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オオクロニガイグチ Tylopilus alboater 黒いニガイグチは2種あり、 ひとつはクロニガイグチ Tylopilus nigropurpureus で、もうひとつがこちらの大がつくものである。 大はつくけれども野山で出会うこの黒んぼくんは、ただのクロニガイグチくんよりも通常小さめのサイズであることが多いのが面白い。 この2者の違いは触れると黒変するのがこの写真のきのこで柄の上部に網目を持つ。 オオのつかないほうのクロニガイグチくんは触れるといったん赤変してからゆっくりと黒変するのと、同じく柄の上部には網目があるが縦長で、全体の印象はオオクロニガイグチよりもスラッとしている。 しかし、ナイフでカットしてみると肉の色は灰色でいずれも赤変してからゆっくりと黒変するので、まぎらわしい。 なにごとでもそうだが、まず全体の印象把握することが野生の思考の第一条件。そののちに余裕があれば細部を観察して同定することが肝要だ。そうでないと思わぬ害をこうむることがある。秋になるときのこの中毒例が増えるのは、食いたい一心で図鑑片手に細部にこだわり全体を見失うことが大半だと私には思える。 遠くから見て色合からムラサキフウセンタケかと見まがい、ついで柄が太いことでニガイグチだと思い直すことが常だが、関西の森では、このずんぐりムックリのオオクロニガイグチの方が出会う機会は多いように思える。きのこ迷人たちにはどちらもニガイグチだとみて判断停止するので両者の区別はない。 ニガイグチ全体にいえるのは傘の裏の管孔の色が当初真っ白く、成熟するにつれてワインレッド色を呈することだ。この特徴は覚えておいて損はない。きのこを食べ物と考える人は一緒に煮て料理を苦くして台無しにしないためにも大切な目安となる。 ムラサキフウセンタケ同様、気品漂う暗紫黒色や暗褐色できのこは食べるものである前にきのこであり生き物の部分だと考える私にとっては、大好きな仲間の一人である。
2018年09月30日
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川西きのこの能勢・小和田山では、きのこたちとの稀な再会を果たし、生きていてよかったと思うことしばしでした。 トガリウラベニタケがまず私を呼んでくれたのですが、そばへ寄ってみるとあたり一面トガリベニヤマタケの群落がみられ、トガリベニちゃんたちとも久々の再会でしたので勢いそちらとの挨拶を優先してしまう結果に。 しかし、トガリウラベニちゃんとのなつかしい再会も心にしっかりと焼き付けておきましたのでご安心ください。おもえば、彼女とは小生が立ち上げた奈良きのこクラブの樫原神宮の森で、20年近く前にシイタケの榾木に出ていたのに出会って以来のことですから忘れる筈がありません。 トガリウラベニタケ Rhodophyllus acutoconicus 傘の中心に乳首のような突起をもつウラベニガサの仲間で、以下のヌメリガサグループのトガリちゃんたちとは別格のきのこです。地味なきのこの多いウラベニガサの仲間の中ではとてもキュートなきのこで、私は奈良での初デート以来、この日の来るの待ちわびていたのです。ヒダは幅広く疎で、類白色のちに肉色に変わるのがウラベニガサの特徴ですが、きのこを部分に分解せずに全体の印象で把握してきた私にはそんなことは抜きにしても一目見ただけで一目瞭然でした。傘は2~4.5cmくらいまでなりますが、この日のきのこは2cmくらいの可憐なものでした。 こちらが群生していたトガリベニヤマタケ Hygrocybe cuspidata 傘の径より柄が長いことが特徴で、こちらはしばしば出会っていますが、こんなに広範囲に群生していたのは初めてです。 近くのスギ林ではトガリツキミタケ Hygrocybe acutoconica も手を振っていました。 アカヤマタケ Hygrocybe グループのきのこは触れるとみるみるうちに黒変するのが特徴ですが、これら2者は黒変しないこともその種名判断の大きな特徴の一つです。 ごらんのように同じトガリでも全体の色合いが赤橙色のトガリベニヤマタケとは異なり全体がお月さんの色に近く黄色で中央部のみが橙色であるのが特徴です。 こちらはベニヒガサ Hygrocybe cantharellus だと思いましたが、ベニヒガサは全身深紅のドレスで登場しますので、こちらはコベニヤマタケ。今関博士が命名したHygrocybe imazekii のキッズだと思い直しました。 ヒナノヒガサ、ヤケノアカヤマタケ、そしてミズゴケノハナと類似の小型菌は数多いのですが、しっかりと見つめてみるとそれぞれまぎれもない特徴をもっています。
2018年09月28日
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能勢の倉垣天満宮で一休みしたのちバス停へ向かう途中の栗園でみつけたドッヂボール級の大きさのまぁるいきのこです。 オニフスベ Lanopila nipponica 大きいのは50cmにもなる巨大ホコリタケ。この個体は25cmほどの大きさでした。白い外皮の下にもう一層皮膜があり、成熟すると白い外皮は破れて褐色の紙質の内皮が露出し、やがてひび割れて剥離し、胞子塊があらわになり数兆個の胞子が風に吹かれてホコリのように舞い上がり雲散霧消してしまいます。 新しい個体は割ると真っ白いはんぺいのような形質でスライスしてソテーにして食べるとそこそこおいしいのですが、この個体はすでに日が経って黄ばんでおり、残念ですが食用には不向きです。 この川西きのこクラブでは初めての出会いですが、川西自然観察会で発見が1例あり、近郊では丹波篠山、神戸市北区藤原台ちかくで私は毎年見てきましたが、近年宅地化が進みシロが潰されてしまいました。マツタケの形のハラタケグループのきのこしか知らない方たちからは驚かれますが、これもれっきとしたきのこです。(かっては腹菌類の仲間としてあつかわれてきたものです)
2018年09月26日
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能勢で出会ったムラサキフウセンタケ。彼らとの出会いも2年ぶりになります。かっては毎夏の終わりには必ず挨拶をかわしていたのが嘘のようです。ムラサキフウセンタケ Cortinarius violaceus フウセンタケの仲間でも深い紫色を呈するこのきのこは、私の中では別格のきのこで、初学の頃は、白魔術の女王と受け止め珍重してきました。というのは野山で出会ったときの印象は真っ黒いきのこだからです。近づいてみると全身が濃い暗紫色。全体に微細な毛に覆われささくれだった印象を与えますが、よく見ると風格のただよう姿をしています。中から大型のきのこで12cm程度のものが普通です。この日出会ったそれはやや小ぶりの5cm前後のものでしたが、イヨッと思わず声を掛けてしまいました。暗紫色のヒダは胞子が成熟するとやがて鉄さび色を呈します。これがフウセンタケの特徴で幼菌の頃傘と柄の間に蜘蛛の糸状の保護膜を張ることからコルチナリウスのラテン名がつけられています。ロシア名はバウチンニク、いずれも蜘蛛の糸をもつきのこという意味です。 この2週間、秋の霖雨が幸いして一斉にきのこたちが顔をのぞかせはじめました。まだ暑気の抜けきらない里山では、秋本番のきのこというより夏から秋への端境期に顔をのぞかせるきのこたちが主流ですが、9日の豪雨を縫って歩き通した湖北・余呉の廃寺、菅原道真が幼少年期を過ごしたという菅山寺のムックの旅。そして23日の川西きのこクラブの能勢・小和田山。いずれも一気呵成に顔を出したきのこたちと出会ってきました。これから追々この場を借りてご報告いたします。 9月の第3週は、友人の船会社の会長から招待を受け対馬の旅という思いがけない機会を賜り、わだつみの島の空気を胸一杯に吸い込んできました。 私の周りでは、この夏以来、かってきのこの旅で身近な自然を共有してきたわが娘の世代がジュニア誕生やライフワークで活発な動きを見せ始め、今年知り合った新しい仲間も続々めくるめく動きを呈しはじめてきており、この9月はふたたび私の人生の大きな転換点が巡ってきたかのような予感にわくわくしていました。 そんな矢先、対馬滞在中に貝類研究者の大原健司くんの突然の訃に接し、愕然としました。彼とは川西きのこクラブでの親交は言うまでもなく、個人的にも数度酒を酌み交わし、あらゆる分野で意気投合してきた数少ない畏友のひとり。夜の顔不思議な俳句会やムックきのこクラブにも度々足を運んでくれ、とりわけ松尾芭蕉の老いらくの恋の話から盛り上がり、大津の義仲寺へ行こうと言うことになり同道した折りの記憶が鮮明に蘇ってきます。 しかし、生き急ぐ季節に差し掛かった私には悲しみに暮れ、立ち止まる余裕はすでになく、彼の遺志を全うする意味でも、わずかな可能性を肉付けしてわが終生の目標へ少しでも近づける努力を続ける以外にありません。 私のぽっかり空いた心の空隙を埋めるかのようにきのこたちが熱烈歓迎してくれているのを見るにつけ、頑張らなくっちゃと思う今日この頃です。
2018年09月25日
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ツゲノメイガ Cydalima perspectalis (ツトガ科) この体形のツトガ科の仲間は多く文様も似通っていて実に紛らわしい。 白色の翅に黒褐色の太い縁取りをもち、小さな三日月型の紋をつけているこのモスラちゃんは、ツゲの葉などを食べて大きくなる。10月になると姿が見えなくなるので、お別れを言いに来たのだろうか。 お別れといえば、今年の秋は、わが俳諧の友でカタツムリの研究家の大原健司くんが急逝した。趣味人の鑑のような人物で、ひなびた温泉巡りを日課としていたので、便りの返書もなく、しばらく顔もみないので、またいで湯の旅にでもでかけているのだろうと思っていたが・・・。かけがえのない友に先立たれてしまった。 秋になるとマンションの階段を上り下りするだけでも数種のモスラちゃんたちに出会う。階段はなるだけ歩いて登ろうね。ひょっとすれば、すてきな出会いがあるかも。
2018年09月16日
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阪神地方の険しく老いた六甲南地方を私たちは甲南と呼び習わしてきましたが、ここ数日炎帝が最後の力を振り絞ってその姿を誇示しています。 今日は、仕事現場の近くの非常ベルが鳴りやまず、しばらくすると煙が立ち始め警察官がまず飛んできて、消防車が5,6台駆けつけました。ボヤです。施錠されている住居の内部で出火したらしく、停電の際にブレーカーを落とすか電化製品のスイッチを切り忘れたまま出かけて、配電が回復した際に何らかの原因で発火したものだと通りがかりの人が教えてくれました。 阪神地方では今日も信号は半分程度機能しておらず、所々渋滞が生じていました。 それに追い討ちをかけるように本日未明、北海道で震度6の地震が発生したとのニュース。異常事態が日常化してきている感すらあります。週末は大雨の予報。屋根が飛んだ住居も方々で見かけましたので、台風禍の癒えぬままに雨晒しになればと考えただけで心が重くなります。
2018年09月06日
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ヤマトシジミ Pseudozizeria maha 台風21号接近のニュースがマスコミを賑わしはじめた9月3日、秋の光の中でヤマトシジミが交尾しているのに出会った。不謹慎かと思って一度は通り過ぎてみたものの、数分後に戻ってみるとまだせっせと励んでいたので、あわててデジカメを取りに戻り撮影した。 シジミチョウの中ではもっともポピュラーな仲間で、幼虫はカタバミの葉を食べて育つので、低空飛行で実にのんびりした飛び方で撮影も比較的しやすい。 雄雌いずれも翅の表は淡青色だが、雌の方が黒褐色を帯びるので右のやや大きい個体がメスのようだ。いずれも1cmそこそこの大きさで春先から数度交尾を繰り返し仲間を増やすので、秋口には数が最も増えてよく目につくようになる。
2018年09月04日
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グリーティング切手のところで触れましたが、2018年7月に発売され「夢みるきのこ」ならぬ「夢みるくらげ」の切手もお知らせしておきます。 僕にとっては、<くらげ>は<きのこ>にもっとも近い親戚で、きのこは日本の森林の危機的状況をさらりとした梅酒のようにさりげなく語りかけていますし、くらげはいささか暗すぎる日本の現実を横目に飄々とたゆたっています。それは癒しでもあり警告でもあるのです。こころなしか、今年はテレビでもくらげの話題がしばしば取り上げられていました。 郵政もこれまで通りでは成りゆかないと感じているのでしょう。きのこ切手、くらげ切手を図柄に採用するなんて大変な変わりようですね。 さあ、僕たちも<きのこ>や<くらげ>に倣い、日々の生活においてもカリカリ、ギシギシすることなく柔軟な心を保ち、きらきらと輝きながら流れていきましょう。
2018年09月02日
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この7月に海の生き物シリーズ第2集できのこの親戚筋のくらげがエンボス加工つきで出たので大喜びしたが、うれしいことは何度でもあるようです。 二十四節季の処暑の日(8月23日)に、あろうことか日本郵政の切手にきのこ柄が登場。82円切手の1片は、食事をするシマリスの目の前にクリイロイグチのようなきのこが。もう1片はヤマイグチ。 62円切手のほうは、ヤマドリタケモドキ1片。秋の野山を飾る植物や木の実に混じってではあるが、保守的な郵政がはじめてきのこ図柄を採用してくれたなんて、なんともうれしいことだ。
2018年09月01日
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