吟遊映人 【創作室 Y】

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2009.09.22
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カテゴリ: 映画/ヒューマン
【マンデラの名もなき看守】

「看守の息子が大学生とは驚いた」
「マンデラ(の影響)だ。子どもたちを大学に行かせたまえ。教養ある若者が必要だ。彼らは未来の指導者だ、と。・・・元気か?」
「君のことを聞きたい。少し老いたが、それはお互い様だ」


吟遊映人がいそいそと借りて来たDVDを観るにつけ、いつも思うことがある。
それは、作品を通して無意識のうちに我々の「社会」を感じているということだ。
現代社会を感じることで、時代の流れや思想・歴史観を学んでいるのかもしれない。
難解な社会学としての学術書や思想入門などを読んだところで、どれだけの知識を吸収することができるだろうか。
中身を理解することもなしに、歴史や人間の何たるかを語ることなどできない。
そう考えると、映画という娯楽はなんと大衆的で、それでいて奥の深いポップ・カルチャーであることか。
わずか2時間の映像の中に様々な要素がぎゅっと凝縮されているのだから、思い切り楽しみ尽くさなくてはもったいない。
本作「マンデラの名もなき看守」は、人種差別が根強く残る南アフリカ初の黒人大統領ネルソン・マンデラと、看守グレゴリーとの交流が物語の要ではあるが、この作品に潜むテーマは実に教訓的で、現代を生きる我々に自戒を促すものとなっている。


黒人指導者であるマンデラに加担する者たちは、謂れのない罪で不当に逮捕され、投獄されるのだった。
そんな中、刑務所の看守として働くグレゴリーはロベン島の刑務所に赴任した。
そこにはマンデラが投獄されていた。
グレゴリーはコーサ語を話すことができたため、黒人たちの会話や文書をチェックし、スパイの役割を果たしていた。
だがマンデラと交流を持つうちにグレゴリーは政府に対するそれまでの思想・概念に疑問を抱き、マンデラに特別な感情を持ち始めるのだった。

一見、本作は白人に虐げられて来た黒人の謂れなき人種差別をテーマにしているかのように思える。
もちろんそれも含まれている、が、それだけではない。
作中、グレゴリーはマンデラから彼の妻にチョコを渡してくれるように頼まれる場面がある。
グレゴリーは躊躇しながらも、クリスマスということでこっそり渡す。
ところがそのことが後に発覚。
問題視されて同僚や上司から総スカンを喰らうのだ。
それはもう差別以外の何ものでもない扱いを受ける。
つまり、人はその時の状況や立場により差別する側にも、差別される側にも成り得るのだというテーマが潜んでいるのだ。
本作は、傍観者になりがちな現代社会を生きる我々に、正しく過去の歴史を把握することを訴えているような気がしてならない。
社会派ヒューマン作品として秀逸の映画なのだ。

2008年公開
【監督】ビレ・アウグスト
【出演】ジョセフ・ファインズ、デニス・ヘイスバード、ダイアン・クルーガー

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最終更新日  2013.12.06 13:25:02


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