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2026年03月24日
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カテゴリ: 読書
「怪物はささやく」 パトリック・ネス 著、シヴォーン・ダウド 原案
ジム・ケイ 装画本文挿絵、池田真紀子 訳
怪物はささやく
【内容紹介】
カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞ダブル受賞!

怪物は真夜中過ぎにやってきた。
墓地にそびえるイチイの大木の怪物がコナーのもとに現われて言う。
「おまえに三つの物語を話して聞かせる。わたしが語り終えたら、おまえが四つめの物語を話すのだ」
闘病中の母の病気が悪化、学校では孤立……。
そんなコナーに怪物は何をもたらすのか。
夭折した天才のアイデアを、カーネギー賞受賞作家が完成させた、心締めつけられるような物語。


児童文学に関わる仕事をしている友人に、「お勧めの児童書は何?」と聞いたら、
紹介してくれた二冊のうちの一冊がこれ。
当市の図書館にはこの本が所蔵されていたので、早速借りて読んだ。
主人公の少年のコナーを取り巻く環境は、とても大変だ。
離婚してシングルマザーの病気の母親、そりの合わないおばあちゃん、お父さんは別の家庭を持っていてなかなか会えない。
それに加えて、家庭環境の噂がきっかけで、学校でも居場所は次第になくなり、かついじめっ子の標的になっている。
ここまで概略を書いても、少年コナーがどれほどのストレスを背負いながら日々を送っているかわかるし、
ちょっと想像力のある人なら、夜な夜な悪夢に襲われ真夜中に現れてよく理解できないことを話す怪物に悩まされていることはリアルに感じられるだろう。
私も、コナー少年の心理状態に影響されながら本を読み進んだ。
全体的に楽しい物語ではない。むしろ、読んでいて息苦しくなるような作品だ。
しかし、その息苦しさは子どもが成長する過程で自分自身を見つめ、
周囲の状況を理解しようとし、やりきれない思いを抱えながらも自分の本音は押し殺し、
何とかうまくやっていこうとする時に生じる共通の心理だと思う。
しかしそれを、このような物語で表現するとは!
いや、児童向けの物語は多かれ少なかれそのような要素はあると思うのだが、これは規格外だ。

怪物のささやきには、人間の真実がちりばめられている。
人が根源的に併せ持っている善悪。苦しい時には嘘だって信じてしまう心理。
生と死を見つめた時には、必ず伴う不安や孤独、かすかな希望や反転する絶望。
そのことの矛盾に耐え切れず自分自身にさえ嘘をついたり、それを相手に転化したり。
これは子どもだけではない、人間すべてに当てはまるし、まさに現在世界中で起きていることはそれによるものではないか。

きっと、それぞれの世代によって、あるいはその人の体験によって、この本で受け止めるものは随分違うだろう。
しかし、この本を多少でも面白いと感じたり、ドキドキしたり苦しくなったりする人は、
コナーや周辺の人達に思いを重ねるはずだ。
自分の中の混沌とした感情を揺さぶり、それを物語という形で客観視することは、
老若男女誰にでも大切なことだろうと思う。
さて、怪物とは何者なのか。
怪物の存在を感じたことがある人ならば、思い当たることでしょう。
とても良い作品だと思うので、興味のある人にはぜひ手に取っていただきたい。

ネットで検索したら、映画化されているようですね。

映画「怪物はささやく」





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最終更新日  2026年03月24日 16時01分58秒
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