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「昨日の件とは、レイト様のことについてだ。間違いないであろうな?」その確認にヨーディはしっかりとうなずく。話を聞くため中へ一人通される。門番は仕事に戻るよう促されるが、「私も話は聞いております。それに会った時間なら覚えております。 恐れながら、同席させてはもらえないでしょうか?」それならば別々に聞かせてもらう、と別室に連れていかれる。ヨーディの聴取が始まり、時間を追って出来事を話していく。一通り終えると、調査官が語り始める。「話は分かった。だが、人が一人死んでるということを理解しているのか?」ヨーディは思わず言葉を詰まらせる。「人の命と比べられるものは何もない。それにもかかわらず、 自分たちには何一つ背負う罪がない、というのはおかしなことではないのか?」「お前の話が正しければ、とどめを刺したのはレイト様ということになるのだが、 そもそもお前はいったい何をしに来たのだ?」話の流れが少しずつ変わり始める。無罪で終わらせることはまず無理だろう、と前置きしたうえで、「お前がレイト様を助けたいと言うなら、代わりに罪を背負えばいい。 そうすればレイト様の罪を帳消しにすることができる。ま、お前次第だが」ヨーディの思案の時間が始まる。確かにここに来たのは、レイトのためだ。だからこそ、助けられるならどんなことでもやる覚悟はある。そうは言っても罪を背負わなければ、事なきを得られないというのが頭の片隅で小さくうごめいていた。それからしばらくして入口の方が何やら騒がしくなる。制止を振り切ってガタガタと入り込んでくる音がする。「隊長殿!聴取はまだ終わってはおりません。御用があるのであれば、そのあとに・・・」「邪魔するつもりはない。それとも聞かれてはまずいことでもあるのか?」「何をおっしゃられます!いくら何でも言っていいことと悪いことが・・・」「ならば問題ないだろ。ここ、か」扉が開かれ、大きな体が入ってくる。「ん?静かだな、もう終わったのか?」「隊長殿、まだ終わってはおりません。勝手に入ってこられては困ります」同じことを再三聞かされて隊長と呼ばれる男はイラつきながら勝手に椅子に座る。その様子に調査官は抵抗をあきらめ、「仕方ありませんね。御用とは何です?」そう言われると男は膝に手をつき、畏まる。「此度はレイト様をよく守ってくれた。誠に感謝する」
2017/03/26
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「それも仕組まれてた可能性があるな」 ヨーディはいてもたってもいられず城へ行こうとする。 「お前が行っても死ぬことになるだけだぞ」 「もともと死にかけてたんだ。あとで後悔するくらいなら死んでもいい」 「ひとまず落ち着け。すぐさま罪に問われるわけじゃない」 こういうことが起きれば当然、色々なことが調べられ、話し合いが行われる。 そうした経緯を経て罪の是非が問われるのは数日かかるはずだ。 それでも落ち着いていられるわけがない。狙われているならなんとしても助けたい。 「どうしても行きたいならそれでもいいが、考えてから行け」 ヨーディの理解を得ないまま話は進む。 「向こうは陥れようとしてるんだ。事実を話しただけでは結論は変わらん。 原因を作ったのは誰か?そこを突くしかない」 (原因を作ったのは、襲ってきやがったあの野郎・・・。 いや、そもそもあいつを寄越してきたのは、あのアルケデニックだ) ヨーディの表情が変わると、 「誰彼かまわず言うなよ。この10年で奴の派閥は相当増えたはずだ。 レイト派とまでは言わないが、せめて中立の立場にいる者に話せよ」 その見極めはお前に一任する、と言ってリーダーは席をたつ。 残されたヨーディに今度はビルクから情報がもたらされる。 「レイト派といえば護衛部隊がそうだろ。その近親者なら間違いないだろ」 状況を飲み込んだところで城へ向かう。 再び縄文の前に立つ。 「おい、どうした?忘れもんでもしたのか?」 しかし、事情を説明する真剣な顔を見るうち、次第に門番もことの大きさを感じ始める。 どうにかして中に入りたい、というヨーディの思いに応えたくなってくる。 そこへ城内から情報が届く。「昨日の件について知っている者があれば名乗り出るように」 連絡先は・・・情報管理局か。「昨日の件」という言葉で濁していることから見ても、 ヨーディの話とつじつまが合うと見て間違いないだろう。 「話はわかった、連れていってやる」 門番の案内によって情報管理局の入口にたどり着く。 「昨日の件の内容について、もう少しお聞かせ願いませんか?」 「なんだ、お前は。どこの所属だ?」 「私は門番を担当しております。ですが、話があるのはこちらの方でして・・・」 ヨーディが前に出ると、表情に変化が見られた。
2017/03/19
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条件としては悪くないように思える。期間がどれくらいあるかわからないものの、今までの生活とはまるで違う「自由な時間」が持てるというのが魅力的だ。ヨーディは懐に手を入れ一掴みすると、テーブルの上に置いた。「ひとまずこれで取引、というのはどうだ?」それを聞くや否や、リーダーは大笑いする。「まったく、図太いな」「確かに一理あるな。こっち側としてもお前の力量を図る時間は必要だ」取引は成功。期間は2か月、ここへの出入りは自由だという。「今日はもう帰れ、ここに泊まりたいなら、3倍はもらおうか」帰り際に、明日も来い。と言われて外へ出る。すっかり夜は更け、明かりもまばらになっている。今までの景色とはまるで違う一日が過ぎ去っていった。翌日、言われたとおりに訪れる。今日呼ばれた理由とは、城の中での様子を聞くため、だという。その前にヨーディは疑問を投げかける。どうやってレイトを引き入れるつもりなのか、と。「お前、国のことには疎いな。ま、そんなこと気にする余裕がないから仕方ないがな」レイトは王位継承権を持っているが、レイトの父はすでにこの世にいない。現在、政権を代行しているのは叔父にあたる、リヴァニア・アルケデニックという者だ。あの時、城で会ったのがまさにアルケデニックだった。(親じゃなかったのか、そう言われるとレイトの態度はよそよそしかった気もするな・・・)「この国が変わり始めたのは、あの頃からだ」話は10年前にさかのぼる。この時、前国王が病により死を遂げる。原因は元々、病気がちだったということろから起因した過労といわれている。いずれにせよ、すぐさま後任を選ばらなければならないのだが、これは残された遺言により誕生した体制が、現在まで続いている。レイトはというとまだ1歳、何をするにも後ろ盾が必要不可欠だった。実権を握り始めたアルケデニックは少しずつ政策を転換していく。それは近代化を進め、格差が広がる。この10年、表ではうまく立ち回り、裏では怪しげな動きが見え隠れしている。「今回の事件は明らかにおかしい」こんなことが偶然に起きるとは到底考えられず、誰かが情報を流した、というほうが納得できる。その話を聞くと、ヨーディは焦りを感じ始め、城内での出来事を一気に話した。「まさか、このことで罪を着せられるんじゃ・・・?」
2017/03/12
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敬意はわかったが、呼ばれた理由はまだわからないままだ。「それはリーダーが来てから、だ」そのリーダーが来る前にヨーディは気が付けば皿の上をほぼほぼ平らげている。ここまで腹を満たしたことは今までなかった。時を同じくして男が一人入ってくる。その風格がまさにリーダーだと教えてくれる。お疲れ様です、と次々に声が向けられ、それに応えながらこっちに向かって来る。「お前が例の・・・、なるほどな。話は進んでるな?」確認を終えると、そのまま話を進める。「俺たちの目的を話そう。それは国替え、だ」国替え、つまり国家転覆がこいつらの目的。この考えはヨーディにもすぐわかる。貧乏はいつまでたっても貧乏、そんな世の中は間違っているといつも感じている。だからといって、ただ倒すだけではそのあとの混乱は目に見えている。そこで目をつけたのはレイト。王位を継承する形で方向転換できれば、混乱を招くことなく変えることができる。もちろんレイトを引き入れられない可能性もある。ただ、選択肢の一つだと。「だから、俺を仲間に入れておきたいってことか」ヨーディは仲間になるかを考え始める。本当に信用できるのか?そもそも仲間に入る必要があるのだろうか?今までずっと一人で生きてきた。それに今はレイトからもらったものがある。ヨーディの考えを見越したかのように、リーダーが口を開く。「何をもらったか知らないが、それで生きていけると思ったら、甘いな」まず換金にあたって、相手が子供となれば、見合った金額よりも減らされる可能性がある。そして、金銭を手にすれば生活はぜいたくになる。いずれ資金は底をつく。「そういう奴等をたくさん見てきた。お前もその一人になるだろう」「勝手に決めつけてんじゃねぇ」怒れるヨーディに対して、リーダーはニヤリとテーブルの上を指差す。「今までにこんな喰ったことなかっただろ?これから飲まず食わずの生活に耐えられるのか?」まさか、こんなことを言うためにあんなに料理が用意してあったのか?という思いが駆け巡り、まんまと術中に嵌まったことで何も言い返せずにいる。「もらったもんを差し出すなら、今後の面倒は見てやろう。期間はブツの価値によるけどな」「期間が終わったらどうなるんだ?」「もちろん働いてもらう。それまでは自由に好きなことでもしておけばいい」「好きなこと・・・?」「せっかく剣ももらったんなら、剣術でも教わればいい」
2017/03/05
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