱退しちゃったけど。 デビュー当初はパッとしなかったものの、78年にリリースした3rdアルバム「恋の平行線(Parallel Lines)」からシングルカットされた “ハート・オブ・グラス(Heart of Glass)” が全米1位を記録するなど世界中で大ヒット!アルバムも英国で1位、米国で6位に輝いた。 80年には『アメリカン・ジゴロ(American Gigolo)』の主題歌 “コール・ミー(Call Me)” がこれまた欧米で大ヒット。この曲は80年の年間ビルボードチャート1位を獲得した。 そんな折、バンド仲間で予てから恋人だったクリスが尋常性天疱瘡に掛かってしまう。デビーは音楽活動を休止し、彼を献身的に看病する道を選択。バンドは82年に解散した。 クリスは何とか病を克服したが、二人は破局。だが音楽的パートナーであることには変わらず、97年にバンドを再結成して以来、今なお共に活動している。そして06年にはロックの殿堂入りを果たしたのであった。 81年にリリースされたベスト盤「軌跡!ザ・ベスト・オブ・ブロンディ(The Best of Blondie)」のカセットテープを姉が持っていたため、中学生の頃はブロンディをよく聴いていた。当時は “コール・ミー” と並んで “ドリーミン(Dreaming)” が大のお気に入りだった。何度も繰り返し聴いたにもかかわらず、未だに “ドリーミン” の前奏を聴くだけで胸が踊ってしまう。 今回取り上げた彼等の1stアルバムは、ヒット曲を連発していた頃に比べると随分まだ粗っぽさが残っていて、これはこれで心躍るのである。 そんなブロンディに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ Xオフェンダー 愛してほしい 汚れた天使
2022.04.29
コメント(0)
『ラム酒、愛、そして鞭の響き』 ザ・ポーグス 「Rum Sodomy & The Lush」 The Pogues (85) '84年 熱心なポーグス・ファンになっていたエルヴィスは彼らを全英ツアーに招待しアルバム・プロデュースを買って出た。NME誌’84年人気投票で「ベスト・ニュー・バンド」に選ばれる。A面 1. 回想のロンドン - The Sick Bed of Cúchulainn 2. オールド・メイン・ドラッグ - The Old Main Drag 3. キルケニーのワイルド・キャッツ - Wild Cats of Kilkenny 4. ガンマン・スチュワート - I'm a Man You Don't Meet Every Day 5. ブラウン・アイの男 - A Pair of Brown Eyes 6. サリー・マクレナン - Sally MacLennaneB面 1. ダーティ・オールド・タウン - Dirty Old Town 2. 怪盗ジェシー・ジェイムス - Jesse James 3. ナヴィゲイター - Navigator 4. ビリーズ・ボーン - Billy's Bones 5. ザ・ジェントルマン・ソルジャー - The Gentleman Soldier 6. ザ・バンド・プレイド・ワルティング・マチルダ - And the Band Played Waltzing Matilda ザ・ポーグス(The Pogues)は英国・ロンドンで82年に結成されたケルティック・パンク・バンドで、元々はポーグ・マホーン(Pogue Mahone)というバンド名であった。ちなみにポーグ・マホーンとはゲール語で “俺の尻にキスしろ” という意味だそうな。だが流石にこのバンド名はスコットランドのゲール語話者からの苦情によりBBCで問題となったらしく、縮めて “ザ・ポーグス” となったのだとか。 改名後の84年にデビュー・アルバム「赤い薔薇を僕に(Red Roses for Me)」をリリースしたものの、全英89位と今一つ振るわず。 翌85年、プロデューサーにエルヴィス・コステロ(Elvis Costello)を迎えて制作された2ndアルバム「ラム酒、愛、そして鞭の響き(Rum Sodomy & the Lash)」をリリース。こちらは全英13位とまずまずの売上であった。邦題では “愛” となっている “sodomy” は同性愛(男色)という意味で、旧約聖書に登場する男色など風俗の乱れの罪により神に滅ぼされた都市・ソドムからきている。 “Rum Sodomy & the Lash” というタイトルはウィンストン・チャーチル(Sir Winston Churchill)の言葉「Don't talk to me about naval tradition. It's nothing but rum, sodomy, and the lash.」から取られており、英国海軍の伝統、水兵達の生活を表現した言葉としてよく知られている。 この頃のバンドメンバーはというと、ヴォーカルでアイルランド人のシェイン・マガウアン(Shane MacGowan)を筆頭に、ティン・ホイッスル(アイルランド音楽には欠かせない縦笛)のスパイダー・ステイシー(Spider Stacy)、アコーディオンのジェイムズ・ファーンリー(James Fearnley)、バンジョーのジェム・ファイナー(Jem Finer)、ベースのケイト・オーライアダン(Cait O'Riordan)、ドラムスのアンドリュー・ランケン(Andrew Ranken)、そしてギターのフィリップ・シェヴロン(Philip Chevron)の7人。 ケイトは86年にコステロと結婚したが02年に破局、フィリップは10年に食道癌で他界している。 91年にシェインが脱退した時には、一時的に元クラッシュ(The Crash)のジョー・ストラマー(Joe Strummer)が加わったりもしたが、彼も02年に50歳にして心臓発作(先天性の心臓疾患だったそう)にて逝去。 一方、5歳から飲酒・競馬・タバコを嗜み、10代で移住したロンドンでドラッグ地獄に転落、長年にわたる酒と薬の濫用で50歳にして全歯を失ったシェインはというと、18年にはアイヴァー・ノヴェロ賞(Ivor Novello Awards)受賞&アイルランド大統領から生涯功労賞を授与。更には30年来の友人でもあるジョニー・デップ(Johnny Depp)製作による、シェインの半生を描いたドキュメンタリー映画『シェイン 世界が愛する厄介者のうた(Crock of Gold: A Few Rounds with Shane MacGowan)』が6月3日から日本でも公開される。 さてアルバムに話を戻すと、ジャケットは仏国のロマン派画家、テオドール・ジェリコー(Théodore Géricault)の代表作である『メデューズ号の筏(Le Radeau de la Méduse)』で、よく見ると顔の所がメンバーの写真になっている。 でもって曲の方はというと、ケルト音楽とパンクの融合という当時としてはなかなか斬新な音楽で、個人的には結構楽しめた。というか割と好きだ。民族音楽って心安らぐ感じがいいよね。 “オールド・メイン・ドラッグ(The Old Main Drag)” はリヴァー・フェニックス(River Phoenix)&キアヌ・リーヴス(Keanu Reeves)が主演した『マイ・プライベート・アイダホ(My Own Private Idaho)』のサウンドトラックで使われていたっけ。 そんなポーグスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ オールド・メイン・ドラッグ 怪盗ジェシー・ジェイムス ザ・ジェントルマン・ソルジャー
2022.04.26
コメント(0)
『狂人館』 ストラングラーズ 「La Folie」 The Stranglers (81) メニンブラック以来8ヶ月余 ストラングラーズの新作にあふれるエネルギーは 止まることを知らないのか… 否、爆発するまでに充ちているのか… とにかくすごい!! ~今、彼らの表している世界には、ヨーロッパ的なある種の耽美さと、そこに彼らの現代的なニヒルさをミックスした耽美的なニヒリズムがあるA面 1. ノン・ストップ - Non Stop 2. エヴリバディ・ラヴズ・ユー - Everybody Loves You When You're Dead 3. トランプ - Tramp 4. レット・ミー・イントロデュース・ユー・トゥ・ファミリー - Let Me Introduce You to the Family 5. ナッシン・トゥ・イット - Ain't Nothin' to It 6. ラヴ・トゥ・ヘイト - The Man They Love to HateB面 1. ピン・アップ - Pin Up 2. トゥ・トゥ・タンゴ - It Only Takes Two to Tango 3. ゴールデン・ブラウン - Golden Brown 4. ハウ・トゥ・ファインド・トゥルー・ラヴ - How to Find True Love and Happiness in the Present Day 5. 狂人館 - La folie 77年にデビューした英国のロック・バンド、ストラングラーズ(The Stranglers)が81年にリリースした6thアルバム「狂人館(La folie)」。 江戸川乱歩や横溝正史、小栗虫太郎あたりの作品名にありそうなこの邦題、それもそのはずタイトルソングの “狂人館(La folie)” は、81年に仏国・パリで某日本人留学生が起こした猟奇殺人事件(パリ人肉事件)がモチーフになっているのである。 ちなみに “La folie” というのは仏語だそうで、狂気(Madness)という意味らしい。なので「狂人館(きょうじんやかた)」は正しい邦題だと言えよう。なのに今やすっかり邦題は葬り去られ、原題の「ラ・フォリー」が定着している。 この頃のストラングラーズのメンバーはというと、ギターとヴォーカルのヒュー・コーンウェル(Hugh Cornwell)、ベースとヴォーカルのジャン=ジャック・バーネル(Jean-Jacques Burnel)、キーボードのデイヴ・グリーンフィールド(Dave Greenfield)、そしてドラムスのジェット・ブラック(Jet Black)の4人であった。 バンド結成の中心人物であったヒューが90年に脱退。健康上の理由等によりジェットが15年に降板し(77歳だった!)、デイヴも20年5月に新型コロナウイルスによる肺炎で死去。 しかしストラングラーズは今なおジャン=ジャック・バーネルを中心に活動中であり、昨年9月にリリースされた18thアルバム「ダーク・マターズ(Dark Matters)」は、英国でチャート4位に輝いた 80年代には志摩あつこさんの「8ビート・ギャグ」を愛読していたため、ジャン=ジャック・バーネルというと妙に親しみを感じてしまうのだが、彼は三島由紀夫さんの愛読者であり、また士道館空手ロンドン支部長も務めているそうな。 ご両親がフランス人ということで、仏語が堪能。仏語ソングの “狂人館” は彼がヴォーカルをとっている。 アルバム「狂人館」は英国で11位とまずまずの結果だったが、シングルカットされた “ゴールデン・ブラウン (Golden Brown)” は全英2位の大ヒットとなった。 個人的には “狂人館” 以外の曲はどれも結構好みで、非常に聴きやすいアルバムだと思う。元々はパンクバンドであったが、今作では余分な肩の力が抜けて実にいい具合になっている。 そんなストラングラーズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ノン・ストップ ゴールデン・ブラウン 狂人館
2022.04.25
コメント(0)
『やすらぎの季節』 デヴィッド・ソウル 「David Soul」 David Soul (77) 青春と愛と人生を高らかに謳いあげ、全世界で脚光を浴びる好漢デビッド・ソウル。すべてを知り尽くした男の、ほのぼのとした暖みがここにある。大ヒット曲「やすらぎの季節」をはじめとする堂々のデビュー・アルバムA面 1. 壁はもうない - The Wall 2. 1927カンサス・シティ - 1927 Kansas City 3. やすらぎの季節 - Don't Give Up On Us 4. 電線上の鳥のように - Bird On A Wire 5. ハリウッド万才 - Hooray For Hollywood 6. ランドロード - Landlord 7. 炭鉱夫の歌 - Seem To Miss So Much (Coalminer's Song)B面 1. 明日への旅立ち - One More Mountain To Climb 2. 忘れじの恋人 - Ex Lover 3. トパンガ - Topanga 4. ブラック・ビーン・スープ - Black Bean Soup 5. クリストファー・デビッド - Kristofer David やすらぎが欲しい今日この頃。世の男性方はどんなに仕事で辛いことがあろうと、家族のために頑張ってらっしゃる。勿論、女性もだけど。偉いなぁ。もう私は心が折れそうだ。嗚呼、やすらぎが欲しい… 走れ!赤い稲妻。走れ!スタスキー刑事、走れ!ハッチ刑事。極悪な犯罪に敢然と立ち向かう、若い二人の刑事。ジーパンとスニーカーの中にリボルバーを隠し、ホットとクールの内に情熱を秘める、黄金のヤングアクションドラマ。『警察だ!止まれ!』ハッチ刑事、デヴィッド・ソウル(David Soul)。『動くな!撃つぞ!』スタスキー刑事、ポール・マイケル・グレイザー(Paul Michael Glaser)。情報屋、アントニオ・ファーガス(Antonio Fargas)。ドビー主任、バーニー・ハミルトン(Bernie Hamilton)。 ――という懐かしいナレーションでお馴染みの「刑事スタスキー&ハッチ(Starsky & Hutch)」は、75年から全米で放送されるやお茶の間(リビング?)で大ヒットし、日本でも77年から放送されて人気を博した黄金のヤングアクションドラマだ。 情熱的なスタさんことデヴィッド・スタスキー(David Starsky)刑事と、対照的にクールなハッチことケネス・ハッチンソン(Kenneth Hutchinson)刑事の二人は、ホモなんじゃね?と勘繰ってしまうほどに(実際に米国では “prime-time homos(ゴールデンタイムのホモ)” と言われていたとか!?)熱い友情で結ばれている、署内検挙率ナンバー1の敏腕暴力コンビだ。 そんな彼等の親友とも言える良き仲間が、情報屋のヒョロ松ことハギー・ベア(Huggy Bear)。表向きはバー “THE PITS” のオーナーだが、やたらと裏社会の事情に明るい、頼れる味方である。 そして厳しいながらもスタハチを息子のように見守る上司が、クマさんことハロルド・ドビー主任(Captain Harold Dobey)。この4人それぞれのキャラが実に上手く絡み合い、次々と難事件を解決していく。ドラマは4thシーズンまで続いた。 視聴者の一般投票によって決定する “People's Choice Awards” を76年(Favorite Overall New TV Program部門)、77年(Favorite TV Dramatic Program部門)と2年連続で受賞。78年にはゴールデングローブ賞のTVドラマ作品賞にノミネートされたもののそちらは惜しくも逃したが、とにかく大人気のドラマであった。 実は私も大のスタハチファンだったりする(*^^*) 05年に日本で発売された1stシーズン完全版DVD-BOXは勿論のこと、2nd~4thシーズンもUS版DVD-BOXを購入。スタさんとハッチの息の合ったやり取りや、ハッチの二枚目っぷりを心ゆくまで楽しんだ。(もしスタハチに興味がおありの方は「Starsky & Hatch」カテゴリー内の “スタハチまつり” も覗いてみてくださいまし → こちら) さて、アルバムに話を戻すと、そのクールで二枚目なハッチ役を演じたデヴィッド・ソウルが76年にリリースした1stアルバムが「やすらぎの季節(David Soul)」である。本来はセルフタイトルアルバムなのだが、アルバムの邦題タイトルにもなったシングル “やすらぎの季節(Don't Give Up On Us)” は先に発売された英国で1位を獲得、次いで米国でも見事ビルボードチャート1位に輝き、アルバムの方も英国で2位、米国でも40位を記録した。 個人的に歌はそれほど興味がないというか、あまり好みではないのだけれど… でもハッチの甘い歌声に心が蕩けそう。嗚呼、私の求めていたやすらぎはここにあったのね~ そんなハッチ…というかデヴィッドに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ やすらぎの季節 ついでにスタハチOP(1stシーズン)
2022.04.20
コメント(0)
『眠れぬ夜の殺意』 ニュー・モデル・アーミー 「No Rest for the Wicked」 New Model Army (85)A面 1. フライテンド - Frightened 2. 野望 - Ambition 3. グランドマザーズ・フットステップ - Grandmother's Footsteps 4. 奴隷よりまし - Better Than Them 5. マイ・カントリー - My Country 6. ノー・グレイター・ラヴ - No Greater LoveB面 1. ノー・レスト - No Rest 2. 若く、才能に恵まれ、そして金がない - Young, Gifted And Skint 3. ドラッグ・イット・ダウン - Drag It Down 4. ショット18 - Shot 18 5. ジ・アタック - The Attack「眠れぬ夜の殺意(No Rest for the Wicked)」は英国のロックバンド、ニュー・モデル・アーミー(New Model Army。以下NMA)が85年にリリースした2ndアルバムだ。なかなか洒落た邦題で、音楽的にも結構好みなのであるが、このジャケットは如何なものか…。 このジャケットを見る度に米国のHMバンド、クリムゾン・グローリー(Crimson Glory)のデビューアルバムを思い出してしまう。 ←「Crimson Glory」 Crimson Glory (86) ちょっと似てる!? さて、この当時のNMAのメンバーはというと、ヴォーカル&ギターを担当し、バンドのフロントマンであり作詞家でもあるジャスティン・サリバン(Justin Sullivan)と、ベースのスチュアート・モロウ(Stuart Morrow)、そしてドラムスのロバート・ヒートン(Robert Heaton)の3人。スチュアートはこの後のツアー中に脱退し、ロバートも90年代末に脳腫瘍と診断され、04年11月に43歳の若さで膵臓癌で他界してしまった。 しかしバンドはメンバーを交代しながらも80年の結成時から今なお活動を続けており、今月8日に66歳となったジャスティン・サリバンは現在もNMAの顔として健在である。 昔はわりとU2あたりと比較されていたようだが、個人的にはU2よりもNMAの方がポップで、荒っぽさが残っている感じが好きだ。NMAもU2もデビュー以来、一度も解散することなく未だ頑張っているのが嬉しい。 19年8月にリリースされたNMAの15thアルバム「From Here」は英国で13位を記録しており、まだまだ現役で嬉しいかぎり。 そんなニュー・モデル・アーミーに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 野望 ノー・レスト 若く、才能に恵まれ、そして金がない
2022.04.17
コメント(0)
『臆病者と20倍楽しむ法』 マーク・スチュワート&マフィア 「Learning to Cope With Cowardice」 Mark Stewart & Maffia (83) ポップ・グループ最後の狂気 マーク・スチュワート初のソロ・アルバム カオスを肉体として具現するそのエネルギーに目をみはれ!!A面 1. 臆病者と20倍楽しむ法 - Learning to Cope With Cowardice 2. リバティー・シティ - Liberty City 3. 苦闘するものはさいわいなり - Blessed Are Those Who Struggle 4. 正義という名の陰謀 - None Dare Call It ConspiracyB面 1. 武器を!! - Don't You Ever Lay Down Your Arms 2. パラノイア・パワー - The Paranoia of Power 3. ヴィジョン - To Have the Vision 4. エルサレム - Jerusalem 81年に解散した英国のポスト・パンク・バンド、ポップ・グループ(The Pop Group)のヴォーカル&作詞担当だったマーク・スチュワート(Mark Stewart)が83年にリリースした初ソロ・アルバムが、この「臆病者と20倍楽しむ法(Learning to Cope With Cowardice)」である。 cowardice=臆病、cope with=うまく対処する、対抗する…という意味なので、結構原題に添った良い邦題だと思うのだが、いつの間にやら邦題は既に消滅しており、今では「ラーニング・トゥ・コープ・ウィズ・カワディス」という全く記憶に残らないタイトルとなっている。 このアルバムについては、邦題だけ取り上げて終わりにしたい…。この手の音楽は正直なところ、良さが全く分からなかったりする 助けを求めて「MUSIC LIFE」83年8月号のアルバム・コーナーを見てみたが、“狂気のエネルギーが空回りしたとしか思えない、変に不気味なアルバム” なんて紹介されている始末。うーん、確かにそんな感じかな。 とはいえAmazon.レビューなどではかなりの高評価なので、マーク・スチュワート(というかポップ・グループ)の音楽は人を選ぶのだろう。単に私は選に漏れた人間なのである。 まぁアルバムタイトルにもなっている1曲目の “臆病者と20倍楽しむ法(Learning to Cope With Cowardice)” はまだ聴きやすい方だと思う。続く2曲目の “リバティー・シティ(Liberty City)” で私は躓いた。何がいいのかさっぱり分かんねーッ! そんなマーク・スチュワートに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 臆病者と20倍楽しむ法 リバティー・シティ 苦闘するものはさいわいなり
2022.04.15
コメント(0)
『欲望心理学』 ディーヴォ 「Freedom of Choice」 Devo (80) '80年代に拡がる新たなディーヴォ・ヴィジョン! コンセプトを一新、さらに衝撃度を増したディ・イヴォリューション・プラネット!! そこには未知の魅力があなたを待ち受けている!!!A面 1. 欲望の原理 -Girl U Want 2. イッツ・ノット・ライト - It's Not Right 3. ホウィップ・イット - Whip It 4. スノーボール - Snowball 5. 愛が溢れる時 - Ton O' Luv 6. 自由という名の欲望 - Freedom of ChoiceB面 1. 鉄の扉 - Gates of Steel 2. 冷たい戦争 - Cold War 3. ドント・ユー・ノー - Don't You Know 4. ザッツ・ペップ! - That's Pep! 5. ミスターBのボールルーム - Mr. B's Ballroom 6. プラネット・アース - Planet Earth ディーヴォ(Devo)を初めて見たのは、「MTV」だったかピーター・バラカン氏の「ザ・ポッパーズMTV」だったかで流れた “ホウィップ・イット(Whip It)” のPVだった。 全員が謎のうんこ帽を被り、ピシピシ鞭ちながら歌うヴォーカル。人形のように佇み、鞭で次々に衣装を剥がされる化粧の濃い女性。焦点が定まらず、頭がいかれたような東洋人女性&彼女と仲良くするカウボーイハットの男。途中で何故かクリームを泡立てたりしながらも、家の中からその様子を見ているお母さん…。 .∵・(゚ε゚ )ブ-ッ!! な、何コレ!? 一体このバンドって…何!? ディーヴォは70年代半ばに米国・オハイオ州で結成されたニュー・ウェイヴ・バンドで、78年に1stアルバム「頽廃的美学論(Q:Are We Not Men? A:We Are DEVO!)」でデビュー。今回取り上げる「欲望心理学(Freedom of Choice)」は3rdアルバムである。 当時のメンバーはというと、“ホウィップ・イット” のPVではうんこ帽(正しくはエナジー・ドーム。世界中のエネルギーを集めることが出来るらしい)を被って鞭を打ちながら歌うVo.兼G.兼Key.のマーク・マザーズボウ(Mark Mothersbaugh) を筆頭に、うんこ帽を被って歌いながらキーボードを弾いているVo.兼B.兼Key.兼宣伝部長のジェラルド・キャセール(Gerald Casale)、うんこ帽を被って…ってもう全員うんこ帽着用なので以下略す。マークの弟でギターの “ボブ1号(Bob 1)” ことロバート・マザーズボウ(Robert Mothersbaugh)、ジェリー(ジェラルド)の弟でギター兼Key.担当の “ボブ2号(Bob 2)” ことロバート・キャセール(Robert Casale)、そしてドラムスのアラン・マイヤーズ(Alan Myers)の5人。 86年に脱退したアランは13年に胃癌により58歳で亡くなっており、ボブ2号も翌14年に心不全で61歳にして逝去。マーク・マザーズボウは20年5月にCovid-19に感染して集中治療室の人工呼吸器に18日間繋がれていたそうだが、無事回復して何より。 一時は活動を停止していた時期があったようだが今なお活動中であり、今年もロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame。RRHOF)にノミネートされたらしい。 現在のドラムスは一時期ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N' Roses)のメンバーだったこともあるセッションドラマーのジョシュ・フリーズ(Josh Freese)。また2代目ボブ2号としてジョシュ・ハーガー(Josh Hager)がギター、キーボードを務めている。 奇妙奇天烈な “ホウィップ・イット” を始め、ディーヴォの様々なPVを手掛けているジェリーは、他にもカーズ(The Cars)やラッシュ(Rush)、フー・ファイターズ(Foo Fighters)等のPVも監督している。 個人的には “ホウィップ・イット” が収録されている、というだけでもうこのアルバムが一押しなのだが、実際にこのアルバムは結構聴きやすいので、ディーヴォ未体験の方は機会があったら聴いてみてくだされ。 そんなディーヴォに興味を持たれた方は、こちらを是非どうぞ♪ ホウィップ・イット 自由という名の欲望 欲望の原理
2022.04.14
コメント(2)
『さわやか革命』 スティーリー・ダン 「Pretzel Logic」 Steely Dan (74) 甦えるアメリカン・バンドの先達、スティーリー・ダン……そこには豊潤たるエロティカルな世界が際限なく拡がる!!A面 1. リキの電話番号 - Rikki Don't Lose That Number 2. ナイト・バイ・ナイト(夜ごと歩きまわるのさ) - Night By Night 3. 気どりや - Any Major Dude Will Tell You 4. バリータウンから来た男 - Barrytown 5. イースト・セントルイス・トゥードゥル・オー - East St. Louis Toodle-ooB面 1. パーカーズ・バンド - Parker's Band 2. いけ好かない奴 - Through With Buzz 3. プリッツェル・ロジック - Pretzel Logic 4. 銃さえあればね - With A Gun 5. チャーリー・フリーク - Charlie Freak 6. 君のいたずら - Monkey In Your Soul 今回はスティーリー・ダン(Steely Dan)が74年にリリースした3rdアルバムを取り上げてみようと思うが、この「さわやか革命」というのはサブタイトルで、正しくは「プリッツェル・ロジック(さわやか革命)」である。まぁ現在ではこのサブタイトルが消え、ただの「プレッツェル・ロジック」になっちゃってるけどね。 確かに “さわやか革命” って意味がよく分からないけど、何も外すことはないんじゃないの!? 恥ずかしながら私、何故かスティーリー・ダンというのは個人名だとばかり思い込んでいた。昔はダイアー・ストレイツ(Dire Straits)も同様に個人だと勘違いしていたけど、どちらもバンド名なのね。ちなみにスティーリー・ダンというバンド名は日本版のWikiさんによると、ウィリアム・S・バロウズ(William S. Burroughs)の小説『裸のランチ(The Naked Lunch)』に登場するアレのナニ「Steely Dan III from Yokohama」に由来するそうな。 アレのナニとは何ぞや?と興味を持たれた方は御自身でググってくださいまし。 スティーリー・ダンのこの頃のメンバーはというと、ヴォーカル&キーボードのドナルド・フェイゲン(Donald Fagen)、ベースのウォルター・ベッカー(Walter Becker)、リード・ギターのジェフ・バクスター(Jeff Baxter)、ギターのデニー・ダイアス(Denny Dias)、バッキングヴォーカル(元々はドラムス)のジム・ホッダー(Jim Hodder)あたりらしい。何やらゴタゴタがあった模様。ジェフ・バクスターとジム・ホッダーはこのアルバムをリリースした74年にクビになっており、TOTO結成前のジェフ・ポーカロ(Jeff Porcaro)等が参加してる。 音楽にノリとルックスを求める私には今まで無縁のバンドだったが、聴いてみるとなかなか…いや、かなりいい感じ。70年代の良さがぎゅっと詰まっている。70年代の音楽って本当に大人向けなんだよね。その中でも特に洗練されていて、実に心地よいアルバムだ。“さわやか革命” というサブタイトルが意外にもしっくりくる。これは一聴の価値あり、機会があればぜひ聴いてみていただきたい。 そんなスティーリー・ダンに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ リキの電話番号 気どりや 銃さえあればね
2022.04.13
コメント(2)
『魔力の刻印』 アイアン・メイデン 「The Number of the Beast」 Iron Maiden (82) 悪魔は、この世に怒りに満ちた野獣を放つ。時は、さし迫っている。悪魔は、その野獣に魔力の刻印をきざむ。その刻印こそ人間の本性「666」それは魔力の刻印…。 「魔力の刻印」より 新ヴォーカリスト、ブルース・ディッキンソンを加え、全世界進出を狙うアイアン・メイデン強力無比の第3弾!英・米盤未収録の「神の報復」B-3を加え、全9曲でスリリングに登場!!A面 1. 侵略者 - Invaders 2. 吸血鬼伝説 - Children of the Damned 3. ザ・プリズナー - Prisoner 4. アカシア・アヴェニュー22 - 22 Acacia AvenueB面 1. 魔力の刻印 - The Number of the Beast 2. 誇り高き戦い - Run to the Hills 3. 暗黒の街(ギャング・ランド) - Gangland 4. 審判の日 - Hallowed Be Thy Name(日本盤及びリマスター盤は “神の報復 - Total Eclipse” も収録されて全9曲) 12年にエリザベス女王の戴冠60周年を記念して英国のHMVが行った投票で、過去60年における最高の英国のアルバムとして見事1位に選ばれたのが、アイアン・メイデン(Iron Maiden)が82年にリリースした彼等の3rdアルバム「魔力の刻印(The Number of the Beast)」だったという。 ちなみに、2位がデペッシュ・モード(Depeche Mode)の「ヴァイオレーター(Violator)」、3位は何と!ビートルズ(The Beatles)のあの名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band )」だったというから、メイデンも凄いが、このアルバムを選んだ英国民も実に素晴らしい! 70年代後半に英国で勃発したNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)の波は世界中に押し寄せてHR/HMブームを巻き起こしたが、そのNWOBHMの中心的存在だったのがメイデンだ。 70年代半ばにバンドを結成し、80年4月には1stアルバム「鋼鉄の処女(Iron Maiden)」をリリース。本国ではいきなりチャート4位を記録する大ヒット! この当時のメンバーは、ヴォーカルのポール・ディアノ(Paul Di'Anno)、ギターのデニス・ストラットン(Dennis Stratton)&河童…じゃなくてデイヴ・マーレー(Dave Murray)、ベースのスティーヴ・ハリス(Steve Harris)、そしてドラムスのクライヴ・バー(Clive Burr)の5人であった。 81年にポール・ディアノが脱退し、その後任として加入したのがゴリラ…じゃなかったブルース・ディッキンソン(Bruce Dickinson)。彼が初めて参加したこの「魔力の刻印」は見事全英1位に輝き、カナダや米国でもプラチナムを獲得した。 私が初めてメイデンを知ったのは、おらが地元の瀬戸内海放送でMTVが放送されるようになった84年のこと。MTVで彼等のツアー予告が流れた際、“魔力の刻印” のライヴ映像が映し出され、ほんの数秒だったにもかかわらず一発で虜になってしまった。 運良く当時付き合っていた彼が、お兄さんの影響を受けてメイデンを聴くようになっていたので、彼に頼み込んでお兄さんが所有しているメイデンのLPを借りまくり、それらを全てカセットテープにダビングして擦り切れるほど聴いた。 個人的にお気に入りだったのはこの「魔力の刻印」と、84年にリリースされた5thアルバムの「パワースレイヴ(Powerslave)」。特に「パワースレイヴ」の “撃墜王の孤独(Aces High)” が大好きで、高校合格祝いに買ってもらったミニコンポ(Aiwa V-1200W。貧乏だったのでアイワが精一杯だったけど、女子高校生には十分だった。有難う両親!)で毎朝タイマー再生して目覚まし代わりにしていたほど。 メイデンは楽曲の邦題もなかなか格好よくて、「パワースレイヴ」発表後のツアー(World Slavery Tour)のライヴ音源が収録された85年リリースのライヴ・アルバム「死霊復活(Live After Death)」には、いかにもメイデンっぽい邦題がズラリ! 1. イントロ:チャーチルズ・スピーチ - Intro: Churchill's Speech 2. 撃墜王の孤独 - Aces High 3. 悪夢の最終兵器(絶滅2分前) - 2 Minutes to Midnight 4. 明日なき戦い - The Trooper 5. 悪魔の誘い - Revelations 6. イカルスの飛翔 - Flight of Icarus 7. 暗黒の航海 - Rime of the Ancient Mariner 8. パワースレイヴ〜死界の王、オシリスの謎〜 - Powerslave 9. 魔力の刻印 - The Number of the Beast 10. 審判の日 - Hallowed Be Thy Name 11. 鋼鉄の処女 - Iron Maiden 12. 誇り高き戦い - Run to the Hills 13. ランニング・フリー - Running Free 14. ラスチャイルド - Wrathchild 15. アカシア・アベニュー22 - 22 Acacia Avenue 16. 吸血鬼伝説 - Children of the Damned 17. 邪悪の予言者 - Die With Your Boots On 18. オペラの怪人 - Phantom of the Opera そんなアイアン・メイデンに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 魔力の刻印 誇り高き戦い 審判の日
2022.04.11
コメント(0)
『馬の耳に念仏』 フェイセズ 「A Nod Is as Good as a Wink... to a Blind Horse」 Faces (71) イギリスが生んだ、世界最大のヴォーカリスト、ロッド・スチュワート率いるフェイセズの71年に発表した快心作!!A面 1. ジュディの農場 - Miss Judy's Farm 2. 荒っぽい奴 - You're So Rude 3. 愛はここに - Love Lives Here 4. ラスト・オーダー - Last Orders Please 5. ステイ・ウィズ・ミー - Stay with MeB面 1. 崩れおちるもの - Debris 2. メンフィス - Memphis, Tennessee 3. ひどいもんだよ - Too Bad 4. 君に必要なもの - That's All You Need 「馬の耳に念仏(A Nod Is as good as a Wink... to a Blind Horse)」は英国のロック・バンド、フェイセズ(Faces)が71年にリリースした彼等の3rdアルバムだ。 原題である “A Nod Is as good as a Wink... to a Blind Horse” は “盲馬にはうなずいても目配せしても同じこと” という意味で、日本の諺では「馬の耳に念仏」という。何ちゅう邦題やねん!と思いきや、原題どおりなのである。 パカラッパカラッ このアルバム、タイトルの邦題は今もそのままだが、曲目の方は “ひどいもんだよ(Too Bad)” 以外、全て味気ないカタカナタイトルになっていて残念なかぎり。 フェイセズのメンバーはというと、ヴォーカルのロッド・スチュワート(Rod Stewart)を初め、ギターのロン・ウッド(Ron Wood)、ベースのロニー・レーン(Ronnie Lane)、ピアノのイアン・マクレガン(Ian McLagan)、そしてドラムスのケニー・ジョーンズ(Kenney Jones)の5人。 バンドは4枚のアルバムを残し、75年には早々と解散。その後ロッドはソロで大成功を収め、ロン・ウッドはローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)に加入。ロニー・レーンは97年に51歳の若さで病没しており、イアン・マクレガンも14年に69歳で亡くなっている。 70年代のロッドを知らないせいか彼には全く惹かれないのだが、モテモテ男、或いはセクシー野郎というイメージだけは持っている。ヴァン・ヘイレン(Van Halen)のデイヴ・リー・ロス(David Lee Roth)にも似たようなイメージがある。 また、俳優でセクシー野郎といえば、「トランザム7000(Smokey and the Bandit)」や米国・香港合作のオールスター・キャスト映画「キャノンボール(The Cannonball Run)」などに主演したバート・レイノルズ(Burt Reynolds)がそうだった。外人さんが好むセクシー野郎って、皆さん何だか濃いよね… 肝心のアルバムについては、元々バンドに興味がないこともあってあまり印象に残らず。 “ステイ・ウィズ・ミー(Stay With Me)” は英国で6位、米国でも17位とそこそこヒットしたらしい。アルバムを聴いた時には特に可も不可もなく…と思っていたが、ライヴ映像を見てみるとなかなか格好いいではないか! 70年代当時(今は60歳代くらい)のお姉様方がロッドに惹かれた気持も十分分かる気がした。 そんなフェイセズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ジュディの農場 ステイ・ウィズ・ミー ひどいもんだよ
2022.04.08
コメント(2)
『若き魂の反逆児を求めて』 デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ 「Searching for the Young Soul Rebels」 Dexys Midnight Runners(80) 全米大ヒット中の「カモン・アイリーン」から2年前、DMランナーズはデビューもこんなに鮮烈だった!全英No.1シングル「ジーノ」も収録!!A面 1. 焼きはらえ - Burn It Down 2. 青に変わる時 - Tell Me When My Light Turns Green 3. カフスで出会ったバンド - The Teams That Meet In Caffs 4. アイム・ジャスト・ルッキング - I'm Just Looking 5. ジーノ - GenoB面 1. 7日間は長すぎる - Seven Days Too Long 2. 誰かいるなら - I Couldn't Help If I Tried 3. どこも、かしこも - Thankfully Not Living In Yorkshire It Doesn't Apply 4. キープ・イット - Keep It 5. ラヴ・パート1 - Love Part One 6. ゼア・ゼア・マイ・ディア - There, There, My Dear 13年に米国のケーブルTVチャンネル・VH1による『100 greatest one-hit wonders』で見事1位に、そして16年には豪州のTV番組『20 to 1』の『One HIt Wonders』でも14位に輝くなど、母国である英国を除く世界中で “カモン・アイリーン(Come on Eileen)” だけの一発屋として知られるデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ(Dexys Midnight Runners)。 彼等の邦題アルバムといえば、その “カモン・アイリーン” が収録されている82年リリースの2ndアルバム「女の泪はワザモンだ!!(Too-Rye-Ay)」が有名なのだが、強烈な邦題はアルバムのタイトルだけで、収録曲は全部ただのカタカナタイトルなので、今回は80年にリリースされた彼等のデビューアルバム「若き魂の反逆児を求めて(Searching for the Young Soul Rebels)」の方を取り上げることにした。 とはいっても、この邦題も残念ながらフツーに原題の直訳なんだけどね。 78年に英国・バーミンガムで結成されたデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ。 バンドのリーダー兼ヴォーカルのケヴィン・ローランド(Kevin Rowland)以外は人の出入りが激しく、このアルバム時のメンバーはというと、ケヴィンの他にギターのケヴィン・アーチャー(Kevin "Al" Archer)、トロンボーンのジム・パターソン("Big" Jim Paterson)、ベースのピート・ウィリアムズ(Pete Williams)、ドラムスのアンディ・グロウコット(Andy "Stoker" Growcott)、サックスのジェフリー・ブライス(Geoffrey "Jeff" Blythe)、アルトサックスのスティーヴ・スプーナー(Steve "Babyface" Spooner)、オルガンのピート・サウンダース(Pete Saunders)といった面々だったらしい…って実は全く知らないけど。 このアルバムは英国で6位という、まずまずのヒット。先行リリースされた2ndシングル “ジーノ(Geno)” は見事に全英1位を記録し、続く3rdシングル “ゼア・ゼア・マイ・ディア(There, There, My Dear)” も全英7位まで上がった。 “ジーノ” の前奏を聴くと、67年に公開された英映画「007 カジノ・ロワイヤル(Casino Royale)」のテーマ曲であるハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス(Herb Alpert & the Tijuana Brass)の "カジノ・ロワイヤルのテーマ(Casino Royale Theme)" が何故か頭に浮かんでしまう。ちょっとだけ雰囲気が似ている気がするのは私だけ?小学生の頃にたまたまTVで放送していたのを見て、子供ながらにピーター・セラーズ(Peter Sellers)が演じたイブリン(Evelyn Tremble)にすっかりハマってしまった。当時は単なるバカ映画だとばかり思っていたが、後で皆スゴい役者さんなんだと知って驚いた。あんなに出演者が豪華なバカ映画は、後にも先にもそうそうない。 で、話をこのアルバムに戻すと、音楽的には割と好みなのだが、ケヴィン・ローランドの歌声がどうも苦手だったりする。でも曲はいいよ、ホントに(^^; デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズは86年に一度解散したものの03年に再結成、今はデキシーズ(The Dexys)というバンド名で活動しているそうな。 デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 焼きはらえ ジーノ ゼア・ゼア・マイ・ディアおまけ カモン・アイリーン
2022.04.02
コメント(0)
『山羊の頭のスープ』 ザ・ローリング・ストーンズ 「Goats Head Soup」 The Rolling Stones (73) 美しいジャガー、魔性のリチャード、そして無類の力強さと妖艶さを発散するストーンズのロック・ブギ。「悲しみのアンジー」、「ドゥー・ドゥー・ドゥー……」、「シルバー・トレイン」などビッグ・ヒットを収録A面 1. ダンシング・ウィズ・ミスターD - Dancing with Mr. D 2. 100年前 - 100 Years Ago 3. 夢からさめて - Coming Down Again 4. ドゥー・ドゥー・ドゥー… - Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) 5. 悲しみのアンジー - AngieB面 1. シルバー・トレイン - Silver Train 2. お前の愛を隠して - Hide Your Love 3. ウィンター - Winter 4. 全てが音楽 - Can You Hear the Music 5. スター・スター - Star Star ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)が73年にリリースした「山羊の頭のスープ(Goats Head Soup)」は、原題を直訳しただけの邦題だが結構インパクトのあるタイトルだ。 アルバムは米国、英国をはじめ、豪・独・仏・加・西・諾などでチャート1位を獲得し、日本のオリコンチャートでも7位を記録したという。あ、西はスペイン(西班牙)、諾はノルウェー(諾威)ね。 当時のメンバーはというと、ヴォーカルのミック・ジャガー(Mick Jagger)、ギターのキース・リチャーズ(Keith Richards)&ミック・テイラー(Mick Taylor)、ベースのビル・ワイマン(Bill Wyman)、そしてドラムスのチャーリー・ワッツ(Charlie Watts)の5人。 “6人目のストーンズ” といわれるキーボーディストのイアン・スチュワート(Ian Stewart)、更に69年にビートルズ(The Beatles)が突如アップルの屋上で行ったゲリラライヴに参加した同じくキーボーディストのビリー・プレストン(Billy Preston)や、これまたキーボーディストとして多数のビッグ・アーティスト達の作品に参加しているニッキー・ホプキンス(Nicky Hopkins)等も加わり、しっとりと聴かせるアルバムになっている。 個人的にミック・ジャガーとデヴィッド・ボウイ(David Bowie)の二人だけは何故か昔から生理的に受け付けないので、実はストーンズの音楽は食わず嫌いならぬ聴かず嫌いだったりする。何だか勿体無いような気はするのだが、どうも苦手で…。 でもこういう機会に聴いてみると “やっぱりストーンズって凄いわ” と、しみじみ思うのである。MTVやベストヒットUSAといった洋楽番組さえ見なければ、Music LifeやViva Rockといった洋楽雑誌さえ読まなければ、ミックのくねくねした動きや分厚い唇を目にすることもなく、ストーンズの音楽を素直に受け入れられたであろうに。 シングルカットされた “悲しみのアンジー(Angie)” は、英国シングルチャートでは5位止まりだったが、米・加・独・諾・瑞とかでは見事1位に輝いた。あ、瑞というのはスイス(瑞西)のこと。スウェーデン(瑞典)も瑞って略すから紛らわしいよね。 この “アンジー” というのがデヴィッド・ボウイの元妻のことだの、キース・リチャーズの恋人のことだのと色々言われていたらしいが、全く興味がないのでそんなことはどうでもいい。 ただ、ミックアレルギー気味の私でもこの曲は知っている。ニッキー・ホプキンスの奏でるピアノの音色が美しく、力強く、それでいて優しい。雨の日に煙草を燻らせながらじっくり聴きたくなるような名曲だ。 そんなストーンズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 100年前 悲しみのアンジー 全てが音楽
2022.03.30
コメント(0)
『錯乱のドライヴ』 カーズ 「The Cars」 The Cars (78) アメリカはイースト・コースト、ボストンから最高にヒップな衝撃波がやって来る! クレイジーかつポップなロックン・ロールでひたすら押しまくる恐怖の個性派集団、話題のデビュー・アルバムがこれだ!A面 1. グッド・タイムズ・ロール - Good Times Roll 2. ベスト・フレンズ・ガール - Best Friend's Girl 3. 燃える欲望 - Just What I Needed 4. 狂気のふれあい - I'm in touch with Your World 5. ドント・チャ・ストップ - Don't Cha StopB面 1. 今夜は逃がさない - You're All I've Got Tonight 2. バイ・バイ・ラヴ - Bye Bye Love 3. ムーヴィング・イン・ステレオ - Moving in Stereo 4. オール・ミックスト・アップ - All Mixed Up 07年10月からだらだらと書き続けている当へっぽこBlogにおいて、当初最も愛情を注いで綴っていたのはカーズ(The Cars)についてだった。なので今回、カーズのアルバムを取り上げるのは自分の中では今更感が強いのであるが、こんな素敵な邦題を捨て置くわけにはいかないので改めて御紹介したい。嗚呼、帯文句もイカしてる(死語)! 今なお多くの人に愛されている名バラード “ドライヴ(Drive)” などでお馴染みのカーズは、70年代後半~80年代に活躍した米国・ボストン出身の5人組ロック・バンドである。 メンバーはというと、ヴォーカル兼リズム・ギター担当で作詞作曲も手掛けるリック・オケイセック(Ric Ocasek)を筆頭に、キーボードのグレッグ・ホークス(Greg Hawkes)、リード・ギターのエリオット・イーストン(Elliot Easton)、ドラムスのデヴィッド・ロビンソン(David Robinson)、そしてベース兼ヴォーカルを務めた超絶二枚目にして甘~い歌声が魅力的だったベンジャミン・オール(Benjamin Orr)。 「魅力的だった」と過去形なのは色男薄命との言葉があるように、ベンさんは00年10月3日に膵臓癌で他界してしまったためである。でもってリックも19年9月に自宅で亡くなっているところを発見された。高血圧と心臓病だったらしい。 60年代半ばから既にグラスホッパー(Glasshopper)というバンドを組んで活躍していたベンさん。そして70年代初頭にリックと出会い、二人はミルクウッド(Milkwood)なるアコースティック・バンドを結成。それから更にキャプテン・スウィング(Captain Swing)というバンドを組み、そこへエリオットが参加するも、75年にこのバンドが解散。その後、以前から助っ人としてバンドと親交のあったグレッグと、元モダン・ラヴァーズ(The Modern Lovers)のデヴィッドも加わり、76年遂にカーズを結成 “燃える欲望(Just What I Needed)” をラジオで流した所これが大変な話題となり、レコード会社各社が争奪戦を繰り広げた。 そして78年、記念すべき1stアルバム「錯乱のドライヴ(The Cars)」をリリースし、見事ビルボードチャート18位を記録するヒットとなったのであった。 個人的には、このアルバムがカーズの最高傑作だと思う。いや、勿論この後リリースしたアルバムもそれぞれ魅力溢れるアルバムなのだが…。 このアルバムは特にベンさんが歌っているラスト3曲 “バイ・バイ・ラヴ(Bye Bye Love)” ~ “ムーヴィング・イン・ステレオ(Moving in Stereo)” ~ “オール・ミックスト・アップ(All Mixed Up)” の流れが実に素晴らしい。ベンさんの甘~い歌声に身も心も蕩けそう…。 そんなカーズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 燃える欲望 バイ・バイ・ラヴ ムーヴィング・イン・ステレオ
2022.03.28
コメント(0)
『POPにEYEして』 OXO(オクソ) 「OXO」 OXO (83) 待ってたヨ! 夏◎のニュー・ポップ・グループA面 1. ワリィGIRL - Whirly Girl 2. ダンス・オール・ナイト - Dance All Night 3. 恋の自転車ドロボー - My Ride 4. 彼氏になりたい - Wanna Be Your Love 5. イン・ザ・スターズ - In the StarsB面 1. あっさりサヨナラ - You Make It Sound So Easy 2. 恋はまちぶせ - Waiting for You 3. 恋のBACK IN TOWN - Back in Town 4. アイル・テイク・ユー・バック - I'll Take You Back 5. ニード・ハー・ラブ - Love I Need Her 6. ランニン・ロウ - Runnin' Low 米国L.A.で結成されたオクソ(OXO)のデビュー作にして、唯一リリースされた作品がこのセルフタイトル・アルバム「OXO」である。 オクソ…。うーん、どうも語感がよろしくない。ここは一つ洒落た邦題でも付けて売り出そうじゃないか、ということ(かどうかは知らないが)で付いた邦題が「POPにEYEして」。うーん…。 このアルバムから唯一シングルカットされ、米国ではそこそこヒットした “Whirly Girl”。日本でも上手くいけば十分ヒットしそうな曲であったが、邦題が “ワリィGIRL” ときた日にゃ…。もうちょっと考えてあげても良かったのでは? とはいえやっぱりオクソじゃキツいわな。英国のグローバル製薬企業であるグラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)社でも何となく語感にひっかかるモノがあるし。だけど英国のHR/HMバンド・サクソン(Saxon)は同じクソでも何故か違和感がなかったりする。この違いは何だろう? クソについての考察はさておき、このOXOというのは日本でいうところの三目並べ、もしくは○×ゲームのことである。 その○×ゲームといえば、同83年に公開されて大ヒットした映画「ウォー・ゲーム(Wargames)」の手に汗握るラストシーンを思い出される方も多いだろう。冷戦中だった当時の米ソ両国の大統領または書記長が誰であったか、覚えているだろうか?――そう、レーガン大統領とアンドロポフ書記長の時代だ。KGB出身であるプーチンさんはKGB議長経験者初の書記長を務めたアンドロポフさんを称賛しているのだとか。あれから約40年、アンドロポフ→チェルネンコ→ゴルバチョフ→エリツィン→プーチンときて、まさかのウクライナ侵攻によってソ連時代に逆行しようとは。 今更オクソに興味を持つ方はいないだろうが、メンバーはヴォーカルのイッシュ・エンジェル(Ismael Angel Ledesma)、ギターのオーランド(Orlando Nuñez)、ベースのフランク・ガルシア(Frank Garcia)、ドラムスのフレディ・オルワグ(Freddy Alwag)の4人組だったそうな。 そんなオクソに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ワリィGIRL あっさりサヨナラ 恋の自転車ドロボー
2022.03.27
コメント(0)
『遥かなる亜米利加』 シカゴ 「Chicago VI」 Chicago (73)A面 1. お気に召すまま - Critics' Choice 2. 君とふたりで - Just You 'n' Me 3. 愛しいお前 - Darlin' Dear 4. ジェニー - Jenny 5. 輝ける未来 - What's This World Comin' ToB面 1. 誰かが僕を - Something in This City Changes People 2. ハリウッド - Hollywood 3. 明日への願い - In Terms of Two 4. 自由への扉 - Rediscovery 5. 愛のきずな - Feelin' Stronger Every Day 今回取り上げるのは米国・シカゴ出身のロックバンド、その名もずばりシカゴ(Chicago)が73年にリリースした通算6枚目のアルバム「遥かなる亜米利加(Chicago VI)」である。 シカゴは67年に結成されて現在もなお活動しており、結成時のメンバーはサックスのウォルター・パラゼイダー(Walter Parazaider)、vo&keyのロバート・ラム(Robert Lamm)、vo&gのテリー・キャス(Terry Kath)、トロンボーンのジェームズ・パンコウ(James Pankow)、トランペットのリー・ロックネイン(Lee Loughnane)、そしてドラムスのダニー・セラフィン(Danny Seraphine)の6人組で、バンド名は “The Big Thing” であった。 67年後半にはvo&bのピーター・セテラ(Peter Cetera)が加入。翌68年にバンド名を “Chicago Transit Authority(シカゴ交通局)” に改名し、69年にセルフタイトルのデビュー・アルバム「シカゴの軌跡(Chicago Transit Authority)」をリリース。その後、バンド名は短縮されて現在の形となった。 ちなみに現在のシカゴのメンバーは10人いて、結成当時から変わっていないのはロバート・ラム、ジェームズ・パンコウ、リー・ロックネインの3人。ウォルター・パラゼイダーは17年に脱退し、アルツハイマー病であることを昨年公表した。テリー・キャスは78年に自動拳銃暴発事故で急逝しており、ピーター・セテラは85年の脱退後はソロでも成功を収めた。 さて、6thアルバム「遥かなる亜米利加」は見事全米1位に輝き、シングルカットされた “君とふたりで(Just You 'n' Me)” が全米4位に、“愛のきずな(Feelin' Stronger Every Day)” も10位を記録するなどなかなかのものではあるのだが、今回は音楽話を割愛させていただく。 では何故わざわざシカゴを取り上げたのかというと、彼等の一連のアルバムの邦題について書きたかったからである。 シカゴのアルバムタイトルは主にバンド名+ローマ数字で構成されているのだが、テリーの死後にリリースされたアルバムには初めてタイトルが付けられ、その後はバンド名+アラビア数字となったり元のローマ数字に戻ったりと、一貫性があるようなないような…。それに伴って邦題も何だか分かりやすそうで分かりにくい。「ラブ・ミー・トゥモロウ(Chicago 16)」とかいう収録曲をそのまま邦題に持ってきたアルバムもあるし。 69年 「シカゴの軌跡」 Chicago Transit Authority 70年 「シカゴと23の誓い」 Chicago シカゴ 71年 「シカゴ III」 Chicago III 72年 「シカゴ V」 Chicago V 73年 「遙かなる亜米利加」 Chicago VI シカゴVI(遙かなる亜米利加) 74年 「市俄古への長い道」 Chicago VII シカゴVII(市俄古への長い道) 75年 「未だ見ぬアメリカ」 Chicago VIII シカゴVIII(未だ見ぬアメリカ) 75年 「偉大なる星条旗」 Chicago's Greatest Hits シカゴIX(偉大なる星条旗) 76年 「カリブの旋風」 Chicago X シカゴX(カリブの旋風) 77年 「シカゴ XI」 Chicago XI 78年 「ホット・ストリート」 Hot Street 79年 「シカゴ 13」 Chicago 13 80年 「シカゴ 14」 Chicago XIV 82年 「ラヴ・ミー・トゥモロウ」 Chicago 16 ラヴ・ミー・トゥモロウ(シカゴ16) 84年 「シカゴ 17」 Chicago 17 86年 「シカゴ18」 Chicago 18 88年 「シカゴ19」 Chicago 19 91年 「シカゴ21」 Twenty 1 : 19年 「シカゴのクリスマス」 Chicago XXXVII 所々番号が飛んでいるのはライヴ盤を省いたため。2014年に元blogでこの記事を綴った際はこの邦題だったように思うが、いつの間にやら一部邦題がカッコ表記に追いやられており、現在の邦題は右に赤字で記したものである。まぁ55年間も活動していたらタイトルもぐだぐだになるわな。 そんなシカゴに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 君とふたりで 愛のきずな
2022.03.22
コメント(0)
『警告!THE B-52'S 来襲』 The B-52's 「The B-52's」 The B-52's (79) ダンス星雲からのキッチュな電波を受け、ジョージア州アセンズから登場した 「生涯一ダンス・バンド」 THE B-52'sの記念すべきデビュー作! 驚異のサウンドと共に、今、B-52'sがその全貌を現わした。話題が話題を呼び、その存在と真価を問われるデビュー・アルバム!「この衝撃は一体 何だろう?」A面 1. 惑星クレイア - Planet Claire 2. 52ガールズ - 52 Girls 3. ダンスはやめて - Dance This Mess Around 4. ロック・ロブスター - Rock LobsterB面 1. 恋の溶岩 - Lava 2. 天空に輝く月(スペース・エイジの約束) - There's A Moon in the Sky (Called the Moon) 3. 英雄失墜 - Hero Worship 4. 危険なナンバー6060-842 - 6060-482 5. 恋のダウンタウン - Downtown 76年に米国ジョージア州アセンズで結成されたニューウェイヴ・バンド、The B-52'sのギタリストだったリッキー・ウィルソン(Ricky Wilson)については、「リッキー・ウィルソン物語」(全20回)や「リッキー・ウィルソン フェス」(全28夜)でしつこく語ってきた。 今日3月19日はリッキーが存命であれば69回目の誕生日である。彼の誕生日を祝して、今回は79年にリリースされたThe B-52'sのデビューアルバム「警告!THE B-52'S 来襲(The B-52's)」を取り上げたいと思うが、B-52'sについては散々書き尽くしたので今更感が強いような…。 このアルバムについてより詳しく知りたい方はリッキー・フェス 第3夜もどうぞ。 B-52'sのメンバーはというと、怪しげな男性ヴォーカル・フレッド・シュナイダー(Fred Schneider)に、バンド名の元になった奇抜なヘアスタイルが特徴的な二人の女性ヴォーカル.、ケイト・ピアソン(Kate Pierson)とシンディ・ウィルソン(Cindy Wilson)。そしてドラムスのキース・ストリックランド(Keith Strickland)&ギターのリッキーの5人組。ちなみにシンディはリッキーの実妹である。 79年に「警告!THE B-52'S 来襲」でデビューして以来、順調に活動を続けていたが、85年10月にリッキーが32歳という若さでAIDSにより他界。死の数日前までキース以外のメンバーには病気のことを知らせていなかったため、残されたメンバーの衝撃は大きく、86年にはリッキーの遺作となった4thアルバム「バウンシング・オフ・ザ・サテライツ(Bouncing off the Satelites)」を辛うじて発表したものの、満足なプロモートなどとても出来る状態ではなかった。シンディは鬱状態になっていたとか。 一時は引退も考えた彼等だったが、88年に4人が再び集結。ドラムスのキースがギターに転向し、シンディもメンバー達から励まされて復帰を決意した。 こうして翌89年にリリースされた5thアルバム「コズミック・シング(Cosmic Thing)」が全米4位の大ヒット!更にシングルカットされた “ラヴ・シャック(Love Shack)” と “ローム(Roam)” も共に全米3位を記録し、見事復活を遂げたのであった。 B-52'sの音楽的特徴といえば、何といってもリッキーが編み出した彼独自の変則チューニングである。このアルバムのジャケット裏に写真が載っているリッキーのモズライト、これは “ロック・ロブスター(Rock Lobster)” や “ダンスはやめて(Dance This Mess Around)” を演奏する際に用いたギターなのだが、よく見ると真ん中の3、4弦が取り払われて弦が4本しかない。これで高音と低音を使い分け、ギターとベースを兼ねていたのだ。この独創性はもっと評価されてもいいと思うけどなぁ…。 そんなThe B-52'sの1st.アルバムに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ロック・ロブスター ダンスはやめて 惑星クレイア HAPPY BIRTHDAY, RICKY
2022.03.19
コメント(0)
『帽子が笑う・・・不気味に』 シド・バレット 「The Madcap Laughs」 Syd Barrett (70) ピンク・フロイドの狂気のリーダー、シド・バレットが独立後に制作したファースト・ソロ・アルバム。ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアとロジャー・ウォータースがプロデュースに参加!A面 1. カメに捧ぐ詩 - Terrapin 2. むなしい努力 - No Good Trying 3. ラヴ・ユー - Love You 4. 見知らぬところ - No Man's Land 5. 暗黒の世界 - Dark Globe 6. ヒア・アイ・ゴー - Here I GoB面 1. タコに捧ぐ詩 - Octopus 2. 金色の髪(ジェイムス・ジョイス作の一篇より) - Golden Hair 3. 過ぎた恋 - Long Gone 4. 寂しい女 - She Took a Long Cold Look 5. フィール - Feel 6. イフ・イッツ・イン・ユー - If It's In You 7. 夜もふけて - Late Night 68年3月に強度のドラッグ使用による神経衰弱からピンク・フロイド(Pink Floyd)を脱退したシド・バレット(Syd Barrett)が、70年1月にリリースした1stソロアルバムがこの「帽子が笑う・・・不気味に(The Madcap Laughs)」である。 邦題好きの間では有名なこのタイトル、最初は「幽玄の世界」だったそうな。でもって74年にリリースされた1st&2ndの合体2枚組アルバム「何人をも近づけぬ男(Syd Barrett)」では、「気狂い帽子が笑っている」と原題直訳になっている。 ちなみに “madcap” というのは、“向こう見ずな人”という意味らしい。 …なんて知ったかぶって書いてはみたが、昔からプログレには全く興味がなく、シド・バレットについても名前以外ほとんど何も知らない。ギリギリ、元セックス・ピストルズ(Sex Pistols)のシド・ヴィシャス(Sid Vicious)とシド・バレットとの違いが分かるぐらいだ。 今回このアルバムを取り上げるにあたり、まずは全曲聴いてみた。 彼が精神を病んでいたからなのか、それともこういう時代だったのか、数々のレビューで絶賛されているほど素晴らしいアルバムだとは思わなかったが、最初から最後まで “もわわ~ん” とした雰囲気にもかかわらず飽きずに聴けた。二度三度と繰り返し聴いてみても、やはり飽きなかった。よくは知らないけど、才能溢れる人だったんだろうな…。 1stアルバム発売から10ヶ月後の70年11月、2nd「その名はバレット(Barrett)」をリリース。それが彼の最後のアルバムとなり、70年半ば以降は完全に音楽界から離れてしまったという。 そしてその有り余る才能を眠らせたまま、06年7月に糖尿病による合併症のため60歳で永眠した。 67年にピンク・フロイドのメンバーとしてデビューし、72年に行った数回のライヴが彼の最後の音楽活動だったそうで、その期間は余りに短かった。にもかかわらずシド・バレットの名は「帽子が笑う・・・不気味に」という意味不明なアルバム邦題と共に、これからも末永く語り継がれていくのであった。 そんなシド・バレットに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ タコに捧ぐ詩 カメに捧ぐ詩 夜もふけて
2022.03.18
コメント(0)
『真・疫魔交響曲』 カーカス 「Symphonies of Sickness」 Carcass (89)A面 1. 腐敗臭 - Reek of Putrefaction 2. 餓鬼は屍体を貪り喰う - Exhume to Consume 3. 腐ったはらわた - Excoriating Abdominal Emanation 4. はらわたの膿 - Ruptured in Purulence 5. 屍体大好き - Empathological NecroticismB面 1. 餓鬼は死産児を貪り喰う - Embryonic Necropsy and Devourment 2. 保菌者の群れ - Swarming Vulgar Mass of Infected Virulency 3. 寄生虫の卵 - Cadaveric Incubator of Endoparasites 4. ××ゴロシ - Slash Dementia 5. 爛れたはらわた - Crepitating Bowel Erosion バレンタイン・デーにカーカス(Carcass)が88年にリリースした1st.アルバム「腐乱屍臭 (Reek of Putrefaction)」を取り上げたので、ホワイトデーの今回は彼等の2ndアルバム「真・疫魔交響曲(Symphonies of Sickness)」を御紹介。 前回、「腐乱屍臭」を “グラインドコア界の名盤” と紹介した。まぁこれでも間違っちゃいないのだが、グラインドコアも幾つかのジャンルに分かれるらしく、どうやらグラインドコアの中でもカーカスのように猟奇的なものはゴアグラインドというジャンルに属するらしい。ロックのジャンルは細分化しすぎてホント、ややこしい(><) それにしても邦題のエグさは相変わらずだ。どんだけはらわた好きやねん! この中では “××ゴロシ(Slash Dementia)” が一番ソフトな邦題だろう。“××ゴロシ” といえば、まずアガサ・クリスティ(Agatha Christie)の小説「アクロイド殺し(The Murder of Roger Ackroyd)」が、次に昭和13年に岡山県苫田郡で起こった「津山三十人殺し」が思い浮かんだ。どーでもいいけど。ちなみに原題の “Slash Dementia”を直訳すれば “痴呆めった切り” … 音楽的には前作よりも聴きやすい気がする。あくまでも前作と比較してだけど。永遠も半ばを過ぎたおばちゃんにゴアグラインドはちょっとキツい…(^^; そうそう、彼等が91年にリリースした3rdアルバム「屍体愛好癖(Necroticism – Descanting the Insalubrious)」の収録曲邦題もついでに紹介しておこう。 「Necroticism – Descanting the Insalubrious」 Carcass (91) 1. 屍体で花をさかせましょう - Inpropagation 2. 人体ジグソー・パズル - Corporal Jigsore Quandary 3. 疫魔交響曲第二番 - Symposium of Sickness 4. 由緒正しき屠殺場 - Pedigree Butchery 5. 硫酸どろどろなんでも溶かす - Incarnated Solvent Abuse 6. 肉体不協和音 - Carneous Cacoffiny 7. リゼルジン酸による嘔吐,吐瀉物による洗浄 - Lavaging Expectorate of Lysergide Composition 8. 若き臨床科医の肖像 - Forensic Clinicism / The Sanguine Article 1stの “イボイボ尿道声明(Manifestation of Verrucose Urethra)” や “汚れた尻(Vomited Anal Tract)”、2ndの “屍体大好き(Empathological Necroticism)” や “寄生虫の卵(Cadaveric Incubator of Endoparasites)” といった邦題と比べると、何やら3rdには高尚さすら感じてしまうではないか!とはいっても “硫酸どろどろなんでも溶かす(Incarnated Solvent Abuse)” なんて相変わらずの邦題もあるけど。 そんなカーカスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 腐敗臭 屍体大好き ××ゴロシ
2022.03.14
コメント(0)
『人生はロックンロール』 REO スピードワゴン 「Life as We Know It」 REO Speedwagon (87) アメリカン・ロックの王道を走り続ける誇り高きスピードワゴン。2年ぶり通算14作目の意欲作。A面 1. ニュー・ウェイ・トゥ・ラブ - New Way to Love 2. 偽りの愛 - That Ain't Love 3. 涙のドリーム - In My Dreams 4. トゥー・メニ・ガールフレンズ - One Too Many Girlfriends 5. バラエティ・トゥナイト - Variety TonightB面 1. 叫びとささやき - Screams and Whispers 2. アウト・オブ・マイ・ハート - Can't Get You Out of My Heart 3. オーバー・ジ・エッジ - Over the Edge 4. アクシデンツ・キャン・ハプン - Accidents Can Happen 5. さまよいの果て - Tired of Getting Nowhere 71年にデビューするも “アメリカで最も売れていないが、長続きしているバンド” などと評され、80年リリースの9thアルバム「禁じられた夜(Hi Infidelity)」が初の全米1位に輝くまで、耐え難きを耐え、忍び難きを忍んできたREO スピードワゴン(REO Speedwagon)。 このバンド名の由来はというと、Wikiさん曰く、アメリカの自動車メーカー「レオ・モーター・カー・カンパニー(REO Motor Car Company)」で1930年代に生産されたモデル「スピードワゴン (Speed-Wagon)」と、同社の創業者ランサム・E・オールズ(Ransom E. Olds)の頭文字に因むものらしい。 日本でスピードワゴンといえば、「ジョジョの奇妙な冒険」に登場するロバート・E・O・スピードワゴンや、お笑いコンビを思い浮かべる方が大半だろうが、ジョジョのスピードワゴンの名前はREO スピードワゴンに由来しており、お笑いコンビの名前も小沢さんが漫画のジョジョのファンだったことからとのこと。 この頃のREO スピードワゴンのメンバーはというと、リードヴォーカル&ギター担当のケヴィン・クローニン(Kevin Cronin)、リードギターのゲイリー・リッチラス(Gary Richrath)、ベースのブルース・ホール(Bruce Hall)、ドラムスのアラン・グラッツァー(Alan Gratzer)、そしてキーボードのニール・ドーティ(Neal Doughty)の5人。 バンドは現在も活動中であるが、アランは88年に脱退し、それまでバンドの中心的存在だったゲイリーも89年に脱退。ゲイリーは15年秋に65歳で亡くなっている。 ヴォーカルが “クローニン(苦労人)” だからなのかは知らないが、彼らの曲の邦題には何故か涙が付くものが多く、85年に大ヒットした “涙のフィーリング(Can't Fight This Feeling)” を始め、“涙のレター(In Your Letter)”、“涙のルーズ・ユー(I Don't Want to Lose You)”、“涙の道標(Find Your Own Way Home)” 等々…あ、今回取り上げた「人生はロックンロール(Life as We Know It)」の中にも “涙のドリーム(In My Dreams)” なんていう悲しい邦題が。 苦労人さんの歌声は爽やかでノビがあり、聴くと晴れやかな気分になるというのに、何故こんなジメっとした邦題を付けてしまうのだろう。 REO スピードワゴンの邦題といえば、もう1枚どうしても取り上げたいアルバムがある。 78年にリリースされた彼らの4thアルバム「ツナ・フィッシュ(You Can Tune a Piano, but You Can't Tuna Fish)」だ。アルバムタイトルの邦題は今ひとつなのであるが、ジャケットと収録曲の邦題が非常に良いので、ついでにご紹介。 ピアノは調律できるけど、マグロは無理です…A面 1. 無敵のロックンローラー - Roll with the Changes 2. タイム・フォー・ミー・トゥ・フライ(出発の時) - Time for Me to Fly 3. ラニン・ブラインド - Runnin' Blind 4. 輝ける行跡 - Blazin' Your Own Trail Again 5. 魂のぬけがら - Sing to MeB面 1. ラッキー・フォー・ユー - Lucky for You 2. 女はいつも浮気なものさ - Do You Know Where Your Woman Is Tonight? 3. 未確認飛行マグロのトロット踊り - The Unidentified Flying Tuna Trot 4. セイ・ユー・ラヴ・ミー - Say You Love Me or Say Goodnight B-2の邦題はロッド・スチュワート(Rod Stewart)っぽい感じだが、何といっても強烈なのはその次の “未確認飛行マグロのトロット踊り(The Unidentified Flying Tuna Trot)”。原題のままだと表記しにくいし、かといってコレという邦題も浮かばないし、まぁ直訳のままでいっか――みたいな。曲自体はインストで普通にいい曲なんだけどね。 そんなREO スピードワゴンに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 偽りの愛 涙のドリームおまけ 未確認飛行マグロのトロット踊り
2022.03.12
コメント(0)
『皆殺しの挽歌』 ZZトップ 「Degüello」 ZZ Top (79) 聴け、誇り高きテキサス魂を!!熱き南部の風と共に贈るZZトップ、話題のワーナー・ブラザーズ移籍第1弾!! 持ち味のブルース魂はそのままに、常に進化し続けるバンドとして、オリジナリティを見事に昇華させ、その後の黄金期を予感させた傑作6thアルバムA面 1. アイ・サンキュー - I Thank You 2. あの娘は自動車に夢中 - She Loves My Automobile 3. アイム・バッド、アイム・ネーションワイド - I'm Bad, I'm Nationwide 4. ア・フール・フォー・ユア・ストッキング - A Fool for Your Stockings 5. マニック・メカニック - Manic MechanicB面 1. ダスト・マイ・ブルーム - Dust My Broom 2. ローダウン・イン・ザ・ストリート - Lowdown in the Street 3. ハイ・ファイ・ママ - Hi Fi Mama 4. チンピラ・ダンディ - Cheap Sunglasses 5. ひとりぼっちのエスター - Esther Be the One 86年に制作され、日本では翌87年4月に公開された香港映画の傑作「男たちの挽歌(英雄本色)」の4Kリマスター版がこの4月から公開されるらしい。若者に需要があるとは思えないが、90年代を香港電影迷(香港映画ファン)として過ごしたおばはんには嬉しいかぎり。これは楽しみ♪と公式サイトで劇場情報を確認したところ、中四国地方での上映はなかった。…ま、田舎モンですからこういうことには慣れてますけどね…(T T) さて、気を取り直して今回取り上げるのは、米国テキサス州で69年に結成されたヒゲ親父バンド、ZZトップ(ZZ Top)が79年にリリースした6thアルバム「皆殺しの挽歌(Degüello)」だ。 この邦題は59年に公開されたジョン・ウェイン(John Wayne)主演映画「リオ・ブラボー(Rio Bravo)」で流れる “皆殺しの歌(Deguello)” から採られたものだろう。 69年に結成されたZZトップは、ギターとヴォーカルのビリー・ギボンズ(Billy Gibbons)、ベースとヴォーカルのダスティ・ヒル(Dusty Hill)の両アゴヒゲ親父と、ドラムスのフランク・ベアード(Frank Beard)の3人でずっと活動していたが、昨年7月にダスティが逝去。ダスティの後任は彼のギターテックだったエルウッド・フランシス(Elwood Francis)が務めることとなり、バンドは現在も活動中である。 ZZトップといえば、83年にリリースされた8thアルバム「イリミネイター(Eliminator)」からの大ヒット曲 “レッグス(Legs)” や、85年の9thアルバム「アフターバーナー(Afterburner)」からの “スリーピング・バッグ(Sleeping Bag)” や “ステージス(Stages)” といった曲のPVが、当時の洋楽番組でバンバン流れていた。 個人的には同じく「アフターバーナー」からシングルカットされ、86年7月にリリースした “ヴェルクロ・フライ(Velcro Fly)” のPVが大好きだ。86年8月にリリースされて全米1位に輝いたバングルス(The Bangles)の “エジプシャン(Walk Like an Egyptian)” のお手手つんつんエジプシャン踊りPVとややカブってしまったが、ヒゲ面オヤジ達のぎこちないエジプシャン踊りも実に微笑ましい。ちなみに振付はポーラ・アブドゥル(Paula Abdul)が担当したのだとか。彼女のアルバムってどうして当時あんなに売れたのだろう? ZZトップは長距離トラック乗りの運ちゃん達からエラく愛されていたそうで、日本で言うところの “トラック野郎の女神” と呼ばれた八代亜紀さん的ポジションだったらしい。 80年代はちょっとポップ寄りだったが、元々はブルース・ロック・バンドである。演奏技術もなかなかのモンらしく、若かりし頃はジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)に「アメリカで最も有望な若手ギタリスト」と称されたという(Wikiさん参照)。 この「皆殺しの挽歌」に収録されている曲もなかなかブルージーな感じで格好いい。トラックの運ちゃんが長々と聴いても決して飽きることはないだろう。 そんなZZトップに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ あの娘は自動車に夢中 ハイ・ファイ・ママ チンピラ・ダンディ
2022.03.11
コメント(0)
『恐怖のショック療法』 エドガー・ウィンター・グループ 「Shock Treatment」 The Edgar Winter Group (74) ★ウィンター・ファミリー・第3弾!! 暴虐とロマンの触発―それはロックによるエクソシズムの復活である!! 今聞け、この恐怖と戦慄を巻き起こす悪魔の叫びを!A面 1. 俺達は野獣だ! - Some Kinda Animal 2. イージー・ストリート - Easy Street 3. 落日のハイウェイ - Sundown 4. 悪魔の少女 - Miracle Of Love 5. うす汚れたブルース - Do Like MeB面 1. ロックンロール・ウーマン - Rock & Roll Woman 2. 待ちわびた誘惑 - Someone Take My Heart Away 3. ロックンロール・クィーン - Queen Of My Dreams 4. 君を抱きしめて - Maybe Some Day You'll Call My Name 5. 星空にドライブ - River's Risin' 6. 暴虐とロマンの野獣たち - Animal 邦題好きにはすっかりお馴染みである、74年にリリースされたエドガー・ウィンター(Edgar Winter)の4thアルバム「恐怖のショック療法(Shock Treatment)」。 これがまた実に素晴らしいアルバムなので、ジャケットや帯文句、邦題に騙されないように。 音楽は勿論のこと、映画やドラマでもそうだが、70年代の娯楽は大人が対象だった。なので見応え、聴き応えのある作品が多い。 今までは青春時代を過ごした80年代カルチャーこそ至高!と思っていたのだが、永遠も半ばが見え始めたあたりから、70年代の作品を好むようになってきた。特にファンク系の音楽なんてこれまで全く興味がなくて聴くこともなかったのに、今更ながらすっかり魅了されている。 この調子だとあと5年ぐらいしたら演歌にどっぷりハマっちゃうかも!? さて、エドガー・ウィンター・グループのメンバーはというと、プロデューサーも兼ねているギターのリック・デリンジャー(Rick Derringer)がこの年から正式に加わり、メンバーはキーボード、サックス兼ヴォーカルのエドガー・ウィンター、ベース兼ヴォーカルのダン・ハートマン(Dan Hartman)、ドラムスのチャック・ラフ(Chuck Ruff)の4人。 このアルバムで個人的にお気に入りは1曲目の “俺達は野獣だ!(Some Kinda Animal)” や、“ロックンロール・クィーン(Queen Of My Dreams)” あたりかな。バラードも佳曲揃いだ。 75年には「謎の発光物体(The Edgar Winter Group with Rick Derringer)」という、原題無視のイカした邦題のアルバムもリリースされているが、これは単にアルバムジャケットを見たまま付けられたのだろうと思われる。 そんなエドガー・ウィンター・グループに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 俺達は野獣だ! ロックンロール・クィーン 星空にドライブ
2022.03.09
コメント(0)
『ジャングルでファン・ファン・ファン』 バウ・ワウ・ワウ 「See Jungle! See Jungle! Go Join Your Gang Yeah, City All Over! Go Ape Crazy! 」 Bow Wow Wow (81) 毎日、毎日が新しいショーの連続。 さあ、TVを消して、雑誌を閉じてドレス・アップ&ドロップ・アウト! ジャングル・ビートにのって新しい冒険が始まる。A面 1. ジャングル・ボーイ - Jungle Boy 2. チワワは素敵な愛言葉 - Chihuahua 3. シナー・シナー・シナー(プリンス・オブ・ダークネス) - Sinner! Sinner! Sinner! 4. やめてよミッキー - Mickey, Put It Down 5. TVサベージ - (I'm A) T.V. Savage 6. 憧れのダンス・コンテスト - Elimination DancingB面 1. ガリー・ガリー・ゴー・バディ - Golly! Golly! Go Buddy! 2. キングコング - King Kong 3. ワイルド・イン・ザ・カントリー - Go Wild In The Country 4. 無関心・無関係 - I'm Not A Know It All 5. おりこうさんね - Why Are Babies So Wise 6. オランウータン - Orang-outang 7. ハロー・ハロー・ダディ - Hello, Hello Daddy 前回のアダム・&ジ・アンツ(Adam & The Ants)を取り上げた際にバウ・ワウ・ワウ(Bow Wow Wow)にも少し触れたが、今回はそのバウ・ワウ・ワウが81年にリリースした2ndアルバム「ジャングルでファン・ファン・ファン(See Jungle! See Jungle! Go Join Your Gang, Yeah, City All Over!Go Ape Crazy!)」について。 邦題のファン・ファン・ファンって何やねん!? と思いつつも、元々長ったらしい原題の持つ雰囲気を損なうことなく表現した割といい邦題のような気がする。ただ、口に出して言い辛いという難点はあるが。 セックス・ピストルズ(Sex Pistols)を仕掛けて大成功したマルコム・マクラーレン(Malcolm McLaren)は一時期アダム&ジ・アンツのマネージャーも務めており、そのアダムとアリさん達からアダム以外のメンバーを引き抜き、クリーニング屋で働いていた14歳の女の子を加えて結成したのがバウ・ワウ・ワウである。(ちなみにマルコムに裏切られ、本格デビュー前に一人残されたvo.のアダム・アント(Adam Ant)は、その後新たなメンバーでデビュー・アルバムをリリースし、2ndアルバムで見事に大ブレイクした) 一方のバウ・ワウ・ワウのメンバーは先程書いたとおり元アリさん達であるギターのマシュー・アッシュマン(Matthew Ashman)、ベースのリー・ゴーマン(Leigh Gorman)、ドラムのデイヴィッド・バルバロッサ(David Barbarossa)に、10代半ばのビルマ系女の子ヴォーカルであるアナベラ・ルウィン(Annabella Lwin)を迎えた4人組。 80年に1stアルバム「Your Cassette Pet」をカセットテープのみでリリースするもこりゃアカンわ、ということで翌81年に長ったらしいタイトルの2ndアルバム「ジャングルでファン・ファン・ファン」をレコードリリース。 アナベラのジャケットのヌード(マネの絵画「草上の昼食」を模している)やモヒカン頭などが話題になったりしたもがセールスは今ひとつで、ピストルズやアダム&ジ・アンツのような成功には至らなかったのであった。 個人的にはシングルカットされて全英51位という微妙な記録を残した “チワワは素敵な愛言葉(Chihuahua)” なんか、今でも結構好きなんだけどね。 そんなバウ・ワウ・ワウに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ チワワは素敵な愛言葉 ガリー・ガリー・ゴー・バディ おりこうさんね
2022.03.08
コメント(0)
『アダムの王国』 アダム&ジ・アンツ 「Kings of the Wild Frontier」 Adam & The Ants (80) 美と暴力の新たなる英雄伝説A面 1. ドッグ・イート・ドッグ - Dog Eat Dog 2. アント・ミュージック - Antmusic 3. ライオンの餌食 - Feed Me To The Lions 4. ロス・ランチェーロス - Los Rancheros 5. 蟻の侵略 - Ants Invasion 6. ザ・キラー - Killer In The HomeB面 1. 略奪の凱歌 - Kings Of The Wild Frontier 2. 五人の英雄 - The Magnificent Five 3. マジになるな - Don't Be Square (Be There) 4. ジョリー・ロジャー - Jolly Roger 5. 歴史を刻む - Making History 6. 人間 - The Human Beings 唐突ですが、“海賊” といえば誰を思い浮かべますか? おそらく大半の方は漫画「ONE PIECE」の登場人物、もしくは「パイレーツ・オブ・カリビアン(Pirates of the Caribbean)」でジャック・スパロウ(Jack Sparrow)役を演じたジョニー・デップ(Johnny Depp)あたりを答えるだろう。ひょっとするとコブラやハーロックといった宇宙海賊が浮かんだ方もいるかもしれないが。 だが70~80年代の洋楽好きであれば、頭の片隅にチラッと彼の姿が過ぎったはずである。 何だかよく分からない化粧を施して洒落た海賊ファッションに身を包み、ニュー・ロマンティック・ブームの先駆けともいわれたあの男、そう、アダム・アント(Adam Ant)である。 今回はアダムと彼のバンド、アダム&ジ・アンツ(Adam & The Ants)が80年にリリースした2ndアルバム、「アダムの王国(Kings of the Wild Frontier)」を取り上げたい。 79年にデビューアルバム「ダーク・ウェアズ・ホワイト・ソックス(Dirk Wears White Sox)」をリリースするも、その後マネージャーだったマルコム・マクラレン(Malcolm McLaren)にバンドメンバーをごっそり引き抜かれてしまったアダム。何とも気の毒な…(ノω・、)(ちなみに、その引き抜かれたメンバー達に10代半ばの女の子ヴォーカルを加えてマルコムが仕掛けたバンドがバウ・ワウ・ワウ(Bow Wow Wow)である) しかし気を取り直して新メンバーで80年にリリースした2nd「アダムの王国」が、なんと英国で10週連続1位を記録する大ヒット!おおッ、まさに捨てる神あれば拾う神あり。 シングルカットされた “ドッグ・イート・ドッグ(Dog Eat Dog)” は全英4位、“アント・ミュージック(Antmusic)” も全英2位に。 更に翌81年には3rdアルバム「プリンス・チャーミング(Prince Charming)」を発表。アルバムは英国で2位だったが、シングルリリースされた “プリンス・チャーミング(Prince Charming)” と “スタンド・アンド・デリバー(Stand and Deliver)” は見事全英1位に輝いた。 だが82年にバンドはあっさり解散。以降アダムはソロとして活躍。一時は精神病院に送られたり、暴行事件を起こしたりもしたが、現在もなお活動中である。 今回のアルバムとは関係ないが、アダム&蟻さん達のPVで個人的に大のお気に入りなのは “プリンス・チャーミング” だ。 シンデレラに扮した素顔のアダムがそれはもう、めちゃめちゃキュートなのである♪ 是非とも後ほど見ていただきたい。 さて、マルコムにメンバーを引き抜かれた後、新たに集まった蟻さん達はというと…。 アダムの右腕ともいうべきギターのマルコ・ピローニ(Marco Pirroni)、ベースのケヴィン・ムーニー(Kevin Mooney)、ドラムスのテリー・リー・マイアル(Terry Lee Miall)、同じくドラムスのメリック(Merrick)の4人。でもってこのメリック、実はプロデューサーでもあるクリス・ヒューズ(Chris Hughes)と同一人物なのだ。 テリーとメリックのツイン・ドラムによるアフリカン・ビートと、マルコム&当時彼のパートナーだったヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)が手掛けた華麗な海賊ファッションに身を包んだ世界一美しい男(ぷぷッ、アルバムの帯にそう書いてあるんだもん。でも確かによく見ればかなりのイケメン)・アダムに当時のロンドンっ子が夢中になったのも当然だろう。 そんなアダム&蟻さん達に興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ドッグ・イート・ドッグ アント・ミュージック 略奪の凱歌おまけ プリンス・チャーミング
2022.03.05
コメント(0)
『伝書鳩飼育家』 ジュルヴェルヌ 「Coulonneux」 Julverne (79) ベルギー出身のチェンバー・ロック・グループ。アコースティック楽器を使用し、エリック・サティの精神をロックの中で昇華させたとでもいうべき作品。彼等のディスコグラフィーの中でも極めつけのレア盤であったファーストが遂にCD化成る!(09年にリリースされたCD帯より)A 面 1. 神経衰弱の王子様 - Le Fils Du Roy Est Névrosé 2. メリー・クリスマス、ネモ船長! - Joyeux Noël Cap'tain Nemo! 3. フランクリンは熱い紅茶を飲む - Franklin Prend Son Thé Chaud 4. 大麻の植え方を知ってるかい? - Savez-Vous Planter Du Chanvre? 5. 曲馬団のワルツ1 - Valse Cirque IB 面 1. マンモスのおなら - Prout De Mammouth 2. 政府広報 - Communiqué Gouvernemental 3. 曲馬団のワルツ2 - Valse Cirque II 4. 蘭語のお勉強 - 'T Kofschip 5. 3、3、2 - Trois Trois Deux チェンバー・ロックとは、ロック以外のジャンルと結びつきが強いプログレッシブ・ロックのなかでも、とりわけ室内楽的なアプローチを大きく打ち出した音楽ジャンル――なのだそうな。 今回取り上げる邦題アルバムは、ベルギーのチェンバー・ロック・バンド、ジュルヴェルヌ(Julverne)が79年にリリースしたデビューアルバム「伝書鳩飼育家(Coulonneux)」。88年発売の4th「不幸な話は止めるべし(Ne Parlons pas de Malheur)」とどちらを取り上げようか迷ったが、楽曲の邦題の素晴らしさで1stを選んだ次第である。“大麻の植え方を知ってるかい?(Savez-Vous Planter Du Chanvre?)” って… 元々はベルギーの民謡楽団だったとかいうジュルヴェルヌ。この頃はギター、フルート、バイオリン×2、ピアノ、トランペット、トロンボーン、チェロの8人編成だったらしい。よく知らないけど。 まぁ音楽的にはロックというよりクラシックに近いような感じ。午後の音楽室で、机に突っ伏してうつらうつら聴くのが似合いそうだ。 ちなみにこのヌルヌルしてそうなバンド名は、“SFの父” と呼ばれるフランスの作家、ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)から取ったという。「地底旅行(Voyage au centre de la terre)」や「海底二万里(Vingt mille lieues sous les mers)」、「八十日間世界一周(Le tour du monde en quatre-vingt jours)」等で日本でもお馴染。 “メリー・クリスマス、ネモ船長!(Joyeux Noël Cap'tain Nemo!)” のネモ船長とは「海底二万里」に登場する潜水艦・ノートラス号の艦長で、インド・バンデルカンド地方の大公の王子という設定。このネモ船長のモデルは、18世紀にイギリスがインドを侵略する中で、南インドにおいて反英闘争にその一生を費やし、「マイソールの虎(Tiger of Mysore)」と畏怖されたティプー・スルターン(Tipu Sultan)。 Wikiさんによると当初の案では、ネモ船長は1863年の1月蜂起で家族をロシア人に虐殺されたポーランド貴族という設定だったらしい。ロシア…2月24日にはウクライナ侵攻が開始されたけど――と、一応時事問題にも触れてみたりして。この先どうなるんでしょうね。まぁジュルヴェルヌには全く関係ないけど。 そんなジュルヴェルヌに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 神経衰弱の王子様 メリー・クリスマス、ネモ船長!
2022.03.04
コメント(0)
『競獅子』 ナザレス 「Rampant」 Nazareth (74) イギリスのメロディ・メイカー選出のプライテスト・ホープに輝いたナザレスが、その実力を如何なく発揮し、着実に前進した姿を見せ付けた好アルバム!デビュー一年後にして早くも余裕すら見せた姿が浮かんでくる!A面 1. にせ金づくりの詩 - Silver Dollar Forger (Parts 1&2) 2. 顔も見たくない - Glad When You're Gone 3. ラヴド・アンド・ロスト - Loved And Lost 4. 上海の札つき野郎 - Shanghai'd In ShanghaiB面 1. ジェット・ラグ - Jet Lag 2. ライト・マイ・ウェイ - Light My Way 3. サンシャイン - Sunshine 4. a) シェイプス・オブ・シングス - Shapes Of Things b) スペース・サファリ - Space Safari 68年にスコットランドで結成された老舗ハードロック・バンド、ナザレス(Nazareth)が74年にリリースした5thアルバム「競獅子(Rampant)」。“きおいじし” と読むらしい。意味はよく分からないけど。スコットランドの国章が “Lion Rampant” というそうで、ランパント(Rampant)は紋章学で紋章動物(この場合はライオン)が執る姿勢の名称の一つのようだが、それがこのアルバムタイトルと関係しているのかは不明。 72年リリースの2ndアルバムはロイ・トーマス・ベイカー(Roy Thomas Baker)がプロデュースしているが、73年の3rd、74年の4th「威光そして栄誉(Loud 'n' Proud)」、そしてこの5th「競獅子」のプロデューサーは、ディープ・パープル(Deep Purple)のベーシスト、ロジャー・グローヴァー(Roger Glover)が務めている。いい仕事してるなぁ、ロジャーさん。 結成は何と68年!71年のデビューから半世紀経った今もなお現役で頑張っているナザレスの当時のメンバーはというと、ヴォーカルのダン・マッカファーティー(Dan McCafferty)、ギターのマニー・チャールトン(Manny Charlton)、ベースのピート・アグニュー(Pete Agnew)、そしてドラムスのダレル・スウィート(Darrell Sweet)の4人。 当時から未だバンドで頑張っているのはピートのみで、ダンとマニーはソロになり、ダレル・スウィートは99年に51歳の若さで心臓発作により亡くなっている。 ナザレスといえば、75年にリリースした6thアルバム「人食い犬(Hair of the Dog)」が米国やカナダでヒットして名をあげたが、この「競獅子」だって決して捨てたモンではなく(英国では既にそこそこ人気があったため13位とまずまずの順位であったが、米国では157位、カナダでも80位だった)、個人的にはかなり好みのアルバムだ。 1曲目の “にせ金づくりの詩(Silver Dollar Forger)” からして邦題共々イカしてる(昭和の死語)!続く “顔も見たくない(Glad When You're Gone)” もノリは最高! もしまだナザレスを聴いたことがないという方、騙されたと思って是非とも聴いてみてくだされ。おすすめです(o^-')b そんなナザレスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ にせ金づくりの詩 顔も見たくない 上海の札つき野郎
2022.03.03
コメント(0)
『リーダーに続け!』 キリング・ジョーク 「What's THIS For...!」 Killing Joke (81) オルターナティヴの革命児たちキリング・ジョークよ………その原始のパワーとビートで混沌と危機のロック・シーンを打ち砕け!!A面 1. ザ・フォール・オブ・ビコーズ - The Fall of Because 2. テンション - Tension 3. アンスピーカブル - Unspeakable 4. ブッチャー - ButcherB面 1. フォロー・ザ・リーダー - Follow the Leaders 2. マッドネス - Madness 3. フー・トールド・ユー・ハウ - Who Told You How? 4. イグジット - Exit 英国のポストパンク・バンド、キリング・ジョーク(Killing Joke)が81年にリリースした2ndアルバム「リーダーに続け!(What's THIS For ...!)」。アルバムタイトルの邦題は非常に良いのだが、全曲邦題なしなのが誠に残念である。 18年にフォーブス誌が発表した「世界で最も革新的なリーダートップ10(The World's Most Innovative Leaders)」によると、1位は私も大変お世話になっているAmazon.comのジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏、2位はテスラのイーロン・マスク(Elon Musk)氏、3位はFacebookのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏であったが、コテコテの昭和人間である私の脳裏にリーダーと聞いて即座に思い浮かんだ方といえば、何といってもドリフターズのいかりや長介さんである。オイーッス! 個人的に日本の3大リーダーといえばいかりやさんと、コント赤信号の渡辺さん(待たせたな!)と……あとは強いてあげればTOKIOの城島さんかな? さて、キリング・ジョークの当時のメンバーはというと、ヴォーカル&キーボードのジャズ・コールマン(Jaz Coleman)、ギターのジョーディー・ウォーカー(Geordie Walker)、ベースのマーティン・グローヴァー(Martin "Youth" Glover)、そしてドラムスのポール・ファーガソン(Paul Ferguson)の4人組。 インダストリアル・ロックの先駆的存在ということだが、以前取り上げたアインシュテュルツェンデ・ノイバウテン(Einstürzende Neubauten)などと比較して随分聴き易いのは、ポストパンク色の方が濃いからか。インダストリアルが苦手な方でも、このアルバムは然程抵抗なく聴けると思う。 このアルバムから唯一シングルカットされた曲が “フォーロー・ザ・リーダー(Follow the Leaders)”。アルバムタイトルの邦題はここから来ている。ちなみに英国チャートでは55位だったようで、アルバムの方も英国で42位という結果だった。まぁ、この手の音楽が爆発的にヒットすることはないだろうけど。 おすすめはやはり1曲目の “ザ・フォール・オブ・ビコーズ(The Fall of Because)” かな。ギターとドラムが実に格好いい。 そんなキリング・ジョークに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ テンション ザ・フォール・オブ・ビコーズ フォロー・ザ・リーダー
2022.02.28
コメント(0)
『地獄の回想』 キッス 「Lick It Up」 Kiss (83) デビュー10周年を機に神秘のベールに被いかくされたその素顔が今… この下にあるのはキミ達が知ろうとして知り得なかったジーンの、ポールの、そしてエリック、ヴィニーのノー・メイクの素顔だ! ヒット作「暗黒の神話」同様、マイケル・ジェームス・ジャクソンとジーン、ポールが満身の力を込めてプロデュースした会心のハード・ロック!A面 1. エクサイター - Exciter 2. 暴虐の炎 - Not for the Innocent 3. 地獄の回想 - Lick It Up 4. 青い暴走 - Young and Wasted 5. ギミー・モア - Gimme MoreB面 1. 地獄の饗宴 - All Hell's Breakin' Loose 2. 至上の愛 - A Million to One 3. 悪魔の欲情 - Fits Like a Glove 4. ダンス・オール・オーヴァー - Dance All Over Your Face 5. 8日目の新世界 - And on the 8th Day キッス(Kiss)といえば昔も今もメイク顔でお馴染みだが、私が洋楽を聴くようになった80年代半ばには既に素顔を晒していたので、個人的には逆にメイク顔の方が馴染めなかったりする。 そんなキッスが初めてジャケットに素顔で登場したのが、83年にリリースされた彼等の11thアルバム「地獄の回想(Lick It Up)」だ。当時のファンにしてみれば、かなりの衝撃だったに違いない。日本盤にはメイク顔写真のカバーが掛けられていたのだとか。でもまぁ、言っちゃ何だが皆さん割と素顔は普通っぽいよね このアルバムをリリースした時のメンバーは、リズムギター&ヴォーカルのポール・スタンレー(Paul Stanley)、ベース&ヴォーカルのジーン・シモンズ(Gene Simmons)、リードギターのヴィニー・ヴィンセント(Vinnie Vincent)、そしてドラムスのエリック・カー(Eric Carr)の4人。 このアルバムから前任のエース・フレーリー(Ace Frehley)に代わり正式メンバーとなったヴィニーであったが、結局このアルバムのみで脱退を余儀なくされてしまった。またエリックは91年、心臓癌により41歳という若さで他界した。 95年にはスタンレー、シモンズ、フレーリー、そしてドラムスのピーター・クリス(Peter Criss)というオリジナルメンバーが15年ぶりに再集結したものの、00年にクリスが脱退。後任にはエリック・カー亡き後キッスに加入したエリック・シンガー(Eric Singer)が戻るも、02年にはフレーリーが脱退。元ブラック・アンド・ブルー(Black 'N Blue)のギタリストで、バンドがレコード会社から契約を解消されてからはキッスの雑用係やツアー・マネージャー等をこなしていたトミー・セイヤー(Tommy Thayer)がフレーリーの後任として加入し、現在に至っている。 キッスは19年スタートのワールドツアー後に活動を停止するとの発表を行い、21年7月がラストステージとなるはずであったが、新型コロナウイルス感染症拡大でツアースケジュールが変更。どうやら今年の10~11月頃に最終公演が行われる模様である。まだどうなるか分からないけど…。 前回、スコーピオンズ(Scorpions)のアルバムを取り上げた折に彼等のアルバム邦題、「蠍団」シリーズ をつらつらと紹介したが、キッスの邦題といえば「地獄」シリーズである。 この「地獄」シリーズが始まるきっかけとなったのが、74年にリリースされた2ndアルバム「地獄のさけび(Hotter Than Hell)」である。このアルバムのジャケットには何故か日本語で「地獄のさけび」と書かれていたり、メンバー名がカタカナ表記されていたりする。 とはいえ改めてキッスの邦題を見てみると、74年のデビューアルバムから5枚連続で地獄モノが続いてはいるが(+ライヴアルバム1枚)、その後は飛び飛びで2枚ほどあるだけで、何故か素顔を晒した途端に邦題が付かなくなってしまった。 地獄邦題が復活したのは世紀末も近い96年、彼等がMTVアンプラグドに出演した際のライヴアルバム「停電 (地獄の再会)(Kiss Unplugged)」からで、以降はライヴやベスト、BOX盤などでちらほらタイトルに地獄の文字が見える。スタジオアルバムでの復活は12年にリリースされた「モンスター 地獄の獣神(Monster)」で、およそ30年ぶりのことであった。 74年 「キッス・ファースト 地獄からの使者」 Kiss 74年 「地獄のさけび」 Hotter Than Hell 75年 「地獄への接吻」 Dressed to Kill 75年 「地獄の狂獣 キッス・ライヴ」 Alive! 76年 「地獄の軍団」 Destroyer 76年 「地獄のロックファイアー」 Rock and Roll Over 77年 「ラヴ・ガン」 Love Gun 79年 「地獄からの脱出」 Dynasty 80年 「仮面の正体」 Unmasked 81年 「エルダー 魔界大決戦」 Music From “The Elder” 82年 「暗黒の神話」 Creatures of the Night 83年 「地獄の回想」 Lick It Up : 96年 「停電 (地獄の再会)」 Kiss Unplugged 03年 「アライヴ4 ~地獄の交響曲~」 Kiss Symphony: Alive IV 08年 「地獄烈伝」 Jigoku-Retsuden (国内盤ベスト) 12年 「モンスター 地獄の獣神」 Monster など そんなキッスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 地獄の回想 地獄の饗宴 悪魔の欲情
2022.02.27
コメント(0)
『禁断の刺青』 スコーピオンズ 「Love at First Sting」 Scorpions (84) セックス+ヴァイオレンス+エレガンス。蠍の毒針は熱い。 ジャーマン・ヘヴィ・メタル・モンスター、スコーピオンズが「ブラックアウト」以来2年振りに放ったパーフェクト・オリジナル・アルバム。A面 1. バッド・ボーイズ・ランニング・ワイルド - Bad Boys Running Wild 2. ハリケーン - Rock You Like A Hurricane 3. アイム・リーヴィング・ユー - I'm Leaving You 4. カミング・ホーム - Coming Home 5. ザ・セイム・スリル - The Same ThrillB面 1. ビッグ・シティ・ナイツ - Big City Nights 2. グッド・タイムズ・ロール - As Soon As The Good Times Roll 3. クロスファイヤー - Crossfire 4. スティル・ラヴィング・ユー - Still Loving You ドイツが誇る老舗ヘヴィ・メタル・バンドであるスコーピオンズ(Scorpions)との出会いは、83年にTV放映された「US Festival '83」で演奏していた “キャント・ゲット・イナフ(Can't Get Enough)” だった。ハリのある伸びやかなヴォーカル、ツインギターの迫力、圧倒的なライヴパフォーマンス…もう何もかも全てにシビれた… 翌84年にリリースされたアルバムを購入して幾度と無くひたすら聴きまくったのだが、そのアルバムこそ言わずと知れた名盤中の名盤「禁断の刺青(Love at First Sting)」であった。 ジャケットの兄さん、あまり顔は写ってないけど雰囲気がめっちゃ格好いい♪ シングルカットされた “アイム・リーヴィング・ユー(I'm Leaving You)” や “ハリケーン(Rock You Like A Hurricane)” のPVはしょっちゅう洋楽番組で流れていたが、個人的に一押しなのは “ザ・セイム・スリル(The Same Thrill)”。 ただこのアルバム、全曲邦題無しなのがちょいと残念なんだけどね。 この当時のスコーピオンズ(以下スコピー)のメンバーはというと、ヴォーカルのクラウス・マイネ(Klaus Meine)にリズム・ギターのルドルフ・シェンカー(Rudolf Schenker)、リード・ギターのマティアス・ヤプス(Matthias Jabs)、ベースのフランシス・ブッフホルツ(Francis Buchholz)とドラムスのハーマン・ラレベル(Herman Rarebell)の5人。 ルドルフがスコピーを結成したのは、何と今から半世紀以上も前の1965年のこと。その後クラウスと、ルドルフの実弟であるマイケル・シェンカー(Michael Schenker)が加入し、72年にデビュー・アルバム「恐怖の蠍団(Lonesome Crow)」をリリース。 しかしマイケルはUFOに移籍、彼の後任として加入したのがギター仙人、ウルリッヒ・ロート(Ulrich Roth)。ウリ(ウルリッヒ)が78年に脱退した後にマティアスが加入した。 80年代に入るや、英国で起こったNWOBHM(New Wave of British Heavy Metal)に端を発したHR/HMブームが到来。MTVの放送開始もあり、彼等のアルバムも大ヒットを記録した。その後もモスクワやベルリンなど、世界各地で歴史的なライヴを行い話題になったりもした。 2010年に解散を表明したものの、その後あっさり撤回。クラウス、ルドルフ、マティアスの3人は変わらずで、ベースにパウエル・マキオダ(Paweł Mąciwoda)、ドラムスには元モーターヘッド(Motörhead)のミッキー・ディー(Mikkey Dee)を迎え、スコピーは現在も活動中だ。 スコピーのアルバム邦題といえば「蠍団」シリーズである 72年にリリースされた1stから79年のライヴ盤まで「蠍団」が続いたものの、79年の「ラヴドライヴ(Lovedrive)」で残念ながらストップ。その後、79年と80年のベストを除くと「蠍団」はすっかり影を潜めてしまった。 …かに思えたが、21世紀になると何故か再び「蠍団」シリーズが突如復活! 72年 「恐怖の蠍団」 Lonesome Crow 75年 「電撃の蠍団」 Fly to the Rainbow 76年 「復讐の蠍団」 In Trance 77年 「狂熱の蠍団~ヴァージン・キラー」 Virgin Killer 78年 「暴虐の蠍団」 Taken by Force 78年 「蠍団爆発! スコーピオンズ・ライヴ」 Tokyo Tapes 79年 「ラヴ・ドライヴ」 Lovedrive 79年 「蠍伝説~スコーピオンズ・ベスト」 Best of Scorpions 80年 「電獣~アニマル・マグネティズム」 Animal Magnetism 80年 「蠍団帝国 スコーピオンズ・ベストII」 Scorpions Best 2 (国内盤) 82年 「蠍魔宮~ブラックアウト」 Blackout 84年 「禁断の刺青」 Love at First Sting : 00年 「栄光の蠍団 モーメント・オブ・グローリー」 Moment of Glory 04年 「反撃の蠍団」 Unbreakable 07年 「蠍団の警鐘 ヒューマニティー:アワー I」 Humanity: Hour I 10年 「蠍団とどめの一撃」 Sting in the Tail 15年 「祝杯の蠍団 リターン・トゥ・フォエヴァー」 Return to Forever そんなスコピーに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ハリケーン アイム・リーヴィング・ユー ザ・セイム・スリル
2022.02.26
コメント(0)
『夢博士の告白』 ケヴィン・エアーズ 「The Confessions of Dr. Dream and Other Stories」 Kevin Ayers (74) 鬼才ケヴィン・エアーズの幽玄なる夢の世界は果てしなく拡がる。 マイク・オールドフィールド、イーノ、ニコ等がゲストで特別参加A面 1. デイ・バイ・デイ - Day By Day 2. シー・ユー・レイター - See You Later 3. ティル・アイ・ソート・オブ・ユー - Didn't Feel Lonely Till I Thought Of You 4. オール・ザ・タイム・ブルース - Everybody's Sometime And Some People's All The Time Blues 5. 往きはよいよい帰りは怖いのバラード - It Begins With A Blessing / Once I Awakened / But It Ends With A Curse 6. ボールベアリング・ブルース - Ballbearing BluesB面 1. 夢博士の告白 - The Confessions Of Doctor Dream (a) 耐え難き心の痛手 - Irreversible Neural Damage (b) 誘い - Invitation (c) ワン・チャンス・ダンス - The One Chance Dance (d) ドリーム博士のテーマ - Doctor Dream Theme 2. トゥー・ゴーズ・イントゥ・フォー - Two Goes Into Four 「夢博士の告白(The Confessions of Dr. Dream and Other Stories)」は英国のロック・バンド、ソフト・マシーン(Soft Machine)を68年に脱退したケヴィン・エアーズ(Kevin Ayers)が74年にリリースした、5枚目のソロアルバムだ。 (ほぼ)直訳しただけの邦題だが、なかなか洒落たタイトルである。 帯に名前が挙がっている3人のうちマイク・オールドフィールド(Mike Oldfield)といえば、何といっても73年公開のホラー映画「エクソシスト(The Exorcist)」の有名すぎるテーマ曲、“チューブラー・ベルズ(Tubular Bells)” でお馴染みだが、彼は70年からケヴィン・エアーズのバックバンドであるザ・ホール・ワールド(The Whole World)に加わっており、このアルバム以外にもいくつか参加している。 また、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)が67年にリリースした、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)によるバナナ絵ジャケットが印象的なデビュー・アルバム、「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ(The Velvet Underground and Nico)」で何曲かヴォーカルをとっているニコ(Nico)も、“耐え難き心の痛手(Irreversible Neural Damage)” にヴォーカルで参加。 しかしながらロキシー・ミュージック(Roxy Music)を73年に脱退したブライアン・イーノ(Brian Eno)は…このアルバムに参加してたっけ? この3人とケヴィンが揃ったアルバムといえば、74年にリリースされたライヴアルバム「悪魔の申し子たち - その歴史的集会より(June 1, 1974)」である。何だか聖飢魔IIっぽい邦題のこのアルバムは、「夢博士の告白」の発売を記念してライヴイベントを開催することになった際、同じレーベル(アイランド・レコード)所属アーティストのプロモーションもぶつけたらどうか、ということで無理やりブッキングされたのだとか。 このアルバム、邦題は結構好きだけど音楽的にはちょっと私の好みではない。ただ、この時代特有のもやもやっとしたサイケ感はいいよね。 そんなケヴィンに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 夢博士の告白(Full Album)
2022.02.25
コメント(0)
『初めての***AHH』 ポイズン 「Open Up and Say... Ahh!」 Poison (88) 一度ためしたら、二度と元には戻れない――。チョット危いポイズンの、とびっきりのセカンド・アルバム! 1. ラブ・オン・ザ・ロックス - Love on the Rocks 2. ナッシン・バット・ア・グッド・タイム - Nothin' but a Good Time 3. バック・トゥ・ザ・ロッキング・ホース - Back to the Rocking Horse 4. グッド・ラブ - Good Love 5. ティアリン・ダウン・ザ・ウォールズ - Tearin' Down the Walls 6. ルック・バット・ユー・キャント・タッチ - Look But You Can't Touch 7. フォーリン・エンジェル - Fallen Angel 8. エブリー・ローズ・ハズ・イッツ・ソーン - Every Rose Has Its Thorn 9. ママはダンスを踊らない - Your Mama Don't Dance 10. バッド・トゥ・ビー・グッド - Bad to Be Good 86年にデビューしたLAメタルバンド、ポイズン(Poison)が88年にリリースした2ndアルバム「初めての***AHH(Open Up and Say... Ahh!)」。コレ、どう読むのが正解なんだろ?「アイ・アイゲーム」視聴世代としては山城新伍さん風に「初めてのチョメチョメ…アッー!」ってな感じ!? いや、これだとちょっとアブないか… このアルバム邦題はなかなか良いと思うのだが、やはり読みづらかったせいなのか、今では原題どおり「オープンアップ・アンド・セイ...AHH!」となっている。 88年発売なので当初からCDでリリースされているため、A面もB面もないのが寂しい。 デビューした頃は真っ先に消えそうなバンドだったにもかかわらず、メンバーもほぼ変わらず現在も活動中のポイズン。 そんなメンバーはというと、ヴォーカル&リズムギターのブレット・マイケルズ(Bret Michaels)、リードギターのC・C・デヴィル(C.C. DeVille)、ベースのボビー・ダル(Bobby Dall)、ドラムスのリッキー・ロケット(Rikki Rockett)の4人。 この「初めてのチョメチョメ…アッー!」は全米2位を記録し、シングルカットされた4曲もそれぞれ大ヒット! “エブリー・ローズ・ハズ・イッツ・ソーン(Every Rose Has Its Thorn)” が1位に輝いたのを始め、“ナッシン・バット・ア・グッド・タイム(Nothin' but a Good Time)” が6位、“フォーリン・エンジェル” も12位とまずまず。そして翌89年にシングルリリースされた “ママはダンスを踊らない(Your Mama Don't Dance)” も10位に。この “ママは…” という曲は、ケニー・ロギンス(Kenny Loggins)&ジム・メッシーナ(Jim Messina)のデュオ、ロギンス&メッシーナ(Loggins and Messina)が72年に大ヒットさせた曲のカヴァーだったりする。 そんなポイズンに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ エブリー・ローズ・ハズ・イッツ・ソーン ナッシン・バット・ア・グッド・タイム ママはダンスを踊らない
2022.02.24
コメント(0)
『びっくり電話』 10cc 「How Dare You!」 10cc (76) 話題絶頂!! その天才的なサウンド!センスあることば!そしてデリカシーある精神!でロック界を完全にリード!これがスーパー・グループ10cc問題の新アルバム!!A面 1. ハウ・デア・ユー - How Dare You 2. レイジイ・ウェイ - Lazy Ways 3. 世界征服 - I Wanna Rule The World 4. アイム・マンディ - I'm Mandy Fly Me 5. 氷山 - IcebergB面 1. 芸術こそ我が命 - Art for Art's Sake 2. ロックン・ロール・ララバイ - Rock 'n' Roll Lullaby 3. ヘッド・ルーム - Head Room 4. 電話を切らないで - Don't Hang Up 嗚呼、70年代洋楽の何と素晴しいこと!と今更ながらに感動しつつ今回取り上げるのは、英国のロックバンド・10cc が76年にリリースした4thアルバム「びっくり電話(How Dare You!)」。 邦題に負けず劣らず楽曲も素晴しく、その楽曲に関連したジャケットもこれまたいい感じで、実に見事なアルバムに仕上がっている。欲を言えば全曲に邦題を付けてほしかったかな。 裏ジャケも 内ジャケもしまくり 原題の「How Dare You!」とは “なんてことを!” だとか “よくもまぁ!” とかいう意味であるが、19年にNYで開催された国連気候変動サミットで、当時16歳だった環境活動家・グレタちゃん(Greta Thunberg)のスピーチに何度も出てきて取り上げられたことから、今では誰もが知るスラングとなった。 さて、この当時の10ccのメンバーはというと、ヴォーカルとギター、キーボードのエリック・スチュワート(Eric Stewart)に、ベースとヴォーカルのグレアム・グールドマン(Graham Gouldman)、ドラムスとヴォーカルのケヴィン・ゴドレイ(Kevin Godley)、そしてギターとキーボード、ヴォーカルのロル・クレーム(Lol Creme)の4人組。 しかし76年、この「びっくり電話」をリリースした後にケヴィンとロルが脱退。残ったエリックとグレアムはサポートメンバーを加えてバンドを継続し、脱退した二人はゴドレイ&クレーム(Godley & Creme)を結成。 ゴドレイ&クレームといえば、音楽よりもPV監督として80年代に名を馳せた。 デュラン・デュラン(Duran Duran)の放送禁止エロPV “グラビアの美少女(Girls on Film)”、記念すべき第1回MTV Video Music Awardsでいきなり5部門を制したハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の “ロックイット(RockiIt)”、米国のレーガン大統領とソ連のチェルネンコ書記長(のそっくりさん)が取っ組み合いを始める、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(Frankie Goes to Hollywood)のビックリPV “トゥー・トライブス(Two Tribes)” などなど。 また彼等自身のPVでも、85年にシングルリリースされた “クライ(Cry)” は当時かなり話題になったっけ。 10ccのアルバムに話を戻そうと思ったが、このアルバムの素晴しさは既に様々なブロガーさんに書き尽くされているので、今更私如きが書くまでもない。一聴は百見にしかず、是非とも御自身の耳で確かめていただきたい。 ちなみにこのアルバム、英国では5位を、米国では47位を記録したそうな。 そんな10ccに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ A面(ハウ・デア・ユー ~ 氷山) B面(芸術こそ我が命 ~ 電話を切らないで)
2022.02.23
コメント(0)
『第三世界の曙』 エレクトリック・ライト・オーケストラ 「On the Third Day」 Electric Light Orchestra (73) グループの立案者ロイ・ウッドの影を払拭し、ジェフ・リンがイニシアティヴを握って制作されたサード・アルバム。全米チャート入りも果たし、のちの世界的成功を予感させる一作。A面 1. 母なる大海の裂けし時 / 宇宙の帝王 - Ocean Breakup / King of the Universe 2. 青い鳥は絶えたのか? - Bluebird Is Dead 3. 絶望のスーザン - Oh No Not Susan 4. 新世界の曙 / 母なる大海の裂けし時 - New World Rising / Ocean Breakup (Reprise)B面 1. 大いなる夜明け - Daybreaker 2. いとしのベル - Ma Ma Ma Belle 3. 暗黒の夢魔 - Dreaming of 4000 4. 山の大王の広間にて - In the Hall of the Mountain King クラシックとロックが融合したシンフォニック・ロック・バンド、エレクトリック・ライト・オーケストラ(Electric Light Orchestra。以下ELO)が73年にリリースした3rdアルバム、「第三世界の曙(On the Third Day)」。この壮大で美しい邦題は現在も使われていて嬉しいかぎり。 原題の “On the Third Day” は直訳すると “3日目に”。何となく旧約聖書の「創世記」が思い浮かぶが、神は天地創造の過程で3日目には大地(地球)を創り、海が生まれ、地球に植物の生成を命じられたんだっけ 一方、邦題の “第三世界” というのは、終戦からソビエト連邦が崩壊した89年までの東西冷戦時代に、第一世界(欧米など資本主義国家群)にも第二世界(ソ連・中国など共産主義国家群)にも属さない、主に発展(開発)途上国を指して使われていた。しかし冷戦終結とともに第二世界が消滅したことなどにより、第三世界という言葉も公式には使われなくなってしまった。 60年代末~70年代初めに活躍した英国のロック・バンド、ザ・ムーヴ(The Move) のメンバーが中心となって70年に結成されたELO。 72年、2ndアルバム「ELO II」制作中にバンド設立者の一人であったロイ・ウッド(Roy Wood)が脱退。この3rdからは同じく設立者の一人であるジェフ・リン(Jeff Lynne)色が濃くなっている。 ジェフ・リンといえば90年代に発表されたビートルズ(The Beatles)の新曲をはじめ、ジョージ・ハリスン(George Harrison)やポール・マッカートニー(Paul McCartney)、リンゴ・スター(Ringo Starr)のアルバムをプロデュースしたり、ジョージが中心となって88年に結成された謎の覆面バンド、トラヴェリング・ウィルベリーズ(Traveling Wilburys)のメンバーでもあった。 ビートルズは置いといて、この頃のELOのメンバーはというと、ギターとヴォーカルのジェフ・リン(Jeff Lynne)、こちらも設立メンバーの一人であるドラムスのベヴ・ベヴァン(Bev Bevan)、そして72年頃から加わったピアノのリチャード・タンディ(Richard Tandy) 、ベースのマイク・デ・アルバカーキ(Mike de Albuquerque)、バイオリンのミック・カミンスキー(Mik Kaminski)、チェロのマイク・エドワーズ(Mike Edwards)&コリン・ウォーカー(Colin Walker)あたり。ごちゃごちゃして何やよう分かりません。 あ、ジェフ・リンと親しかったT・レックス(T. Rex)のマーク・ボラン(Marc Bolan)もちょこっとギターで参加している。 それにしてもアルバムタイトルに限らず何とも大仰な邦題がズラリと並んでいるが、楽曲の方も負けず劣らず壮大な感じで実に素晴しい! 英国盤以外にはA面5曲目に “ショウダウン(Showdown)” という、73年にシングルリリースされてヒットした、ELOの代表曲の一つともいえるナンバーが収録されている。元々シングルのみの予定だったそうだが人気曲ゆえか、今のベスト盤やリマスター盤には正式に収録されているらしい。 ラストを飾る “山の大王の広間にて(In the Hall of the Mountain King)” はタイトルそのまま、グリーグ(Edvard Grieg)が作曲した「ペール・ギュント(Peer Gynt)」の “山の魔王の宮殿にて(In the Hall of the Mountain King)” をELO風にアレンジしたもの。 ジェフ・リン、恐るべし! そんなELOに興味を持たれた方、クラシック音楽好きの方、ビートルズ好きで未聴の方がいらしたら、是非ともフルアルバムのプレイリストをお聴きいただきたい。こちらをどうぞ♪ 第三世界の曙 ショウダウン
2022.02.20
コメント(0)
『N.Y.ダンステリア』 シンディ・ローパー 「She's So Unusual」 Cyndi Lauper (83) 原宿とN.Y.(ニューヨーク)がドッキング!? アンユージュアル(目立ちたがり)感覚100% !? オンナのコ(みんな)の本音をレインボー・ボイスにのせて、シンディ・ローパー、ダンシング・デビュー!! デビュー・シングル “ハイ・スクールはダンステリア” 全米チャート急上昇中!A面 1. マネー・チェンジズ・エブリシング - Money Changes Everything 2. ハイ・スクールはダンステリア - Girls Just Want to Have Fun 3. ホエン・ユー・ワー・マイン - When You Were Mine 4. 過ぎ去りし想い - Time After TimeB面 1. 闇夜でShe Bop - She Bop 2. 魅惑のスルー・ザ・ナイト - All Through the Night 3. ウィットニス - Witness 4. アイル・キス・ユー - I'll Kiss You 5. ヒズ・ソー・アンユージュアル - He's So Unusual 6. イエー Yeah イエー Yeah - Yeah Yeah 原題を単にカタカナ表記にしただけかと思いきや、実は立派な邦題タイトルであるこのアルバムは、83年にリリースされたシンディ・ローパー(Cyndi Lauper)の記念すべきソロデビュー・アルバムだ。(この前にブルー・エンジェル(Blue Angel)というバンドで80年にアルバムを1枚だけ出している) アルバムの原題「She's So Unusual」というのは、作中でカヴァーしている “He's So Unusual” をもじって付けたものだが、実に彼女にピッタリ!ちなみにこの曲のオリジナルは、「ベティちゃん(Betty Boop)」のモデルとして知られるヘレン・ケイン(Helen Kane)が1929年にリリースしている。 で、邦題の「N.Y.(ニューヨーク)ダンステリア」というのは、このアルバムからの先行デビュー・シングル “ハイ・スクールはダンステリア(Girls Just Want to Have Fun)” に因むものと思われる。ちなみに、この頃はダンステリア(Danceteria)というナイトクラブがN.Y.に実在していたそうな。 …ちょっと待った!そもそも “ハイ・スクールはダンステリア” という邦題が既に残念な感じなのに、それをアルバムタイトルにまで使っちゃアカンでしょ! ということで(かは知らないが)、現在発売されているCDでは邦題が全て姿を消し、アルバムタイトルは勿論のこと全曲ただのカタカナ表記なのだ。それはそれで味気ない気もするが、なんでもシンディ側から邦題にクレームがあったという噂… まぁ確かにせっかく捻って付けたタイトルが、異国で全く意味を成さない言葉に変換されていたら、アーティストもガッカリだわな。昨今の邦題消滅理由って、やっぱりこういうことなんだろうね、寂しいけど。 このソロデビュー・アルバムからは84年のMTV Video Music Awardで最優秀女性アーティストビデオ賞に選ばれた “ハイ・スクールはダンステリア” をはじめ、初の全米1位に輝いた名バラード “過ぎ去りし想い(Time After Time)”、実写とアニメの融合PVが印象深かった “闇夜でShe Bop(She Bop)”、更に “魅惑のスルー・ザ・ナイト(All Through the Night)”、“マネー・チェンジズ・エブリシング(Money Changes Everything)” と5曲もシングルカットされ、そのうち4曲が全米チャート TOP5入りを果たし、85年のグラミー賞では見事最優秀新人賞を受賞した。 でもってシングルカットされた5曲は言わずもがな、今は亡きプリンス(Prince)をカヴァーした “ホエン・ユー・ワー・マイン(When You Were Mine)” や、シンディの弾けっぷりが気持ちいい “アイル・キス・ユー(I'll Kiss You)”、ヘレン・ケインや1920年代の雰囲気を上手く表現している “ヒズ・ソー・アンユージュアル(He's So Unusual)” などもこれまたいい感じで、1曲1曲にシンディの魅力が溢れている素敵なアルバムだ。 そんなシンディの歌を久々に聴きたくなられた方は、こちらをどうぞ♪ 闇夜でShe Bop ハイ・スクールはダンステリア 過ぎ去りし想い シンディの初期PVには、この頃恋人兼マネージャーだったデイヴ・ウルフ(David Wolff)氏がいつも出演していて、観るたびに微笑ましい気分になったものだ。残念ながら別れちゃったけど。
2022.02.18
コメント(0)
『モグラ帝国の逆襲』 レジデンツ 「The Big Bubble : Part Four of the Mole Trilogy」 The Residents (85)ミュージック・ヴィジュアル・パフォーマンス “モールショー” の第4集A面 1. ごめんねモグちゃん - Sorry 2. ピョンとひとはね - Hop a Little 3. 行け行けモグラ - Go Where Ya Wanna Go 4. ほれみろ、はれほれ - Gotta Gotta Get 5. 燃えろや燃えろ、ドンドコドン - Cry for the FireB面 1. 死んだらどうなる - Die-Stay-Go 2. 酢は砂糖より強し - Vinegar 3. ホ、ホ、ホタル来い - Firefly 4. ビッグ・バブルはスーパースター - The Big Bubble 5. 俺たちに明日はない - Fear for the Future 6. クーラ・ボッカはかく語りき - Kula Bocca Says So 残念ながら現在この邦題は姿を消し、「ザ・ビッグ・バブル」なんて無味乾燥としたタイトルで販売されているレジデンツ(The Residents)のこのアルバムは、モール3部作(モール・トリロジー)のパート4で、架空のバンド「ビッグ・バブル」によりモール・トリロジー伝説の断片が語られている。 …って何のこっちゃ?と思いますわな。 このモール・トリロジー、元々は6枚のアルバム、3つの物語、3つの組曲で構成される予定だったらしく、81年に序章ともいえる第1弾「マーク・オブ・ザ・モール(Mark of the Mole)」を発売し、翌82年には二つの種族の価値観や文化を表現した楽曲が交互に収められているという第2弾「ザ・チューンズ・オブ・トゥー・シティーズ(The Tunes of Two Cities)」をリリース。 でもって同82年秋には「インターミッション(Intermission: Extraneous Music from the Residents' Mole Show)」が、83年には「モール・ショー・ライブ・アット・ザ・ロキシー(The Mole Show Live at the Roxy)」、更に89年には「The Mole Show Live in Holland」も発売されたのだが、肝心の3部作は未完のままだったりする。 …ますます何言ってんの?って思いますわな。 巨大目玉マスクとタキシード姿がトレードマークのレジデンツは69年に結成された米国のベテラン・バンドでありながら正体は謎に包まれており、メンバーが誰なのかさえ不明なのである。 なので、この「モグラ帝国の逆襲」のジャケットに写っているおじさん達が歌っているわけではないのだ。じゃあこの人達、誰!? Σ(・ω・ノ)ノ! 15年にはそんな彼らの結成40周年を記念したツアーにドン・ハーディー(Don Hardy)監督が密着したという、ドキュメンタリー映画『めだまろん/ザ・レジデンツ・ムービー(The Residents)』が公開された。 「実はジョージ・ハリスンがお面をかぶってたんだ」 「ほんとはボノとヴァン・ヘイレンらしいよ」 「バラしちゃいけないんだけどね」と予告編では流れていたが、真実や如何に!? そんなレジデンツに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ――っと…その前に、Wikiさんによるとレジデンツの音楽的ジャンルは “アヴァンギャルド、実験音楽、マルチメディア・アート、アヴァン・ポップ、ノイズロック” となっている。そういう心積もりでどうぞ♪ ごめんねモグちゃん ピョンとひとはね 行け行けモグラ
2022.02.17
コメント(0)
『さかしま』 コックニー・レベル 「The Psychomodo」 Cockney Rebel (74) 虚飾の退廃か、真実の倦怠か それにしても美しきはコックニー・レベルのミステリアス・ワールド!!それを感じるのは 貴方、貴方、貴方… メロディー・メーカーのチャートに入るってことが何の意味があるんだ。バカバカしい!! ●スティーヴ・ハーリー●A面 1. 甘い悪夢 - Sweet Dreams 2. さかしま - The Psychomodo 3. ミスター・ソフト - Mr. Soft 4. 奇妙なバンド (みせかけの真実はどこに) - Singular Band 5. パステル・カラーのデカダンス - RitzB面 1. 偏執的ノスタルジー - Cavaliers 2. かなわぬ情事 - Bed in the Corner 3. 矛盾の人生 - Sling It! 4. 転落 - Tumbling Down 今回は英国のグラム・ロック・バンド、コックニー・レベル(Cockney Rebel)が74年にリリースした2ndアルバム「さかしま(The Psychomodo)」について。 バンドは72年に結成され、翌73年にはデビュー・アルバム「美しき野獣の群れ(The Human Menagerie)」をリリース。これら2枚はどちらもアルバムタイトルのみならず、曲目にもきっちり邦題が付いていて嬉しい限り。今回どちらを取り上げようか迷ったが、「さかしま」の方が邦題界(?)では有名なので、こちらを選んでみた次第。しかしこのアルバムも「さかしま(サイコモド)」と、原題がおまけで入るようになってしまった。邦題だけで十分なのに…。 この頃のメンバーはというと、バンドの中心人物でヴォーカルの他に作詞作曲、プロデュースまでこなしたスティーヴ・ハーリー(Steve Harley)、ドラムスのスチュアート・エリオット(Stuart Elliott)、ヴァイオリンのジャン・ポール・クロッカー(Jean Paul Crocker)、ベースのポール・ジェフリーズ(Paul Jeffreys)、そしてキーボードのミルトン・リーム・ジェームズ(Milton Reame-James)の5人。 だがスティーヴと他のメンバーが対立、「さかしま」リリース後にはスティーヴとスチュアートを除く3人が脱退してしまった。 その後ポールは88年12月21日に起こったパンナム機爆破事件に巻き込まれ、36歳の若さで他界。哀哉、ハネムーン中だったそうな…。 バンドは一応今でもスティーヴ・ハーレイ&コックニー・レベル(Steve Harley & Cockney Rebel)として活動中らしい。バンドというよりスティーヴ&彼のバックバンドみたいな感じらしいが。 音楽は如何にも70年代っぽく、どこか退廃的でありながらワクワク感も満載。一度聴くとクセになりそう。邦題とジャケットからは想像も付かないほど、ハズレ曲なしの良盤だ。 そんなコックニー・レベルに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ さかしま ミスター・ソフト パステル・カラーのデカダンス
2022.02.16
コメント(0)
『腐乱屍臭』 カーカス 「Reek of Putrefaction」 Carcass (88)A面 1. ×××をミンチに! - Genital Grinder 2. 内臓大爆発 - Regurgitation of Giblets 3. 蛆の巣 - Maggot Colony 4. 腐敗(ドロドロシテル) - Pyosisified (Rotten to the Gore) 5. 炭化眼電球 - Carbonized Eyesockets 6. 狂乱バラバラ死体 - Frenzied Detruncation 7. 汚れた尻 - Vomited Anal Tract 8. 腐敗日 - Festerday 9. 発酵したはらわた - Fermenting Innards 10. くそったれ人生 - Excreted Alive 11. 膿汁 - SuppurationB面 1. 堕胎 - Foeticide 2. 電子妊娠料理 - Microwaved Uterogestation 3. 死体の宴 - Feast on Dismembered Carnage 4. はらわた血だらけ - Splattered Cavities 5. 精神科医 - Psychopathologist 6. 焦熱地獄 - Burnt to a Crisp 7. 拷問地獄 - Pungent Excruciation 8. イボイボ尿道声明 - Manifestation of Verrucose Urethra 9. 腐ったナイフ - Oxidized Razor Masticator 10. 粘液膿性排出物 - Mucopurulence Excretor 11. 悪性の下痢 - Malignant Defecation 今日はバレンタイン・デー 胸がドキドキするような――いや、心臓がバクバクしそうなアルバムを取り上げてみたい。 今回御紹介するのは “リヴァプールの残虐王” と呼ばれるカーカス(Carcass)が88年にリリースした、死体写真のコラージュという身の毛もよだつジャケットと凄まじい邦題の数々でお馴染みの1stアルバム「腐乱屍臭(Reek of Putrefaction)」である。 タイトルからして既に敬遠したくなるこのアルバム、グラインドコア界では意外にも(いや、そんなに意外でもないか)名盤として知られている。 85年に英国・リヴァプールで結成されたカーカスのデビュー当時のメンバーはというと、ヴォーカル&ベースのジェフ・ウォーカー(Jeff Walker)に、ギター&ヴォーカルのビル・スティアー(Bill Steer)、そしてドラムのケン・オーウェン(Ken Owen)。 今やアーチ・エネミー(Arch Enemy)の赤髪スウェーデン人ギタリストとして有名なマイケル・アモット(Michael Amott)がカーカスに加入するのは90年のことである。 それにしてもよくこんなグロテスクな邦題を付けたものである、アルバムタイトルのみならず御丁寧に全曲も!…と思ってよく見たら、結構原題直訳も多かったりして。歌詞には医学用語が多く使われているという。 ちなみに翌89年にリリースされた2ndアルバムは邦題が「疫魔交響曲(Symphonies of Sickness)」、続く91年リリースの3rdアルバムの邦題は「屍体愛好癖(Necroticism - descanting the Insalubrious)」である。これらもいずれ御紹介したい。 カーカスは93年にコロムビア(Columbia Records)から4thアルバム『ハートワーク(Heartwork)』をリリースしてメジャーデビューを果たしたが、マイケル・アモットが脱退。94年にコロムビアと契約するも関係が悪化し、95年にはビル・スティアーまでも脱退してしまい活動停止に。 しかし07年にジェフ・ウォーカー、マイケル・アモット、ビル・スティアーに加え、ドラムにアーチ・エネミーのダニエル・アーランドソン(Daniel Erlandsson)を迎えてめでたく再結成。08年の「ヴァッケン・オープン・エア(Wacken Open Air。ドイツのヘヴィメタ・フェス)」では、99年に患った脳内出血の後遺症によりメンバーとして加わることができなかったケン・オーウェンもステージ上で紹介されたという。 その後アーチ・エネミー組のマイケルとダニエルが抜けるも、新メンバーを加えてバンドは現在も活動中。 カーカスは日本のヘヴィメタ・フェス「LOUD PARK」に3回出演し、また単独来日公演も何度か行っている。彼らが愛される理由として考えられるのは、音楽性は勿論ながら、やはり邦題の果たした役割も大きいのではないだろうか。 そんなカーカスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 内臓大爆発 はらわた血だらけ イボイボ尿道声明
2022.02.14
コメント(0)
『雪に映える薔薇のごとく』 エミルー・ハリス 「Roses in the Snow」 Emmylou Harris (80) 2年連続 [グラミー賞最優秀カントリー女性シンガー] の栄誉に輝く美しきエミルーの魅力がこぼれる……A面 1. 雪に映える薔薇のごとく - Roses in the Snow 2. 見知らぬ旅人 - Wayfaring Stranger 3. 緑の牧場 - Green Pastures 4. ボクサー - The Boxer 5. 夜明けをこがれて - Darkest Hour is Just Before DawnB面 1. さすらう心 - I'll Go Stepping Too 2. 別れの朝 - You're Learning 3. ヨルダン越えて - Jordan 4. ミス・ミシシッピー - Miss the Mississippi and You 5. 金時計と鎖 - Gold Watch and Chain 関東甲信地方では13日夕方から大雪に警戒を――とのこと。お気を付けくださいまし なので今回も “雪” の入った邦題を…ということで米国のカントリー・シンガー、エミルー・ハリス(Emmylou Harris)が80年にリリースした7thアルバム「雪に映える薔薇のごとく(Roses in the Snow)」を取り上げてみたい。 エミルーはグラミー賞を何と14回も受賞しており、18年にはついに生涯功労賞を授与され、カントリー・ミュージックの殿堂入りも果たしている偉大な女性カントリー・シンガーである。 そんな彼女の澄んだ歌声と純朴な音楽に心が洗われるようなこのアルバム、参加ミュージシャンもカントリー界の豪華な顔ぶれがズラリ。 ギターにはアルバート・リー(Albert Lee)やウィリー・ネルソン(Willie Nelson)、リッキー・スキャッグス(Ricky Skaggs)やトニー・ライス(Tony Rice)等が、バックヴォーカルでドリー・パートン(Dolly Parton)やリンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)、ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)らの名前も。おおッ、カントリーに微塵も興味のない私でも名前ぐらいは知っている方達ばかりだ。 4曲目の “ボクサー(The Boxer)” はサイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)が70年にリリースし、71年のグラミー賞で最優秀アルバム賞(Album of the Year)と最優秀レコード賞(Record of the Year)の2部門に輝いた名アルバム「明日に架ける橋(Bridge over Troubled Water)」の収録曲であり、シングルカットされてかなりヒットしたので聴き覚えのある方も多いはず。 それにしても何と美しい邦題なのだろう。やっぱり綺麗な女性のアルバムには、こういう美しい邦題を付けたくなるんだろうなぁ。「ハエ・ハエ・カ・カ・カ・ザッパ・パ!」やら「淫力魔人」やらとは雲泥万里だね。個人的にはお笑い邦題の方が好きだけど。 そんなエミルー・ハリスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 雪に映える薔薇のごとく 夜明けをこがれて ボクサー
2022.02.13
コメント(0)
『雪の世界』 ブルース・コバーン 「High Winds White Sky」 Bruce Cockburn (71) この美しさと素朴さに人はとりつかれるだろうA面 1. おはようブルース - Happy Good Morning Blues 2. 笑っていこう - Let Us Go Laughing 3. 愛の唄 - Love Song 4. ある日わたしは - One Day I Walk 5. 金色へびブルース - Golden Serpent Blues 6. 激しい風と白い空 - High Winds White SkyB面 1. 空をゆびさして - You Point to the Sky 2. 人生夫人 - Life's Mistress 3. ちりん/おおなべ - Ting / the Cauldron 4. 輝く山 - Shining Mountain 元BLOGでこれを綴った14年2月某日は、日本列島が大雪のニュースでもちきりだった。晴れの国・岡山(県南)でも何年ぶりだか思い出せないくらい久々に雪が積もり、積雪など滅多にないこの地域では、数センチ積もっただけでも朝から大わらわだった たまたまこの日はパートの面接があり、駅に向かおうにも駐車場から原付が出せず、タクシー会社に電話するも話し中ばかりで繋がらず、もうこの会社とは縁がなかったんだな…と諦めて断りの電話を入れたところ、面接担当者も休んでいたため別日に面接することになった。その後ありがたくパートに採用していただき、契約社員を経て現在は社員として働いているのだから、人生って何が起こるか全くわからないものである。 そんな思い出深い日に綴ったのが、カナダ人シンガーソングライター、ブルース・コバーン(Bruce Cockburn)の2ndアルバム「雪の世界(High Winds White Sky)」である。 窓から見える凛とした雪景色にアコースティックギターの温かな音色が実にしっくりきて、フォークミュージックも悪くないな…と思ったりして――なんてロマンティックな風情に浸って綴っているが、単に面接日を変更してもらえて、地獄にいたカンダタが天から垂れてきた蜘蛛の糸を見つけたときのような心境だったせいだろう。普段であれば全く興味の湧かないジャンルだったりする。 でもまぁ「雪の世界」というアルバムタイトルはジャケット見たままではあるが、なかなか趣があって綺麗なタイトルだ。全曲邦題付きなのも良し。 全体的には繊細で柔らかなギターと、ブルース・コバーンの穏やかな歌声が心に染み入るようなアルバムで、“ちりん/おおなべ(Ting / the Cauldron)” という、原題直訳ながらなかなかインパクトのある邦題のインスト曲と、これまた直訳(全曲そうなのだが)ながら若干異彩を放っているタイトルの “金色へびブルース(Golden Serpent Blues)” というジャズっぽいピアノ曲が印象的。 そんなブルース・コバーンに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 激しい風と白い空 金色へびブルース ちりん/おおなべ
2022.02.12
コメント(0)
『ハード・ロック野郎(世界の女は御用心)』 グランド・ファンク・レイルロード 「All the Girls in the World Beware!!!」 Grand Funk Railroad(74) 唯一無比。偉大なる史上最強のヘヴィー・バンド G.F.R。その圧倒的で重厚なサウンドがスリリングに突っ走る!!A面 1. レスポンシビリティ - Responsibilty 2. ランニン - Runnin 3. ライフ - Life 4. ルック・アット・グラニィ・ラン・ラン - Look at Granny Run Run 5. メモリーズ - MemoriesB面 1. 世界の女は御用心 - All the Girls in the World Beware 2. ワイルド - Wild 3. グッド・アンド・エヴィル - Good & Evil 4. バッド・タイム - Bad Time 5. オー・ワンダフル - Some Kind of Wonderful 私が子供時代を過ごした70~80年代には、「野郎」の付く邦題の海外ドラマが結構あった。「白バイ野郎ジョン&パンチ (CHiPs)」に「トラック野郎!B・J (B.J. and the Bear)」、更に「特攻野郎Aチーム (The A-Team)」、でもって「冒険野郎マクガイバー (MacGyver)」等々。日本でも菅原文太さん主演の「トラック野郎」シリーズなんていう映画もあったりして。当時は野郎が巷に溢れていた。 そんな野郎全盛時代(?)である74年に、グランド・ファンク・レイルロード(Grand Funk Railroad。以下GFR)がリリースした9thアルバム「ハード・ロック野郎(世界の女は御用心)(All the Girls in the World Beware!!!)」を今回は取り上げてみたい。 一体どこから「ハード・ロック野郎」なんて邦題を思い付いたんだか…って、どう見てもジャケットからだわな。 このジャケット、ボディ・ビルダー達のムキムキ写真に顔だけメンバーの写真を貼り付けたものだが、4人のうちの一人は70年~75年まで「ミスター・オリンピア」(ボディビルの大会)で6年連続優勝を飾り、後に俳優、米国カリフォルニア州知事となったアーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)だ! アルバムタイトルの邦題&ジャケットは実によいのだが、楽曲の方は邦題が1曲だけというのがちょいと残念なところ。しかし邦題まみれでないのが逆によかったのか、このアルバムの邦題は現在も生き残っていて嬉しいかぎり。ちなみにこのアルバムをリリースした頃はレイルロードをとっぱらってグランド・ファンクと名乗っていた。まぁどっちでもいいような気もするけど…。 当時のGFRのメンバーはというと、69年リリースのデビューアルバム「グランド・ファンク・レイルロード登場(On Time)」で “アメリカン・ハード・ロック史上最強のロック・トリオ!” と絶賛された、ヴォーカル&ギターのマーク・ファーナー(Mark Farner)、ヴォーカル&ドラムスのドン・ブリューワー(Don Brewer)、ベースのメル・サッチャー(Mel Schacher)の3人に、72年から参加したキーボードのクレイグ・フロスト(Craig Frost)を加えた4人組。 バンドは76年に解散するも81年に復活、しかし今ひとつパッとせず83年に再び解散。だが90年代後半あたりの再結成ブームに乗って96年にまたしても復活したものの、98年にマークがバンドを離れたため休止。そしてヴォーカルに元38スペシャル(38 Special)のマックス・カール(Max Carl)、ギターに元キッス(Kiss)のブルース・キューリック(Bruce Kulick)を迎えて00年に活動を再開し、今に至っている。 このアルバムからシングルカットされた “オー・ワンダフル(Some Kind of Wonderful)” はソウル・ブラザーズ・シックス(Soul Brothers Six)のカヴァーで、ビルボードチャート3位に輝いた。続く “バッド・タイム(Bad Time)” も4位を記録。アルバム自体も10位と好成績につけたが、GFRの栄光はここまでで、以降は坂道をコロコロと下ってしまうのだ。 まるで線香花火の燃え尽きる前の最後の輝きのような…いや、そんな情趣的な音楽ではないけれども、何というか栄枯盛衰の儚さを勝手に感じてしまうアルバムなのである。 そんなGFRに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ オー・ワンダフル バッド・タイム 世界の女は御用心
2022.02.12
コメント(0)
全118件 (118件中 51-100件目)