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2010.07.02
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カテゴリ: 映画/ヒューマン

「つまり・・・手を染める?」
「どう思う?」
「俺は気が小さいから天津甘栗の屋台を持つのが一番の夢なんだ」
「夢にも金がいる」

1980年代、時代は空前のカンフーブーム。
ジャッキー・チェンが大ブレイクしたのはこの頃だ。
代表作に「ドランクモンキー酔拳」などがあるが、学校ではクラスの男子が必ずマネをして見せたものだ。
そのぐらいジャッキー・チェンのカンフーアクションは、世間に影響力があった。

それでいて人懐っこいあの笑顔は、決して作り物ではなく、観客を楽しませるプロフェッショナル、いわば根っからのエンターテイナーとしての品格を持ち合わせていた。
それが2000年代に入ると、そんなジャッキー・チェンにも陰りが見えて来た。
年齢的なものもあるかもしれないが、流行り廃りの激しい現代では、カンフーアクションはすでに過去の遺産であったのだ。
本作「新宿インシデント」は、そんなジャッキー・チェンから見事にカンフーアクションを拭い去った、現代ヒューマンストーリーである。20100702b

中国からの密入国者である鉄頭は、新宿・歌舞伎町まで流れて来る。
新宿には鉄頭のような中国人密入国者が一つの借家で鮨詰め状態となって暮らしていた。

ある晩、鉄頭が風俗店の厨房で働いていると、一足早く日本へ旅立っていた恋人の秀秀を見かける。
しかし秀秀は、三和会という暴力団組織の幹部の妻であった。
鉄頭は恋人の裏切りを知り、失意のうちに違法な行為を繰り返していくのだった。

作品の主題にもなっている中国人密入国者の問題は、実に根が深い。
食べていくため、生きるために祖国を離れて金を稼ぐ者たちと、そんな密入国者を利用して3Kと呼ばれる労働を提供する側の利害が一致しているというのも、何とも皮肉な話ではある。

いわば本作は、ジャッキーファンにとって、踏み絵となる作品かもしれない。

2009年公開
【監督】イー・トンシン
【出演】ジャッキー・チェン、竹中直人

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。





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最終更新日  2010.07.02 11:23:23 コメントを書く


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