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. 一人の女性が引きづられるように店内に連れ込まれた後、何食わぬ顔でその異様な雰囲気の 集団に向かってスタスタと近づく和恵。 くすんだ色の格闘着を帯で結び、肩に背負いながら。 そして、和恵ちゃん 「ねぇねぇおじさん達、ここでなにしてるの・・・?」 先ほどの『鬼劉館(きりゅうかん)』での出来事で腹が立っていたにも関わらず、 心を沈め、素朴にあっけらかんと 近くに立つ大柄の男に尋ねてみた。大柄男 「お嬢ちゃんには関係がない。 とっととあっちに行ってろ!」和恵ちゃん 「なによ、やさしく聞いたのに じゃ、警察で話ししてくるわ。お洋服ボロボロになった女性が多人数の男達に 囲まれていたわよって!」大柄男 「この娘に見られていたぞっ! 取り押さえろっ!」 バシっ 素早く目の前の大柄の男の足に、ローキックを浴びせて男をその場に膝ま付かせた和恵っ!和恵ちゃん 「ふん、どうせ如何わしい事やってんでしょ。 今ね、虫の居所がとぉーーーーっても悪いの! そっちがその気なら、憂さ晴らしの相手になってもらうから、そのつもりで いて頂戴!」 『このガキーーーー!!』 車の周り、そして店の出入口付近を隠すように立っていた十数人の黒い男の集団が、 一斉に中学生の和恵に向かって飛び掛っていったっ! 『ハィ、ハイハイ、ハーーイ!』 バシ バシっ ズコーン 襲い掛かる男達を、左足を軸に、右足ハイキック蹴りぬき、そのまま返す刀で、 再び右足で往復するように二人目も蹴り払う。 続けざま、 立ち足をステップして代え、左手から来る男に左脚を伸ばして蹴り倒したっ! 見事に飛ばされた男。 彡~~~~『うぉぉぉぉぉ』 その姿を見た後続してきた男達、足取りが鈍り少しゆっくりとしたスピードで和恵に 近づいていく。 蹴り抜いた左脚を収め、和恵ちゃん 「まったく・・・・全然手ごたえがないわね。 まじめにやってるのっ? つま~んない。」 それを聞いて、3人が懐から小刀(ドス)を持ち出し、鞘から抜いて和恵に飛び掛ったっ!和恵ちゃん 「まじめってのはそんな小道具を持ち出すことなの・・・?」 背負っていた胴着を高く放り投げ、 『ハーイ、ハイハイ ハイハイ ハイハイーーっ!』 パシっドスっ パシっドスっ パシっドスっ! ズコっ ドスドスっ ズンっ バシバシ ボコっ ズゴっドスドスドス ボコボコ ガスーン ズゴーーン まるで子供の持つアイスを取り上げるがの如く、小刀を左手で叩いては右手で腹に、 小刀を肘で打ち落としては、その肘から先を伸ばして裏拳で顔面を打ち抜き、 続いて左足先で小刀を払っては一端脚を縮めて蹴りぬきと、流れるように 瞬時に小道具を奪い、男達を倒していく和恵。 そして落下してきた胴着をパシっと掴む。~ ~ ~ 一方の店内では、 意識の無いまま男達にひきづられ、店内に運び込まれた女性。 それを見て、ホステス 『千紗さん!』徳江ママ 「千紗ちゃんっ!」白服の男 「期限が来ても返してもらえなくてね、ちょっと痛い目に遭ってもらったのだ。」 この後、アゴで合図を送る白服の男。 それを見た黒服の男が、近くにあった高さが50cmはあろうという大きな花瓶に 添えられていた花束をそこから抜き去り、 続いてそれを持ち上げて、 フロアーの真ん中で寝転がる千紗に向かって花瓶を逆さまに向けた。 口のところで少し広がるような形状をした花瓶から勢い良く飛び出る水。 その水が、腫れた千紗の顔一面に滝の様に注がれ、 たまらず首を振りながら息を吹き返した千紗。白服の男 「気が付いたかね。」千紗 「ん・・・・・」 目を重そうに開ける千紗。 かわいそうに、相当殴られたと見えて顔中アザだらけになっている。徳江ママ 「千紗ちゃん、しっかりして。」千紗 「ママ・・・・痛っ」 腫れた顔を手で押さえ、同時にお腹も押さえ始める千紗。徳江ママ 「時間が経つと、もっと痛むと思うわ。 五月ちゃん、悪いけど濡れたタオルを下さる?」ホステス五月 「はい、ママ。」 その光景を見ながら、ボス。 片手をひっくり返して耳の横に持ち上げた。 黒服男がその手に胸のポケットから取り出した三つ折になった一枚の白い紙を手渡す。 紙を手にしたボス、今度は反対の手でチョキを形作る。 忙しいのは黒服の男。 すぐ様、ポケットから葉巻を取り出して片側の端をむしり取り、 そのチョキに挟む。 そしてライターを取り出して、口に咥えた葉巻の先に火をつけた。 大きな煙を吐き出してボス、白服のボス 「ママさん、これを良く見てくれないか。 この娘の連帯保証人が、あんたになっているもんでね。 こちらとしたら、本人が返済出来ないのなら、保証人さんから頂くことになるので。」 手にした一枚の紙を徳江ママの目の前で広げて見せるボス。 驚いた顔の徳江ママ、徳江ママ 「ちょっと見せて頂いてもよろしいでしょうか。」 手にした借用書を、徳江ママに渡すボス。 しっかりと隅々まで目を通すと徳江ママ、徳江ママ 「確かに私の実印ね・・・・。」千紗 「ママ、ごめんなさい・・・・ 昨年のお正月に、ママの家でみんなでお食事ご馳走になった時に・・・・」 ホステス五月から濡れタオルを受け取ると寝転ぶ千紗の元に歩み寄り、 しゃがみ込み込んで千紗の顔にそっと乗せながら、 ぎゅっと厳しい目で、叱るように千紗に視線を浴びせる徳江ママ。 大粒の涙を流しながら、徳江ママの手厚い介抱に感謝すると共に、 心の底からうかつな行動をした自分をママにわびる千紗。 そして起き上がり、クルッと向きを変えてボスを見る徳江ママ。そして、徳江ママ 「事情は分りました。 スジが通ったお話、ならば私も筋を通しましょう。 連帯保証人は私ですが、その額面の金額、本人から返させます。」 口元から大きな煙を吐き出し、徳江ママの顔に浴びせる程吐き出しながら、白服のボス 「ほぉ。。。 本人からねぇ・・・・」 黒服の男が急にむっとして、千紗の横に立つ徳江ママの髪の毛を後ろから掴み、 グィっと引っ張りながら耳元で、黒服の男 「聞こえてねぇーーのかっ! この姉ちゃんでは返してもらえねぇから、ここにこうして出向いているんだよ!」 髪の毛を掴まれたその手首を、ギュっと強く握って解かせた徳江ママ、 その手を掴んだまま、徳江ママ 「存じております。」 そして掴んでいた手をパッと解き放ち、徳江ママ 「話は最後まで聞きなさい。」 乱れた髪の毛を指先で整えながら黒服の男をにらみつけ、そして、徳江ママ 「こちらのスジは、この連帯保証人であるこの私が、責任を持ってお約束致します。 期日は3日後。 お金は私が都合します。 本人から利子を付けてお返し致します。 私も今聞いた話。 たった今すぐという訳けには・・・・。 如何でしょうか。」 キリっとした態度で返答した徳江ママ。 -つづく-第174話 命の重さ 3 ヘ(なんで目の前に・・・) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月30日
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. 居酒屋 華夢on に戻った和恵、和恵姉さん 「とくさん、呼び出しがあって、リツコと仕事に出かけてくるわ。」とくさん 「はい、お気をつけて。」美咲先生 「あら、戻ってきたのにもう出かけるの?」和恵姉さん 「そう、行ってくるね。 それと、こういちがこの街に戻ってきていたわ。」とくさん 「分りました。」和恵姉さん 「じゃ、お願いね。」 バタン キュルキュル フォン フォン フォンフォーーーン フォン フォーーー 闇夜で人通り、そして車の往来も無い街中を、一台の黄色いスポーツカーが、 そのけたたましいサウンドを残して消えていった。美咲先生 「忙しい人ね・・・・」 4人用テーブルに一人座って、教科書とノートを広げて何か書き物をしながらの美咲先生。とくさん 「じっとしているのが苦手な人ですから、何か起きていた方が落ち着くみたいですよ。」 ノートの上で走らせていた赤い万年筆を止めて、美咲先生 「そういえば、今・・・ まんまの姿で帰って来てたわよね。 感染しちゃうかもしれないのに・・・・」とくさん 「おっちょこちょいの人ではありませんから、何かを掴んだのかもしれません。 それにお車で出ていきましたし。。。」美咲先生 「なによ、一言置いてってくれてもいいのに・・・・ それに車でなんて・・・・閉鎖されてて出られないんじゃないのかしら。」とくさん 「それも何か確証がお有りなんでしょ。 無くてもなんとかしてしまう方でもありますから。」美咲先生 「そうですよね、こんな紙の上の筋書きなんか全く関係なく、道を切り開くって 言うか、計算しても無駄よみたいな・・・・ 私達の常識なんか簡単に覆す(くつがえす)姉弟ですものね。 ・・・ねえ、とくさん、 以前、何かがあって和恵に命救われたと・・・・」とくさん 「はい、申し上げました。」美咲先生 「もし、差し支えなければちょっと聞かせて頂けないかしら。。。 彼女をもっと知りたいの・・・・。」とくさん 「えぇ、美咲さんになら構いませんよ。 そうですね、あれは私がまだ夜のお仕事をしていた時のことでした。。。」_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ 辺りが漆黒を迎えた高級店が立ち並ぶ繁華街。 通りを歩く人の目を、きらびやかなネオン、そしてあちらこちらで見かける店先の ホステスさんの綺麗なドレスとスタイルが大いに刺激し、男心を誘惑している。 その中でも、一、二(いちに)を争うほど有名な『高級サパークラブ クリスティーナ』 この看板の下を、落ち着いた淡い緑と白の着物の装いで静かに潜る徳江ママ。ホステス 『おはようございま~す。』 テーブルを拭いていた手を休め、きちんとママに向かって行儀良く立ちながら 一礼していた。徳江ママ 「おはよう。 今日もよろしくね♪」ホステス 『はいっ!』 元気な掛け声が返ってくる。 お店の規律良さが伺える一面だ。 天井からは豪華なシャンデリアが誇らしげに腰をすえ、きらびやかに店内を照らす。 その光が、金色のパイプやガラス細工の置物からカクテル光線を反射させ、 店内の演出をやさしく引き立てていた。徳江ママ 「あら、千紗(ちさ)ちゃんの姿が見えないわね。 同伴の連絡はないのだけど・・・・」ホステス 「そうですよね、遅刻する人ではありませんから・・・・」 その時、表の入り口に一台の白いリムジンが横付けされた。 一人の黒服の男が、真ん中のドアを開けて出て来ると、そのまま最後尾のドアの横に 立ち、ノブを握りドアを開けた。 中から、葉巻をくわえた白いスーツ、白いエナメルの靴の装いで大柄の男が出てくる。 その男、ドアを開けてくれた男を引き連れ、キラめくネオンの看板の下を通過する。案内役のボーイ 「困ります。 まだ開店前なので、お時間になるまでもうしばらく・・・・」 短いほうきで掃除していた手を休め、引き止める案内役のボーイ。黒服男 「うるさいっ! ママに用があるんだ。 そこをどけっ!」 引きとめていた案内役のボーイを一蹴し、階段から突き落とすと、そのまま二人が店内に 入っていく。徳江ママ 「なにか騒々しいようね。」ホステス 「きゃっ!」 一人のホステスが驚きの悲鳴を上げる。黒服男 「おらおら、道を空けろっ!」 通路に立つホステス達を掻き分けるように入ってくる黒服の男。ウエイター 「乱暴はやめて下さい。 それにまだ開店前・・・・」黒服男 「うるさいっ!」 引止めに出てきたウエイターを突き飛ばした。 ドスン ガラガラ ・・・・ 後ろにあったボトル棚まで飛ばされ、ぶつかってフロアに転げたウエイター。白服のボス 「悪いね、邪魔するよ。」 黒服男の後ろから、のっしと現れたボス。徳江ママ 「なんですか、騒々しい。」 黒服の男がギョロギョロと、店内のホステスににらみを効かせている。白服のボス 「いや何、飲みに来た訳ではないのだ。」 のっしのっしとそのまま足を運び、広い店内の一番おくの一段高くなっている とてもゴージャスなテーブルスペースに向かい、ドッシリと腰を下ろした。徳江ママ 「灰皿を用意して差し上げて。」 横に居たホステスと目を合わせて指示をする。 そしておしとやかに草履を左右互い違いに運びながら同じくそのテーブルに着く徳江ママ。 すぐに今しがた指示を受けたホステスが、ガラスの立派な灰皿を持ってきた。 徳江ママはそれを受け取り、白服のボスの前に差し出すと、 白服のボス、口にくわえていた葉巻を手に取り、灰皿の近くに持っていくと、 灰皿で消すのではなく、徳江ママの手の甲に当ててギリギリと擦り付けるように消した。 顔色一つ変えない徳江ママ。白服のボス 「見上げた根性をお持ちのようですなママ。 今日はそのママにちょいと話があって来たのだよ。」 店内のホステスが、声にもならない恐怖で身をすくめ、その一部始終に注目している。徳江ママ 「私に、何のご用件でございましょうか。」白服のボス 「うむ、実はな、 お宅のナンバー・ワンのホステスさんがね、わが社に多額の借金をしてましてな。 今日はその借金の回収に伺った訳でして。 オイ。」 黒服男が、階段下に待機していたもう一人の男に合図する。 待機していた男は、その場から階段上に待機していたさらに別の男に合図する。 合図を受けた男は、白いリムジンと店の入り口を囲むようにぞろぞろと取り巻いていた 数十人の男達に更に合図を送ると、白いリムジンの中からこれまた黒い服を着た男が 出てきた後、引きずられるようにして衣服の乱れた一人の女性を連れ出してきた。 丁度その時、当時中学生であの 『鬼劉館(きりゅうかん)』 で大立ち回りをしてきた その帰り道でたまたま通りすがった和恵が、その様子に気づき遠くでこちらに歩きなが ら見つめていた。和恵ちゃん 「あの異様な雰囲気の人だかり・・・・・ そして傷ついた女性が一人ひきづられるように・・・・・ 何かあるわね。」 -つづく-第173話 命の重さ 2 へ(話は最後まで聞きなさい) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月27日
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. 暗い夜道、蛍光灯のないところは月明かりだけが頼りとなる。 駆け足もほどほど疲れ、ジョギング程度の速度となっていたゆうすけ、 路地から出てきたシルバー服2人組の視界から、慌てて隠れるように身を伏せる。ゆうすけ ( はぁ、はぁ、はぁ・・・・ 一丁前に見回りか・・・・ ) ゆうすけに気づかず、そのまま道路を横切っていく2人組み。 それを見送ったゆうすけ、ゆっくりと立ち上がり進行方向に振り返った瞬間っ、 ガシ 何者かがゆうすけの前に立ちふさがり、ガッチリと掴まれてしまった。戦闘員 「先に捕まえた小僧じゃないか。 さては脱走してきたな。」ゆうすけ 「ん・・・・※%#△・・・・・」 口も押さえられ、言葉が発せられず、ただただもがいているだけだった。戦闘員 「今うろつかれては困るんでな。」 脇に抱えられ、ゆうすけは抵抗も出来ずにそのまま連れて行かれてしまった。~~~ ~~~ ~~~ こちらは 居酒屋 華夢on の地下室の三人。椿 「ふぅ。。。 今日はこのくらいにしておこう。」武藤大介 「もう身体が動かん・・・・」利江 「私も・・・・」 かなりがんばっていた3人のようだ。 ペタンとフロアーに座り語る椿と利江。 大の字になって語る武藤であった。椿 「利江ちゃんもいいセンスしているよ。 動きはさすがに俊敏だね。 これに腕力が備わっていたら、まさに格闘家としての素質十分ですよ。」利江 「そんな。。。 褒めても何も出ませんよ (^ ^* 」武藤大介 「しかし、利江ちゃんに付いていけんとは・・・・ 最初は気が動転しとったが、スポーツ選手と聞けば納得。 予測出来ないと、こうも違うとは・・・・」椿 「その通りだ。 お陰で、とても有意義な練習となったよ。」 階段の上の方から声が聞こえてきた。 とくさん 「食事の準備が出来ましたよ。。。」利江 「はぁ~ぃ♪ ありがとうございます♪」 とくさん 「みなさんご熱心だったと見えて、電話の音が聞こえないようでしたね。」利江 「あら・・・ご、ごめんなさい・・・・。」 とくさん 「いいのよ、冷めないうちに召し上がって下さいね。。。」武藤大介 「うぅ・・・・メシか。 身体が重くて・・・・・階段を上がれんかも・・・・」椿 「うっ・・・ 武藤君を担いで上がれる程、私も体力が残っていませんね・・・」利江 「とくさん、 すいません、搬出用のミニエレベーターでここに下ろして頂いてもよろしいですか?」 とくさん 「グロッキーなのね。。。いいですよ。。。」利江 「すいません。。。」~~~ ~~~ ~~~ 病院の精神病棟の一室、戦闘員 「今度は逃げられないように、厳重に縛らせてもらった。 もし逃げたら、次は殺すからな。」 両腕を後ろに回し、手首、そして胴回りと何重にもロープでグルグル巻きに されたゆうすけ。 口も手ぬぐいで縛られて、思うようにしゃべれない。 そのまま、開けた扉の中に蹴りこまれてしまった。戦闘員 「命令以外の行動でチョロチョロと嗅ぎ回っていた刑事さんと相部屋だ。 二人仲良く、大人しくしていろよ。」 バタン ガシャ 扉を閉め、今度は施錠をしたようだ。 前回と同じ作りの部屋の中。 精神病棟だけのことはあり、窓には鉄格子のパイプが取り付けられている。 月明かりだけが部屋の中を見渡せる唯一の光源。 ドアを目の前に横たわっていたゆうすけ。 その後ろにいる人の気配にゴロンと身体の向きを変えて、目をやるゆうすけ。 その前には、ゆうすけ同様にロープで縛られ、口も手ぬぐいで縛られていた 一人の男が壁を背にお尻を付いて、足を投げ出してこちらを見ていた。 目が合うと、お互いに驚いたような顔をしたっ!ゆうすけ 「ん、んんんーーっ!」 ( お、おやじーーっ! )北見刑事 「ん、んんんんっ!」 ( ゆ、ゆうすけっ! ) ~~~ ~~~ ~~~ お間抜けな戦闘員、 後ろ向きでゾルダの飛んでった方向を見つめて立つ和恵の背後から、 二人が そ~ っと近づいていった。 そして、 『おりゃーーーー』 『たぁぁぁぁぁぁっ!』 バキっ ズゴっ 『・・・・』 バタン 『・・・・』 バタン 右手の裏拳、そしてやや屈んでの左肘の一発ずつで無言で沈む二人。 和恵は前を見据えたままだった。リツコ 「どうしたの・・・? もう終わり?」 リツコの周りも、路上でのたうち回る大勢の戦闘員達の姿。リツコ 「自衛隊員の皆さん、 なぜこの人達がいっしょに行動しているんですか・・・?」 リツコの単刀直入の質問に、ビビリながらも素直に話しだす一人の自衛隊員。自衛隊員 「は、はぁ、上からの話しですと、ボランティアで手伝ってくれる格闘家さん達が 今回の動員では同行してくれるからと・・・・ 国費の経費が安く済むとかで・・・・」リツコ 「なるほど。 ありがとう。」 トゥルルルル トゥルルルル ピっ和恵姉さん 『はい、和恵。』 『えぇ、・・・・えぇ・・・・ あらそう。 なんとかなりそうだから、そちらに向かうわ。 ・・・・・分った。』 ピっ 「リツコ、お仕事よ。 どうしても今晩なんだって。。。」リツコ 「分りました。」和恵姉さん 「これから車取ってくるわ。 この出口から出ましょう。 ここで待ってて。 たぶんゾルダ、動きがないからまだ寝てるわね。」リツコ 「はい。」~~~ ~~~ ~~~ 北見刑事の後ろ手の元に頭の後ろを寄せて、口の手ぬぐいを外してもらうゆうすけ。ゆうすけ 「なにやってんだよおやじ~。」 同様に北見刑事の口の手ぬぐいを外してあげる。北見刑事 「今回の騒動、何か動きが変だったから調査していたら・・・・」ゆうすけ 「怪しまれて・・・それで掴まったのか。」北見刑事 「おまえこそ、ここで何やってんだ?」ゆうすけ 「話すと長いんだけどさ、 まず・・・・・」~~~ ~~~ ~~~ -つづく-第172話 命の重さ へ(忙しい人ね・・・) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月26日
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.ゾルダ 「全く・・・・話には聞いていたが、怖さってのを知らねー小僧だな。 今にその顔色が変わるぜ。」こういち 「期待しているよ。」 シルバー服最後尾の二人組、地面に座り手を後ろに付いて高見の見物のようだ。 こういちは構えることなく、棒立ち。ゾルダ 「では楽しませてもらうかな。 このスペック-3(スリー)の威力、試させてもらうぜっ!」 ズバっ 語り終えたゾルダ、急に素早くこういちに向かって走り込み身を寄せてきたっ! その勢いのまま、まさにラリアットのように右腕を横に出し、こういちに振りかざした! 『 うりゃゃゃゃ! 』 サッ☆ 屈んで避けるこういち。 踏み込んだ立ち足を残し、その屈んだ場所にもう一方の足で横蹴りを見舞うゾルダ。 シュっ サッ☆ 後転で飛んで避けるこういち。 着地したこういちに一歩ステップし身体を預けながら打ちにいったゾルダ、拳を上か ら叩き込む! サッ☆ ズボっ! その拳が、アスファルトにめり込んだ。自衛隊員 『は、早い!』 『凄いっ』 這いつくばるように地面に伏せた状態で、ゾルダ 「なるほど、すばしっこいやつだな。 だが、この拳をいつまで避けられるかな? 当たりゃ、一発で沈むぜ。」こういち 「どうかな。」 地面に突き刺さった拳を引き抜き、屈んだ姿勢からこういちを打ちに出たゾルダ! 『おぉぉぉぉりゃゃゃ!』 バシ バシ バシっ ガっ ガツっ パシっ パンチを連続で繰り出す。 だが、こういちはそれを腕で振り払い、二つ目を流れる動きで逆の手の平でこれも払い、 三つ目は手のひらで受け止めていた。ゾルダ ( なんだ こいつ・・・・ ) 拳をつかまれたまま、身動きが出来ないゾルダ。ゾルダ ( おれの拳を避けて・・・その上掴むだと・・・・ そして握る力、とんでもねぇ・・・へた動くと肘がいっちまうじゃねぇか・・・ ) 握られた拳をそこから回避しようと動かそうとするが、ビクともしない。こういち 「ひとつ聞いていいか。」ゾルダ 「な、なんだ・・・・」 質問を聞かず、逆の手で再び打って出るゾルダ。 こういちは掴んでいた手を離す。 『ぬぉぉぉぉぉぉ!』 バシ バシ バシっバシ バシ バシっ シュシュバシっ バシっ バシっ ガツ ガツっ ピシピシっ ガシガシ ガシガシ ズン パシっ自衛隊員・戦闘員 『す、凄すぎる!』 目にも止まらぬ速さで、蹴り、拳、肘打ちと連続で繰り出すゾルダ、 それをひとつひとつ丁寧に受け、叩き、払い、 そして最後の一撃を再び手のひらの中で止めるこういち。ゾルダ ( く、くそぉ・・・・ ) 歯をグッと強く噛み締め、額から冷や汗が流れ落ちてくるゾルダ。こういち 「なんでこのウイルス発生の現場にあんたらが居るんだ?」 ガッチリと掴まれた拳を通して、力が及ばない事を悟るゾルダ。ゾルダ 「簡単なことよ。 人助けのボランティアをしているのよ。」 ズボッ★ゾルダ 「ぐほっ!」 残像すら残さない速さで、こういちの拳がゾルダのわき腹に入った!こういち 「まじめに答えないと、もう一発お見舞いするぞ。」ゾルダ ( な、なんてぇ 力 だ・・・・ ) 「だからボランティアだと・・・・」 ズボッ★ゾルダ 「ぐぉっ!」 Zz ズン もう一発食らうゾルダ。掴まれたまま膝から崩れた。ゾルダ 「し、知らん。 命令で配属されただけだ。」こういち 「ここでの目的はなんだ?」ゾルダ 「話すわけにはいかん。」こういち 「そうか。」 そういうと、掴んでいたゾルダの拳を パッ と離し、回し蹴りを膝まづくゾルダに放ったっ! ズゴーーーン 彡ーーーーーーーーーぬぉぉぉぉぉぉぉぉ ズバーン ズコーン ゾルダの身体は近くにあった区域出入口の鉄の扉、二つ目には外の柵を支えていた 鉄の柱をと次々とブチ破りなぎ倒したまま飛ばされてしまったのだった。 目が点になる自衛隊員と戦闘員達。 その隊員と戦闘員達に、こういち 「なぁ、おいらはこのまま中に入るけどいいよね。」 振り向いてから、呆然と立ちすくむ他の隊員達に話しかけた。 キリキリ・・・ ガシャン 上端の鉄柱が倒れ落ち、柵も釣られてなぎ倒された。自衛隊員 「・・・・」こういち 「まだ動けるだろ、そっちは・・・?」戦闘員 「・・・・」こういち 「引き止めないのならこのまま行くぞ。」戦闘員 「く、くそ、行かせるか! 俺たちが相手だっ!」 こういちにどつかれ、フラフラの戦闘員と、そしてまだ太刀回りをせずに待機して いた戦闘員達がじわりじわりと前に歩み出てきた。こういち 「そうか、わかった。 だが、あんたらの相手はおいらじゃない。 あそこにいるお姉さんがかまってくれるそうだ。」 そういうと、恐る恐る一歩、また一歩と前に出始めた男達を横目に、 そのままシルバー服の最後尾に向かって歩き出したこういち。 後ろの二人の横で立ち止まり、こういち 「リツコさん、やつらから目的を聞きだして下さい。 姉ちゃんが相手するとこの戦闘員達では、口を割る前に壊れちゃうから。。。 だから姉ちゃんは戻ってくるであろう弟の監視を。 おいらはゆうすけを探してくる。」リツコ 「分った。 ね、防護服・・・着ってったら?」こういち 「それ、全然効果ないよ。ただの被り物で隙間だらけだもん。 つまり、本当にそれで[菌]などを防いではいないってこと。 あの弟が脱ぐ時に気が付いたよ。 密封性の無いことにね。 やつらがそれを使用しているってことは、ただの見せ掛けで、 逆に言えば[菌]の心配はないってことさ。」和恵姉さん 「そういわれれば。。。なるほど。。。 みんなはお店よ。」 こういちは背を向けたままうなづくと、そのまま区域内に姿を消していった。リツコ 「こういち君、よく私達だって分ったわね。」 着ていたシルバーの防護服を引きちぎりながら話すリツコ。 同じく防護服を引きちぎりながら、和恵姉さん 「だって[気]が違うもの。。。 こんなものでは隠れたことにならないわ。 気をつけてよ、生身の自衛隊員もいるんだからね。」 そう告げると、恐る恐る歩を進めている隊員達の前をツカツカとなまめかしい姿 をそよぎながら通過し、 壊れた鉄の扉まで進んだ和恵。 そして、チャイナのスリットから足を横に出し、両手を腰に置いてゾルダが飛ばされた 方向をじっと見据え立つ。リツコ 「さてっと、 スペック-1(ワン)の皆さん、私がお相手します。 自衛隊員の方々は、危ないのでその場を動かないで下さい。 ヘタに動かれますと・・・・・」 『ハィ!』 ズボっ★ そ~ と忍び寄り、話ししていたリツコの背後から襲い掛かった戦闘員を、 スっと身体を横に向け、チャイナのスリットをフルに生かし、右脚を時計回りに 回転させ、自らの顔の前を通過させた後、足の外側で顔面を蹴り抜いたっ! 『うわぁーーーー!』 一瞬で吹き飛ぶ戦闘員。リツコ 「・・・私、先ほどの少年と異なり区別が付き辛いので手加減が出来ません。 よって大怪我をされることになります。 スペック-1の戦闘員の方々、少年よりは望みがあるかもしれなくってよ♪ さ、今 私のパンティーの色が判った人は、かかっていらっしゃい♪」和恵姉さん 「サービスし過ぎよ・・・・。」 ボソ 後ろ向きのまま、ぼやく和恵であった。 お互い顔を見合わせた後、急に元気になった戦闘員達、 一斉にリツコ目掛けて襲い掛かっていった! -つづく-第171話 厳戒令 14 へ(ん、んんんーーっ!) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月23日
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. 月明かりが眩しく、辺りをやさしく照らす姿を物置部屋の窓から見ていたゆうすけ。ゆうすけ ( あれ? シルバー服の連中が大勢慌てて外に出て行くぞ? 何があったか知らないが、これはチャンスかもしれない! ) 最初の晩は、警備が厳しく、動きの取れなかったゆうすけ。 すぐさまその部屋をこっそりと抜け出し、廊下を抜き足差し足で階段に向かう。 踊り場付近で そ~っと 下の階の様子を伺う。ゆうすけ ( よし、思った通り見張りも手薄だ。。。 ) 更に下の階まで降りるゆうすけ。 廊下には、ひとっこ一人居ない。 そのままロビーには向かわず、階段横の通路から従業員通用口に回り、 鉄の重たい扉を開けて外に出た。 ガチャン ギィィィ すると、戦闘員 「おい、お前っ!」ゆうすけ 「くそ!」 開けた扉の数歩前に立っていたシルバー服を着た戦闘員が、扉を開けた音に気づき、 振り向いてゆうすけに叫んだ。 そしてゆうすけに向かって飛び掛ってきたっ! とっさに、お尻のポケットからドライバーを取り出し、左手でそれを握り、 右手の平で柄を押すように、戦闘員に向けて差し出したっ!戦闘員 「ぐわっ!」 運よく、突き出したドライバーが殴りかかってきた戦闘員の右拳を貫いた! 自分の傷ついた手をもう一方の手で掴みながらたじろぐ戦闘員。ゆうすけ 「ここが病院でよかったな。」 そのまま外に駆け出していったのであった。~~~ ~~~ ~~~ Dブロック 21番出入口付近。戦闘員 「力ずくでこいだと! 生意気な小僧め!」 『おりゃー』 ガシっ ガシっ トン 『うぐっ』自衛隊員 「この地域は立ち入り禁止だ、立ち去れ!」 『こぉのぉー』 ガツっ ガツっ ひょい自衛隊員 「かわいそうだが、これでっ!」 木製の長い棒を持ち出し、複数で少年に打って出る自衛隊員。 『たぁー』 びゅ~~ん サッ☆ びゅ~~ん サッ☆戦闘員 「そんなんじゃダメだ、俺たちに貸せ!」 自衛隊員が手にしていた棒をむしり取り、それを振り回して襲い掛かる戦闘員。 『くらえぇーー』 ビューーー ビューーー ササッ☆ ガシっ トン 『うわっ』 ビューーー ビューーー サッ☆ ガシっ トン 『ぐぉっ』自衛隊員 「くっそぉ、この少年、強すぎる。」ゾルダ 「そこまでだっ!」 その一言に動きを止め、声の主に注目する迷彩服姿の自衛隊員と戦闘員達。 そして、仁王立ちで腕を組み、少年をにらむ声の主ゾルダの後方へと引き下がっていった。ゾルダ 「小僧、強いねぇ。。。 そうこなくっちゃ楽しくねぇってもんだ。 いい動きだ。何か拳法でもやってんのか・・・?」??? 「さぁな。」 暗闇で、良く姿が見えない。ゾルダ 「ほほぅ、うちの戦闘員だけがやられてるって訳か。 相手選んでるじゃねぇか。 いいねぇ。。。」 アスファルトの路上でうずくまる複数の戦闘員、 片やピンピンとしている自衛隊員の姿を見ながらそう言うと、 シルバーの防護服を脱ぎ去り、迷彩服姿になるゾルダ。ゾルダ 「今度はオレが相手してやろう。」??? 「ザウバー・・・か?」ゾルダ 「ほぅ、事情通ってところが待ち望んでた小僧の証だ。 やはり片割れのメインディッシュだったな。 嬉しいねぇ~♪。 だが、オレはゾルダ。 ザウバーはオレのアニキだ。」 最後尾のシルバー服の二人組み、 再び顔を見合わせると、一人が『知らない知らない』と首と手を振っていた。 一歩前に出て、電灯の光の下に入る少年。こういち 「弟さんか。 兄さんは元気か?」ゾルダ 「さぁな。 だが、お前さんの姉貴に食らった一発がそうとう効いたみたいだ。 お前らとは拳を交えるなと言われたよ。」こういち 「それは利口な考えだな。 そのまま大人しくしてくれればいいものを。。。 で、その弟さんはこれからどうしたいんだ?」ゾルダ 「オレか、 オレはアニキと違ってまだお前達の怖さを知らねぇからな。 今はワクワクしているところさ。」 その言葉を聞き、一番後ろに居たシルバー服の二人組の一人が、服を脱ぎだそうと している姿をチラッと見たこういち、首を横に振って否定した。 それを見て、二人組みのもう一人がそれを横で静止した。ゾルダ 「見たところ、スペック-1(ワン)を倒しきれていないぢゃないか。 何か望みが湧いてきちまっててな。」こういち 「あぁ、倒しちゃいないよ。 だがその甲斐あって、ちゃんとあんたが のこのこ と出てきてくれたじゃないか。 なぜここに戦闘員が居るのかが知りたかったんだ。 やはり一枚あんたらが噛んでたようだな。 それにあんた、ゾルダだっけか、 そのスペックなんたらの戦闘員よりも数段 力 が上みてぇだな。 で、その弟さんを おいらはここで倒してもいいのか? それとも腕試しでいいのか?」ゾルダ 「どっちでもいいぜ~。 だが、倒すってところは無理だろうぜ。 オレもまだこの力を存分に試したことがないんだ。手を抜かねぇーから、 そのつもりでな。」こういち 「それでいい。 おいらもまだ数段上ってやつとやったことがないからね、 楽しみだよ。 その力、見せてもらうよ♪」~~~ ~~~ ~~~ 息を切らしながら、ようやく 居酒屋 華夢on の前に到着するゆうすけ。 だが、店は真っ暗・・・・。ゆうすけ ( 誰も居ないのか・・・? ) 入り口の扉も鍵が掛かっていた。 そのころ、椿、武藤、利江の三人は、地下の練習場に、 美咲はシャワー、とくさんは地下の食料保管庫に行っていて、たまたま不在となっていた。ゆうすけ ( くそぅ・・・・・ 次は我が家だ、オヤジに知らせなきゃ! ) 再び駆け出したゆうすけであった。~~~ ~~~ ~~~ -つづく-第170話 厳戒令 13 へ(サービスし過ぎよ・・・・) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月19日
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. 居酒屋 華夢on の前に、一人のシルバー服を着た男が立ち止まった。 薄暗くなった通りで辺りをキョロキョロとしている。 人目を避けているようだ。 そしてさっと入り口から中に入ってきた。和恵姉さん 「大丈夫なんですか・・・?」 その男に気を使う和恵。 男が、着ていた防菌防護服を脱ぎだす。 そう、中から顔を出したのは北見刑事だった。美咲先生 「こんにちは、北見さん。」北見刑事 「すいません、こんな格好で・・・・」和恵姉さん 「いいのよ。気にしないで。」 とくさんが冷たい麦茶を差し出した。とくさん 「ご苦労様ですね。」北見刑事 「あ、すいません。 頂きます。」 ゴクゴク と飲み干す北見。美咲先生 「暑いのにその格好では大変ね。」北見刑事 「この騒ぎでは、仕方ありません。 えっと、まずゆうすけは?」和恵姉さん 「今日は朝からこういちと組織の工場に行きましたよ。」北見刑事 「えぇ、そのようですね。 我々もゆうすけにそれを聞いていたので、時間を見計らって向かったんです。 ところが、現場に着くともう誰も居ない状態でして・・・。 その後、こちらに連絡でも入っていないかと・・・・」和恵姉さん 「あら、二人ともこの騒ぎで敷地の中に入れないでいるんだと思うけど・・・・ 連絡ぐらいしてきてもいいのに。」北見刑事 「そうですか・・・・こちらにも・・・・。 ところが私が現場に駆けつけた後、到着報告の連絡の時に上司が こんなことを口にしていました。 政府の特務機動隊もそちらに向かったらしい。 現場でかち合ったら、あちらの指示に従うようにと。」美咲先生 「特務機動隊・・・?」北見刑事 「えぇ、政府直下の秘密任務をこなす機動隊の精鋭部隊です。 我々警察もその存在のこと聞かされてはいますが、実態については良く知らない んです。 その部隊があの工場に・・・。 ちょっとおかしいんです。 組織の連中を捕らえに行ったのであればやつらと争うはずなんですが、 そんな形跡が全くなかったんです。 それにゆうすけとこういち君も向かったはずなのに・・・・」和恵姉さん 「それは変ね・・・・。 戦闘集団が一堂に会したのに・・・・争った形跡が全く無いなんて・・・・」 和恵もちょっと首をかしげて不思議そうな素振りをみせる。北見刑事 「争った痕はおろか、もぬけの殻。 工場内部は重要書類やデータは持ち去られ、大きな機器類だけがそのまま残って ました。 どうもやつらは事前にそれらを運び出していたようなんです。」和恵姉さん 「すると、その機動隊もこういちも、空振りしたってことかしら。」北見刑事 「おそらく、そう考える方が筋が通ります。 ただ、なんで特務機動隊が動いたかってことが、大いに謎なんです。 それに、アジトを察知していたのであれば、事前に見張りを立て、 持ち出す動きがあったのならばその場で取り押さえるはずなんですが・・・・。 それだって、所轄の我々ですらまだ情報を集めだしたばかりだというのに。」和恵姉さん 「警察や政府のことは良く分らないけど、刑事さんがおかしいというのであれば、 なにか別の目的でもあったのかもしれないわね。」北見刑事 「ゆうすけが現場に向かっているので、他の情報でも持っていればと。 この騒ぎでは、その後の動向の経過が全く入ってこないので・・・。 問い合わせても、機密機関、回答は知れてます。」和恵姉さん 「二人が戻ったら聞いてみましょう。 それとこの騒ぎ。 その後の進展はあるの・・・?」北見刑事 「それなんですが、これまたどうにも・・・・。 朝、行き成り道路を閉鎖するから交通整理に当たれと。 他にもやることがあるはずなんでが、所轄は交通整理だけやっていろと。 見てると、処置、調査なんてやってるように見えないんです。」和恵姉さん 「ウイルスの種類などを調べているとマスコミでは流しているわ。 新種だと中々進展しないみたいね。」美咲先生 「新種の調査って、思ったより多くの時間は必要としないのに。 ワクチン類ならかなりの時間を必要とするのだけど。」和恵姉さん 「政府はなにモタモタしてるのかしら。 北見さん、その後の感染者は増えていないの・・・?」北見刑事 「区域内を巡回しているのは自衛隊なんですが、戻ってきても死者の数の確認をせ ず、ただ 『異常なし』 の報告だけなんです。 マスコミも中に入れませんから、我々にも新しい情報って入ってこないんですよ。 市民のみなさんと同様に・・・。」美咲先生 「何かしらの滅菌・消毒とかの噴霧もしないの?」北見刑事 「えぇ、全てこちらでやるからと所轄は手出し出来ないんです。 今ここに来るまでの状況では、数人ずつ組んでの巡回だけですね。 消毒の動きはまだ・・・・」和恵姉さん 「散歩しただけで、異常なし・・・・か・・・・。 かなり不自然ね。何か裏がありそうよ。」北見刑事 「私も可能な範囲で調べてみます。」和恵姉さん 「お願いね。」~~~ ~~~ ~~~ 丸一日が経過した。既に辺りは真っ暗。 完全に日が沈んでから一時(いっとき)が過ぎていた。 そんな静粛した闇夜を一人の怒鳴る声がかき消した。ゾルダ 『 そんなこと、スペック-1に任せておけばいいだろうっ! いちいちオレに頼るなっ! この腰抜け共めっ! 』 ガシャン 病院内一階の部屋でえらいけんまくのゾルダ、手にした無線のマイクを投げ捨てた。戦闘員 「ゾルダ様、スペック-1の出来も今はピンキリ。 それに住人相手に思う存分力を出すわけにも・・・・」ゾルダ 「バカ者っ! 力を振えないのなら、オレが出向いた所で同じことだっ! 数でものを言わせればいいだろう。 くそ、ブッチめたいのは山々だが、相手が住人ってのが困り種だ。 まったく、つまらん所に配属になったものだ・・・・」 戦闘員 「ゾルダ様!」ゾルダ 「今度はなんだっ!」戦闘員 「Dブロック 21番出入口からの救援要請です。」ゾルダ 「また数で対処させろっ!」戦闘員 「一人の住人が立ち入り禁止区域に入ろうとしているそうです。 ところがその少年一人に、まるで歯が立たないそうで・・・・・」ゾルダ 「まったく、小僧一人に何を・・・・・ 強引にこちらに入ろうってやつがいるのか・・・ そんな小僧一人に歯が立たないだとっ! 待てよ、 そうか、あいつだっ! 分った! すぐ行くと伝えろ!」戦闘員 「ハハっ!」ゾルダ 「何だ何だ、ここもいいところではないか。。。」 ニタニタしながら立ち上がり、シルバーの防護服を上から被ったゾルダ。 10人余りの戦闘員を引き連れて部屋から出て行った。 病院の外に出たゾルダ、 正門前からドーンと伸びる道、その前方からこちら向かって来る見廻りから戻ったと みられるシルバー服の2人組みに声を掛けた。ゾルダ 「街の様子はどうだ。」 すると前から来た2人組みの一人が立ち止まり、足を横に出し腕組みを始めた。 それを見たもう一人が、腕を叩いてダメダメと手を振って見せ、 二人顔を見合わせた後、姿勢を正して OK サインを指で作って見せていた。ゾルダ 「おかしなやつらだ。 おぃっ、お前達も一緒に付いてこいっ!」 その言葉を聞いて敬礼をするシルバー服の二人組。 続々とゾルダに付いていくシルバー服を着た戦闘員達の最後部に回り、後に続いた。 -つづく-第169話 厳戒令 12 へ(ここが病院でよかったな) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月16日
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. 二手に分かれた他の隊員は、ゆうすけの後を追うグループと、 奥にある階段に向かって走っていくグループとに分かれた。。 階段を駆け上がる大勢の足音に気づき、一人の看護婦が、ステーションの扉を開けて出てきた。 そして両手を広げて、看護婦 「ここへは立ち入らない約束でしょ! 」 駆け上がってきた隊員達の前に立ちふさがったのだった。 立ち止まった隊員達。自衛隊員 「しかし・・・・」看護婦 「ダメなものはダメ! 降りて頂戴。」自衛隊員 「わ、分った・・・・」 看護婦に静止され、シブシブと引き下がる自衛隊員達。 階段下に降りた後、自衛隊員 「出口を全て閉鎖しろっ!」 その時ゆうすけは、ゆうすけ 「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・」 自衛隊員達がナースに止められた階の二つ上、ゆうすけが軟禁されていた階の物置部屋の 隅っこに身体を縮めて潜んでいた。ゆうすけ ( 振り出しに戻っちまったか・・・・。 警備が手薄だったのが幸いしたが、次からは動き辛いか。 このことを早く姉さん達に伝えないと。 ) 廊下の外の足音が無い事を確認し、扉を開けて様子見る。 再び廊下に出て、その階の備え付けの公衆電話に向かうゆうすけ。 この階は、不思議と誰とも出くわさない。 ポケットから小銭を取り出し、緑の電話機の受話器を取り、コインを入れる。ゆうすけ ( あれ? ) 耳に当てた受話器が、なんの反応もしなかった。 受話器を置くレバーを押し下げ、出てきたコインを再び投入する。 だが、変化がない。ゆうすけ ( くそ、外部と連絡できないように電話線を切っていやがる・・・・。 こんな時は携帯が便利だよな。 おやじに言って買ってもらわなきゃ。 ) 悔しそうに受話器を置き、横にある窓に近づき外を眺める。 辺りはオレンジ色に輝きだし、空にはこうもりだろうか、 いく匹かの黒い飛行物体が気持ち良さそうに空を舞い、 一日の終わりを告げようとしていた。ゆうすけ ( 闇に紛れて・・・の行動が望ましいな。 ) 物置の部屋に身を潜めるため、再びその個室に戻っていった。~~~ ~~~ ~~~ こちらは居酒屋 華夢on の地下室。 リツコはシャワーを浴びず、そのまま椿と対じし受けてあげていた。 『うりゃ! ふん! とりゃー!』 バシっ バシっ 『ハイ、 ハイハイ、 ハイ』 ぱしっ ぱしぱしっ タンリツコ 「もっともっと!」 打撃の入り、ちゅうちょしてるわ! もっと思い切り良く!」 『そりゃ! そぃそぃ! んぉー!』リツコ 「この後はここを防御! ガラ空きよ!」 シュパー ズカっ★ 『ぐぉっ』 バサン 椿 「まだまだ!」 バシっ バシっ武藤大介 「椿さんも凄い人なのに、まるで赤子同然にあしらわれとる。」利江 「えぇ、でもリツコさん、なるべく避けずに受けてあげているから、 一見すると椿さんが押しているように錯覚するけど・・・・ 必死の椿さんに対し、冷静で涼しい顔で対処するリツコさん。 差は歴然としている。 こういち君やお姉さん達がいなかったら、完全にこのスペックの人達の天下に なっているのね・・・・ 恐ろしいわ・・・・・。」武藤大介 「わしらの中で、ピカ一のスピードを誇る椿さんですら・・・・ 生身のわし達、修行を重ねてもあの域に達することは叶わぬな。」利江 「でも、少しでも近づくことは出来るわよ。 あぁしてリツコさんも相手してくれるんですもの。他の人には出来ない練習だわ。 それに、なんとしても力をつけなきゃいけないと思う。 あんな相手に宣戦布告したんですもの。 出来る/出来ない ではなくて、やらなきゃいけないの!」武藤大介 「オス! その通りじゃの。 ちょっと弱気になっとったようじゃ。 わしも少しでも力を付けんとな。」利江 「そうですとも、武藤さん。 みんなで一歩ずつ、がんばりましょ♪ そうだっ、私が今武藤さんにしてあげられることって。。。 ねぇ、体育館の中で前後で動きに合わせて廻るやつ。 あれなら私もお手伝いできるわ。」武藤大介 「おぉ、そうじゃ。 あれなら利江ちゃんでも。 お願いするか。」利江 「はい。」 二人、スペースに向かって歩き出す。 少し入ったところから、利江と武藤が向かい合う。 利江が後ろ向きで動き、それに合わせて武藤がまねるように動きだした。 椿を相手にこの練習をしていた武藤。 それなりに慣れているはずなのだが、驚いたことに、初めてこれをやる利江の 動きに付いていけない。 なんと利江、バスケット仕込みの片足を軸としたターン、 ドリブル時に見せる両足をトントンと跳ねながらの変則なスリ足。 まるで異種の動きを見せる利江がそこにいた。リツコ 「利江ちゃん。。。」 チラっと利江の動きも見ていたリツコ。 そのスキを逃さず懐に入った椿、リツコの胸くらを掴み、気合の投げっ! 『うぉりゃーーーー!』 クル、 スタ。リツコ 「あは、投げられちゃったわ。。。」 投げられた後、しっかりと着地して振り向くリツコ。リツコ 「やっぱり椿君はスピードあるわね。 僅かな隙間だったのに、私を投げるなんて。 改めて見直したわ。」椿 「いぇ、あんなスキ、そうそう与えてはくれませんから。 それに、投げた後の技をかけられませんでした。」リツコ 「私とまだ始めたばかり。 このスピードに目と身体が慣れてくれば、手痛いブローのクリーンヒットを まともに食らことが避けられるかもしれない。 それよりも利江ちゃんのあの動き・・・・」 椿が武藤と向かい合って、利江が動きのリードをしている姿を見る。椿 「 !! なんと・・・・・」 そう、格闘技ではない動きで、武藤が予測できずにまるで付いていけてない。 椿も何か気が付いたようだ。 しばらくして一周して二人が戻ってきた。利江 「ふぅ。。。 これって初めてやったけど、結構疲れるのね。。。」武藤大介 「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」 息が上がる武藤。 袖口で額からにじみ出る汗を拭き取った。椿 「利江ちゃん、その動き・・・・」 椿がたまらず口を開く。利江 「これ、バスケットボールの足運びなんです。 格闘技のって・・・・私は出来ないので・・・・・」リツコ 「バスケかぁ。。。 武藤君が全然付いていけてなかったわよ。 我々格闘技と足の運びが全然違うから。。。」利江 「ご、こめんなさい・・・・」リツコ 「謝る必要はないわ。 新鮮なのよ、この二人には。。。」利江 「えっ?」リツコ 「片足を軸にしてのターン、右回りも左回りもしてたでしょ。 彼ら二人のベースの動きには、それがないの。 柔道は畳を蹴って逆脚に体重移動の多様。 片足は、体重を乗せて。 そして投げるときはバランスやもう一方の足を引き付けて寄せて。 または、体重移動で力を込めて・・・の反復動作が多いから。 それで予測が出来ずにバランスを失っていたみたいね。」椿 「利江ちゃん、次は私とやってくれませんか? 恐らく私もスムーズには付いていけないかもしれません・・・・。」リツコ 「その練習って凄く意味がある有意義な練習だわ。」利江 「こういち君が、椿さん達の練習に取り入れてくれてたんです。」リツコ 「なるほどね♪ 理解できたわ。 ねぇ、利江ちゃんも私とそれやりましょうよ。 マネ・・・ではなくて、私の動きに対して逆に避けるの。 打撃は無理でも、回避能力が身につくと思うわ。」椿 「それも我々がこういち君に受けた練習項目にあります。 なるほど。。。利江ちゃんにも。。。」リツコ 「そう、それもなんだ。。。 片足を軸にって、中華皇国の武術には多様されているの。 それの変則型、身につけばかなり有効となるわよ。」利江 「へぇ~。。。 じゃ、私も見学だけじゃなくて、練習に参加できるってことね♪」椿 「是非、我々をしごいて頂きたい。」武藤大介 「おす、同感です。」利江 「やだ、もぉ。。。みんなして。。。」 ちょっと照れくさそうにする利江。 でも、とても嬉しそうだ。 -つづく-第168話 厳戒令 11 へ(今度はなんだっ!) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月14日
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.~和恵ねえさん 「どぉ? ここなら存分に出来るでしょ。。。」 利江が横に掛けてあったタオルを手にし、広いスペースからゆっくりと歩いてくる和恵と リツコに、小走りで近寄り手渡した。利江 「どうぞ。。。」リツコ 「ありがとう利江ちゃん♪」椿 「存分に・・・というより姉さんには窮屈かもしれませんが、我々にはとても過ぎる程 広いです。」和恵姉さん 「湿度の関係で、畳は置けないけどね。」武藤大介 「あのぉ~、壁の横の鉄板は・・・何のために・・・・」和恵姉さん 「あれね、あれは脚力を鍛えるための台なの。。。」椿 「脚力の・・・? なんでまた壁に・・・・」和恵姉さん 「あれはね、こうやって使うのよ。。。」 首を拭いていたタオルを再び利江に戻すと、 陸上の高飛びの選手が、まるで競技を始めたスタート時のように、 トントントンとリズミカルに奥側一番手前の鉄板に向かって助走を開始した。 そして、 シュパっ 加速してジャンプ一番! 鉄板に向かってジャンプした次には、 バァン と鉄の板を一蹴り! 続いて、 バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン と、空中で板の間をジグザクに行き来し始めたっ!椿・武藤 「んなっ!」 一番奥の板からは、再び引き返しジグザグに往復しながら返ってきた。 バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン バン 最初の板のところに来ると、そっと蹴って、中央付近に すっと 着地したのだった。 バァン スタ。和恵姉さん 「こんな感じにね。 見えるように往復したけど、使い道は分った?」椿・武藤 「・・・・・」 口をあんぐりと開けたまま、目が点になっていた。利江 「私、見たことあります♪ 中華皇国に行ったときに、こういち君が木と木の間を使ってやってました。」 ニコっとする和恵。リツコ 「私もあのぐらいの脚力を付けたいわ。」和恵姉さん 「往復なら出来ていたじゃないの。。。」リツコ 「でも、片道だけですもの・・・ 奥の板でUターンがまだ・・・・」和恵姉さん 「リツコも鍛錬ね。 持ち味のスピードに磨きをかけないとね。腕力では彼らに適わないみたいだから。 組み手ならいつでも相手してあげるわ。 椿君、武藤君、早くこの現実に慣れてね。 いちいち驚いていると、相手にスキを作ることになるわよ。」利江 「ですってよ、お二人さん♪」 声を掛けると共に、両手でそれぞれの肩を ポン と叩く利江。椿 「あ、あぁ・・・・」武藤 「・・・・・」和恵姉さん 「しっかりしてよ。。。 リツコはシャワー浴びてくるといいわ♪」リツコ 「はい、ありがとうございます。」 トゥルトゥルトゥル トゥルトゥルトゥル 店内のとくさんからとみられる内線電話が、階段下で鳴り響く。和恵姉さん 『はい、・・・・・分ったわ。』 ガチャ 壁掛けの電話機に受話器を置く。 「北見刑事から、私宛に電話が入ったらしいわ。 これからこちらに向かうってことらしいの。」椿 「警察サイドからの情報なら早く欲しいですね。」和恵姉さん 「じゃ、私は上に上がってるから、みんなは好きにしててね♪ ここならウイルスの心配も無いでしょうから。」椿・武藤・利江 『はい。』~~~ ~~~ ~~~ 階段の踊り場から、そ~ っとすぐ下の階を覗くゆうすけ。 その下の階には、シルバーの防菌防護服を着た人がある部屋に大勢入っていく姿が目に 飛び込む。 さっと顔を隠すゆうすけ。ゆうすけ ( なんだよ、下にはうじゃうじゃいやがるな・・・・。 にしても、病室の直ぐ下にいるのかよ・・・・ ) 再びゆっくりと覗き始める。 部屋の前の廊下には、数人の迷彩服を着た自衛隊とみられる人達が歩いていた。 彼らに見つからないように、シルバーの防菌防護服を着た人達が入った部屋が見える 位置に踊り場を這って移動する。 幸い、扉は開いたままだ。ゆうすけ ( くそぅ、あと もうちょい なんだけどな・・・・ ) 懸命に壁に顔を押し当てて、あと少しを覗こうとしていたゆうすけだが、 今度はその部屋から、同人数の迷彩服を着た自衛隊員が出てきた。 ゆうすけは慌てて顔を下げ、踊り場の後方に両手で床を押すように這ったまま移動する。 出てきた隊員達は、そのまま廊下を奥に向かって歩いて行った。 廊下が一時人影が無くなり、足音のしない静寂がおとずれた。ゆうすけ ( 今だっ! ) 素早く立ち上がり、階段を下りていくゆうすけ。 そのまま彼らの出てきた部屋の前に立つと、ゆうすけ ( やっぱりそうか。 ここでは脱いだだけだ。 半ばシルバー服の更衣室ってところだな。 まったく、殺菌消毒をせずにそのまま壁掛けか。。。 これで決定的だ。 早いとこみんなに知らせなきゃ! ) と、今降りてきた階段に向かおうと振り向いた瞬間、自衛隊員 「こら坊主、何コソコソとしているんだ?」 驚くゆうすけ。 目の前に大柄な一人の迷彩服姿の自衛隊員が立っていた。ゆうすけ ( しまった! ) 慌ててその自衛隊員の股間を潜り、降りてきた階段に向かって全力で走った。自衛隊員 「こら! 待て!」 自衛隊員も後を追う! その声に何人もの自衛隊員がその場所に駆け寄ってきた。自衛隊員 「不審者が上に上がっていった。 男のガキだ。」 指差す先には、ゆうすけが階段の踊り場をクルっと回り込む姿が映る。 それを見た大勢の自衛隊員がぞろぞろと階段を上がっていく! -つづく-第167話 厳戒令 10 へ(おやじに言って買ってもらわなきゃ) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月12日
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. こちらは病院内の階段を下りるゆうすけ。 踊り場の折り返し地点の中央部分で、しゃがみながら階段の手すりが取り付けられている 所から、目から上をちょんと出しては屈み、一段降りては顔を出しと、慎重に先へ進む。 降りた階の真前は少し開けた廊下があった。 右手にはイスとテーブルが置いてあるスペース、奥には本棚も見える。が、だれも居ない。 左手には、ナースステーションの文字がガラス張りの正面上に貼り付けられている。ゆうすけ ( 昼間なのに、人の動きが無いな・・・ ウイルスの関係で、用足し以外は病室から出られないのかなぁ・・・・ ) 左右をこまめに確認。 しゃがみながらナースステーションの正面ガラス張りの下、カウンターになっている部分 まで進み、そ~っと顔を出して覗いてみる。 二人の看護婦がイスに座り、何か書きものをしている。 他に看護婦らしき人影は見当たらない。 と、今降りてきた階段の昇路から人の足音が聞こえた! 慌ててナースステーション斜め前のトイレに駆け込むゆうすけ。 そのまま手すりが備えられている大便用の一室に入り、扉を閉めた。 足音を耳で追うゆうすけ。 どうやら二人が連れ添っているようだ。 『おれ、ちょっと用足ししてくるよ。』 『あ、おれも。』 どうやら男性が二人らしい。 一番奥に当たるところに入り込んだゆうすけ、 二人は入り口とゆうすけいる奥の一室との中間辺りの小便器に立ったようだ。 ショボショボ、ジョーーー 『この状態はいつまで続くんだろうな・・・・』 『さぁな。 政府から OK 出るまでらしいが、早く普段に戻ってほしいな。』 『 OK 出るまでか・・・・、患者の動きが無いから暇で暇で・・・・』 ジョーーー ジョーーー 『まっ、給料はいつも通り出るらしいから、骨休みになっていいじゃないか。』 『まぁな。』 ジョボ ジョボ ジョーーー 『おまえはこの時間までか。』 『あぁ、明日が遅番なんでな。』 『そうか、帰りは防菌防護服着て出るのを忘れるなよ。』 『分ってるって。。。あれ着ないと出入り出来ないらしいからな。』 ジョボ ジョボ ジャーーー、 キュ コツコツコツ・・・・ 二人は手を洗い、そのまま出て行った。 息を潜めていたゆうすけ、ゆうすけ ( なんだ~? やけにのんきな会話してやがるな・・・・。 それに 『防菌防護服着て出るの忘れるな』 だと??? 問題の大元のこの病院内は、まるでウイルスの対策をしていないじゃないか・・・。 ゾルダとか言ったな、あいつの服装もそのままだったし・・・・。 今の二人が戦闘員ではなく、病院関係者ってことは会話から読み取れた。 だが、病院内には戦闘員なんてまだ見当たらないじゃないか・・・・ 窓から出ていたら、何か起きていたのかな・・・? ) 二人が遠のいたころを見計らい、扉を開けて出てきたゆうすけ。 そのままナースステーションの看護婦の動きを注意しながら、奥の病室の方に 足を向けて、スタスタ、ペタ。 スタスタ、ペタっと、 小走りに走っては柱の影に、再び小走りに走ってはと、壁や通路の凸凹を うまく利用しながら移動する。ゆうすけ ( くそ、病室は全て扉が閉まっていやがる・・・・ ) 浴室の入り口に隠れて立つゆうすけ、見回す全ての部屋の扉がしっかりと閉まっていた。ゆうすけ ( 昨日までここに入院していた人達だっているはずなんだが・・・・ ) と、その時、今進んで来た方向のひとつの病室の扉が開いた。 中から誰かが出て来る様子。 角の壁をギリギリまで利用して、顔を斜に構えてそっと覗うゆうすけ。 開いた扉からゆっくりと出てきたのは、パジャマを着てスリッパを引きずるように歩く 白髪頭の一人の老女。 手すりにつかまりながら、ゆっくりゆっくりとナースステーションに向かって進み出した。 老女が歩く姿を見つめながらゆうすけ。ゆうすけ ( なんだ、患者さんはいるじゃないか。。。 ) ゆっくりと歩を進める老女は、ナースステーション手前のお手洗いに入っていった。ゆうすけ ( よし、あのお婆さんに聞いてみよう。 ) ゆうすけは辺りを見回し、再びゆっくりと前後の動きに注意をしながらお手洗いに向かい、 女子用入り口付近で老女が出て来るのを待った。 ナースステーションの中は、新たな動きはないようだ。 しばらく待つと、水洗の水の流れる音が聞こえ、個室の扉が開いて老女が出てきた。 ゆっくりと入り口付近の手洗い場に歩を進め、蛇口をひねって手を差し出した。ゆうすけ 「お婆さん、お婆さん・・・・」 小声で呼びかけるゆうすけ。 しかし、老女は聞こえないのか、まったくの無反応・・・・。ゆうすけ 「ねぇねぇ、お婆さん、お婆さんってば・・・・」 先程よりは少し声を大きくして再び呼びかける。 老女はまったく気が付かない様子。 ゆうすけは思い切って入口通路の真ん中に身体を移し、老女の視界に入るように立って みた。 すると、老女 「あら、なんだね坊や。 ここは女の人の入るところだよ。」 掛かっていたタオルで手を拭き取りながら、老女が口を開いてくれた。ゆうすけ 「うん、ちょっと通りがかっただけだよ。 お婆さん、なんだか皆さん静かにしてますね。」老女 「えっ、あんだって・・・?」 ゆうすけ、この老女の耳がかなり遠いことを悟り、老女の耳元に顔を寄せて話しだした。ゆうすけ 「お婆さん、皆さん静かにしてますね。」老女 「そりゃそうさ、私語は慎むようにって、今日の朝・・・あれ、昨日だっけかね? 突然看護婦さんから言われてね。 なんでも耳がおかしくなって、良く聞こえすぎてしまう患者さんが入院したらしく ってね、声を出すとその大きな音で気が狂ってしまうとか。 だからみんな静かにしているのさ。 あたしゃ音が聞き取り辛いから、その事に理解できないんだけどね。 坊やの階の看護婦さんも伝えにきたじゃろうに。。。」ゆうすけ 「そうだったね、ありがとう。」 ゆうすけは老女の手を取り、病室の前まで誘導してあげた。老女 「やさしいね坊や、ありがとよ。 早く病室に戻りなよ、看護婦さんに怒られるよ。部屋からも用足し以外に出るなって 言われていたろう。」ゆうすけ 「うん、そうする。」 老女は、ゆうすけの手を離して自分の病室の扉を開く。 そのスキにゆうすけは病室の中にチラっと視線を送った。 目に映ったのは、手前でベッドに横たわり、普通に本を読む老人。 反対のベッドには、TVを点けてビデオの映画をイヤホーンで聴いている老人の姿。 その奥は・・・・カーテンが閉まっていて見えなかった。 視線を送るゆうすけの目の前で病室の扉がゆっくりと閉まっていった。ゆうすけ ( ・・・・なるほどね。 TV も見れないのか・・・・映像の娯楽はビデオだけなんだ。 患者さんには、ウイルスの事はなにも伝えていないんだな。 別の理由で事を進めているってことは、いつでも平常に戻せるようにってことか。 本当にウイルスの感染があるならば、きちんと伝えてしかりってこと。 つまり・・・・こいつはでっちあげの騒動の匂いがプンプンする! よしっ! ) なにかを決意したゆうすけ、 さっと振り向くと、今度は大胆にも堂々と廊下を歩き始めた。 そしてナース室の前に立ち、 コンコン 正面のガラスを叩く。 二人の看護婦が振り向き、一人がゆうすけの元へと歩いてきた。看護婦 「キミ、出歩いちゃダメって言われてるでしょ?」ゆうすけ 「患者じゃないんですよ。 下にいる関係者の親父に無理を言って、友人のお見舞いにきたの。」看護婦 「お見舞い? 出入りできたのね。 そう。 それで用事ってなに・・・?」ゆうすけ 「あのさぁ、 ニュースで話してるウイルスで亡くなった方の遺体、直ぐに焼却処分されちゃうの? 中には看護婦さんもって・・・・お友達でしょ・・・?」看護婦 「なんだ、そんなこと。。。 関係者なんでしょ、聴いてないの? 誰も亡くなっていないわよ。 子供は心配しなくていいの。。。」ゆうすけ 「なぁ~んだ、そうなのか。。。 お姉さん、ありがとう♪」 そう告げると、横の階段に駆け出したゆうすけ。ゆうすけ ( よし、裏が取れたっ! )看護婦 「へんな子ね。。。」 階段の踊り場までスタスタと降りてきたゆうすけ。 だが、ここからは再び慎重に行動を始めた。~~~ ~~~ ~~~ -つづく-第166話 厳戒令 9 へ(ですってよ、お二人さん♪) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月09日
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. ~『うわ~~~!』 『な・・・なんなんですかここは !! 』 立ち止まったままその目の前の光景を目にして、みんな一様に足を止め、 驚きの第一声を発した後は、首を上下左右にとみな同じような動きをしていた。和恵姉さん 「ここはね、私達の練習場よ♪」 みんなの驚く顔を横目に、スタスタと中に入っていく和恵。 蛍光灯が光々と照らすその部屋は、部屋と言うにはあまりにも広すぎる。 敷地面積からすると、 居酒屋 華夢on の店はおろか、向こう 10~15軒 隣まで行ってもまだ突き当たりには 届かない程。 その天井はビル5~6階分は入るであろうという高さ。 壁はコンクリートの打ちっぱなし。 夏だというのに、とてもひんやりとしている。 その壁には、水銀灯も設置されており、スイッチを入れたばかりなので、 まだうっすらと灯り始めたばかりだ。 その広いスペース、 まず入って手前には、見たことも無いベンチプレスが待ち構えている。 奥は広いスペースのままガランとしていた。 ただ、壁側には、鉄の板が飛び飛びで置かれていて、その板の後ろにはとても頑丈な作りで ど太いH型鋼が支えられており、そのまま壁に埋められている。 それが反対側の壁にも施されており、同じ間隔ながら、その位置は互い違いになっていた。 椿 「な、なんと言ってよいやら・・・・」和恵姉さん 「これでも狭くて・・・・かろうじて最小限のスペースをキープってところかしら。」武藤大介 「これって、もしかしてベンチ・・・プレス・・・っすか?」和恵姉さん 「そっ、これで毎朝毎晩持ち上げているわよ。」 見ると、手にするところは鋼材のH型鋼。 その両脇には、四角い形の重り。それも大きくてぶ厚い。 それをハメる穴は、特注とみられH型鋼の大きさとその形に抜かれていた。 柄に当たるH型鋼を載せる台も、これまたH型鋼で出来ていた。和恵姉さん 「武藤君、持ち上げてみる・・・?」武藤大介 「いえ・・・・やめときます。 柄の部分だけでも無理と分かるっす。」椿 「こ・・・これは今・・・・」和恵姉さん 「重さなら、片側1t。 つまり2tの設定ね。」 『 に、にトン ! 』和恵姉さん 「そっ。 中学生だからまだ 150kg までねって止めておいたんだけど、 こういちがこれじゃ~練習にならないって言うから・・・・ ちょっとずつ重くしていったんだけど・・・・ この重さ、予定では高校入ってからだったのに。。。 もっともじっくりと仕上げていられなくなっているのもあるけどね。」椿 「こ・・・こんなのが持ち上がるんですか・・・?」和恵姉さん 「えぇ、長く続けられる程度にね。 あなた方もベンチでは限界よりはずっと軽くして何回も持ち上げるでしょ♪」 そういうと、和恵はベンチに横たわり、H型鋼の柄のところに両手を広げて下から当てた。 そして・・・・ カチャン・・・・ 重りと柄の僅かな隙間が、柄が持ち上がることで音が鳴った。 さすがのH型鋼も少ししなったような気がする。 続けて和恵は腕を伸ばすと、和恵姉さん 「い~ち、にぃ~、さぁ~ん・・・・」 カッチャン、カッチャン、カッシャン・・・・ と、フラつく様子もなく、上げ下げを繰り返し始めた。武藤大介 「な、なんと !!! 」 こんな重さを持ち上げる人を見たことのない武藤、目をまん丸におっぴろげて驚いた! 無論、椿、利江とて同じだが、こちらは言葉にすらならない。 カチャン・・・・和恵姉さん 「とまぁこんな感じね。。。」 台座に載せてから起き上がった和恵、ベンチプレスの横に立つと、なんと !!!和恵姉さん 「まだこの重さなら、両手使わなくても。。。」 カチャン・・・・ そういうとH型鋼の真ん中下側に右手を回し、ヒョイっと片手で持ち上げてしまった のだった! こうなると、もう誰も言葉にならなかった。リツコ 「2tを軽々。。。これじぁ当然だわね♪」和恵姉さん 「あら、リツコも来てたのね。。。」リツコ 「こんにちは。 仕事が延期になったので、こっそりとこちらにお邪魔しちゃいました。 とくさんが、みなさんこちらだと。」 『・・・・・』リツコ 「あらあら、みんな抜け殻みたいになっちゃって・・・・ この重さ、スペック-3の私にも持ち上がるわ。 でもね、片手ではさすがにちょっと・・・・ クラウスなら軽々と持ち上げてしまうかもしれないけど・・・・」椿 「リ、リツコさん。」利江 「あ、リツコさん、こ、こんにちは・・・・」リツコ 「こんにちは。 ようやく話が出来るようになった?」利江 「え・・・えぇ。。。」リツコ 「みんな放心状態だったからね。。。」椿 「む、武藤君、」 慌てて武藤をゆすって現実に戻す椿。武藤 「あ・・・・、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」 またまた息をしていなかったようだ。和恵姉さん 「椿君、武藤君、良かったら外に出られるようになるまでここを練習に使ってもらって も構わないわよ♪ 階段の上り下りだけでも足腰鍛えられるでしょ。。。 リツコ、少し汗を流すわよ♪」 サッリツコ 「はい。」 返事をしたリツコ、既に広いスペースに移動してしまった和恵を追って、 中に走り込んで行った。 そして・・・・リツコ 「ハーイ、ハイハイハイ、タァーー!」 和恵に全力で向かうリツコ。 和恵はその蹴り、手套、肘をしっかりと受け止めながら相手をしている。 場所を変え、攻撃を変え、リツコが容赦なく和恵に挑んでいた。 椿はかろうじてそのアバウトな動きだけは目で追えていた。椿 「スピード対決だけに、ザウバーとリツコさんの対決よりも、まるで速度が違うっ! こんな練習、見ているだけでも動体視力の鍛錬になる・・・・す、凄い!」利江 「私は動きの場所だけなら・・・・」武藤大介 「丸で追えないぞい・・・・立ち止まって打ち合うところだけが微かに・・・・」椿 「こんな人達を相手にしなくてはならないのか・・・・ せめてリツコさんとそこそこ立ち会えるまでにはなりたいが・・・・ 生涯かけても・・・・こりゃ無理かな・・・・ ^ ^||| 」利江 「ここなら誰にも邪魔されず、思いっきり出来るじゃありませんか。 リツコさん相手にどんどん立ち会うべきですよ。 今のリツコさんがお姉さんに挑んでいるように。。。」 椿はゆっくりとうなづきながら、二人の練習を目で追うのであった。 -つづく-第165話 厳戒令 8 へ(ジャーーー、 キュ) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月07日
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.~~~ ~~~ ~~~ゆうすけ 「じゃ、おれは・・・・」ゾルダ 「殺さねーよ。 一人はいつでも殺れるが、もう一人は捕まえるのが得策ともっぱらの話だ。 小僧は前者の方らしいな。 名はなんという。」ゆうすけ 「おれはゆうすけ。」 少し安心したゆうすけ。フロアにお尻をペタンと付けて座る。ゾルダ 「そっか、おまえがゆうすけか。 アニキが弱っちい方、ちと気になると言っててよ。 まっおれには名前なんてどうでもいいんでな。」ゆうすけ 「ザウバーがおれを? で、おれを殺さないならどうするんだ。」 両手を後ろに付き、リラックスして話すゆうすけ。ゾルダ 「そこよ。 やるならいつでも出来るってことだ。 ここに運ばなくてもな。 だが、オレはちょいとおまえに聞きたい事がある。 教えてくれれば開放してやってもいい。 お前を捕まえた事は、まだ組織には報告していないんでな。」 イスに座ったまま膝(ひざ) に肘(ひじ) を乗せ、やや前傾姿勢で話すゾルダ。ゆうすけ 「なぜ報告しない。」ゾルダ 「オレとアニキ、組織にどっぷりって訳けじゃない。 利用している。。。と言う方が分り易いだろう。」ゆうすけ 「利用している・・・?」ゾルダ 「そうよ、強くなるためのひとつの手段でしかないってことだ。 だから全てを命令通りに・・・なんてなまっぴらゴメンってことよ。 そこをうまくやるのが苦労どころってことだな。」ゆうすけ 「ザウバーは組織の中でしっかりとやっているように見えるけど・・・・」ゾルダ 「そう見えれば役者として評価できるってことだな。わっははは。 あまり話すとアニキに怒られちまうが、おまえさんには聞いてもらっても こっちには損も得もねえからな。 組織にチクる事もなかろうし。」ゆうすけ 「強くなって、その後はどうするんだ?」ゾルダ 「一番になりてぇ~じゃないか。 頭脳で無理なら力で一番になりてぇよ。 アニキは知らんが、オレはこれ一つだな。 まぁ男に生まれたからには、何か一番になりてぇってことよ。 ところがこの力を得たのはいいが、それでも一番になれねぇって話だ。」ゆうすけ 「アニキがいるからか・・・?」ゾルダ 「まさか。 おまえのダチのもう一人の小僧だよ。」ゆうすけ 「こういちのことか。」ゾルダ 「そいつだ。 その名前だ。その聞きてぇってのがそいつの強さなんだよ。 オレはまだその小僧とはヤリあってねぇから半信半疑ではあるが、 アニキの話だと、スペック-3のこの力を持ってしても危ういらしい・・・。 そんなやつがこの世にいるとは・・・・・」ゆうすけ 「あぁ、いる。 このおれも、あいつの底はまだ見たことがない。 だが、まだ力を付けたあんたのアニキとはヤリあってないはずだが・・・・」ゾルダ 「そいつのねぇちゃんがまた強いらしい。 ねぇちゃんの蹴り一発を食らっただけらしいが、あのアニキがこのオレに その姉弟とはヤリあうなと言ってきた。 時がくるまで。」ゆうすけ 「時がくるまで・・・?」ゾルダ 「おっといけねぇ、口が滑っちまった。 今のは聞かなかった事にしてくれ。」ゆうすけ 「何か秘策でもあるのか?」ゾルダ 「その話はもう終わりだ。 それより、その小僧の強さ、教えてくれ。」 おもむろに立ち上がり、日差しが差し込む窓辺に歩きだすゆうすけ。ゆうすけ 「悪いが、その質問には答えられない。 というより、おれも知らないんだ。 まだ小さいガキのころからやつと一緒にいるが、逢った時から既にズバ抜けた能力 だったから。 一つ言えるのは、その能力に甘んじることなく、毎日鍛錬を欠かさずにやっているって ことは唯一、話をできるところかもしれない。」ゾルダ 「そうか、おまえも知らないのか・・・・。 それでも毎日か。 たいしたものだ。」ゆうすけ 「用済みなら・・・・殺すか?」 振り返り、イスに座るゾルダを見ながらしゃべるゆうすけ。 背もたれにもたれ掛かりながら腕組みをするゾルダ。ゾルダ 「ったく・・・ おまえを殺しても、オレにはなんのメリットもないんでな。 強くなりてぇーが、弱いものを突いて遊ぶことはしねぇよ。 強いを名乗るヤツをコテンパンにとっちめるのが最高の喜びだからな。 なんでぇ、なんの収穫も無しかよ・・・・。」 とても残念そうな顔をするゾルダ。ゾルダ 「まぁ仕方ない。 またおまえさんには逢うこともあるだろう。」 すっと立ち上がるゾルダ。 そしてポケットから一本のドライバーを取り出し、ゆうすけの足元に放り出した。 トン コロコロゾルダ 「おれが窓の鉄格子を引き抜いてやってもいいが、それじゃ誰がやったか すぐに分っちまう。お間抜け丸出しだからな。 ここはお前ん家の近くの病院だ。 あとは好きにしな。」 そういうと、入り口の扉に向かって歩き出すゾルダ。ゆうすけ 「逃がしていいのか?」 開けた扉のところに立ち止まり振り返ることなく、ゾルダ 「言ったろ。 オレにメリットが無いって。 まぁ精々組織をやきもきさせるんだな。 外にはスペック-1がうじゃうじゃ居るから気をつけるこった。」 バタン 入り口の扉も鍵を掛けずに出て行ったゾルダ。ゆうすけ ( なんだか食えないやつだな。 ザウバーの弟か。 ) ゾルダの座っていたイスに座り、窓の外を眺めるゆうすけ。ゆうすけ ( 手前は下階の天井部が広く覆っていて見えないが、奥の景色はうちの街だと分る。 こ、ここはっ! ) そして出入り口の扉まで歩くとそっと扉を開き、廊下の様子を伺うゆうすけ。ゆうすけ ( 廊下には見張りはいないのか・・・・ ) 再び室内に戻り、ゾルダが置いていったドライバーを拾いあげる。ゆうすけ ( ここは! 渦中の国立病院の中だ。 しかし考えてもみろ、、 特務機動隊を動かすのも政府、つまり国の機関だ。 そして今回最初のウイルス発見の場所も国立、国の機関だ。 そっか♪ もしもだ、 やつらが裏で糸を引いていたと仮定した場合、ターゲットはおれ達だ。 まず、ウイルスと銘打てば、市民も巻き込んで地域を閉鎖出来る。 さらに、マスコミだって敷地内にうかつに入れないから、政府発表の事実関係の 裏を取ることが出来ない。 中に居る市民は家や職場に釘付けで、仮に記者が敷地内にいても相手がウイルスだけ に外に出て探り回る訳にもいかないしな。 その市民の動きを監視するために防菌防護服を着た連中が監視している? なんだよ、こう考えると 全てすんなり説明が付くじゃないかよ。。。おぃ。 ウイルスで死亡した人の名前は発表してなかったな。 本当に無くなっている人がいるのか確認しないと。 もしも本物のウイルスだとしたら? 病院内では、医者や看護婦もってことだったから、接触時、もしくは空気感染って ことだ。 空気感染だとしたら、宿主が動いた場所に感染者がいてもおかしくない。 病院内の死亡したとされる人達は感染してから1時間後に亡くなっていたから、 今現在、発病者が続々と増えていてもおかしくないってこと。 当のその病院内、本来ならドタバタしてて良いはずなのに、この静けさ・・・ 何かある! ) 拾い上げたドライバーを見つめながら、 ( ・・・・外へ逃げろということか・・・・。 確かに館内からでは、いつやつらと出くわすか分らない・・・・。 しかし、せっかく巡って来たチャンスだ。 逃亡の選択肢は窓から外へと、病院一階から外への二通りあるが、 どうせならこの国立病院の状況を探らなくっちゃ。 ) 決意をしたゆうすけ。 手にしたドライバーをお尻のポケットに仕まい込み、入り口の扉に振り返り歩きだす。 再び扉をそぉ~と開けて、廊下の様子を伺うゆうすけ。 誰もいないことを確認し、すぐさま斜め前のお手洗いに移動する。 そして廊下に顔を出し、辺りの様子を伺うゆうすけ。 慎重に確認したあと、廊下のT字路に向かって駆けていった。~~~ ~~~ ~~~ -つづく-第164話 厳戒令 7 へ(これじぁ当然だわね♪) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月05日
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. 窓から差し込む強い夏の日差しが、薄暗かった部屋を一瞬で日向に変えた。 眩しい日差しが逆光となり、ゆうすけからは窓際にいる男のシルエットしか分らない。 目を細め、シルエットの男を確認しようとするゆうすけ。 その男は、シルエットで判る体つきに見覚えがあり、声すら聞き覚えがあった。ゆうすけ 「ザ、ザウバーか・・・?」??? 「ほぅ、さすがに事情通なだけあるな。 だがおしい、残念ながらハズレだ。」 少しずつ視界が利いてきて、今ハッキリとその姿を見ることが出来たゆうすけ。 その男は、緑と茶色の迷彩服を着て、がっちりとした体格。ゆうすけ 「そっか、似ていたが別人のようだな・・・。」??? 「おれはゾルダ。 ザウバーはアニキだ。」ゆうすけ 「弟か。通りで似ているわけだ。」ゾルダ 「まぁな、いちを一卵性双生児の双子なんで間違えても問題ない。」ゆうすけ 「双子か。兄弟揃って組織の一員・・・・よほど組織が好きなんだな。」ゾルダ 「そうでもない。 まっ、アニキもオレも強くなりたいって願望は同じように持っているから。 組織のお陰で念願が叶いつつあるってことだ。」ゆうすけ 「するとあんたもスペック・・・・」ゾルダ 「3(スリー)の処置を受けた。 この力は凄いなぁ。。。想像以上に身体が軽く、力も有り余っている。 別人とは良く言うが、これほど変われるとは思ってもみなかったぜ。 アニキが薦める訳だ。」ゆうすけ 「そのスペック・・・、処置を受けて、すぐに馴染むものなのか?」ゾルダ 「最初は難しいな。 コップを普通に握ると割れてしまう。 ドアのノブをちゃんと回してから押さないと、ドアが壊れてしまったり。 加減するのに最初は苦労したさ。 あとは腹が異常に減るな。 馴れるまで疲労が溜まる。 こんなところかな。 小僧もやってみないか?」ゆうすけ 「おれは強くなりたくないから。 それにそんな勧誘をするためにおれをここに連れてきた訳でもないだろうに。」ゾルダ 「ちげーねー。 組織から言われているのは、小僧達を見つけたら拘束しろとのお達しだ。 場合により殺しても構わんとも言われているがな。 どちらかやり易い方でと現場の裁量に任されている。」ゆうすけ 「じゃ、おれは・・・・」~~~ ~~~ ~~~ ガラガラガラ利江 「お姉さん!」 居酒屋 華夢on に無事到着し、開口一番に叫んだ利江。利江 「あっ・・・」美咲先生 「あら、利江ちゃんもここに着たの。。。」利江 「美咲先生。。。」椿 「みんな考えることは一緒のようだ。」武藤大介 「オス。」 奥から椿、武藤も顔を出した。利江 「椿さん、武藤さんまで。。。」和恵姉さん 「みんな無理してここに来ちゃって・・・・ 感染でもしたらどうするの・・・?」利江 「道路で消毒している様子もないので、それなら家の中もどこも変わらないと思って。 ならここに居た方がって。。。気が休まるんですもの。」椿 「私もだよ。」和恵姉さん 「ここは駆け込み寺じゃないんだけどな (^ ^;;; 」とくさん 「いいじゃありませんか、気が休まる場所なら、本望ですよね ^ ^* 」 奥のキッチンから顔を出すとくさん。利江 「とくさんまでいらしてたんですか。。。」とくさん 「きっとみなさんはここに来るだろうなと思って。 食事作る手伝いをしなきゃいけないでしょ♪」利江 「す、するどいです・・・・ ^ ^;;; けど、食事って・・・・この人数集まってしまったら、蓄えもすぐに尽きて・・・」和恵姉さん 「それが後ろめたいところなんでしょうけど、心配いらないわ。 生モノはその日に買い付けて売り尽くしがほとんどなんだけど、 乾物や冷凍モノならこの人数なら1ケ月でもびくともしないわよ。 しかたないわ、いらっしゃい。。。」 和恵はみんなをどこかに案内するようだ。 キッチンの脇を抜け、自宅部分に入る扉を開けた和恵。 椿、武藤、利江の三人がそれに続く。 和恵は、入った扉のすぐ横の壁を何かゴソゴソとやった後、トンと壁を押すと、 まるで忍者屋敷のように壁が反転し、彼らを迎え入れる準備をしてくれた。利江 「えっ? こんな仕掛けがあったなんて・・・・」和恵姉さん 「驚くのはまだこれからよ。」 横にある蛍光灯のスイッチを入れた和恵。 開いた壁の先が一瞬で明るく照らし出される。 扉の先は、地下に降りるための らせん状の階段 が施されているのが目に映る。 和恵が先頭でその階段を下りていく。椿 「お店の下に地下室があったなんて・・・・」 一様にみな驚きながらも、美咲を除く他の三人がそれに続く。 何周回りながら降りただろう、目が回る程くるくると階段を降り続ける四人。和恵姉さん 「慣れればこうやって手すりに乗って一気に降りられるわよ♪」 ちょんとお尻を手すりに乗せて垂らした足でバランスを取りながら、 勢い良く回転しながら降りていく和恵。椿 「ぼくらには無理ですよ。 歩きでだって目が回っていたのに・・・・。」武藤 「なんだか酔いそう・・・・」 階段の遥か下の方から、和恵姉さん 「何してるの、早く降りていらっしゃい。」 三人はペースを上げて階段を下りて行くのであった。 ようやく最下階のフロアーに到着した四人。武藤 「もうあかんです・・・・@.@」 ヘナヘナの様子の武藤。目が回り、フラフラしている。利江 「階段の足場ばかり見ているからですよ。 たまに確認程度で見るだけにして、あとは停まっている壁の一点を見ては 変更して、また見ては変更してってやれば、大丈夫です。」椿 「早く言って欲しかったな・・・・。」 椿もまた、手すりに掴まって顔をうなだれていた。和恵姉さん 「さて、最初に見て欲しいのはこれ♪」 降りたフロアー左にあった扉を開ける和恵。 蛍光灯を点けると、なんとそこには乾物の食料がドサっと整理されて置いてあった。利江 「す、すごいっ!」 つかつかと中に入る和恵。 そして右奥にある扉を開けると、白い煙のように、冷たい冷気が床を這うように 四人に向かって走ってくる。 中にはしっかりと冷凍食品がこれまたたっぷりと入っていた。和恵姉さん 「長持ちするモノは、安いときに大量に買うの。 賞味期限も棚ごとに日付けをふってあるから管理もばっちりよ♪」武藤 「この階段では持ち運びが・・・・」和恵姉さん 「ここに小さい荷物用のエレベーターリフトがあるの。これで運んでいるわ。」椿 「これなら食料については心配ないですね。。。 地下にこんな部屋があるなんて。。。」和恵姉さん 「その言葉を言うなら、こっちの部屋を見てからにして頂戴~♪」 そういうと、みんなの居る後ろにつかつかと歩き出し、横にあった蛍光灯のスイッチを 入れた。 パチン 突然、その後ろ全体が眩しいばかりに照らし出される。 『 えぇーーーー! 』 -つづく-第163話 厳戒令 6 へ(その話はもう終わりだ) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。
2007年03月02日
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